JP2010036669A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】これまでよりも長期に亘る耐久性と周方向剛性に優れ、かつ重量低減を可能にした空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】インナーライナー6が、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)からなるマトリックス中に、23℃におけるヤング率が変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)より小さい柔軟樹脂(C)を分散させた樹脂組成物(D)からなる層を少なくとも含み、ベルト5が、複数本のスチールコードが束状に並列配置されて形成された少なくとも1層のスチールベルトであり、スチールコードの短径A(mm)と束幅B(mm)とが式、B/A≧2.0で示される関係を満足し、かつ、コード束の束幅B(mm)と、コード束間間隔D(mm)とにより定義されるS=B/(B+D)の値が、式0.60≦S≦0.80で示される関係を満足する。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、詳しくは、耐久性と周方向剛性に優れ、かつ重量低減を可能にした空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤのスチールベルトは、通常、スチールコードが等間隔に配置されて被覆ゴムに埋設されている。かかるベルトに適用されるスチールコードの改良に関しては、例えば、特許文献1に、ベルト層のスチールコードを、複数のスチール素線を撚り合わせたストランドをN本実質的に無撚りで引き揃えて扁平な外郭形状を有する集束コードとして形成することが開示されており、これにより、ベルト層に使用するスチールコードの生産性を向上しながら、操縦安定性の向上とベルト層の耐腐食性の向上を可能にすることが報告されている。
また、例えば、特許文献2には、ベルトの改良により耐久性を確保するために、ベルト層の補強素子を数本以内の束毎に区分して、その束とこれに隣接する補強素子との分散間隔を広げて並置配列させるとともに、補強素子に直交する方向における束の幅d、および、その束とこれに隣接する補強素子との間隔lの比d/lを所定範囲に規定した空気入りラジアルタイヤが開示されている。
一方、従来、タイヤの内圧を保持するためにタイヤ内面に空気バリア層として配設されるインナーライナーには、ブチルゴムやハロゲン化ブチルゴム等を主原料とするゴム組成物が使用されているが、かかるゴム組成物をインナーライナーに使用した場合、インナーライナーの厚さを1mm前後とする必要がある。この場合、タイヤに占めるインナーライナーの重量が約5%となって、タイヤの重量を低減して自動車の燃費を向上させる上で無視できないものであった。そこで、特許文献3では、空気透過量が上記ブチル系のインナーライナー用ゴム組成物の100分の1以下であるエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと略記することがある)をタイヤのインナーライナーに用いることが報告されている。
また、特許文献4では、EVOHの使用による弊害、即ち、タイヤ転動時に屈曲変形を受けた使用後のタイヤでは、内圧保持性が使用前と比べて低下するという問題を解決するため、EVOHのエチレン含有量、ケン化度を所定の範囲内とすることが報告されている。さらに、特許文献5では、特定のEVOHをインナーライナーに使用し、従来のEVOHからなるタイヤ用インナーライナーと比較して、ガスバリア性を保持したまま、より高度な耐屈曲性を有するようにした技術が報告されている。
特開2004−217158号公報(特許請求の範囲等) 特開平5−213007号公報(特許請求の範囲等) 特開平6−40207号公報(特許請求の範囲等) 特開2002−52904号公報(特許請求の範囲等) 特開2004−176048号公報(特許請求の範囲等) 特開2008−24217号公報(特許請求の範囲等)
省資源・環境性能のニーズは増す一方であり、タイヤも例外ではなく、軽量化技術やタイヤ寿命向上の技術はますます必要となってきている。スチールコードを補強材として用いたスチールベルトの軽量化に当たっては、耐久性と周方向剛性の確保が必要である。すなわち、ベルト端からの亀裂発生に関する耐ベルトエンドセパレーション(以下「BES」と略記する)性を悪化させることなく、内圧充填時のタイヤ形状保持に充分な周方向剛性を有することがスチールベルトには求められる。
しかし、今後の環境指向の高まりからタイヤに求められる使用期間がより長くなることを想定した場合には、これまでに提案されてきたスチールベルトの改良技術による軽量化手法ではタイヤ耐久性能を満足する水準が長期に亘り維持され得るとは言い切れず、また、インナーライナーの重量の軽減には限界があり、インナーライナーの更なる改良も有効とはいい得ないのが現状である。
そこで、本発明の目的は、上記問題点を解決して、これまでよりも長期に亘る耐久性と周方向剛性に優れ、かつ重量低減を可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者は、タイヤが長期間使用される場合にはタイヤ内面から透過する酸素によるゴム物性の劣化が無視できなくなり、スチールベルトを構成するゴムの劣化はBES性を大幅に悪化させ、タイヤ寿命の著しい低下に繋がるとの知見に基づき鋭意検討した結果、ベルトを薄ゲージ化し軽量化すると、スチールベルト中のゴム体積が低下することから、タイヤ内面から酸素が透過しやすくなり、ゴム劣化の影響が大きくなるため、タイヤを軽量化するためには、タイヤ各部材の重量を低減すると共に、各部材が性能を補完しタイヤ全体としての寿命を向上させることが重要であるとの点に到達した。そこで、この点に着目して、スチールベルトとインナーライナーの重量を低減するとともに、スチールベルトの高剛性とインナーライナーのガスバリア性が互いの部材の耐久性能を補うべく更なる検討を重ねた結果、特定のスチールベルトと特定のインナーライナーとの組み合わせにより、タイヤ各部材の重量の低減と同時に、各部材が互いの性能を補完し合い、タイヤ全体としての性能向上を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の空気入りタイヤは、一対のビード部および一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、上記一対のビード部間にトロイド状に延在して、これら各部を補強するカーカスと、該カーカスのクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置されたベルト層からなるベルトと、前記カーカスの内側のタイヤ内面に配置されたインナーライナーとを備えた空気入りタイヤにおいて、
前記インナーライナーが、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)からなるマトリックス中に、23℃におけるヤング率が前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)より小さい柔軟樹脂(C)を分散させた樹脂組成物(D)からなる層を少なくとも含み、
前記ベルトが、複数本のフィラメントを撚り合わせてなる複数本のスチールコードが束状に並列配置されて形成された少なくとも1層のスチールベルトであり、
前記スチールコードの短径A(mm)と束幅B(mm)とが下記式(1)
B/A≧2.0 (1)
で示される関係を満足し、かつ、前記コード束の束幅B(mm)と、コード束間間隔D(mm)とにより定義されるS=B/(B+D)の値が、下記式(2)
0.60≦S≦0.80 (2)
で示される関係を満足することを特徴とするものである。
また、本発明の好適形態は下記の通りである。
前記柔軟樹脂(C)の23℃におけるヤング率が500MPa以下である空気入りタイヤである。
前記柔軟樹脂(C)が、水酸基と反応する官能基を有する空気入りタイヤである。
前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のエチレン含有量が25〜50モル%である空気入りタイヤである。
前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のケン化度が90%以上である空気入りタイヤである。
前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)が、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100質量部に対し、エポキシ化合物(E)1〜50質量部を反応させて得られる空気入りタイヤである。
前記エポキシ化合物(E)がグリシドール又はエポキシプロパンである空気入りタイヤである。
前記樹脂組成物(D)の−20℃におけるヤング率が1500MPa以下である空気入りタイヤである。
前記樹脂組成物(D)における前記柔軟樹脂(C)の含有率が10〜30質量%の範囲である空気入りタイヤである。
前記柔軟樹脂(C)の平均粒径が2μm以下である空気入りタイヤである。
前記樹脂組成物(D)からなる層が架橋されている空気入りタイヤである。
前記樹脂組成物(D)からなる層は、20℃、65%RHにおける酸素透過量が3.0×10−12cm・cm/cm・sec・cmHg以下である空気入りタイヤである。
前記樹脂組成物(D)からなる層の厚さが100μm以下である空気入りタイヤである。
前記樹脂組成物(D)からなる層に隣接して、更にエラストマーからなる補助層(F)を1層以上備える空気入りタイヤである。
前記樹脂組成物(D)からなる層と補助層(F)との間および前記補助層(F)と補助層(F)との間の少なくとも一箇所に、1層以上の接着剤層(G)を備える空気入りタイヤである。
前記補助層(F)は、20℃、65%RHにおける酸素透過量が3.0×10−9cm・cm/cm・sec・cmHg以下である空気入りタイヤである。
前記補助層(F)がブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムを含む空気入りタイヤである。
前記補助層(F)がジエン系エラストマーを含む空気入りタイヤである。
前記補助層(F)が熱可塑性ウレタン系エラストマーを含む空気入りタイヤである。
前記補助層(F)の厚さの合計が50〜2000μmの範囲である空気入りタイヤである。
前記スチールコードの短径A(mm)と前記フィラメントの径F(mm)とが下記式(3)および(4)、
0.24≦F≦0.50 (3)
A/F≦3.0 (4)
で示される関係を満足する空気入りタイヤである。
本発明によれば、これまでよりも長期に亘る耐久性と周方向剛性に優れ、かつ重量低減を可能にした空気入りタイヤを提供することができる。
以下に、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
(タイヤ構造)
以下に、図を参照しながら本発明の空気入りタイヤを詳細に説明する。図1は、本発明の空気入りタイヤの一実施態様の部分断面図である。
図1に示すタイヤは、一対のビード部1および一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2に連なるトレッド部3とを有し、上記一対のビード部1間にトロイド状に延在して、これら各部1、2、3を補強するカーカス4と、該カーカス4のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置されたベルト層(図示例では2層)からなるベルト5とを備え、更に、該カーカス4の内側のタイヤ内面にはインナーライナー6が配置されている。
図示例のタイヤにおいて、カーカス4は、上記ビード部1内に夫々埋設した一対のビードコア7間にトロイド状に延在する本体部と、各ビードコア7の周りでタイヤ幅方向の内側から外側に向けて半径方向外方に巻上げた折り返し部とからなるが、本発明の空気入りタイヤにおいて、カーカス4のプライ数及び構造は、これに限られるものではない。
また、図示例のタイヤにおいて、スチールベルト5は、2枚のベルト層からなるが、本発明の空気入りタイヤにおいては、スチールベルト5を構成するベルト層の枚数はこれに限られるものではない。ここで、ベルト層は、通常、タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるコードのゴム引き層からなり、2枚のベルト層は、該ベルト層を構成するコードが互いに赤道面を挟んで交差するように積層されてベルト5を構成する。更に、図示例のタイヤは、スチールベルト5のタイヤ半径方向外側でベルト5の全体を覆うように配置されたベルト補強層8を備えるが、本発明の空気入りタイヤは、ベルト補強層8を有していなくてもよいし、他の構造のベルト補強層を備えることもできる。ここで、ベルト補強層8は、通常、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列したコードのゴム引き層からなる。
なお、図示例のタイヤにおいて、インナーライナー6は、樹脂組成物(D)からなる層を一層のみ有するが、本発明の空気入りタイヤは、樹脂組成物(D)からなる層の耐屈曲性を改良するため、図2、図3に示すように補助層(F)を一層以上有することもできる。
図2及び図3は、図1の丸で囲んだ部分IIに相当する、本発明の空気入りタイヤの他の実施態様の拡大部分断面図である。図2に示すタイヤは、図1に示すインナーライナー6に代えて、樹脂組成物(D)からなる層9と、該樹脂組成物(D)からなる層9に隣接して配置された二層の補助層(F)10、11と、該補助層(F)11の外側に配置された接着剤層(G)12とからなるインナーライナー13を備える。また、図3に示すタイヤは、上記図2に示す接着剤層(G)12の外側に、更に補助層(F)14を有するインナーライナー15を備える。なお、本発明のタイヤにおいて、インナーライナーを構成する補助層(F)の層数はこれに限られるものではない。また、補助層(F)に用いるエラストマーとしては、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ジエン系エラストマー、熱可塑性ウレタン系エラストマー等が挙げられ、これらを目的に応じて適宜選択することができる。更に、図2及び図3に示すタイヤは、補助層(F)11の外側に接着剤層(G)12を一層備えるが、本発明の空気入りタイヤは、接着剤層(G)12を有しなくてもよいし、他の層の間に一層以上備えることもできる。
更に、図示例のタイヤにおいて、補助層(F)の厚さの合計は、ベルト5の端からビード部1までの領域で、少なくとも30mmの半径方向幅に相当する該補助層(F)の部分が、ベルト5の下部に対応する該補助層(F)の部分より0.2mm以上厚いことが好ましい。これは、ベルト5の端からビード部1までの領域が最も歪が厳しくクラックが発生し易い領域であり、かかる領域の耐久性を向上させるためには、上記特定領域における補助層(F)を厚くするのが効果的であるからである。
(インナーライナー材)
本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーは、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)からなるマトリックス中に、23℃におけるヤング率が前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)より小さい柔軟樹脂(C)を分散させた樹脂組成物(D)からなる層を少なくとも含むことを特徴とする。上記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)に、例えば、エポキシ化合物(E)を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)は、通常のEVOHに比べて弾性率が低い。また、上記物性を満たす柔軟樹脂(C)を分散させることで、弾性率を更に低下させることができる。そのため、上記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)からなるマトリックス中に上記柔軟樹脂(C)を分散させてなる樹脂組成物(D)は、弾性率が大幅に低下しており、屈曲時の耐破断性が高く、またクラックも発生し難い。
上記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)は、エチレン含有量が25〜50モル%であることが好ましく、30〜48モル%であることが更に好ましく、35〜45モル%であることが一層好ましい。エチレン含有量が25モル%未満では、耐屈曲性、耐疲労性及び溶融成形性が悪化することがあり、一方、50モル%を超えると、ガスバリア性を十分に確保できないことがある。また、該エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)は、ケン化度が90%以上であることが好ましく、95%以上であることが更に好ましく、99%以上であることが一層好ましい。ケン化度が90%未満では、ガスバリア性及び成形時の熱安定性が不十分となることがある。更に、該エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)は、メルトフローレート(MFR)が190℃、2160g荷重下で0.1〜30g/10分であることが好ましく、0.3〜25g/10分であることが更に好ましい。
本発明において、上記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)の製造方法は、特に限定されないが、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)とエポキシ化合物(E)とを溶液中で反応させる製造方法が好適に挙げられる。より詳しくは、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の溶液に、酸触媒又はアルカリ触媒存在下、好ましくは酸触媒存在下、エポキシ化合物(E)を添加し、反応させることによって変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)を製造することができる。反応溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒が挙げられる。また、酸触媒としては、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸及び三フッ化ホウ素等が挙げられ、アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ナトリウムメトキシド等が挙げられる。なお、触媒量は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100質量部に対し、0.0001〜10質量部の範囲が好ましい。
上記エポキシ化合物(E)としては、一価のエポキシ化合物が好ましい。二価以上のエポキシ化合物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と架橋反応し、ゲル、ブツ等を発生して、インナーライナーの品質を低下させることがある。なお、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)の製造容易性、ガスバリア性、耐屈曲性及び耐疲労性の観点から、一価のエポキシ化合物の中でも、グリシドール及びエポキシプロパンが特に好ましい。また、上記エポキシ化合物(E)は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100質量部に対して1〜50質量部を反応させることが好ましく、2〜40質量部を反応させることが更に好ましく、5〜35質量部を反応させることが一層好ましい。
上記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)は、ガスバリア性、耐屈曲性及び耐疲労性を得る観点から、メルトフローレート(MFR)が190℃、2160g荷重下で0.1〜30g/10分であることが好ましく、0.3〜25g/10分であることが更に好ましく、0.5〜20g/10分であることが一層好ましい。
上記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)からなるマトリックス中に分散させる柔軟樹脂(C)は、23℃におけるヤング率が上記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)より小さいことを要し、500MPa以下であることが好ましい。上記柔軟樹脂(C)の23℃におけるヤング率が変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)より小さいと、樹脂組成物(D)の弾性率を低下させることができ、その結果、耐屈曲性を向上させることができる。また、上記柔軟樹脂(C)は、水酸基と反応する官能基を有することが好ましい。上記柔軟樹脂(C)が水酸基と反応する官能基を有することで、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)中に柔軟樹脂(C)が均一に分散するようになる。ここで、水酸基と反応する官能基としては、無水マレイン酸残基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられる。かかる水酸基と反応する官能基を有する柔軟樹脂(C)として、具体的には、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、無水マレイン酸変性超低密度ポリエチレン等が挙げられる。
また、上記樹脂組成物(D)における柔軟樹脂(C)の含有率は、10〜30質量%の範囲であることが好ましい。柔軟樹脂(C)の含有率が10質量%未満では、耐屈曲性を向上させる効果が小さく、一方、30質量%を超えると、ガスバリア性が低下することがある。更に、上記柔軟樹脂(C)は、平均粒径が2μm以下であることが好ましい。平均粒径が2μmを超えると、樹脂組成物(D)からなる層の耐屈曲性を十分に改善できないおそれがあり、ガスバリア性の低下、延いてはタイヤの内圧保持性の悪化をもたらすことがある。なお、樹脂組成物(D)中の柔軟樹脂(C)の平均粒径は、例えば、サンプルを凍結し、該サンプルをミクロトームにより切片にして、透過電子顕微鏡(TEM)で観察することができる。
上記樹脂組成物(D)は、−20℃におけるヤング率が1500MPa以下であることが好ましい。−20℃におけるヤング率が1500MPa以下であると、寒冷地で使用した際の耐久性を向上させることができる。
上記樹脂組成物(D)は、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)と柔軟樹脂(C)とを混練して調製することができる。また、上記樹脂組成物(D)は、インナーライナーの製造時にフィルム状であることが好ましく、該樹脂組成物(D)からなる層は、溶融成形、好ましくはTダイ法、インフレーション法等の押出成形により、好ましくは150〜270℃の溶融温度でフィルムやシート等に成形され、インナーライナーとして使用される。
上記樹脂組成物(D)からなる層は、架橋されていることが好ましい。樹脂組成物(D)からなる層が架橋されていない場合、タイヤの加硫工程でインナーライナーが著しく変形して不均一となり、インナーライナーのガスバリア性、耐屈曲性、耐疲労性が悪化することがある。ここで、架橋方法としては、エネルギー線を照射する方法が好ましく、該エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、α線、γ線等の電離放射線が挙げられ、これらの中でも電子線が特に好ましい。電子線の照射は、樹脂組成物(D)をフィルムやシート等の成形体に加工した後に行うことが好ましい。ここで、電子線の線量は、10〜60Mradの範囲が好ましく、20〜50Mradの範囲が更に好ましい。電子線の線量が10Mrad未満では、架橋が進み難く、一方、60Mradを超えると、成形体の劣化が進み易くなる。
また、上記樹脂組成物(D)からなる層は、20℃、65%RHにおける酸素透過量が3.0×10−12cm・cm/cm・sec・cmHg以下であることが好ましく、1.0×10−12cm・cm/cm・sec・cmHg以下であることが更に好ましく、5.0×10―13cm・cm/cm・sec・cmHg以下であることが一層好ましい。20℃、65%RHにおける酸素透過量が3.0×10−12cm・cm/cm・sec・cmHgを超えると、インナーライナーとして用いる際に、タイヤの内圧保持性を高めるために、樹脂組成物(D)からなる層を厚くせざるを得ず、タイヤの重量を十分に低減できなくなる。
更に、上記樹脂組成物(D)からなる層の厚さは、100μm以下であることが好ましく、より好ましくは下限が0.1μmであり、1〜40μmの範囲であることが更に好ましく、5〜30μmの範囲であることが一層好ましい。樹脂組成物(D)からなる層の厚さが100μmを超えると、インナーライナーとして用いる際に、従来のブチルゴム系のインナーライナーに対して重量の低減効果が小さくなる上、耐屈曲性及び耐疲労性が低下し、タイヤ転動時の屈曲変形により破断・亀裂が生じ易く、また、亀裂が伸展し易くなるため、タイヤの内圧保持性が使用前に比べて低下することがある。一方、0.1μm未満では、ガスバリア性が不十分で、タイヤの内圧保持性を十分に確保できないことがある。
本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーは、上記樹脂組成物(D)からなる層に隣接して、更にエラストマーからなる補助層(F)を一層以上備えることが好ましい。ここで、上記補助層(F)は、エラストマーを用いるため、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)の水酸基との接着性が高く、樹脂組成物(D)からなる層から剥離し難い。そのため、樹脂組成物(D)からなる層に破断・亀裂が生じても、亀裂が伸展し難いので、大きな破断及びクラックのような弊害を抑制し、タイヤの内圧保持性を十分に維持することができる。また、本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーは、上記樹脂組成物(D)からなる層と補助層(F)との間及び上記補助層(F)と補助層(F)との間の少なくとも一箇所に、一層以上の接着剤層(G)を備えることもできる。なお、上記接着剤層(G)に使用する接着剤としては、塩化ゴム・イソシアネート系の接着剤等が挙げられる。
本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーは、上記樹脂組成物(D)からなる層の他、補助層(F)と、必要に応じて接着剤層(G)とを備える場合、積層体として形成される。ここで、積層体を製造する方法としては、例えば、樹脂組成物(D)からなる層と他の層とを共押出により積層させる方法、樹脂組成物(D)からなる層と補助層(F)とを必要に応じて接着剤層(G)を用いて貼り合わせる方法、更にはタイヤ成形時にドラム上で樹脂組成物(D)からなる層と補助層(F)とを必要に応じて接着剤層(G)を用いて貼り合わせる方法等が挙げられる。
上記補助層(F)は、20℃、65%RHにおける酸素透過量が3.0×10―9cm・cm/cm・sec・cmHg以下であることが好ましく、1.0×10―9cm・cm/cm・sec・cmHg以下であることが更に好ましい。20℃、65%RHにおける酸素透過量が3.0×10―9cm・cm/cm・sec・cmHg以下であると、ガスバリア性の補強効果が十分に発揮され、タイヤの内圧保持性を高度に維持することが可能となる。
上記補助層(F)に用いるエラストマーとしては、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ジエン系エラストマー、熱可塑性ウレタン系エラストマーを好適に挙げることができる。ここで、ガスバリア性の観点からは、ブチルゴム及びハロゲン化ブチルゴムが好ましく、ハロゲン化ブチルゴムが更に好ましい。また、樹脂組成物(D)からなる層に亀裂が生じた際の伸展を抑制するには、ブチルゴム及びジエン系エラストマーが好ましい。更に、補助層(F)を薄層化しつつ、亀裂の発生や伸展を抑制するには、熱可塑性ウレタン系エラストマーが好ましい。その上、補助層(F)は、積層することが可能であり、種々の特性を持つエラストマーからなる補助層を多層化することが特に好ましい。なお、これらエラストマーは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ジエン系エラストマーとして、具体的には、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等が挙げられ、これらの中でも天然ゴム、ブタジエンゴムが好ましい。これらジエン系エラストマーは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記熱可塑性ウレタン系エラストマーは、ポリオールと、イソシアネート化合物と、短鎖ジオールとの反応によって得られる。ポリオール及び短鎖ジオールは、イソシアネート化合物との付加反応により、直鎖状ポリウレタンを形成する。ここで、ポリオールは、熱可塑性ウレタン系エラストマーにおいて柔軟な部分となり、イソシアネート化合物及び短鎖ジオールは硬い部分となる。なお、熱可塑性ウレタン系エラストマーは、原料の種類、配合量、重合条件等を変えることで、広範囲に性質を変えることができる。
上記補助層(F)の厚さの合計は、50〜2000μmの範囲であることが好ましく、100〜1000μmの範囲であることが更に好ましく、300〜800μmの範囲であることが一層好ましい。補助層(F)の厚さの合計が50μm未満では、補強効果が十分に発揮されず、樹脂組成物(D)からなる層に破断・亀裂が生じた際の弊害を抑制することが困難となり、タイヤの内圧保持性を十分に維持できないことがある。一方、補助層(F)の厚さの合計が2000μmを超えると、タイヤの重量の低減効果が小さくなる。
上記補助層(F)は、300%伸び時における引張応力が10MPa以下であることが好ましく、8MPa以下であることが更に好ましく、7MPa以下であることが一層好ましい。該引張応力が10MPaを超えると、補助層(F)をインナーライナーに用いた際の耐屈曲性及び耐疲労性が低下することがある。
(スチールベルト)
図4(a)に、本発明に係るスチールベルト内のスチールコードの配列状態を示す概略断面図を、同図(b)に、その1本のスチールコードを取り出して示す断面図を、それぞれ示す。図示するように、本発明の空気入りタイヤは、複数本のフィラメント31を撚り合せてなる複数本のスチールコード21が束状に並列配置されて形成された少なくとも1層のスチールベルトを有するものである。
本発明のタイヤにおいては、コード束22の高さ、すなわち、スチールコードの短径A(mm)と、束幅B(mm)とが下記式(1)、
B/A≧2.0 (1)
で示される関係を満足するとともに、コード束22の束幅B(mm)と、コード束22間の間隔D(mm)とにより定義されるS=B/(B+D)の値が下記式(2)、
0.60≦S≦0.80 (2)
で示される関係を満足することが重要である。
コード束22が、上記式(1)を満足するものとすることで軽量化を確保することができ、かつ、上記式(2)を満足するものとすることで周方向剛性と耐久性とをバランスよくすることができる。Sが0.60未満であると、コード束間の間隔が大きくなると同時に層間ゴムの拘束が弱まることから、周方向剛性が不足してしまう。一方、Sが0.80より大きいと、束幅に対して束間の間隔が狭すぎるため、亀裂進展によるBES性が悪化してしまう。
また、ベルトをより軽量化するという観点からは、スチールコードの短径(mm)とフィラメント31の径F(mm)とが、下記式(3)および(4)、
0.24≦F≦0.50 (3)
A/F≦3.0 (4)
で示される関係を満足することが好ましい。これにより、トリート厚さAを小さくして、さらなる軽量化効果を得ることができる。
本発明のタイヤにおいては、上記条件を満足するスチールベルトを構成するスチールコードが、上記条件を満足する束状に配置されているものであればよく、これにより本発明の所期の効果を得ることができる。例えば、本発明に用いるスチールコードは、図示する例では扁平コードであるが、これには限られず、通常の円形断面コードであってもよい。かかる束状のコード配置以外のタイヤ構造の詳細については特に制限されず、常法に従い適宜構成することが可能である。例えば、本発明のタイヤにおいて、スチールベルトは少なくとも1層で配置することが必要であり、好適には3〜4層で配置する。本発明において、スチールベルトを複数層で配置する場合には、そのうち少なくとも1層に上記束状のコード配置を適用すればよい。
本発明においては、酸素透過抑制効果に優れたインナーライナーを用いることにより、ゴムの劣化を現行同等に抑制することでBES性を高めることが可能となる。また、酸素透過性に優れ、かつ従来のブチルゴムより重量低減可能なインナーライナーとして上述のインナーライナーを空気入りタイヤに適用するとともに、本発明に係る上述のスチールベルトを適用することで、スチールベルトの軽量化における上記問題点が解決され、また、同時に、かかるスチールベルトは周方向剛性すなわちベルトの面内剛性が高いことから、タイヤが接地したときのトレッド部の変形を抑制する作用を有する。これにより、トレッド部(=タイヤ外面)の変形を抑え、微小ではあるがタイヤ内面のインナーライナーに生じる歪みを抑えることにつながる。したがって、かかるスチールベルトを空気入りタイヤに適用することで、インナーライナーの耐疲労性もさらに改良されることになる。このように、本発明においては、インナーライナーの高ガスバリア性がスチールベルトのゴムの劣化によるBES性を補い、逆に、スチールベルトの高剛性がインナーライナーの耐疲労性をさらに改良するという相乗効果を有する。
本発明の空気入りタイヤは、インナーライナーに上述した樹脂組成物(D)と、状況に応じて補助層(F)及び接着剤層(G)とともに、上述のスチールベルトを適用し、常法により製造することができる。なお、本発明の空気入りタイヤにおいて、タイヤ内に充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガスを用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
主交錯ベルトに束コードを適用し、かつ、下記の表1および表2に示す条件のスチールベルトおよびインナーライナーを適用して11R22.5サイズの空気入りタイヤを試作し、各供試タイヤにつき下記の評価を行った。なお、各タイヤのインナーライナー材は下記のようにして製造した。
(実施例1〜4および比較例3〜5のインナーライナー材料:本フィルム)
日新ハイボルテージ株式会社製電子線照射装置「生産用キュアトロンEBC200−100」を使用して、加速電圧200kV、照射エネルギー30Mradの条件でフィルム1〜6に電子線照射して架橋処理を施した。得られた架橋フィルムの片面に接着剤層(G)として東洋化学研究所製メタロックR30Mを塗布し、補助層(F)であるゴム組成物層の内面に貼り付けて、インナーライナーを作製した。なお、ゴム組成物層は、天然ゴム30質量部及び臭素化ブチルゴム[JSR(株)製,Bromobutyl 2244]70質量部に対して、GPFカーボンブラック[旭カーボン(株)製,#55]60質量部、SUNPAR2280[日本サン石油(株)製]7質量部、ステアリン酸[旭電化工業(株)製]1質量部、NOCCELER DM[大内新興化学工業(株)製]1.3質量部、酸化亜鉛[白水化学工業(株)製]3質量部及び硫黄[軽井沢精錬所製]0.5質量部を配合して調製したゴム組成物を用いた。
(従来例、比較例1、2のインナーライナー材料:ブチルフィルム)
臭素化ブチルゴム[JSR(株)製,Bromobutyl 2244]100質量部に対して、GPFカーボンブラック[旭カーボン(株)製,#55]60質量部、SUNPAR2280[日本サン石油(株)製]7質量部、ステアリン酸[旭電化工業(株)製]1質量部、NOCCELER DM[大内新興化学工業(株)製]1.3質量部、酸化亜鉛[白水化学工業(株)製]3質量部及び硫黄[軽井沢精錬所製]0.5質量部を配合してゴム組成物を調製し、該ゴム組成物を用いてインナーライナーを作製した。
(ベルト重量)
得られた各供試タイヤにつき、スチールコードとゴムシートとからなるトリートの単位面積あたりの重量を実測して求めた。結果は、従来例をコントロールとして100とした指数で表示した。値が小さいほど、軽量効果が大きいことを意味する。
(周方向剛性)
上記タイヤに酸素を700kPaで50日間充填し、酸素劣化を促進させた。酸素劣化後、内圧50kPa時と700kPa時でのタイヤの外周を測定し、その外周差から周方向剛性を求めた。具体的には、測定した外周成長量の逆数から周方向剛性を算出した。結果は、従来例を100とする指数で表示した。値が大きいほど、高い剛性を持つことを意味する。
(BES性)
上記酸素劣化させた後、スリップアングルを断続的に付加するドラム耐久試験により、BES性を評価した。評価は、主交錯ベルトを解剖し、ベルト層間の亀裂の長さをタイヤ周方向に測定して、平均した値に基づいて、BES性を求めた。結果は従来例の平均亀裂長さを100とした指数で表示した。値が小さいほど、BES性が良いことを意味する。
(インナーライナーゲージ)
供試タイヤのカットサンプルでの実測値を従来例を100として指数で表示した。値が小さいほど、ゲージが小さいことを意味する。
(インナーライナー耐疲労性)
ドラム耐久試験後のタイヤ内角のインナーライナーの亀裂をマイクロスコープにて観察し、インナーライナーの耐疲労性を評価した。
尚、各判定は、非常に劣るものを「×」、劣るものを「△」、普通のものを「○」、より良好なものを「◎」とした。得られた結果を下記の表1および2に示す。
Figure 2010036669
Figure 2010036669
実施例1、2は、本発明に係るインナーライナー材料を用いており、酸素劣化後のBES性が従来例と同等に抑えられた。また、実施例3、4のように、本発明に係るスチールベルトとインナーライナーとの組合せを最適化することで、大きな軽量効果が得られるとともに、耐久性能が向上した。
実施例1〜4に示すインナーライナーは、ドラム耐久試験後もタイヤ新品時と同等な内圧保持性を有していることが確認された。
これに対し、比較例1、2はいずれもSの値が0.60〜0.80の範囲にはいっており、周方向剛性は確保できているが、酸素劣化後のBES性が従来例よりも若干劣る位置づけとなり、耐久性が確保されているとは言い切れなかった。
比較例3のようにSの値が小さい場合、スチールベルト自体の周方向剛性が不足していることから径成長が大きくなり、スチールベルト中のゴムの歪みが大きくなるために、BES性を向上させることはできなかった。
比較例4のようにSの値が大きい場合、発生した亀裂がコード間に伝播しやすく、スチールベルト自体のBES性が大きく劣るため、酸素劣化を抑制してもBES性を向上させることはできなかった。
比較例5は、従来例のスチールベルトと本発明に係るインナーライナーとを組み合わせたものであるが、タイヤの軽量化の面で満足な結果が得られなかった。
以上の結果、インナーライナーの酸素透過性を改良するのみならず、スチールベルトの構造をSの値によりコントロールすることが必要であることが分かった。また、軽量化にはスチールベルトを薄くすることが効果的であり、そのためには上記式(3)、(4)を満足することが望ましいことも分かった。
本発明の空気入りタイヤの一実施態様の部分断面図である。 本発明の空気入りタイヤの他の実施態様の拡大部分断面図である。 本発明の空気入りタイヤの他の実施態様の拡大部分断面図である。 (a)は、本発明に係るスチールベルト内のスチールコードの配列状態を示す概略断面図であり、(b)は、その1本のスチールコードを取り出して示す断面図である。
符号の説明
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 カーカス
5 ベルト
6 インナーライナー
7 ビードコア
8 ベルト補強層
9 樹脂組成物(D)からなる層
10 補助層(F)
11 補助層(F)
12 接着剤層(G)
13 インナーライナー
14 補助層(F)
15 インナーライナー
21 スチールコード
22 コード束
31 フィラメント

Claims (21)

  1. 一対のビード部および一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、上記一対のビード部間にトロイド状に延在して、これら各部を補強するカーカスと、該カーカスのクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置されたベルト層からなるベルトと、前記カーカスの内側のタイヤ内面に配置されたインナーライナーとを備えた空気入りタイヤにおいて、
    前記インナーライナーが、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)からなるマトリックス中に、23℃におけるヤング率が前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)より小さい柔軟樹脂(C)を分散させた樹脂組成物(D)からなる層を少なくとも含み、
    前記ベルトが、複数本のフィラメントを撚り合わせてなる複数本のスチールコードが束状に並列配置されて形成された少なくとも1層のスチールベルトであり、
    前記スチールコードの短径A(mm)と束幅B(mm)とが下記式(1)
    B/A≧2.0 (1)
    で示される関係を満足し、かつ、前記コード束の束幅B(mm)と、コード束間間隔D(mm)とにより定義されるS=B/(B+D)の値が、下記式(2)
    0.60≦S≦0.80 (2)
    で示される関係を満足することを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記柔軟樹脂(C)の23℃におけるヤング率が500MPa以下である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記柔軟樹脂(C)が、水酸基と反応する官能基を有する請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のエチレン含有量が25〜50モル%である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のケン化度が90%以上である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)が、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100質量部に対し、エポキシ化合物(E)1〜50質量部を反応させて得られる請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記エポキシ化合物(E)がグリシドール又はエポキシプロパンである請求項6に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記樹脂組成物(D)の−20℃におけるヤング率が1500MPa以下である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記樹脂組成物(D)における前記柔軟樹脂(C)の含有率が10〜30質量%の範囲である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記柔軟樹脂(C)の平均粒径が2μm以下である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記樹脂組成物(D)からなる層が架橋されている請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  12. 前記樹脂組成物(D)からなる層は、20℃、65%RHにおける酸素透過量が3.0×10−12cm・cm/cm・sec・cmHg以下である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  13. 前記樹脂組成物(D)からなる層の厚さが100μm以下である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  14. 前記樹脂組成物(D)からなる層に隣接して、更にエラストマーからなる補助層(F)を1層以上備える請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  15. 前記樹脂組成物(D)からなる層と補助層(F)との間および前記補助層(F)と補助層(F)との間の少なくとも一箇所に、1層以上の接着剤層(G)を備える請求項14に記載の空気入りタイヤ。
  16. 前記補助層(F)は、20℃、65%RHにおける酸素透過量が3.0×10−9cm・cm/cm・sec・cmHg以下である請求項14に記載の空気入りタイヤ。
  17. 前記補助層(F)がブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムを含む請求項14に記載の空気入りタイヤ。
  18. 前記補助層(F)がジエン系エラストマーを含む請求項14に記載の空気入りタイヤ。
  19. 前記補助層(F)が熱可塑性ウレタン系エラストマーを含む請求項14に記載の空気入りタイヤ。
  20. 前記補助層(F)の厚さの合計が50〜2000μmの範囲である請求項14に記載の空気入りタイヤ。
  21. 前記スチールコードの短径A(mm)と前記フィラメントの径F(mm)とが下記式(3)および(4)、
    0.24≦F≦0.50 (3)
    A/F≦3.0 (4)
    で示される関係を満足する請求項1〜20のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
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