JP2010027470A - トランスバース方式の誘導加熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 加熱効率の低下を抑制しつつ、加熱対象の導体板の上下に配置される2つのコイルの間隔を従来よりも大きくすることができるトランスバース方式の誘導加熱装置を提供する。
【解決手段】 上側加熱コイル24の加熱コイル幅と下側加熱コイル28の加熱コイル幅が、上側加熱コイル24と下側加熱コイル28との間隔(ギャップ)以上になるようにする。したがって、ギャップを大きくしても、誘導加熱装置20から発生する主磁場を漏れ磁場よりも多くすることができる。よって、良好な加熱効率を得ることと、ギャップを従来よりも大きくすることとの双方を満足するトランスバース方式の誘導加熱装置を実現することができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、トランスバース方式の誘導加熱装置に関し、特に、導体板に交番磁界を略垂直に交差させて当該導体板を誘導加熱するために用いて好適なものである。
従来から、誘導加熱装置を用いて鋼板等の導体板を加熱することが行われている。誘導加熱装置は、コイルから発生した交番磁界(交流磁界)により導体板に誘起される渦電流に基づくジュール熱を当該導体板に発生させ、このジュール熱により当該導体板を加熱するものである。このような誘導加熱装置として、トランスバース方式の誘導加熱装置がある。トランスバース方式の誘導加熱装置は、加熱対象の導体板に交番磁界を略垂直に交差させるようにするものである。
そして、トランスバース方式の誘導加熱装置に関する技術として、特許文献1、2に記載の技術がある。
特許文献1に記載の技術では、Jの字状の導体を組み合わせてコイルを形成する。そして、このようにして形成された2つのコイルが金属ストリップを介して相互に対向するように、当該2つのコイルを当該金属ストリップの上下に配置する。このとき、Jの字状の導体の湾曲した部分が、金属ストリップの両側端の領域と対向するようにする。このように特許文献1に記載の技術では、Jの字状の導体の湾曲した部分を、金属ストリップの両側端の領域と対向させることによって、金属ストリップの両側端の領域が過加熱になることを抑制することができる。
また、特許文献2に記載の技術では、2つのコイルが金属ストリップを介して相互に対向するように、当該2つのコイルを当該金属ストリップの上下に配置する。また、コイルと金属ストリップとの間の位置であって、金属ストリップの両側端の領域と対向する位置に、磁気通過材料からなる補助ポールピースを配置する。更に、補助ボールピースと金属ストリップとの間の位置であって、金属ストリップの両側端の領域と対向する位置に、導電体からなる遮蔽板を配置する。特許文献2に記載の技術では、遮蔽板がコイルとシートとの電磁結合度を弱めると共に、補助ボールピースがコイルとシートとの電磁結合度を強めることによって、金属ストリップの両側端の領域が過加熱及び加熱不足になることを抑制するようにしている。
特公平7−7704号公報 特表平11−500262号公報
以上のように前述した従来の技術は、導体板の両側端の温度に着目するものであるが、本願発明者らは、前述した従来の技術では、導体板の上下に配置された2つのコイルの間隔を大きくすると、導体板の加熱効率が低下してしまう虞があるということを見出した。すなわち、本願発明者らは、前述した従来の技術では、コイルの間隔を大きくすることが困難であるということを見出した。
ところで、誘導加熱装置では、コアにコイルを巻き回すようにしている。また、鋼板の連続焼鈍炉の加熱帯では、鋼板を高温度(例えば850[℃])に加熱する。したがって、鋼板の連続焼鈍炉の加熱帯に誘導加熱装置を適用する場合には、鋼板からの熱輻射によってコアが高温にならないようにする必要がある。コアが高温になると当該コアの磁気特性が急激に低下するためである。例えば、コアにフェライトコアを使用した場合には、当該コアの温度が100〜150[℃]程度になると当該コアの磁気特性が急激に低下する。したがって、2つのコイルの間隔(鋼板とコイルとの間隔)を可能な限り大きくすることが望ましい。
また、鋼板の連続焼鈍炉の加熱帯では、外気と遮断された状態で鋼板を搬送しながら加熱する必要がある。鋼板が酸化することを防止するためである。よって、鋼板の連続焼鈍炉の加熱帯に誘導加熱装置を適用する場合には、外気を遮断できる薄型の断熱スロート内を搬送する鋼板に対し、当該断熱スロートの上下に配置された2つのコイルから交番磁界を与えて、当該鋼板を加熱する。したがって、このような場合には、2つのコイルの間に断熱スロートを配置することができるように、2つのコイルの間隔を可能な限り大きくする必要がある。
しかしながら、前述したように、従来の技術では、導体板の上下に配置された2つのコイルの間隔を大きくすると、導体板の加熱効率が低下してしまう虞があり、コイルの間隔を大きくすることが困難である。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、加熱効率の低下を抑制しつつ、加熱対象の導体板の上下に配置される2つのコイルの間隔を従来よりも大きくすることができるトランスバース方式の誘導加熱装置を提供することを目的とする。
本発明のトランスバース方式の誘導加熱装置は、加熱対象の導体板に交番磁界を垂直に交差させて当該導体板を誘導加熱するトランスバース方式の誘導加熱装置であって、前記導体板の板面とコイル面とが対向するように、当該導体板の上側に配置された上側の加熱コイルと、前記上側の加熱コイルを巻き回すためのスロットが形成されており、前記上側の加熱コイルが当該スロットを通って巻き回された上側のコアと、前記導体板の板面とコイル面とが対向するように、当該導体板の下側に配置された下側の加熱コイルと、前記下側の加熱コイルを巻き回すためのスロットが形成されており、前記下側の加熱コイルが当該スロットを通って巻き回された下側のコアとを有し、前記加熱コイルの前記スロット内にある部分における幅方向の長さが、前記上側の加熱コイル及び前記下側の加熱コイルの間隔以上であることを特徴とする。
本発明によれば、上側の加熱コイル及び下側の加熱コイルが巻き回されているコアのスロット内にある加熱コイルの幅方向における長さが、上側の加熱コイル及び下側の加熱コイルの間隔以上になるようにした。したがって、上側の加熱コイル及び下側の加熱コイルの間隔を大きくしても、誘導加熱装置から発生する主磁場を漏れ磁場よりも多くすることができる。よって、加熱効率の低下を抑制しつつ、加熱対象の導体板の上下に配置される2つのコイルの間隔を従来よりも大きくすることができるトランスバース方式の誘導加熱装置を提供することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。以下に示す本発明の各実施形態では、トランスバース方式の誘導加熱装置を、鋼板の連続焼鈍ラインに適用した場合を例に挙げて説明する。尚、以下の説明では、トランスバース方式の誘導加熱装置を、必要に応じて誘導加熱装置と略称する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、鋼板の連続焼鈍ラインの概略構成の一例を示す図である。
図1において、連続焼鈍ライン1は、第1の容器11と、第2の容器12と、第3の容器13と、第1のシールローラ組立体14と、移送器15と、第2のシールローラ組立体16と、気体供給装置17と、交流電源18と、ローラ19a〜19uと、誘導加熱装置20とを有している。
第1のシールローラ組立体14は、第1の容器11と外気とを遮蔽しながら帯状鋼鈑10を第1の容器11内に搬送するものである。この第1のシールローラ組立体14により第1の容器11内に搬送された帯状鋼鈑10は、第1の容器11内のローラ19a、19bによって第2の容器12内に搬送される。第2の容器12内に搬送された帯状鋼鈑10は、第2の容器12の水平部分の上下に配置された誘導加熱装置20によって加熱されながら、ローラ19g、19hによって第1の容器11内に再び搬送される。ここで、誘導加熱装置20は、交流電源18に電気的に接続されており、この交流電源18から交流電力を受けることにより、帯状鋼鈑10の板面に対して略垂直に交差する交番磁界を発生し、帯状鋼鈑10を誘導加熱する。尚、誘導加熱装置20の構成の詳細については後述する。また、以下の説明では、「電気的に接続」を必要に応じて「接続」と略称する。
第1の容器11内に戻った帯状鋼鈑10は、ローラ19c〜19fによって、均熱・緩冷ステージを通って移送器15に搬送される。移送器15に搬送された帯状鋼鈑10は、ローラ19i、19jによって、第3の容器13に搬送される。第3の容器13に搬送された帯状鋼鈑10は、ローラ19k〜19uによって上下に蛇行し、第3の容器13内で急冷される。
第2のシールローラ組立体16は、このようにして急冷された帯状鋼鈑10を、第3の容器13と外気とを遮断しながら後工程に送り出す。
以上のような"帯状鋼鈑10の搬送経路"となる"第1の容器11、第2の容器12、第3の容器13、及び移送器15"には、気体供給装置17によって非酸化性の気体が供給されている。そして、前述したように外部と内部とを遮断する"第1のシールローラ組立体14及び第2のシールローラ組立体16"によって、第1の容器11、第2の容器12、第3の容器13、及び移送器15は、非酸化性の気体雰囲気が保たれた状態となる。
図2は、誘導加熱装置の構成の一例を示す図である。具体的に図2(a)は、本実施形態の誘導加熱装置20の一例を示す図であって、帯状鋼板10の長手方向に沿って(図1の上下方向から)切った縦断面図である。一方、図2(b)は、従来の誘導加熱装置を示す図であって、図2(a)に対応する部分を示す図である。尚、図2の右から左に向いている矢印は、帯状鋼鈑10の搬送方向を示す。また、図2では、寸法[mm]も併せて示している。
図2(a)において、誘導加熱装置20は、上側誘導器21と、下側誘導器22とを有している。
上側誘導器21は、コア23と、上側加熱コイル24とを有している。
上側加熱コイル24は、コア21のスロット(ここではコア23の凹み部)を通してコア23に巻き回されたコイルであり、巻数が「1」のコイル(いわゆるシングルターン)である。また、図2(a)に示すように、上側加熱コイル24は、その縦断面の形状が口の字状の部分を有する。この口の字状の部分の中空部分の端面には、水冷パイプが接続されている。この水冷パイプから供給される冷却水が当該口の字状の部分の中空部分に流れ、上側誘導器21が冷却される。
下側誘導器22も、上側誘導器21と同様に、コア27と、下側加熱コイル28とを有している。
下側加熱コイル28も、上側加熱コイル24と同様に、コア27のスロットを通してコア27に巻き回され、巻数が「1」のコイル(いわゆるシングルターン)となっている。更に、下側加熱コイル28は、その縦断面の形状が口の字状の部分を有している。そして、この口の字状の部分の中空部分の端面には水冷パイプが接続され、当該口の字状の部分の中空部分に冷却水が流れるようになっている。
そして、上側誘導器21の上側加熱コイル24のコイル面(ループが形成されている面)と、下側誘導器22の下側加熱コイル28のコイル面とが、帯状鋼鈑10を介して対向するように、上側誘導器21は、帯状鋼鈑10よりも上側(第2の容器12の水平部分の上面付近)に設けられ、下側誘導器22は、帯状鋼鈑10よりも下側(第2の容器12の水平部分の下面付近)に設けられている。
以上のように、上側誘導器21と、下側誘導器22は、配置する位置が異なるだけであり、同じ構成を有する。
図2(a)に示す本実施形態の誘導加熱装置20では、上側加熱コイル24と下側加熱コイル28との間隔と、上側加熱コイル24の加熱コイル幅と、下側加熱コイル28の加熱コイル幅とを同じ(250[mm])にしている。
ここで、加熱コイル幅とは、スロット内にある上側加熱コイル24(下側加熱コイル28)の幅方向における長さをいう。図2(a)に示す例では、加熱コイル幅は、後述する図3に示す各銅パイプ31a〜31dの幅方向の長さになり、スロットの幅と略同じ値になる。
一方、図2(b)に示す従来の誘導加熱装置200では、上側加熱コイル240と下側加熱コイル280との間隔は250[mm]であるのに対し、上側加熱コイル240の加熱コイル幅と下側加熱コイル280の加熱コイル幅は、夫々50[mm]である。すなわち、図2(b)に示す従来の誘導加熱装置200では、上側加熱コイル240の加熱コイル幅と下側加熱コイル280の加熱コイル幅が、上側加熱コイル240と下側加熱コイル280との間隔よりも短くなっている。
尚、以下の説明では、上側加熱コイルの加熱コイル幅や、下側加熱コイルの加熱コイル幅を、必要に応じて単に加熱コイル幅と称し、上側加熱コイルと下側加熱コイルとの間隔を、必要に応じてギャップと称する。
図3は、上側加熱コイル24と、下側加熱コイル28の構成の一例を示す図である。尚、図3に示す矢印は、電流の流れる方向の一例を示している。
図3に示すように、上側加熱コイル24は、銅パイプ31a、31bと、銅パイプ31a、31bの基端側に接続されている銅ブスバー(結線板)32bとを有する。また、下側加熱コイル28は、銅パイプ31c、31dと、銅パイプ31c、31dの基端側に接続されている銅ブスバー32fとを有する。
上側加熱コイル24の一端(銅パイプ31aの先端側)は、銅ブスバー32aを介して交流電源18の一端と相互に接続されている。一方、上側加熱コイル24の他端(銅パイプ31bの先端側)は、銅ブスバー32c〜32eを介して下側加熱コイル28の一端(銅パイプ31cの先端側)と相互に接続されている。また、下側加熱コイル28の他端(銅パイプ31dの先端側)は、銅ブスバー32i、32h、32gを介して交流電源18の他端と相互に接続されている。
以上のように、上側加熱コイル24及び下側加熱コイル28は、銅パイプ31a〜31dと、銅ブスバー32a〜32iとを組み合わせることによって、交流電源18に対して直列に接続され、夫々巻数が「1」のコイルを形成している。
尚、ここでは、上側加熱コイル24及び下側加熱コイル28の構成を分かり易く示すために、図3に示すようにして、銅パイプ31a〜31dと、銅ブスバー32a〜32gとを接続するようにしている。しかしながら、上側加熱コイル24、下側加熱コイル28をコア23、27に巻き回す際には、銅パイプ31a〜31dを、コア23、27のスロットに通す(取り付ける)必要がある。したがって、実際には、銅ブスバー32は、コア23、27に取り付けられる部分を避けて銅パイプ31a〜31dに取り付けられることになる。
図4は、誘導加熱装置20から発生する磁界を解析した結果の一例を示す図である。具体的に図4(a)は、図2(a)に示した誘導加熱装置20から発生する磁界を解析した結果を示す。一方、図4(b)は、図2(b)に示した誘導加熱装置200から発生する磁界を解析した結果を示す。
図4(a)に示すように、図2(a)に示した本実施形態の誘導加熱装置20では、漏れ磁場よりも、主磁場の方が多くなる。一方、図4(b)に示すように、図2(b)に示した従来の誘導加熱装置200では、主磁場よりも、漏れ磁場の方が多くなる。
そして、本願発明者らは、以下の条件で各誘導加熱装置20、200を動作させた場合の加熱効率を求めた。その結果、本実施形態の誘導加熱装置20の加熱効率は約62[%]であったのに対し、従来の誘導加熱装置200の加熱効率は約36[%]であった。
コア ;フェライトコア
加熱材料 ;SUS板(幅500[mm]、厚み0.3[mm])
通板速度 ;8[mpm]
加熱温度 ;30〜130[℃](中央昇温量を100[℃])
電源周波数 ;20[kHz]
加熱コイルに流す電流;1000[A]
更に、本願発明者らは、上側加熱コイルと下側加熱コイルとの間隔(ギャップ)と、誘導加熱装置の加熱効率との関係についても調査した。
図5は、上側加熱コイルと下側加熱コイルとの間隔(ギャップ)と、誘導加熱装置の加熱効率との関係を磁場解析により求めた結果の一例を示す図である。
図5において、グラフ51は、図2(a)に示したような加熱コイル幅が250[mm]である誘導加熱装置に対する解析結果である。一方、グラフ52は、図2(b)に示したような加熱コイル幅が50[mm]である誘導加熱装置に対する解析結果である。
図5に示すように、同じ加熱効率を得るためのギャップは、加熱コイル幅が250[mm]である誘導加熱装置(グラフ51)の方が、加熱コイル幅が50[mm]である誘導加熱装置(グラフ52)よりも大きくなる(言い換えると、同じギャップにおける加熱効率は、加熱コイル幅が250[mm]である誘導加熱装置(グラフ51)の方が、加熱コイル幅が50[mm]である誘導加熱装置(グラフ52)よりも高くなる)。
例えば、目標となる加熱効率を70[%]とする。そうすると、この目標となる70[%]の加熱効率を得るためのギャップは、加熱コイル幅が250[mm]である誘導加熱装置(グラフ51)では約180[mm]となる。一方、加熱コイル幅が50[mm]である誘導加熱装置(グラフ52)では約110[mm]となる。このように、加熱コイル幅がギャップよりも小さい場合には、ギャップを小さくしないと目標となる効率を得ることができず、ギャップの拡大が困難となる。したがって、従来の技術では、目標となる加熱効率が得られる誘導加熱装置を構成しようとすると、第2の容器12を設置するためのスペースを確保することができなくなる虞がある。
また、本願発明者らは、加熱コイル幅をギャップ以上にすると、帯状鋼鈑10の板幅方向における温度分布を変えずに昇温速度[℃/sec・KW]を大きくすること(誘導加熱装置20の昇温能力を向上させること)ができることを確認した。
以上のように本願発明者らは、鋭意検討を行った結果、加熱コイル幅をギャップ以上にすれば、ギャップを大きくしても、誘導加熱装置の加熱効率を良好にすることができることを見出した。このことは、次のように理論的にも裏付けられるものである。
すなわち、主磁束φ1は、主磁場が通る空間の長さ(ギャップ)Gに反比例し、漏れ磁束φ2は、漏れ磁場が通る空間の長さ(加熱コイル幅)Wに反比例する。したがって、主磁束φ1を漏れ磁束φ2以上にするためには、以下の(1)式を満たすようにする必要があり、この(1)式を変更すると、以下の(2)式が成り立つ。
1/G≧1/W ・・・(1)
W≧G ・・・(2)
以上のように、加熱コイル幅をギャップ以上にすれば、ギャップを拡大しつつ、誘導加熱装置の加熱効率を実用上要求される良好な値にすることができる。
以上のように本実施形態では、上側加熱コイル24の加熱コイル幅と下側加熱コイル28の加熱コイル幅が、上側加熱コイル24と下側加熱コイル28との間隔(ギャップ)以上になるようにした。したがって、ギャップを大きくしても、誘導加熱装置20から発生する主磁場を漏れ磁場よりも多くすることができる。よって、良好な加熱効率を得ることと、ギャップを従来よりも大きくすることとの双方を満足するトランスバース方式の誘導加熱装置を実現することができる。これにより、誘導加熱装置が加熱対象から受ける熱輻射を低減したり、加熱対象を搬送する設備(断熱スロート等)をギャップの部分に容易に配置したりすることができる。
また、加熱コイル幅をギャップ以上にすることによって良好な加熱効率の誘導加熱装置を実現することができるので、加熱対象である導体板を高効率で電気加熱することが可能になる。ガス加熱は加熱効率が良くないので、ガス加熱を行う場合よりも電気加熱を行った場合の方が、加熱対象である導体板を目標温度にするための加熱長を短くすることができる。したがって、電気加熱を行うことによって炉長の短い焼鈍炉を形成することができ、焼鈍炉の建設コストの削減や、焼鈍炉のランニングコスト(電気料金やメンテナンス費用等)の削減等を図ることができる。例えば、電気加熱とガス加熱とを併用した焼鈍炉に、本実施形態の誘導加熱装置を適用すれば、電気加熱の高効率化によってガス加熱を行う工程を短くすることができ、焼鈍炉の炉長を短くすることができる。
また、本実施形態では、上側加熱コイル24と、下側加熱コイル28とを直列に接続した。したがって、上側加熱コイル24及び下側加熱コイル28に同じ電流が流れるので、上側加熱コイル24及び下側加熱コイル28の電気抵抗を正確に同じにしなくてもよくなる。よって、上側加熱コイル24及び下側加熱コイル28を容易に形成することができる。
また、本実施形態では、上側加熱コイル24の巻数と、下側加熱コイル28の巻数を、夫々「1」にした。したがって、上側加熱コイル24及び下側加熱コイル28のインダクタンスを低くすることができ、交流電源18の電源周波数が高い場合であっても、交流電源18から誘導加熱装置10に印加する電圧が大きくなることを抑制することができる。
尚、本実施形態では、加熱コイル幅とギャップとを同じにした場合を例に挙げて示したが、加熱コイル幅をギャップ以上にしていれば(又は加熱コイル幅をギャップよりも大きくしていれば)、加熱コイル幅とギャップの大きさは、前述したものに限定されない。
また、本実施形態では、上側加熱コイル24及び下側加熱コイル28を、銅を用いて形成するようにしたが、銅以外の導体(金属)を用いて上側加熱コイル24及び下側加熱コイル28を形成するようにしてもよい。
また、本実施形態では、加熱コイル幅の方向と、帯状鋼鈑10の長手方向(搬送方向)とが並行になるように、上側加熱コイル24及び下側加熱コイル28を配置した場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこのようにする必要はない。
また、加熱コイル幅の上限値は、誘導加熱装置20を配置するスペースや、誘導加熱装置20に要求される重量やコスト等によって適宜決定することができる。
また、誘導加熱装置20の配置箇所は、図1に示したものに限定されない。すなわち、導体板をトランスバース方式で誘導加熱するようにしていれば、誘導加熱装置20をどのように配置してもよい。例えば、第2の容器12内に誘導加熱装置20を配置してもよい。また、連続焼鈍ライン以外に誘導加熱装置20を適用してもよい。
また、図2(a)に示したコア23、27の寸法は、コア23、27が磁気飽和しない範囲で適宜決定することができる。ここで、コア23、27が磁気飽和するかどうかは、加熱コイル24、28に流れる電流に基づく磁界強度[A/m]から検証することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。前述した第1の実施形態では、いわゆるシングルターンの加熱コイルを直列に接続した場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、いわゆるマルチターンの加熱コイル(巻数が2以上の加熱コイル)を直列に接続した場合を例に挙げて説明する。このように本実施形態と前述した第1の実施形態とは、加熱コイルの巻数が異なる。したがって、本実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図5に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
図6は、上側加熱コイルと、下側加熱コイルの構成の一例を示す図である。尚、図6に示す矢印は、電流の流れる方向の一例を示している。
図6に示すように、上側加熱コイル61は、銅パイプ63a〜63fと、銅ブスバー64b〜64fとを有する。また、下側加熱コイル62は、銅パイプ63g〜63lと、銅ブスバー64j〜64nとを有する。
上側加熱コイル61の一端(銅パイプ63aの先端側)は、銅ブスバー64aを介して交流電源18の一端と相互に接続されている。
銅パイプ63aの基端側は、銅ブスバー64bを介して銅パイプ63fの基端側と相互に接続されており、銅パイプ63fの先端側は、銅ブスバー64cを介して銅パイプ63bの先端側と相互に接続されている。また、銅パイプ63bの基端側は、銅ブスバー64dを介して銅パイプ63eの基端側と相互に接続されており、銅パイプ63eの先端側は、銅ブスバー64eを介して銅パイプ63cの先端側と相互に接続されている。また、銅パイプ63cの基端側は、銅ブスバー64fを介して銅パイプ63dの基端側と相互に接続されている。
そして、上側加熱コイル61の他端(銅パイプ63dの先端側)は、銅ブスバー64g〜64iを介して、下側加熱コイル62の一端(銅パイプ63gの先端側)と相互に接続されている。この銅パイプ63gの基端側は、銅ブスバー64jを介して銅パイプ63lの基端側と相互に接続されており、銅パイプ63lの先端側は、銅ブスバー64kを介して銅パイプ63hの先端側と相互に接続されている。また、銅パイプ63hの基端側は、銅ブスバー64lを介して銅パイプ63kの基端側と相互に接続されており、銅パイプ63kの先端側は、銅ブスバー64mを介して銅パイプ63iの先端側と相互に接続されている。また、銅パイプ63iの基端側は、銅ブスバー64nを介して銅パイプ63jの基端側と相互に接続されている。
そして、下側加熱コイル62の他端(銅パイプ63jの先端側)は、銅ブスバー64o〜64qを介して交流電源18の他端と相互に接続されている。
尚、図6に示す銅パイプ63a〜63lの相互に隣接する領域は、絶縁紙等を用いて電気的に絶縁されている。
以上のように、上側加熱コイル61及び下側加熱コイル62は、銅パイプ63a〜63lと、銅ブスバー64a〜64qとを組み合わせることによって、交流電源18に対して直列に接続され、夫々、水平面上で螺旋状に巻き回された"巻数が「3」のコイル"を形成している。
そして、本実施形態では、上側加熱コイル61と下側加熱コイル62との間隔(ギャップ)と、上側加熱コイル61の加熱コイル幅と、下側加熱コイル62の加熱コイル幅とを同じ(250[mm])にしている。
前述したように、加熱コイル幅とは、スロット内にある上側加熱コイル61(下側加熱コイル62)の幅方向における長さをいう。図6に示す例では、加熱コイル幅は、スロット内で幅方向に並べられている3つの銅パイプ63a〜63c、63d〜63f、63g〜63i、63j〜63lの幅方向の長さ(の加算値)になり、スロットの幅と略同じ値になる。
尚、図3と同様に、ここでも、上側加熱コイル61及び下側加熱コイル62の構成を分かり易く示すために、図6に示すようにして、銅パイプ63a〜63lと、銅ブスバー64a〜64qとを接続するようにしている。しかしながら、上側加熱コイル61、下側加熱コイル62をコア23、27に巻き回す際には、銅パイプ63a〜63lを、コア23、27のスロットに通す(取り付ける)必要がある。したがって、実際には、銅ブスバー64は、コア23、27に取り付けられる部分を避けて銅パイプ63a〜63lに取り付けられることになる。
以上のように、巻数が複数の加熱コイルを有するトランスバース方式の誘導加熱装置であっても、第1の実施形態で説明したように、良好な加熱効率を得ることと、ギャップを従来よりも大きくすることとの双方を満足させることができる。特に、本実施形態では、交流電源18の電源周波数が低い領域での使用に適したトランスバース方式の誘導加熱装置を実現することができる。
尚、本実施形態では、上側加熱コイル61、62の巻数が「3」である場合を例に挙げて説明したが、上側加熱コイル61、62の巻数は、「2」以上であればいくつであってもよい。
また、本実施形態でも、前述した第1の実施形態で説明した種々の変形例を採ることができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。前述した第1の実施形態では、上側加熱コイル24及び下側加熱コイル28を直列に接続した場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、上側加熱コイル及び下側加熱コイルを並列に接続した場合を例に挙げて説明する。このように本実施形態と前述した第1の実施形態とは、加熱コイルの接続方法が異なる。したがって、本実施形態の説明において、前述した第1、第2の実施形態と同一の部分については、図1〜図6に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
図7は、上側加熱コイルと、下側加熱コイルの構成の一例を示す図である。尚、図7に示す矢印は、電流の流れる方向の一例を示している。
図7に示すように、上側加熱コイル71は、銅パイプ73a、73bと、銅パイプ73a、73bの基端側に接続されている銅ブスバー74eとを有する。また、下側加熱コイル72は、銅パイプ73c、73dと、銅パイプ73c、73dの基端側に接続されている銅ブスバー74iとを有する。
上側加熱コイル71の一端(銅パイプ73aの先端側)は、銅ブスバー74d、74c、74b、74aを介して交流電源18の一端と相互に接続されている。一方、上側加熱コイル71の他端(銅パイプ73bの先端側)は、銅ブスバー74f、74g、74k、74lを介して交流電源18の他端と相互に接続されている。また、下側加熱コイル72の一端(銅パイプ73cの先端側)は、銅ブスバー74h、74c、74b、74aを介して交流電源18の一端と相互に接続されている。一方、下側加熱コイル72の他端(銅パイプ73dの先端側)は、銅ブスバー74j、74g、74k、74lを介して交流電源18の他端と相互に接続されている。
以上のように本実施形態では、上側加熱コイル71及び下側加熱コイル72は、銅パイプ73a〜73dと、銅ブスバー74a〜74lとを組み合わせることによって、交流電源18に対して並列に接続され、夫々巻数が「1」のコイルを形成している。
そして、本実施形態では、上側加熱コイル71と下側加熱コイル72との間隔(ギャップ)と、上側加熱コイル71の加熱コイル幅と、下側加熱コイル72の加熱コイル幅とを同じ(250[mm])にしている。
前述したように、加熱コイル幅とは、スロット内にある上側加熱コイル71(下側加熱コイル72)の幅方向における長さをいう。図7に示す例では、加熱コイル幅は、各銅パイプ73a〜73dの幅方向の長さになり、スロットの幅と略同じ値になる。
尚、図3、図6と同様に、ここでも、上側加熱コイル71及び下側加熱コイル72の構成を分かり易く示すために、図7に示すようにして、銅パイプ73a〜73dと、銅ブスバー74a〜74lとを接続するようにしている。しかしながら、上側加熱コイル71、下側加熱コイル72をコア23、27に巻き回す際には、銅パイプ73a〜73dを、コア23、27のスロットに通す(取り付ける)必要がある。したがって、実際には、銅ブスバー74は、コア23、27に取り付けられる部分を避けて銅パイプ73a〜73dに取り付けられることになる。
以上のように、並列に接続した加熱コイルを有するトランスバース方式の誘導加熱装置であっても、第1の実施形態で説明したように、良好な加熱効率を得ることと、ギャップを従来よりも大きくすることとの双方を満足させることができる。特に、本実施形態では、より一層高い加熱効率(加熱コイルを直接に接続した場合よりも高い加熱効率)を有するトランスバース方式の誘導加熱装置を実現することができる。
尚、本実施形態では、いわゆるシングルターンの加熱コイルを並列に接続する場合を例に挙げて説明したが、第2の実施形態のような、いわゆるマルチターンの加熱コイルを並列に接続することもできる。
また、本実施形態でも、前述した第1の実施形態で説明した種々の変形例を採ることができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。前述した第1の実施形態では、加熱コイルを流れる電流の経路が、当該加熱コイルの巻き始めから巻き終わりまで分岐しないようにした場合を例に挙げて示した。これに対し、本実施形態では、加熱コイルを流れる電流の経路が2つに分岐するようにした場合を例に挙げて説明する。このように本実施形態と前述した第1の実施形態とは、加熱コイルを流れる電流の経路を形成する方法が異なる。したがって、本実施形態の説明において、前述した第1〜第3の実施形態と同一の部分については、図1〜図7に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
図8は、上側加熱コイルと、下側加熱コイルの構成の一例を示す図である。尚、図8に示す矢印は、電流の流れる方向の一例を示している。
図8に示すように、上側加熱コイル81は、銅パイプ83a〜83dと、銅パイプ83a、83cの基端側に接続されている銅ブスバー84cと、銅パイプ83b、83dの基端側に接続されている銅ブスバー84dとを有する。また、下側加熱コイル82は、銅パイプ83e〜83hと、銅パイプ83e、83gの基端側に接続されている銅ブスバー84hと、銅パイプ83f、83hの基端側に接続されている銅ブスバー84iとを有する。
上側加熱コイル81の一端(銅パイプ83a、83bの先端側)は、銅ブスバー84b、84aを介して交流電源18の一端と相互に接続されている。一方、上側加熱コイル81の他端(銅パイプ83c、83dの先端側)は、銅ブスバー84e〜84gを介して下側加熱コイル82の一端(銅パイプ83e、83gの先端側)と相互に接続されている。また、下側加熱コイル83の他端(銅パイプ83g、83hの先端側)は、銅ブスバー84j〜84lを介して交流電源18の他端と相互に接続されている。
尚、図8に示す銅パイプ83a〜83hの相互に隣接する領域は、絶縁紙等を用いて電気的に絶縁されている。
以上のように、本実施形態では、銅パイプ83a、83cと、銅ブスバー84cとを組み合わせて、上側加熱コイル81の第1の加熱コイル部分を形成し、銅パイプ83b、83dと、銅ブスバー84dとを組み合わせて、上側加熱コイル81の第2の加熱コイル部分を形成する。また、銅パイプ83e、83gと、銅ブスバー84hとを組み合わせて、下側加熱コイル82の第1の加熱コイル部分を形成し、銅パイプ83f、83hと、銅ブスバー84iとを組み合わせて、下側加熱コイル82の第2の加熱コイル部分を形成する。すなわち、本実施形態では、加熱コイルの巻き始めの領域としての"2つの加熱コイル部分の巻き始めの領域"同士を相互に接続すると共に、加熱コイルの巻き終わりの領域としての"2つの加熱コイル部分の巻き終わりの領域"同士を相互に接続するようにして巻数が「1」の加熱コイルを2つ形成し、それら2つの加熱コイルを直列に接続するようにしている。
そして、本実施形態では、上側加熱コイル81と下側加熱コイル82との間隔(ギャップ)と、上側加熱コイル81の加熱コイル幅と、下側加熱コイル82の加熱コイル幅とを同じ(250[mm])にしている。
前述したように、加熱コイル幅とは、スロット内にある上側加熱コイル81(下側加熱コイル82)の幅方向における長さをいう。図8に示す例では、加熱コイル幅は、スロット内で幅方向に並べられた2つの銅パイプ83a〜83b、83c〜83d、83e〜83f、83g〜83hの幅方向の長さ(の加算値)になり、スロットの幅と略同じ値になる。
尚、図3、図6、図7と同様に、ここでも、上側加熱コイル81及び下側加熱コイル82の構成を分かり易く示すために、図8に示すようにして、銅パイプ83a〜83hと、銅ブスバー84a〜84lとを接続するようにしている。しかしながら、上側加熱コイル81、下側加熱コイル82をコア23、27に巻き回す際には、銅パイプ83a〜83hを、コア23、27のスロットに通す(取り付ける)必要がある。したがって、実際には、銅ブスバー84は、コア23、27に取り付けられる部分を避けて銅パイプ83a〜83hに取り付けられることになる。
以上のように、本実施形態では、電流の経路が分岐するようにした"上側加熱コイル81及び下側加熱コイル82"を直列に接続してトランスバース方式の誘導加熱装置を構成した。これにより、第1の実施形態で説明したように、良好な加熱効率を得ることと、ギャップを従来よりも大きくすることとの双方を満足させることができる。特に、本実施形態では、加熱コイルにおける表皮効果を抑制できるトランスバース方式の誘導加熱装置を実現することができる。
尚、本実施形態では、いわゆるシングルターンの加熱コイルを複数の加熱コイル部分に分割する場合を例に挙げて説明したが、第2の実施形態のように、いわゆるマルチターンの加熱コイルを複数の加熱コイル部分に分割してもよい。
また、本実施形態でも、前述した第1の実施形態で説明した種々の変形例を採ることができる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。前述した第4の実施形態では、電流の経路が分岐するようにした"上側加熱コイル81及び下側加熱コイル82"を直列に接続した場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、そのような"上側加熱コイル及び下側加熱コイル"を並列に接続した場合を例に挙げて説明する。このように本実施形態と前述した第4の実施形態とは、加熱コイルの接続方法が異なる。したがって、本実施形態の説明において、前述した第1〜第4の実施形態と同一の部分については、図1〜図8に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
図9は、上側加熱コイルと、下側加熱コイルの構成の一例を示す図である。尚、図9に示す矢印は、電流の流れる方向の一例を示している。
図9に示すように、上側加熱コイル91は、銅パイプ93a〜93dと、銅パイプ93a、93cの基端側に接続されている銅ブスバー94eと、銅パイプ93b、94dの基端側に接続されている銅ブスバー94fとを有する。また、下側加熱コイル92は、銅パイプ93e〜93hと、銅パイプ93e、93gの基端側に接続されている銅ブスバー94jと、銅パイプ93f、93hの基端側に接続されている銅ブスバー94kとを有する。
上側加熱コイル91の一端(銅パイプ93a、93bの先端側)は、銅ブスバー94d、94c、94b、94aを介して交流電源18の一端と相互に接続されている。一方、上側加熱コイル91の他端(銅パイプ93c、93dの先端側)は、銅ブスバー94g、94h、94m、94nを介して交流電源18の他端と相互に接続されている。また、下側加熱コイル92の一端(銅パイプ93e、93fの先端側)は、銅ブスバー94i、94c、94b、94aを介して交流電源18の一端と相互に接続されている。一方、下側加熱コイル92の他端(銅パイプ93g、93hの先端側)は、銅ブスバー94l、94h、94m、94nを介して交流電源18の他端と相互に接続されている。
また、上側加熱コイル91の一端(銅パイプ93a、93bの先端側)と、下側加熱コイル92の一端(銅パイプ93e、93fの先端側)は、銅ブスバー94d、94c、94iを介して相互に接続されており、上側加熱コイル91の他端(銅パイプ93c、93dの先端側)と、下側加熱コイル92の他端(銅パイプ93g、93hの先端側)は、銅ブスバー94g、94h、94lを介して相互に接続されている。
尚、図9に示す銅パイプ93a〜93hの相互に隣接する領域は、絶縁紙等を用いて電気的に絶縁されている。
以上のように、本実施形態では、銅パイプ93a、93cと、銅ブスバー94eとを組み合わせて、上側加熱コイル91の第1の加熱コイル部分を形成し、銅パイプ93b、93dと、銅ブスバー94fとを組み合わせて、上側加熱コイル91の第2の加熱コイル部分を形成する。また、銅パイプ93e、93gと、銅ブスバー94jとを組み合わせて、下側加熱コイル92の第1の加熱コイル部分を形成し、銅パイプ93f、93hと、銅ブスバー94kとを組み合わせて、下側加熱コイル92の第2の加熱コイル部分を形成する。すなわち、本実施形態では、加熱コイルの巻き始めの領域としての"2つの加熱コイル部分の巻き始めの領域"同士を相互に電気的に接続すると共に、加熱コイルの巻き終わりの領域としての"2つの加熱コイル部分の巻き終わりの領域"同士を相互に電気的に接続するようにして巻数が「1」の加熱コイルを2つ形成し、それら2つの加熱コイルを並列に接続するようにしている。
そして、本実施形態では、上側加熱コイル91と下側加熱コイル92との間隔(ギャップ)と、上側加熱コイル91の加熱コイル幅と、下側加熱コイル92の加熱コイル幅とを同じ(250[mm])にしている。
前述したように、加熱コイル幅とは、スロット内における上側加熱コイル91(下側加熱コイル92)の幅方向における長さをいう。図9に示す例では、加熱コイル幅は、スロット内で幅方向に並べられた2つの銅パイプ93a〜93b、93c〜93d(銅パイプ93e〜93f、93g〜93h)の幅方向の長さ(の加算値)になり、スロットの幅と略同じ値になる。
尚、図3、図6〜図8と同様に、ここでも、上側加熱コイル91及び下側加熱コイル92の構成を分かり易く示すために、図9に示すようにして、銅パイプ93a〜93hと、銅ブスバー94a〜94nとを接続するようにしている。しかしながら、上側加熱コイル91、下側加熱コイル92をコア23、27に巻き回す際には、銅パイプ93a〜93hを、コア23、27のスロットに通す(取り付ける)必要がある。したがって、実際には、銅ブスバー94は、コア23、27に取り付けられる部分を避けて銅パイプ93a〜93hに取り付けられることになる。
以上のように、本実施形態では、電流の経路が分岐するようにした"上側加熱コイル91及び下側加熱コイル92"を並列に接続してトランスバース方式の誘導加熱装置を構成した。これにより、第1の実施形態で説明したように、良好な加熱効率を得ることと、ギャップを従来よりも大きくすることとの双方を満足させることができる。また、第3の実施形態で説明したように、より一層高い加熱効率(加熱コイルを直接に接続した場合よりも高い加熱効率)を有するトランスバース方式の誘導加熱装置を実現することができる。更に、第4の実施形態で説明したように、加熱コイルにおける表皮効果を抑制できるトランスバース方式の誘導加熱装置を実現することができる。
尚、本実施形態では、電流の経路が2つに分岐する場合を例に挙げて説明したが、分岐する数は3以上であってもよい。
また、本実施形態では、いわゆるシングルターンの加熱コイルを複数の加熱コイル部分に分割する場合を例に挙げて説明したが、第2の実施形態の変形例で説明したように、いわゆるマルチターンの加熱コイルを複数の加熱コイル部分に分割してもよい。
また、本実施形態でも、前述した第1の実施形態で説明した種々の変形例を採ることができる。
また、以上説明した本発明の各実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明の第1の実施形態を示し、鋼板の連続焼鈍ラインの概略構成の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態を示し、誘導加熱装置の構成の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態を示し、上側加熱コイルと、下側加熱コイルの構成の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態を示し、誘導加熱装置から発生する磁界を解析した結果の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態を示し、上側加熱コイルと下側加熱コイルとの間隔(ギャップ)と、誘導加熱装置の加熱効率との関係を磁場解析により求めた結果の一例を示す図である。 本発明の第2の実施形態を示し、上側加熱コイルと、下側加熱コイルの構成の一例を示す図である。 本発明の第3の実施形態を示し、上側加熱コイルと、下側加熱コイルの構成の一例を示す図である。 本発明の第4の実施形態を示し、上側加熱コイルと、下側加熱コイルの構成の一例を示す図である。 本発明の第5の実施形態を示し、上側加熱コイルと、下側加熱コイルの構成の一例を示す図である。
符号の説明
10 帯状鋼鈑
18 交流電源
20 誘導加熱装置
21 上側誘導器
22 下側誘導器
23、27 コア
24、61、71、81、91 上側加熱コイル
28、62、72、82、92 下側加熱コイル
31、63、73、83、93 銅パイプ
32、64、74、84、94 銅ブスバー

Claims (4)

  1. 加熱対象の導体板に交番磁界を垂直に交差させて当該導体板を誘導加熱するトランスバース方式の誘導加熱装置であって、
    前記導体板の板面とコイル面とが対向するように、当該導体板の上側に配置された上側の加熱コイルと、
    前記上側の加熱コイルを巻き回すためのスロットが形成されており、前記上側の加熱コイルが当該スロットを通って巻き回された上側のコアと、
    前記導体板の板面とコイル面とが対向するように、当該導体板の下側に配置された下側の加熱コイルと、
    前記下側の加熱コイルを巻き回すためのスロットが形成されており、前記下側の加熱コイルが当該スロットを通って巻き回された下側のコアとを有し、
    前記加熱コイルの前記スロット内にある部分における幅方向の長さが、前記上側の加熱コイル及び前記下側の加熱コイルの間隔以上であることを特徴とするトランスバース方式の誘導加熱装置。
  2. 前記加熱コイルは、第1〜第n(nは2以上の自然数)の加熱コイル部分を有し、
    前記第1〜第nの加熱コイル部分の巻き始めの領域同士が相互に電気的に接続されるようにすると共に、前記第1〜第nの加熱コイル部分の巻き終わりの領域同士が相互に電気的に接続されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のトランスバース方式の誘導加熱装置。
  3. 前記第1〜第nの加熱コイル部分の相互に隣接する領域は、電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項2に記載のトランスバース方式の誘導加熱装置。
  4. 前記上側の加熱コイルと、前記下側の加熱コイルとが直列又は並列に接続されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のトランスバース方式の誘導加熱装置。
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