JP2010027470A - トランスバース方式の誘導加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 上側加熱コイル24の加熱コイル幅と下側加熱コイル28の加熱コイル幅が、上側加熱コイル24と下側加熱コイル28との間隔(ギャップ)以上になるようにする。したがって、ギャップを大きくしても、誘導加熱装置20から発生する主磁場を漏れ磁場よりも多くすることができる。よって、良好な加熱効率を得ることと、ギャップを従来よりも大きくすることとの双方を満足するトランスバース方式の誘導加熱装置を実現することができる。
【選択図】 図2
Description
特許文献1に記載の技術では、Jの字状の導体を組み合わせてコイルを形成する。そして、このようにして形成された2つのコイルが金属ストリップを介して相互に対向するように、当該2つのコイルを当該金属ストリップの上下に配置する。このとき、Jの字状の導体の湾曲した部分が、金属ストリップの両側端の領域と対向するようにする。このように特許文献1に記載の技術では、Jの字状の導体の湾曲した部分を、金属ストリップの両側端の領域と対向させることによって、金属ストリップの両側端の領域が過加熱になることを抑制することができる。
まず、本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、鋼板の連続焼鈍ラインの概略構成の一例を示す図である。
図1において、連続焼鈍ライン1は、第1の容器11と、第2の容器12と、第3の容器13と、第1のシールローラ組立体14と、移送器15と、第2のシールローラ組立体16と、気体供給装置17と、交流電源18と、ローラ19a〜19uと、誘導加熱装置20とを有している。
第2のシールローラ組立体16は、このようにして急冷された帯状鋼鈑10を、第3の容器13と外気とを遮断しながら後工程に送り出す。
以上のような"帯状鋼鈑10の搬送経路"となる"第1の容器11、第2の容器12、第3の容器13、及び移送器15"には、気体供給装置17によって非酸化性の気体が供給されている。そして、前述したように外部と内部とを遮断する"第1のシールローラ組立体14及び第2のシールローラ組立体16"によって、第1の容器11、第2の容器12、第3の容器13、及び移送器15は、非酸化性の気体雰囲気が保たれた状態となる。
図2(a)において、誘導加熱装置20は、上側誘導器21と、下側誘導器22とを有している。
上側誘導器21は、コア23と、上側加熱コイル24とを有している。
上側加熱コイル24は、コア21のスロット(ここではコア23の凹み部)を通してコア23に巻き回されたコイルであり、巻数が「1」のコイル(いわゆるシングルターン)である。また、図2(a)に示すように、上側加熱コイル24は、その縦断面の形状が口の字状の部分を有する。この口の字状の部分の中空部分の端面には、水冷パイプが接続されている。この水冷パイプから供給される冷却水が当該口の字状の部分の中空部分に流れ、上側誘導器21が冷却される。
下側加熱コイル28も、上側加熱コイル24と同様に、コア27のスロットを通してコア27に巻き回され、巻数が「1」のコイル(いわゆるシングルターン)となっている。更に、下側加熱コイル28は、その縦断面の形状が口の字状の部分を有している。そして、この口の字状の部分の中空部分の端面には水冷パイプが接続され、当該口の字状の部分の中空部分に冷却水が流れるようになっている。
以上のように、上側誘導器21と、下側誘導器22は、配置する位置が異なるだけであり、同じ構成を有する。
ここで、加熱コイル幅とは、スロット内にある上側加熱コイル24(下側加熱コイル28)の幅方向における長さをいう。図2(a)に示す例では、加熱コイル幅は、後述する図3に示す各銅パイプ31a〜31dの幅方向の長さになり、スロットの幅と略同じ値になる。
尚、以下の説明では、上側加熱コイルの加熱コイル幅や、下側加熱コイルの加熱コイル幅を、必要に応じて単に加熱コイル幅と称し、上側加熱コイルと下側加熱コイルとの間隔を、必要に応じてギャップと称する。
図3に示すように、上側加熱コイル24は、銅パイプ31a、31bと、銅パイプ31a、31bの基端側に接続されている銅ブスバー(結線板)32bとを有する。また、下側加熱コイル28は、銅パイプ31c、31dと、銅パイプ31c、31dの基端側に接続されている銅ブスバー32fとを有する。
以上のように、上側加熱コイル24及び下側加熱コイル28は、銅パイプ31a〜31dと、銅ブスバー32a〜32iとを組み合わせることによって、交流電源18に対して直列に接続され、夫々巻数が「1」のコイルを形成している。
図4(a)に示すように、図2(a)に示した本実施形態の誘導加熱装置20では、漏れ磁場よりも、主磁場の方が多くなる。一方、図4(b)に示すように、図2(b)に示した従来の誘導加熱装置200では、主磁場よりも、漏れ磁場の方が多くなる。
コア ;フェライトコア
加熱材料 ;SUS板(幅500[mm]、厚み0.3[mm])
通板速度 ;8[mpm]
加熱温度 ;30〜130[℃](中央昇温量を100[℃])
電源周波数 ;20[kHz]
加熱コイルに流す電流;1000[A]
図5は、上側加熱コイルと下側加熱コイルとの間隔(ギャップ)と、誘導加熱装置の加熱効率との関係を磁場解析により求めた結果の一例を示す図である。
図5において、グラフ51は、図2(a)に示したような加熱コイル幅が250[mm]である誘導加熱装置に対する解析結果である。一方、グラフ52は、図2(b)に示したような加熱コイル幅が50[mm]である誘導加熱装置に対する解析結果である。
図5に示すように、同じ加熱効率を得るためのギャップは、加熱コイル幅が250[mm]である誘導加熱装置(グラフ51)の方が、加熱コイル幅が50[mm]である誘導加熱装置(グラフ52)よりも大きくなる(言い換えると、同じギャップにおける加熱効率は、加熱コイル幅が250[mm]である誘導加熱装置(グラフ51)の方が、加熱コイル幅が50[mm]である誘導加熱装置(グラフ52)よりも高くなる)。
また、本願発明者らは、加熱コイル幅をギャップ以上にすると、帯状鋼鈑10の板幅方向における温度分布を変えずに昇温速度[℃/sec・KW]を大きくすること(誘導加熱装置20の昇温能力を向上させること)ができることを確認した。
すなわち、主磁束φ1は、主磁場が通る空間の長さ(ギャップ)Gに反比例し、漏れ磁束φ2は、漏れ磁場が通る空間の長さ(加熱コイル幅)Wに反比例する。したがって、主磁束φ1を漏れ磁束φ2以上にするためには、以下の(1)式を満たすようにする必要があり、この(1)式を変更すると、以下の(2)式が成り立つ。
1/G≧1/W ・・・(1)
W≧G ・・・(2)
以上のように、加熱コイル幅をギャップ以上にすれば、ギャップを拡大しつつ、誘導加熱装置の加熱効率を実用上要求される良好な値にすることができる。
また、本実施形態では、上側加熱コイル24の巻数と、下側加熱コイル28の巻数を、夫々「1」にした。したがって、上側加熱コイル24及び下側加熱コイル28のインダクタンスを低くすることができ、交流電源18の電源周波数が高い場合であっても、交流電源18から誘導加熱装置10に印加する電圧が大きくなることを抑制することができる。
また、本実施形態では、上側加熱コイル24及び下側加熱コイル28を、銅を用いて形成するようにしたが、銅以外の導体(金属)を用いて上側加熱コイル24及び下側加熱コイル28を形成するようにしてもよい。
また、本実施形態では、加熱コイル幅の方向と、帯状鋼鈑10の長手方向(搬送方向)とが並行になるように、上側加熱コイル24及び下側加熱コイル28を配置した場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこのようにする必要はない。
また、加熱コイル幅の上限値は、誘導加熱装置20を配置するスペースや、誘導加熱装置20に要求される重量やコスト等によって適宜決定することができる。
また、誘導加熱装置20の配置箇所は、図1に示したものに限定されない。すなわち、導体板をトランスバース方式で誘導加熱するようにしていれば、誘導加熱装置20をどのように配置してもよい。例えば、第2の容器12内に誘導加熱装置20を配置してもよい。また、連続焼鈍ライン以外に誘導加熱装置20を適用してもよい。
また、図2(a)に示したコア23、27の寸法は、コア23、27が磁気飽和しない範囲で適宜決定することができる。ここで、コア23、27が磁気飽和するかどうかは、加熱コイル24、28に流れる電流に基づく磁界強度[A/m]から検証することができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。前述した第1の実施形態では、いわゆるシングルターンの加熱コイルを直列に接続した場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、いわゆるマルチターンの加熱コイル(巻数が2以上の加熱コイル)を直列に接続した場合を例に挙げて説明する。このように本実施形態と前述した第1の実施形態とは、加熱コイルの巻数が異なる。したがって、本実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図5に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
図6に示すように、上側加熱コイル61は、銅パイプ63a〜63fと、銅ブスバー64b〜64fとを有する。また、下側加熱コイル62は、銅パイプ63g〜63lと、銅ブスバー64j〜64nとを有する。
銅パイプ63aの基端側は、銅ブスバー64bを介して銅パイプ63fの基端側と相互に接続されており、銅パイプ63fの先端側は、銅ブスバー64cを介して銅パイプ63bの先端側と相互に接続されている。また、銅パイプ63bの基端側は、銅ブスバー64dを介して銅パイプ63eの基端側と相互に接続されており、銅パイプ63eの先端側は、銅ブスバー64eを介して銅パイプ63cの先端側と相互に接続されている。また、銅パイプ63cの基端側は、銅ブスバー64fを介して銅パイプ63dの基端側と相互に接続されている。
そして、下側加熱コイル62の他端(銅パイプ63jの先端側)は、銅ブスバー64o〜64qを介して交流電源18の他端と相互に接続されている。
尚、図6に示す銅パイプ63a〜63lの相互に隣接する領域は、絶縁紙等を用いて電気的に絶縁されている。
そして、本実施形態では、上側加熱コイル61と下側加熱コイル62との間隔(ギャップ)と、上側加熱コイル61の加熱コイル幅と、下側加熱コイル62の加熱コイル幅とを同じ(250[mm])にしている。
尚、本実施形態では、上側加熱コイル61、62の巻数が「3」である場合を例に挙げて説明したが、上側加熱コイル61、62の巻数は、「2」以上であればいくつであってもよい。
また、本実施形態でも、前述した第1の実施形態で説明した種々の変形例を採ることができる。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。前述した第1の実施形態では、上側加熱コイル24及び下側加熱コイル28を直列に接続した場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、上側加熱コイル及び下側加熱コイルを並列に接続した場合を例に挙げて説明する。このように本実施形態と前述した第1の実施形態とは、加熱コイルの接続方法が異なる。したがって、本実施形態の説明において、前述した第1、第2の実施形態と同一の部分については、図1〜図6に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
図7に示すように、上側加熱コイル71は、銅パイプ73a、73bと、銅パイプ73a、73bの基端側に接続されている銅ブスバー74eとを有する。また、下側加熱コイル72は、銅パイプ73c、73dと、銅パイプ73c、73dの基端側に接続されている銅ブスバー74iとを有する。
そして、本実施形態では、上側加熱コイル71と下側加熱コイル72との間隔(ギャップ)と、上側加熱コイル71の加熱コイル幅と、下側加熱コイル72の加熱コイル幅とを同じ(250[mm])にしている。
尚、本実施形態では、いわゆるシングルターンの加熱コイルを並列に接続する場合を例に挙げて説明したが、第2の実施形態のような、いわゆるマルチターンの加熱コイルを並列に接続することもできる。
また、本実施形態でも、前述した第1の実施形態で説明した種々の変形例を採ることができる。
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。前述した第1の実施形態では、加熱コイルを流れる電流の経路が、当該加熱コイルの巻き始めから巻き終わりまで分岐しないようにした場合を例に挙げて示した。これに対し、本実施形態では、加熱コイルを流れる電流の経路が2つに分岐するようにした場合を例に挙げて説明する。このように本実施形態と前述した第1の実施形態とは、加熱コイルを流れる電流の経路を形成する方法が異なる。したがって、本実施形態の説明において、前述した第1〜第3の実施形態と同一の部分については、図1〜図7に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
図8に示すように、上側加熱コイル81は、銅パイプ83a〜83dと、銅パイプ83a、83cの基端側に接続されている銅ブスバー84cと、銅パイプ83b、83dの基端側に接続されている銅ブスバー84dとを有する。また、下側加熱コイル82は、銅パイプ83e〜83hと、銅パイプ83e、83gの基端側に接続されている銅ブスバー84hと、銅パイプ83f、83hの基端側に接続されている銅ブスバー84iとを有する。
尚、図8に示す銅パイプ83a〜83hの相互に隣接する領域は、絶縁紙等を用いて電気的に絶縁されている。
そして、本実施形態では、上側加熱コイル81と下側加熱コイル82との間隔(ギャップ)と、上側加熱コイル81の加熱コイル幅と、下側加熱コイル82の加熱コイル幅とを同じ(250[mm])にしている。
また、本実施形態でも、前述した第1の実施形態で説明した種々の変形例を採ることができる。
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。前述した第4の実施形態では、電流の経路が分岐するようにした"上側加熱コイル81及び下側加熱コイル82"を直列に接続した場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、そのような"上側加熱コイル及び下側加熱コイル"を並列に接続した場合を例に挙げて説明する。このように本実施形態と前述した第4の実施形態とは、加熱コイルの接続方法が異なる。したがって、本実施形態の説明において、前述した第1〜第4の実施形態と同一の部分については、図1〜図8に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
図9に示すように、上側加熱コイル91は、銅パイプ93a〜93dと、銅パイプ93a、93cの基端側に接続されている銅ブスバー94eと、銅パイプ93b、94dの基端側に接続されている銅ブスバー94fとを有する。また、下側加熱コイル92は、銅パイプ93e〜93hと、銅パイプ93e、93gの基端側に接続されている銅ブスバー94jと、銅パイプ93f、93hの基端側に接続されている銅ブスバー94kとを有する。
尚、図9に示す銅パイプ93a〜93hの相互に隣接する領域は、絶縁紙等を用いて電気的に絶縁されている。
そして、本実施形態では、上側加熱コイル91と下側加熱コイル92との間隔(ギャップ)と、上側加熱コイル91の加熱コイル幅と、下側加熱コイル92の加熱コイル幅とを同じ(250[mm])にしている。
また、本実施形態では、いわゆるシングルターンの加熱コイルを複数の加熱コイル部分に分割する場合を例に挙げて説明したが、第2の実施形態の変形例で説明したように、いわゆるマルチターンの加熱コイルを複数の加熱コイル部分に分割してもよい。
また、本実施形態でも、前述した第1の実施形態で説明した種々の変形例を採ることができる。
18 交流電源
20 誘導加熱装置
21 上側誘導器
22 下側誘導器
23、27 コア
24、61、71、81、91 上側加熱コイル
28、62、72、82、92 下側加熱コイル
31、63、73、83、93 銅パイプ
32、64、74、84、94 銅ブスバー
Claims (4)
- 加熱対象の導体板に交番磁界を垂直に交差させて当該導体板を誘導加熱するトランスバース方式の誘導加熱装置であって、
前記導体板の板面とコイル面とが対向するように、当該導体板の上側に配置された上側の加熱コイルと、
前記上側の加熱コイルを巻き回すためのスロットが形成されており、前記上側の加熱コイルが当該スロットを通って巻き回された上側のコアと、
前記導体板の板面とコイル面とが対向するように、当該導体板の下側に配置された下側の加熱コイルと、
前記下側の加熱コイルを巻き回すためのスロットが形成されており、前記下側の加熱コイルが当該スロットを通って巻き回された下側のコアとを有し、
前記加熱コイルの前記スロット内にある部分における幅方向の長さが、前記上側の加熱コイル及び前記下側の加熱コイルの間隔以上であることを特徴とするトランスバース方式の誘導加熱装置。 - 前記加熱コイルは、第1〜第n(nは2以上の自然数)の加熱コイル部分を有し、
前記第1〜第nの加熱コイル部分の巻き始めの領域同士が相互に電気的に接続されるようにすると共に、前記第1〜第nの加熱コイル部分の巻き終わりの領域同士が相互に電気的に接続されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のトランスバース方式の誘導加熱装置。 - 前記第1〜第nの加熱コイル部分の相互に隣接する領域は、電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項2に記載のトランスバース方式の誘導加熱装置。
- 前記上側の加熱コイルと、前記下側の加熱コイルとが直列又は並列に接続されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のトランスバース方式の誘導加熱装置。
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