JP2010029911A - 鋳片の溶削装置及び溶削方法 - Google Patents

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誓司 糸山
Daisuke Takahashi
大輔 高橋
Tomomichi Terabatake
知道 寺畠
Ken Matsuzaki
健 松▲崎▼
Tetsuya Sugawara
哲也 菅原
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Abstract

【課題】圧延後の製品に欠陥が発生するのを確実に防止できる鋳片の溶削装置を提供する。
【解決手段】鋳片の幅方向に複数のノズルユニット群2を配列する。複数のノズルユニット群2それぞれに溶削酸素を供給する第一及び第二の配管系統11,12を接続する。第一及び第二の配管系統11,12に、複数のノズルユニット群2それぞれに供給される溶削酸素の圧力を高圧と低圧に交互に切り替える高圧低圧切替え電磁弁8,13を設ける。隣同士のノズルユニット1の一方に高圧溶削酸素を供給するとき、他方のノズルユニット1に低圧溶削酸素を供給し、隣同士のノズルユニット1の一方に低圧溶削酸素を供給するとき、他方のノズルユニット1に高圧溶削酸素を供給するように、高圧低圧切替え弁8,13を制御する。これにより、溶削中にノズルユニット群2に発生する鋳片表面の幅方向の動圧分布を周期的に変動させる。
【選択図】図3

Description

本発明は、鋳片を熱間圧延する前に鋳片の表面を溶削する鋳片の溶削装置及び溶削方法に関する。
近年、自動車用冷延鋼板は表面品質がより厳格になっているので、連続鋳造後の鋳片をそのまま圧延することは殆どなく、一旦表面を2〜6mm程度手入れ・除去して、熱間圧延するのが一般的である。鋳片の表面には、へげきず、割れきず、表層介在物などの有害な欠陥がある。熱間圧延及び冷間圧延後に良好な鋼板を製造するためには、これらの欠陥を鋳片段階で手入れ・除去しなければならない。
鋳片の表面を手入れする方法として、鋳片の表面にガスを吹き付け、鋳片の表面を一定の深さまで溶削する溶削方法が知られている。液化石油ガス(LPG)、コークス炉ガス(COG)等の燃料を酸素中で燃焼させることにより得られる高温炎を鋳片表面に吹き付けると、鋳片表面が溶融して湯溜まりが生ずる。この湯溜まりにノズルから高純度の酸素を噴出すると、溶融鉄と酸素とが酸化反応を起こす。ノズルを鋳片に対して鋳片の長さ方向に相対的に移動させれば、酸化反応が継続し、溶削が進行する。
しかし、このような手入れによっても製品の欠陥発生を完全に防止できない場合がある。その原因は、手入れ後に手入れ残りとされる鋳片表面の凸部が高いためと考えられている。このため、手入れ後にさらに凸部を平滑化するため、グラインダー手入れを実施する場合があった。
手入れ後の凸部の発生を軽減する技術として、特許文献1に記載された鋳片の溶削方法や、特許文献2に記載された鋳片の溶削装置が知られている。特許文献1には、鋳片表面の凸部の高さや勾配が所定の範囲になるように、溶削装置の燃料ガスと溶削火口酸素との圧力比(又は流速比)を調整する鋳片の溶削方法が記載されている。特許文献2には、鋳片の幅方向に配列された複数のノズルユニット間に酸素ガスの流れを整流する整流体を設け、隣り合うノズルユニット間の溶削酸素の流れの干渉を整流体によって防止する鋳片の溶削装置が記載されている。
特開2005−7404号公報(特許請求の範囲参照) 特開平10−220717号公報(特許請求の範囲参照)
しかし、凸部の高さがほぼ同じでも、手入れ条件が異なっていると、欠陥発生率に大きな差が生ずるケースもあった。すなわち、手入れ条件が異なっていると、図1に示されるように、凸部の高さとスケール性欠陥の発生率とに相関関係は見出せない。特許文献1に開示された手入れ条件(燃料ガスと溶削火口酸素との圧力比(又は流速比)の調整)のみでは、圧延後の製品の欠陥発生を完全には防止できないことがたびたびあった。
また、特許文献2に開示された整流体のみでは、ノズルユニットの使用回数の増加に伴う製品の欠陥発生を完全には防止できないことがたびたびあった。
そこで本発明は、このような問題を効果的に解決し、圧延後の製品に欠陥が発生するのを確実に防止できる鋳片の溶削装置及び溶削方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、鋳片を熱間圧延する前に鋳片表面を溶削する鋳片の溶削装置において、鋳片表面に火炎を形成するための燃料ガス及び予熱酸素を噴出すると共に、火炎で溶融された溶融鉄を酸化させる溶削酸素を噴出する少なくとも一つのノズルユニットと、前記少なくとも一つのノズルユニットが溶削中に発生する鋳片表面の幅方向の動圧分布を周期的に変動させる動圧分布変動手段と、を備える鋳片の溶削装置である。
請求項2に記載の発明は、鋳片を熱間圧延する前に鋳片表面を溶削する鋳片の溶削装置において、鋳片表面に火炎を形成するための燃料ガス及び予熱酸素を噴出すると共に、火炎で溶融された溶融鉄を酸化させる溶削酸素を噴出し、鋳片の幅方向に配列された複数のノズルユニットと、前記複数のノズルユニットそれぞれに酸素ガス、燃料ガス及び溶削酸素を供給するガス供給源と、前記複数のノズルユニットそれぞれに供給される前記溶削酸素の圧力を高圧と低圧に交互に切り替える高圧低圧切替え弁と、隣同士のノズルユニットの一方に高圧溶削酸素を供給するとき、他方のノズルユニットに低圧溶削酸素を供給し、前記隣同士のノズルユニットの一方のノズルユニットに低圧溶削酸素を供給するとき、前記他方のノズルユニットに高圧溶削酸素を供給するように、前記高圧低圧切替え弁を制御する圧力制御装置と、を備える鋳片の溶削装置である。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の鋳片の溶削装置において、前記溶削装置はさらに、一つ置きのノズルユニットからなるノズルユニット群をまとめる第一の配管系統と、残りのノズルユニットからなるノズルユニット群をまとめる第二の配管系統と、を備え、前記高圧低圧切替え弁は、前記第一の配管系統に供給される溶削酸素の圧力を高圧と低圧に交互に切り替えると共に、前記第二の配管系統に供給される溶削酸素の圧力を高圧と低圧に交互に切り替え、前記圧力制御装置は、前記一つ置きのノズルユニットからなるノズルユニット群に高圧溶削酸素を供給するとき、残りのノズルユニットからなるノズルユニット群に低圧溶削酸素を供給し、前記一つ置きのノズルユニットからなるノズルユニット群に低圧溶削酸素を供給するとき、残りのノズルユニットからなるノズルユニット群に高圧溶削酸素を供給するように、前記高圧低圧切替え弁を制御することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、鋳片を熱間圧延する前に鋳片表面を溶削する鋳片の溶削装置において、鋳片表面に火炎を形成するための燃料ガス及び予熱酸素を噴出すると共に、火炎で溶融された溶融鉄を酸化させる溶削酸素を噴出する少なくとも一つのノズルユニットと、前記ノズルユニット又は前記鋳片の一方を他方に対して、前記鋳片の幅方向に相対的に振動させる振動機構と、を備える鋳片の溶削装置である。
請求項5に記載の発明は、鋳片を熱間圧延する前に鋳片表面を溶削する鋳片の溶削装置において、鋳片表面に火炎を形成するための燃料ガス及び予熱酸素を噴出すると共に、火炎で溶融された溶融鉄を酸化させる溶削酸素を噴出する少なくとも一つのノズルユニットと、前記ノズルユニットのガス出口側に設けられ、前記ノズルユニットの火口に対応するスリットを有するシャッターと、前記シャッターを前記ノズルユニットに対して前記鋳片の幅方向に相対的に振動させる振動機構と、を備える鋳片の溶削装置である。
請求項6に記載の発明は、鋳片を熱間圧延する前に鋳片表面を溶削する鋳片の溶削方法において、溶削中に鋳片表面の幅方向の動圧分布を周期的に変動させながら、鋳片表面に火炎を形成するための燃料ガス及び予熱酸素を噴出すると共に、火炎で溶融された溶融鉄を酸化させる溶削酸素を噴出する鋳片の溶削方法である。
本発明によれば、隣り合うノズルユニット間や異物が付着したノズルユニットの火口において、局所的にガスの動圧が低下するのを抑制できるので、一旦溶解された溶鋼が鋳片表面に残存・凝固しないように溶鋼を吹き飛ばすことができる。溶鋼を吹き飛ばすことで、鋳片表面の凸部の高さを低減したり、スケール性欠陥の原因になる凸部内部の粒状酸化物層の厚みを減少したりできるので、鋳片の手入れに起因する冷延鋼板のスケール性欠陥が抑制される。そればかりでなく、溶削後のグラインダー手入れを省略することもできるので、製品歩留まりの向上やデリバリーの短縮に効果がある。
手入れ後に鋳片表面の凸部を断面観察した結果、凸部には直径が2μm以下の粒状酸化物が多数観察された。さらに、凸部断面の凝固組織調査やEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)の結果、凸部には、その全体あるいは凸部の一部を覆うようにして、Al,Ti及びMn酸化物が形成されていることが判った。
このような粒状酸化物が生じている理由は、以下のように推察される。溶削中に溶解した溶鋼に溶削用酸素ガスが溶け込み、酸素との親和力の強いAl,Ti及びMnを酸化する。この結果、これらの粒状酸化物が生成する。
このような現象の発見により、本発明者は、凸部の全体、あるいは一部を占める粒状酸化物層の厚みが、熱間圧延前の鋳片の加熱によっても酸化スケールとして除去できないほどに厚い場合、粒状酸化物層が鋳片表面に残り、圧延される結果、スケール性欠陥になることを見出した。図2は凸部の粒状酸化物の生成形態の例を示す。図2(a)は凸部全体と平面部に粒状酸化物が残った例を示す。図2(b)は凸部の上部のみに粒状酸化物が残った例を示す。凸部以外の平らな部位にも薄く粒状酸化物層が観察される場合もあるが、100μm以下と薄いので、酸化スケールとして除去され、欠陥にはいたらない。よって、凸部に生成する粒状酸化物層の厚みを薄くすることが、欠陥を防止する手段になると考えた。図3に示されるように、粒状酸化物層の厚みDiを500μm以下にすることで、欠陥の発生率を0%に低減できる。
よって、凸部の全体、あるいは一部を占める、一旦溶解された溶鋼を鋳片表面に残存・凝固しないように吹き飛ばせば、このような欠陥は防止できることになる。
一旦溶解した溶鋼が吹き飛ばされない理由として、以下の(1)〜(3)のことが考えられる。
(1)鋳片幅方向に複数配列したノズルユニット間の溶削酸素流の干渉によって、隣り合うノズルユニット間の動圧(鋳片に作用する圧力)が低下する。
(2)ノズルユニットの火口に付着した異物(凝固物)がガスの流れを乱し、局所的に動圧を低下させる。整流体を設けた特許文献2に記載のノズルユニットにおいて効果が持続しないのは、これが原因であると推測される。
(3)溶け残った凸部が吹き飛ばされる溶鋼の移動の妨げになる。
鋳片の幅方向に配列された複数のノズルユニット間や、異物が付着したノズルユニットの火口部において、幅方向の動圧分布が局所的に低下するのを抑制できれば、溶け残りを防止でき、かつ一旦再溶解した溶鋼が吹き飛ばされ易くなる。
鋳片の幅方向に複数配列したノズルユニットによって発生する鋳片表面の幅方向の動圧分布を平滑化する溶削方法として、以下の(1)〜(3)の溶削方法が提示できる。
(1)酸素ガス圧力振動方法
複数配列したノズルユニットに供給される溶削酸素の圧力を、例えば、図4に示されるような溶削装置の構成(燃料ガス配管は図示せず)により、ノズルユニットを一つ跳び毎に交互に圧力変化させる。図4では、溶削装置を鋳片Cの進行方向からみている。
各ノズルユニット1は、鋳片表面に火炎を形成するための燃料ガス及び予熱酸素を噴出すると共に、火炎で溶融された溶融鉄を酸化させる溶削酸素を噴出する。図5に示されるように、ノズルユニット1は、ヘッドブロック42、上方予熱ブロック44、下方予熱ブロック45、シュー43によって構成される。上方予熱ブロック44と下方予熱ブロック45との間に形成されるスリットが、溶削酸素54を吹き付けるための溶削火口46となる。上方予熱ブロック44の先端には、予熱酸素51と燃料ガス52を噴出するノズルが配置され、下方予熱ブロック45の先端には、燃料ガス53を噴出するノズルが配置されている。鋼片を溶削する際には、まず上方予熱ブロック44の先端より予熱酸素51と燃料ガス52を吐出して鋼片を予熱し、溶削火口46から鋼片に向けて溶削酸素54を吐出し、同時に溶削酸素54が外気と反応することにより溶削酸素54に乱れが発生することを防止するため、溶削酸素54をシールする目的で下方予熱ブロック45から燃料ガス53を、上方予熱ブロック44より燃料ガス52を吐出する。このようにガスを吐出しつつ、ノズルユニット1と鋼片とを相対的に移行させ、溶削を進行させ、鋼片の表面を全面又は部分的に溶削する。燃料ガスとしてはLPG(液化プロパンガス)、COG等が用いられる。
予熱酸素及び溶削酸素の供給源は、酸素タンクである。タンクに限定されずに酸素ガスを配管により直接供給しても良い。酸素タンク内の酸素は、予熱酸素及び溶削酸素に使用される。また、予熱酸素と溶削酸素のタンクを別にしても良い。予熱酸素及び溶削酸素を同一のタンクで使用する場合は使用圧力等が異なるためにタンク以降の配管は別系統とする。
一つ置きのノズルユニット群2には、溶削酸素を供給するための第一の配管系統11が接続される。第一の配管系統11は酸素タンク3から一つ置きのノズルユニット群2に至るまでに分岐し、一つ置きのノズルユニット群(ユニットNo.1,3,5)それぞれに接続される。残りのノズルユニット群2にも、溶削酸素を供給するための第二の配管系統12が接続される。第二の配管系統12は第一の配管系統11と同様に酸素タンク3からノズルユニット群2に至るまでに分岐し、残りのノズルユニット群(ユニットNo.2,4,6)それぞれに接続される。
酸素タンク3には、高圧溶削酸素主配管4と低圧溶削酸素主配管5が接続される。高圧溶削酸素主配管4には、酸素タンク3から供給される圧力を高圧に調整する高圧用調整弁6、高圧溶削酸素を一時的に貯蔵するバッファー7、高圧低圧切替え電磁弁8が設けられる。高圧低圧切替え電磁弁8は、二方向のうちのいずれかに溶削酸素を流す二方弁である。高圧低圧切替え電磁弁8の下流側は、第一の配管系統11及び第二の配管系統12に接続される。高圧低圧切替え電磁弁8は、酸素タンク3から第一の配管系統11に高圧溶削酸素を供給するか、あるいは高圧溶削酸素を供給する配管系統を切り替えて、第二の配管系統12に高圧溶削酸素を供給する。
低圧溶削酸素主配管5には、酸素タンク3から供給される圧力を低圧に調整する低圧用調整弁9、低圧溶削酸素を一時的に貯蔵するバッファー10、高圧低圧切替え電磁弁13が設けられる。高圧低圧切替え電磁弁13は、高圧低圧切替え電磁弁8と同様に二方弁であり、酸素タンク3から第二の配管系統12に低圧溶削酸素を供給するか、あるいは低圧溶削酸素を供給する配管系統を切り替えて、第一の配管系統11に低圧溶削酸素を供給する。
一対の高圧低圧切替え電磁弁8,13は互いに協働して、第一の配管系統11に供給される溶削酸素の圧力を高圧と低圧に交互に切り替えると共に、第二の配管系統12に供給される溶削酸素の圧力を高圧と低圧に交互に切り替える。圧力制御装置14は、一つ置きのノズルユニット群(ユニットNo.1,3,5)に高圧の溶削酸素を供給するとき、残りのノズルユニット群(ユニットNo.2,4,6)に低圧溶削酸素を供給し、一つ置きのノズルユニット群(ユニットNo.1,3,5)に低圧溶削酸素を供給するとき、残りのノズルユニット群(ユニットNo.2,4,6)に高圧溶削酸素を供給するように、高圧低圧切替え電磁弁8,13を制御する。隣同士の一対のノズルユニット1でみたとき、圧力制御装置14は、隣同士のノズルユニット1の一方に高圧溶削酸素を供給するとき、他方のノズルユニット1に低圧溶削酸素を供給し、隣同士のノズルユニット1の一方のノズルユニット1に低圧溶削酸素を供給するとき、他方のノズルユニット1に高圧溶削酸素を供給するように、高圧低圧切り替え電磁弁8,13を制御する。また、この圧力制御装置14は、高圧用調整弁6が調整する高圧溶削酸素の圧力を制御し、低圧用調整弁9が調整する低圧溶削酸素の圧力を制御する。
高圧低圧に切り替わるガスは原則的には溶削酸素のみが対象である。燃料ガス及び予熱酸素は燃焼のためのガスであり、圧力を変更すると燃焼のバランスが取れなくなる。ただし、可能な範囲で燃焼ガス又は予熱酸素の圧力も調整してよい。
図6は、複数のノズルユニット群22に供給される溶削酸素の圧力を切り替えていない従来の溶削装置の概念図(燃料ガス配管は示さず)を示す。圧力調整弁23は一つのみ設けられ、複数のノズルユニット群22それぞれには均等な圧力の溶削酸素が供給される。
図7は、本発明と従来例とで鋳片表面の幅方向の動圧分布を比較したグラフを示す。従来例の場合、ノズルユニット1(No.1,2,3)間に隙間が存在したり、ノズルユニットの境界に一番近い火口16(図4参照)間の距離がノズルユニット内部のそれよりも広い構造であるので、ノズルユニットの境界で動圧分布が局所的に低下する(図7(a)参照)。これに対して、隣同士のノズルユニットの溶削酸素の圧力を高圧と低圧に交互に変更させると、ノズルユニット境界の最小圧力値を示す位置が低圧側に移動する。例えばノズルユニット2を高圧に、ノズルユニット1,3を低圧にすると、最小圧力位置はX2→X1,X5→X6へ移動する。逆に、ノズルユニット2を低圧に、ノズルユニット1,3を高圧にすると、最小圧力位置はX2→X3,X5→X4へ移動する(図7(b)参照)。この周期的な圧力変動により、平均的な動圧分布は、ノズルユニット境界で圧力低下が緩和されるようになる(図7(c)参照)。さらに、ノズルユニット1内の動圧分布も、高圧と低圧の周期的な圧力変動により、1周期平均の動圧分布の乱れが緩和される。加えて、圧力の周期的な変動そのものが溶鋼の飛散を助ける作用もある。
よって、ノズルユニット1の境界や異物が付着した火口16においても、動圧の低下が抑制でき、再溶解した溶鋼を効率よく吹き飛ばすことができる。また、動圧の低下を抑制できるので、溶け残り起因の凸部高さの軽減にも繋がり、これらの相乗効果により、手入れ表面の平滑化効果が顕著になる。
圧力の変動幅は、効果的な値に経験的に設定すればよい。変動を大きくし過ぎることによる手入れ面の凹凸悪化を防ぐため、平均圧力値の10〜30%が好ましい。振動数も、鋳片の移動速度、欠陥長さを考慮して、効果的な値に経験的に設定すればよく、1〜5Hz程度で十分である。この際、溶削効率を損なわないように、酸素ガス圧力と燃料ガス圧力の比は一定とすることが好ましい。
動圧分布の平準化方法は、上記に限られることはなく、下記のような方法でも達成することができる。
(2)ノズルユニット横方向振動方法
一般的には、ノズルユニットを固定して、鋳片を長手方向に移動することで手入れを行う。本方法の場合、複数配列したノズルユニットを鋳片の幅方向に振動させることによって、鋳片の幅方向の動圧分布を周期的に変動させる。ストロークは鋳片表面の凸部の幅(1〜10mm)と同等である。振動数は、鋳片の移動速度、欠陥長さ、ノズルユニット重量等を考慮して決定すればよく、1〜5Hz程度で十分である。ノズルユニットの往復振動の結果、鋳片の幅方向の動圧分布が周期的に変化するので、動圧の低下部分が平準化されることとなる。
(3)その他の方法
・火口出側シャッター振動方法
図8に示されるように、ノズルユニット31の酸素ガス出口側に火口32の内径と同じ大きさのスリット35が開けられたシャッター34を設け、シャッター34を横方向(鋳片の幅方向)に振動させる。ストロークは火口32の半径未満であり、振動数は1〜5Hz程度で十分である。これにより、火口32からのガス(火炎)軌道が周期的に変化し、幅方向の動圧の不均一が緩和される。
・鋳片横方向振動方法
設備的に可能ならば、ノズルユニット横方向振動方法とは逆に、手入れする鋳片を横方向に振動させてもよい。原理上、ノズルユニット横方向振動方法と効果が同じになる。
本発明の効果を確認するために、本発明で規定した条件及びそれ以外の条件により、極低炭素鋼(C:0.0010〜0.0020,Si<0.05,Mn:0.15〜0.45,P:0.010〜0.015,S:0.001〜0.005,Al:0.02〜0.05,Ti:0.020〜0.040質量%)のスラブ(サイズ220mm×1550〜1800mm)を、垂直曲げ型の鋼の連続鋳造機によって鋳造し、スケール性欠陥の感受性の高い製品である溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。鋳造条件は、タンディッシュ〜鋳型間の浸漬ノズル内吹き込み、鋳造速度1.5〜2.2m/minとした。
鋳造後、酸素ガス圧力振動方法にて、鋳片を2〜4mm手入れ後、均熱温度1100〜1200℃、均熱時間100〜150分の後、熱間圧延を経て、冷間圧延し、0.7mm厚みとし、その後、溶融亜鉛めっきした。めっき条件は、亜鉛浴温度460℃、浴中のAl濃度0.13%、付着量片面当たり50g/m、鉄合金化度が10%になるように合金化温度を520〜580℃の範囲で調整した。
欠陥検査は、めっき・合金化度の表面を目視検査し、深さ0.5mm以上、長さ50mm以上のスケール性欠陥の有無(2個数/コイル以上のスケール性欠陥がある製品を不良製品と判定)を検査し、製造チャンスにおける全製品重量に対する不良品重量の比率でスケール性欠陥発生率(=不良製品重量/製品重量×100%)を評価した。
実施条件と結果の一覧を表1に示す。
Figure 2010029911
表1に示されるとおり、酸素ガス圧力振動方法を採用することにより、スケール性欠陥が効率よく防止できることがわかる。
従来の発明における、欠陥率と凸部高さとの関係の一例を示すグラフ 凸部の粒状酸化物の生成形態の例を示す断面図 本発明における、欠陥率と凸部の粒状酸化物層厚みとの関係を示すグラフ 酸素ガス圧力振動方法を達成する溶削装置の概念図 ノズルユニットの断面図 従来の溶削装置の概念図 本発明と従来例とで鋳片表面の幅方向の動圧分布を比較したグラフ 本発明の一例である火口出側シャッター振動方法の概念図
符号の説明
1…ノズルユニット
2…ノズルユニット群
4…高圧溶削酸素主配管
5…低圧溶削酸素主配管
6…高圧用調整弁
7…バッファー
8,13…高圧低圧切替え電磁弁(高圧低圧切替え弁)
9…低圧用調整弁
10…バッファー
11…第一の配管系統
12…第二の配管系統
14…圧力制御装置
16…火口
31…ノズルユニット
32…火口
34…シャッター
35…スリット

Claims (6)

  1. 鋳片を熱間圧延する前に鋳片表面を溶削する鋳片の溶削装置において、
    鋳片表面に火炎を形成するための燃料ガス及び予熱酸素を噴出すると共に、火炎で溶融された溶融鉄を酸化させる溶削酸素を噴出する少なくとも一つのノズルユニットと、
    前記少なくとも一つのノズルユニットに溶削中に発生する鋳片表面の幅方向の動圧分布を周期的に変動させる動圧分布変動手段と、を備える鋳片の溶削装置。
  2. 鋳片を熱間圧延する前に鋳片表面を溶削する鋳片の溶削装置において、
    鋳片表面に火炎を形成するための燃料ガス及び予熱酸素を噴出すると共に、火炎で溶融された溶融鉄を酸化させる溶削酸素を噴出し、鋳片の幅方向に配列された複数のノズルユニットと、
    前記複数のノズルユニットそれぞれに酸素ガス、燃料ガス及び溶削酸素を供給するガス供給源と、
    前記複数のノズルユニットそれぞれに供給される前記溶削酸素の圧力を高圧と低圧に交互に切り替える高圧低圧切替え弁と、
    隣同士のノズルユニットの一方に高圧溶削酸素を供給するとき、他方のノズルユニットに低圧溶削酸素を供給し、前記隣同士のノズルユニットの一方のノズルユニットに低圧溶削酸素を供給するとき、前記他方のノズルユニットに高圧溶削酸素を供給するように、前記高圧低圧切替え弁を制御する圧力制御装置と、を備える鋳片の溶削装置。
  3. 前記溶削装置はさらに、
    一つ置きのノズルユニットからなるノズルユニット群をまとめる第一の配管系統と、
    残りのノズルユニットからなるノズルユニット群をまとめる第二の配管系統と、を備え、
    前記高圧低圧切替え弁は、前記第一の配管系統に供給される溶削酸素の圧力を高圧と低圧に交互に切り替えると共に、前記第二の配管系統に供給される溶削酸素の圧力を高圧と低圧に交互に切り替え、
    前記圧力制御装置は、前記一つ置きのノズルユニットからなるノズルユニット群に高圧溶削酸素を供給するとき、残りのノズルユニットからなるノズルユニット群に低圧溶削酸素を供給し、前記一つ置きのノズルユニットからなるノズルユニット群に低圧溶削酸素を供給するとき、残りのノズルユニットからなるノズルユニット群に高圧溶削酸素を供給するように、前記高圧低圧切替え弁を制御することを特徴とする請求項2に記載の鋳片の溶削装置。
  4. 鋳片を熱間圧延する前に鋳片表面を溶削する鋳片の溶削装置において、
    鋳片表面に火炎を形成するための燃料ガス及び予熱酸素を噴出すると共に、火炎で溶融された溶融鉄を酸化させる溶削酸素を噴出する少なくとも一つのノズルユニットと、
    前記ノズルユニット又は前記鋳片の一方を他方に対して、前記鋳片の幅方向に相対的に振動させる振動機構と、を備える鋳片の溶削装置。
  5. 鋳片を熱間圧延する前に鋳片表面を溶削する鋳片の溶削装置において、
    鋳片表面に火炎を形成するための燃料ガス及び予熱酸素を噴出すると共に、火炎で溶融された溶融鉄を酸化させる溶削酸素を噴出する少なくとも一つのノズルユニットと、
    前記ノズルユニットのガス出口側に設けられ、前記ノズルユニットの火口に対応するスリットを有するシャッターと、
    前記シャッターを前記ノズルユニットに対して前記鋳片の幅方向に相対的に振動させる振動機構と、を備える鋳片の溶削装置。
  6. 鋳片を熱間圧延する前に鋳片表面を溶削する鋳片の溶削方法において、
    溶削中に鋳片表面の幅方向の動圧分布を周期的に変動させながら、鋳片表面に火炎を形成するための燃料ガス及び予熱酸素を噴出すると共に、火炎で溶融された溶融鉄を酸化させる溶削酸素を噴出する鋳片の溶削方法。
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KR101175429B1 (ko) * 2010-02-26 2012-08-20 현대제철 주식회사 형강재 스카핑 장치 및 그 방법
CN108480818A (zh) * 2018-03-26 2018-09-04 四川汇源钢建装配建筑有限公司 一种超厚钢板的火焰切割方法及钢件

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