JP2010035904A - 電気掃除機 - Google Patents

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昌樹 澁谷
Katsuyuki Ota
勝之 太田
Tetsuya Koda
哲也 甲田
Izumi Yamaura
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Abstract

【課題】糸状の塵埃が濾過フィルターの貫通孔に突き刺さって絡みつくことを防止し、掃除作業後に捕集した塵埃を容易に排出できる電気掃除機を提供する。
【解決手段】電動送風機21と、電動送風機21の上流側に設置され電動送風機21により吸引した塵埃を含む空気を導入し、その空気から塵埃を分離する濾過フィルター27aを有する塵埃分離部23と、塵埃分離部23で分離された塵埃を収容する塵埃収容部24とを備え、濾過フィルター27aは上流側表面と下流側表面との間を貫通するエッチング加工により形成された複数の貫通孔28を設けており、貫通孔28の中心軸63方向は濾過フィルター面の法線方向に対して傾斜しており、また貫通孔28は上流側孔104と、下流側孔105と、上流側孔104及び下流側孔105を連通させる連通部孔106とで構成され、上流側孔底面湾曲部108が湾曲している。
【選択図】図2

Description

本発明は、塵埃を分離する濾過フィルターを有する電気掃除機に関するものである。
近年、吸引風の気流に旋回成分を持たせ、遠心力により気流から塵埃を分離除去するタイプの電気掃除機、いわゆるサイクロン型の電気掃除機が注目を浴びている。この種の電気掃除機は、集塵ケース内に旋回気流を発生させて、旋回気流の遠心力により、吸引した空気流から塵埃を分離し、分離した塵埃を集塵ケース内に堆積させる構成を採用している。
最近では、濾過フィルターを微小な貫通孔を有する金属板とするなどの創意工夫をこらし、濾過フィルターに付着した塵埃の除去を簡便にするものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−52394号公報
特許文献1に記述されているように、濾過フィルターを微小な貫通孔を有する金属板とすると、不織布の濾過フィルターに比べて、濾過フィルターに付着した塵埃の除去を簡便にすることができる。
しかし、掃除をする際に吸引された糸状の塵埃(髪の毛やペットの毛、さらには長細い繊維状のリントなど)は、吸引気流とともに濾過フィルターの貫通孔に導かれて突き刺さってしまい、貫通孔に突き刺さった糸状の塵埃にその他の塵埃が付着して、糸状の塵埃が核となって綿ゴミが大きく成長する。すると、捕集した塵埃を排出する際に、綿ゴミが髪の毛などが濾過フィルターの貫通孔にぶら下がって容易に排出できないという課題を有するものであった。
また、塵埃が濾過フィルターに滞留することにより、雑菌が繁殖して不衛生になったり、本来確保できていた塵埃の収容容積が減少したり、濾過フィルターに滞留した塵埃が空気の流れを妨げたりすると言う諸問題につながり、掃除機に必要な吸込み力が低下するという大きな問題にも発展する。
この発明が問題にする糸状の塵埃とは、細長い形状をした塵埃のことであり、髪の毛やペットの毛、さらには細い繊維状のリントなどの塵埃を含む。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、糸状の塵埃が濾過フィルターの貫通孔に入り込んで絡みつき貫通孔を塞ぐことや、捕集した塵埃が落としにくくなることを防止して、濾過機能を長時間維持することができ、かつ掃除作業後に塵埃を容易に排出できる電気掃除機を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の電気掃除機は、電動送風機と、前記電動送風機の上流側に設置され前記電動送風機により吸引した塵埃を含む空気を導入し前記空気から前記塵埃を分離する濾過フィルターを有する塵埃分離部と、前記塵埃分離部で分離された塵埃を収容する塵埃収容部とを備え、前記濾過フィルターは上流側表面と下流側表面との間を貫通する複数の貫通孔を設けており、前記貫通孔の中心軸方向は前記濾過フィル
ター面の法線方向に対して傾斜しており、前記貫通孔は上流側孔と、下流側孔と、前記上流側孔と前記下流側孔とを連通させる連通部孔とで構成され、前記上流側孔の底面に湾曲部を設けた。
この構成により、湾曲した上流側孔底面が連通孔に進入しようとする糸状の塵埃を上流側へはね返して阻止するので、糸状の塵埃が貫通孔に突き刺さって絡みついたり、詰まったりすることを抑制できる。そのため、掃除作業が終わって塵埃を排出する時、糸状の塵埃を含む塵埃が濾過フィルターの貫通孔に絡みつかないため、塵埃収容部に捕集した塵埃の排出作業を容易にすることができる。
本発明の電気掃除機は、湾曲した上流側孔底面が連通孔に進入しようとする糸状の塵埃を上流側へはね返して阻止するので、糸状の塵埃が貫通孔に突き刺さって絡みついたり、詰まったりすることを抑制できる。そのため、掃除作業が終わって塵埃を排出する時、糸状の塵埃を含む塵埃が濾過フィルターの貫通孔に絡みつかないため、塵埃収容部に捕集した塵埃の排出作業を容易にする電気掃除機を提供できる。
第1の発明は、電動送風機と、前記電動送風機の上流側に設置され前記電動送風機により吸引した塵埃を含む空気を導入し前記空気から前記塵埃を分離する濾過フィルターを有する塵埃分離部と、前記塵埃分離部で分離された塵埃を収容する塵埃収容部とを備え、前記濾過フィルターは上流側表面と下流側表面との間を貫通する複数の貫通孔を設けており、前記貫通孔の中心軸方向は前記濾過フィルター面の法線方向に対して傾斜しており、前記貫通孔は上流側孔と、下流側孔と、前記上流側孔および前記下流側孔を連通させる連通部孔とで構成され、且つ前記上流側孔の底面に湾曲部を設けたことを特徴とした電気掃除機とするものである。
この構成により、湾曲した上流側孔底面部が連通孔に進入しようとする糸状の塵埃を上流側へはね返して阻止するので、糸状の塵埃が貫通孔に突き刺さって絡みついたり、詰まったりすることを抑制できる。そのため、掃除作業が終わって塵埃を排出する時、糸状の塵埃を含む塵埃が濾過フィルターの貫通孔に絡みつかないため、塵埃収容部に捕集した塵埃の排出作業を容易にする電気掃除機を提供できる。
第2の発明は、第1の発明の構成に加えて、塵埃分離部には吸引口から導入する塵埃を含む空気を旋回気流として流す旋回気流通風路を設け、前記旋回気流通風路の少なくとも一部を形成する濾過フィルターを備え、前記濾過フィルターの外周に前記電動送風機の吸引力が作用する空間部を設け、前記濾過フィルターの貫通孔の中心軸方向が前記濾過フィルターの上流側表面に沿って流れる旋回気流の進行方向に対して略逆方向となるように前記濾過フィルターを配置した電気掃除機とするものである。
この構成により、湾曲した上流側孔底面が連通孔に進入しようとする糸状の塵埃を上流側へはね返して阻止する。例え、糸状の塵埃の先頭部が貫通孔内に入ったとしても、糸状の塵埃の大部分が旋回気流によって引っ張られ、糸状の塵埃の先頭部は貫通孔から濾過フィルターの上流側に引き戻されるので、糸状の塵埃は濾過フィルターの貫通孔に絡みつかない。これにより、濾過フィルターの通気性を維持することができ、風量低下を招くことなく、強い吸込み力を長時間維持できる。しかも、糸状の塵埃が濾過フィルターに絡まず、掃除作業後の塵埃の排出作業を容易にする電気掃除機を提供できる。
第3の発明は、特に第1または第2の発明における上流側孔は等方性エッチングで形成されたものである。これにより、上流側孔の底面を湾曲状に加工した貫通孔を有する濾過
フィルターを容易に構成することができると共に、湾曲した上流側孔の底面が進入しようとする糸状の塵埃を濾過フィルターの上流側へはね返して阻止するので、糸状の塵埃が貫通孔に突き刺さって絡みついたり、詰まったりすることを抑制できる。また、糸状の塵埃を含む塵埃が濾過フィルターの貫通孔に絡みつかないから、塵埃の排出作業を容易にすることができる電気掃除機を提供できる。
第4の発明は、特に第3の発明における下流側孔は等方性エッチングで形成されたものである。これにより、上流側孔の底面が湾曲状に仕上がるだけでなく、上流側孔と下流側孔とが同一のエッチング工程で同時に加工でき、濾過フィルターを安価に構成できると共に、糸状の塵埃を含む塵埃が濾過フィルターの貫通孔に絡みつかず、捕集した塵埃を容易に排出できる電気掃除機を提供することができる。
第5の発明は、特に第3の発明における下流側孔は異方性エッチングで形成されたものである。これにより、下流側孔の開口寸法のバラツキが小さく、開口比率が小さい濾過フィルターにすることで、濾過フィルターの強度を確保できると共に、糸状の塵埃を含む塵埃が濾過フィルターの貫通孔に絡みつかず、捕集した塵埃を容易に排出できる電気掃除機を提供することができる。
第6の発明は、第1または第2の発明における上流側孔と下流側孔は、下流側孔を先に異方性エッチングした後、上流側孔と下流側孔を等方性エッチングで形成されたものである。これによって、予め裏面から行う異方性エッチングにより、貫通孔が横方向に広がることを抑制するので、加工精度が良くなる。また、その後に行う等方性エッチングの時間およびエッチング長を短縮できることから、濾過フィルターの貫通孔を精度良く加工することができる。
第7の発明は、第1または第2の発明における上流側孔と下流側孔は、共に異方性エッチングで形成され、上流側孔と下流側孔が連通し貫通孔を形成した後、前記下流側孔から前記貫通孔内へエッチング液を斜め噴射して、前記上流側孔と前記下流側孔の境界にできるエッジ部を除去することで、前記上流側孔の底面に湾曲部を設けたものである。
これによって、上流側孔の底面に湾曲部を有している濾過フィルターを後でエッジ部を除去する電解研磨等の後加工の工程を追加することなく安価に作成できる。またこの湾曲した底面部が連通孔に進入しようとする糸状の塵埃を上流側へはね返して阻止するので、糸状の塵埃が貫通孔に突き刺さって絡みついたり、詰まったりすることを抑制できる。そのため、掃除作業が終わって塵埃を排出する時、糸状の塵埃を含む塵埃が濾過フィルターの貫通孔に絡みつかないため、塵埃収容部に捕集した塵埃の排出作業を容易にする電気掃除機を提供できる。
第8の発明は、第2から第6の発明における貫通孔は、濾過フィルターの表面と裏面からエッチングして上流側孔と下流側孔が貫通した後、前記表面または前記裏面のいずれか一方から前記貫通孔内へエッチング液を噴射して、前記上流側孔と前記下流側孔の境界にできるエッジ部を除去するものである。これにより、上流側孔と下流側孔が連通した時に生じるエッジ部分が、一方向からのエッチング液の噴射によって除去されるため、塵埃が貫通孔内で引っ掛かりにくい。湾曲した上流側孔の底面が進入しようとする糸状の塵埃を濾過フィルターの上流側へはね返して阻止するので、糸状の塵埃が貫通孔に突き刺さって絡みついたり、詰まったりすることを抑制できる。
以下に本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1、図2は、本発明の実施の形態1における電気掃除機を示している。
図2に示すように、掃除機本体1内には、吸引気流を発生させる電動送風機21が内蔵されており、また、掃除機本体1の外部には、車輪3およびキャスター4が取り付けられており、床面を自在に移動できる。さらに、電動送風機21の上流側には、通気口を有する隔壁26を介して、電動送風機21により吸引した塵埃を含む空気を導入する集塵ケース5が掃除機本体1に対して着脱自在に設置されている。
また、集塵ケース5は、径の異なる複数の中空円筒を多段に連ねた形状からなり、本実施の形態1では3段構成で、上段から順に、ケース上部22a、ケース中央部22b、塵埃収容部24からなり、このケース上部22aとケース中央部22bとを塵埃分離部23とするものであり、ケース上部22aには塵埃を含む空気を接線方向より導入する吸引口6を備えて構成されている。
集塵ケース5は、吸引口6から最下段の塵埃を堆積させる塵埃収容部24まで連通されており、吸引口6から電動送風機21に至る風路は、集塵ケース5の塵埃分離部23に設けた開口部25にて掃除機本体1の隔壁26と連通させて形成している。さらには塵埃分離部23の内部には、円筒状の濾過フィルター27を設置している。
また、図1に示すように吸引口6には、吸引ホース7、延長管8が順次接続されており、延長管8の先端に吸込具9を取り付けており、電動送風機21を運転することにより、家屋内の床面上の塵埃を吸引することができる。
この円筒状の濾過フィルター27は、本実施の形態1では、上流側に粗塵フィルターからなる円筒形状の第1の濾過フィルター27aと、この第1の濾過フィルターより下流側の外周に設けた細塵フィルターからなる円筒形状の第2の濾過フィルター27bとの2層構造から構成されている。
この第1の濾過フィルター27aと第2の濾過フィルター27bは、集塵ケース5の吸引口6と電動送風機21とが連通する第1の風路である主風路29aの途中に配置している。
また、吸引口6から電動送風機21に至る主風路29aは、第1の濾過フィルター27a内から第2の濾過フィルター27b外周の空間全周にわたり設けられている。
次に、図3(a)、図3(b)、図3(c)、図3(d)により、集塵ケース5と円筒状の濾過フィルター27の詳細について説明する。
図3(a)に示すように、集塵ケース5は、縦型の中空円筒を3段に連ねた形状であり、吸引口6は図3(c)に示すように、ケース上部22aの円周断面の接線方向から気流が流入するように、偏心した位置に配置されている。本実施の形態1では、集塵ケース5を中空円筒としたが、円筒は真円に限定するものではなく、楕円形状、8角形や10角形などの多角形形状等でもよく、吸引口6より接線方向から流入した気流が、集塵ケース5の内面に沿って旋回気流が生じる形状であれば良い。
また、円筒状の濾過フィルター27においても同様に、円筒は真円に限定するものではなく、楕円形状や8角形や10角形などの多角形形状等でもよく、集塵ケース5の内面に沿って発生した旋回気流が、第1の濾過フィルター27a内の円筒中空部においても発生し得る形状であれば良い。また、吸入口6が中央に位置していても案内路やガイド等で旋
回気流が発生する構成であれば構わない。
従って、塵埃分離部23におけるケース上部22a内面に沿って発生した旋回気流ならびに、第1の濾過フィルター27a内の円筒中空部に発生した旋回気流を形成する通路を旋回気流通風路とするものである。
また旋回気流を塵埃収容部24方向に発生させるよう、ケース上部22aに設けた吸引口6の配置は、塵埃分離部23に設けた開口部25(図2を参照)の上端部より、吸引口6の下端部が上方になるよう配置されているものである。この様に吸引口6の配置を開口部25より高くすることで、吸引口6からケース上部22aの接線方向より導入された空気は、開口部25側の吸引力作用で下方向である塵埃収容部24方向への旋回気流として発生する。この旋回しながら下降を続ける旋回気流により、綿ゴミなどの粗塵52は風圧を受けて旋回下降し塵埃収容部24に導かれるものである。
集塵ケース5の下部には、吸引した塵埃を堆積させる塵埃収容部24が設けられており、さらに、塵埃収容部24側の集塵ケース5の底面は、開閉蓋31となっており、ヒンジ32を介して、開閉蓋31を開き、塵埃収容部24内の塵埃を排出できるよう構成されている。
また、集塵ケース5は本実施の形態1ではアクリル樹脂により構成されているが、少なくともその一部を透視部材で構成することにより、上方などより内部の塵埃量などを目視で容易に確認できるので好ましい。透明部材としては、ABS、ポリプロピレン、アクリル樹脂などが部材として容易に入手でき、加工性が良い点で好ましい。
また、図3(b)に示すように、円筒形状の集塵ケース5の吸引口6と塵埃収容部24の間の内壁には、集塵ケース5と円筒状の濾過フィルター27間の外周に空間部33が形成されており、集塵ケース5内部と電動送風機21の吸引口がこの空間部33を介して連通することとなる。
さらに、集塵ケース5のケース上部22aの内面は、円筒状の濾過フィルター27を構成する内側の第1の濾過フィルター27aの内面と全体として1つの面となっている。すなわち、集塵ケース5の内面に突出しない状態となっている。
円筒状の濾過フィルター27は、図3(d)に示すように、円筒形状の集塵ケース5内部を取り囲むように円筒形状となっている。吸引気流に対して上流側に位置する粗塵フィルターからなる第1の濾過フィルター27aは、吸引気流中の塵埃から綿埃、毛髪などの比較的サイズの大きい塵埃を除塵するものであり、下流側に位置する細塵フィルターからなる第2の濾過フィルター27bは、粒子径の細かい砂塵、花粉、ダニ糞などの塵埃を気流中から除塵するものである。
このように、除塵する塵埃のサイズに応じて複数層の円筒状の濾過フィルター27を設けることで、濾過フィルターの目詰まりの頻度を低減し、風量持続性能を延ばすことができるが、単一層であっても構わない。
この第1の濾過フィルター27aとしては、金属メッシュ、樹脂メッシュなど、砂塵のような細塵が通り抜けられる比較的孔径の大きな部材を用いるのが好ましく、本実施の形態1では、上流側の貫通孔径が100〜300ミクロンの微小な開口の貫通孔を設けた金属メッシュを用いている。
一方、第2の濾過フィルター27bとしては、不織布、パルプ、ガラス繊維、HEPA
フィルターなどを用いることができるが、比較的細かい粒子を効率よく除去できる不織布部材などをプリーツ加工しひだ折りした形状部材を連結し、円筒状に設置することで、通気抵抗を低減しながら、除塵性能を確保することができる。また塵埃付着面に、PTFEの多孔質部材をコーディングしたフィルターを用いると、塵離れが良くなることから、第2の濾過フィルター27bの目詰まりを抑制することができる点でより好ましい。
図4は図3(d)に示す第2の濾過フィルター27bの一部を拡大した要部断面図である。
本実施の形態1では、図3(d)および図4に示すように、特に、貫通孔径が約0.5ミクロンのPTFE膜をPET樹脂で剛性を持たせたシート状のフィルターをプリーツ加工し、ひだ折り形状のフィルター41にし、両端部を連結して円筒形状にしたものを用いている。
なお、ひだ折り形状のフィルター41の外周部において、吸引気流の上流側にあたるひだ折り形状部材の内面のくぼみ部42は略U字形状にR=2〜5mm程度の丸みを持たせている。尚、ひだ折り形状フィルター41の第1の濾過フィルター27aと近接する側のひだには、特にくぼみ部分は持たせてない。
また、第2の濾過フィルター27bであるひだ折り形状のフィルター41の外部は、この上端および下端の数mm範囲のみ、樹脂やシール剤等でシールされているシール部43を設け、上下方向からの通気性を遮断している。
以上のように構成された本実施の形態1の電気掃除機について、図5(a)、図5(b)、図5(c)を基に、その動作を説明する。
電動送風機21を運転開始すると、吸引気流が発生し、吸込具9、延長管8、吸引ホース7を通じて、空気とともに床面からの塵埃が集塵ケース5内に吸い込まれる。このとき、集塵ケース5の吸引口6は、ケース上部22aの円筒断面に対して接線方向に偏心して設置されているため、図5(a)に示すように、吸引口6より流入した気流は、集塵ケース5の円筒断面の接線方向から侵入し旋回気流に変化する。
ここで、吸引口6の下端は開口部25の上端よりも上部に配置されているため、吸引口6から流入する気流は旋回成分を持つとともに、下方向への成分も持つこととなる。そのため、集塵ケース5のケース上部22aで発生した旋回気流は、旋回しながら下降を続け、円筒状の濾過フィルター27付近に到達する。第1の濾過フィルター27aは、集塵ケース5内部に向けた突起物がないため、旋回気流の流れを止めることはなく、さらに、気流は旋回を続けながら、図5(b)に示すように、第1の濾過フィルター27a、第2の濾過フィルター27bを順次通過し、空間部33を通って、電動送風機21に吸引される。
ここで、吸引気流と一緒に吸引された塵埃は、気流の流れと共に旋回しながら円筒状の濾過フィルター27に導かれ、この塵埃の内、砂塵などの細塵51は、第1の濾過フィルター27aを通過し、外側の第2の濾過フィルター27bで濾し取られる。
また、比重が軽く、風圧を受けやすい綿埃や糸状の塵埃などの粗塵52は、旋回気流で第1の濾過フィルター27a表面上から容易に剥離され、図5(b)、図5(c)に示すように、第1の濾過フィルター27aの円筒中空部で旋回を続けることとなる。この作用により、第1の濾過フィルター27aは、気流による自浄作用が働いていることになるため、目詰まりすることなく、吸込力の低下を抑制する。さらに、吸引する塵埃量が増加し
ていくと、粗塵52は、第1の濾過フィルター27a内を旋回しながら下降し、塵埃収容部24に導かれる。
次に、第1の濾過フィルター27aについて詳細に説明する。
図6は、図5(b)中の第1の濾過フィルター27aの断面構造を示す断面図であり、図6に示すように、円筒状の第1の濾過フィルター27aは、内周面を上流側フィルター面61とし、外周面を下流側フィルター面62とした時、第1の濾過フィルター27aの内周側は塵埃収容部24の上空に位置し、そこには旋回気流50が上流側フィルター面61に沿って旋回している。
そして、第1の濾過フィルター27aの外周側は第1の濾過フィルター27aを通過した空気の通風路となり、その通風路中に第2の濾過フィルター27bが配置され、その下流に電動送風機21が配置される。第1の濾過フィルター27aは、上流側フィルター面61から下流側フィルター面62までを貫通する傾斜した複数の貫通孔28が、フィルター面のほぼ全域にわたって分散して形成されている。
次に濾過フィルター27aの製造方法について、図7を用いて説明する。
図7は、エッチング工程の工程順を示す図であり、図7(a)において、先ず鉄または、鉄を主成分とする鉄系合金(例えば、Fe−Ni合金)による0.1〜0.3mm厚の金属板101を準備し、その金属板101の表面と裏面にレジストを塗布し、露光工程によって表面と裏面にお互いに平面方向の位置がシフトした開口103a,103b(直径0.1mm〜0.3mm)を有するレジストパターン102を形成する。
ここで、本発明で用いる等方性エッチングについて、図8を用いて詳細に説明する。図8に示すように、一方の面から等方性エッチングを行う場合、例えば、塩化第二鉄液でレジストパターン102の開口から深さ方向にエッチングすると同時に、横方向にもエッチングされ、金属板101がレジストパターン102の開口から全方向にエッチングされることで、金属板101にできるエッチング穴の底面は湾曲状になる。レジストパターン102の開口からレジストパターン102直下に進行するエッチングをサイドエッチングと言い、深さ方向のエッチング長をDとし、横方向のエッチング長をSとした時、D/Sをエッチングファクタと言う。
このエッチングファクタは、被対象物である金属板101に噴きつけるエッチング液の液圧に依存して左右されるので、エッチングファクタが1〜2の範囲になるエッチング条件を等方性エッチングと言い、後述する異方性エッチングは、エッチングの横拡がりが少なく深さ方向のエッチング速度が早いエッチングのことを言い、エッチングファクタが3以上になるエッチング条件のものと定義する。
次に、図7(b)において、金属板101の表面と裏面の両側からエッチング液で等方性エッチングを行う。等方性エッチングは、例えば、エッチング液として塩化第二鉄液を用い、エッチング液中に金属板101を浸漬するか、エッチング液を金属板の表面と裏面の両側から低い液圧で噴きつけるスプレー方式を用いる。
レジストパターン102の開口から金属板101を等方性エッチングする時、金属板101表面をレジストパターン102の開口103a,103bから深さ方向にエッチングすると同時に、横方向にもエッチングして開口103a,103bからレジストパターン102直下にも進行し、開口103a,103bから全方向へ拡がるようにエッチングされ、上流側孔104および下流側孔105の底面は湾曲状にエッチングされる。そのエッ
チングが進行して、上流側孔(第1のエッチング穴)104と下流側孔(第2のエッチング穴)105とが結合すると、金属板101の表面と裏面とを結ぶ貫通孔28が形成される(図7(b)を参照)。
上流側孔104と下流側孔105が結合して貫通孔28が形成された時点でエッチングを完了し、レジストパターン102を除去してエッチング工程を完了する(図7(c)を参照)。なお、この工程後、貫通孔28の一方向から他方へエッチング液を流し込むか、圧力をかけてエッチング液を噴射する仕上がりエッチングを追加すると、上流側孔104と下流側孔105の境界にできるエッジ部分(図7(b)の107a,107bを参照)が除去されて、連通部孔106の部分が滑らかな形状になる(図7(c)を参照)。
以上のようなエッチング方法を用いて構成された濾過フィルターは、上流側孔104と下流側孔105が等方性エッチングで同時に加工できるため、短時間に安価に製作することができる。また、仕上がりエッチングを追加した濾過フィルターは、連通部孔106の部分が滑らかな形状になるため、貫通孔28内を通過する塵埃が貫通孔28内部で引っ掛かったり、詰まったりしにくくなる。
エッチングした直後の濾過フィルター101aは、平板状をしており、平板状の金属板に傾斜を有した複数の貫通孔28をフィルター面の全域に分散して形成されている。そして、図7(c)に示すように、貫通孔28は、上流側開口28aと下流側開口28bが平面方向にシフトし、上流側開口28aの開口中心点と下流側開口28bの開口中心点を結ぶ貫通孔28の中心軸63が、フィルター面の法線64方向に対して傾斜角度φを有するように形成され、上流側孔底面全体は、湾曲状の上流側孔底面湾曲部108を形成している。そして、この濾過フィルター101aを電気掃除機の集塵ケース5に装着する時、平板状の濾過フィルター101aを円筒状に丸めた状態で塵埃分離部23に組み込まれ、円筒状の第1の濾過フィルター27aとして用いられる。
このようにして作られた第1の濾過フィルター27aの貫通孔28は、表面側の上流側孔104と、裏面側の下流側孔105とを連通する連通部孔106の部分の孔径が上流側孔104及び下流側孔105の孔径と比較して小さく、上流側孔104及び下流側孔105の孔径が大きくなっている。従って、孔径の小さい連通部孔106の孔径がフィルター作用を持たせる実効径となる。
また、エッチング加工により作られた濾過フィルター27aは、加工時に機械的な応力が加わらないため、加工時の基材の変形が少なく、濾過フィルター27a表面が滑らかに仕上がり、濾過フィルター27a表面への塵埃の堆積や絡み付きを抑制することができる。したがって、濾過フィルター27aを清掃する際は、塵埃の除去作業が容易であり、清掃回数は少なくて済み、メンテナンス性に優れた濾過フィルターとして電気掃除機に活用することができる。
第1の濾過フィルター27aの基材として金属板101を用いた場合、静電気によって塵埃が濾過フィルター27aに付着すること、特に細塵が付着することを抑制することができ、貫通孔28の目詰まりを起こしにくい。また、金属板101の基材は、エッチング加工性に優れ、貫通孔28の内部形状が滑らかに成形されるから、塵埃の絡みつきを少なくする効果が得られる。
さらに、エッチング工程後に板状のフィルターを丸めて円筒状にする際にも成形が容易であり、濾過フィルターを安価に成形することができる。なお、第1の濾過フィルター27aの基材として、静電防止剤やカーボンブラック、金属の微粉等の静電防止材を含有した樹脂板を用いても、金属板を用いた場合と同様の効果が得られる。
次に、上述したエッチング方法で作られた第1の濾過フィルターの動作について、図9、図10を参照しながら説明する。図9(a)は大きな粒状塵埃52aを分離する分離動作を説明するための図であり、図9(b)は小さな粒状塵埃52bを分離する分離動作を説明するための図であり、図10は糸状の塵埃52cを分離する分離動作を説明するための図であり、図10(a)は旋回気流50に乗った糸状の塵埃52cが貫通孔28に近付きつつある状態を示す図であり、図10(b)は糸状の塵埃(52c,52d)が貫通孔28を通過するときの分離動作を説明するための図である。
図9(a)は、円筒状の第1の濾過フィルター27aの1つの貫通孔28を拡大した要部断面図である。図9(a)に示すように、円筒状の第1の濾過フィルター27aは、内周面を上流側フィルター面61とし、外周面を下流側フィルター面62とし、第1の濾過フィルター27aの内周側は塵埃収容部24(図2を参照)の上空に位置し、そこには旋回気流50が旋回している。
そして、第1の濾過フィルター27aの外周側は第1の濾過フィルター27aを通過した空気の通風路となり、その通風路中に第2の濾過フィルター27b(図2を参照)が配置され、その下流に電動送風機21(図2を参照)が配置される。第1の濾過フィルター27aには、上流側フィルター面61から下流側フィルター面62までを貫通し、かつ中心軸が傾斜した複数の貫通孔28がフィルター面のほぼ全域に亘って分散して形成されている。
図9(a)に示すように、吸い込んだ塵埃が大きな粒状の塵埃(又は比重の重い塵埃)52aである場合、塵埃52aは旋回気流50に乗って濾過フィルター27aの上流側の空間を旋回する。旋回する多くの塵埃52aは、遠心力の作用が働くため、旋回気流50の流れ方向より外側に向けに移動して上流側フィルター面61に叩き付けられる。
そして、上流側フィルター面61の貫通孔28に近づき貫通孔28内に入り込む塵埃52aは、吸引気流71の影響で少し軌道を変えて連通部孔106側に引き寄せられるが、旋回気流50による慣性モーメントの力が吸引気流71より勝り、上流側孔底面湾曲部108にぶつかって跳ね返り、貫通孔28の外へ放り出される。そして、貫通孔28の濾過フィルター27aの上流側の空間へ放り出された塵埃52aは、再び旋回気流50に乗って貫通孔28よりも前方へと運ばれ、更に旋回気流50に乗って旋回し続け、次第に重力で下降してゆき、下方にある塵埃収容部24へ収容される。
図9(b)に示すように、吸い込んだ塵埃が小さい粒状の塵埃又は比重の軽い塵埃52bである場合、旋回気流50による慣性モーメントの力が小さい粒状の塵埃又は比重の軽い塵埃52bには大きく作用しないため、旋回気流50に乗って貫通孔28に近づいて中に入った塵埃52bは、吸引気流71の影響で軌道が大きく変更され、連通部孔106側に向けて引き寄せられて貫通孔28を通り抜ける。貫通孔28を通り抜けた塵埃52bは第1の濾過フィルター27aの外周に在る第2の濾過フィルター27bへと運ばれ第2の濾過フィルター27bで捕集される。
図10(a)に示すように、吸い込んだ塵埃が髪の毛等、長さを持った糸状の塵埃52cである場合、糸状の塵埃52cは旋回気流50の流れに乗って旋回し、その糸状の塵埃52cの先頭部が貫通孔28に近づき、吸引気流71によって貫通孔28内に入り込んでも、上流側孔底面湾曲部108とぶつかったり、連通部孔106に引っ掛かったりして停止すれば、糸状の塵埃52cの先頭部以外の部分は貫通孔28より前方へと運ばれる(図10(b)を参照)。
そして、糸状の塵埃52dの先頭部は吸引気流71によって下流側へ引っ張られ、それ以外の殆どの部分は旋回気流50によって上流側へ引っ張られることになるが、旋回気流50の方が吸引気流71より強いため、糸状の塵埃52dは貫通孔28の外(第1の濾過フィルター27aの上流側)へと引っ張り出される。そして、上流側に引っ張り出された糸状の塵埃52dは旋回気流50に乗って旋回を続け、次第に重力で下降してゆき、下方に在る塵埃収容部24へ収容される。
次に、貫通孔28の傾斜方向について、図11を用いて詳細に説明する。図11は、濾過フィルター27aを塵埃分離部23内に装着した状態で貫通孔28の傾斜方向を拡大イメージ化した模式図であり、円筒状の濾過フィルター27aの内側(上流側)から見た図である。
図11に示す様に、第1の濾過フィルター27aの貫通孔28における上流側開口28aから下流側開口28bへ向かう貫通孔中心軸63のベクトル方向は、旋回気流50の進行方向と真逆方向(180度)に位置させるのが、最も貫通孔28への塵埃侵入詰まりを防ぐ効果が得られるものであり(図11(a)を参照)、貫通孔28内に入りかけた糸状の塵埃52cを、慣性力や旋回気流50の力によって第1の濾過フィルター27aの上流側に引き戻す効果が得られる。
しかしながら、図5(c)に示す様に、旋回気流の進行方向は、旋回しながら塵埃収容部24方向の下向きの方向成分も持つため、図11(b)に示す様に、旋回気流50の進行方向は左下を向いている。この旋回気流が左回りに旋回しながら下降している状態において、貫通孔中心軸63のベクトル方向が図11(a)のままの配置だと、塵埃を貫通孔28入口内部の上流側孔底面湾曲部108に衝突させ、塵埃が貫通孔28の奥(下流側)へ進入することを阻害する塵埃侵入防止効果が、真逆方向(180度)に比べ低下する。
従って、旋回気流が左回りに旋回下降方向に旋回している状態においては、図11(b)に示す様に、貫通孔中心軸63のベクトル方向が旋回気流50の進行方向と真逆方向(180度)になる様に、第1の濾過フィルター27aにおける貫通孔28の配置を設定することが望ましい。
更に図11(a)における貫通孔中心軸63のベクトル方向を、旋回気流50の進行方向と真逆方向(180度)基準から、90度方向ならびに270度方向に下流側開口28bを変化させるにつれ、塵埃侵入防止効果が弱くなる。効果としては、旋回気流50の進行方向と直交するまでの範囲において効果的に得られるものであり、0〜90度および270〜360度の範囲では旋回気流50が塵埃を貫通孔28内へ押し込む作用が発生するので逆効果となる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る濾過フィルターの製造方法について、図12を用いて説明する。
図12は、エッチング工程の工程順を示す図であり、図12(a)において、先ず鉄または鉄を主成分とする鉄系合金(例えば、Fe−Ni)による0.1〜0.3mm厚の金属板101を準備し、その金属板101の表面と裏面にレジスト102を塗布し、露光工程によって金属基板101の裏面側レジストの所定箇所を開口した開口103b(直径0.1mm〜0.3mm)を有するレジストパターン102bを形成する。そして、先ず最初の段階としてレジストパターン102bをマスクとして金属板101の裏面側を予め異方性エッチングし、穴径の横広がりが少ないエッチング穴105aを形成する。
この異方性エッチングは、スプレー方式のエッチングで行なうことができ、塩化第二鉄液を対象物に噴射する液圧を3Kg/cm以上に高くすることで、エッチングの横広がりを抑えつつ深さ方向のエッチング速度を速め、エッチング方向の異方性を達成している。
なお、金属板の板厚方向に交番磁界を与えながら塩化第二鉄液で金属板をエッチングすると、交番磁界によって鉄イオンが板厚方向の移動を繰り返すので、板厚方向のエッチング速度が高められ、エッチングファクタを更に高めて、エッチング方向の異方性を更に高めることができる。
次に、図12(b)において、金属板101表面側に形成されたレジストの所定箇所をエッチングして、レジストパターン102bの開口103bからシフトした位置に開口された開口103aを有するレジストパターン102aを形成する。そして、レジストパターン102a,102bをマスクとして等方性エッチングを行い、表面からエッチングする上流側孔(第1のエッチング穴)104と裏面からエッチングする下流側孔(第2のエッチング穴)105を形成する。上流側孔104と下流側孔105とが結合すると、等方性エッチングを終了する。
その後、貫通孔28の一方向から他方へエッチング液を流し込むか、液圧をかけてエッチング液を噴射する仕上がりエッチングを所定時間行なう。すると、上流側孔104と下流側孔105の境界にできるエッジ部分107a,107bが除去されて、連通部孔106のエッジ部分107a、107bが滑らかな形状になる。この仕上がりエッチングが完了すると、レジストパターン102a,102bを除去して、エッチング工程を完了する(図12(c)を参照)。
このようなエッチング方法で製作された濾過フィルター101aは、上述した実施の形態1と同様に、平板状の濾過フィルター101aを円筒状に丸めた状態で塵埃分離部23に組み込まれ、円筒状の第1の濾過フィルター27aとして用いられる。
以上の製造方法で構成された濾過フィルターは、表面から行なう等方性エッチングによって、貫通孔の上流側孔がレジストパターンの開口から全方向に拡がるようにエッチングされ、上流側孔底面全体は湾曲状になり、上流側孔底面湾曲部108が形成される。また、予め裏面から行う異方性エッチングは加工精度が良いこと、その後に行う等方性エッチングの時間およびエッチング長を短縮できることから、濾過フィルターの貫通孔を精度良く加工することができる。また、異方性エッチングを用いることで、貫通孔が横方向に広がることを抑制し、フィルター面に対する貫通孔の開口面積比率が大きくなることを抑制して、濾過フィルターの強度を確保することができる。
また、湾曲した上流側孔の底面が進入しようとする糸状の塵埃を濾過フィルターの上流側へはね返して、糸状の塵埃が濾過フィルターの貫通孔内へ侵入することを阻止するので、糸状の塵埃が貫通孔に突き刺さって絡みついたり、詰まったりすることを抑制でき、塵埃の排出作業を容易にすることができる電気掃除機を提供できる。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係る濾過フィルターの製造方法について、図13を用いて説明する。
図13は、エッチング工程の工程順を示す図であり、図13(a)において、0.1〜0.3mm厚の金属板101の表面と裏面にレジストを塗布し、露光工程によって表面と裏面にお互いに平面方向の位置がシフトした開口103a,103b(直径0.1mm〜
0.3mm)を有するレジストパターン102を形成する。
次に、図13(b)において、金属板101の表面から等方性エッチング、裏面から異方性エッチングを行う。そして、表面からエッチングする上流側孔(第1のエッチング穴)104と裏面からエッチングする下流側孔(第2のエッチング穴)105とが結合すると、金属板101に表面と裏面とを結ぶ貫通孔28が形成される。
その後、貫通孔28の一方向から他方へエッチング液を流し込むか、液圧をかけてエッチング液を噴射する仕上がりエッチングを所定時間行なう。すると、上流側孔104と下流側孔105の境界にできるエッジ部分107a,107bが除去されて、連通部孔106のエッジ部分107a、107bが滑らかな形状になる。この仕上がりエッチングが完了すると、その時点でエッチング液でのエッチングを完了し、レジストパターン102を除去してエッチング工程を完了する(図13(c)を参照)。
そして、この濾過フィルター101aを電気掃除機の集塵ケース5に装着する時、平板状の濾過フィルター101aを円筒状に丸めた状態で塵埃分離部23に組み込まれ、円筒状の第1の濾過フィルター27aとして用いられる。
このようなエッチング工程で作成された第1の濾過フィルター27aは、表面からは等方性エッチングを行うため、全方向に同じように孔が広がってレジストパターンの裏側までエッチングを行い、上流側孔底面全体は湾曲状になり、上流側孔底面湾曲部108が形成される。
一方、裏面からは異方性エッチングを行うため、レジストパターンの裏側にはあまり広がらず四角形に近い形状となる。異方性エッチングは下流側孔底面109の寸法バラツキが等方性エッチングと比べて少ないため、より不良の少ない濾過フィルターを作成でき、捕集した塵埃を容易に排出できる電気掃除機を提供することができる。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4に係る濾過フィルターの製造方法について、図14を用いて説明する。
図14は、エッチング工程の工程順を示す図であり、図14(a)において、0.1〜0.3mm厚の金属板101の表面と裏面にレジストを塗布し、露光工程によって表面と裏面にお互いに平面方向の位置がシフトした開口103a,103b(直径0.1mm〜0.3mm)を有するレジストパターン102を形成する。
次に、図14(b)において、まず金属板101の表面からのみ異方性エッチングを行い、表面のレジストパターン102aを除去する。
そして、図14(c)において、裏面から異方性エッチングを行い、上流側孔(第1のエッチング穴)104と裏面からエッチングする下流側孔(第2のエッチング穴)105とが結合すると、金属板101に表面と裏面とを結ぶ貫通孔28が形成され、さらに続けてエッチング液流路111方向にエッチング液をスプレー噴射して流す。
すると、図14(d)に示す様に、上流側孔の底面全体は傾斜した面でかつ湾曲形状に近い形となり、上流側孔底面湾曲部108が形成され、上流側孔104の入口エッジ部110および上流側孔104と下流側孔105の境界にできるエッジ部分107a,107bが除去されて連通部孔106の部分が滑らかになり、最後にレジストパターン102bを除去してエッチング工程を完了する。
そして、この濾過フィルター101aを電気掃除機の集塵ケース5に装着する時、平板状の濾過フィルター101aを円筒状に丸めた状態で塵埃分離部23に組み込まれ、円筒状の第1の濾過フィルター27aとして用いられる。
このようなエッチング工程で作成された第1の濾過フィルター27aは、上流側からエッチングを行った後で下流側からエッチングし、エッチング液を下流側孔から貫通孔内へ斜め噴射して、流し続けたため、上流側孔底面全体は傾斜した面で湾曲形状に近い上流側孔底面湾曲部108が形成されるため、この濾過フィルターでの上流側孔底面湾曲部108を、後でエッジ部を除去する電解研磨等の後加工の工程を追加することなく安価に作成でき、捕集した塵埃を容易に排出できる電気掃除機を提供することができる。
以上のように、本発明にかかる電気掃除機は、糸状の塵埃が濾過フィルターに絡みつくことを防止して、高い吸込み仕事率を確保すると共に、濾過フィルターの清掃や塵埃の排出などのメンテナンス作業の負担を大きく軽減できるもので、家庭用電気掃除機だけでなく、業務用電気掃除機などさまざま種類の掃除機に使用することが可能となる。
本発明の実施の形態1における電気掃除機の全体図 同電気掃除機の本体要部の構成を示す断面図 (a)同電気掃除機の集塵ケースの正断面図(b)同集塵ケースの側断面図(c)(b)のA−A断面図(d)(b)のB−B断面図 同電気掃除機の第2の濾過フィルターの要部断面図 (a)同電気掃除機の集塵ケースにおける吸引口付近の気流を示す平断面図(b)同集塵ケースにおける濾過フィルター付近の気流の流れを示す平断面図(c)同集塵ケースにおける縦方向の気流の流れを示す縦断面図 同濾過フィルターの構造を示す要部断面図 (a)同濾過フィルターの製造方法を説明するための工程断面図(b)同濾過フィルターの製造方法を説明するための工程断面図(c)同濾過フィルターの製造方法を説明するための工程断面図 等方性エッチングを説明するための図 (a)濾過フィルターが大きな粒状塵埃を分離する分離動作を説明するための図(b)同濾過フィルターが小さな粒状塵埃を分離する分離動作を説明するための図 (a)同濾過フィルターが糸状塵埃を分離する分離動作を説明するための図(b)同濾過フィルターが糸状塵埃を分離する分離動作を説明するための図 (a)同濾過フィルターの貫通孔28の傾斜方向を説明するための図(b)同貫通孔28の傾斜方向を説明するための図 (a)本発明の実施の形態2に係る濾過フィルターの製造方法を説明するための工程断面図(b)同濾過フィルターの製造方法を説明するための工程断面図(c)同濾過フィルターの製造方法を説明するための工程断面図 (a)本発明の実施の形態3に係る濾過フィルターの製造方法を説明するための工程断面図(b)同濾過フィルターの製造方法を説明するための工程断面図(c)同濾過フィルターの製造方法を説明するための工程断面図 (a)本発明の実施の形態4に係る濾過フィルターの製造方法を説明するための工程断面図(b)同濾過フィルターの製造方法を説明するための工程断面図(c)同濾過フィルターの製造方法を説明するための工程断面図(d)同濾過フィルターの製造方法を説明するための工程断面図
符号の説明
1 掃除機本体
6 吸引口
21 電動送風機
23 塵埃分離部
24 塵埃収容部
27 円筒状の濾過フィルター
27a 第1の濾過フィルター
27b 第2の濾過フィルター
28 貫通孔
33 空間部
50 旋回気流
63 中心軸
104 上流側孔
105 下流側孔
106 連通部孔
107a エッジ部分
107b エッジ部分
108 上流側孔底面湾曲部

Claims (8)

  1. 電動送風機と、前記電動送風機の上流側に設置され前記電動送風機により吸引した塵埃を含む空気を導入し前記空気から前記塵埃を分離する濾過フィルターを有する塵埃分離部と、前記塵埃分離部で分離された塵埃を収容する塵埃収容部とを備え、前記濾過フィルターは上流側表面と下流側表面との間を貫通する複数の貫通孔を設けており、前記貫通孔の中心軸方向は前記濾過フィルター面の法線方向に対して傾斜しており、前記貫通孔は上流側孔と、下流側孔と、前記上流側孔および前記下流側孔を連通させる連通部孔とで構成され、且つ前記上流側孔の底面に湾曲部を設けたことを特徴とした電気掃除機。
  2. 塵埃分離部には吸引口から導入する塵埃を含む空気を旋回気流として流す旋回気流通風路を設け、前記旋回気流通風路の少なくとも一部を形成する濾過フィルターを備え、前記濾過フィルターの外周に前記電動送風機の吸引力が作用する空間部を設け、前記濾過フィルターの貫通孔の中心軸方向が前記濾過フィルターの上流側表面に沿って流れる旋回気流の進行方向に対して略逆方向となるように前記濾過フィルターを配置した請求項1に記載の電気掃除機。
  3. 上流側孔は、等方性エッチングで形成されたものである請求項1または2に記載の電気掃除機。
  4. 下流側孔は、等方性エッチングで形成されたものである請求項3に記載の電気掃除機。
  5. 下流側孔は、異方性エッチングで形成されたものである請求項3に記載の電気掃除機。
  6. 上流側孔と下流側孔は、下流側孔を先に異方性エッチングした後、上流側孔と下流側孔を等方性エッチングで形成されたものである請求項1または2に記載の電気掃除機。
  7. 上流側孔と下流側孔は、共に異方性エッチングで形成され、上流側孔と下流側孔が連通し貫通孔を形成した後、前記下流側孔から前記貫通孔内へエッチング液を斜め噴射して、前記上流側孔と前記下流側孔の境界にできるエッジ部を除去することで、前記上流側孔の底面に湾曲部を設けた請求項1または2に記載の電気掃除機。
  8. 貫通孔は、濾過フィルターの表面と裏面からエッチングして上流側孔と下流側孔が貫通した後、前記表面または前記裏面のいずれか一方から前記貫通孔内へエッチング液を噴射して、前記上流側孔と前記下流側孔の境界にできるエッジ部を除去する請求項2〜6のいずれか1項に記載の電気掃除機。
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