JP2010035011A - スピーカ用フレーム及びスピーカユニット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スピーカユニットにおける振動板のエッジ部が取り付けられる振動板取付部110と、振動板に配置されたボイスコイルを駆動する磁気回路が配置される磁気回路部品取付部120と、を備えるスピーカ用フレーム100を、振動板取付部110と磁気回路部品取付部120とを別個の部材として構成し、振動板取付部110と磁気回路部品取付部120との間に配置され、振動板取付部と磁気回路部と結合する連結部130を固有振動数が異なる第1棒状連結部材140と第2棒状連結部材150とで構成した。
【選択図】図1
Description
スピーカユニットとしてダイナミック型のものがあり、このタイプのスピーカユニットは、概略以下の構成を備えている。図9はダイナミック型スピーカユニットの概略構造を示す模式図である。スピーカユニット300は、スピーカ用フレーム310に対して、磁気回路部品320と振動系部品330とを配置した構成を備えている。
磁気回路部品320は、永久磁石321と、この永久磁石321の前面(放音側前面)に取り付けられたポールピース322と、永久磁石321の後面と接触し且つ永久磁石の側方にまで回り込むように配置されたヨーク323と、ヨーク323の先端に取り付けられ、ポールピース322との間に磁気ギャップ360を形成するトッププレート324とから構成されている。このような構造により磁気回路は磁気ギャップ360に磁場を形成する。
このようなスピーカユニットに使用されるスピーカ用フレームとして、磁気回路部品の外部を覆い、磁気回路部品が配置される磁気回路部品取付部と、振動系部品の周囲に配置され、内周に振動板のエッジ部が貼付される振動板取付部とを備えたものがある。
特許文献1には、このようなスピーカ用フレームとして、振動板のエッジが取り付けられる振動板取付部と、振動板と接続されたボイスコイルを振動させるための磁気回路が取り付けられる磁気回路部品取付部と、振動板取付部と磁気回路部品取付部との間に架設され振動板取付部と磁気回路部品取付部を相互に結合する脚部とを備えるスピーカ用フレームが記載されている。
しかしながら、従来の鋼製やアルミダイキャスト製のスピーカ用フレームではスピーカユニットを駆動したときスピーカ用フレームの共振残響音が再生音に強い影響を与え、スピーカの再生音質に悪影響を及ぼすことがある。
このような事態に対処して、スピーカ用フレームにフエルト、クッション材等の制振材を配置することがあるが、このような制振材を配置すると部品点数が増加するとともに制振材を貼付する分手間がかかりコストが嵩む他、スピーカの外観品質が低下するという問題がある。
そこで、本発明は制振材等、特別な部材を配置することなくスピーカ用フレームの共振残響音を低下させることができ、外観品質を良好なものにできるスピーカ用フレーム及びスピーカを提供することを目的とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載スピーカ用フレームにおいて、棒状連結部は、材質及び形状の少なくとも一方が異なることを特徴とする。棒状連結部材の共振周波数を異なるようにするには、その材質及び形状の一方がもしくはその両方を異なるものとすればよく、このようにすれば、棒状連結部材の共振周波数を各種類のものにおいて変えることができる。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のスピーカ用フレームにおいて、連結部材は、複数種類の棒状連結部材を規則的に配置して構成したことを特徴とする請求項1である。複数種類の棒状連結部材を規則的に配置することにより、スピーカ用フレームの剛性を各部において略均一とすることができる他、規則的に複数種の棒状連結部材が配置されることにより、スピーカ用フレームのデザイン性を向上させるとことができる。
請求項5の発明は、スピーカ用フレームにおいて、棒状連結部材と、ナットとの材質が異なることを特徴とする請求項4に記載のである。棒状連結部材とナットの材質を交互に変更すれば、デザイン性に優れたものとすることができる。
請求項6の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスピーカ用フレームにおいて、前記棒状連結部材の端部には雌ねじ部が形成され、該雌ねじ部に螺着した雄ねじを用いて、前記棒状連結部材を振動板取付部及び前記磁気回路部品取付部に固定することを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載スピーカ用フレームにおいて、棒状連結部材は球形のワッシャ部材を用いて振動板取付部又は磁気回路部品取付部に配置されていることを特徴とする。ワッシャ部材を球形とすることにより、振動板取付部又は磁気回路部品取付部のワッシャ部材の当たり面部を球面状の凹部や単なる角穴などの単純な形としてもワッシャ部の接触性が確保でき、振動板取付部及び磁気回路部品取付部のダイキャスト金型を上下抜きの単純なものとできる。
請求項9の発明は、請求項7、又は8に記載のスピーカ用フレームにおいて、振動板取付部及び磁気回路部品取付部における棒状連結部材の球形頭部及び球形のワッシャ部材の接触面には、異音発生防止用の固着剤を配置するための凹部が形成されていることを特徴とする。固着剤注入に際して確実に薬剤を球形頭部及びワッシャ部材の接触部に注入することができる。
請求項10の発明は、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のスピーカ用フレームを備えることを特徴とするスピーカである。本例によれば、スピーカ用フレームの共振残留音を低減することができるので、スピーカの出力特性はスピーカ用フレームの共振残留音で劣化することがなく、スピーカの出力音声を高品位のものとできる。
図1は本発明の第1の実施の形態例に係るスピーカ用フレームを示す斜視図、図2は図1に示したスピーカ用フレームの拡大斜視図である。
本発明のスピーカ用フレーム100を備えたスピーカユニットは、磁気回路部品(ヨーク、プレート、マグネット)に振動系部品(ボイスコイル、ダンパ、振動板)を組み付けた構造を備えている。
スピーカ用フレーム100は、図示しない振動板のエッジ部を支持する環状の振動板取付部110と、振動板取付部110よりも小径で磁気回路部品を支持する円筒状の磁気回路部品取付部120とを別個の部材としてアルミダイキャストにて製造している。前後位置関係で同軸状に配置された振動板取付部110と磁気回路部品取付部120との間には、連結部130として2種類の異なる金属で形成された2種類の棒状連結部材、即ちステンレス鋼材で構成された複数本、例えば14本の第1棒状連結部材140と、真鍮材で構成された複数本、例えば14本の第2棒状連結部材150とが配置され、振動板取付部110及び磁気回路部品取付部120を結合している。
また、本実施形態例では第1棒状連結部材140及び第2棒状連結部材150は、振動板取付部110と、磁気回路部品取付部120に形成された取付用フランジ部121との間に配置され、振動板取付部110に設けた穴部内に前端部に設けた雄ねじ部を没入して図示しないナットにより締結固定し、且つ取付用フランジ部121の下面側に後端部に設けた雄ねじ部を突出させ、この雄ねじ部をナット160で締結固定するようにしている。このとき、前端側ナット、及びナット160が、夫々磁気回路部品取付部120の前面及び取付用フランジ部121の後面121aに面接触できるように、第1棒状連結部材140及び第2棒状連結部材150の前後両端部に形成される雄ねじ部は取付用フランジ部121に対して所定角度(図2中θ)だけ傾斜して設けられることが好ましい。
一方、本実施形態に係るスピーカ用フレームでは、残響共振音の周波数を示すピークが多数に分散されており、また、残響時間が短くなっている。これは、フレームの振動板取付部110、磁気回路部品取付部120をアルミダイキャスト製とし、第1及び第2棒状連結部材140、150をステンレス鋼製及び真鍮製としたので、これらの異なる材質で形成された部材の持つ固有共振点、共振周波数が異なってくることに起因すると考えられる。これを検証するため、同様の実験として、棒状連結部材を真鍮のみ、ステンレスのみの条件で行った。この場合も、従来のアルミダイキャスト製の場合より残響時間は短かったが、本実施形態の優れた効果には及ばなかった。このことから、構成される材質の種類を複数とし、それぞれの持つ固有共振点、共振周波数の異なるもので組み立てられたスピーカ用フレームは、共振周波数が分散されることがわかる。
本実施形態のスピーカ用フレーム200は、振動板のエッジ部を支持する振動板取付部210と磁気回路部品取付部220とがアルミダイキャストにより別個の部材として構成されている。そして、前後位置関係、且つ同軸状に配置された振動板取付部210と磁気回路部品取付部220との間を、連結部230として異なる3種類、即ち第1、第2及び第3棒状連結部材240、250、260で連結している。本実施形態では、各棒状連結部材240、250、260はそれぞれ4本ずつ配置されている。
振動板取付部210は円環状であり第1、第2及び第3棒状連結部材240、250、260取付用の穴部が振動板取付部210の上面と下面を貫通するように開設されている。なお、本実施形態では第3棒状連結部材260の振動板取付部210への組み付け性向上のため、振動板取付部210に開設された穴部211は、振動板取付部210の内周縁にまで及ぶ開口を備えるようにしている。つまり、穴部211は振動板取付部210の内周縁で開口している。また、磁気回路部品取付部220は内部が貫通した円筒状の部材であり、第1、第2及び第3棒状連結部材240、250、260の取付用フランジ部221が外周面に張出し形成され、取付用フランジ部221には第1棒状連結部材240取付用の取付片部222が形成されている他、第2及び第3棒状連結部材250、260取付用の穴部が開設されている。
また、第2及び第3棒状連結部材250、260は、同じ形状を備え且つ異なる材質、本実施形態では、ステンレス鋼と真鍮とで夫々構成されている。本実施形態では、例えば第2棒状連結部材250は、ステンレス鋼で構成されており、第3棒状連結部材260は真鍮により構成され、軸部251、261の後端部に略球形の頭部252、262が形成されている。また軸部251、261の他端(前端)には、段差状の肩部253、253及び雄ねじ部254、264が形成されており、この雄ねじ部254、264には、略球形のワッシャ部材280を介してナット290がねじ込まれるようになっている。
ワッシャ部材280は、アルミニウム合金、ステンレス鋼、真鍮等の金属、エンジニアリングプラスチック等の合成樹脂を素材とすることができる。また、ナット290はアルミニウム合金、ステンレス鋼、真鍮を素材とすることができる。ワッシャ部材280及びナット290は、取り付ける第2及び第3棒状連結部材250、260と同じ素材、あるいは異なる素材のものを使用することができる。棒状連結部材と異なる素材のワッシャ及びナットを使用すれば、共振残響音の周波数を分散して、スピーカ用フレームの共振残響特性を改善することができる他、スピーカ用フレームのデザイン性を高めることができる。
この棒状連結部材255は、軸方向両端面に軸方向と斜めに交差する方向へ延びる肩部256aを有した軸部256と、各肩部256aの中心部から肩部と直交する方向へ突設された雄ねじ部257と、を備えている。両肩部256aは互いに平行な面となっているため、振動板取付部や取付用フランジ部の取付け面に対して面接触することができる一方で、振動板取付部や取付用フランジ部に設けた穴部内に雄ねじ部257を差し込んでナットにより固定することができる。つまり、棒状連結部材の軸部と雄ねじ部は直線状である必要はなく、本例のように斜めに交差する形状であってもよく、本実施形態の方が取付け作業性を向上させることができる。
この棒状連結部材258は、軸部258aの両端部に雌ねじ部258bが形成され、雌ねじ部258bに螺着した図示しない雄ねじを用いて、棒状連結部材258を振動板取付部及び磁気回路部品取付部に固定するようにした点が特徴的である。
この棒状連結部材258は、軸方向両端面に軸方向と斜めに交差する方向へ延びる端面258bを有した軸部258aと、両端面258bの中心部から軸部側面にかけて貫通形成された穴状の雌ねじ部258cと、を有している。雌ねじ部258cは、軸部の軸方向に対して所定角度傾斜した肩部の面と直交する穴であり、軸部の側面にて開口している。
なお、雌ねじ部に代えて単なる穴を設けても良い。
両端面258bを振動板取付部及び磁気回路部品取付部に面接触させた状態で、各雌ねじ部258cを振動板取付部及び磁気回路部品取付部に設けた穴部に連通させ、この状態で雌ねじ部258cから差し込んだ雄ねじを前記各穴部に螺着することにより、棒状連結部材258を取り付けることができる。
また、振動板取付部及び磁気回路部品取付部における棒状連結部材の頭部及びワッシャ部材が当接する部分は、貫通した穴部である必要はなく、円弧状の内壁を有した凹部としてもよい。また、振動板取付部又は磁気回路部品取付部において雄ねじ部を斜めに挿入させる穴部は、必ずしも雄ねじ部を緊密に挿入支持する内径を有する斜めの穴部(内壁が各取付部と傾斜した穴部)である必要はなく、内壁が各取付部と直交する単純な長方形(長円形)の長穴としてもよい。このような構成によれば、振動板取付部及び磁気回路部品取付部の製造型を上下抜きできる単純な構造とすることができる。
更に、磁気回路部品取付部の取付用フランジ部に設けた棒状連結部材取付用の穴部は棒状連結部材の組み付け性を良好なものとするため、取付用フランジ部の外周縁部にまで延長形成して外周縁部にて開口させるようにしてもよい。このような構成によれば、第2及び第3棒状連結部材の雄ねじ部を取付用フランジ部の外側からはめ込むように組み付けることができ、スピーカ用フレームの組み立てを容易に行えるようになる。
振動板取付部及び磁気回路部品取付部における棒状連結部材の球形頭部及び球形のワッシャ部材の接触面には、異音発生防止用の固着剤を配置するための凹部を形成してもよい。即ち、球形頭部、球形のワッシャ部材にはナットの緩み、ビリ防止のためのボンドロックを考慮して、予め接着剤注入ノズル用の溝穴を形成してもよい。
以上説明したように本発明に係るスピーカ用フレームによれば、共振残響音の特性を良好なものとすることができ、また、このスピーカ用フレームを使用したスピーカユニットの音響特性を良好なものとすることができる。
258b 端面、258c 雌ねじ部
Claims (10)
- 振動板のエッジ部を支持する振動板取付部と、
前記振動板に連結されたボイスコイルを駆動する磁気回路部品が配置される磁気回路部品取付部と、を備えるスピーカ用フレームであって、
前記振動板取付部と前記磁気回路部品取付部は別個の部材として構成され、
振動板取付部と磁気回路部品取付部との間に配置され、前記振動板取付部と磁気回路部と結合する連結部を固有振動数が異なる複数種類の棒状連結部材で構成したことを特徴とするスピーカ用フレーム。 - 前記複数種類の棒状連結部材は、材質及び形状の少なくとも一方が異なることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ用フレーム。
- 前記連結部材は、複数種類の棒状連結部材を規則的に配置して構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のスピーカ用フレーム。
- 前記棒状連結部材の端部には雄ねじ部が形成され、前記雄ねじ部にナットを取り付けることで前記棒状連結部材を振動板取付部及び前記磁気回路部品取付部に固定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスピーカ用フレーム。
- 前記棒状連結部材と、ナットの材質が異なることを特徴とする請求項4に記載のスピーカ用フレーム。
- 前記棒状連結部材の端部には雌ねじ部が形成され、該雌ねじ部に螺着した雄ねじを用いて、前記棒状連結部材を前記振動板取付部及び前記磁気回路部品取付部に固定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスピーカ用フレーム。
- 前記棒状連結部材の一端部には、略球形の頭部を形成したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のスピーカ用フレーム。
- 前記棒状連結部材は球形のワッシャ部材を用いて前記振動板取付部又は磁気回路部品取付部に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のスピーカ用フレーム。
- 前記振動板取付部及び前記磁気回路部品取付部における前記棒状連結部材の球形頭部及び球形のワッシャ部材の接触面には、異音発生防止用の固着剤を配置するための凹部が形成されていることを特徴とする請求項7、又は8に記載のスピーカ用フレーム。
- 請求項1乃至9のいずれか一項に記載のスピーカ用フレームを備えたことを特徴とするスピーカユニット。
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