JP2010028897A - 受電制御装置、受電装置および電子機器 - Google Patents

受電制御装置、受電装置および電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】 無接点電力伝送システムにおいて、レギュレータのバイパス技術によって受電装置における電力損失および発熱を低減させ、一方、バイパス状態において、負荷への給電を一時的に停止し、あるいは停止していた給電を再開する場合でもオーバーシュートやアンダーシュートが発生しないようにすること。
【解決手段】 バイパス制御部105は、レギュレータ(LDO)49の出力ノードの電圧VD5が低下すると、バイパス制御スイッチAをオンさせてバイパス経由で負荷94に給電する。バイパスがオンしている状態において電力供給制御トランジスタM3を一時的にオフさせて給電を停止する場合には、定期認証制御部101は、バイパス強制オフ信号SAをアクティブレベルとして、バイパス経路を強制的に遮断する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、受電制御装置、受電装置および電子機器等に関する。
近年、電磁誘導を利用し、金属部分の接点がなくても電力伝送を可能にする無接点電力伝送が脚光を浴びている。この無接点電力伝送の適用例として、携帯電話機や家庭用機器(例えば電話機の子機)の充電などが提案されている。
1次コイルと2次コイルを用いた無接点電力伝送装置は、例えば、特許文献1に記載されている。
特開2006−60909号公報
近年、携帯型電話機やノートブック型パーソナルコンピュータ等の携帯端末のバッテリとして、リチウムイオン電池やリチウムポリマー電池等の2次電池が広く利用されている。これらリチウムイオン電池やリチウムポリマー電池等の2次電池は、他の電池と比べてエネルギ密度が極めて高いという利点を有するが、一方で、劣化や安全性を考慮した厳密な充電制御を行う必要があり、高精度の充電管理技術が必要となる。
したがって、2次電池を充電するために、高精度な出力制御を行い得るレギュレータ(例えば、シリーズレギュレータ)を利用した充電回路を用いるのが好ましいといえる。
また、携帯端末のユーザの使い勝手を考慮すれば、2次電池の充電時間は短い方がよいが、無接点電力伝送を利用した場合の2次電池の充電効率は、通常の充電器(ACアダプタを使用した充電器)による充電効率よりも低く、充電時間が長くなる傾向がある。したがって、無接点電力伝送を用いて携帯端末の充電を行う際、充電中の電力損失を、可能な限り低減することが重要となる。
本発明の発明者の検討によれば、例えば、消耗の激しい2次電池を充電するときのように、大量の充電電流を流す必要がある場合において、上述のレギュレータにおいて電力損失(電力ロス)が発生し、このことが充電時間の短縮の妨げとなる場合があることが明らかとなった。また、携帯端末の安全性を考慮すれば、充電中におけるレギュレータの発熱は最小限に抑制するのが望ましい。
そこで、本発明の発明者は、2次電池への給電能力が低下した場合に、レギュレータをバイパスするバイパス経路を形成し、このバイパス経路を経由して給電対象の負荷(2次電池等)に電流を供給することによって、レギュレータにおける損失と発熱の低減を図る技術を検討した。
その検討の結果、以下の事項が明らかとなった。すなわち、レギュレータをバイパスするバイパス経路を経由して電力を供給しているときは、電流(電圧)の制御(安定化)ができないため、給電対象の負荷に対する給電を一時的に停止する場合、あるいは一時的に停止していた給電を再開する場合に、オーバーシュートおよびアンダーシュートが生じる場合があることがわかった。
つまり、給電対象の負荷への給電を一時的に停止する場合は、電流が急にせき止められるため、レギュレータの出力ノードの電圧が急上昇してオーバーシュートが生じる。また、一時的に停止していた給電を再開する場合には、負荷が急激に大電流を引くため、電流供給が追いつかず、レギュレータの出力ノードの電圧が急激に低下してアンダーシュートが生じる。オーバーシュートやアンダーシュートが発生すると、2次側の回路の破損が生じる場合があり、また、給電対象の負荷への給電を制御する制御用IC(例えば、2次電池の充電を制御する充電装置)のリセット等の不具合が生じる場合がある。
ここで、給電対象の負荷への給電中において、給電を一時的に停止し、あるいは、停止していた給電を再開する制御は、例えば、2次側から1次側に負荷変調によって信号を送信する際に必要となる場合がある。すなわち、受電装置の負荷を変調するときに、負荷に大きな電流を供給していると、負荷変調による1次コイルのコイル端電圧の変化を1次側が検出しにくくなり、負荷変調による通信信号を1次側が識別することが困難となる。そこで、負荷変調期間においては、負荷への給電を一時的に停止させる。これによって、1次側は負荷変調による通信信号を確実に検出できる。また、負荷変調が終了すれば、負荷への給電を再開させる必要がある。
また、給電対象の負荷への給電中(通常送電期間中)における2次側から1次側への負荷変調による通信は、例えば、異物検出(乗っ取り検出)のための定期認証のために必要となる。すなわち、1次側から2次側への通常送電中に、1次コイルと2次コイルとの間に、例えば、大面積の異物(例えば、薄い金属板)が挿入されると、1次側から供給される電力は、異物ですべて消費される。1次側は、2次側機器が存在するものと判断して、通常送電は継続される。この状態を「乗っ取り状態」という。乗っ取り状態が発生すると、異物が発熱し、機器破損や火傷等の事故の原因となる。そこで、2次側は、定期的(例えば1秒毎)に負荷変調によって所与のパターンの信号(例えば、“0”,“1”,“0”)を送信する。乗っ取り状態が発生しなければ、1次側は、2次側から送信される所与のパターンの信号を定期的に検出することができる。一方、乗っ取り状態が発生すれば、2次側から送信される所与のパターンの信号は1次側で検出できなくなるため、これによって、1次側は、乗っ取り状態の発生を検出することができる。定期的に2次側から送信される信号を受信できるか否かによる乗っ取り状態の検出を、「定期認証」ということにする。
したがって、例えば、給電対象の負荷に大電流を供給するためにレギュレータをバイパスするバイパス経路がオンしている期間と、定期認証期間とが重複したとき、上述のオーバーシュートやアンダーシュートの発生という問題が生じ得る。
つまり、定期認証のタイミングでは、2次側から1次側への負荷変調による通信の必要が生じ、このとき、負荷変調期間中は、負荷への給電を一時的に停止するために、電流がせき止められて、レギュレータの出力ノードの電圧が上昇してオーバーシュートが生じ、一方、負荷変調(定期認証)が終了して、一時的に停止していた負荷への給電を再開すると、給電電流が追従できずに、アンダーシュートが生じる場合がある。このような事項が、本発明の発明者による検討によって、明らかとなった。
本発明は、このような考察に基づいてなされたものである。本発明の幾つかの態様によれば、例えば、レギュレータのバイパス技術によって受電装置における電力損失および発熱を低減させ、一方、バイパス状態において、負荷への給電を一時的に停止し、あるいは停止していた給電を再開する場合でも、大きなオーバーシュートや大きなアンダーシュートが発生しないようにすることができる。
(1)本発明の受電制御装置の一態様では、1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて送電装置から、整流回路およびレギュレータを含む受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の電圧出力ノードから給電対象の負荷に対して電力を供給すると共に、前記給電対象の負荷への給電期間中において、前記受電装置に含まれる負荷変調部による負荷変調によって、前記送電装置に負荷変調信号を送信する無接点電力伝送システムにおける、前記受電装置に設けられる受電制御装置であって、前記受電装置の動作を制御する受電側制御回路と、前記給電対象の負荷への給電を一時的に停止させる電力供給制御信号を出力するための電力供給制御信号出力端子と、を含み、前記受電側制御回路は、前記給電対象の負荷への給電能力の低下を検出すると、前記レギュレータの入力ノードと出力ノードとの間に設けられたスイッチ回路をオンさせて、前記レギュレータの前記入力ノードと前記出力ノードとを直結するバイパス経路をオン状態とし、また、前記バイパス経路が形成されている期間において、前記給電対象への負荷への給電を一時的に停止する場合に、前記電力供給制御信号出力端子から出力される前記電力供給制御信号の電圧レベルを非アクティブレベルからアクティブレベルに変化させて前記給電対象の負荷への給電を一時的に停止させるタイミングで、あるいは、前記給電対象の負荷への給電を一時的に停止させるタイミングの前に、前記スイッチ回路をオフさせて前記バイパス経路を強制的にオフ状態とし、かつ、前記給電対象の負荷への給電の一時停止を解除した後に、前記スイッチ回路をオンさせて前記バイパス経路をオン状態に復帰させる。
受電制御装置に含まれる受電側制御回路は、例えば、レギュレータの出力ノード(あるいは入力ノード)の電圧レベルを監視し、給電対象の負荷への給電能力の低下を検出すると、レギュレータをバイパスするバイパス経路をオンさせる。ここで、給電対象の負荷への給電能力が低下する状態は、例えば、給電対象の負荷への給電電流が不足する状態である。
バイパス経路をオンさせて、より低損失のバイパス経路(迂回経路)を経由して負荷に電流を供給することによって、負荷への給電能力を無理なく高めることができる。また、負荷に大量の電流を供給するとき(つまり、高負荷時)におけるレギュレータにおける発熱を抑制することができる。
また、パイパス経路が形成されるのは、例えば、レギュレータの入力ノードおよび出力ノードの少なくとも一方の電圧が低下している場合である。したがって、バイパス経路を経由して電流を供給している場合でも、過大な電圧が負荷に印加されるという心配はなく、レギュレータを迂回することに関して、特別な問題(例えば、耐圧の問題)は生じない。
一方、受電側制御回路は、負荷への給電を一時的に停止させるときは、電力供給制御信号出力端子から電力供給制御信号(ICUTX)を出力する。なお、負荷への給電を一時的に停止させる要因としては、定期認証の実行や、あるいは、通常送電中における2次側から1次側への負荷変調による通信の発生等がある。
電力供給制御信号は、例えば、2次電池の充電を制御する充電装置(チャージャ)に供給される。電力供給制御信号が非アクティブレベルからアクティブレベルに変化すると、例えば、充電装置(チャージャ)内の給電制御スイッチがオフとなって電流経路が遮断される。
ここで、バイパス経路がオン状態であるときに、電力供給制御信号によって負荷への給電を一時的に停止すると、上述のとおり、電流がせき止められ、例えば、レギュレータの出力ノード(あるいは入力ノード)の電圧レベルが急上昇してオーバーシュートが生じる。そこで、これを防止するために、受電側制御回路は、電力供給制御信号(ICUTX)の電圧レベルを非アクティブレベルからアクティブレベルに変化させるとき(同時のタイミング)あるいは、その変化の前のタイミングにおいて、バイパス経路を強制的にオフ状態とする。これにより、レギュレータを経由して負荷に電流が供給される。
したがって、バイパスが強制的にオフされた状態で、負荷への給電が一時的に停止される。レギュレータは、出力電圧を、例えば負帰還制御によって安定化する機能をもっている。よって、上述の場合でも、レギュレータの出力ノード(入力ノード)の電圧は過大に上昇することがなく、瞬時に安定化されるため、大きなオーバーシュートは生じない。よって、電子回路の破壊等の問題は生じない。
また、負荷への給電の一時的な停止が不要となれば、受電側制御回路は、電力供給制御信号(ICUTX)をアクティブレベルから非アクティブレベルに変化させて、負荷への給電を再開する。このとき、バイパスの強制オフ状態は継続している。負荷への給電を再開したとき、例えば、充電装置(チャージャ)の給電経路に設けられたトランジスタは、負荷である2次電池に十分な電流を供給しようとして急激に電流を引く。よって、2次電池とレギュレータの出力ノードとが、あたかもショートされたような状態となり、レギュレータの出力ノード(入力ノード)の電圧は低下する。
しかし、レギュレータはある程度のオン抵抗を有しており、そのオン抵抗によって電流が制限されるため、ショート電流が流れない。つまり、レギュレータがバイパス状態であるときは、電流を制限する要素がないため、バイパス経路を経由してショート電流が流れるが、レギュレータがオンしている状態では、レギュレータ自体のオン抵抗が電流制限抵抗として機能するため、ショート電流が流れることが防止される。また、電力供給制御信号(ICUTX)をアクティブレベルから非アクティブレベルに変化させたタイミングから、バイパス強制オフが解除されるタイミングまでの時間が短いことから、レギュレータの出力ノードの電圧の変動の範囲が制限される。したがって、大きなアンダーシュートが生じない。よって、大きなアンダーシュートによって、例えば充電装置に設けられる充電制御ICがリセットされるといった不都合が生じない。
このように、本態様によれば、レギュレータのバイパス技術によって受電装置における電力損失および発熱を低減させ、一方、バイパス状態において、負荷への給電を一時的に停止し、あるいは停止していた給電を再開する場合でもオーバーシュートやアンダーシュートが発生しないようにすることができる。よって、負荷への給電能力の向上(2次電池の充電時間の短縮等)と、オーバーシュートやアンダーシュートの防止による信頼性の向上と、の双方を実現することができる。
(2)本発明の受電制御装置の他の態様では、前記受電側制御回路は、前記給電対象の負荷への給電の一時停止を解除した後、前記給電対象の負荷に供給する電圧が安定化するのに必要な時間が経過した後、前記スイッチ回路をオンさせて前記バイパス経路をオン状態に復帰させる。
上述のとおり、バイパスの強制オフ状態が継続しているときに、一時的に停止していた負荷への給電が再開される。本態様では、給電対象の負荷に供給する電圧が安定化するのに必要な時間が経過した後にバイパスの強制オフが解除され、バイパスがオンされた状態に復帰する。
すなわち、電力供給制御信号がアクティブレベルから非アクティブレベルに変化して、負荷に給電が再開された後、ある程度の時間が経過しないと、負荷への給電状態が安定化せず、その間は、レギュレータの出力ノード(入力ノード)の電圧は安定しない。この状態で、バイパスをオンさせると、負荷への安定した給電ができない場合がある。
そこで、本態様では、負荷への給電を再開した後、給電電圧が安定化するのに必要な時間の経過を待ち、その後、バイパス強制オフを解除して、バイパスをオン状態に復帰させる。これにより、中断していたバイパス経由の給電を、円滑に(安定的に)再開することができる。
(3)本発明の受電制御装置の他の態様では、前記受電制御回路は、前記レギュレータの入力ノードと出力ノードとの間に設けられた前記スイッチ回路のオン/オフを制御するためのバイパス制御信号を出力するバイパス制御部と、前記受電装置に含まれる前記負荷変調部の動作を制御することによって前記受電装置の負荷を定期的に変調して定期認証を実行し、かつ、前記定期的な負荷変調の実行の際に、前記電力供給制御信号を前記電力供給制御端子から出力して前記給電対象の負荷への給電を一時的に停止させ、かつ、前記バイパス制御部にバイパス強制オフ信号を供給する定期認証制御部と、を有し、前記バイパス制御部は、前記レギュレータの入力ノードの電圧および出力ノードの電圧の少なくとも一つの電圧レベルを検出し、検出結果を示す検出信号を出力する検出回路と、前記定期認証部から出力されるバイパス強制オフ信号が非アクティブレベルであるときは、前記検出回路から出力される前記検出信号に基づいて前記バイパス制御信号をアクティブレベルとするか非アクティブレベルとするかを切り換えることによって、前記スイッチ回路のオン/オフを制御すると共に、前記バイパス強制オフ信号がアクティブレベルであるときは、前記検出信号のレベルにかかわらず、前記バイパス制御信号を強制的に非アクティブレベルに固定して、前記スイッチ回路がオンすることを禁止する出力制御回路と、を有する。
本態様では、受電側制御回路は、バイパス制御部と、定期認証制御部と、を有する。バイパス制御部は、レギュレータの出力ノードあるいは入力ノードの電圧の少なくとも一方を検出する検出回路と、検出回路から出力される検出信号または定期認証制御部から出力されるバイパス強制オフ信号のいずれかに基づいて、バイパス制御信号の電圧レベルを切り換える出力制御回路と、を有する。
出力制御回路は、バイパス制御部から出力されるバイパス制御信号の電圧レベルを制御する回路である。この出力制御回路は、バイパスのオン/オフを制御するバイパスイネーブル回路として機能する。
上述のとおり、送電装置から受電装置への通常送電中に、乗っ取り状態の検出のために定期認証が実行される。すなわち、受電側制御回路に含まれる定期認証制御部は、例えば、負荷変調トランジスタをオン/オフさせて、受電装置の負荷を定期的に変調する。定期認証の際、負荷変調期間においては負荷への給電を一時的に停止する。負荷への給電を一時的に停止するときは、バイパスをオフする必要があり、また、定期認証期間が終了して負荷への給電を再開した後も、給電電圧が安定するまでは、バイパスのオフ状態を継続する必要がある。
定期認証に伴って生じるバイパスオフ期間を確実に確保するために、定期認証制御部は、バイパス強制オフ信号を生成してバイパス制御部に供給する。定期認証制御部から出力されるバイパス強制オフ信号は、バイパス制御部内の出力制御回路に供給される。
出力制御回路は、バイパス強制オフ信号が非アクティブレベルであるとき(つまり、定期認証が実行されないとき)は、検出回路の検出信号に基づいて、バイパス制御信号を出力するか否かの制御(つまり、バイパス制御信号をアクティブレベルにするか、非アクティブレベルにするかの切り換え制御)を実行する。
但し、バイパス強制オフ信号がアクティブレベルになると、バイパス強制オフ信号による制御が支配的となって、バイパス制御信号がアクティブレベルになること(バイパスがオンすること)が禁止される。つまり、検出回路によるレギュレータの出力ノード(入力ノード)の電圧レベルの検出結果に関係なく、出力制御回路は、バイパス制御信号を、強制的に非アクティブレベルに固定する。これによって、定期認証の際には、バイパスが確実にオフする。よって、定期認証を実行する際に、受電装置における給電経路において、給電電圧のオーバーシュートやアンダーシュートが生じない。
(4)本発明の受電制御装置の他の態様では、前記検出回路は、前記レギュレータの入力ノードの電圧および出力ノードの電圧の少なくとも一つの電圧が第1のしきい値電圧を下回った場合に前記検出信号をアクティブレベルとし、前記第1の電圧よりも高いレベルの第2のしきい値電圧を上回ったときに前記検出信号を非アクティブレベルとし、前記出力制御回路は、前記定期認証部から出力される前記バイパス強制オフ信号が非アクティブレベルであるときは、前記検出信号がアクティブレベルである期間において前記バイパス制御信号をアクティブレベルとして、前記スイッチ回路をオンさせて前記バイパス経路をオン状態とし、かつ、前記検出信号が非アクティブレベルである期間において前記バイパス制御信号を非アクティブレベルとして、前記スイッチ回路をオフさせて前記バイパス経路をオフ状態とし、前記定期認証部から出力される前記バイパス強制オフ信号がアクティブレベルであるときは、前記検出信号のレベルにかかわらず、前記バイパス制御信号を非アクティブレベルに固定する。
バイパス制御部は、定期認証が実行されない期間では、レギュレータの出力ノード(あるいは入力ノード)の電圧が第1のしきい値電圧より低下したことが検出回路によって検出されると、バイパスをオンさせる。バイパスがオンした後、レギュレータの出力ノード(あるいは入力ノード)の電圧が第2のしきい値電圧(第1のしきい値電圧<第2のしきい値電圧)を超えたことが検出回路によって検出されると、バイパスをオフする。バイパスのオン判定のための第1のしきい値と、バイパスのオフ判定のための第2のしきい値との間に差を設けるのは、給電経路に重畳されるノイズ等によって、バイパスのオン/オフが切り換わるのを防止するためである。つまり、レギュレータの出力ノード(あるいは入力ノード)の電圧が低下してバイパスがオンすると、レギュレータの出力ノード(あるいは入力ノード)の電圧が十分に上昇しない限り、バイパスがオフにならない。
一方、定期認証が実行されるときは、バイパス強制オフ信号がアクティブレベルになる。これによって、検出回路による、レギュレータの出力ノード(あるいは入力ノード)の電圧の検出結果にかかわらず、バイパス制御信号が非アクティブレベルに固定され、バイパスが強制的にオフされ、バイパス経路を経由した給電からレギュレータを経由した給電に切り換わる。これによって、定期認証の際に、オーバーシュートやアンダーシュートが生じない。
(5)本発明の受電制御装置の他の態様では、前記検出回路はヒステリシスコンパレータで構成され、前記出力制御回路は、前記定期認証部から出力される前記バイパス強制オフ信号によって前記バイパス経路が強制的にオフ状態となっている期間内の、前記給電対象の負荷への給電の一時的な停止が解除された後であって前記バイパス強制オフ状態が解除されるまでの期間において、前記検出回路として機能する前記ヒステリシスコンパレータのリセットを実行し、これによって、前記ヒステリシスコンパレータの入力信号の状態および出力信号の状態を、前記バイパス経路がオン状態であるときの状態に復帰させる。
検出回路は、例えば、ヒステリシスコンパレータによって構成される。ヒステリシスコンパレータは、コンパレータの出力を入力に正帰還することによって、ヒステリシスをもつ入出力特性を実現したコンパレータである。ヒステリシスコンパレータの出力レベルは、入力レベルに依存する。したがって、バイパスを強制的にオフした後、再び、バイパスのオン状態に復帰させるためには、ヒステリシスコンパレータをリセットして、ヒステリシスコンパレータの状態(つまり、ヒステリシスコンパレータの入力電圧や出力電圧等)を、バイパスのオン状態に対応した状態に戻す必要がある。
しかし、負荷への給電を一時的に停止したことによって生じる、給電電圧が不安定な状態は、給電の再開後、ある程度の時間が経過するまで継続する。給電電圧が不安定な期間では、レギュレータの出力ノード(入力ノード)の電圧も安定せず、したがって、バイパス制御部に設けられる検出回路としてのヒステリシスコンパレータの入力電圧レベルも安定せず、ヒステリシスコンパレータの状態を、バイパスのオン状態に対応した状態に確実に戻すことができない。
そこで、ヒステリシスコンパレータを強制的にリセットする。例えば、出力制御回路は、バイパス経路が強制的にオフ状態となっている期間内の、給電対象の負荷への給電の一時的な停止が解除された後であってバイパス強制オフ状態が解除されるまでの期間において、検出回路として機能する前記ヒステリシスコンパレータの入力電圧レベルを強制的に低下させ、ヒステリシスコンパレータの出力電圧レベルを、バイパスがオン状態のときの電圧レベルに確実に戻す。これによって、バイパスのオフ状態からバイパスをオン状態に戻す準備が完了する。この後、給電電圧が安定化した時点で、バイパス強制オフ信号を非アクティブレベルに戻し、バイパスをオン状態に復帰させる。これによって、強制的にオフされたバイパスを、円滑にオン状態に戻すことができる。
(6)本発明の受電装置の一態様は、上記いずれかの受電制御装置と、前記整流回路を含み、前記2次コイルの誘起電圧を直流電圧に変換する受電部と、前記レギュレータと、前記レギュレータの入力ノードおよび出力ノードとの間に設けられた前記スイッチ回路と、を含み、前記給電対象の負荷への給電を制御する給電制御部と、を含む。
本態様によれば、小型、低損失、低発熱という優れた特性をもち、かつ、通常送電中の負荷変調に伴うオーバーシュートやアンダーシュートが生じない、高い信頼性をもつ、無接点電力伝送システムの受電装置が実現される。
(7)本発明の電子機器の一態様は、上記の受電装置と、前記受電装置により電力が供給される、前記給電対象の負荷と、を含む。
本発明は、多様な電子機器(例えば、腕時計、コードレス電話器、シェーバー、電動歯ブラシ、リストコンピュータ、ハンディターミナル、携帯情報端末、あるいは電動自転車など)に適用可能である。特に好適な電子機器の例としては、携帯端末(携帯電話端末、PDA端末、持ち運び可能なパーソナルコンピュータ端末を含む)や時計(ウオッチ)があげられる。本発明の受電装置は、構成が簡単で小型であるため携帯端末等への搭載も可能であり、低損失であるために、例えば、電子機器における2次電池の充電時間を短縮することが可能であり、また、発熱が低減されることから、電子機器の安全面からみた信頼性も向上する。また、通常送電中の負荷変調に伴うオーバーシュートやアンダーシュートが生じないため、2次側機器の破損や回路の不要なリセットが発生しない。よって、電子機器の信頼性はさらに向上する。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。
なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
(第1の実施形態)
以下、無接点電力伝送システムについて説明する。
(電子機器の構成)
図1(A)〜図1(C)は、無接点電力システムの一例の構成を示す図である。図1(A)に本実施形態の無接点電力伝送手法が適用される電子機器の例を示す。電子機器の1つである充電器500(クレードル)は送電装置10を有する。また電子機器の1つである携帯電話機510は受電装置40を有する。また携帯電話機510は、LCDなどの表示部512、ボタン等で構成される操作部514、マイク516(音入力部)、スピーカ518(音出力部)、アンテナ520を有する。
充電器500にはACアダプタ502を介して電力が供給され、この電力が、無接点電力伝送により送電装置10から受電装置40に送電される。これにより、携帯電話機510のバッテリを充電したり、携帯電話機510内のデバイスを動作させたりすることができる。
なお、本実施形態が適用される電子機器は携帯電話機510に限定されない。例えば腕時計、コードレス電話器、シェーバー、電動歯ブラシ、リストコンピュータ、ハンディターミナル、携帯情報端末、電動自転車、或いはICカードなどの種々の電子機器に適用できる。
図1(B)に模式的に示すように、送電装置10から受電装置40への電力伝送は、送電装置10側に設けられた1次コイルL1(送電コイル)と、受電装置40側に設けられた2次コイルL2(受電コイル)を電磁的に結合させて電力伝送トランスを形成することで実現される。これにより非接触での電力伝送が可能になる。
なお、図1(B)では1次コイルL1、2次コイルL2は、平面上でスパイラル状にコイル線を巻くことで形成された例えば空芯の平面コイルになっている。しかしながら、本実施形態のコイルはこれに限定されず、1次コイルL1と2次コイルL2を電磁的に結合させて電力を伝送できるものであれば、その形状・構造等は問わない。
例えば図1(C)では、磁性体コアに対してX軸回りでコイル線をスパイラル状に巻くことで1次コイルL1が形成されている。携帯電話機510に設けられた2次コイルL2も同様である。図1(C)のようなコイルにも本実施形態は適用可能である。なお図1(C)の場合に、1次コイルL1や2次コイルL2として、X軸回りにコイル線を巻いたコイルに加えて、Y軸周りにコイル線を巻いたコイルを組み合わせてもよい。
また、本実施形態が適用される電子機器は携帯電話機510に限定されない。例えば腕時計、コードレス電話器、シェーバー、電動歯ブラシ、リストコンピュータ、ハンディターミナル、携帯情報端末、あるいは電動自転車などの種々の電子機器に適用できる。
特に好適な電子機器の例としては、携帯端末(携帯電話端末、PDA端末、持ち運び可能なパーソナルコンピュータ端末を含む)や時計(ウオッチ)があげられる。本発明の受電装置は、構成が簡単で小型であるため携帯端末等への搭載も可能であり、低損失であるために、例えば、電子機器における2次電池の充電時間を短縮することが可能であり、また、発熱が低減されることから、電子機器の安全面からみた信頼性も向上する。
特に、携帯端末(携帯電話端末、PDA端末、持ち運び可能なパーソナルコンピュータ端末を含む)は、高負荷時の充電電流量が大きく、発熱の問題も顕在化しやすい。また、時計(ウオッチ)は小型化かつ低消費電力性が厳しく求められる機器であり、電池の充電時の低損失性が重要である。よって、これらの機器は、本発明が有する低損失かつ低発熱という特性を十分に活かすことが可能な機器といえる。
(送電装置および受電装置の構成の具体例)
図2は、送電装置、受電装置を含む無接点電力伝送システムにおける、各部の具体的な構成の一例を示す回路図である。
送電装置10は、送電制御装置20と、送電部12と、波形モニタ回路14と、表示部16と、を有する。また、送電制御装置20は、送電側制御回路22と、発振回路24と、ドライバ制御回路26と、波形検出回路28と、を有する。
また、受電装置40には、受電部42と、負荷変調部46と、給電制御部48と、受電制御装置50と、が設けられている。また、無接点電力伝送システムにおける給電対象の負荷は、2次電池(例えば、リチウムイオン電池)94である。2次電池94の充電は、充電装置(チャージャ)90により管理される。以下、具体的に説明する。
充電器500などの送電側の電子機器は、少なくとも図2に示される送電装置10を含む。また、携帯電話機510などの受電側の電子機器は、少なくとも受電装置40と、充電装置90と、給電対象の負荷94と、を含む。
そして、図2の構成により、1次コイルL1と2次コイルL2を電磁的に結合させて送電装置10から受電装置40に対して電力を伝送し、受電装置40の電圧出力端子TA1から、給電対象の負荷94に対して電力を供給する無接点電力伝送(非接触電力伝送)システムが実現される。
送電装置10(送電モジュール、1次モジュール)は、1次コイルL1、送電部12、波形モニタ回路14、表示部16、送電制御装置20を含むことができる。なお、送電装置10や送電制御装置20は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えば表示部、波形モニタ回路)を省略したり、他の構成要素を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。
送電部12は、電力伝送時には所定周波数の交流電圧を生成し、データ転送時にはデータに応じて周波数が異なる交流電圧を生成して、1次コイルL1に供給する。送電部12は、1次コイルL1の一端を駆動する第1の送電ドライバと、1次コイルL1の他端を駆動する第2の送電ドライバと、1次コイルL1と共に共振回路を構成する少なくとも1つのコンデンサを含むことができる。そして、送電部12が含む第1、第2の送電ドライバの各々は、例えば、パワーMOSトランジスタにより構成されるインバータ回路(あるいはバッファ回路)であり、送電制御装置20のドライバ制御回路26により制御される。
1次コイルL1(送電側コイル)は、2次コイルL2(受電側コイル)と電磁結合して電力伝送用トランスを形成する。例えば、電力伝送が必要なときには、図1に示すように、充電器500の上に携帯電話機510を置き、1次コイルL1の磁束が2次コイルL2を通るような状態にする。一方、電力伝送が不要なときには、充電器500と携帯電話機510を物理的に離して、1次コイルL1の磁束が2次コイルL2を通らないような状態にする。
1次コイルL1と2次コイルL2としては、例えば、平面コイルを用いることができる。波形モニタ回路14は、1次コイルL1の誘起電圧を検出する回路であり、例えば、抵抗RA1、RA2や、RA1とRA2の接続ノードNA3とGND(広義には低電位側電源)との間に設けられるダイオードDA1を含む。具体的には、1次コイルの誘起電圧を抵抗RA1、RA2で分圧することによって得られた信号PHINが、送電制御装置20の波形検出回路28に入力される。
表示部16は、無接点電力伝送システムの各種状態(電力伝送中、ID認証等)を、色や画像などを用いて表示するものであり、例えばLED(発光ダイオード)やLCD(液晶表示装置)などにより実現される。
送電制御装置20は、送電装置10の各種制御を行う装置であり、集積回路装置(IC)などにより実現できる。この送電制御装置20は、送電側制御回路22と、発振回路24と、ドライバ制御回路26と、波形検出回路28と、を含む。
また、送電側制御回路22は、送電装置10や送電制御装置20の制御を行うものであり、例えば、ゲートアレイやマイクロコンピュータなどにより実現できる。
具体的には、送電側制御回路22は、電力伝送、負荷検出、周波数変調、異物検出、あるいは着脱検出などに必要な各種のシーケンス制御や判定処理を行う。送電側制御回路22は、例えば、動作スイッチのオンを契機として、受電装置40に対する、位置検出やID認証用の仮送電を開始する。
発振回路24は、例えば、水晶発振回路により構成され、1次側のクロック(駆動クロックDRCK)を生成する。ドライバ制御回路26は、発振回路24で生成されたクロックや制御回路22からの周波数設定信号などに基づいて、所望の周波数の制御信号を生成し、送電部12の送電ドライバ(不図示)に出力し、その送電ドライバの動作を制御する。
波形検出回路28は、1次コイルL1の一端の誘起電圧に相当する信号PHINの波形をモニタし、負荷検出、異物検出等を行う。例えば、受電装置40の負荷変調部46が、送電装置10に対してデータを送信するための負荷変調を行うと、1次コイルL1の誘起電圧の信号波形が、それに対応して変化する。
例えば、データ「0」を送信するために、受電装置40の負荷変調部46が負荷を低くすると、信号波形の振幅(ピーク電圧)が小さくなり、データ「1」を送信するために負荷を高くすると、信号波形の振幅が大きくなる。したがって、波形検出回路28は、誘起電圧の信号波形のピークホールド処理などを行って、ピーク電圧がしきい値電圧を超えたか否かを判断することで、受電装置40からのデータが「0」なのか「1」なのかを判断できる。なお、波形検出の手法は、上述の手法に限定されない。例えば、受電側の負荷が高くなったか低くなったかを、ピーク電圧以外の物理量(電流と電圧の位相差や、電圧波形に基づいて生成されるパルスのパルス幅等)を用いて判断してもよい。
受電装置40(受電モジュール、2次モジュール)は、2次コイルL2、受電部42、負荷変調部46、給電制御部48、受電制御装置50を含むことができる。なお、受電装置40や受電制御装置50は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。
受電部42は、2次コイルL2の交流の誘起電圧を直流電圧に変換する。この変換は受電部42が有する整流回路43により行われる。この整流回路43は、ダイオードDB1〜DB4を含む。ダイオードDB1は、2次コイルL2の一端のノードNB1と直流電圧VDCの生成ノードNB3との間に設けられ、DB2は、ノードNB3と2次コイルL2の他端のノードNB2との間に設けられ、DB3は、ノードNB2とVSSのノードNB4との間に設けられ、DB4は、ノードNB4とNB1との間に設けられる。
受電部42の抵抗RB1、RB2はノードNB1とNB4との間に設けられる。そしてノードNB1、NB4間の電圧を抵抗RB1、RB2により分圧することで得られた信号CCMPIが、受電制御装置50の周波数検出回路60に入力される。
受電部42のコンデンサCB1及び抵抗RB4、RB5は、直流電圧VDCのノードNB3とVSSのノードNB4との間に設けられる。そしてノードNB3、NB4間の電圧を抵抗RB4、RB5により分圧して得られる分圧電圧VD4は、信号線LP2を経由して、受電側制御回路52および位置検出回路56に入力される。位置検出回路56に関しては、その分圧電圧VD4が、位置検出のための信号入力(ADIN)となる。
負荷変調部46は、負荷変調処理を行う。具体的には、受電装置40から送電装置10に所望のデータを送信する場合に、送信データに応じて負荷変調部46(2次側)での負荷を可変に変化させ、1次コイルL1の誘起電圧の信号波形を変化させる。このために負荷変調部46は、ノードNB3、NB4の間に直列に設けられた抵抗RB3、トランジスタTB3(N型のCMOSトランジスタ)を含む。
このトランジスタTB3は、受電制御装置50の受電側制御回路52から信号線LP3を経由して与えられる制御信号P3Qによりオン/オフ制御される。本送電が開始される前の認証ステージにおいて、負荷変調トランジスタTB3をオン/オフ制御して負荷変調を行って送電装置に信号を送信する。
例えば、データ「0」を送信するために2次側を低負荷(インピーダンス大)にする場合には、負荷変調トランジスタTB3の駆動信号P3QがLレベルになって負荷変調トランジスタTB3がオフになる。これにより負荷変調部46の負荷はほぼ無限大(無負荷)になる。一方、データ「1」を送信するために2次側を高負荷(インピーダンス小)にする場合には、負荷変調トランジスタTB3の駆動信号P3QがHレベルになって、負荷変調トランジスタTB3がオンになる。これにより負荷変調部46の負荷は、抵抗RB3(高負荷)になる。
給電制御部48は、給電対象の負荷94への電力の給電を制御する。レギュレータ(LDO)49は、整流回路43での変換で得られた直流電圧VDCの電圧レベルを調整して、電源電圧VD5(例えば5V)を生成する。VD5は、レギュレータ(LDO)49の出力ノードの電圧である。受電制御装置50は、この電源電圧VD5によって動作する。
また、レギュレータ(LDO)49の入力ノードと出力ノードとの間には、PMOSトランジスタ(M1)からなるスイッチ回路が設けられている。このスイッチ回路としてのPMOSトランジスタ(M1)をオンすることによって、レギュレータ(LDO)49をバイパスする経路が形成される。例えば、高負荷時(例えば、消耗が激しい2次電池の充電の初期においては、ほぼ一定の大電流を定常的に流すことが必要となり、このようなときが高負荷時に該当する)においては、レギュレータ49自体の等価インピーダンスによって電力ロスが増大し、発熱も増大することから、レギュレータを迂回して、バイパス経路を経由して電流を負荷に供給するようにする。
スイッチ回路としてのPMOSトランジスタM1のオン/オフを制御するために、パイパス制御回路として機能するNMOSトランジスタM2およびプルアップ抵抗R8が設けられている。
受電側制御回路52から、信号線LP4を介して、ハイレベルのバイパス制御信号VPBPがNMOSトランジスタM2のゲートに与えられると、NMOSトランジスタM2がオンする。すると、PMOSトランジスタM1のゲートがローレベルになり、PMOSトランジスタM1がオンしてレギュレータ(LDO)49をバイパスする経路が形成される。一方、NMOSトランジスタM2がオフ状態のときは、PMOSトランジスタM1のゲートは、プルアップ抵抗R8を介してハイレベルに維持されるため、PMOSトランジスタM1はオフし、バイパス経路は形成されない。
バイパス経路のオン/オフ(すなわち、NMOSトランジスタM2のオン/オフ)は、受電制御装置50に含まれる受電側制御回路52によって制御される。バイパスのオン/オフに関係する受電側制御回路52の構成と、その動作については後述する。
また、トランジスタTB2(P型のCMOSトランジスタ)は、電源電圧VD5の生成ノードNB5(レギュレター49の出力ノード)とトランジスタTB1(ノードNB6)との間に設けられ、受電制御装置50の受電側制御回路52からの信号P1Qにより制御される。具体的には、トランジスタTB2は、ID認証が完了(確立)して通常の電力伝送を行う場合にはオン状態となる。
なお、電源電圧生成ノードNB5とトランジスタTB2のゲートのノードNB8との間にはプルアップ抵抗RU2が設けられる。
受電制御装置50は、受電装置40の各種制御を行う装置であり、集積回路装置(IC)などにより実現できる。この受電制御装置50は、2次コイルL2の誘起電圧から生成される電源電圧VD5により動作することができる。また、受電制御装置50は、受電側制御回路52と、位置検出回路56と、発振回路58と、周波数検出回路60と、満充電検出回路62と、を含むことができる。
受電側制御回路52は、受電装置40や受電制御装置50の制御を行うものであり、例えば、ゲートアレイやマイクロコンピュータなどにより実現できる。この受電側制御回路52は、シリーズレギュレータ(LDO)49の出力ノードの定電圧(VD5)を電源として動作する。この電源電圧(VD5)は、電源供給線LP1を経由して、受電側制御回路52に与えられる。
この受電側制御回路52は、具体的には、ID認証、位置検出、周波数検出、満充電検出、認証用の通信のための負荷変調、異物挿入検出を可能とするための通信のための負荷変調などに必要な各種のシーケンス制御や判定処理を行う。
また、受電側制御回路52には、通常送電中に、給電対象の負荷94への給電を一時的に停止するための電力供給制御信号(ICUTX)を出力するための、電力供給制御信号出力端子TS1が設けられている。電力供給制御信号(ICUTX)は、負荷変調が実行される期間(つまり、負荷変調トランジスタTB3がオン/オフされる期間)において、アクティブレベルとなる。電力供給制御信号(ICUTX)は、充電装置90に与えられる。すなわち、電力供給制御信号(ICUTX)は、電力供給制御信号出力端子TS1、ならびに、受電装置(受電モジュール)40に設けられた端子TA3、さらに充電装置90に設けられた端子TA7を経由して、充電装置90に供給される。
充電装置90には、電力供給制御トランジスタ(PMOSトランジスタ)M3が設けられている。電力供給制御トランジスタ(PMOSトランジスタ)M3のゲートは、通常状態では、プルダウン抵抗R16によって接地され、よって、電力供給制御トランジスタ(PMOSトランジスタ)M3はオン状態である。したがって、通常状態では、電力供給制御トランジスタ(PMOSトランジスタ)M3を経由して、2次電池(給電対象の負荷)94に電流が供給される。
受電側制御回路52の電力供給制御信号出力端子TS1から出力される電力供給制御信号(ICUTX)がアクティブレベル(Hレベル)になると、充電装置90には、電力供給制御トランジスタ(PMOSトランジスタ)M3のゲートがハイレベルになって、電力供給制御トランジスタ(PMOSトランジスタ)M3がオフする。これによって、2次電池(負荷)94への給電が一時的に停止する。電力供給制御信号(ICUTX)が非アクティブレベル(Lレベル)になると、電力供給制御トランジスタ(PMOSトランジスタ)M3は、オン状態に復帰する。
また、位置検出回路56は、2次コイルL2の誘起電圧の波形に相当する信号ADINの波形を監視して、1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係が適正であるかを判断する。具体的には、信号ADINをコンパレータで2値に変換して、位置関係が適正であるか否かを判断する。
発振回路58は、例えばCR発振回路により構成され、2次側のクロックを生成する。周波数検出回路60は、信号CCMPIの周波数(f1、f2)を検出して、送電装置10からの送信データが「1」なのか「0」なのかを判断する。
満充電検出回路62(充電検出回路)には、充電装置90に含まれる充電制御装置92から出力される信号LEDRが、端子TA4および端子TS2を経由して入力される。充電制御装置92は、給電対象の負荷である2次電池94の充電状態を監視し、所定の条件(例えば、電圧が4.2Vであり、電流が所定値以下となる状態が所定時間だけ継続するという条件)を満足するか否かによって、2次電池94の満充電を検出する。充電制御装置92は、満充電が検出されると、信号LEDRをHレベルからLレベルに変化させる。これによって、充電状態の表示に使用される発光ダイオード(LED)が順バイアスされて点灯する。また、満充電検出回路62は、信号LEDRの電圧レベルの変化に基づいて、2次電池94が満充電状態になったことを知ることができる。
また、充電装置90は、電力供給制御トランジスタ(PMOSトランジスタ)M3と、給電対象の負荷である2次電池(バッテリ)94の充電制御等を行う充電制御装置92と、充電制御トランジスタM5と、電流検出抵抗R15と、を含む。充電制御装置92は、例えば、電流検出抵抗R15の両端の電位を検出し、検出結果に基づいて負帰還制御を実行し、例えば、充電電流が一定になるように(あるいは、充電電圧が一定になるように)、充電制御トランジスタM5のオン状態を制御する。また、充電制御装置92は、上述のとおり、2次電池94の満充電状態を検出することができる。この充電制御装置92(充電制御IC)は集積回路装置などにより実現できる。
なお、受電装置40は、4つの端子(TA1〜TB1)を有する。また、充電装置(チャージャ)90も同様に、5つの端子(TA5〜TA8)を有する。受電制御装置50は、2つの端子(ICUTX信号の出力端子TS1,LEDR信号の入力端子TS2)を有する。なお、給電対象の負荷は、2次電池に限定されるものではない。例えば、所定の回路が動作することによって、その回路が負荷となる場合もあり得る。
次に、乗っ取り状態の検出(乗っ取り発熱対策)について具体的に説明する。
(通信方式の説明)
図3(A),図3(B)は、送電装置と受電装置との間の通信方式を説明するための図である。図3(A)は、送電装置から受電装置に信号を送信する場合の通信方式(周波数変調)を示し、図3(B)は、受電装置から送電装置に信号を送信する場合の通信方式(負荷変調)を示している。
図3(A)に示すように、周波数変調によって、送信周波数を、f1とf2との間で切り換えることによって、送電装置は、受電装置に「1」および「0」を送信することができる。
また、図3(B)に示すように、受電装置は、受電装置の負荷を変調することによって、送電装置に、「0」および「1」を送信することができる。すなわち、負荷変調部46に設けられる負荷変調トランジスタTB3がオン/オフされると、1次コイルL1のコイル端電圧は、例えば、図3(B)に示すように示すように変化する。したがって、送電側制御回路22は、例えば、1次コイルL1のコイル端(ノードNA2)の電圧をしきい値電圧と比較することによって、負荷変調信号が「0」であるか、「1」であるかを検出することができる。
(定期認証ならびに負荷軽減)
次に、乗っ取り状態を検出するための定期認証と、定期認証に伴う負荷軽減(負荷への給電の一時停止)について説明する。図4(A),図4(B)は、乗っ取り状態について説明するための図である。
図4(A)は、送電装置10から受電装置40に、通常送電(ID認証後の正規の送電)が実行されている状態を示す。ここで、図4(B)に示すように、例えば、薄い板状の、大面積の金属異物ARが、1次側機器500と2次側機器510との間に挿入されると、1次側から供給される電力は、金属異物ARですべて消費される。
1次側は、2次側機器が存在するものと判断して、通常送電は継続される。この状態を「乗っ取り状態」という。乗っ取り状態が発生すると、金属異物(導電性異物)ARが発熱し、機器破損や火傷等の事故の原因となる。
そこで、2次側は、定期的(例えば1秒毎)に負荷変調によって所与のパターンの信号(例えば、“0”,“1”,“0”)を送信する。乗っ取り状態が発生しなければ、1次側は、2次側から送信される所与のパターンの信号を定期的に検出することができる。一方、乗っ取り状態が発生すれば、2次側から送信される所与のパターンの信号は1次側で検出できなくなるため、これによって、1次側は、乗っ取り状態の発生を検出することができる。定期的に2次側から送信される信号を受信できるか否かによる乗っ取り状態の検出を、定期認証という。
図5(A),図5(B)は、定期認証と、定期認証の際の負荷軽減(負荷への給電の一時停止)と、を説明するための図である。
受電側制御回路52は、負荷変調を実行する場合(例えば、定期認証を実行する場合)に、負荷(2次電池)94への給電を一時的に停止する。すなわち、負荷(2次電池)94への充電電流の電流量が多い場合には、負荷変調トランジスタTB3をオン/オフすることによって、2次側が1次側に送信する負荷変調信号を、1次側が正確に検出できない場合がある。そこで、負荷変調期間は、負荷94への給電を一時的に停止する(この動作を負荷軽減という)。なお、給電が一時的に停止される期間は極めて短いため、負荷(2次電池)94の充電時間が長くなるといった不都合は生じない。
受電側制御回路52は、負荷(2次電池)94への給電を一時的に停止させる場合、受電制御装置50に設けられた電力供給制御信号出力端子TS1を経由して、電力供給制御信号(ICUTX)を出力する。
負荷(2次電池)94への給電を一時的に停止させる要因としては、乗っ取り状態の検出のための定期認証の実行や、あるいは、通常送電中における2次側から1次側への負荷変調による通信(例えば、2次電池94の満充電を通知するための通信)の発生等がある。
電力供給制御信号(ICUTX)は、例えば、2次電池の充電を制御する充電装置(チャージャ)90に供給される。電力供給制御信号(ICUTX)が非アクティブレベル(Lレベル)からアクティブレベル(Hレベル)に変化すると、例えば、充電装置(チャージャ)内の電力供給制御トランジスタ(PMOSトランジスタ)M3がオフし、負荷94への電流経路が遮断される。
すなわち、図5(A)に示すように、負荷変調制御信号P3Qによって、負荷変調部46内の負荷変調トランジスタTB3がオン/オフ変調されるとき、電力供給制御信号(ICUTX)がアクティブレベル(Hレベル)となって、電力供給制御トランジスタ(PMOSトランジスタ)M3がオフする。これによって、給電対象の負荷(2次電池)94への給電が一時的に停止される。
図5(B)において、TXは、定期認証の1周期を示す。TQは負荷変調期間を示し、TPは負荷軽減期間(給電の一時停止期間)を示す。図5(B)に示すように、電力供給制御信号(ICUTX)がアクティブとなっている期間TQ(時刻t20〜時刻t23)において、負荷変調が実行され、“0”,“1”,“0”が送電装置に送信される。負荷変調は負荷変調期間TQ(時刻t21〜時刻t22)において実行される。
次に、受電装置におけるバイパス制御の具体例について説明する。
(受電装置におけるバイパス制御の具体例)
図6は、受電装置の、バイパス制御に関係する部分の構成を示す図である。図6に示されるように、受電制御装置50に含まれる受電側制御回路52は、定期認証制御部101と、負荷変調制御部103と、バイパス制御部105と、を有する。
また、受電装置の給電制御部48には、バイパス制御スイッチAと、バイパス制御スイッチの制御回路Bとが設けられる。バイパス制御スイッチAは、PMOSトランジスタM1により構成される。また、バイパス制御スイッチの制御回路Bは、NMOSトランジスタM2と、プルアップ抵抗R8と、により構成される。バイパス制御スイッチAと、バイパス制御スイッチの制御回路Bとによって、バイパス経路をオン/オフするためのスイッチ回路SW10が構成される。
バイパス制御部105は、レギュレータ(LDO)49の出力ノードの電圧VD5あるいは入力ノードの電圧Vinの少なくとも一方を検出する検出回路106と、検出回路106から出力される検出信号(コンパレータ出力)SCMPまたは定期認証制御部101から出力されるバイパス強制オフ信号SAのいずれかに基づいて、バイパス制御信号VPBPの電圧レベルを切り換えるロジック回路(出力制御回路)107と、を有する。
検出回路106は、例えば、ヒステリシスコンパレータによって構成される。図6の検出回路106は、コンパレータ109と、分圧抵抗R50〜R53と、コンパレータのしきい値を切り換えるためのトランジスタMA,MBと、を有する。コンパレータ109の反転端子には、分圧抵抗R50とR51の共通接続点X1の電圧が供給され、非反転端子には、基準電圧Vref(例えば1.3V)が供給される。また、抵抗R52の抵抗値は、抵抗R53の抵抗値よりも大きく設定されている。
また、定期認証制御部101は、負荷変調制御部103に指示して、定期的に、負荷変調トランジスタTB3をオン/オフさせ、負荷変調信号(010)を、1次側に送信させる。また、負荷変調が行われるとき、電力供給制御信号(ICUT)を、受電側制御回路52に設けられた端子TQ5、ならびに受電制御装置50に設けられた電力供給制御信号出力端子TS1を経由して充電装置90に出力して、負荷94への給電を一時的に停止する。
また、定期認証制御部101は、バイパス制御部105のロジック回路(出力制御回路)107に、バイパス強制オフ信号SAを供給する。
バイパス制御部105のロジック回路(出力制御回路)107は、バイパス強制オフ信号SAが非アクティブレベルであるとき(つまり、定期認証が実行されないとき)は、検出回路106の検出信号(SCMP)に基づいて、バイパス制御信号(VPBP)を出力するか否かの制御(つまり、バイパス制御信号VPBPをアクティブレベルにするか、非アクティブレベルにするかの切り換え制御)を実行する。
但し、バイパス強制オフ信号SAがアクティブレベルになると、バイパス強制オフ信号による制御が支配的となって、ロジック回路(出力制御回路)107は、バイパス制御信号VPBPの出力を禁止する。つまり、検出回路106による、レギュレータ49の出力ノードの電圧VD5の電圧レベルに関係なく、バイパス制御信号VPBPを、強制的に非アクティブレベルに固定する。これによって、定期認証に伴って生じるバイパスオフ期間が確実に確保され、定期認証を実行する際に、受電装置における給電経路において、給電電圧のオーバーシュートやアンダーシュートが生じない。
以下、バイパス制御部105の動作等について、具体的に説明する。
受電側制御回路52に含まれるバイパス制御部105は、例えば、レギュレータ49の出力ノード(の電圧VD5(あるいは入力ノードの電圧Vin)の電圧レベルを監視する。この電圧レベルの監視は、検出回路106が実行する。
レギュレータ49の出力ノードの電圧VD5が上昇するときは、入力ノードの電圧Vinも上昇するため、どちらの電圧を監視してもよいが、この電圧監視の目的は、給電対象の負荷(2次電池)94への給電能力の低下を検出するためであるため、負荷94に近いノードの電圧(つまり、レギュレータ49の出力ノードの電圧VD5)を監視するのが好ましい。また、レギュレータ49の両端の電圧VinとVD5の双方を監視することもできる。以下の説明では、レギュレータ49の出力ノードの電圧VD5を検出するものとする。
レギュレータ(LDO)49の出力ノードの電圧VD5の電圧レベルの低下は、検出回路106によって検出される。バイパス制御部105に含まれるロジック回路(出力制御回路)107は、レギュレータ49の出力ノードの電圧(電源電圧)VD5が所与のしきい値電圧(例えば、4.9V)よりも低下すると、給電対象の負荷94への給電能力が低下している状態であると判定する。そして、バイパス制御信号VPBPをアクティブレベル(Hレベル)として、レギュレータ49をバイパスするバイパス経路(バイパストランジスタM1を経由する迂回経路)をオン(導通)させる。
低損失のバイパス経路(迂回経路)を経由して負荷94に電流を供給することによって、負荷94への給電能力を無理なく高めることができる。また、負荷94に大量の電流を供給するとき(つまり、高負荷時)におけるレギュレータ49における発熱を抑制することができる。また、パイパス経路が形成されるのは、レギュレータ49の入力ノード(あるいは出力ノード)の電圧が低下している場合である。したがって、バイパス経路を経由して電流を供給している場合でも、過大な電圧が負荷94に印加されるという心配はなく、レギュレータ49を迂回することに関して、特別な問題は生じない。
一方、受電側制御回路52は、上述のとおり、負荷変調を実行する場合に、負荷94への給電を一時的に停止する。
ここで、バイパス経路がオン状態であるときに、電力供給制御信号(ICUTX)によって負荷94への給電を一時的に停止すると、図7(A)〜図7(C)に示すように、レギュレータ(LDO)49の出力ノードの電圧VD5に、オーバーシュートやアンダーシュートが発生する。
図7(A)〜図7(C)は、バイパス経路がオン状態のときに、負荷への給電を一時的に停止したときに生じる問題点を説明するための図である。図7(A)〜図7(C)において、SW10は、バイパス経路をオン/オフするためのスイッチ回路であり、SW20は、給電制御スイッチ(充電装置90内に設けられるトランジスタM3に相当)である。
図7(A)では、スイッチ回路SW10がオンしており、また、給電制御スイッチSW20もオンしている。よって、バイパス経路を経由して、負荷94に電流が供給される。
バイパス経路がオンしている状態において、図7(B)のように、電力供給制御信号(ICUTX)がアクティブレベルになって、給電制御スイッチSW20がオフすると、電流がせき止められる。バイパス経路がオンしているときは、レギュレータ(LDO)49による電流(電圧)の安定化動作は実行されないため、レギュレータの出力ノード(あるいは入力ノード)の電圧レベルが急上昇してオーバーシュートが生じる。
また、図7(C)のように、負荷94への給電を再開したとき、例えば、充電装置(チャージャ)の給電経路に設けられた給電制御トランジスタM5は、負荷である2次電池94に十分な電流を供給しようとして急激に電流を引く。よって、2次電池94とレギュレータ49の出力ノードとが、あたかもショートされたような状態となり、レギュレータの出力ノードの電圧は急激に低下する。バイパス経路がオンしているときは、電流(電圧)の安定化動作は実行されないため、アンダーシュートが発生する。
オーバーシュートが発生すると、電子回路の破損が生じる場合がある。また、アンダーシュートが生じると、充電制御装置(充電制御IC)92がリセットされるといった不都合が生じる場合がある。このような問題は、バイパスがオンしている状態では、電流(電圧)の制御ができないことによって生じる。
そこで、上述の不都合を回避するために、受電側制御回路52は、電力供給制御信号(ICUTX)の電圧レベルを非アクティブレベルからアクティブレベルに変化させるとき(同時のタイミング)あるいは、その変化の前のタイミングにおいて、バイパス経路を強制的にオフ状態とする。具体的には、定期認証制御部101が、バイパス強制オフ信号SAをアクティブレベルとする。これにより、バイパス経路は遮断され、レギュレータ(LDO)49を経由して負荷94に電流が供給される。
そして、バイパスが強制的にオフされた状態で、負荷94への給電が一時的に停止される。
レギュレータ49は、電流(電圧)を、例えば負帰還制御によって安定化する機能をもっている。よって、この場合でも、レギュレータの出力ノード(入力ノード)の電圧は過大に上昇することがなく、瞬時に安定化されるためオーバーシュートは生じない。よって、電子回路の破壊等の問題は生じない。
また、負荷への給電の一時的な停止が不要となれば、受電側制御回路52は、電力供給制御信号(ICUTX)をアクティブレベル(H)から非アクティブレベル(L)に変化させて、負荷94への給電を再開する。このとき、バイパスの強制オフ状態は継続している。負荷への給電を再開したとき、例えば、充電装置(チャージャ)90の給電経路に設けられたトランジスタM5は、負荷である2次電池94に十分な電流を供給しようとして急激に電流を引く。よって、2次電池94とレギュレータ49の出力ノードとが、あたかもショートされたような状態となり、レギュレータ49の出力ノードの電圧VD5は低下する。しかし、レギュレータ(LDO)49は、ある程度のオン抵抗を有しており、そのオン抵抗によって電流が制限されるため、ショート電流が流れない。つまり、レギュレータ(LDO)49がバイパス状態であるときは、電流を制限する要素がないため、しバイパス経路を経由してショート電流が流れる。これに対して、レギュレータ(LDO)49がオンしている状態では、レギュレータ(LDO)49自体のオン抵抗が電流制限抵抗として機能するため、ショート電流が流れることが防止される。また、電力供給制御信号(ICUTX)をアクティブレベル(H)から非アクティブレベル(L)に変化させたタイミングから、バイパス強制オフが解除されるタイミングまでの時間が短いことから、レギュレータ(LDO)49の出力ノードの電圧の変動の範囲が制限される。
このような理由により、電圧VD5の極端な低下は生じず、大きなアンダーシュートが生じない。したがって、大きなアンダーシュートによって、例えば充電装置90に設けられる充電制御装置(充電制御IC)92がリセットされるといった不都合が生じない。
このように、本実施形態によれば、レギュレータ49をバイパスすることによって受電装置における電力損失および発熱を低減させ、一方、バイパス状態において、負荷への給電を一時的に停止し、あるいは停止していた給電を再開する場合でもオーバーシュートやアンダーシュートが発生しないようにすることができる。よって、負荷への給電能力の向上(2次電池の充電時間の短縮等)と、オーバーシュートやアンダーシュートの防止による信頼性の向上と、の双方を実現することができる。また、円滑かつ信頼性の高い定期認証が実現される。
(バイパス強制オフの解除タイミング)
上述のとおり、バイパスの強制オフ状態が継続しているときに、一時的に停止していた負荷94への給電が再開される。その後、給電対象の負荷94に供給する電圧が安定化するのに必要な時間が経過した後において、バイパスの強制オフを解除して、バイパスがオンされた状態に復帰させるのが好ましい。
すなわち、電力供給制御信号(ICUTX)がアクティブレベルから非アクティブレベルに変化して、負荷に給電が再開された後、ある程度の時間が経過しないと、負荷94への給電状態が安定化せず、その間は、レギュレータ49の出力ノードの電圧VD5は安定しない。この状態で、バイパスをオンさせると、負荷94への安定した給電ができない場合がある。そこで、負荷94への給電を再開した後、給電電圧が安定化するのに必要な時間の経過を待ち、その後、バイパス強制オフを解除して、バイパスをオン状態に復帰させる。これにより、中断していたバイパス経由の給電を、円滑に(安定的に)再開することができる。
(バイパス制御におけるヒステリシス特性)
図8は、バイパス制御におけるヒステリシス特性について説明するための図である。バイパス制御部105は、定期認証が実行されない期間では、レギュレータの出力ノードの電圧VD5が第1のしきい値電圧(4.9V)より低下したことが検出回路106によって検出されると、バイパスをオンさせる。
バイパスがオンした後、レギュレータの出力ノード(あるいは入力ノード)の電圧が第2のしきい値電圧(5.2V)を超えたことが検出回路106によって検出されると、バイパスをオフする。バイパスのオン判定のための第1のしきい値(4.9V)と、バイパスのオフ判定のための第2のしきい値(5.2V)との間に差を設けるのは、給電経路に重畳されるノイズ等によって、バイパスのオン/オフが切り換わるのを防止するためである。つまり、レギュレータ49の出力ノードの電圧VD5が低下してバイパスがオンすると、レギュレータ49の出力ノードの電圧VD5が十分に上昇しない限り、バイパスがオフにならない。
図8において、期間T99,期間T101がバイパスオフ期間であり、期間T100がバイパスオン期間である。バイパスオフ期間T99,T101においては、検出回路106に設けられる第1のNMOSトランジスタMAがオン状態となり、第2のNMOSトランジスタMBがオフ状態となる。また、バイパスオン期間T100においては、検出回路106に設けられる第1のNMOSトランジスタMAがオフ状態となり、第2のNMOSトランジスタMBがオン状態となる。
なお、上述のとおり、定期認証が実行されるときは、バイパス強制オフ信号SAがアクティブレベルになる。これによって、検出回路106による、レギュレータ49の出力ノードの電圧VD5の電圧レベルにかかわらず、バイパス制御信号VPBPが非アクティブレベルに固定され、バイパスが強制的にオフされ、バイパス経路を経由した給電からレギュレータを経由した給電に切り換わる。これによって、定期認証の際に、オーバーシュートやアンダーシュートが生じない。
(受電側制御回路の動作タイミング)
図9(A),図9(B)は、受電側制御回路のバイパス制御動作(負荷変調、負荷軽減ならびにバイパス強制オフ等)のタイミングを説明するための図である。図9(A)は、受電側制御回路の、バイパスの制御に関係する部分の構成を示す図であり、図9(B)は、図9(A)に示される回路の動作タイミングを示す波形図である。
図9(B)に示されるように、時刻t1〜時刻t7の期間において、バイパス強制オフ信号SAがHレベルとなる。これに伴い、バイパス制御信号VPBPは、時刻t1〜時刻t7の期間において、非アクティブレベル(Lレベル)となり、バイパスが強制的にオフ状態となる。すなわち、時刻t1〜時刻t7の期間T300は、バイパスのマスク期間(バイパス強制オフ期間)となる。時刻t1以前の期間T200ならびに時刻t7以降の期間T400は、バイパスがオン状態となっている期間(バイパスオン期間)である。
時刻t2〜時刻t5において、電力供給制御信号(ICUTX)がHレベル(アクティブレベル)となる。これによって、充電装置90内の電力供給制御トランジスタM3がオフして、負荷94への給電が一時的に停止される。
時刻t3〜時刻t4において、負荷変調制御信号P3QがHレベルとなり、これによって、負荷変調トランジスタTB3がオンする。これにより、例えば、定期的な負荷変調(定期認証)が実行される。
ロジック回路(出力制御回路)107から出力される、第1のしきい値切換信号RVL(トランジスタMAのオン/オフ制御信号)は、時刻t1〜時刻t7の期間においてHレベルになる。また、ロジック回路(出力制御回路)107から出力される、第2のしきい値切換信号RVH(トランジスタMBのオン/オフ制御信号)は、時刻t1〜時刻t6の期間においてLレベルになる。時刻t6〜時刻t7の期間T350には、RVLおよびRVHが共にHレベルとなる。この期間T350は、検出回路(ヒステリシスコンパレータ)の出力信号SCMPをリセットするためのリセット期間である。
また、検出回路(ヒステリシスコンパレータ)の出力信号SCMPは、時刻t1〜時刻t6の期間においてLレベルとなる。
レギュレータ(LDO)の出力ノードの電圧VD5の電圧レベルは、電力供給制御信号ICUTXが立ち上がる時刻t2において上昇するが、レギュレータ(LDO)49の電圧安定化作用によって、例えば、5.2V程度でクランプされ、大きなオーバーシュートは生じない。また、レギュレータ(LDO)の出力ノードの電圧VD5の電圧レベルは、電力供給制御信号ICUTXが立ち下がる時刻t5において低下するが、しかし、レギュレータ(LDO)49のオン抵抗が大きく、そのオン抵抗によって電流が制限されるためショート電流が流れず、また、図9(B)における時刻t5〜時刻t7の期間が短いことから、レギュレータ(LDO)49の出力ノードの電圧の変動の範囲が制限される。よって、大きなアンダーシュートは生じない。
なお、図9(B)に示される例では、バイパス強制オフ信号SAは、時刻t1にアクティブレベルになり、その後、時刻t2において、電力供給制御信号ICUTXがアクティブレベルとなっているが、これに限定されるものではない。例えば、バイパス強制オフ信号SAが、電力供給制御信号ICUTXがアクティブレベルとなるタイミング(時刻t2)において、同時にアクティブレベルになる場合もあり得る。
(一連のバイパス制御手順の例)
図10〜図15は、一連のバイパス制御手順の例を説明するための図である。図10〜図15においては、(1),(2),(3)・・・という括弧付きの番号が記載される場合がある。この括弧付きの番号は、主要な動作の手順(ステップ)を示している。また、各図において、主要な動作は、太い実線で示されている。また、検出回路に含まれる抵抗R52の抵抗値は、抵抗R53の抵抗値よりも大きく設定されている。
(1)バイパスオフ、負荷変調無しのときの動作(図10)
バイパス経路をオン/オフするためのスイッチ回路SW10はオフである。電力供給制御スイッチSW20はオンしている。したがって、レギュレータ(LDO)49を経由して電流IXが流れる。また、給電制御スイッチSW20を経由して、負荷電流IEが流れる。
また、検出回路においては、第1のNMOSトランジスタMAがオンしている。したがって、分圧抵抗R50,R51ならびにR52を経由してバイアス電流I1が流れている。
抵抗R52の抵抗値は大きいため、バイアス電流I1の電流量は小さい。よって、分圧抵抗R50で発生する電圧降下は小さい。
したがって、レギュレータの出力ノードの電圧VD5が十分に小さくならない限り、コンパレータ109の反転端子に供給される電圧レベル(ノードX1の電位)は、非反転端子に供給される基準電圧Vref(例えば1.3V)よりも高い。よって、コンパレータ109の出力SCMPはLレベルである。
具体的には、バイアス電流IX1の電流量をIX1と表記し、分圧抵抗R50、R51、R52の各抵抗値をR50、R51、R52と表記する場合、電流量IX1は下記の式(1)で示される。
IX1=VD5/(R50+R51+R52)・・・(1)
また、ノードX1の電位をVX1とすれば、VX1は、下記の式(2)で示される。
VX1={VD5・(R51+R52)}/(R50+R51+R52)・・・(2)
また、コンパレータ109の非反転端子に供給される基準電圧Vrefを1.3Vとする。上述のとおり、コンパレータ109の出力SCMPは、レギュレータ(LDO)49の出力ノードの電圧VD5が第1のしきい値電圧(4.9V)まで低下したとき、コンパレータ109の出力SCMPはLレベルからHレベルに反転する。したがって、下記の式(3)が成立する。
(R51+R52)/(R50+R51+R52)=1.3/4.9・・・(3)
よって、式(3)が成立するように、R50、R51、R52の各値が決定される。
(2)バイパスオン,負荷変調無しのときの動作(図11)
上述のとおり、レギュレータ(LDO)49の出力ノードの電圧VD5が低下し、第1のしきい値電圧(4.9V)を下回ると(ステップ(1))、コンパレータ109の反転端子に供給される電圧レベルは、非反転端子に供給される基準電圧Vref(例えば1.3V)よりも低くなり、よって、コンパレータ109の出力SCMPはLレベルからHレベルに変化する(ステップ(2))。
ロジック回路(出力制御回路)107は、コンパレータ109の出力SCMPがLレベルからHレベルに変化したことを検出し、バイパス制御信号VPBPを非アクティブレベル(L)からアクティブレベル(H)に変化させる(ステップ(3))。これによって、スイッチ回路SW10がオンし、バイパスがオン状態となる(ステップ(4))。これによって、バイパスを経由して電流IXが流れる。
また、ロジック回路(出力制御回路)107は、第1のしきい値切換信号RVLをLレベルとし、第2のしきい値切換信号RVHをHレベルとする。これによって、第1のNMOSトランジスタMAがオフし、一方、第2のNMOSトランジスタMBがオンする(ステップ(5))。抵抗R53の抵抗値は、抵抗R52の抵抗値よりも小さいため、バイアス電流I2の電流量は、バイパス電流I1の電流量よりも大きい。よって、抵抗R50における電圧降下が大きくなる。したがって、電圧VD5の電圧レベルが十分に高くならないと、コンパレータ109の反転端子の電圧レベルが基準電圧Vrefを超えない。つまり、バイパスがオンした後は、電圧VD5が第2のしきい値電圧(5.2V)を超えたときに、コンパレータ109の出力レベルが反転するようになる。このようにして、検出回路の入出力特性にヒステリシス特性が付与される。
具体的には、バイアス電流IX2の電流量をIX2と表記し、分圧抵抗R53の抵抗値をR53と表記する場合、電流量IX2は下記の式(4)で示される。
IX2=VD5/(R50+R51+R53)・・・(4)
また、ノードX1の電位をVX1とすれば、VX1は、下記の式(5)で示される。
VX1={VD5・(R51+R53)}/(R50+R51+R53)・・・(5)
上述のとおり、コンパレータ109の非反転端子に供給される基準電圧Vrefは1.3Vである。また、コンパレータ109の出力SCMPは、レギュレータ(LDO)49の出力ノードの電圧VD5が第2のしきい値電圧(5.2V)まで上昇したとき、コンパレータ109の出力SCMPはHレベルからLレベルに反転する。また、コンパレータ109の入力オフセット電圧(入力ヒステリシス電圧)は、0.04Vに設定されているものとする。なお、入力オフセット電圧(入力ヒステリシス電圧)は、コンパレータ109の出力SCMPの電圧レベルが、微小なノイズの入力によって変化するのを防止するために設けられる。
この場合、下記の式(6)が成立する。
(R51+R53)/(R50+R51+R53)=(1.3+0.04)/5.2・・・(6)
よって、式(6)が成立するように、R53の値が決定される。
(3)バイパス強制オフ(図12)
定期認証制御部101は、バイパス強制オフ信号SAをアクティブレベルにする(ステップ(1))。ロジック回路(出力制御回路)107は、バイパス制御信号VPBPを非アクティブレベルにする(ステップ(2))。これによって、バイパス制御スイッチSW20がオフし、バイパスが遮断される(ステップ(3))。この結果、レギュレータ(LDO)49を経由して電流IXが流れる(ステップ(4))。
(4)負荷軽減(給電の一時停止)と負荷変調(図13)
定期認証制御部101は、電力供給制御信号(ICUTX)をアクティブレベルにし、これによって、電力供給制御スイッチSW20がオフする(ステップ(1))。これによって、電流IXがせき止められ、レギュレータ(LDO)49の出力ノードの電圧VD5が上昇するが、レギュレータ(LDO)49の電圧安定化作用により、電圧VD5は、例えば5.2V程度でクランプされ、オーバーシュートはほとんど生じない(ステップ(2))。よって、電子回路や2次側機器が破損する心配はない。
また、VD5の電圧レベルが第2のしきい値電圧(5.2V)を超えることによって、コンパレータ109の出力SCMPがHレベルからLレベルに変化する(ステップ(3))。ロジック回路(出力制御回路)107は、第1のしきい値切換信号RVLをHレベルとし、第2のしきい値切換信号RVHをLレベルとする。これに伴い、第1のNMOSトランジスタMAがオンし、一方、第2のNMOSトランジスタMBがオフする(ステップ(4))。
定期認証制御部101から出力されるバイパス強制オフ信号SAは、アクティブレベル(Hレベル)のままである。定期認証制御部101は、負荷変調制御部103に指示して、定期認証のための負荷変調を実行させる。すなわち、負荷変調制御部103は、負荷変調トランジスタTB3をオン/オフさせる。これにより、例えば、定期認証パターンである「010」が1次側に送信される(ステップ(5))。
(5)給電の一時停止解除とコンパレータのリセット(図14)
定期認証制御部101は、定期認証のための負荷変調が終了すると、電力供給制御信号(ICUTX)を非アクティブレベルとする(ステップ(1))。これによって、電力供給制御スイッチSW20がオン状態となり、負荷94への給電が再開される(ステップ(2))。
負荷94への給電を再開したとき、例えば、充電装置(チャージャ)90の給電経路に設けられた給電制御トランジスタM5は、電流が不足する状態であったことから、充電制御装置92による負帰還制御によって全オンに近い状態となっている。よって、給電制御トランジスタM5は、負荷である2次電池94に十分な電流を供給しようとして急激に電流を引く。よって、2次電池とレギュレータの出力ノードとが、あたかもショートされたような状態となり、レギュレータの出力ノードの電圧VD5は低下する。
しかし、レギュレータ(LDO)49のオン抵抗が大きく、そのオン抵抗によって電流が制限されるため、ショート電流が流れない。また、電力供給制御信号(ICUTX)をアクティブレベル(H)から非アクティブレベル(L)に変化させたタイミング(図9(B)の時刻t5)から、バイパス強制オフが解除されるタイミング(図9(B)の時刻t7)までの時間が短いことから、レギュレータ(LDO)49の出力ノードの電圧VD5の変動の範囲が制限される。したがって、電圧VD5の極端な低下は生じず、アンダーシュートはほとんど生じない(ステップ(3))。
したがって、大きなアンダーシュートによって、例えば充電装置90に設けられる充電制御装置(充電制御IC)92がリセットされるといった不都合が生じない。
給電対象の負荷94への給電が再開された直後は、充電制御装置92による負荷電流の制御動作が有効に働かず、電圧VD5の電圧レベルが安定化しない場合がある。したがって、バイパスのオン状態への復帰は、電圧VD5がある程度、安定化するのに要する時間の経過を待って行うのが好ましい。
この待ち時間の間に、検出回路106(ヒステリシスコンパレータ)のリセットを実行し、バイパスオン状態への復帰の準備を行う。上述のとおり、検出回路106は、実質的にヒステリシスコンパレータによって構成される。ヒステリシスコンパレータは、コンパレータの出力を入力に正帰還することによって、ヒステリシスをもつ入出力特性を実現したコンパレータである。ヒステリシスコンパレータの出力レベルは、入力レベルに依存する。したがって、バイパスを強制的にオフした後、再び、バイパスのオン状態に復帰させるためには、ヒステリシスコンパレータをリセットして、ヒステリシスコンパレータの状態(つまり、ヒステリシスコンパレータの入力電圧や出力電圧等)を、バイパスのオン状態に対応した状態に戻す必要がある。しかし、上述のとおり、負荷への給電を一時的に停止したことによって生じる、給電電圧が不安定な状態は、給電の再開後、ある程度の時間が経過するまで継続する。
給電電圧が不安定な期間では、レギュレータの出力ノードの電圧VD5も安定せず、したがって、バイパス制御部105に設けられる検出回路106としてのヒステリシスコンパレータの入力電圧レベルも安定せず、ヒステリシスコンパレータの状態を、バイパスのオン状態に対応した状態に確実に戻すことができない場合も想定され得る。
そこで、ヒステリシスコンパレータを強制的にリセットする。つまり、図14に示されるように、ロジック回路(出力制御回路)107は、第1のしきい値切換信号RVLならびに第2のしきい値切換信号RVHを共にHレベルとする。これに伴い、第1のNMOSトランジスタMAおよび第2のNMOSトランジスタMBが共にオンする(ステップ(4))。これによって、抵抗R50と、抵抗R51と、抵抗R52とR53の並列抵抗と、による電流バイアス経路が形成され、この電流バイアス経路を経由してバイアス電流I3が流れる(ステップ(5))。
抵抗R52と抵抗R53の並列抵抗の抵抗値は十分に小さいため、電流バイアス経路に流れるバイアス電流I3の電流量は大きく、よって、抵抗R50に生じる電圧降下は増大する。したがって、通常の電圧VD5の電圧レベルでは、コンパレータ109の反転端子の電圧レベルは、非反転端子に供給される基準電圧Vrefの電圧レベルよりも低くなる。よって、コンパレータ109の出力はLレベルからHレベルに反転する(ステップ(6))。例えば、VD5が5.6V(かなり高めの電圧値)であったとしても、コンパレータ109の出力はLレベルからHレベルに反転する。
図14における、コンパレータ109の出力がLレベルからHレベルに反転した状態は、図11に示される、バイパスオン時のコンパレータ109の出力状態と同じである。
このように、ロジック回路(出力制御回路)107は、バイパス経路が強制的にオフ状態となっている期間内の、給電対象の負荷94への給電の一時的な停止が解除された後であってバイパス強制オフ状態が解除されるまでの期間において、検出回路106として機能するヒステリシスコンパレータの入力電圧レベルを強制的に低下させ(電圧VD5が十分に低下した状態と同じ状態を強制的につくり)、これによって、ヒステリシスコンパレータの出力電圧レベルを、バイパスがオン状態のときの電圧レベルに確実に戻す。つまり、ヒステリシスコンパレータがリセットされる。これによって、バイパスのオフ状態からバイパスをオン状態に戻す準備が完了する。
(6)バイパスオン状態への復帰(図15)
この後、負荷94への給電電圧が、少なくともある程度まで安定化した時点で、定期認証制御部101は、バイパス強制オフ信号SAを非アクティブレベル(Lレベル)に戻す(ステップ(1))。ロジック回路(出力制御回路)107は、バイパス制御信号VPBPをLレベルからHレベルに変化させる(ステップ(2))。これによって、スイッチ回路SW10がオンしてバイパス経路が形成され、バイパス経路を経由して電流IXが流れる(ステップ(3))。
また、ロジック回路(出力制御回路)107は、第1のしきい値切換信号RVLをLレベルとし、第2のしきい値切換信号RVHをHレベルとする。これに伴い、第1のNMOSトランジスタMAがオフし、一方、第2のNMOSトランジスタMBがオンする(ステップ(4))。
このようにして、強制的にオフ状態とされていたバイパスを、円滑にオン状態に戻すことができる。
(第2の実施形態)
図16は、受電側制御回路の変形例の回路構成を示す図である。第1の実施形態では、図14に示されるように、第1のNMOSトランジスタMAおよび第2のNMOSトラトランジスタMBを同時にオンさせることによって、ヒステリシスコンパレータのリセットを行っている。
本実施形態では、図16に示すように、第1のNMOSトランジスタMAおよび第2のNMOSトラトランジスタMBに並列に、リセットスイッチQ10(例えば、リセットトランジスタMCによって構成される)を設ける。また、抵抗R54の抵抗値を、抵抗R52や抵抗R53の抵抗値に比べて、十分に小さな値に設定する。
リセット時には、第1のNMOSトランジスタMAおよび第2のNMOSトラトランジスタMBが共にオフしている状態で、リセットスイッチQ10(リセットトランジスタMC)をオンさせる。抵抗54の抵抗値が小さいため、抵抗R50と、抵抗R51と、抵抗R54とによって形成されるバイアス電流経路には大きな電流が流れ、抵抗R51における電圧降下が増大する。よって、電圧VD5の電圧レベルに関係なく、コンパレータ109の反転端子の電圧レベルは、非反転端子に供給される基準電圧Vrefの電圧レベルよりも低くなる。よって、コンパレータ109の出力はLレベルからHレベルに反転する。このようにして、ヒステリシスコンパレータのリセットが実行される。
以上説明したように、本発明の幾つかの態様によれば、例えば、レギュレータのバイパス技術によって受電装置における電力損失および発熱を低減させ、一方、バイパス状態において、負荷への給電を一時的に停止し、あるいは停止していた給電を再開する場合でもオーバーシュートやアンダーシュートが発生しないようにすることができる。
したがって、小型、低損失、低発熱という優れた特性をもち、かつ、通常送電中の負荷変調に伴うオーバーシュートやアンダーシュートが生じない、高い信頼性をもつ、無接点電力伝送システム用の受電装置ならびに受電制御装置が実現される。
本発明は、多様な電子機器(例えば、腕時計、コードレス電話器、シェーバー、電動歯ブラシ、リストコンピュータ、ハンディターミナル、携帯情報端末、あるいは電動自転車など)に適用可能である。特に好適な電子機器の例としては、携帯端末(携帯電話端末、PDA端末、持ち運び可能なパーソナルコンピュータ端末を含む)や時計(ウオッチ)があげられる。本発明の受電装置は、構成が簡単で小型であるため携帯端末等への搭載も可能であり、低損失であるために、例えば、電子機器における2次電池の充電時間を短縮することが可能であり、また、発熱が低減されることから、電子機器の安全面からみた信頼性も向上する。
また、通常送電中の負荷変調に伴う大きなオーバーシュートや大きなアンダーシュートが生じないため、2次側機器の破損や回路の不要なリセットが発生しない。よって、電子機器の信頼性はさらに向上する。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、スイッチ回路をオンしてレギュレータをバイパスするときに、併せてレギュレータ自体の動作を停止させることによって、無駄な電力消費および発熱をさらに抑制し、受電した電力のロスを最小限化することができる。レギュレータの構成要素の全部を非動作とする場合には、レギュレータにおける消費電力および発熱を零にすることができる。また、一部の構成要素だけを非動作状態とする場合にも、レギュレータの消費電力および発熱の低減が可能である。したがって、この態様によれば、無接点電力伝送を用いた受電装置における、受電した電力のロスを最小化しつつ、負荷に対する給電能力を効果的に向上させることができ、レギュレータにおける発熱の問題も解消する。
また、例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(外部電源供給装置、低電位側電源、電子機器等)と共に記載された用語(ACアダプタ、GND、携帯電話端末・充電器等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。また受電制御装置、その他の制御回路の構成・動作や、ACアダプタ接続検出時の送電手法等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
レギュレータ(LDO)をバイパスさせるためのスイッチ回路の構成、そのオン/オフのためのバイパス制御部の構成も適宜、最適なものを選択することができる。例えば、複数の半導体素子からなる高機能な回路を用いることもできる。また、レギュレータ周りの温度を検出し、その温度が高温となったときに、バイパス経路をオンさせてレギュレータの発熱を積極的に低減する、といった使用方法も可能である。
本発明は、無接点電力伝送技術を利用する受電装置(電力供給を受ける側の装置)における電力損失および発熱を、簡単な構成によって効果的に低減することができ、かつ、給電の一時停止/一時停止の解除に伴う大きなオーバーシュートや大きなアンダーシュートの発生を確実に防止することができるという効果を奏し、したがって、例えば、無接点電力伝送を用いた受電制御装置(受電制御LSI)、受電装置(受電用ICモジュール)および電子機器(携帯端末等)等として有用である。
図1(A)〜図1(C)は、無接点電力システムの一例の構成を示す図 送電装置、受電装置を含む無接点電力伝送システムにおける、各部の具体的な構成の一例を示す回路図 図3(A),図3(B)は、送電装置と受電装置との間の通信方式を説明するための図 図4(A),図4(B)は、乗っ取り状態について説明するための図 図5(A),図5(B)は、定期認証と、定期認証の際の負荷軽減(負荷への給電の一時停止)と、を説明するための図 受電装置の、バイパス制御に関係する部分の構成を示す図 図7(A)〜図7(C)は、バイパス経路がオン状態のときに、負荷への給電を一時的に停止したときに生じる問題点を説明するための図 バイパス制御におけるヒステリシス特性について説明するための図 図9(A),図9(B)は、受電側制御回路のバイパス制御動作(負荷変調、負荷軽減ならびにバイパス強制オフ等)のタイミングを説明するためのタイミング図 一連のバイパス制御手順の例を説明するための図 一連のバイパス制御手順の例を説明するための図 一連のバイパス制御手順の例を説明するための図 一連のバイパス制御手順の例を説明するための図 一連のバイパス制御手順の例を説明するための図 一連のバイパス制御手順の例を説明するための図 受電側制御回路の変形例の回路構成を示す図
符号の説明
L1 1次コイル、L2 2次コイル、10 送電装置、12 送電部、
14 波形モニタ回路、16 表示部、20 送電制御装置、22 送電側制御回路、
24 発振回路、26 ドライバ制御回路、28 波形検出回路、40 受電装置、
42 受電部、43 整流回路、46 負荷変調部、48 給電制御部、
49 レギュレータ(LDO)、50 受電制御装置、52 受電側制御回路、
56 位置検出回路、58 発振回路、60 周波数検出回路、62 満充電検出回路、
72 電圧検出回路、90 充電装置(チャージャ)、
92 充電制御装置(充電制御IC)、94 給電対象の負荷(2次電池,バッテリ)、
101 定期認証制御部、103 負荷変調制御部、105 バイパス制御部、
106 検出回路、
107 ロジック回路(バイパス制御信号VPBPの出力を制御する出力制御回路)
SW10 バイパス経路をオン/オフするためのスイッチ回路、
SW20 給電制御スイッチ
M1 バイパス制御スイッチとしてのPMOSトランジスタ、
M2 バイパス制御スイッチの制御回路としてNMOSトランジスタ、
M5 充電制御トランジスタ、VPBP バイパス制御信号、
SA バイパス強制オフ信号

Claims (7)

  1. 1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて送電装置から、整流回路およびレギュレータを含む受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の電圧出力ノードから給電対象の負荷に対して電力を供給すると共に、前記給電対象の負荷への給電期間中において、前記受電装置に含まれる負荷変調部による負荷変調によって、前記送電装置に負荷変調信号を送信する無接点電力伝送システムにおける、前記受電装置に設けられる受電制御装置であって、
    前記受電装置の動作を制御する受電側制御回路と、
    前記給電対象の負荷への給電を一時的に停止させる電力供給制御信号を出力するための電力供給制御信号出力端子と、を含み、
    前記受電側制御回路は、
    前記給電対象の負荷への給電能力の低下を検出すると、前記レギュレータの入力ノードと出力ノードとの間に設けられたスイッチ回路をオンさせて、前記レギュレータの前記入力ノードと前記出力ノードとを直結するバイパス経路をオン状態とし、
    また、前記バイパス経路が形成されている期間において、前記給電対象への負荷への給電を一時的に停止する場合には、前記電力供給制御信号出力端子から出力される前記電力供給制御信号の電圧レベルを非アクティブレベルからアクティブレベルに変化させて前記給電対象の負荷への給電を一時的に停止させるタイミングで、あるいは、前記給電対象の負荷への給電を一時的に停止させるタイミングの前に、前記スイッチ回路をオフさせて前記バイパス経路を強制的にオフ状態とし、
    かつ、前記給電対象の負荷への給電の一時停止を解除した後に、前記スイッチ回路をオンさせて前記バイパス経路をオン状態に復帰させる、
    ことを特徴とする受電制御装置。
  2. 請求項1記載の受電制御装置であって、
    前記受電側制御回路は、
    前記給電対象の負荷への給電の一時停止を解除した後、前記給電対象の負荷に供給する電圧が安定化するのに必要な時間が経過した後、前記スイッチ回路をオンさせて前記バイパス経路をオン状態に復帰させる、
    ことを特徴とする受電制御装置。
  3. 請求項1または請求項2記載の受電制御装置であって、
    前記受電側制御回路は、
    前記レギュレータの入力ノードと出力ノードとの間に設けられた前記スイッチ回路のオン/オフを制御するためのバイパス制御信号を出力するバイパス制御部と、
    前記受電装置に含まれる前記負荷変調部の動作を制御することによって前記受電装置の負荷を定期的に変調して定期認証を実行し、かつ、前記定期的な負荷変調の実行の際に、前記電力供給制御信号を前記電力供給制御端子から出力して前記給電対象の負荷への給電を一時的に停止させ、かつ、前記バイパス制御部にバイパス強制オフ信号を供給する定期認証制御部と、を有し、
    前記バイパス制御部は、
    前記レギュレータの入力ノードの電圧および出力ノードの電圧の少なくとも一つの電圧レベルを検出し、検出結果を示す検出信号を出力する検出回路と、
    前記定期認証部から出力されるバイパス強制オフ信号が非アクティブレベルであるときは、前記検出回路から出力される前記検出信号に基づいて前記バイパス制御信号をアクティブレベルとするか非アクティブレベルとするかを切り換えることによって、前記スイッチ回路のオン/オフを制御すると共に、前記バイパス強制オフ信号がアクティブレベルであるときは、前記検出信号のレベルにかかわらず、前記バイパス制御信号を非アクティブレベルに固定して、前記スイッチ回路がオンすることを禁止する出力制御回路と、
    を有することを特徴とする受電制御装置。
  4. 請求項3記載の受電制御装置であって、
    前記検出回路は、前記レギュレータの入力ノードの電圧および出力ノードの電圧の少なくとも一つの電圧が第1のしきい値電圧を下回った場合に前記検出信号をアクティブレベルとし、前記第1の電圧よりも高い第2のしきい値電圧を上回ったときに前記検出信号を非アクティブレベルとし、
    前記出力制御回路は、
    前記定期認証部から出力される前記バイパス強制オフ信号が非アクティブレベルであるときは、前記検出信号がアクティブレベルである期間において前記バイパス制御信号をアクティブレベルとして、前記スイッチ回路をオンさせて前記バイパス経路をオン状態とし、かつ、前記検出信号が非アクティブレベルである期間において前記バイパス制御信号を非アクティブレベルとして、前記スイッチ回路をオフさせて前記バイパス経路をオフ状態とし、
    前記定期認証部から出力される前記バイパス強制オフ信号がアクティブレベルであるときは、前記検出信号のレベルにかかわらず、前記バイパス制御信号を非アクティブレベルに固定して、前記スイッチ回路がオンすることを禁止する、
    ことを特徴とする受電制御装置。
  5. 請求項3または請求項4記載の受電制御装置であって、
    前記検出回路はヒステリシスコンパレータで構成され、
    前記出力制御回路は、
    前記定期認証部から出力される前記バイパス強制オフ信号によって前記バイパス経路が強制的にオフ状態となっている期間内の、前記給電対象の負荷への給電の一時的な停止が解除された後であって前記バイパス強制オフ状態が解除されるまでの期間において、前記検出回路として機能する前記ヒステリシスコンパレータのリセットを実行し、これによって、前記ヒステリシスコンパレータの入力信号の状態および出力信号の状態を、前記バイパス経路がオン状態であるときの状態に復帰させる、
    ことを特徴とする受電制御装置。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の受電制御装置と、
    前記整流回路を含み、前記2次コイルの誘起電圧を直流電圧に変換する受電部と、
    前記レギュレータと、前記レギュレータの入力ノードおよび出力ノードとの間に設けられた前記スイッチ回路と、を含み、前記給電対象の負荷への給電を制御する給電制御部と、
    を含むことを特徴とする受電装置。
  7. 請求項6記載の受電装置と、
    前記受電装置により電力が供給される、前記給電対象の負荷と、を含むことを特徴とする電子機器。
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