JP2010031140A - 自動車ボディシーラー用2液硬化性組成物 - Google Patents

自動車ボディシーラー用2液硬化性組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】自動車製造ラインにおいて硬化前に水性塗料が塗布される自動車ボディシーラーとして使用するための、硬化前に塗布された水性塗料の塗膜に対して硬化後に良好な塗膜密着性を有し、塗膜剥がれを防止することができる2液硬化性組成物を提供すること。
【解決手段】自動車製造ラインにおいて硬化前に水性塗料が塗布される自動車ボディシーラー用2液硬化性組成物であって、熱可塑性樹脂と可塑剤を含んでなるA液と、二塩基酸エステルを含むゲル化剤を含んでなるB液とからなり、該組成物は、ポリウレタン樹脂と、100g中の水に対する溶解度が2g未満である水不溶性潜在性硬化剤を含んでなる、2液硬化性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車車体パネルの接合部を防水、防塵、気密、防錆を目的として塗布される自動車ボディシーラー用の2液硬化性組成物に関する。より詳しくは、本発明は、自動車製造ラインにおいて硬化前に水性塗料が塗布される自動車ボディシーラー用の2液硬化性組成物に関する。
自動車製造ライン(基本的に、車体工程、塗装工程、および艤装工程から成る)における車体部材のシール工法では、最初の車体工程でプレス成形した車体部材がスポット熔接により組み立てられるが、車体部材の接合部は熔接スポット間の車体パネルの歪みにより隙間が生じるため、その接合部の防水、防塵、気密、防錆を目的としてシーラーが塗布される。
このようなシール工法には、主として1液熱硬化性組成物(例えば特許文献1参照)のシーラーが用いられている。しかしながら、1液熱硬化性組成物のシーラーを熱硬化する際に、接合部の微細な空間に存在する空気が膨張し、シーラーが膨れ外観不良が発生したり、さらには、シーラーの膨れ部分が破泡して、水密性が確保できずに錆が生じたりする等の問題があった。このような問題を解決するために、2液熱硬化性組成物のシーラーが提案されている(例えば特許文献2参照)。
一方、環境上の観点から、自動車用塗料として水性タイプの塗料が導入されつつある。シーラーと塗料の接着性は良好な外観確保の観点から重要である。
しかしながら、自動車製造ラインにおいて、水溶性潜在性硬化剤を含有する2液熱硬化性組成物をシーラーとして接合部に塗布し、次いで、該シーラーの硬化前に水性中塗り塗料を該シーラー上に塗布する場合、該シーラー中の水溶性潜在性硬化剤が水性中塗り塗料中に抽出され、その結果、所定のシーラー性能が発揮されず、塗膜剥がれが発生する問題があった。
特開2004−51948号公報 国際公開第2005/017045号
本発明の課題は、自動車製造ラインにおいて硬化前に水性塗料が塗布される自動車ボディシーラーとして使用するための、硬化前に塗布された水性塗料の塗膜に対して硬化後に良好な塗膜密着性を有し、塗膜剥がれを防止することができ、さらに、熱硬化する際に膨れの発生を防止できる2液硬化性組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意研究を進めたところ、熱可塑性樹脂と可塑剤を含んでなるA液と、二塩基酸エステルを含むゲル化剤を含んでなるB液とを組合せた2液硬化性組成物において、該組成物に、ポリウレタン樹脂と、該ポリウレタン樹脂のための、20℃の水100gに対する溶解度が2g未満である水不溶性潜在性硬化剤を含有させることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明には、以下の実施態様が含まれる。
〔1〕 自動車製造ラインにおいて硬化前に水性塗料が塗布される自動車ボディシーラー用2液硬化性組成物であって、
熱可塑性樹脂と可塑剤を含んでなるA液と、二塩基酸エステルを含むゲル化剤を含んでなるB液とからなり、
該組成物は、ポリウレタン樹脂と、該ポリウレタン樹脂のための、20℃の水100gに対する溶解度が2g未満である水不溶性潜在性硬化剤を含んでなる、
2液硬化性組成物。
〔2〕 水不溶性潜在性硬化剤が、ヒドラジド化合物およびポリアミン化合物からなる群から選択される、上記〔1〕に記載の2液硬化性組成物。
〔3〕 水不溶性潜在性硬化剤が、融点が80〜130℃である変性脂肪族ポリアミン化合物および脂環式ポリアミン化合物からなる群から選択される1種以上を含んでなる、上記〔1〕に記載の2液硬化性組成物。
〔4〕 ポリウレタン樹脂が、酸アミド類、酸イミド類、オキシム類、ラクタム類およびフェノール類からなる群から選択されるブロック剤および数平均分子量が500〜10000であるポリオールから製造されたブロックドポリウレタンプレポリマーを含んでなる、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の2液硬化性組成物。
〔5〕 熱可塑性樹脂100重量部に対し、ポリウレタン樹脂1〜300重量部およびその水不溶性潜在性硬化剤0.01〜50重量部を含む、上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の2液硬化性組成物。
〔6〕 二塩基酸エステルは、式〔I〕:
−O−CO−R−CO−O−R 〔I〕
〔式中、RおよびRは、互いに独立して、メチル基またはエチル基を表し、Rは、炭素数が0〜3の炭化水素基(炭素数が0の場合は隣接する2つの炭素が結合する)を表す。〕
に示される、上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の2液硬化性組成物。
〔7〕 二塩基酸エステルは、マロン酸ジエステルおよびコハク酸ジエステルからなる群から選択される、上記〔6〕に記載の2液硬化性組成物。
〔8〕 熱可塑性樹脂100重量部に対し、二塩基酸エステル10〜150重量部を含む、上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の2液硬化性組成物。
なお、本明細書を通じて、「ゲル化」とは、プラスチゾルが流動性を失い、固化する現象のことを言い、「ゲル化剤」とは、熱可塑性樹脂を可塑剤に分散したプラスチゾルを室温においてゲル化させうる成分を称す。具体的には、プラスチゾルA液の分散質である熱可塑性樹脂を溶解ないし膨潤させるような可塑剤、高沸点溶剤、有機溶剤、熱可塑性樹脂の構成モノマー等を単独でまたは組み合わせて用いる。ゲル化剤により、コロイド分散状態の熱可塑性樹脂は順次溶液状態になり、増粘、ゲル化する。
例えば、熱可塑性樹脂および可塑剤を主成分とするA液とゲル化剤を成分とするB液を混合する場合、混合直後には、スプレー塗布可能程度の粘度を呈し、時間経過と共に、プラスチゾルA液中の熱可塑性樹脂が、B液のゲル化剤により溶解膨潤して、混合物全体が室温でゲル状となり、膨潤ゲルを形成する。この初期ゲル化によって、ハンドリングによる変形や脱落が防止される。その後、さらに加熱処理を行うことによって、系が均一に完全に硬化されて、完全硬化物が得られる(例えば、国際公開第2005/017045号参照)。
本発明の2液硬化性組成物は、硬化前に塗布された水性塗料の塗膜に対して硬化後に良好な塗膜密着性を有し、塗膜剥がれを防止することができ、さらに、熱硬化する際に膨れの発生を防止できるので、自動車製造ラインにおいて硬化前に水性塗料が塗布される自動車ボディシーラーとして好適に使用することができる。
本発明において用い得る熱可塑性樹脂としては、特に制限されず、従来既知の熱可塑性樹脂が挙げられる。例えば、アクリル樹脂;MBS樹脂(メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン);ポリ塩化ビニル;塩化ビニル共重合体(例えば、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合体等);アイオノマー樹脂;AAS樹脂(アクリロニトリル/スチレン/特殊ゴム);AES樹脂(アクリロニトリル/EPDM/スチレン);AS樹脂(アクリロニトリル/スチレン);ABS樹脂(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン);熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等を、それぞれ単独でもしくは2種以上を混合して使用することができる。中でも、アクリル樹脂が好ましい。
本発明において用い得るアクリル樹脂としては、例えばアクリル酸アルキルエステル(アルキルは、例えばメチル、エチル、ブチル、2−エチルヘキシル等である)もしくはメタクリル酸アルキルエステル(アルキルは、例えばメチル、エチル、ブチル、ラウリル、ステアリル等である)の単独重合体もしくは共重合体、またはこれらエステルと他のアクリル系モノマー(メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸等)との共重合体;更に、構成モノマーとして、例えばエチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレートの少なくとも1種[Aモノマーと称す]と、メチルメタクリレート、ベンジルメタクリレートの少なくとも1種およびメタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸の少なくとも1種の混合物[混合Bモノマーと称す]を使用して重合するコアシェル型アクリル樹脂、また重合に際して、上記Aモノマーと混合Bモノマーとを、その配合割合(比率)を多段階乃至連続的に変化させながら重合を行うことによって製造するコアシェル型アクリル樹脂の重合体、グラジェント型アクリル樹脂等が挙げられる。これらの中で、重量平均分子量1000〜2000000、一次粒子のおよび/または一次粒子が凝集した二次粒子の粒径0.1〜100μmのコアシェル型アクリル樹脂やグラジェント型アクリル樹脂が特に好ましい。
本発明においてプラスチゾルとしてのA液中に用い得る可塑剤としては、例えばジ(2−エチルヘキシル)フタレ−ト、ブチルベンジルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジヘプチルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のフタル酸エステル;ジオクチルアジペート、ジデシルアジペート、ジオクチルセバケート等のアジピン酸系、セバチン酸系、トリメリット酸系等のポリエステル系可塑剤、等が挙げられる。
本発明においては、B液中に二塩基酸エステルを含むゲル化剤を用いることによって、室温での優れたゲル化特性が発現されると共に、皮膚刺激性がなく安全性に優れた2液硬化性組成物を得ることができる。二塩基酸エステルは、一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、二塩基酸エステルは、式〔I〕:
−O−CO−R−CO−O−R 〔I〕
〔式中、RおよびRは、互いに独立して、メチル基またはエチル基を表し、Rは、炭素数が0〜3の炭化水素基(炭素数が0の場合は隣接する2つの炭素が結合する)を表す。〕
に示される化合物を用いることが、ゲル化特性と皮膚刺激性の点から更に好ましい。
このような二塩基酸エステルには、例えば、シュウ酸ジエステル、マロン酸ジエステル、コハク酸ジエステル、グルタル酸ジエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸ジエステル等が含まれる。中でも、マロン酸ジエステルおよび/またはコハク酸ジエステルを用いることが好ましい。また、上記ジエステルとしては、ジメチルまたはジエチルエステルが好適である。従って、二塩基酸エステルとして、マロン酸ジエチルおよび/またはコハク酸ジエチルを用いることが特に好ましい。
本発明において、二塩基酸エステルに加えて、B液中に用い得るゲル化剤としては、A液中の熱可塑性樹脂を溶解ないし膨潤させる成分、例えば可塑剤、高沸点溶剤、溶剤、モノマー等が挙げられる。しかしながら、特にアクリル樹脂を熱可塑性樹脂に用いたプラスチゾルA液の場合であっても、重合に用いた(メタ)アクリル酸エステル、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等のモノマーは、B液を調製しまたはこれを使用する際に生じ得る皮膚刺激性の問題から、保護具の着用が必要となり作業負荷が生じる。
熱可塑性樹脂、特にアクリル樹脂のゲル化剤として用い得る可塑剤としては、樹脂との相溶性に優れ、樹脂を溶解ないし膨潤させる可塑剤が好適である。
そのような可塑剤としては、上記したA液中に用い得る可塑剤が挙げられるほか、これらと組み合わせてまたはこれらとは別に、フタル酸エステル、ジオクチルアジペート等のアジピン酸ジエステル、ジオクチルセバケート等のセバチン酸ジエステル、トリブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート等のリン酸エステル、エポキシ化大豆油等のエポキシ系可塑剤、ポリオキシエチレングリコールジベンゾエート、ポリオキシプロピレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールジベンゾエートおよびペンタエリスリトールテトラベンゾエート等の安息香酸エステル類、ジエチルフマレート、ジブチルフマレート、ジヘキシルフマレート、ジオクチルフマレート、ビス(2−エチルヘキシル)フマレート、ジノニルフマレート、ジイソノニルフマレート、ジデシルフマレート、ジベンジルフマレート、ジオレイルフマレート、オクチル−2−エチルヘキシルフマレート、2−エチルヘキシルイソノニルフマレート、ブチルベンジルフマレート、モノエチルフマレート、モノオクチルフマレート、モノ−2−エチルヘキシルフマレートおよびモノデシルフマレートのフマル酸エステル類、フェノール系アルキルスルホン酸エステル、クレゾール系アルキルスルホン酸エステル等スルホン酸エステル類等を使用することができる。
高沸点溶剤としては、常圧下の沸点が140℃以上の有機溶剤がこれに含まれる。通常の芳香族系または脂肪族系の溶剤も使用できるが、実用上、プロセスオイル、石油留分オイル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート(セロソルブアセテート)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMAC)、エチレングリコールメチルエーテルアセテート(メトキシセロソルブアセテート)、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート等およびこれらの1種または2種以上の混合物が好適に用いられる。これらの溶剤の沸点はいずれも140℃以上で、極性を有するため溶解能に優れるが、これらをナフテン、パラフィン等の非極性溶剤と混合して使用することもできる。熱可塑性樹脂に対する溶解性ないし膨潤性が良いと、ゲル化時間が短くなる傾向にある。高沸点溶剤の熱可塑性樹脂に対する溶解性ないし膨潤性は、A液中の可塑剤との関係を考慮して判断し得る。
熱可塑性樹脂を溶解ないし膨潤させる有機溶剤として、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、Nメチル2ピロリドン等の有機溶剤などからなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上を使用することができる。このような有機溶剤は、可塑剤と併用することが望ましい。
なお、本発明におけるゲル化剤は、上記に列記したものに限定されず、熱可塑性樹脂と可塑剤を含む様々なプラスチゾルとしてのA液との関係を考慮して、B液中に用いるゲル化剤が適宜選定される。
本発明において熱可塑性樹脂としてアクリル樹脂を用いるとき、ゲル化剤としては、上記した二塩基酸エステル単独またはこれと安息香酸エステルの混合物を用いることが好ましい。これらの中でも特に、マロン酸ジエステルおよび/またはコハク酸ジエステル、とりわけマロン酸ジエチルおよび/またはコハク酸ジエチルと、ジエチレングリコールジベンゾエートの組合せが好ましい。
本発明による2液硬化性組成物は、上記熱可塑性樹脂と可塑剤とを主成分とするプラスチゾルとしてのA液と、上記ゲル化剤を主成分とするB液とを含んで構成される。
ゲル化剤は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、通常50〜150重量部の範囲、好ましくは75〜125重量部の範囲の量で使用される。ゲル化剤の量が少ないと混合後のゲル化時間が遅くなり、次工程への搬送の弊害となり得る。また、ゲル化剤の量が多いと混合後のゲル化時間が速くなり、塗布の作業性に支障を来たす傾向となる。
また、可塑剤は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、通常75〜200重量部の範囲、好ましくは80〜150重量部の範囲で使用される。
また、二塩基酸エステルは、熱可塑性樹脂100重量部に対して、通常10〜150重量部の範囲、好ましくは30〜150重量部の範囲で使用される。
本発明による2液硬化性組成物は、該組成物は、ポリウレタン樹脂と、該ポリウレタン樹脂のための、20℃の水100gに対する溶解度が2g未満である水不溶性潜在性硬化剤を含む。
上記ポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリイソシアネート化合物または末端イソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマーの活性イソシアネート基をブロック剤でブロックしたブロックドポリウレタンプレポリマー、例えば、以下の手順i)およびii)に従って製造することができるブロックドポリウレタンプレポリマー等が挙げられる。
i)先ず、ポリオールと過剰のポリイソシアネート化合物を反応させて、末端NCO含有ウレタンプレポリマーを得る。
上記ポリオールとしては、たとえばポリオキシアルキレンポリオール(PPG)、ポリエーテルポリオール変性体、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含むポリエーテルポリオール;縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオールを含むポリエステルポリオール;ポリブタジエン系ポリオール;ポリオレフィン系ポリオール;ポリエーテルポリオールの中でアクリロニトリル単独またはアクリロニトリルとスチレン,アクリルアミド,アクリル酸エステル,メタクリル酸エステルおよび酢酸ビニルの群から選ばれる少なくとも1種との混合モノマーを重合乃至グラフト重合させたポリマーポリオール等が挙げられる。
上記ポリイソシアネート化合物としては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート(HDI)、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、クルードMDI、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、ジアニジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネート、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン等が挙げられる。
ii)次に、末端NCO含有ウレタンプレポリマーを適当なブロック剤と反応させて(通常、前者のNCO1モル当り、0.9〜1.5当量のブロック剤を反応)、遊離のNCOをブロック化することにより、目的のブロックトウレタンプレポリマー(特に、上記ポリオールの少なくとも一部に上記ポリマーポリオールを含ませたものが好ましい)を得る。
上記ブロック剤としては、たとえばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノールなどのアルコール;フェノール、クレゾール、キシレノール、p−ニトロフェノール、アルキルフェノールなどのフェノール類;マロン酸メチル、マロン酸エチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン化合物;アセトアミド、アクリルアミド、アセトアニリドなどの酸アミド類;コハク酸イミド、マレイン酸イミドなどの酸イミド類;2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類;2−ピロリドン、ε−カプロラクタムなどのラクタム類;アセトキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトアルドキシムなどのケトンまたはアルデヒドのオキシム類;その他エチレンイミン、重亜硫酸塩等が挙げられる。
上記ポリウレタン樹脂は、単独でまたは2種以上の混合物で使用することができる。また、これらの中でも、シーラーとしての作業性付与と物性付与の点から、酸アミド類、酸イミド類、オキシム類、ラクタム類およびフェノール類からなる群から選択されるブロック剤および数平均分子量が500〜10000(好適には1000〜5000)のポリオールから製造されたブロックドポリウレタンポリマーが特に好ましい。これら以外のブロック剤を使用した場合、解離温度が適当でなく、貯蔵安定性の低下や塗料乾燥炉温を高く設定しなければならない等の問題が生ずるおそれがある。また、ポリオールの数平均分子量が500未満では、粘度が高く作業性が低下するおそれがあり、その一方、10000を超えると塗料との密着性が低下するおそれがある。
一般に、ポリウレタン樹脂の潜在性硬化剤は、60℃以上、好ましくは70〜200℃の温度で活性化してNCOと反応しうるものであればいずれであってもよく、たとえばアジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン、エイコサン二酸ジヒドラジド、ハイドロキノンジグリコール酸ジヒドラジド、レゾルシノールジグリコール酸ジヒドラジド、4,4’−エチリデンビスフェノールジグリコール酸ジヒドラジドなどのジヒドラジド化合物;ジシアンジアミド;4,4’−ジアミノジフェニルスルホン;イミダゾール、2−n−ヘプタンデシルイミダゾールなどのイミダゾール化合物;メラミン;ベンゾグアナミン;N,N’−ジアルキル尿素化合物;N,N’−ジアルキルチオ尿素化合物;ジアミノジフェニルメタン、ジアミノビフェニル、ジアミノフェニール、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ドデカンジアミン、デカンジアミン、オクタンジアミン、テトラデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、ヒドラジド系ポリアミンなどの融点60℃以上の常温固形のポリアミンが挙げられる。
さらに、潜在性硬化剤として、下記のポリアミン系変性化合物と称せられるものも使用することができる。
ポリアミン系変性化合物;
具体例として、脂肪族ポリアミン(a)(たとえばジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジプロピルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、ジプロピルアミノエチルアミン、ジブチルアミノエチルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジアミノプロパンなど)とNHもしくはNH基を少なくとも1個有する環状構造のアミンもしくは芳香族ポリアミン(b)(たとえばメタキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンタンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、フェニレンジアミン、トルイレンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、ベンジルアミン、シクロヘキシルアミンなどのポリアミンおよびモノアミン類)とジイソシアネート化合物(c)(たとえばイソホロンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、2,4−トルイレンジイソシアネート、2,6−トルイレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなど)の反応生成物[ここで、各反応成分の比率は、(a)1モル、(b)0.02〜3モル、および(a)と(b)のNHおよび/またはNH/(c)のNCO=1/1〜1.2となるように選定し、芳香族炭化水素、アルコール、ケトンなどの溶媒中で室温乃至160℃にて反応させればよい]や上述の脂肪族ポリアミン(a)とアミン(b)とジイソシアネート化合物(c)とエポキシド化合物(d)(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヘキサヒドロビスフェノールA、カテコール、レゾルシン、トリヒドロキシビフェニル、ベンゾフェノン、ハイドロキノン、テトラメチルビスフェノールAなどの多価フェノールとエピクロルヒドリンを反応して得られるグリシジルエーテル;グリセリン、ネンペンチルグリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの脂肪族多価アルコールとエピクロルヒドリンを反応して得られるポリグリシジルエーテル;p−オキシ安息香酸、オキシナフトエ酸などのヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンを反応して得られるグリシジルエーテルエステル;フタル酸、イソフタル酸、テトラハイドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、重合脂肪酸などのポリカルボン酸から誘導されるポリグリシジルエステル;アミノフェノール、アミノアルキルフェノールから誘導されるグリシジルアミノグリシジルエーテル;アミノ安息香酸から誘導されるグリシジルアミノグリシジルエステル;アニリン、トルイジン、トリブロムアニリン、キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンから誘導されるグリシジルアミン;エポキシ化ポリオレフィン、グリシジルヒダントイン、グリシジルアルキルヒダントイン、トリグリシジルシアヌレート、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステル、スチレンオキサイドなどのモノエポキシド等)の反応生成物[ここで、各反応成分の比率は、(a)1モル、(b)0.5〜5モル、および(a)と(b)のNHおよび/またはNH/(d)のエポキシ基=1/0.3〜0.9、および(a)と(b)のNHおよび/またはNH/(c)のNCO=1/0.15〜1.35となるように選定し、先ず(b)の一部または全部と(d)を要すれば上記の溶媒中、60〜120℃で付加反応させ、次いで(a)と残りの(b)と(c)を加え、上記の溶媒中で室温乃至160℃にて反応させればよい]が挙げられる。
本発明における不溶性潜在性硬化剤は、上記のようなポリウレタン樹脂の潜在性硬化剤のうち、20℃の水100gに対する溶解度が2g未満(特に0g、すなわち、実質的に不溶)であるものである。このような潜在性硬化剤としては、例えば、変性脂肪族ポリアミン[具体的には、FXR−1020,FXR−1030,FXR−1090M2(富士化成工業株式会社製)]、脂環式ポリアミン化合物[具体的には、アンカミン2014FG、EH−4070S EH−3731S、EH−4358S(株式会社アデカ製)]等の水不溶性ポリアミン化合物;セバチン酸ヒドラジド、ドデカン酸ヒドラジド等の水不溶性のヒドラジド化合物等が挙げられる。また、塗料乾燥炉温の観点から融点が80〜130℃である水不溶性ポリアミン化合物であることがより好ましい。これらは、単独でまたは2種以上の混合物で使用することができる。
上記ポリウレタン樹脂およびその水不溶性潜在性硬化剤は、互いに独立して、本発明の2液硬化性組成物におけるA液およびB液の少なくとも一方に含ませることができる。通常、A液中の熱可塑性樹脂100重量部に対し、上記ポリウレタン樹脂1〜300重量部(好適には、3〜100重量部)およびその水不溶性潜在性硬化剤0.01〜50重量部(好適には、0.1〜20重量部)を配合する。ポリウレタン樹脂量が1重量部未満である場合、電着板への密着性が低下するおそれがあり、その一方、300重量部を超える場合、作業性が低下するおそれがある。また、水不溶性潜在性硬化剤が0.01重量部未満である場合、ウレタン樹脂が硬化せず電着板への密着性が低下するおそれがあり、その一方、50重量部を超えても硬化性は向上せず、コストを上昇させるだけである。このような配合割合の場合、特に、水性塗料の塗膜中に該潜在性硬化剤を抽出させることなく、2液硬化性組成物が完全に硬化したときの物性と耐久性を向上させることができる。
また、本発明による2液硬化性組成物は、自動車ボディシーラーに適用することが既知の添加成分をさらに配合することができる。添加成分は、通常、A液および/またはB液に配合することによって、2液硬化性組成物中に含有させることができる。
このような添加成分の例には、充填材、例えばカオリン、クレー、炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、表面処理炭酸カルシウム等)、炭酸マグネシウム、酸化チタン、焼石コウ、硫酸バリウム、亜鉛華、ケイ酸、マイカ粉、タルク、ベントナイト、シリカ、ガラス粉、ベンガラ、カーボンブラック、グラファイト粉、アルミナ、シラスバルーン、セラミックバルーン、ガラスバルーン、プラスチックバルーン、金属粉等が含まれる。上記の添加成分は、通常、2液熱硬化性組成物に対して20〜60重量%の量で用いられる。
本発明のある実施形態においては、上記ポリウレタン樹脂に加えて、ポリウレタン樹脂以外の熱硬化性樹脂とその潜在性硬化剤を併用することもできる。このような熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂〔グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型、線状脂肪族エポキサイド型、脂環族エポキサイド型等のエポキシ樹脂;さらにこれらのエポキシ樹脂変性体、例えばゴム変性エポキシ樹脂[ビスフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールADのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物のジグリシジルエーテル等)とブタジエン−アクリロニトリル−(メタ)アクリル酸共重合体との反応生成物]、ウレタン変性エポキシ樹脂[ポリテトラメチレンエーテルグリコール(分子量500〜5000)に過剰量のジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等)を反応させて得られる末端NCO含有ウレタンプレポリマーと、OH含有エポキシ樹脂(ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、脂肪族多価アルコールのジグリシジルエーテル等)との反応生成物]、チオコール変性エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂が挙げられる。
また、上記のエポキシ樹脂と組み合わせて、その潜在性硬化剤〔例えば、ジシアンジアミド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、イミダゾール誘導体(2−n−ヘプタデシルイミダゾール等)、ヒドラジド誘導体(アジピン酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、1,3ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン、エイコサン2酸ジヒドラジド、ハイドロキノンジグリコール酸ジヒドラジド、レゾルシノールジグリコール酸ジヒドラジド、4,4’−エチリデンビスビスフェノールジグリコール酸ジヒドラジド)、N,N−ジアルキル尿素誘導体、N,N−ジアルキルチオ尿素誘導体、メラミン誘導体、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノビフェニル、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ドデカンジアミン、デカンジアミン、オクタンジアミン、テトラデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン等〕を用いることができる。
本発明の2液硬化性組成物には、その他の添加成分として発泡剤を用い得る。このような発泡剤としては特に限定されないが、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ化合物、ジニトロソペンタメチレンテトラミンのようなニトロソ化合物、p−トルエンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシベンゼンスルホニルヒドラジドのようなヒドラジド化合物等の熱分解型有機系発泡剤が挙げられる。また、熱により急速に膨張し発泡する発泡性マイクロカプセル型の発泡剤を用いることもできる。例えば、商品名MICROPEARL F−80S(松本油脂製薬社製)、商品名MICROPEARL F−82(松本油脂製薬社製)、商品名MICROPEARLF−80VS(松本油脂製薬社製)、商品名 Expancel 091(AKZO NOBEL社製)、商品名 Expancel 091−80(AKZO NOBEL社製)、商品名 Expancel 091−140(AKZO NOBEL社製)、商品名 Expancel 092−120(AKZO NOBEL社製)、商品名 Expancel 093−120(AKZONOBEL社製)等や、アクリロニトリル−メタアクリロニトリル−酢酸ビニル共重合体を含んでなる外殻とこの外殻内に封入された揮発性液体から得られるもの等が挙げられる。発泡温度が160℃以上220℃以下であるものを好適に用い得る。
本発明の2液硬化性組成物には、その他の添加成分として接着付与剤を配合してもよい。このような接着付与剤としては特に限定されないが、例えばポリアミド系、イソシアネート系等の化合物がこれに含まれる。ポリアミド系接着付与剤としては、例えばダイマー酸とポリアミン類を縮合して得られるポリアミドアミン等が挙げられる。また、イソシアネート系接着付与剤としては、例えば、トリレンジイソシアネートのオリゴマー、ポリウレタンプレポリマーの活性イソシアネート基をブロックしたブロック化イソシアネートポリマー等が挙げられる。
さらに、本発明の2液硬化性組成物には、その他の添加成分として、吸湿剤(酸化カルシウム、モレキュラーシーブス等);揺変性賦与剤(有機ベントナイト、フュームドシリカ、ステアリン酸アルミニウム、ヒマシ油誘導体等);安定剤〔2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、金属石ケン類、等〕;等を配合してよい。これらの添加成分は、その目的に応じて適量が選定され、通常、A液および/またはB液に配合することによって、2液硬化性組成物中に含有させることができる。
本発明の2液硬化性組成物において、上記A液とB液を混合した場合、その直後の粘度(20℃)は通常、必要に応じて各構成成分の種類や配合を調節すること等によって、塗布作業ができる50〜200Pa・sに設定され、無人ロボット化のスプレー塗布が可能となる。
また、この粘度状態で塗布した場合、概して30秒〜60分で、ゲル化物が形成される。これは、水洗に対して十分な耐シャワー性を具備し得る。
以下、本発明の2液硬化性組成物を用いた、自動車製造ライン(車体工程→塗装工程→艤装工程)について説明する。
まず、車体工程にてプレス成形した車体部材をスポット熔接により組立てた後、電着塗装を行う、その後、通常、該熔接部の隙間に(すなわち、エンジンルーム、フロアー、ルーフ、ダッシュボード、ボンネットトランク、ドア部等の隙間部に)、所定のA液とB液とからなる2液硬化性組成物を混合した後、ハンド塗布またはロボットにより、所定の厚み(0.5〜5mm厚に塗布する。
塗布後、そのままの状態で30秒〜60分間放置しゲル化させてから、次の塗装工程(中,上塗り塗装→中,上塗り炉)並びに艤装工程(艤装,組立て→検査・完成)に付す。
ここで、上記ゲル化したシーラー材は通常の1液シーラー材よりもゲル化により粘度は高いため、加熱による熔接部の隙間の空気が膨張することによるシーラー材の膨れを抑制する効果がある。
また、上記塗装工程において、上記ゲル化した塗膜に対して、通常中塗りとして水性塗料が塗布される。水性塗料の塗布方法に制限はない。
上記水性塗料としては、自動車用の水性塗料であれば特に制限されず、従来既知の水性塗料、例えば、関西ペイント社製の「WP−500T」,[WP−306T]、および日本ペイント社製の「AR−600」等が挙げられる。
上記塗装工程後、水性塗料での焼付条件下(一般に120〜160℃×10〜60分)の加熱処理によって、ゲル化した塗膜を完全に硬化する。
ここで、本発明においては、硬化前の上記ゲル化した塗膜から、上記水性塗料の塗膜に対して潜在性硬化剤が抽出されない。したがって、上記ゲル化した塗膜の硬化後、水性塗料の塗膜に対して優れた塗膜密着性が発揮される。
次に実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
〔実施例1〜3および比較例1〕
(1)2液硬化性組成物の調製
下記表1のA液およびB液の項に示す重量部数の各成分を配合し、ミキサーで30分間撹拌混合し、次いで30分間減圧脱泡して、それぞれA液とB液を得た。
なお、硬化剤の水に対する溶解度は、以下のように決定した。
〔水溶解度〕
20℃に調整した100gの水に、0.5gずつ各硬化剤を加え、水中の各硬化剤の濃度を測定することにより溶解度を決定した。
(2)性能試験(結果を表1に併記)
A液とB液を、A液280重量部およびB液380重量部の割合で、23℃雰囲気下、スタティックミキサーで混合し、直ちに下記の性能試験に付した。
〔塗膜密着性〕
電着塗装鋼板上に、各混合物を1mm厚で塗布し、次いで、下記の塗料を塗布(中塗り:15μm厚、上塗り:10μm厚、クリア:20μm厚)し、130℃×12分の焼付けを行った。その後、得られた試験片にカッターナイフで2mm×2mmで100マスの切り込みを加えた。次いで、その切り込み(100マス)を完全に覆うように接着テープ(ニチバン工業用セロハンテープ、幅24mm)を貼り付けた後、接着テープを鋼板に対して45℃の角度の方向に勢いよく引っ張り、引き剥がした。次いで、鋼板上の塗膜(100マス)の残存枚数を計測し、評価した。
(塗料)
中塗り:WP−500(関西ペイント社製)
上塗り:WPC−713T(関西ペイント社製)
クリアー:KINO1210TW(関西ペイント社製)
Figure 2010031140
表1中、
注1)可塑剤:ジイソノニルフタレート
注2)アクリル樹脂:三菱レイヨン(株)製のグラジェント型アクリル樹脂、「LP−3106」
注3)ポリウレタン樹脂:三井化学ポリウレタン(株)製のブロックウレタン樹脂、「XB−71−T2500」
注4)硬化剤A:(株)アデカ製の変性脂肪族ポリアミン樹脂、「アンカミン2014FG」
注5)硬化剤B:富士化成工業(株):脂環式ポリアミン誘導体、「FXR−1020」注6)硬化剤C:ヒドラジド誘導体:(株)日本ファインケム製、「SDH」
注7)硬化剤D:ヒドラジド誘導体:(株)日本ファインケム製、「ADH」
注8)表面処理炭酸カルシウム:白石工業(株)製の白艶華(登録商標)CCR
注9)重質炭酸カルシウム:備北粉化工業(株)製のホワイトン300M。
表1の結果から、実施例の組成物は、いずれも良好な塗膜密着性を有したが、比較例の組成物では、塗膜が剥がれる不具合が発生した。

Claims (8)

  1. 自動車製造ラインにおいて硬化前に水性塗料が塗布される自動車ボディシーラー用2液硬化性組成物であって、
    熱可塑性樹脂と可塑剤を含んでなるA液と、二塩基酸エステルを含むゲル化剤を含んでなるB液とからなり、
    該組成物は、ポリウレタン樹脂と、該ポリウレタン樹脂のための、20℃の水100gに対する溶解度が2g未満である水不溶性潜在性硬化剤を含んでなる、
    2液硬化性組成物。
  2. 水不溶性潜在性硬化剤が、ヒドラジド化合物およびポリアミン化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の2液硬化性組成物。
  3. 水不溶性潜在性硬化剤が、融点が80〜130℃である変性脂肪族ポリアミン化合物および脂環式ポリアミン化合物からなる群から選択される1種以上を含んでなる、請求項1に記載の2液硬化性組成物。
  4. ポリウレタン樹脂が、酸アミド類、酸イミド類、オキシム類、ラクタム類およびフェノール類からなる群から選択されるブロック剤および数平均分子量が500〜10000であるポリオールから製造されたブロックドポリウレタンプレポリマーを含んでなる、請求項1〜3のいずれかに記載の2液硬化性組成物。
  5. 熱可塑性樹脂100重量部に対し、ポリウレタン樹脂1〜300重量部およびその水不溶性潜在性硬化剤0.01〜50重量部を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の2液硬化性組成物。
  6. 二塩基酸エステルは、式〔I〕:
    −O−CO−R−CO−O−R 〔I〕
    〔式中、RおよびRは、互いに独立して、メチル基またはエチル基を表し、Rは、炭素数が0〜3の炭化水素基(炭素数が0の場合は隣接する2つの炭素が結合する)を表す。〕
    に示される、請求項1〜5のいずれかに記載の2液硬化性組成物。
  7. 二塩基酸エステルは、マロン酸ジエステルおよびコハク酸ジエステルからなる群から選択される、請求項6に記載の2液硬化性組成物。
  8. 熱可塑性樹脂100重量部に対し、二塩基酸エステル10〜150重量部を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の2液硬化性組成物。
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