JP2010031205A - 二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた湿度度変化に対する優れた寸法安定性とボイドの少ない表面性とを兼ね備えた二軸配向フィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体を提供。
【解決手段】6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分(5モル%以上50モル%未満)、他の芳香族ジカルボン酸成分(50モル%を超え95モル%以下)および炭素数2〜10のアルキレングリコールからなり、平均粒径が0.05μm以上の不活性粒子を含有するポリエステル組成物を、同時二軸延伸によってフィルムの製膜方向および幅方向のヤング率がともに4GPa以上でかつ両者の合計が22GPa以下となるように二軸配向した二軸配向ポリエステルフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法に関する。特に高密度磁気記録媒体用ベースフィルムとして好適な、寸法安定性、表面性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法に関する。
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートに代表される芳香族ポリエステルは、優れた機械的特性、寸法安定性および耐熱性を有するのでフィルムなどに幅広く使用されている。特にポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートは、ポリエチレンテレフタレートよりも優れた機械的特性、寸法安定性および耐熱性を有し、それらの要求の厳しい用途、例えば高密度磁気記録媒体などのベースフィルムなどに使用されている。
しかしながら、近年の高密度磁気記録媒体などでの寸法安定性や表面平滑性の要求はますます高くなってきており、さらなる特性の向上が求められている。
特許文献1〜4には6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を主とする酸成分と、ジオール成分とのエステル単位からなるポリエステルが提案されている。該文献には、結晶性で、融点が294℃のポリエステルが開示されている。これらの特許文献1〜4に開示されたポリエステルは、融点が非常に高く、また結晶性も非常に高く、フィルムなどに成形しようとすると、溶融状態での流動性が乏しく、押出しが不均一化したり、押出した後に延伸しようとしても結晶化が進んで高倍率で延伸すると破断したりするなどの問題があった。
また、フィルムを得る工程や得られたフィルムを取り扱う工程における取扱い性の向上およびしわなどの品質トラブルの発生防止を目的として、ポリエステルに不活性粒子を添加する方法が用いられている。
ところが、これらの不活性粒子は、ポリエステルとの界面にボイドと呼ばれる空隙を生じやすく、フィルムの平坦性が悪化する。その結果、フィルム製品のうちでも特に平坦性が求められる用途、例えば磁気記録用テープなどに用いた場合、ボイドを含む粗大突起によってドロップアウトなどの欠点が発生する。
そのため、ポリエステルフィルム中のボイドを低減した、表面平滑性に優れたポリエステルフィルムを得ることが強く望まれている。
特開昭60−135428号公報 特開昭60−221420号公報 特開昭61−145724号公報 特開平6−145323号公報
本発明の課題は、従来技術の問題を解消し、湿度変化に対する寸法安定性が優れ、かつボイドが少なく表面性が優れる二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体を提供することにある。
本発明者らは、まず寸法安定性、特に温度や湿度が変化したときの環境変化に対する寸法安定性を高めるために、αt(温度膨張係数)およびαh(湿度膨張係数)が低いフィルムを提供することを鋭意検討した結果、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などをジカルボン酸成分とするポリエステルに、所定量の6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸(以下、ANAと称することがある。)を共重合させたポリエステルは、製膜性に優れ、該共重合ポリエステルから外観および機械的強度に優れたフィルムが得られ、しかもANAの特性である低いαh値を有し、かつαtも低い値を示すことを見出し、先に出願した。
ただ、このように優れた寸法安定性を有するフィルムではあるものの、高容量化されたデータストレージ用磁気記録媒体用などに用いるには、ボイドなどに起因する表面性の悪化を更に改善することが求められ、その課題を解消したのが本発明である。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のポリエステルを同時二軸延伸して得られた二軸配向ポリエステルフィルムを使用した磁気テープであれば、目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
かくして本発明によれば、平均粒径が0.05μm以上の不活性粒子を含有する芳香族ジカルボン酸成分およびジオール成分からなる下記(i)〜(ii)
(i)ジカルボン酸成分が5モル%以上50モル%未満の下記式(A)および50モル%を超え95モル%以下の下記式(B)で表される繰り返し単位を含有すること、
(ii)ジオール成分が90〜100モル%の下記式(C)で表される繰り返し単位を含有すること、
を具備するポリエステル組成物からなり、
同時二軸延伸によってフィルムの製膜方向および幅方向のヤング率がともに4GPa以上でかつ両者の合計が22GPa以下となるように二軸配向された二軸配向ポリエステルフィルムが提供される。
Figure 2010031205
(式(A)中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基、式(B)中、Rはフェニレン基またはナフタレンジイル基、式(C)中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基である。)
また、本発明によれば、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの好ましい態様として、前記式(A)で表されるジカルボン酸成分が、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分であること、フィルムの厚みが2〜10μmであること、フィルムの幅方向の湿度膨張係数(αh)が0.1×10−6〜10×10−6/%RHの範囲にあること、フィルムの幅方向の温度膨張係数(αt)が−15×10−6〜15×10−6/℃の範囲にあること、磁気記録媒体の支持体に用いることの少なくともいずれかひとつを具備する二軸配向ポリエステルフィルムも提供される。
さらにまた、平均粒径が0.05μm以上の不活性粒子を含有する芳香族ジカルボン酸成分およびジオール成分からなる下記(i)〜(ii)
(i)ジカルボン酸成分が5モル%以上50モル%未満の前記式(A)および50モル%を超え95モル%以下の前記式(B)で表される繰り返し単位を含有すること、
(ii)ジオール成分が90〜100モル%の前記式(C)で表される繰り返し単位を含有すること、
を具備するポリエステル組成物を、同時二軸延伸によってフィルムの製膜方向および幅方向のヤング率がともに4GPa以上でかつ両者の合計が22GPa以下となるまで製膜方向および幅方向に延伸する二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法も提供される。
本発明によれば、湿度変化による寸法変化が少ない特定のポリエステルを原料とし、かつそれを同時二軸延伸によって特定のヤング率範囲となるように延伸したことにより、優れた湿度変化に対する寸法安定性を備え、さらにボイドが少なく表面性も優れた二軸配向ポリエステルフィルムが得られ、それを磁気記録媒体のベースフィルムとして用いれば、高密度記録に適した磁気記録媒体が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるポリエステルは、芳香族ジカルボン酸成分およびジオール成分からなるポリエステルであって、(i)ジカルボン酸成分が5モル%以上50モル%未満の前記式(A)および50モル%を超え95モル%以下の前記式(B)で表される繰り返し単位を含有し、(ii)ジオール成分が90〜100モル%の前記式(C)で表される繰り返し単位を含有するポリエステル共重合体(以下「CoPEs」ということがある)であり、下記の芳香族ジカルボン酸成分およびジオール成分からなる。
〔ジカルボン酸成分〕
式(A)で表される繰り返し単位の含有量の上限は、50モル%(50モル%を含まず)、好ましくは45モル%、より好ましくは40モル%、さらに好ましくは35モル%、特に好ましくは30モル%である。下限は、好ましくは5モル%、より好ましくは7モル%、さらに好ましくは10モル%、特に好ましくは15モル%である。従って、式(A)で表される繰り返し単位の含有量は、好ましくは5〜45モル%、より好ましくは7〜40モル%、さらに好ましくは10〜35モル%、特に好ましくは15〜30モル%である。
式(A)で表される繰り返し単位は、好ましくは6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、6,6’−(トリメチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸および6,6’−(ブチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸由来の単位が好ましい。これらの中でも式(A)におけるRAの炭素数が偶数のものが好ましく、特に6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸由来の単位が好ましい。
本発明におけるCoPEsは、ジカルボン酸成分が5モル%以上50モル%未満の式(A)で示される単位を含有することを特徴とする。式(A)で示される単位の割合が下限未満では湿度膨張係数の低減効果が発現し難い。また上限よりも少なくすることで製膜性を向上できるという利点もある。
つぎに、式(B)中、Rはフェニレン基またはナフタレンジイル基である。このうち、RBがナフタレンジイル基であることが、フィルムの耐熱寸法安定性が優れるので好ましい。
また、式(B)で表される繰り返し単位として、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸に由来する単位、またはこれらの組み合わせが挙げられる。これらのうち、2,6−ナフタレンジカルボン酸が上記と同じ理由で好ましい。
〔ジオール成分〕
ジオール成分は、90〜100モル%の前記式(C)で表される繰り返し単位を含有する。式(C)で表される繰り返し単位の含有量は、好ましくは95〜100モル%、より好ましくは98〜100モル%である。
式(C)中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基である。Rのアルキレン基として、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等が挙げられる。これらの中でも式(C)で表されるジオール成分として、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等に由来する単位が好ましく挙げられる。これらの中でもエチレングリコールに由来する単位が特に好ましい。ジオール成分のエチレングリコール由来の単位の含有量は、好ましくは90モル%以上、より好ましくは90〜100モル%、さらに好ましくは95〜100モル%、最も好ましくは98〜100モル%である。
〔CoPEs〕
本発明におけるCoPEsは、式(A)で表される繰り返し単位と、式(C)で表される繰り返し単位で構成されるエステル単位(−(A)−(C)−)の含有量は、全繰り返し単位の好ましくは5モル%以上50モル%未満、より好ましくは5〜45モル%、さらに好ましくは10〜40モル%である。
他のエステル単位として、エチレンテレフタレート、トリメチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレートなどのアルキレンテレフタレート単位、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、トリメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどのアルキレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位が好ましく挙げられる。これらの中でも機械的特性などの点からエチレンテレフタレート単位やエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位が好ましく、特にエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位が好ましい。
本発明におけるCoPEsは、P−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比40/60)の混合溶媒を用いて35℃で測定した固有粘度が0.4〜3、好ましくは0.4〜1.5dl/g、さらに好ましくは0.5〜1.2dl/gである。
本発明におけるCoPEsの融点は、200〜260℃の範囲、好ましくは205〜257℃の範囲、より好ましくは210〜255℃の範囲である。融点はDSCで測定する。
融点が上限を越えると、溶融押出して成形する際に、流動性が劣り、吐出などが不均一化しやすくなる。一方、下限未満になると、製膜性は優れるものの、ポリエステルの持つ機械的特性などが損なわれやすくなる。
一般的に共重合体は単独重合体に比べ融点が低く、機械的強度が低下する傾向にある。しかし、本発明のCoPEsは、式(A)の単位および式(B)の単位を含有する共重合体であり、式(A)の単位を有する単独重合体に比べ、融点が低いが機械的強度は同じ程度であるという優れた特性を有する。
本発明におけるCoPEsのDSCで測定したガラス転移温度(以下、Tgと称することがある。)は、好ましくは80〜125℃、より好ましくは95〜123℃、さらに好ましくは110〜120℃の範囲にある。Tgがこの範囲にあると、耐熱性および寸法安定性に優れたフィルムが得られる。融点やガラス転移温度は、共重合成分の種類と共重合量、そして副生物であるジアルキレングリコールの制御などによって調整できる。
ところで、本発明におけるポリエステルは、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を有する繰り返し単位と6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分を有しない繰り返し単位とが隣接する割合を抑制することで、より高温加工時の伸びを抑制できる。そういった観点から、所定の共重合量となるように1段階で重合したものよりも、式(A)で表される繰り返し単位の含有量が多いポリエステルと、式(A)で表される繰り返し単位の含有量が少ないもしくは含有しないポリエステルとを用意し、これらを溶融混練して所定の共重合量としたポリエステルが好ましく、また種々の共重合量のポリエステルを例えば2種類のポリエステルの割合を調整するだけで準備できるという利点もある。
〔不活性粒子〕
本発明におけるポリエステル組成物は、得られる成形品の取扱い性を向上させる観点から、含有する不活性粒子の平均粒径の下限が0.05μm以上、好ましくは0.07μm以上、より好ましくは0.1μm以上、特に好ましくは0.15μm以上であることが必要である。平均粒径が下限未満では、非常に粒子が小さくてボイドによる影響が発生しにくく、またフィルムなどにしたときの走行性や巻取り性の向上効果も十分に発現されがたい。一方、平均粒径の上限はフィルムとして用いる場合、通常5μm以下であり、好ましくは3μm以下である。特に磁気記録媒体として用いる場合、平均粒径の上限は1μm以下であることが好ましい。
また、本発明におけるポリエステル組成物は、得られる成形品の取扱い性を向上させる観点から、前述の粒子を、樹脂組成物の重量を基準として、0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上含有していることが好ましい。含有量が下限未満では、粒子の数が少なくボイドによる影響が発生しにくく、またフィルムとしたときの走行性や巻取り性の向上効果も十分に発現されがたい。なお、含有量の上限は、通常フィルムとして用いる場合は10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。特に、磁気記録媒体用のフィルムとして用いる場合は1重量%以下であることが好ましい。
ところで、本発明におけるポリエステル組成物は、フィルムなどにしたときの搬送性と表面の平坦性とを両立させる点から、含有する粒子の体積形状係数(f)は0.4〜π/6の範囲、さらに0.5〜π/6の範囲にあることが好ましい。体積形状係数(f)が下限以上であることで、粒子の配置される状況が異なっても形成される突起の形状が揃いやすくなる。そして、得られる突起が均一になると、例えば同じ摩擦係数のフィルムとしたとき、より表面粗さの小さいフィルムとすることができ、平坦性と走行性とを高度に両立しやすくなる。なお、体積形状係数が大きくなるほど、粒子の形状は球に近づき、ポリマーと粒子との界面が小さくなり、通常はボイドが生じやすくなる。しかし、本発明では延伸応力の小さな特定のCoPEsをさらに延伸応力の小さな同時二軸延伸によって延伸しているので、そのような球に近い粒子を用いてもボイドを抑制しつつ突起を均一化することができる。ちなみに、ここでいう体積形状係数(f)とは、粒子の平均体積(v)を、粒子の平均最大径(D)の3乗で割った値で、粒子の形状を示すものであり、π/6である粒子の形状は、球(真球)である。すなわち、体積形状係数(f)が0.4〜π/6のものは、実質的に球ないしは真球、ラグビーボールのような楕円球を含むものである。
また、本発明におけるポリエステル組成物が含有する粒子は、単独分散型粒子が好ましい。含有する粒子が凝集粒子や多孔質粒子であると、ボイドは抑制しやすいものの、ポリマー中の粒子径がばらつき易くなる。一方、本発明では、優れたボイド抑制効果を有するので、ボイドの問題を気にすることなく、前述の体積形状係数(f)と同じく、フィルムなどにしたときの搬送性と表面の平坦性とを両立させる点から、単独分散型粒子を好適に使用することができる。なお、ここでいう単独分散型粒子とは、一次粒子の大半、好ましくは全一次粒子数に対して60%以上の一次粒子が、一次粒子のままポリマー中に分散している粒子のことを意味する。
本発明における粒子としては、前述の平均粒径を有するもので、ポリマー中で安定的に存在できるものであれば特に制限されず、それ自体公知のものを採用できる。具体的なフィルム中に含有させる粒子としては、(1)有機高分子粒子(例えば、シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポリエステルなどからなる粒子)、(2)金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなど)、金属の炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなど)、金属の硫酸塩(例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなど)、炭素(例えば、カーボンブラック、グラファイト、ダイアモンドなど)および粘土鉱物(例えば、カオリン、クレー、ベントナイトなど)などのような無機化合物からなる粒子、さらに(3)異なる素材を例えばコアとシェルに用いたコアシェル型などの複合粒子など粒子の状態で添加する外部添加粒子が挙げられ、そのほかに(4)触媒などの析出によって形成する内部析出粒子などを挙げることができる。
これらの中でも、シリコーン樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレンなどの有機高分子粒子およびシリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の粒子であることが前述の体積形状係数などの点から好ましく、特にシリコーン樹脂、架橋ポリスチレンおよびシリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の粒子であることが好ましい。もちろん、これらは2種以上を併用しても良い。
〔二軸配向ポリエステルフィルム〕
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム両面の長手方向における中心線平均粗さ(Ra)がそれぞれ1〜10nmであることが好ましい。この中心線平均粗さ(Ra)は、好ましくは1〜8nm、さらに好ましくは1〜7nmである。この中心線平均粗さ(Ra)が下限未満ではフィルム製造時に極端に傷が発生しやすく、一方上限を超えると、磁気記録媒体に用いたとき記録出力が低下する。なお、中心線平均粗さ(Ra)について、易接着層がフィルム表面に積層されている場合は易接着層表面を測定した値を意味する。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、例えば、上記のCoPEsに不活性粒子を含有させた状態で、同時二軸テンターを用いて、製膜方向と幅方向とを同時に二軸延伸することにより得ることができる。なお、本発明における同時二軸延伸とは、製膜方向および幅方向におけるそれぞれの延伸倍率の50%以上が、同時二軸延伸であるものを意味し、例えばさらに逐次延伸と組合せてもよい。なお、逐次延伸と組合せる場合は、最初の延伸工程を同時二軸延伸とし、その後に逐次延伸を行うのがボイドの発生を抑制しやすいことから好ましい。
本発明において、フィルムの面方向とはフィルムの厚みに直交する面の方向であり、フィルムの製膜方向(縦方向)をMachine Direction(MD)ということがある。また、フィルムの幅方向(横方向)とはフィルムの製膜方向(MD)に直交する方向であり、Transverse Direction(TD)方向ということがある。
[温度膨張係数:αt]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの幅方向の温度膨張係数(αt)が、好ましくは15×10−6/℃以下、より好ましくは10×10−6/℃以下、さらに好ましくは7×10−6/℃以下、特に好ましくは5×10−6/℃以下の範囲であることが、雰囲気の温度変化による寸法変化に対して優れた寸法安定性を発現できることから好ましい。
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムの幅方向の温度膨張係数(αt)の下限は、好ましくは−15×10−6/℃、より好ましくは−10×10−6/℃、さらに好ましくは−7×10−6/℃である。フィルムの幅方向の温度膨張係数が上記範囲であることで、磁気記録媒体にしたときの寸法変化を抑制しやすくなる。
[湿度膨張係数:αh]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの幅方向の湿度膨張係数(αh)が0.1×10−6〜10×10−6/%RH、さらに1×10−6〜7×10−6/%RHの範囲にあることが好ましい。αhがこの範囲にあると、磁気記録媒体にしたときの寸法安定性が良好となる。
[ヤング率:Y]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの製膜方向および幅方向のヤング率がともに4GPa以上であることが必要である。好ましいヤング率の下限は、4.5GPa以上、さらに5GPa以上である。ヤング率が下限未満では、寸法安定性の向上効果が乏しくなり、またボイド抑制効果も小さくなる。他方ヤング率の上限は、製膜方向および幅方向のヤング率の合計として、22GPa以下であることが必要である。好ましい製膜方向および幅方向のヤング率の合計の上限は、20GPa以下、さらに18GPa以下である。製膜方向および幅方向のヤング率の合計が上限を超えると、本発明によってもボイドなどが発生しやすくなる。
〔厚み〕
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、高密度磁気記録媒体用ベースフィルム、特に長時間記録が可能なリニア記録方式の磁気記録媒体用ベースフィルムとして用いるので、フィルムの厚みは2〜10μm、さらに3〜9μmであることが好ましい。厚みが上限を超えると、磁気テープ厚みが厚くなりすぎ、例えばカセットに収納するテープ長さが短くなり、十分な磁気記録容量が得られない。一方、下限未満では、フィルムの製膜時にフィルム破断が多発することがある。
〔二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法〕
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、同時二軸延伸法によって製造される。例えば、十分に乾燥された前述のCoPEsを融点〜(融点+70)℃の温度で溶融押出し、平均目開き20μm以下の高精度フィルターにてろ過し、キャスティングドラム上で急冷して未延伸フィルムとし、次いで該未延伸フィルムを同時二軸延伸し、熱固定する方法で製造することができる。このように本発明で用いる特定のCoPEsを延伸応力の小さな同時二軸延伸によって延伸することにより、ボイドの発生を抑制することができる。
同時二軸延伸はTg(CoPEsのガラス転移温度(℃))以上Tg+60℃以下で縦方向に2〜8倍、横方向に2〜8倍延伸し、その後Tm(CoPEsの融点(℃))−80℃以上Tm−20℃以下の温度で緊張下又は制限収縮下で熱固定するのが好ましい。熱固定時間は1〜30秒が好ましい。好ましい延伸温度はTg+10℃以上Tg+50℃以下、さらにTg+15℃以上Tg+40℃以下の範囲である。また、好ましい熱固定温度はTm−70℃以上Tm−30℃以下、さらにTm−60℃以上Tm−40℃以下の範囲である。
また、必要に応じて二軸延伸ポリエステルフィルムをさらに縦方向及び/又は横方向に再延伸する、いわゆる多段延伸法も採用することができるし、前述の通り、一部に逐次延伸を組合せても良い。
〔磁気記録媒体〕
本発明によれば、本発明の上記二軸配向ポリエステルフィルムをベースフィルムとし、その片面上に磁性層を有する磁気記録媒体が同様に提供される。なお、磁性層を形成する面は、二軸配向ポリエステルフィルムが表裏で表面粗さの異なる積層フィルムなどの場合、そのより平坦な方の表面であることが好ましい。
磁気記録媒体としては、上記本発明の二軸配向ポリエステルフィルムをベースフィルムとしていれば特に限定されず、例えば、QICやDLTさらには高容量タイプであるS−DLTやLTO等のリニアトラック方式のデータストレージテープなどが挙げられる。なお、ベースフィルムが温湿度変化による寸法変化が極めて小さいので、テープの高容量化を確保するためにトラックピッチを狭くしてもトラックずれを引起こし難く、リニア記録方式の高密度高容量の磁気記録媒体として好適に用いることができる。
本発明によれば、本発明の上記二軸配向ポリエステルフィルムをベースフィルムとし、その一方の面に非磁性層および磁性層がこの順で形成され、他方の面にバックコート層が形成されている磁気記録媒体が好ましい。非磁性層の組成は特に限定されないが、熱硬化性樹脂、高エネルギー線硬化性樹脂などに無機微粉末、例えば、シリカ、アルミナ、二酸化チタンなどを含有せしめたものが用いられる。非磁性層の厚さは0.5〜3.0μm、さらに1.0〜2.0μm、特に1.0〜1.5μmの範囲にあることが本発明の効果が奏されやすいことから好ましい。
非磁性層上の磁性層の種類は、磁性粉をバインダとともに塗布した、いわゆる塗布型であることが磁気記録媒体の走行性の点から好ましい。磁性層を構成する磁性粉の種類は特に限定されず、酸化鉄、酸化クロム、コバルト被着酸化鉄、また、鉄、コバルト、鉄ーコバルト、鉄ーコバルトーニッケル、コバルトーニッケルなどの金属、それらの合金が好ましく用いられるが、酸化物より金属またはその合金が特に望ましい。また、磁性層を構成するバインダは特に限定されないが、熱硬化性樹脂系、高エネルギー線硬化型バインダが好ましく、その他添加剤として分散剤、潤滑剤、帯電防止剤などが含有されていてもよい。例えば、塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体、ポリウレタン、ポリイソシアネート、あるいはその混合物などが好ましく用いられる。磁性層の厚さは0.1〜1.0μm、さらに0.1〜0.5μmの範囲にあることが本発明の効果が奏されやすいことから好ましい。
バックコート層については、組成は特に限定されないが、カーボンブラックと、熱硬化性樹脂系または高エネルギー線硬化型バインダとからなるものが好ましく、その他に添加剤として分散剤、潤滑剤、帯電防止剤などが含有されていてもよい。例えば、塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体、ポリウレタン、ポリイソシアネート、あるいはその混合物などが好ましく用いられる。バックコート層の厚さは0.1〜1.0μm、さらに0.3〜0.8μmの範囲であることが本発明の効果が奏されやすいことから好ましい。
また、本発明の磁気記録テープが上記の塗布型の場合は、ベースフィルムの厚みに対して、磁気記録テープの厚みからベースフィルムの厚みを差し引いた厚みの割合が、0.2〜0.8倍の範囲、好ましくは0.3〜0.7倍特に0.3〜0.6倍の範囲にあることが好ましい。該厚みの割合が、下限未満になると、磁性層、非磁性層、バックコート層が薄くなり、塗布が難しくなるとともに、ベースフィルムの表面性が、磁性層、バックコート層の表面性に大きく影響し、エラー発生の原因となったり、ベースフィルムによる温度膨張の抑制効果が過度に発現し、却ってトラックずれを生じたりすることがある。また上限を超えると、テープ厚みが厚くなりすぎ、例えばカセットに入れるテープ長さが短くなって十分な磁気記録容量が得られにくくなることや、ベースフィルムによる温度膨張の抑制効果が十分に発現されにくくなることがある。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、その表面に、真空蒸着により、鉄、コバルト、ニッケル、クロムまたはこれらを主成分とする合金もしくは酸化物よりなる強磁性金属薄膜層を形成すると、前述の塗布型に比べてより湿度膨張係数の小さな磁気記録媒体とすることもできる。金属薄膜層の厚さは100〜300nmであるものが好ましい。また、強磁性金属薄膜層の表面に、目的、用途、必要に応じてダイアモンドライクカーボン(DLC)などの保護層、含フッ素カルボン酸系潤滑層を順次設けてもよい。さらに必要により、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの他方の表面に、公知の方法でバックコート層を設けてもよい。こうすることにより、特に短波長領域での出力、S/N、C/Nなどの電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない強磁性金属薄膜蒸着型磁気記録媒体として使用できる。
以下、実施例をあげて本発明をさらに説明する。なお、例中の「部」は重量部を意味する。また、本発明における種々の物性値および特性は以下の如く測定されたものであり、かつ定義される。
〔1〕粒子の平均粒径(μm)
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを試料として走査型電子顕微鏡用試料台に固定し、日本電子(株)製スパッターリング装置(JFC−1100型イオンエッチング装置)を用いて試料表面に下記条件にてイオンエッチング処理を施す。条件は、ベルジャー内に試料を設置し、約10−3Torrの真空状態まで真空度を上げ、電圧0.25kV、電流12.5mAにて約10分間イオンエッチングを実施する。更に同装置にて、試料表面に金スパッターを施し、走査型電子顕微鏡にて5,000〜10,000倍で観察し、日本レギュレーター(株)製ルーゼックス500にて1000個の粒子について、面積円相当径(d)を求めた。そして、粒子1000個の面積円相当径(d)の平均値を平均粒径とした。
〔2〕粒子の含有量
ポリエステルは溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択し、ポリエステル組成物を溶解処理した後、粒子をポリエステルから遠心分離し、ポリエステル組成物の全体重量に対する粒子重量の比率(重量%)をもって粒子の含有量とする。
〔3〕ボイド比の測定
試料フィルム小片を走査型電子顕微鏡用試料台に固定し、日本電子(株)製スパッターリング装置(JFC−1100型イオンエッチング装置)を用いてフィルム表面に下記条件にてイオンエッチング処理を施す。条件は、ベルジャー内に試料を設置し、約10−3Torrの真空状態まで真空度を上げ、電圧0.25kV、電流12.5mAにて約10分間イオンエッチングを実施する。更に同装置にて、フィルム表面に金スパッターを施し、走査型電子顕微鏡にて20,000倍で観察し、得られた画像から日本レギュレーター(株)製ルーゼックス500により画像解析処理を行い、粒子の周囲にボイドによる境界が確認できるものを抽出し、個々の粒子について粒子面積及びボイド面積を求め、次の定義によりボイド比を算出する。
ボイド比=(粒子面積+ボイド面積)/粒子面積
この測定を粒子100個について実施し、その平均値をもってボイド比とした。ボイド比が小さいほどボイドが小さく良好と判断される。
そして、以下の基準で、評価した。
◎:ボイド比が1.5未満
○:ボイド比が1.5以上2.5未満
△:ボイド比が2.5以上3.5未満
×:ボイド比が3.5以上
〔4〕フィルムの全体の厚み
ゴミの入らないようにしてフィルムを10枚重ね、打点式電子マイクロメータにて厚みを測定し、1枚当たりのフィルム厚みを計算する。
〔5〕ヤング率
フィルムを試料巾10mm、長さ15cmで切り取り、チャック間100mm、引張速度10mm/分、チャート速度500mm/分の条件で万能引張試験装置(東洋ボールドウィン製、商品名:テンシロン)にて引っ張る。得られた荷重―伸び曲線の立ち上がり部の接線よりヤング率を計算した。
〔6〕温度膨張係数(αt)
得られたフィルムから幅4mmのサンプルを切り出し、チャック間長さ20mmとなるように、セイコーインスツル製TMA/SS6000にセットし、窒素雰囲気下(0%RH)、80℃で30分前処理し、その後室温まで降温させた。その後30℃から80℃まで2℃/minで昇温して、各温度でのサンプル長を測定し、次式より温度膨張係数(αt)を算出した。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、5回測定し、その平均値を用いた。
αt={(L60−L40)/(L40×△T)}+0.5×10−6
ここで、上記式中のL40は40℃のときのサンプル長(mm)、L60は60℃のときのサンプル長(mm)、△Tは20(=60−40)℃、0.5×10−6/℃は石英ガラスの温度膨張係数(αt)である。
〔7〕湿度膨張係数(αh)
得られたフィルムから幅5mmのサンプルを切り出し、チャック間長さ15mmとなるように、ブルカーAXS製TMA4000SAにセットし、30℃の窒素雰囲気下で、湿度20%RHと湿度80%RHにおけるそれぞれのサンプルの長さを測定し、次式にて湿度膨張係数(αh)を算出した。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、5回測定し、その平均値をαhとした。
αh=(L80−L20)/(L20×△H)
ここで、上記式中のL20は20%RHのときのサンプル長(mm)、L80は80%RHのときのサンプル長(mm)、△H:60(=80−20)%RHである。
〔8〕ガラス転移点および融点
ポリエステル共重合体を、測定用のアルミニウム製パンに封入し、DSC(TAインスツルメンツ社製、Q100)を用いて25℃から300℃まで20℃/minの昇温速度で測定し、融点およびガラス転移点を求めた。
〔9〕固有粘度
P−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(40/60重量比)の混合溶媒を用いてポリマーを溶解して35℃で測定して求めた。
[参考例1]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸そしてエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル化反応およびエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.62dl/gで、酸成分の30モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の70モル%が6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、グリコール成分がエチレングリコールである芳香族ポリエステル(PB1)を得た。
[参考例2]
6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を加えず、同モル量の2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルをさらに加えた以外は参考例1と同様な操作を繰り返して、固有粘度0.62dl/gで、酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、グリコール成分がエチレングリコールである芳香族ポリエステル(PA1)を得た。なお、該芳香族ポリエステルには、重縮合反応の前に平均粒径0.4μmのシリカ粒子を、得られる樹脂組成物の重量を基準として、0.3重量%となるように含有させた。
[実施例1]
参考例1および2で得られた芳香族ポリエステル(PA1)と(PB1)とを、表1の組成となるように押し出し機に供給して300℃(平均滞留時間:20分)でダイから溶融状態で回転中の温度55℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。なお、該PA1とPB1には、それぞれ重縮合反応の前に平均粒径0.5μmのシリカ粒子を、得られる樹脂組成物の重量を基準として、0.1重量%となるように含有させた。そして、この未延伸フィルムをステンターに導き、135℃の温度で製膜方向と幅方向にそれぞれ延伸倍率5.0倍と6.0倍に延伸し、熱固定処理(200℃で10秒間)および冷却を行い、厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、PA1とPB1とに含有させる不活性粒子の含有量を表1に示すとおり変更し、製膜方向の延伸倍率を6.0倍に変更し厚みが同じ5μmになるように押出量を調整したほかは同様な操作を繰り返した。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、PA1とPB1とに含有させる不活性粒子の含有量を表1に示すとおり変更し、延伸倍率を製膜方向6.0倍、幅方向5.0倍に変更し厚みが同じ5μmになるように押出量を調整したほかは同様な操作を繰り返した。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[実施例4]
参考例1および2で得られた芳香族ポリエステル(PA1)と(PB1)とを、表1の組成となるように押し出し機に供給したことと、PA1とPB1とに含有させる不活性粒子を平均粒径0.3μmの球状シリコーン粒子0.1重量%に変更し、延伸倍率を製膜方向4.5倍、幅方向6.0倍に変更し、熱固定処理温度を205℃に変更し、厚みが6μmになるように押出量を調整したほかは同様な操作を繰り返した。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[実施例5]
参考例1および2で得られた芳香族ポリエステル(PA1)と(PB1)とを、表1の組成となるように押し出し機に供給したことと、PA1とPB1とに含有させる不活性粒子を平均粒径0.3μmの球状の架橋ポリスチレン粒子0.5重量%に変更し、延伸倍率を製膜方向4.5倍、幅方向6.5倍に変更し、熱固定処理温度を190℃に変更し、厚みが4μmになるように押出量を調整したほかは同様な操作を繰り返した。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例1]
実施例4において、同時二軸延伸機の代わりに逐次二軸延伸を用いた。具体的には、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が135℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率4.7倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、横延伸温度140℃で横延伸倍率6.0倍で延伸し、熱固定処理(205℃で10秒間)および冷却を行い、厚さ6.0μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
[比較例2]
比較例1において、PB1を用いずPA1のみを用い、延伸温度を縦方向140℃および幅方向145℃に変更し、延伸倍率を縦方向4.5倍および幅方向5.8倍に変更し、厚みが6μmになるように押出量を調整したほかは同様な操作を繰り返した。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
Figure 2010031205
なお、表1において、NDCAは2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、ANAは6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、EGはエチレングリコール成分、DEGはジエチレングリコール成分をそれぞれ表わす。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは表面性に優れ、磁気記録媒体、コンデンサ、回路基盤、ディスプレイなどのベースフィルムや支持体として好適に用いることができ、特に高密度磁気記録媒体用のベースフィルムとして好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 平均粒径が0.05μm以上の不活性粒子を含有する芳香族ジカルボン酸成分およびジオール成分からなる下記(i)〜(ii)
    (i)ジカルボン酸成分が5モル%以上50モル%未満の下記式(A)および50モル%を超え95モル%以下の下記式(B)で表される繰り返し単位を含有すること、
    (ii)ジオール成分が90〜100モル%の下記式(C)で表される繰り返し単位を含有すること、
    を具備するポリエステル組成物からなり、
    同時二軸延伸によってフィルムの製膜方向および幅方向のヤング率がともに4GPa以上でかつ両者の合計が22GPa以下となるように二軸配向されたことを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
    Figure 2010031205
    (式(A)中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基、式(B)中、Rはフェニレン基またはナフタレンジイル基、式(C)中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基である。)
  2. 前記式(A)で表されるジカルボン酸成分が、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分である請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. フィルムの厚みが2〜10μmである請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. フィルムの幅方向の湿度膨張係数(αh)が0.1×10−6〜10×10−6/%RHの範囲にある請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. フィルムの幅方向の温度膨張係数(αt)が−15×10−6〜15×10−6/℃の範囲にある請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  6. 磁気記録媒体の支持体に用いる請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  7. 請求項1に記載のポリエステル組成物を、同時二軸延伸によってフィルムの製膜方向および幅方向のヤング率がともに4GPa以上でかつ両者の合計が22GPa以下となるまで製膜方向および幅方向に延伸することを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
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