JP2010027234A - 燃料電池および燃料電池セルの電極体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】MEAとガス拡散層との熱圧着の際に拡散層基材の毛羽が電解質膜に突き刺さることを効果的に防止できるとともに、MEAとガス拡散層との密着強度を高めることのできる燃料電池と、この燃料電池を構成する燃料電池セルの電極体を製造する方法を提供する。
【解決手段】電解質膜1と触媒層2,2とから膜電極接合体3(MEA)が形成され、該膜電極接合体3をガス拡散層6,6が挟持して電極体10(MEGA)が形成されて燃料電池セルを成し、該燃料電池セルが積層されてなる燃料電池において、電解質膜1が触媒層2で被覆されていない周縁の露出領域とガス拡散層6の間には、電解質膜1側から順に第1の補強層71と第2の補強層72が積層した姿勢で介在し、第2の補強層72は、膜電極接合体3とガス拡散層6を熱圧着する際の温度と略同一、もしくは該温度よりも低いガラス転移温度(Tg)を有した素材から形成されている。
【選択図】図2
【解決手段】電解質膜1と触媒層2,2とから膜電極接合体3(MEA)が形成され、該膜電極接合体3をガス拡散層6,6が挟持して電極体10(MEGA)が形成されて燃料電池セルを成し、該燃料電池セルが積層されてなる燃料電池において、電解質膜1が触媒層2で被覆されていない周縁の露出領域とガス拡散層6の間には、電解質膜1側から順に第1の補強層71と第2の補強層72が積層した姿勢で介在し、第2の補強層72は、膜電極接合体3とガス拡散層6を熱圧着する際の温度と略同一、もしくは該温度よりも低いガラス転移温度(Tg)を有した素材から形成されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、電解質膜の周縁とガス拡散層の間に介在する補強層に特徴を有する燃料電池と、該燃料電池を構成する燃料電池セルの電極体を製造する方法に関するものである。
固体高分子型燃料電池の燃料電池セルは、イオン透過性の電解質膜と、該電解質膜を挟持するアノード側およびカソード側の触媒層(電極層)と、からなる膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)と、該膜電極接合体に燃料ガスもしくは酸化剤ガスを提供するとともに電気化学反応によって生じた電気を集電するためのガス拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)と、セパレータを少なくとも備えている。なお、このセパレータは、各燃料電池セルを画成するとともにガス流路層となるものであり、このガス流路層がセパレータから分離した、いわゆるフラットタイプのセパレータも存在する。燃料電池スタックは、所要電力に応じてこの燃料電池セルを所定数だけ積層することによって形成されている。
上記する燃料電池では、アノード電極に燃料ガスとして水素ガス等が提供され、カソード電極には酸化剤ガスとして酸素や空気が提供され、各電極では固有のガス流路層(またはセパレータに形成されたガス流路溝)にて面内方向にガスが流れ、次いでガス拡散層にて拡散されたガスが電極触媒層に導かれて電気化学反応がおこなわれるものである。
上記するガス拡散層の形態として、拡散層基材と集電層(MPL:Micro Porous Layer)とから構成されるものは一般に知られるところである。一般には、触媒層は電解質膜よりも狭小な平面積(小さな平面積)を有しており、電解質膜が触媒層にて被覆されていない領域であって該触媒層の周縁には、ポリマー素材の補強フィルムが配設されており、この補強フィルムが拡散層基材と電解質膜の間に介在した構造が一般的である。補強フィルムを触媒層の周縁領域で拡散層基材と電解質膜の間に介在させることにより、触媒層を有する電解質膜(MEA)とガス拡散層をたとえば100〜130℃程度の高温雰囲気下、1〜3MPa程度の圧縮力で熱圧着する(電解質膜に影響を与えない熱圧着条件)際に、繊維質の拡散層基材の表面から突出する毛羽が電解質膜に突き刺さることを抑止することができる。
なお、拡散層基材から突出する毛羽の発生原因として、たとえば、該拡散層基材に撥水処理を施すべく、フッ素系樹脂ペースト等を塗工する際に塗工圧が作用し、これがせん断力となって毛羽立ちを生じさせるものである。
熱圧着時に拡散層基材の毛羽が電解質膜に突き刺さると、この突き刺さり箇所がガスのクロスリークを助長することとなり、燃料電池のクロスリーク耐久性が低下し、発電性能の低下に直結することから、この問題を解消するために上記する補強フィルムが拡散層基材と電解質膜の間に配設される。なお、触媒層が存在する領域では、この触媒層が拡散層基材からの毛羽の緩衝領域となるため、該毛羽が電解質膜に突き刺さることが防止されている。
ところで、上記する毛羽の突き刺さり防止に加えて、MEAとガス拡散層の密着性も、燃料電池の発電性能にとって極めて重要な要素である。しかし、電解質膜を軟化させず、損傷を与えない程度の熱圧着条件(温度、圧力)にて上記する熱圧着がおこなわれていることから、MEAとガス拡散層の密着強度は必ずしも高いものとはなっていない。実際には、触媒層周縁の上記補強フィルムとガス拡散層のみが接着されており、界面において占有面積の大きな触媒層とガス拡散層との間での接着力はほとんどない。密着性(接着性)が低いと、これらの界面での接触抵抗が大きくなり、これは燃料電池の発電性能を低下させる大きな要因となる。
また、MEAとガス拡散層が熱圧着されてなる電極体(MEGA)は、射出成形にてその周縁にシールガスケットが成形されるのが一般的であるが、MEAとガス拡散層の密着性が不十分であると、この射出成形の際のハンドリング時に双方がずれたり剥がれたりしてしまい、結果として、製造効率を低下させたり、製造歩留まりを低下させることになる。
したがって、MEAとガス拡散層の密着強度を向上させることは当該技術分野における重要な開発目標となっている。
なお、電解質膜の周縁領域とガス拡散層の間に、接着層とスペーサー層を積層させた補強層を介在させ、電解質膜への毛羽の突き刺さり効果を高めた従来技術が、特許文献1に開示されている。この膜電極接合体の構造によれば、接着層とスペーサー層の2層構造を呈していることで、毛羽の突き刺さり効果を高めることはできる。しかし、この補強層とガス拡散層との間の接触面積は極めて少ないものであり、MEAとガス拡散層との密着強度の向上に寄与できるだけの補強層−ガス拡散層間の密着強度を期待することはできないことから、上記するMEAとガス拡散層の密着強度を高めるという目標を達することはできない。
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、膜電極接合体とガス拡散層との熱圧着の際に拡散層基材の毛羽が電解質膜に突き刺さることを効果的に防止できるとともに、膜電極接合体とガス拡散層との密着強度を高めることのできる燃料電池と、この燃料電池を構成する燃料電池セルの電極体を製造する方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による燃料電池は、電解質膜と、これよりも狭小な平面積で該電解質膜に当接するカソード側およびアノード側の触媒層と、から膜電極接合体(MEA)が形成され、該膜電極接合体をカソード側およびアノード側のガス拡散層が挟持して電極体(MEGA)が形成されて燃料電池セルを成し、該燃料電池セルが積層されてなる燃料電池であって、少なくとも、前記電解質膜が触媒層で被覆されていない周縁の露出領域とガス拡散層の間には、電解質膜側から順に第1の補強層と第2の補強層が積層した姿勢で介在しており、第2の補強層は、膜電極接合体とガス拡散層を熱圧着する際の温度と略同一のガラス転移温度(Tg)、もしくは該温度よりも低いガラス転移温度(Tg)を有した素材から形成されているものである。
本発明の燃料電池は、従来一層であったガス拡散層と電解質膜周縁の間に介在する補強層を2層積層構造とし、そのうちのガス拡散層側の補強層(第2の補強層)を、熱圧着する際の温度と略同一もしくはそれよりも低いガラス転移温度(Tg)を有する素材から形成したものである。
このような構成とすることにより、たとえば、触媒層をその表面に有する電解質膜と、ガス拡散層を熱圧着する際に、該熱圧着時の温度にて第2の補強層が軟化し、この軟化した第2の補強層に拡散層基材から突出する毛羽が突き刺さるとともに、第2の補強層が軟化することによって接着剤となり、膜電極接合体と拡散層基材(ガス拡散層)を強固に密着させることができる。
ここで、第1の補強層は、第2の補強層に比してそのガラス転移温度(Tg)が高く、熱圧着時の温度で軟化しないものであり、その素材としては、ポリテトラフルオロエチレン、PVDF(二フッ化ポリビニル)、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、コポリアミド、ポリアミドエラストマ、ポリイミド、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマ、シリコーン、シリコンゴム、シリコンベースのエラストマなどを挙げることができる。
また、第2の補強層は、熱圧着時の温度と略同一のガラス転移温度(Tg)、もしくは該温度よりも低いガラス転移温度(Tg)を有した素材であれば特に限定されるものではない。すなわち、熱圧着時の温度条件によって使用可能な素材は多様に変化し得る。
たとえば、従来一般の熱圧着時の温度である、100〜130℃程度を基準とした場合に、第2の補強層の素材としては、これらの温度よりも低い温度で軟化しやすく、かつ、溶け出した際に電池性能に影響のない素材を使用するのが望ましく、これらの要素を満足する素材として、ガラス転移温度(Tg)が100℃以下の非結晶プラスチックを使用するのがよい。
上記する燃料電池セルの電極体の製造法を概説すると、まず、電解質膜を基材としてその表面に、白金や白金合金等の触媒が担持された導電性担体(粒子状のカーボン担体など)と、ナフィオン(Nafion)(登録商標、デュポン社製)等の電解質と、エタノール、プロピレングリコール、イソプロパノールなどの分散溶媒(有機溶媒)と、からなる触媒インクを所定の厚みで層状に塗布して塗膜を形成し、これを乾燥炉にて温風乾燥することにより、電解質膜表面にこれよりも狭小な平面積のアノード側およびカソード側の触媒層を形成する。なお、触媒インクはガス拡散層や支持フィルム等の他の基材に塗工してもよい。
第1の補強層と第2の補強層を適宜の接着剤で接着させて積層体を形成しておき、接着剤を介して第1の補強層を触媒層の端部に当接するようにして、もしくは、触媒層の周縁にラップするようにして電解質膜との間で接着させる。ここで、接着剤としては、エポキシド、シリコーン、ポリウレタン、アクリル樹脂、イソシアネート、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂およびポリエステル樹脂などからなる有機ポリマー素材の接着剤を使用することができる。
次いで、集電層(MPL)と拡散層基材とからなるガス拡散層を、電解質膜表面に形成されたカソード側およびアノード側の触媒層および第2の補強層に熱圧着することにより、電極体(MEGA)が形成される。
ここで、拡散層基材としては、電気抵抗が低く、集電を行えるものであれば特に限定されるものではないが、たとえば、導電性無機物質を主とするものを挙げることができ、この導電性無機物質としては、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛及び膨張黒鉛等の炭素材やこれらのナノカーボン材料、ステンレススチール、モリブデン、チタン等を挙げることができる。また、拡散層基材の導電性無機物質の形態は特に限定されるものではないが、ガス透過性の点から繊維状導電性無機物質(無機導電性繊維)であって、特に炭素繊維が好ましい。無機導電性繊維を用いた拡散層基材としては、織布あるいは不織布いずれの構造のものも使用することができ、カーボンペーパーやカーボンクロスなどを挙げることができる。
また、集電層はアノード側、カソード側の触媒層から電子を集める電極の役割を果たすものであり、導電性材料である、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、金、銀、銅及びこれらの化合物または合金、導電性炭素材料などから形成できる。
熱圧着時に第2の触媒層が軟化して接着剤となり、電解質膜に密着する第1の補強層と拡散層基材とを強固に接着させることができる。加えて、第2の補強層と第1の補強層によって拡散層基材からの毛羽の電解質膜への突き刺さりも抑止されている。したがって、ガスのクロスリーク耐久性に優れ、電極体構成部材間の界面の接触抵抗が低く、したがって、発電性能に優れた燃料電池を得ることができる。
また、本発明による燃料電池の好ましい実施の形態は、前記触媒層の周縁の端部と前記第1の補強層および第2の補強層双方の端部が当接しており、前記燃料電池セルがスタッキングされた際の姿勢において、前記第2の補強層および触媒層双方のガス拡散層側の側面が面一となっているものである。
スタッキングする前の状態において、第2の補強層(より具体的には、熱圧着時に軟化し、次いで、再度硬化した第2の補強層)のガス拡散層側の側面と、触媒層のガス拡散層側の側面の高低差を調整しておき、燃料電池をスタッキングした際に、双方の該側面を面一とすることにより、第2の補強層および触媒層とガス拡散層の界面における接触抵抗をより一層小さくでき、面内均一な圧縮力を膜電極接合体に作用させることができ、より一層発電性能に優れた燃料電池を得ることができる。
以上の説明から理解できるように、本発明の燃料電池と、この燃料電池を構成する燃料電池セルの電極体の製造方法によれば、触媒層周縁の補強層を2層積層構造とし、拡散層基材側の補強層を熱圧着時に軟化させて接着剤とし、これによって拡散層基材と膜電極接合体を接着させるようにしたことにより、拡散層基材から突出する毛羽を補強層の積層体の内部に埋没させて電解質膜への突き刺さりを抑止しながら、ガス拡散層と膜電極接合体の接着強度を従来構造の燃料電池セルに比して格段に高めることができる。したがって、ガスのクロスリーク耐久性に優れ、ガスケット成形等の際のハンドリング性に優れ、界面の接触抵抗が低く、よって発電性能に優れた燃料電池を得ることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、図示例では、電解質膜に触媒層を塗工して膜電極接合体を製造し、これとガス拡散層を熱圧着する方法であるが、この方法以外にも、ガス拡散層に触媒層を形成し、これと電解質膜を熱圧着する方法であってもよいし、支持ポリマーフィルムに触媒層を形成し、これを電解質膜に熱転写する方法であってもよい。
図1は、本発明の電極体の製造方法を説明した模式図であり、図2は、この方法によって製造された電極体とシールガスケットのユニット構造を説明した縦断面図である。
まず、電解質膜1にカソード側およびアノード側の触媒層2,2を形成する方法を概説する。この方法は、不図示の容器にて、白金や白金合金等の触媒が担持された導電性担体(粒子状のカーボン担体など)と、ナフィオン(Nafion)(登録商標、デュポン社製)やフレミオン(Flemion)(登録商標、旭硝子株式会社製)等の電解質と、エタノール、プロピレングリコールなどの分散溶媒(有機溶媒)と、を混合して触媒インクを生成し、生成された触媒インクを電解質膜1上に流し込み、不図示の塗工ブレードにて触媒インクを層状に引き伸ばして略均一な塗膜を形成し、これをたとえば温風乾燥させることにより、電解質膜1表面に、該電解質膜1よりも平面積の小さなカソード側の触媒層2(その厚み:t1)を形成する。また、同様の方法により、アノード側の触媒層2を電解質膜1の他方面に形成する。なお、電解質膜1上に触媒層2を形成する方法はこの方法に限定されるものではなく、スプレー塗工や熱転写などの従来公知の形成方法が適用できる。
なお、電解質膜1は、スルホン酸基やカルボニル基を持つフッ素系イオン交換膜、置換フェニレンオキサイドやスルホン化ポリアリールエーテルケトン、スルホン化ポリアリールエーテルスルホン、スルホン化フェニレンスルファイドなどの非フッ素系のポリマーなどから形成されている。
次に、電解質膜1のカソード側およびアノード側の側面であって、形成された触媒層2の周縁の露出領域に、電解質膜1側から順に第1の補強層71と第2の補強層72の補強層積層体7を接着剤を介して接着する。
ここで、第1の補強層71は、熱圧着時の温度(100〜130℃程度の範囲)で軟化せず、触媒層2に比して剛性が高く、拡散層基材からの毛羽を貫通させない突き刺し強度を有するポリマー素材から形成されるものであり、その素材として、ポリテトラフルオロエチレン、PVDF(二フッ化ポリビニル)、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、コポリアミド、ポリアミドエラストマ、ポリイミド、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマ、シリコーン、シリコンゴム、シリコンベースのエラストマなどを使用できる。
一方、第2の補強層72は、熱圧着時の温度(100〜130℃程度の範囲)で軟化するガラス転移温度(Tg)を有する非結晶プラスチックからなるものであり、例えば、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを使用することができる。
これらを接着させて補強層積層体7を形成し(この補強層積層体7の厚み:t2は触媒層2の厚み:t1よりも薄い)、これを電解質膜1の周縁の露出領域に接着する。なお、この接着剤としては、エポキシド、シリコーン、ポリウレタン、アクリル樹脂、イソシアネート、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂およびポリエステル樹脂などからなる有機ポリマー素材の接着剤が使用される。
ここで、補強層積層体7の厚み:t2を触媒層2の厚み:t1よりも薄くする理由は、触媒層2の方が補強層積層体7に比して剛性が小さく、変形性があること、スタッキング時の圧縮力がガス拡散層6から作用した際に、変形性の高い触媒層2をまず収縮させることで、第2の補強層72のガス拡散層側の側面と、触媒層2のガス拡散層側の側面を面一とすることができ、ガス拡散層6と触媒層2および第2の補強層72の間の界面における接触抵抗を可及的に小さくできることによるものである。ちなみに、補強層積層体7の厚みが相対的に厚くなると、スタッキングの圧縮力が剛性の高い補強層積層体7の方に作用し易くなってしまい、触媒層2に所与の圧縮力が作用しない虞がある。
一方、拡散層基材5とその一方側に集電層4が形成されたガス拡散層6を用意し、たとえば、カソード側のガス拡散層6と膜電極接合体3を熱圧着し、次いで、アノード側のガス拡散層6と膜電極接合体3を熱圧着する。
ここで、拡散層基材5は、無機導電性繊維を用いた織布あるいは不織布のもの、たとえば、カーボンペーパーやカーボンクロスから形成される。また、集電層4は、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、金、銀、銅及びこれらの化合物または合金、導電性炭素材料などから形成されている。
熱圧着(ホットプレス)は、100〜130℃程度の温度雰囲気で、1〜3MPa程度の圧縮力にてガス拡散層6と膜電極接合体3を圧縮することでおこなわれる。この熱圧着時の温度により、この温度よりも軟化温度(ガラス転移温度)の低い第2の補強層72のみが軟化し(すなわち、第1の補強層71、電解質膜1は軟化しない)、これが接着剤となって膜電極接合体3とガス拡散層6を強固に接着させることとなる。
図2は、上記方法によって製造された電極体10と、その周縁に形成されたガスケット8のユニット構造を示したものである。
まず、製造された電極体10に関し、拡散層基材6から突出する毛羽Kは、補強層積層体7を構成する第1の補強層71と第2の補強層72のいずれかの内部で留まっており、これらを貫通して電解質膜1にまでは至らない。
熱圧着時に第2の補強層72が軟化し、これによってガス拡散層6と膜電極接合体3が強固に接着されてなる電極体10を、不図示の成形型に移載し、該成形型にゴム等の射出樹脂を注入する射出成形により、電極体10の周縁にシール用のガスケット8が成形される。
なお、ガスケット8には、冷却水供給用および排水用のマニホールドM、燃料ガスや酸化剤ガスを供給するためのマニホールドMと、反応後のガスを排気するためのマニホールドMが形成されており、ガスケット8に設けられた無端状のリブ81が各マニホールドMを囲繞することによって流体シールが形成されている。
さらに、図示を省略するが、図2で示す構造に対して、カソード側およびアノード側にセパレータを配することにより、燃料電池セルが形成される。このセパレータは、ガス拡散層側に直線状もしくは蛇行状のガス流路溝が形成され、他方側に冷却水用の流路溝が形成されたセパレータや、いわゆるフラットタイプモジュールのセパレータであって、3層構造でその内部に冷却水の蛇行流路を形成するための多数のディンプルを備えたセパレータなどを挙げることができる。なお、フラットタイプモジュールのセパレータを用いる場合には、このセパレータとガス拡散層の間にエキスパンドメタルなどからなるガス流路層が介層される。
実際の燃料電池は、所望する発電量に応じて上記燃料電池セルが所定段積層されて燃料電池スタックが形成される。さらに、この燃料電池スタックは、最外側にエンドプレート、テンションプレート等を備え、両端のテンションプレート間に圧縮力が加えられて燃料電池が形成される。
電気自動車等に車載される燃料電池システムは、この燃料電池と、水素ガスや空気を収容する各種タンク、これらのガスを燃料電池に提供するためのブロア、燃料電池を冷却するためのラジエータ、燃料電池で生成された電力を蓄電するバッテリ、この電力で駆動する駆動モータ等から大略構成されるものである。
図3は、補強層積層体の配設形態に関する他の実施の形態を説明した模式図である。図1,2で示す電極体では、補強層積層体7の端部が触媒層2の端部に当接しているが、図3で示す補強層積層体7は、その端部が触媒層2にラップ配置されている。
この配設形態によれば、拡散層基材5の触媒層2に近い端部から斜めに毛羽が突出し、これが電解質膜1に突き刺さるという問題を効果的に解消することができる。
[複数種の非結晶プラスチックからなる第2の補強層を有する電極体の、膜電極接合体およびガス拡散層の界面における剥離試験とその結果]
本発明者等は、6種類の非結晶プラスチックを使用して第2の補強層を形成し、それぞれの第2の補強層を具備する電極体を試作し(熱圧着時の温度は100〜130℃)、各電極体で剥離試験を実施して、各電極体の膜電極接合体とガス拡散層の界面における剥離強度を実測した。なお、この剥離試験は、オートグラフ(ロードセル:50N)を用いて膜電極接合体とガス拡散層を固定し、剥離速度:1mm/secで剥離を開始して応力−変位曲線を取得したものである。各非結晶プラスチックの種類と、それぞれのガラス転移温度(Tg)、剥離試験による平均剥離力(N)の結果を以下の表1に示す。
本発明者等は、6種類の非結晶プラスチックを使用して第2の補強層を形成し、それぞれの第2の補強層を具備する電極体を試作し(熱圧着時の温度は100〜130℃)、各電極体で剥離試験を実施して、各電極体の膜電極接合体とガス拡散層の界面における剥離強度を実測した。なお、この剥離試験は、オートグラフ(ロードセル:50N)を用いて膜電極接合体とガス拡散層を固定し、剥離速度:1mm/secで剥離を開始して応力−変位曲線を取得したものである。各非結晶プラスチックの種類と、それぞれのガラス転移温度(Tg)、剥離試験による平均剥離力(N)の結果を以下の表1に示す。
表1より、ガラス転移温度(Tg)が熱圧着時の温度(100〜130℃)以下の非結晶プラスチックからなる第2の補強層を具備する電極体では、そのガス拡散層と膜電極接合体の界面の平均剥離力が0.7(N)以上と極めて高い結果となり、ガラス転移温度(Tg)の高いポリカーボネートやPPEに比して7〜10倍もの剥離強度(接着強度)が得られることが特定された。これは、熱圧着時に第2の補強層が軟化して接着剤となり、これがガス拡散層と膜電極接合体を強固に接着したためであると結論付けることができる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…電解質膜、2…触媒層、3…膜電極接合体(MEA)、4…集電層(MPL)、5…拡散層基材、6…ガス拡散層、7…補強層積層体、71…第1の補強層、72…第2の補強層、8…ガスケット、81…リブ、10…電極体(MEGA)、M…マニホールド
Claims (4)
- 電解質膜と、これよりも狭小な平面積で該電解質膜に当接するカソード側およびアノード側の触媒層と、から膜電極接合体(MEA)が形成され、該膜電極接合体をカソード側およびアノード側のガス拡散層が挟持して電極体(MEGA)が形成されて燃料電池セルを成し、該燃料電池セルが積層されてなる燃料電池であって、
少なくとも、前記電解質膜が触媒層で被覆されていない周縁の露出領域とガス拡散層の間には、電解質膜側から順に第1の補強層と第2の補強層が積層した姿勢で介在しており、
第2の補強層は、膜電極接合体とガス拡散層を熱圧着する際の温度と略同一のガラス転移温度(Tg)、もしくは該温度よりも低いガラス転移温度(Tg)を有した素材から形成されている、燃料電池。 - 前記触媒層の周縁の端部と、前記第1の補強層および第2の補強層双方の端部が当接しており、前記燃料電池セルがスタッキングされた際の姿勢において、前記第2の補強層および触媒層双方のガス拡散層側の側面が面一となっている、請求項1に記載の燃料電池。
- 前記第2の補強層が、前記ガラス転移温度(Tg)を有した非結晶プラスチックからなる、請求項1または2に記載の燃料電池。
- 電解質膜と、これよりも狭小な平面積で該電解質膜に当接するカソード側およびアノード側の触媒層と、から膜電極接合体(MEA)が形成され、該膜電極接合体をカソード側およびアノード側のガス拡散層が挟持して電極体(MEGA)が形成されてなる、燃料電池セルの電極体の製造方法であって、
電解質膜の表面にこれよりも狭小な触媒層を形成して膜電極接合体を形成する第1の工程と、
前記電解質膜の表面のうち、前記触媒層にて被覆されていない周縁の露出領域に、電解質膜側から順に第1の補強層と第2の補強層とからなる補強層の積層体を接着し、次いで、膜電極接合体とガス拡散層を当接させた姿勢で熱圧着することにより、該熱圧着時の温度にて第2の補強層を軟化させて膜電極接合体とガス拡散層を接着する第2の工程と、からなる燃料電池セルの電極体の製造方法。
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