JP2010032639A - プラスチックレンズの染色方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プラスチックより成るレンズ基材に、界面活性剤を塗布する工程S12と、界面活性剤を塗布したレンズ基材に、紫外線を照射する工程S13と、紫外線を照射したレンズ基材を、染色する工程S14と、を含む。
【選択図】図1
Description
なお、上記の方法において、染色助剤としてキャリヤー剤を用いることによって多少の染色促進は期待できると考えられる。しかしながらキャリヤー剤としては主に有機溶剤(例えばベンジルアルコール)等が用いられ、上述した1.7以上の高屈折率プラスチックレンズには、あまり効果が得られない。したがって、依然として高屈折率レンズを高濃度に染色するには時間が非常にかかってしまうか、或いは目的とする濃度が得られない、という問題がある。
このように、界面活性剤塗布処理と紫外線照射処理とを含み、その上で染色を行うことによって、プラスチックレンズにおいて、従来に比べて染色濃度を高めることができた。また、同程度の染色濃度とする場合は染色処理時間を短縮することができた。したがって、本発明によれば、高屈折率のプラスチックレンズに対して染色処理を促進することが可能となる。
そして、本発明のプラスチックレンズの製造方法においては、上述の本発明によるプラスチックレンズの染色方法により染色を行うため、屈折率が1.7以上の高屈折率レンズにおいても染色されたレンズを製造工程数の大幅な増加を招くことなく提供することが可能となる。
本発明によるプラスチックレンズの染色方法は、眼鏡用のプラスチックレンズに好ましく適用できるが、その他のプラスチックレンズにも適用可能である。例えば眼鏡用のプラスチックレンズに適用する場合は、プラスチックより成るレンズ基材に本発明を適用して染色した後、必要に応じて密着性、耐衝撃性を向上させるプライマー層や、耐擦傷性、耐候性を向上させるハードコート層、更に、少なくとも反射防止膜が形成されて眼鏡用の染色したプラスチックレンズが製造される。
特にレンズ基材の材料として、屈折率が1.7以上の高屈折率な材料である、ポリスルフィドと一種以上の他のモノマーとをモノマー成分とする共重合体、ポリジスルフィドと一種以上の他のモノマーとをモノマー成分とする共重合体等を用いてレンズを構成する場合に、本発明の染色方法を好ましく適用することができる。
そしてこのレンズ基材に、界面活性剤を塗布する(ステップS12)。この界面活性剤としては、ノニオン系(非イオン系)界面活性剤、又はアニオン系(陰イオン系)界面活性剤を好適に用いることができ、透明無色のものが特に好ましい。
このように、本発明においては、界面活性剤として特殊な材料ではなく、一般的な界面活性剤、特にノニオン系やアニオン系の界面活性剤を用いることができ、また塗布方法もスピンコート法や浸漬法等の一般的な手法を用いることができる。更に、使用する目的に適した原料を自由に選択して本発明を適用することができる。したがって、高屈折率プラスチックレンズの染色用として、特別に大掛かりな製造設備を設ける必要がなく、この用途に限った設備投資は不要となる。すなわち、設備コストを抑えるという利点も得られる。
この例においては、ポリジスルフィドと一種以上の他のモノマーとをモノマー成分とする共重合体より成る屈折率1.76の眼鏡用のプラスチックレンズを用いた。このレンズに対して最も濃度を高めにくいグレーの染色を行う場合に本発明を適用し、界面活性剤を塗布した後、紫外線を照射して、その後染色を行った。
界面活性剤としては、ノニオン系の界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテル(花王株式会社製、商品名「エマルゲン707」)を用いた。塗布方法としては、界面活性剤中に浸漬し、引き上げ速度2mm/sで引き上げて塗布した。
次に、紫外線照射処理を行った。紫外線照射装置としては、UVオゾン処理装置(岩崎電気株式会社製、商品名「アイ・UVオゾン洗浄装置」)を用いた。波長185nm、254nmの紫外線を発光する装置であり、波長185nmの紫外光によりオゾンが発生し、UV(紫外線)オゾン処理を行うものである。この紫外線照射装置を用いて出力15±5[mW/cm2]として1分から8分まで1分刻みのサンプルを作製した(実施例1)。また、比較のために界面活性剤を塗布しないサンプルも同様の紫外線照射条件で作製した(比較例1)。
(濃度%)=[1−透過率]×100・・・(1)
この結果を下記の表1に示す。
したがって、実施例1による場合は、屈折率が1.7以上であり、1.76と極めて高屈折率のプラスチックレンズにおいても、従来と比べて高い濃度の染色が可能となることがわかる。また濃度を同様とする場合は、紫外線照射時間が短縮でき、すなわち染色処理全体に要する時間を短縮することも可能となる。
この例においては、界面活性剤を塗布せず、また紫外線照射処理も行なわずに染色を行った。その他レンズ基材の材料、染色液、染色条件は実施例1と同様の方法で行ない、サンプルを3個とした。この結果を下記の表2に示す。
次に、界面活性剤の種類を変えて、それ以外の条件、すなわちレンズ基材の材料、紫外線照射条件、染色液の材料、染色条件は実施例1と同様として染色を行なった。
界面活性剤としては、この例ではアニオン系界面活性剤であるジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(花王株式会社製、商品名「ペレックスOT−P」)を用いた(実施例2)。また、比較のために界面活性剤を塗布しないサンプルも同様の条件で作製した(比較例3)。
次に、上記実施例1と同様の屈折率が1.76のレンズ基材に対して、界面活性剤塗布処理も紫外線照射処理も行なわず、従来行なわれているキャリヤー染色による染色を行って、得られる濃度を測定した。サンプル数は3とした。
染色液としては、グレー系の染色液とし、Dystar社製商品名「Dianix BlueAC−E」及び「Dianix Red AC−E」、更に、住友化学工業株式会社製商品名「Sumikaron Orange SERPD」を調合して成る1.0%水溶液を用いた。この染色液に、キャリヤー剤としてトリクロロベンゼンを、1l当たり2ml添加した。
染色方法としては浸漬法とし、染色液中で95℃1時間浸漬した。
このようにして染色したレンズ基材を、実施例1と同様に、株式会社村上色彩技術研究所製、商品名「分光透過率測定機D0T−3C」を用いて透過率を測定し、上記式(1)により濃度を測定した。また、キャリヤー剤を添加しない場合についても同様の染色を行い、濃度を測定した。この結果を下記の表4に示す。
従来高屈折率のプラスチックレンズに対して染色する時間がかかっていたが、本発明を適用することで、所定の濃度に染色する処理全体の時間を短縮することも可能である。また、有機溶剤等公知のキャリヤー剤を使用しないため、作業環境の面でも有利となる。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載される本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変形例または応用例を含むものであることはいうまでもない。
Claims (5)
- プラスチックより成るレンズ基材に、界面活性剤を塗布する工程と、
前記界面活性剤を塗布したレンズ基材に、紫外線を照射する工程と、
前記紫外線を照射したレンズ基材を、染色する工程と、を含む
プラスチックレンズの染色方法。 - 前記界面活性剤がノニオン系又はアニオン系の界面活性剤である請求項1に記載のプラスチックレンズの染色方法。
- 前記界面活性剤が無色である請求項2に記載のプラスチックレンズの染色方法。
- 前記界面活性剤がノニオン系の界面活性剤であり、
前記紫外線を照射する時間を2分以上6分以下とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラスチックレンズの染色方法。 - 染色処理工程として、
プラスチックより成るレンズ基材に、界面活性剤を塗布する工程と、
前記界面活性剤を塗布したレンズ基材に、紫外線を照射する工程と、
前記紫外線を照射したレンズ基材を、染色する工程と、を含み、
更に、コーティング層形成工程と、
反射防止膜形成工程と、を含む
プラスチックレンズの製造方法。
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JP2014109726A (ja) * | 2012-12-03 | 2014-06-12 | Hoya Corp | 染色プラスチックレンズの製造方法 |
EP4253020A2 (en) | 2022-03-31 | 2023-10-04 | Nidek Co., Ltd. | Dyeing system |
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JP2001091909A (ja) * | 1999-09-22 | 2001-04-06 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | プラスチックレンズの染色方法および染色レンズ |
JP2006056955A (ja) * | 2004-08-19 | 2006-03-02 | Tokai Kogaku Kk | 着色プラスチック物品及びその製造方法 |
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