JP2010024914A - エンジンの潤滑構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】クランク軸方向の両側に分割されたクランクケース1内のトランスミッション室8をオイル貯留部8とし、該オイル貯留部8のオイルを各潤滑箇所に圧送する第1のオイルポンプと、クランク室等に戻るオイルをオイル貯留部8に戻す第2のオイルポンプと、各オイルポンプのオイル吸込側に接続された第1、第2オイルフィルタ44、45と、を備えている。第1のオイルフィルタ44は、左右の一方のクランクケース部材1aから挿入され、第2のオイルフィルタ45は、他方のクランクケース部材1bから挿入され、それぞれオイルフィルタキャップ47,48により閉塞されている。
【選択図】図11
Description
クランク軸方向に分割されたクランクケースを有するセミドライサンプ式エンジンの潤滑構造において、二つのオイルポンプの各オイル吸込側に接続される各一次オイルフィルタを、クランクケース或いは他の部材を分解することなく、簡単に交換できるエンジンの潤滑構造を提供することである。また、両一次オイルフィルタをコンパクトに配置し、エンジン自体をコンパクト化し、さらに共通化することも目的の一つである。
図1〜図14は、本発明にかかる潤滑構造を備えた自動二輪車用のセミドライサンプ式V型二気筒エンジンであり、これら図面に基づいて本発明の一実施の形態を説明する。なお、説明の都合上、車輌の進行方向を、図1に矢印で示すようにエンジンの前方と規定し、乗車したライダーから見た左右(クランク軸方向)を、エンジンの左右と規定して、以下説明する。
図1はエンジンの左側面略図、図2は図1のII-II断面拡大図、図3は図1のIII-III断面拡大図、図4は図1のIV-IV断面拡大図、図5は図1のV-V断面拡大図である。図1において、クランクケース1の前半部の上面には、前傾姿勢の前気筒10と後傾姿勢の後気筒20とがV字状に配置されており、各気筒10,20は、下から順に配置されたシリンダ11,21、シリンダヘッド12、22及びシリンダヘッドヘッドカバー(ロッカーアームカバー)13、23により構成されると共にクランクケース1に締結されており、各シリンダヘッドカバー13、23は、さらに意匠カバー14、24により覆われている。
図6は右クランクケース部材1bの左側面図(内部の側面図)、図7は右クランクケース部材1bの内部を左斜め後方から見た斜視図、図8は左クランクケース部材1aの内部を右斜め後方から見た斜視図、図9は右クランクケース部材1bの外部を右斜め前方から見た斜視図、図10は左クランクケース部材1aの外部を左斜め後方から見た斜視図である。
図6において、クランク室2とトランスミッション室3との前後方向間には、第1の隔壁91と第2の隔壁92とがクランクケース1と一体に形成されており、これら隔壁91,92により、クランク室2とトランスミッション室3とを前後に隔離すると共に、トランスミッション室3の前端部に、クランク室2及びトランスミッション室3から隔離された気液分離室9を形成している。第1の隔壁91は、後気筒用のボアの後端から後バランサ軸6bの前上端部近傍に向けて下方に延び、後バランサ軸6bの後側を円弧状に迂回して後バランサ軸6bの下端部(ポンプハウジング部80の前上方位置)に至り、さらに前下方に延び、下方に折れ曲がると共にL字状に後方に折れ曲がり、第2のオイルフィルタ保持部87の前上端部につながっている。
右クランクケース部材1bの壁内には、ポンプハウジング部80の後端部に形成されたフィードポンプ41のポンプ吸込口41cから下方に延びて第1のオイルフィルタ保持部86の右端出口部に至るフィードポンプ吸込側のオイル通路101と、ポンプハウジング部80の前端部に形成されたフィードポンプ41の吐出口41dから下方に延びるフィードポンプ吐出側のオイル通路102と、が形成されており、フィードポンプ吐出側の油路102の途中には、オイル貯留部8の延長部8a内に開口するリリーフバルブ取付部104が形成され、該リリーフバルブ取付部104にリリーフバルブ99が取り付けられている。
図6において、クランク室2内の下端部は、前側の仕切り壁95と後側の仕切り壁96とによりクランク軸収納部から仕切られることにより、オイル回収部5として形成されており、該オイル回収部5は、クランクケース1の前端壁から第2のオイルフィルタ保持部87の前端部に亘っている。前側の仕切り壁95は、前バランサ軸6aの下端部近傍位置から後方に延び、クランク軸4の前端に略対応する前後方向位置付近で途切れている。後側の仕切り壁96は、オイル貯留部8の延長部8aの前上端位置から、クランク軸4のクランクアーム部分の回転軌跡に略沿うように湾曲状に前方に延び、前側の仕切り壁95の後端に対し、一定の隙間を置いた後下方位置まで至っている。すなわち、前仕切り壁95の後端と、後仕切り壁96の前端との間で、前下方に向いて開口するオイル回収口97を形成している。言い換えると、該オイル回収口97は、クランク軸4の矢印R方向への回転により後側の仕切り壁96上を前方に流れるオイルの流れに対向するように開口している。
図4において、右クランクケース部材1bに一体に形成されたオイルポンプ用の共通ポンプハウジング部80内には、左から順にスカベンジングポンプ42用の内外ロータ42a、42b、共通のポンプボディ81、フィードポンプ41用の内外ロータ41a、41bが内装されており、ポンプハウジング部80の右端は、ポンプカバー84により閉塞されている。すなわち、共通のポンプボディ81を挟んで、左側に容量の大きなスカベンジングポンプ42が配置され、右側にスカベンジングポンプ42よりも容量の小さなフィードポンプ41が配置されている。いずれのオイルポンプ41,42も、前記内外一対のロータ41a,41b、42a、42bを噛み合い状態で回転可能に収納してなるトロコイド型ポンプであり、各内側ロータ41a,42aが前述の共通のポンプ軸36に連結されている。ポンプ軸36の右端部はポンプカバー84から右方のクラッチ室59内に突出しており、右方突出部分に固着されたポンプ用入力ギヤ82は、後バランサ軸6bに固着されたギヤ83に噛み合い、後バランサ軸6bから動力が伝達され、後バランサ軸6bと逆方向に回転するようになっている。
図11は、図1のXI-XI断面拡大図であり、両一次オイルフィルタ44,45の構造及びその取付構造を詳細に示している。略円筒状に形成されている両オイルフィルタ保持部86,87は、右クランクケース部材1bの略右端部から左クランクケース部材1aの略左端部に亘って形成されている。後側に位置するフィードポンプ用の第1のオイルフィルタ保持部86は、左クランクケース部材1aの左端面にオイルフィルタ取付口123が開口すると共に該オイルフィルタ取付口123の近傍の内周面にめねじ部125が形成され、右クランクケース部材1bの右端部にオイルフィルタ出口部127が形成され、両クランクケース部材1a、1bの合わせ面を含む左右幅の中央部分に、後方のオイル貯留部8に向いて開口するスリット状のオイル吸込口86aが形成されている。第1のオイルフィルタ保持部86の右端部に形成されたオイルフィルタ出口部127は、右クランクケース部材1bに形成された前記フィードポンプ吸込側のオイル通路101の下端部に連通している。
図9において、二次オイルフィルタ46のオイルろ過後のオイル出口は、右クランクケース部材1bの壁内に形成されたメインオイル通路(メインギャラリ)141に連通し、該メインオイル通路141は後方に延び、後端部が、上方に延びる縦向きのメインオイル通路142に連通している。該縦向きのメインオイル通路142は右クランクケース部材1bの軸受孔64bに至っている。
図2において、クランク軸4の左右のジャーナル部4a、4bを支持する左右のクランクケース部材1a、1bの軸受孔64a、64bの内周面には、それぞれ環状オイル通路57a、57bが形成されており、各環状オイル通路57a、57bは、前述の各クランクケース部材1a、1b内に形成された縦向きのオイル通路142,148(図9及び図10)にそれぞれ連通している。
図3において、変速用入力軸31と変速用出力軸32内にはそれぞれ軸方向に延びるオイル通路171,172が形成されており、各オイル通路171,172は、それぞれ径方向に延びる分岐通路を介して、変速ギヤ群G1,G2の各ギヤの嵌合部分に連通している。変速用入力軸31のオイル通路171は、左端部が左クランクケース部材1aのオイル通路174に連通し、該オイル通路174は右方にL字状に折れ曲がり、両クランクケース部材1a、1bの合わせ面を介して右クランクケース部材1bのオイル通路175に連通している。該オイル通路175の右端部は、前記変速用入力軸用のオイル入口部146に至り、前記オイル管145からオイルが供給されるようになっている。変速用出力軸32用のオイル通路172は、右端部が、右クランクケース部材1bのオイル通路176を介して、前記変速用出力軸用のオイル入口部147に至り、前記オイル管145からオイルが供給されるようになっている。
(前後の気筒10,20の潤滑用オイルの戻り経路)
(1)図14は、エンジン内のオイル循環を簡単にまとめたブロック図であり、太い実線で示す矢印は、トランスミッション室3のオイル貯留部8からフィードポンプ41を経て各潤滑箇所に至るオイル供給経路であり、細い実線で示す矢印は、クランク室2のオイル回収部5からスカベンジングポンプ42を経てオイル貯留部8に至るオイル回収経路であり、破線で示す矢印は、各潤滑箇所からオイル回収部5又はオイル貯留部8に至るオイル戻り経路である。
図6に示すフィードポンプ41のオイル吸込側の第1の一次オイルフィルタ44を取り付ける場合には、図11において、左クランクケース1aの左側面に形成されたオイルフィルタ取付口123から、コイルばね105及び環状ばね受け109と共に第1のオイルフィルタ保持部86内に挿入し、オイルフィルタキャップ47を、左側から第1のオイルフィルタ保持部86に嵌合し、めねじ部125に螺着する。これにより、オイルフィルタキャップ47の右端でコイルばね105を圧縮し、一次オイルフィルタ44の右端開口部をシールすると共に、一次オイルフィルタ44を固定する。また、オイルフィルタキャップ47とオイルフィルタ取付口123の周囲のキャップ取付座との間は、0リング73によりシールされる。
図11において、エンジン運転中、第1の一次オイルフィルタ44は、後向きに開口するスリット状のオイル吸込口86aから、オイル貯留部8内のオイルを吸い込み、外周円筒面を内方に通過させることによりオイルを濾過する。濾過後のオイルは、右端の開口部から右クランクケース部材1b内のオイルフィルタ出口部127を経て、図2のフィードポンプ41に吸い込まれる。
(1)、図11において、両一次オイルフィルタ44,45を、クランクケース1の左右のオイルフィルタ取付口123,124からそれぞれ装着するようにしているので、左右のクランクケース部材1a1bを分解することなく、両一次オイルフィルタ44,45を簡単にクランクケース1内に取り付けることができる。
(1)前記実施の形態では、クランクケースはクランク軸方向に二分割された構造となっているが、3つ以上に分割されるクランクケースとすることも可能である。また、オイルポンプを3個以上備えたエンジンにも適用可能である。
1a 左クランクケース部材
1b 右クランクケース部材
2 クランク室
3 トランスミッション室
4 クランク軸
5 オイル回収部
8 オイル貯留部
9 気液分離室
36 共通のポンプ軸
41 フィードポンプ(第1のオイルポンプ)
42 スカベンジングポンプ(第2のオイルポンプ)
44 第1の一次オイルフィルタ
45 第2の一次オイルフィルタ
47 オイルフィルタキャップ(第1の一次オイルフィルタ用)
48 オイルフィルタキャップ(第2の一次オイルフィルタ用)
86 第1のオイルフィルタ保持部(第1の一次オイルフィルタ用)
86a オイル吸込口
87 第2のオイルフィルタ保持部(第2の一次オイルフィルタ用)
87a オイル吸込口
123 第1のオイルフィルタ保持部のオイルフィルタ取付口
124 第2のオイルフィルタ保持部のオイルフィルタ取付口
Claims (6)
- クランク軸方向に分割されたクランクケース内に形成されるトランスミッション室をオイル貯留部とし、該オイル貯留部のオイルを各潤滑個所に圧送する第1のオイルポンプと、クランク室に戻るオイルを前記トランスミッション室に戻す第2のオイルポンプと、前記第1のオイルポンプの吸込側に接続される第1のオイルフィルタと、前記第2のオイルポンプの吸込側に接続される第2のオイルフィルタと、を備えたエンジンの潤滑構造において、
前記クランクケースを構成するクランク軸方向両側のクランクケース部材には、それぞれオイルフィルタ取付口が形成され、
前記第1のオイルフィルタは、一方の前記クランクケース部材の前記オイルフィルタ取付口から前記クランクケースに挿入され、
前記第2のオイルフィルタは、他方の前記クランクケース部材の前記オイルフィルタ取付口から前記クランクケースに挿入され、
前記各オイルフィルタ取付口はそれぞれオイルフィルタキャップにより閉塞されていることを特徴とするエンジンの潤滑構造。 - 請求項1記載のエンジンの潤滑構造において、
前記第1のオイルフィルタと前記第2のオイルフィルタは、略同一形状に形成されているエンジンの潤滑構造。 - 請求項1又は2に記載のエンジンの潤滑構造において、
前記両オイルフィルタを略円筒状に形成しているエンジンの潤滑構造。 - 請求項3記載のエンジンの潤滑構造において、
前記クランクケース内には、前記各オイルフィルタ取付口にそれぞれ連通する略円筒状の第1及び第2のオイルフィルタ保持部が前記クランクケースと一体に形成され、
前記第1のオイルフィルタを保持する前記第1のオイルフィルタ保持部には、前記オイル貯留部の下端部に開口する吸込口が形成され、
前記第2のオイルフィルタを保持する前記第2のオイルフィルタ保持部には、前記クランク室の下端部に開口する吸込口が形成されているエンジンの潤滑構造。 - 請求項4記載のエンジンの潤滑構造において、
前記第1のオイルフィルタ保持部と前記第2のオイルフィルタ保持部とは、それらの長手方向がクランク軸と略平行になるように形成されると共に、前記第1のオイルフィルタ保持部が前記第2のオイルフィルタ保持部よりもオイル貯留部側に位置するように配列されているエンジンの潤滑構造。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載のエンジンの潤滑構造において、
前記第1のオイルポンプと第2のオイルポンプとは、前記クランク軸と略平行な共通のポンプ軸に、クランク軸方向に取り付けられ、両オイルポンプの略下方位置に、前記第1及び第2のオイルフィルタが配置されているエンジンの潤滑構造。
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