図1に示すように、実施例に係るオーガ式製氷機は、氷を生成する製氷機構30と、外部水源に接続する給水手段Wから給水される製氷水を製氷機構30に供給する給水機構80と、製氷機構30の冷凍ケーシング64を冷却する冷凍回路を構成する図示しない冷凍機構とを備えている。製氷機構30は、製氷機本体に内部画成された図示しない貯氷室の上方に配置され、製氷機構30から落下した氷が貯氷室で貯留されるようになっている。
前記製氷機構30は、製氷機本体の内部に固定されたベース32に配設される(図1または図2参照)。図3に示すように、製氷機構30は、給水機構80から供給される製氷水を受ける給水パーツ34と、この給水パーツ34に載置固定された軸受部44と、この軸受部44に、軸線を上下に延在させて冷凍ケーシング64に対し回転可能に配設されたオーガ50と、このオーガ50の外側に配置された円筒形の冷凍ケーシング64と、この冷凍ケーシング64の上部を覆う案内部材74とを組合わせて本体部分が基本的に構成される。ここで、実施例の製氷機構30では、円筒形の冷凍ケーシング64の内部に画成される収容空間65にオーガ50が回転可能に収容され、オーガ50の外周面(第1の周面)52aが冷凍ケーシング64における収容空間65を画成する製氷面(冷凍ケーシング64の内周面)64aに臨むようになっている(図5または図6参照)。また製氷機構30は、オーガ50を回転駆動するギヤードモータ等の駆動手段76を備え、駆動手段76によりオーガ50が冷凍ケーシング64の収容空間65で回転される。
前記製氷機構30は、給水機構80から供給された製氷水が、冷凍機構により冷却された冷凍ケーシング64の製氷面64aで氷結し、駆動手段76で回転されるオーガ50の剥離刃54により製氷面64aの氷を剥離するよう構成される。また製氷機構30は、剥離した氷をオーガ50の回転下に製氷面64aとオーガ50の外周面52aとの間の搬送空間57を剥離刃54により上方に押し上げ、冷凍ケーシング64と案内部材74との間に設けられた氷収集部Sにおいて、氷を案内部材74により回転中心側に案内して、オーガ50の回転中心に開口するよう設けられた氷放出路35aを介して貯氷室に放出するようになっている(図6参照)。なお、製氷機構30は、冷凍ケーシング64の外周面をポリウレタンフォーム等の断熱材(図示せず)で覆って、冷凍ケーシング64の内外において熱の出入りを抑制している。
前記ベース32は、製氷機構30が設置される設置部32aの両側縁に下垂した脚部32b,32bが設けられた台形に形成され、脚部32b,32bを製氷機本体の内部に固定することで貯氷室の上部に配設される。また、ベース32における設置部32aの中央部には、上下に貫通する通過口32cが設けられ、製氷機構30の氷放出路35aから放出される氷が通過口32cを介して貯氷室に落下するようになっている。なお、実施例のベース32は、金属の板材を折り曲げて形成される。
前記給水パーツ34は、合成樹脂の成形品であって、給水機構80からの製氷水の導入部分として機能すると共に、軸受部44および該軸受部44を介してオーガ50および冷凍ケーシング64が載置される基礎部分としても機能する(図1参照)。給水パーツ34は、図3に示すように、上下の端面が開口する中空の円筒本体35と、この円筒本体35の下端に該円筒本体35の半径方向外側に延出するフランジ部36とが一体的に設けられている。給水パーツ34は、円筒本体35の下側開口をベース32の通過口32cに整合させて立設され、ベース32の設置部32aに載置したフランジ部36が該設置部32aに固定される。また給水パーツ34には、円筒本体35の上下に貫通する中空部分により、オーガ50で剥離して冷凍ケーシング64の上方に押し上げられた氷を氷収集部Sから貯氷室に案内する氷放出路35aが形成される。
図6に示すように、フランジ部36には、該フランジ部36の外周縁全周に亘って立ち上げ形成された堰部37と、この堰部37の内側に離間して立ち上げ形成された位置決め突片38とが設けられている。堰部37は、位置決め突片38より高く形成され、堰部37と位置決め突片38との間に形成される排水溝36aの底面が、位置決め突片38の内側領域に設けられる軸受部44が載置される載置面36bより低くなっている。また、位置決め突片38は、フランジ部36の載置面36bに載置される軸受部44に載置した冷凍ケーシング64の外周面に整合して、冷凍ケーシング64の半径方向の移動を規制するよう構成される。更に、フランジ部36の載置面36bには、Oリングや角リング等のシール材39が収容されるシール溝36cが、円筒本体35を囲んで凹設されている。
前記フランジ部36には、シール溝36cの内側に前記載置面36bより低く凹んだ給水凹部36dが、円筒本体35の下端全周に接して形成されている。そして、フランジ部36の底部には、給水機構80の製氷水タンク81に接続する給水管83が接続される給水部40が設けられ、この給水部40の給水口40aは、給水凹部36dに開口するよう配置される。また、フランジ部36の堰部37には、該堰部37と位置決め突片38との間の排水溝36aに連通する排水部41が外側方へ突出形成され、該排水部41の突出端に図示しない排水管が接続されるようになっている。ここで、実施例の給水パーツ34は、給水部40と排水部41とが円筒本体35を挟んで対称な位置関係で配置されている(図1参照)。なお、ベース32の設置部32aには、給水パーツ34の給水部40および排水部41に対応して切欠32d,32dが設けられ、給水部40に対する給水管83の接続および排水部41に対する排水管の接続が行ない易くなっている。
前記軸受部44は、オーガ50を回転自在に支持する剛性を有する部材であって、実施例ではステンレス等の金属材料から形成されている。図5に示すように、軸受部44は、上下の端面が開口する中空円筒形の軸部45と、この軸部45の下端に設けられ、軸部45の半径方向内側から外側に向かうにつれて下方傾斜するテーパ部46と、このテーパ部46の傾斜下端に半径方向外側に延出形成された載置部47とを備えている。また、軸部45の下部には、該軸部45の内外方向に貫通する給水孔48が、該軸部45の周方向に離間して複数(実施例では90°間隔で4ヶ所)設けられている。そして、軸受部44は、軸部45を給水パーツ34の円筒本体35の外周面を覆うように被せて、フランジ部36の載置面36bに載置した載置部47を該フランジ部36に対して固定することで、給水パーツ34に対して同軸的に取り付けられる。ここで、軸受部44は、給水パーツ34に取り付けた際に、給水パーツ34における円筒本体35の外周面と軸受部44における軸部45の内周面との間に、給水孔48および給水凹部36dに連通する戻し空間42が画成される(図6参照)。そして、給水パーツ34の給水部40から導入した製氷水は、給水凹部36d、戻し空間42および給水孔48を介して軸受部44の外側へ流通するよう構成される。なお、軸受部44の載置部47とフランジ部36の載置面36bとの間は、シール溝36cに収容されたシール材39により封水されている。また軸受部44は、給水パーツ34に取り付けた際に、軸部45の上端が給水パーツ34における円筒本体35の上端と略同一高さになるよう構成される。
図5または図7に示すように、前記オーガ50は、冷凍ケーシング64の製氷面64aに臨む外周面(第1の周面)52aに剥離刃54を有し、軸受部44に回転自在に保持されたオーガ本体52と、このオーガ本体52の上部に設けられ、駆動手段76との接続部分となる動力伝達部58とを備えている。ここで実施例のオーガ50は、剥離刃54の後述する刃先部56を除くオーガ本体52および動力伝達部58が合成樹脂から一体成形されている。
図5に示すように、前記オーガ本体52は、上下に開口する中空の円筒形を基本とした形状であって、該円筒形の軸方向に貫通する軸空間52cを内側に備えると共に、外周面52aに剥離刃54が螺旋状に設けられている。オーガ本体52の軸空間52cは、軸受部44の軸部45の外径に整合する寸法に設定され、軸部45に軸空間52cを嵌め合わせることで、オーガ50が軸受部44に対して同軸的に取り付けられる。また、オーガ本体52の下端外周には、半径方向外側に延出する載置片52dが全周に亘って設けられ、オーガ50を軸受部44に取り付けた際に、載置片52dが軸受部44の載置部47に載置されるようになっている。更に、オーガ本体52の下端内周(軸空間52cの下側開口縁)には、半径方向内側から外側に向かうにつれて下方傾斜するよう斜めに形成された傾斜部52eが設けられ、オーガ50を軸受部44に取り付けた際に、傾斜部52eが軸受部44のテーパ部46の上側に重なるようになっている。オーガ50は、軸受部44の載置部47に載置される構成であり、回転軸等が給水パーツ34を貫通して下方に突出していない。更にまた、オーガ本体52の上端内周には、半径方向内側に延出する庇状片52fが全周に亘って設けられ、オーガ50を軸受部44に取り付けた際に、軸受部44の軸部45上方を庇状片52fで覆うようになっている。ここで、庇状片52fの内周縁で画成される軸空間52cの上側開口縁は、軸受部44の軸部45と給水パーツ34の円筒本体35との間に設けられる戻し空間42の直上に位置するよう構成される(図6参照)。これにより、庇状片52fの内周縁から滴下する融氷水等が戻し空間42で受容され、貯氷室への滴下を防止できる。
このように、製氷機構30は、オーガ50が軸受部44に対して摺動するすべり軸受構造になっている。すなわち、オーガ50は、製氷機構30の製氷運転に際して、冷凍ケーシング64の製氷面に氷結した氷を剥離する剥離刃54からオーガ本体52に対して半径方向内側に向けて負荷されるラジアル荷重が、オーガ本体52における軸空間52cを画成する内周面(第2の周面)52bに摺接している軸受部44の軸部45で支持される。ここで、軸受部44の軸部45は、オーガ本体52における内周面52bの上下に亘って延在するよう構成され、オーガ本体52における外周面52a側の剥離刃54から負荷されるラジアル荷重が、オーガ本体52を挟んで内周面52b側にラジアル荷重の入力方向と交差して延在している軸部45で適切に受止められる。すなわち、製氷運転に際して、オーガ本体52が変形することなく、剥離刃54により製氷面64aの氷を好適に剥離し得る。また、オーガ本体52にかかるラジアル荷重を軸部45で支持する構成とすることで、オーガ本体52自体に要求される剛性を小さくすることができる。更に、オーガ本体52と軸受部44とが面で摺接し、互いの接触面積を大きくすることができるので、面圧を下げて互いの摩耗を抑制することができる。従って、オーガ本体52を合成樹脂で形成しても、十分に使用に耐え得るのである。またオーガ50は、オーガ50自体の自重、および製氷機構30の製氷運転に際して、オーガ本体52の外周面52aと冷凍ケーシング64の製氷面64aとの間に画成される搬送空間57を介して剥離刃54により氷を上方に押し上げるときに軸方向に負荷されるスラスト荷重が、載置片52dを載置している載置部47で支持されるようになっている。
前記オーガ50は、オーガ本体52の傾斜部52eが、上から下に向かうにつれて末広がりに傾斜するテーパ部46で支持される構成であるので、傾斜部52eにおける半径方向の移動と下方への移動とがテーパ部46により規制される(図5参照)。すなわち、オーガ50は、前述したスラスト荷重およびラジアル荷重の両方が軸受部44のテーパ部46で支持されるようになっている。オーガ50は、オーガ本体52の内周面52bと軸受部44の軸部45との摺接部分が摩耗して両者間に隙間が生じたとしても、オーガ本体52の傾斜部52eがテーパ部46の傾斜に案内されるので、軸受部44の軸中心に対してオーガ本体52の回転中心が同一になるよう変位させることができる。このように、実施例のすべり軸受構造は、軸受部44に対するオーガ50の軸ずれが生じ難く、オーガ50の軸ずれによる冷凍ケーシング64の製氷面64aと剥離刃54との干渉等の不具合を回避し得る。また実施例のすべり軸受構造は、軸受部44の軸部45に軸空間52cを嵌合することでオーガ50と軸受部44との軸を簡単に合わせることができ、組み付け作業性に優れている。
前記オーガ本体52において軸受部44に摺接する部位は、自己潤滑性を有する材料で形成される。これにより、オーガ50は、オーガ本体52が軸受部44に直接支持されて、製氷運転に際して軸受部44を摺動する構成であるが、オーガ本体52と軸受部44との摺動負荷を軽減して、発熱や両者の摩耗を抑制し得ると共に、駆動手段76にかかる駆動負荷を軽減し得る。ここで、実施例のオーガ本体52は、剥離刃54の刃先部56を除く全体が自己潤滑性を有する合成樹脂材料から成形されている。ここで、合成樹脂材料としては、例えばPOM(ポリアセタール)、PA(ポリアミド)、PC(ポリカーボネート)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)またはPE(ポリエチレン)等が採用され、実施例のオーガ本体52はPPSが用いられている。
前記オーガ本体52には、内周面52b下部における軸受部44の給水孔48と径方向に重なる位置に、該内周面52bを凹ませて供給凹部52gが全周に亘って設けられている(図6参照)。またオーガ本体52は、該オーガ本体52の内外方向に貫通する供給孔53が、供給凹部52gに対応する位置に開口させて、周方向に離間して複数設けられている。なお、実施例のオーガ本体52では、供給孔53がオーガ本体52の周方向に60°づつ離間させて6ヶ所配置され、各供給孔53が剥離刃54の延在位置から外れた外周面52aに開口している(図7参照)。そして、軸受部44の給水孔48と供給凹部52gとが連通すると共に、供給凹部52gと供給孔53とが連通するよう構成され、製氷水がオーガ本体52の外周面52aと冷凍ケーシング64の製氷面64aとの間に供給される。
図8に示すように、前記オーガ本体52には、複数(実施例では2本)の剥離刃54,54が、冷凍ケーシング64の製氷面64aに臨む外周面52aに設けられている。オーガ本体52は、冷凍ケーシング64における収容空間65の内径より氷の搬送空間57分を見込んで外径が小さく設定され、冷凍ケーシング64の製氷面64aとオーガ本体52における剥離刃54を除く外周面52aとの間に搬送空間57が画成される(図5参照)。一方、各剥離刃54は、オーガ本体52の外周面52aから突出するように設けられ、オーガ50を軸受部44に組み付けた際に、剥離刃54における氷剥離位置となる刃先56aと冷凍ケーシング64の製氷面64aとが僅かなクリアランスをあけて対向するようになっている。
前記各剥離刃54は、オーガ本体52の外周面52aにおいて上から下に向かうにつれてオーガ50の回転方向前側から後側へ巻き付くように、適宜のリード角αを持たせて螺旋状に設けられている(図7参照)。なお、実施例の剥離刃54は、オーガ本体52の外周面52aにおおよそ半周(約180°)に亘って形成されている(図8参照)。実施例のオーガ本体52は、2本の剥離刃54,54が180°位相をずらした関係で配置され、各剥離刃54の上端が、オーガ本体52の上端面において動力伝達部58の後述するスポーク部59が接続する部位の回転方向前側近傍に位置している。前述した如く製氷機構30は、オーガ50の剥離刃54により冷凍ケーシング64の製氷面64aの氷を剥離すると共に、螺旋状の剥離刃54によりオーガ50の回転に伴って氷を搬送空間57を介して上方に搬送している。従って、オーガ本体52の上部では、搬送する氷の量が多くなり、オーガ本体52の下部と比べて剥離刃54に負荷がかかる。そこで、各剥離刃54の上端を、オーガ本体52における動力伝達部58のスポーク部59が接続する部位の回転方向前側近傍に配置して、剥離刃54における負荷がかかる上部に対応して動力を伝達することで、氷を適切に剥離・搬送することができる。
前記リード角αとは、オーガ本体52に螺旋状に連設された剥離刃54における刃先56aの延在ラインと水平ラインとがなす角度であって、剥離刃54により剥離された氷の搬送に関連するパラメータである(図7参照)。すなわち、剥離刃54のリード角αが大きくなると(剥離刃54が縦方向に立った状態)、剥離刃54にかかるスラスト荷重が小さくなるものの、氷を上方へ搬送するために必要とされる回転抑止力が大きくなる。これに対して、剥離刃54のリード角αが小さくなると(剥離刃54が横方向に倒れ込んだ状態)、剥離刃54にかかるスラスト荷重が大きくなるものの、氷を上方へ搬送するために必要とされる回転抑止力が小さくなる。剥離刃54のリード角αは、23°〜68°の範囲に設定するのが望ましく、実施例では45°に設定してある。ここで、回転抑止力とは、オーガ50の回転に伴って氷が周方向に共回りすることを抑えるよう作用する力であって、氷をオーガ50の回転につれて搬送空間57を介して上方へ搬送するために必要となる。なお、回転抑止力は、冷凍ケーシング64の製氷面64aに設けられる後述する凹凸により、氷に対して付与される。
図9に示すように、前記剥離刃54は、オーガ本体52の外周面52aから半径方向外側に突出するにつれて先が細くなるよう隆起させた断面山形に形成され、刃先56aとなる稜線を挟んで対向する支持面55a,55bの裾が該オーガ本体52の外周面52aに滑らかに連なるよう形成されている。換言すると、剥離刃54は、製氷面64aに臨む刃先56aを挟んで上下に対向する支持面55a,55bが、該刃先56aからオーガ本体52の外周面52aに向かうにつれて互いに離間して該外周面52aに曲線的に連なるよう構成される。そして、各支持面55aは、剥離刃54の刃先面と製氷面64aとがなす刃先角度βで刃先56aを通るラインより製氷面64a側または当該ラインに沿って延在するよう形成される。
ここで実施例の剥離刃54は、オーガ本体52に連なる基礎部55と別体の刃先部56で刃先56aが構成されている。実施例の剥離刃54は、基礎部55における上側の支持面55aの一部に稜線にかけて設置凹部が設けられ、刃先部56が設置凹部に嵌め合わせてネジ、インサート成形、接着、カシメまたはこれらの複合による適宜の手段で固定されている。図10に示すように、刃先部56は、ステンレス等の金属製の板状体であって、該刃先部56の下縁が上側の支持面55aと下側の支持面55bとがなす稜線と整合するように配置され、該刃先部56下縁における製氷面64aに臨む角部が刃先56aとなっている。すなわち、剥離刃54において、製氷面64aの氷を剥離する刃先56aを含む部分を耐摩耗性に優れた金属材料で構成する一方、基礎部55およびオーガ本体52を合成樹脂で形成することで、剥離刃54の寿命を向上し得ると共に、オーガ本体52全体として軽量化を図ることができる。しかも、刃先部56だけを取り替え可能に構成することで、メンテナンスコストを低減でき、刃先56aの信頼性を適切に維持できる。
図10に示すように、前記剥離刃54は、鉛直方向に延在する冷凍ケーシング64の製氷面64aと、刃先面(刃先56aと、基礎部55における上側の斜辺において刃先56aに近接する極限の点とを結んだ面であって、実施例では刃先部56の上面)とがなす刃先角度βが、製氷面64aに生成した氷を安定的に剥離できるように適宜角度で設定される。なお、刃先角度βは、鋭角に設定されて、実施例では15°程度になっている。
前記剥離刃54は、基礎部55の各支持面55a,55bと冷凍ケーシング64の製氷面64aとがなす角度を、刃先角度βと同一または刃先角度βより小さくなるように構成されている(図10参照)。すなわち、基礎部55の各支持面55a,55bは、刃先56aを製氷面64aに対する刃先角度βで通るラインと同一または当該ラインより製氷面64a側に偏倚して延在するよう形成されている。なお、実施例の剥離刃54は、上下の支持面55a,55bが刃先56aを挟んで対称な関係で延在するよう形成されている。ところで、剥離刃54には、製氷面64aから氷を剥離する際に、該剥離刃54の表面の垂直方向に荷重が負荷される。仮に、基礎部55の支持面55a,55bを刃先角度βより大きく設定すると、支持面55a,55bに応力が集中する部分が存在し、製氷面64aから氷を剥離する際に負荷される荷重をモーメント荷重として支持する部分が生じる。剥離刃54に対しモーメント荷重が負荷されると、圧縮荷重よりも高い応力が発生することになる。これに対して、実施例の如く、基礎部55の各支持面55a,55bの延在ラインを刃先角度βに対応して応力集中部が存在しないように形成することで、剥離刃54で製氷面64aの氷を剥離する際に、モーメント荷重が負荷されず、剥離刃54にかかる応力の向きに交差する位置に基礎部55が延在して、基礎部55で応力を圧縮荷重として適切に支持することができる。また、基礎部55の各支持面55a,55bには、剥離刃54で製氷面64aの氷を剥離する際に、剥離刃54にかかる応力が集中する隅角形状や凹形状等の部位がないので、基礎部55を合成樹脂で形成しても剥離刃54の剛性を確保し得る。
実施例の刃先部56は、プレスで形成される。前述した如く、剥離刃54は、オーガ本体52の上端から下端に至るまでに外周面52aを約半周に亘って巻き付くよう形成されている。このように、オーガ本体52の平面視において剥離刃54がオーガ本体52の外周面に延在している角度である巻き付き角度γを、180°以下に設定することで、刃先部56をプレス成形する際に、プレス型を簡単にすることができる(図8参照)。これに対し、剥離刃54の巻き付き角度γが180°を越えると、刃先部56をプレス成形する際に、プレス型の分割が複雑になり、コストがかかる弊害が生じる。ここで、剥離刃54の巻き付き角度γは、剥離刃54のリード角α、オーガ本体52における剥離刃54の刃先56a,56a間の外径dおよびオーガ本体52の上下寸法hに関係し、巻き付き角度γを180°以下に設定するための条件を、以下の式1の如く表すことができる。
tanα>2h/πd …式1
α:リード角
h:オーガ本体52の上下寸法
π:円周率
d:オーガ本体52における剥離刃54の刃先56a,56a間の外径
図4に示すように、動力伝達部58は、オーガ本体52の上端に設けられたスポーク部59と、このスポーク部59に設けられ、駆動手段76の出力軸77への接続部分となる接続ボス部60とから構成される。スポーク部59は、オーガ本体52の軸中心を通って該オーガ本体52の径方向に延在する中央連結片59aと、この中央連結片59aの両端に夫々設けられ、該中央連結片59aに対しオーガ50の回転方向に角度を変えて延在してオーガ本体52の上端面に接続する一対の側部連結片59b,59bとを備える屈曲形状に形成される(図8参照)。ここで、スポーク部59は、各側部連結片59bが中央連結片59aの延在方向に対して半径方向内側から外側へ向かうにつれてオーガ50の回転方向前側に偏倚するよう延在し、両側部連結片59b,59bが互いに180°位相をずらした位置関係になっている。なお、スポーク部59には、各側部連結片59bの半径方向外側の上角部が斜めに切り欠かれた斜面部59cが設けられている。このように、スポーク部59の両側部連結片59b,59bを、オーガ50の回転中心を通る半径方向のラインに対して角度を設けて延在させる構成とすることで、オーガ50の回転につれて氷を半径方向内側へ向けて円滑に案内することができる。
前記接続ボス部60は、スポーク部59における中央連結片59aの上部に設けられ、オーガ本体52の軸中心に配置されている(図7参照)。接続ボス部60は、外形が円形に形成されて、中央に上方に開口する軸溝60aが設けられると共に、軸溝60aの内周面から半径方向外側に凹ませたキー溝60bが軸溝60aの上下に亘って設けられている。なお、接続ボス部60の上部外周縁には、仕切り壁60cが全周に亘って立設され、軸溝60aに挿入した駆動手段76の出力軸77を伝って流下する水等の流体を仕切り壁60cにより受止めて、オーガ本体52の内側中央に設けた氷放出路35aを介して流体が貯氷室に落下しないようになっている(図9参照)。
前記動力伝達部58は、接続ボス部60において中央連結片59aから半径方向外側に延出した底部に、上から下に向かうにつれて半径方向内側に傾斜して、中央連結片59aの側面に接続する案内面61を備えている。動力伝達部58は、製氷運転に際して、駆動手段76により回転するスポーク部59の両側部連結片59b,59bが、搬送空間57を介してオーガ本体52の上方に案内部材74との間に設けられた氷収集部Sに搬送された氷を半径方向内側(回転中心側)に向けて案内するようになっている。また、スポーク部59の中央連結片59aおよび案内面61は、駆動手段76により回転したもとで、両側部連結片59b,59bで移動された氷を、剥離刃54による氷剥離位置となる製氷面に対してオーガ50の回転中心側に偏倚して設けられた氷放出路35aの氷放出口(給水パーツ34における円筒本体35の上側開口)35bに向けて下方へ案内するようになっている。このように、動力伝達部58は、駆動手段76と着脱容易に接続する機能だけでなく、オーガ本体52の剥離刃54により搬送空間57を介して上方に案内された氷を、氷放出口35bに向けて案内する氷案内部としても機能する。
前記オーガ50の動力伝達部58は、剥離刃54が製氷面64aに引っ掛かる等の何らかの原因でオーガ本体52の回転に対して過剰な負荷がかかった際に、駆動手段76をオーガ50のロックから保護する保護手段としても機能するように構成される。例えばオーガ50は、オーガ本体52に過負荷がかかった際に、スポーク部59、オーガ本体52とスポーク部59との連結部分またはスポーク部59と接続ボス部60との連結部分が破断するように設定されている。なお、オーガ50は、スポーク部59や前述した連結部分に切欠等により脆弱部を予め設けて、オーガ50のロックに際して脆弱部で破断させるよう構成してもよい。このように、オーガ50の動力伝達部58を保護手段として機能する構成とすることで、駆動手段76の過負荷を回避して、オーガ50と比較して高価な駆動手段76や冷凍ケーシング64等の故障を防止できる。
このように、オーガ50は、オーガ本体52および動力伝達部58を金属と比べて熱伝導率が低い合成樹脂から一体成形しているので、駆動手段76の出力軸77と動力伝達部58を直接接続しても出力軸77と動力伝達部58との間の熱伝導を抑制することができる。すなわち、駆動手段76の熱によるオーガ50の昇温を避けることができるので、冷凍ケーシング64の製氷面64aでの氷の生成を妨げることなく、製氷機構30における製氷効率を向上し得る。また、オーガ50による駆動手段76の冷却を避けることができるので、駆動手段76での結露を抑制して、駆動手段76の故障を回避し得る。更にオーガ50は、オーガ本体52および動力伝達部58を合成樹脂から一体成形することで、軽く、加工が容易で、しかもコストを低減し得る。更にオーガ本体52を合成樹脂で形成することで、氷放出路35a側から冷凍ケーシング64の製氷面64a側に侵入する熱を抑制することができる。
前記冷凍ケーシング64は、上下に開口する収容空間65を備えた円筒体であって、オーガ50を収容空間65に収容して、給水パーツ34におけるフランジ部36の載置面36bに載置された軸受部44の載置部47に載置される(図1参照)。冷凍ケーシング64は、軸受部44の載置部47に載置した際に、該冷凍ケーシング64における周壁66の下端面外周縁に突設された規制片66bが軸受部44における載置部47の外周縁に外嵌し、軸受部44および軸受部44に保持されたオーガ50と軸が一致するよう位置決めされる。つまり、冷凍ケーシング64の製氷面64aとオーガ50における剥離刃54の刃先56aとの間のクリアランスが一定に保たれる。そして、実施例の製氷機構30は、ベース32の下方から給水パーツ34のフランジ部36、軸受部44の載置部47および冷凍ケーシング64の下端とをネジ(図示せず)で螺着することで互いに固定されている。この際、冷凍ケーシング64は、給水パーツ34の位置決め突片38が外周面に当接し、該冷凍ケーシング64の半径方向の移動が規制されると共に、冷凍ケーシング64に対して規制片66bにより同軸的に位置決めされた軸受部44の軸部45と給水パーツ34の円筒本体35とが位置合わせされる。これにより、給水パーツ34における円筒本体35の外周面と軸受部44における軸部45の内周面との間の戻し空間42が、一定のクリアランスを保持して設けられる。また、冷凍ケーシング64は、該冷凍ケーシング64の下端内周に全周に亘って設けたシール凹部64bにOリングや角リング等のシール材63が配設されて、冷凍ケーシング64と載置部47との間が封水される。
前記冷凍ケーシング64は、金属と比べて熱伝導性が低い合成樹脂製の給水パーツ34に載置される構成であるので、ベース32との間の熱伝導を抑制することができる。すなわち、ベース32の熱が冷凍ケーシング64に伝わることによる製氷効率の悪化や、ベース32が冷却されることによるベース32での結露の発生を防止できる。更に、冷凍ケーシング64の外周面を伝って流下する結露水等は、給水パーツ34の排水溝36aで回収されて、排水部41に接続された排水管を介して外部に排出される。このように、製氷機構30では、給水パーツ34が冷凍ケーシング64を流下する結露水等を受止めるドレンパンとして機能すると共に、冷凍ケーシング64とベース32との間の断熱部材として機能する。
前記冷凍ケーシング64は、収容空間65を画成する周壁66の内部に冷媒流路67が設けられ、この冷媒流路67に連通する導入部68および導出部69が該冷凍ケーシング64の外周面に突出して設けられている。実施例の冷凍ケーシング64は、周壁66の下部に導入部68が設けられ、周壁66の上部に導出部69が設けられ、導入部68および導出部69が冷媒流路67を介して連通している(図1または図5参照)。なお、導入部68と導出部69とは、 冷凍ケーシング64を挟んで対称な位置関係で配置されている(図4参照)。また、冷凍ケーシング64は、導入部68および導出部69に冷凍機構に接続する図示しない冷媒配管が連結され、冷凍機構の圧縮機、凝縮器および膨張弁等の減圧手段により構成される冷媒循環式の冷凍回路の中で蒸発器として機能するようになっている。すなわち、冷凍ケーシング64は、冷凍機構から供給された冷媒が冷媒流路67を流通する過程で該冷媒との熱交換により製氷面64aが冷却されて、製氷面64aに氷が生成される。
前記冷凍ケーシング64は、熱伝導性に優れた金属材料で形成され、実施例ではアルミニウムが採用されている。図11に示すように、冷凍ケーシング64は、本体ブロック70と、この本体ブロック70の下部に組み付けられる下部ブロック71と、本体ブロック70の上部に組み付けられる上部ブロック72とから構成されている。本体ブロック70は、製氷面64aを含む冷凍ケーシング64の大部分を構成し、円筒形状の内部に軸方向に沿って直線的に貫通する収容空間65が設けられ、この収容空間65を画成する本体ブロック70の内周面だけで製氷面64aが構成されている。また本体ブロック70は、冷凍ケーシング64の外周面を構成する中間部分と比べて上部および下部の外径が小さく形成されて、上部外周縁および下部外周縁の夫々に階段状に切り欠かれた差し込み部70a,70bが設けられている。更に本体ブロック70には、上下の差し込み部70a,70b間の中間部分に、上下に貫通する冷媒流路67の直管部67aが、周方向に一定間隔で離間して複数設けられている。各直管部67aは、本体ブロック70の中間部分において差し込み部70a,70bの外周面より半径方向外側に配置されている。そして、各直管部67aは、本体ブロック70における中間部分を上下に貫通するよう設けられ、本体ブロック70において上下の差し込み部70a,70bにより形成される段部に開口するようになっている。
前記下部ブロック71は、リング状の部材であって、内径が本体ブロック70における下側の差し込み部70aの外径と略同一に設定されると共に、外径が本体ブロック70における中間部分の外径と略同一に設定されている。下部ブロック71は、本体ブロック70における下側の差し込み部70aを内側に挿入することで、該差し込み部70aの外側を覆って組み付けられ、下部ブロック71の外周面が本体ブロック70における中間部分の外周面と整合し、冷凍ケーシング64の下部外周面を構成する。また下部ブロック71は、上部内周縁の全周に亘って分配凹部71aが凹設されて、本体ブロック70に組み付けた際に、分配凹部71aと下側の差し込み部70aとの間に本体ブロック70の直管部67aに連通する分配部67bが画成されるようになっている。ここで、導入部68は、分配凹部71a(分配部67b)に連通するよう下部ブロック71に設けられている。
前記上部ブロック72は、リング状の部材であって、内径が本体ブロック70における上側の差し込み部70bの外径と略同一に設定されると共に、外径が本体ブロック70における中間部分の外径と略同一に設定されている。上部ブロック72は、本体ブロック70における上側の差し込み部70bを内側に挿入することで、該差し込み部70bの外側を覆って組み付けられ、上部ブロック72の外周面が本体ブロック70における中間部分の外周面と整合し、冷凍ケーシング64の上部外周面を構成する。また上部ブロック72は、下部内周縁の全周に亘って回収凹部72aが凹設されて、本体ブロック70に組み付けた際に、回収凹部72aと上側の差し込み部70bとの間に本体ブロック70の直管部67aに連通する回収部67cが画成されるようになっている。ここで、導出部69は、回収凹部72a(回収部67c)に連通するよう上部ブロック72に設けられている。
このように、冷凍ケーシング64は、本体ブロック70に下部ブロック71および上部ブロック72を組み付けることで、直管部67aに対して分配部67bおよび回収部67cが連通して、導入部68から導出部69に冷媒が流通する冷媒流路67が構成される(図5参照)。すなわち、冷凍ケーシング64を冷媒流路67に合わせて3つのブロック70,71,72に分割して形成することで、夫々のブロック70,71,72を押し出し成形により成形することができる。従って、冷凍ケーシング64の製造コストを低減できる。
ここで、冷凍ケーシング64は、3つのブロック70,71,72から構成されるが、本体ブロック70の外側に上下のブロック71,72を被着させて組み付ける構造として、本体ブロック70の内周面だけで製氷面64aを形成している。すなわち、冷凍ケーシング64は、本体ブロック70と上下のブロック71,72との間の継ぎ目が、冷凍ケーシング64の上下の端面および外周面に現れるものの、製氷面64aに現れない。そして、冷凍ケーシング64における製氷面64aの寸法精度が、3つのブロック70,71,72の組み付け精度に左右されることはなく、製氷面64aとオーガ50における剥離刃54の刃先56aとの間のクリアランスを適切に設定し得る。
前記冷凍ケーシング64は、オーガ50の剥離刃54で剥離した氷に対して回転抑制力を付与するために、製氷面64aに凹凸が形成される。この凹凸は、剥離刃54で剥離して得られる氷より細かく設定されている。実施例の冷凍ケーシング64では、本体ブロック70の軸方向に延在すると共に周方向に互いに離間する複数の細溝(図示せず)を該本体ブロック70の内周面に形成することで、該本体ブロック70の内周面で構成される製氷面64aに凹凸を設けている。すなわち、本体ブロック70の押し出し成形と同時に、複数の細溝を形成することができ、本体ブロック70を成形した後に別工程で凹凸を形成するものではないので、製造工程を簡略化できる。このように、製氷面64aに凹凸を設けることで、氷の硬さ等を調整することができると共に、製氷面64aに生成される氷の表面を凹凸にして、オーガ50の剥離刃54による氷の剥離を円滑に行なうことができる。また、製氷面64aの凹凸または製氷面64aに生成した氷の凹凸が、オーガ50の回転方向に移動する氷に対して抵抗となって、氷のオーガ本体52の周方向への移動を抑えて、オーガ本体52の外周面に螺旋状に延在する剥離刃54で押し上げて氷を上方に効率よく搬送することができる。
前記案内部材74は、冷凍ケーシング64の上部を覆う円盤状の部材であって、外径寸法が冷凍ケーシング64の外径と略同一に設定されている(図2または図3参照)。案内部材74は、外周部分が冷凍ケーシング64の周壁66上端面に取り付けられ、収容空間65の上部を覆う部位が、中央に動力伝達部58の接続ボス部60が挿通する挿通孔74aを設けた平面部分と、この平面部分および外周部分を接続する傾斜部分とからなる外周部分より上方に膨出した裁頭円錐形状に形成される。また、案内部材74は、冷凍ケーシング64にスポーク部59の上方を覆うようにネジ等で取り付けた際に、平面部分がスポーク部59の上端面に平行に延在し、傾斜部分がスポーク部59の斜面部59cに対して平行に延在するよう構成される。なお、実施例の案内部材74は、冷凍ケーシング64の周壁66外周縁に立設された保持片66aにより半径方向への位置規制がされるようになっている。そして、冷凍ケーシング64に案内部材74を取り付けると、挿通孔74aを挿通して接続ボス部60が案内部材74の上面に突出すると共に、案内部材74の下面がスポーク部59の上面に対して氷より小さい間隔で対向し、オーガ50の回転と共にスポーク部59が案内部材74の下面に沿って移動するよう構成される。
前記製氷機構30には、冷凍ケーシング64と案内部材74との間に氷収集部Sが設けられ、冷凍ケーシング64の製氷面64aとオーガ本体52の外周面52aとの間の搬送空間57が氷収集部Sの外周部分に連通する。また製氷機構30では、収容空間65の中央に配置された給水パーツ34の円筒本体35で画成される氷放出路35aの氷放出口35bが、氷収集部Sの中央部に開口するようになっている。そして、オーガ50の回転により冷凍ケーシング64の上方に搬送されて氷収集部Sに到来した氷は、案内部材74により上方への移動が阻まれて、案内部材74の傾斜部分により半径方向内側(回転中心側)に変向するよう案内される。また氷は、スポーク部59によっても半径方向内側へ案内されて、オーガ50の回転中心に上下に貫通して設けられた氷放出路35aを介して貯氷室に落下する。
図2に示すように、前記駆動手段76は、冷凍ケーシング64の上部に固定された架台78を介して取り付けられ、冷凍ケーシング64で駆動手段76の荷重が支持されるようになっている。架台78は、駆動手段76が載置固定される平坦な台部78aと、この台部78aの両側縁から下垂する支持脚部78b,78bとからなる台状に形成されている。また架台78は、支持脚部78b,78bの下端部を冷凍ケーシング64の周壁66上端面に取り付けた案内部材74の外周部に載置して、該案内部材74を挟んで周壁66に対してネジ等により固定される。また、架台78における台部78aの中央には、案内部材74の挿通孔74aから上方に突出した接続ボス部60が挿通される孔部78cが設けられている。孔部78cは、接続ボス部60の外径と略同一寸法に設定されて、孔部78cに挿通した接続ボス部60と隙間なく整合するように構成される。駆動手段76は、出力軸77が下方に向けて突出するよう構成され、出力軸77の下端に半径方向外側に突出するキー(図示せず)が設けられている。駆動手段76は、キーを接続ボス部60のキー溝60bに合わせて出力軸77を軸溝60aに上方から嵌合することで、出力軸77とオーガ50の動力伝達部58とが接続される。このように、製氷機構30は、駆動手段76の出力軸77によりオーガ50を上から押えるよう構成されている。
実施例の製氷機構30では、接続ボス部60の軸溝60aおよびキー溝60bを出力軸77およびキーの外形に完全に一致する寸法で形成するのではなく、軸溝60aおよびキー溝60bが出力軸77およびキーの外形より若干大きな相似形状で形成されている。すなわち、駆動手段76の出力軸77とオーガ50の動力伝達部58との接続構造は、遊びを持たせてあり、出力軸77の位置ずれを吸収し得る構成となっている。前述した如く製氷機構30は、オーガ本体52を軸受部44で保持してオーガ50の回転中心を位置合わせする構成であるから、駆動手段76の回転駆動が伝達できればよく、駆動手段76の出力軸77を動力伝達部58に接続する際に、オーガ50の回転中心と出力軸77とを厳密に位置合わせする必要がなく、寸法精度を低く設定し得る。また、製氷運転において、オーガ50にかかるスラスト荷重およびラジアル荷重は、軸受部44で支持されるので、駆動手段76に対するオーガ50からの負荷を軽減し得る。すなわち、駆動手段76を支持する架台78や、出力軸77と動力伝達部58との接続構造は、要求される強度が小さくなるので、簡易な構造を採用してコストを低減できる。
製氷運転において、オーガ本体52および冷凍ケーシング64に負荷される荷重は、剥離した氷を搬送空間57で上方に搬送する際に徐々に蓄積されるので、搬送空間57の上端で最も大きくなり、下になるほど小さくなる。ここで、製氷機構30は、駆動手段76をオーガ50の上方に設け、回転負荷が一番高いオーガ本体52の上側に連結した動力伝達部58を介して回転駆動力を伝達している。すなわち、製氷機構30は、オーガ本体52の回転負荷が大きい側から駆動手段76によりオーガ50をスムーズに回転駆動することができ、オーガ本体52および冷凍ケーシング64にかかる荷重(特にモーメント荷重)が大きくなる部分を上部だけの最小限に抑えることができる。従って、オーガ本体52および冷凍ケーシング64の下側の比較的荷重がかからない部分に要求される剛性が小さくなり、オーガ本体52を金属と比べて許容応力が低い合成樹脂で形成することが可能となる。また、冷凍ケーシング64についても、ステンレスと比べて許容応力が低いアルミニウムを採用して、負荷される荷重に応じて周壁66の厚みを薄くすることが可能となる。従って、冷凍ケーシング64は、周壁66を薄く設定することで、製氷面64aへの冷媒からの熱伝導性がよくなり、またオーガ50を軽量化して駆動手段76への負荷を軽減し得るので、オーガ50が円滑に回転される。その結果、製氷機構30では、製氷効率が向上する。
図1に示すように、前記給水機構80は、製氷水を貯留する製氷水タンク81と、この製氷水タンク81に貯留した製氷水の水位を検知する水位検知手段82とを備えている。製氷水タンク81の上部には、水道等の外部水源に接続する給水手段Wの給水口が臨み、該給水手段Wに設けられた管路を開閉可能な給水弁WVを開放することで、製氷水を製氷水タンク81に供給するようになっている。製氷水タンク81は、製氷機構30の側方に配置され、底部に設けた導出口81aに接続した給水管83を製氷機構30の底部に設けた給水部40に接続することで、製氷機構30の内部に設けられる製氷水貯留空間と連通するよう構成される。実施例の水位検知手段82は、製氷水タンク81に貯留した製氷水の水位変動に応じてフロートが上下変位するフロート式が採用され、水位検知手段82の水位検知信号によって給水手段Wの給水弁WVを開閉制御している。実施例の給水機構80では、製氷水タンク81の水位が低下して水位検知手段82が下限水位を検知すると、給水弁WVを開放して給水手段Wから製氷水が製氷水タンク81に供給され、製氷水タンク81の水位が上昇して水位検知手段82が上限水位を検知すると、給水弁WVを閉成して製氷水の供給が停止される。
前記製氷機構30は、給水パーツ34とこの給水パーツ34のフランジ部36に載置される冷凍ケーシング64との間に製氷水貯留空間が画成され、この製氷水貯留空間に貯留された製氷水に浸漬した状態でオーガ50のオーガ本体52が配設されている。そして、製氷機構30は、製氷水タンク81の横に配置されて、給水管83により製氷水タンク81の底部と製氷水貯留空間の底部とが接続されて、製氷水タンク81の水位と製氷水貯留空間の水位とが一致する構成となっている。
前記製氷機構30は、冷凍ケーシング64と給水パーツ34との間の製氷水貯留空間にオーガ50のオーガ本体52を浸漬するよう配置する構成であり、オーガ50を回転させるための回転軸が製氷水貯留空間を貫通していないので、メカニカルシールを必要としない。また、製氷水貯留空間から漏水するおそれが小さい。製氷水貯留空間の上方は、大気に開放されているので、空気の噛み込みがなく、製氷水貯留空間に対し給水機構80から安定して製氷水を供給し得る。更に、オーガ本体52と軸受部44との摺動面に製氷水が存在しているので、この製氷水が潤滑剤として機能して摺動面の摩耗を抑制し、摺動面間の異物を排出することができる。そして、製氷機構30は、断熱部材としても機能する給水パーツ34に設けた給水部40を介して製氷水貯留空間に製氷水を供給しているので、製氷面64a以外での製氷水の凍結を防ぎ、安定して供給することができる。
前記製氷機構30は、オーガ50における回転中心側に該オーガ本体52の軸方向に上下に貫通する氷放出路35aを設け、この氷放出路35aが給水パーツ34の円筒本体35で兼用される構成であるので、部品点数を少なくすることができ、また製氷機構30を小型化することができる。また、製氷機構30は、出力軸77が動力伝達部58の軸溝60aに上方から挿入される構成であり、駆動手段76を上方に引き上げるだけで出力軸77と動力伝達部58との接続を簡単に解除できる。そして製氷機構30は、駆動手段76、架台78および案内部材74を冷凍ケーシング64から取り外すことで、オーガ50を軸受部44から簡単に上方に引き抜くことができる。しかも、製氷機構30は、製氷水貯留空間から製氷水を排水することなくオーガ50を取り外すことができる。すなわち、製氷機構30は、オーガ50の洗浄や取り替え等のメンテナンス作業が行ない易い。
(変更例)
本発明は、実施例の構成に限定されず、以下の如く変更することも可能である。なお、以下の変更例において参照する図面は、実施例の製氷機構と同様の構成には同一の符号を付してある。
(1)実施例の製氷機構30は、冷凍ケーシング64の内側にオーガ50を配置する構成であるが、図12に示す変更例の製氷機構90の如く、冷凍ケーシング91の外側を中空円筒形のオーガ本体93で覆うようにオーガ92を配置し、冷凍ケーシング91の外周面がなす製氷面91aに臨ませてオーガ92の内周面に剥離刃94を設ける構成であってもよい。変更例の製氷機構90は、下部に半径方向内側に突出する載置部95aを設けた中空円筒形の軸受部95を備え、軸受部95の内側にオーガ92を配置してオーガ本体93の外周面を支持すると共に、オーガ本体93の下端を載置部95aで支持するようになっている。また、冷凍ケーシング91は、軸受部95の載置部95aに載置される。変更例の製氷機構90によれば、駆動手段76により回転されたオーガ92の剥離刃94によって冷凍ケーシング91の製氷面91aの氷を剥離し、製氷面91aとオーガ本体93の内周面との間を氷が上方に搬送される。そして、冷凍ケーシング91の上方の氷収集部Sに到来した氷は、半径方向内側(回転中心側)に案内されて、冷凍ケーシング91の内部に上下に貫通するように設けられた氷放出路35aを介して貯氷室に放出される。
(2)実施例の軸受部44は、軸部45の下端にテーパ部46を設けたが、図13に示す第1変更例の軸受部96の如く、軸部45の中間部にテーパ部46を設ける構成であってもよい。なお、テーパ部は、軸受部における軸部の外側にオーガ本体を配置する構成であれば下から上に向かうにつれて縮径するように斜めに形成され、これに対し、軸部の内側にオーガ本体を配置する構成であれば、下から上に向かうにつれて拡径するように斜めに形成される。
(3)また図14に示す第2変更例の軸受部98の如く、軸部45を下から上に向かうにつれて径が狭まるよう形成し、この軸部45に対応してオーガ本体52の内周面52bを斜めに形成することで、軸部45に実施例で説明したテーパ部46としての機能を持たせることができる。
(4)実施例の軸受部44は、下部にオーガ50のスラスト荷重を支持する載置部47を設けたが、図15に示す第3変更例の軸受部100の如く、軸部45の中間部に載置部47を設けて、この載置部47に対応してオーガ本体52に形成された段部102を載置部47に載置するよう構成してもよい。このように、載置部47でオーガ50のスラスト荷重を支持する構成とすることで、オーガ50の下方に突出する軸を省略でき、従来例で説明したオーガ16の如く下側に軸部16aが突出することはない。また、オーガ50の下端面と軸受部100との間に、冷凍ケーシング64の製氷面64aとオーガ50における第1の周面52aとの間に連通する空間を設けることができ、給水パーツ34を介するオーガ50側からの給水がより行ない易くなる。
(5)また、図16に示す第4変更例の軸受部101の如く、軸部45の上端に載置部47を設け、オーガ本体52の上端に設けられた庇状部52fを載置部47に載置する構成も採用し得る。このように、載置部47でオーガ50のスラスト荷重を支持する構成とすることで、オーガ50の下方に突出する軸を省略でき、従来例で説明したオーガ16の如く下側に軸部16aが突出することはない。また、オーガ50の下端面と軸受部101との間に、冷凍ケーシング64の製氷面64aとオーガ50における第1の周面52aとの間に連通する空間を設けることができ、給水パーツ34を介するオーガ50側からの給水がより行ない易くなる。
(6)図17に示す第1変更例のオーガ104の如く、オーガ本体105を基本的に合成樹脂から構成し、剥離刃106の刃先を構成する薄い金属材料107でオーガ本体105の外周面を一体的に被覆する構成であってもよい。これによりオーガ本体105の剛性および耐久性を向上することができる。
(7)図18に示す第2変更例のオーガ110の如く、金属製の補強用の芯材112と、この芯材112から半径方向に突出して設けられ、剥離刃115の刃先を構成する刃先部113と、芯材112を覆うと共に該芯材112および刃先部113の間を埋める合成樹脂部分114とからオーガ本体111を構成してもよい。これにより、オーガ本体111の剛性および耐久性を向上することができる。
(8)実施例の製氷機構30は、軸受部44の内側に配置した給水パーツ34から製氷水を供給し、冷凍ケーシング64の内周面と給水パーツ34の間に製氷水を貯留する構成であるが、図19に示す給水構造の如く、給水パーツを省略する構成であってもよい。変更例の給水構造を備えた製氷機構120は、冷凍ケーシング64の周壁66下部に給水部40を設け、この給水部40に給水機構80の給水管83が接続される。変更例の給水構造は、給水管83より製氷水が冷凍ケーシング64とオーガ本体52の外周面52aとの間に供給され、冷凍ケーシング64の製氷面64aと軸受部44との間に製氷水が貯留される。すなわち、軸受部44が製氷水貯留空間を画成する部材として兼用される。なお、図19に示す製氷機構120には、実施例の給水パーツ34から円筒本体35を除いた形状のフランジ部材121が冷凍ケーシング64とベース32との間に配設され、このフランジ部材121が実施例の給水パーツ34のフランジ部36と同様に断熱材およびドレンパンとしての機能を有している。
(9)実施例では、冷凍ケーシング64の上面に取り付けた架台78により駆動手段76を支持したが、図20に示すように、変更例に係る架台124の如く、該架台124における台部124aの両縁に設けた支持脚部124b,124bをベース32の設置部32aに載置して、冷凍ケーシング64に駆動手段76の荷重がかからないよう構成してもよい。変更例の架台124によれば、駆動手段76の荷重をベース32で支持するので、冷凍ケーシング64に要求される剛性が低くなり、冷凍ケーシング64の厚みを更に薄くできる。
(10)図21に示す案内部材126の変更例の如く、氷の半径方向内側への円滑な移動を補助する回転規制部127を該案内部材126の下面に設けてもよい。変更例の案内部材126は、平面部分の下面に、半径方向に対して交差するように斜めに延在すると共に下方に突出して回転規制部127が複数設けられ、変更例では90°づつ位相をずらして4つの回転規制部127が設けられている。変更例の回転規制部127は、半径方向内側から外側に向かうについてオーガ50の回転方向前側から後側に延在するよう形成されている。この際、動力伝達部58のスポーク部59を途中で屈曲する形状ではなく、直線的な形状としてもよい。なお、回転規制部127と動力伝達部58のスポーク部59とは干渉しないよう構成されている。
(11)冷凍ケーシングの製氷面に形成される凹凸は、切削加工やショットピーニング等の加工方法により設けてもよい。
(12)オーガの動力伝達部は、全体を合成樹脂で形成する構成に限定されず、金属材料で適宜に補強してもよい。すなわち、接続ボス部の外面を金属材料で被覆したり、接続ボス部およびスポーク部に芯材として金属材料を配設する構成が採用される。これにより、動力伝達部の耐久性を向上させることができる。なお、動力伝達部の合成樹脂部分と金属材料部分の接合は、インサート成形、ネジ止め、接着またはカシメ等、またはこれらを組合わせて行なわれる。
(13)冷凍ケーシングに設けられる冷媒流路は、本体ブロックにおける隣り合う直管部を下部ブロックおよび上部ブロックの凹部で交互に連通し、該凹部で折り返して周方向に蛇行する一本の経路が連続する構成であってもよい。
(14)駆動手段を支持する架台を、下方に開口する箱状に形成し、架台を冷凍ケーシングの上部に取り付けた際に、架台により冷凍ケーシングの上側を異物が侵入しないように密閉する構成としてもよい。
(15)動力伝達部は、駆動手段の出力軸とオーガ本体とを連結し、出力軸の回転駆動によりオーガ本体を回転し得る構成であれば、後述する第1〜第5変更例の動力伝達部の如く、出力軸とオーガの回転中心との間の半径方向の位置ずれを吸収する構成としてもよい。前述した如く、オーガは、軸受部により回転中心を合わせて位置決めされる構成であるので、駆動手段の出力軸をオーガの回転中心と厳密に位置合わせする必要はない。すなわち、動力伝達部を、出力軸とオーガの回転中心との間の半径方向の位置ずれを吸収する構成とすることで、出力軸と動力伝達部との組み付けが容易になり、駆動手段の組み付け精度および動力伝達部の寸法精度を低く設定することができる。また、駆動手段にかかる負荷を軽減することもできる。出力軸とオーガの回転中心との間の半径方向の位置ずれを吸収する動力伝達部の構成について、以下に具体例を挙げて説明する。
(16)図22に示す第1変更例の動力伝達部130は、オーガ本体52の上端部に開口する軸空間(開口)52cを挟んで設けられた一対の溝部129,129に側端部が夫々挿入されるスポーク部131と、このスポーク部131に整合する挿入溝132bを有し、該スポーク部131に挿入溝132bを合わせて載置される接続ボス部132とを備えている。各溝部129は、上方に開放すると共に、オーガ本体52の内周面52b側から外周面52a側に亘って内外方向に連通するよう形成される。スポーク部131は、両側端部を溝部129,129に夫々挿入した際に、該溝部129,129により周方向への移動が規制されてオーガ本体52に出力軸77の回転を伝達し得る一方、半径方向の移動が許容されるようになっている。接続ボス部132には、上方に開口する軸溝132aが設けられ、この軸溝132aに出力軸77が嵌合して該出力軸77の回転が伝達されるようになっている。また接続ボス部132の挿入溝132bは、水平方向に連通すると共に下方に開放するよう形成される。そして接続ボス部132は、スポーク部131に挿入溝132bを整合させて載置した際に、スポーク部131により接続ボス部132の周方向の移動が規制されてスポーク部131に出力軸77の回転を伝達し得る一方、接続ボス部132におけるスポーク部131に沿う半径方向の移動が許容される。第1変更例の動力伝達部130は、スポーク部131がオーガ本体52に対し半径方向に移動し、接続ボス部132がスポーク部131に対し半径方向に移動することで、出力軸77とオーガ本体52との位置ずれを吸収するようになっている。
(17)図23に示す第2変更例の動力伝達部134は、オーガ本体52の上端部に開口する軸空間(開口)52cに架設してオーガ本体52に固定されたスポーク部135と、このスポーク部135に整合する挿入溝136bを有し、該スポーク部135に挿入溝136bを合わせて載置される接続ボス部136とを備えている。接続ボス部136には、矩形状の出力軸133より長手方向が長尺に形成されて上方に開口する矩形状の軸溝136aが設けられ、この軸溝136aに挿入した出力軸133の該軸溝136aの長手方向への移動を許容するよう構成される。なお、接続ボス部136は、出力軸133の回転方向に対しては出力軸133に嵌合して該出力軸133の回転が伝達されるようになっている。また接続ボス部136の挿入溝136bは、水平方向に連通すると共に下方に開放するよう形成される。そして接続ボス部136は、スポーク部135に挿入溝136bを整合させて載置した際に、スポーク部135により接続ボス部136の周方向の移動が規制されてスポーク部135に出力軸133の回転を伝達し得る一方、接続ボス部136におけるスポーク部135に沿う半径方向の移動が許容される。このように、第2変更例の動力伝達部134は、出力軸133に対して軸溝136aに半径方向に遊びが設けられると共に、接続ボス部136がスポーク部135に対し半径方向に移動することで、出力軸133とオーガ本体52との位置ずれを吸収するようになっている。
(18)図24に示す第3変更例の動力伝達部138は、オーガ本体52の上端部に開口する軸空間(開口)52cに架設してオーガ本体52に固定されたスポーク部135と、このスポーク部135の側面に当接可能な突片140b,140bを有し、スポーク部135に載置される接続ボス部140とから構成される。接続ボス部140には、上方に開口する軸溝140aが設けられ、この軸溝140aに出力軸77が嵌合して該出力軸77の回転が伝達されるようになっている。また、接続ボス部140には、スポーク部135を挟んで該スポーク部135の側面に当接する対になった突片140b,140bが設けられている。一対の突片140b,140bは、該接続ボス部140の下面において軸溝140aの回転中心から半径方向外側に夫々位置させて該回転中心を挟んで対称に配置されると共に、下方に突出するよう形成されている。そして接続ボス部140は、スポーク部135に載置した際に、一対の突片140b,140bがスポーク部135に当接することで接続ボス部140の周方向の移動が規制されてスポーク部135に出力軸77の回転を伝達し得る一方、接続ボス部140におけるスポーク部135に沿う半径方向の移動が許容される。このように、第2変更例の動力伝達部138は、接続ボス部140がスポーク部135に対し半径方向に移動することで、出力軸77とオーガ本体52との位置ずれを吸収するようになっている。なお、突片140bは、2本に限定されず、1本であっても3本以上であってもよい。
(19)図25に示す第4変更例の動力伝達部142は、オーガ本体52の上端部に開口する軸空間(開口)52cに架設してオーガ本体52に固定されたスポーク部135と、このスポーク部135に挿入溝132bを合わせて載置される接続ボス部132とを備えている。接続ボス部132には、上方に開口する軸溝132aが設けられ、この軸溝132aに出力軸77が嵌合して該出力軸77の回転が伝達されるようになっている。また接続ボス部132の挿入溝132bは、水平方向に連通すると共に下方に開放するよう形成される。第4変更例の動力伝達部142は、接続ボス部132の挿入溝132bとスポーク部135との間に、接続ボス部132のスポーク部135に対する変位を許容する調節部144が設けられている。調節部144は、下方に開放した断面コ字状の部材であって、スポーク部135の上面および両側面を覆って被着され、この調整部144を覆うように挿入溝132bを嵌め合わせて接続ボス部132がスポーク部135に組み付けられる。また調節部144は、ゴムや発泡体等の弾力性を有する材料から形成され、この調節部144が半径方向に変形することで、出力軸77とオーガ本体52との位置ずれを吸収するようになっている。
(20)図26に示す第5変更例の動力伝達部146は、オーガ本体52の上端部に開口する軸空間(開口)52cに架設してオーガ本体52に固定されたスポーク部135と、このスポーク部135に挿入溝148bを合わせて載置される接続ボス部148とを備えている。接続ボス部148には、上方に開口する軸溝148aが設けられ、この軸溝148aに出力軸77が嵌合して該出力軸77の回転が伝達されるようになっている。また接続ボス部148の挿入溝148bは、水平方向に連通すると共に下方に開放するよう形成される。更に、接続ボス部148は、軸溝148aと挿入溝148bとの間に、接続ボス部148の軸溝148a側のスポーク部135に対する変位を許容する調節部148cが設けられている。調節部148cは、バネを介挿することやベローズ形状とすること等により、半径方向に変位可能に構成され、この調節部148cが半径方向に変形することで、出力軸77とオーガ本体52との位置ずれを吸収するようになっている。
(21)オーガ本体と動力伝達部とを合成樹脂から一体成形したオーガを実施例に挙げたが、これに限定されず、動力伝達部を合成樹脂から成形し、この動力伝達部を金属製のオーガ本体に取り付ける構成であってもよい。またオーガ本体を合成樹脂から成形し、金属製の動力伝達部をこのオーガ本体に取り付ける構成も採用し得る。このように、オーガ本体または動力伝達部の何れか一方を、金属と比べて熱伝導率が低い合成樹脂から成形することで、駆動手段と冷凍ケーシングとの間の熱伝導を抑制することができる。
(22)オーガは、オーガ本体における軸受部に臨む第2の周面および下端面に、オーガ本体と軸受部との摺動面から異物を排出するための溝を設けてもよい。また、軸受部は、軸部および載置部のオーガ本体に臨む面に、オーガ本体と軸受部との摺動面から異物を排出するための溝を設けてもよい。
(23)図27〜図31を参照して、別の変更例に係る製氷機構200について説明する。なお、以下では、前述した実施例の製氷機構30との相違する構成を主に説明し、別の変更例に係る製氷機構200に関して実施例と同様の構成は同一の符号を用いて説明を省略する。
実施例では、製氷機構30を製氷機本体に対して支持固定するベース32と、冷凍ケーシング64やオーガ50が載置される基礎部分となる給水パーツ34とを別体に構成したが、図27〜図29に示す別の変更例に係る製氷機構200の如く、ベース202と給水パーツ204とを樹脂等により一体形成してもよい。別の変更例の製氷機構200では、上方に開口する箱状に形成されたベース202の内側に実施例1で前述した給水パーツ34においてフランジ部36に対応する台状部分206を設け、この台状部分206の中央部分に上下方向に貫通する円筒形の円筒本体208が設けられる。別の変更例の製氷機構200は、円筒形の軸部210aの下端に半径方向外側に延出する載置部210bを備えた軸受部210が、軸部210aで円筒本体208を囲うと共に載置部210bで台状部分206の上側を覆って取り付けられている。このように、ベース202と給水パーツ204とを一体とすることで、部品点数を減らすことができる。また、ベース202において、台状部分206と外壁202aとの間が露受けとして機能する。
実施例の製氷機構30では、オーガ50の内側から製氷水を供給したが、図27に示す別の変更例に係る製氷機構200の給水構造の如く、冷凍ケーシング64の内周面とオーガ50の外周面との間に下側から製氷水を供給してもよい。図28に示すように、給水パーツ204には、台状部分206に円筒本体208を囲んで該円筒本体208と同心円状に溝206a,206bが二重に設けられ、外側に位置する給水溝206aが冷凍ケーシング64の内周面とオーガ50の外周面との間に対応して配置されている。また、給水溝206aは、上側が軸受部210の載置部210bで覆われている(図27参照)。なお、載置部210bには、給水溝206aに対応して給水孔210cが複数開設されている。給水溝206aには、図示しない製氷水タンクに接続する給水部207が接続され、給水部207を介して製氷水が製氷水タンクから供給されて、給水孔210cを介して冷凍ケーシング64の製氷面64aとオーガ本体52との間に製氷水が満たされる。
図27に示すように、前記台状部分206において給水溝206aと区画して該給水溝206aと円筒本体208との間に設けられた排水溝206bは、円筒本体208と軸受部210の軸部210aとの間の隙間の下側に位置し、該隙間を介して流下する製氷水や結露水等を受容するようになっている。排水溝206bには、台状部分206の下側に抜ける排水部209が接続され、この排水部209から排水溝206bで受けた製氷水が排出される。なお、別の変更例の製氷機構200では、軸受部210とオーガ本体52との間に潤滑性を有する軸受材212が設けられている(図28参照)。軸受材212は、軸受部210の軸部210aとオーガ本体52の内周面との間に挟まれる円筒部分と、この円筒部分の下端から半径方向外側に延出し、オーガ本体52の下端面と軸受部210の載置部210bとの間に挟まる延出部分とを備えている(図27参照)。
実施例では、オーガ50のロック時に駆動手段76の過負荷を防止する保護機構として、動力伝達部58における接続ボス部60とスポーク部59との連結部分やスポーク部59に設けた脆弱部を挙げたが、動力伝達部において出力軸77に連結する部分を他の部分と比べて脆弱にしたり、その他の構成も採用可能である。図27に示す別の変更例の製氷機構200において、動力伝達部214は、出力軸77に連結する連結体220を、接続ボス部(接続部)216およびスポーク部218と別体に有している(図29参照)。動力伝達部214では、接続ボス部216に設けられた軸溝(溝部)216aに対して連結体220が嵌り込むよう構成されている。連結体220は、軸溝216aに合わせて外周寸法が設定された円筒形の本体部220aと、この本体部220aの上端に外方に延出形成されたフランジ220bと、本体部220aの中央に上下方向に貫通形成された軸挿入孔220cとを備えている(図27参照)。また、連結体220には、軸挿入孔220cの内周面から半径方向外側に凹ませたキー溝220dが、軸挿入孔220cの上下に亘って設けられると共に、本体部220aの外周面に半径方向外側に突出形成した突状部220eが、上下方向に延在するように設けられる(図29参照)。なお、本体部220aの外周面には、2条の突状部220e,220eが対称な関係で配置されている。そして、接続ボス部216の軸溝216aには、内周面から半径方向外側に凹む凹部216bが、連結体220の2つの突状部220e,220eに合わせて形成されている。
前記連結体220は、出力軸77の下端に半径方向外側に突出形成したキー(図示せず)をキー溝220dに合わせて、出力軸77を軸挿入孔220cに嵌め合わせることで、出力軸77の回転に追随するようになっている。また、連結体220は、2つの突状部220e,220eを接続ボス部216の凹部216bに合わせて軸溝216aに嵌め合わせることで、動力伝達部214が出力軸77に接続されて、出力軸77の回転につれてオーガ本体52が回転される。連結体220は、接続ボス部216およびスポーク部218より剛性が低く形成されて、動力伝達部214の中でオーガ本体52の回転に対し過負荷がかかった際に破損する脆弱部となるよう構成される。すなわち、連結体220は、オーガ本体52がロックしているのにかかわらず出力軸77が回転すると、連結体220自体が破損して出力軸77と接続ボス部216との間の接続状態が解除される。このように、オーガ本体52のロック時に動力伝達部214が出力軸77の回転を伝達しない構成とすることで、駆動手段76の過負荷を回避して、オーガ50と比較して高価な駆動手段76や冷凍ケーシング64等の故障や破損等を防止できる。また、動力伝達部214は、接続ボス部216の軸溝216aの中に連結体220が収容される構成であるので、連結体220が破損しても、連結体220が接続ボス部216の下方に位置する氷放出路35aを介して落下することはなく、製造した氷への異物の混入を防止し得る(図27参照)。
図28または図30に示すように、別の変更例の製氷機構200では、駆動手段76を支持する架台222が下方に開口する円筒形状に形成されて、下側開口部222aが冷凍ケーシング64の上部外周に整合する大きさに設定されている。架台222は、下側開口部222aの内側に冷凍ケーシング64の上部を嵌め合わせて固定される。架台222は、冷凍ケーシング64の上部が内側に挿入されるので、冷凍ケーシング64に対して半径方向(横方向)への移動規制される。すなわち、架台222は、冷凍ケーシング64に対して正確に位置決めできるので、架台222で支持する駆動手段76の出力軸77とオーガ50との芯ずれを抑制できる。また、架台222の上端面には、該上端面に載置される駆動手段76の出力軸77が挿通可能な孔部222bが設けられ、該孔部222bを介して架台222の内部に挿入された出力軸77がオーガ50の動力伝達部214に接続される。更に、架台222には、窓部222cが周面に設けられ(図27または図30参照)、この窓部222cを介して出力軸77やオーガ50の回転状況等を確認したり、架台222の内部や後述する案内部材224に配設されるセンサ等の配線が配設される。なお、窓部222cには、着脱可能な蓋223を設けてある(図30参照)。
別の変更例に係る製氷機構200は、図27または図31に示すように、氷収集部Sにおいて氷の半径方向内側への円滑な移動を補助する回転規制部226を内周面に備えた案内部材224を採用している。案内部材224は、上下に開口する円筒形状の筒本体部(本体部)224aを基本として、この筒本体部224aの上端面を塞ぐ蓋体228に動力伝達部214の接続ボス部216が挿通される挿通口228aが開設されている。案内部材224における筒本体部224aの下端部は、冷凍ケーシング64の内側に整合するよう形成され、案内部材224は、筒本体部224aの下端部を冷凍ケーシング64の収容空間65に嵌め合わせて固定される(図27参照)。これにより、製氷機構200には、冷凍ケーシング64の上側に、オーガ50で冷凍ケーシング64の製氷面64aに沿って掻き上げられた氷を、冷凍ケーシング64の中心側に給水パーツ204における円筒本体208で画成された氷放出路35aに案内する氷収集部Sが案内部材224により形成される(図27参照)。筒本体部224aの内周面には、周方向に所要間隔離間させて複数の回転規制部226が突出形成されている。各回転規制部226は、筒本体部224aの内周面の上下に亘って延在し、内周面から離間するにつれて狭まるように面を組み合わせた平断面略三角形状に形成されている。回転規制部226は、冷凍ケーシング64の上側に案内部材224で画成される氷収集部Sにおいて、筒本体部224aの内周面に沿って動力伝達部214のスポーク部218で押送された氷を、該内周面から突出した面で内側に位置する氷放出路35aの氷放出口35bに向けて案内している。なお、動力伝達部214のスポーク部218は、筒本体部224aの内周面から離間させて配設されて、回転規制部226とは干渉しないよう構成されている。
図31に示すように、案内部材224には、筒本体部224aの外周面に半径方向外側に延出する露受け230を設けてもよい。露受け230は、外周縁に上方に立設する壁を有する上側が開口した半樋状に形成されており、筒本体部224aの外周面全周に亘って設けられている。また、露受け230は、半径方向外側に突出する排出部230aを、筒本体部224aを挟んで対称な位置関係で2つ備えている。案内部材224は、冷凍ケーシング64の上端に取り付けた架台222の内側に収容されて、露受け230で案内部材224の外周面に付着した結露水を受けて、架台222の周面に開設された排水開口222dを介して外方に突出する排出部230aから結露水を排出するようになっている。案内部材224は、下部を冷凍ケーシング64の上部内側に嵌め合わせた際に、露受け230が冷凍ケーシング64の上端面に載置され、これにより案内部材224の上下方向の位置決めがされる(図27参照)。排出部230aの排出端には、ホースや配管等を接続したり、該排出端をベース202のドレン部分の直上に配置することで結露水を回収するようになっている。このように、案内部材224の外周面に露受け230を設けることで、冷凍ケーシング64の内側に結露水が流入しないようになっている。
図31に示すように、前記案内部材224は、筒本体部224aの上側開口を開閉可能な蓋体228で塞ぐ構成になっている。案内部材224は、筒本体部224aの上端に対してヒンジ232で開閉可能に接続された蓋体228と、ヒンジ232と筒本体部224aを挟んで反対側に設けられ、蓋体228の開放側を係脱可能に保持する係止手段234とを備えている。蓋体228は、通常使用状態において係止手段234で筒本体部224aの上側開口を塞ぐように保持されている(図31(a)参照)。係止手段234は、蓋体228側に設けた磁石229と筒本体部224a側の鉄等の強磁性体からなる金属材との磁着(図31参照)や、爪と溝との凹凸関係による引っ掛け構造等が採用される。また、係止手段234は、蓋体228を筒本体部224aに保持した状態において、蓋体228に対して所定の押圧力以上の力が下側から加わると蓋体228の係止状態を解除するように構成される。すなわち、係止手段234として磁石229を用いた場合には、蓋体228に磁石229の磁力以上の押圧力が加わると、磁力に抗して蓋体228の開放が許容される。なお、係止手段として引っ掛け構造を用いた場合には、蓋体228に爪の弾性力以上の押圧力が加わると、爪が溝から抜けて蓋体228の開放が許容される。案内部材224は、氷放出路35aが詰まった場合等、冷凍ケーシング64と案内部材224との間の氷収集部Sから氷が放出されない際に、蓋体228を押し上げる氷の押圧力が係止手段234の係止力を越えると係止手段234が解除されて蓋体228が開放される。このように、案内部材224は、蓋体228が開放されることで筒本体部224aの上側開口から氷を逃すことが可能であり、氷の詰まりに起因する駆動手段76やオーガ50等への過負荷を防止することができる。なお、案内部材は、蓋体を開放規制する規制手段を設けず、蓋体を自重により閉成する構成であってもよい。
前記案内部材224には、蓋体228の開放を検知する蓋開放センサ236が設けられ、製氷機構200は、蓋体228の開放検知に応じて駆動手段76の駆動や冷凍ケーシング64の冷却等の製氷運転を停止するようになっている。別の変更例に係る製氷機構200では、蓋開放センサ236として、蓋体228に設けられた磁石229の磁界を検知する近接センサが採用されているが、これに限定されず、蓋体228との接離により蓋体228の開放を検知する機械的なスイッチやフォトセンサ等の検知手段も採用できる。製氷機構200は、蓋体228が開放した際に蓋開放センサ236の検知により製氷運転を停止するので、駆動手段76やオーガ50等への過負荷を防止することができ、異常発生時に製氷機構200を構成する部材の破損を回避できる。
図27に示すように、氷放出路35aに貯氷検知センサ238を設けてもよい。製氷機構200は、氷放出路35aを画成する給水パーツ204の円筒本体208の内周面下部に、貯氷検知センサ238として赤外線センサを設け、氷放出路35aを介して製氷機構200から該製氷機構200の下方に設けられた貯氷室(図示せず)に放出された氷の貯蔵上端を検知するようになっている。製氷機構200は、貯氷検知センサ238で氷の存在を検知した際に、駆動手段76および冷凍機構が停止されて、貯氷室の氷が消費されるまで製氷運転を停止するようになっている。なお、貯氷検知センサ238としては、氷との接離により氷の存在を検知する機械的なスイッチ、近接センサやフォトセンサ等の検知手段も採用できる。