JP2010024583A - カツラ - Google Patents

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Abstract

【課題】前髪の生えぎわに違和感がなく、カツラの装着がわからないように改良を施したカツラを提供する。
【解決手段】着用者の頭部に被冠される下向き皿状のネットシート本体15から成るベース14に疑似毛からなる頭髪を植毛し、着用者の少なくとも眉間の上方部位に位置する生えぎわ部に位置して疑似毛からなる前髪を植毛したカツラにおいて、前記生えぎわ部に対応するベース14のフロント部に前記前髪を植設する生えぎわシート22を連設している。生えぎわシート22は、前記フロント部に連設された基部22aから生えぎわ部に臨む前縁22bの間に多数の網目24を構成するネット片23により形成されており、隣接する複数の網目24を閉塞する透明又は半透明の膜から成るシート状部25を該ネット片23に対して部分的に形成し、該シート状部25を介して粘着手段26を形成するように構成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、カツラに関するものであり、特に、前髪の生えぎわに違和感がなく、カツラの装着がわからないように改良を施したものに関する。
従来、種々のカツラが提供されており、本出願人においても提案したところであるが、近年は、着用者の頭部に残存する生存中の頭髪(地毛)と、カツラに植毛された頭髪(疑似毛、但し天然毛又は人工毛を問わない)とを混然一体化させるために、オールバック等のバックスタイルとしたカツラが好評を博している。
このようなバックスタイルのカツラの着用者は、通常、額の眉間の上方部分から頭頂部に向けて高く禿げ上がっているが、その両側には地毛が残存しており、地毛の生えぎわが概ねM形を描いている。
ところで、カツラの疑似毛は、着用者の残存する地毛との境界部分では、疑似毛と地毛が混然一体化するので、外部から見てもカツラの着用を識別できない。しかしながら、前述のように禿げ上がった眉間の上方部位においては、地毛が存在しないため、カツラの疑似毛により構成された前髪が独立状態で視認され、そのため、カツラベースのうち、前髪を植毛した部分をどのようにして目立たないようにするかが大きな課題となる。
そこで、本出願人は、カツラベースの生えぎわ部に位置して多数の網目を有するネット片から成る生えぎわシートを連設し、該生えぎわシートに前髪を植設したカツラを提案し、好評を博している。
特開2007−23419公報 特開2007−31913公報
本出願人が先に提案した特許文献1及び特許文献2(以下「先行技術」と総称する。)のカツラは、図10(A)に示すように、着用者の頭部1に装着されるネットシート本体2から成るベース3のフロント部に、着用者の生えぎわ部4に臨む生えぎわシート5を連設し、該生えぎわシート5をネット片6により構成している。ベース3には疑似毛から成る頭髪1aが植設され、ネット片6には疑似毛から成る前髪1bが植設される。
生えぎわシート5を構成するネット片6は、柔軟で伸縮自在な多数の網目を形成しており、着用時に生えぎわ部4に好適にフィットして密着し、前髪1bを透かして見たとき、あたかもネット片6が存在しないかのような錯視効果を奏する。
しかしながら、着用者がカツラを着用する際には、ベース3の両側部を強く下方に引っ張ることにより頭部にフィットさせると共に、頭部に残存した地毛に対して該両側部をピンや粘着テープ等で固着する関係上、生えぎわシート5にも両端が引っ張られる方向に張力を受ける。そこで、生えぎわシート5を構成する柔軟なネット片6が伸長して破断し、あるいは前端がめくれ上がるという問題があるため、先行技術は、生えぎわシート5の伸長を防止するように構成している。
ところで、本発明者がその後に知見したところによると、生えぎわシート5をネット片6により構成する場合、先行技術のように伸長を防止すると否とに関わらず、ネット片6の柔軟な網目を着用者の生えぎわ部4にフィットさせると共に、該ネット片6を粘着手段により生えぎわ部4に粘着させることが好ましい。このような粘着手段を設けていない場合は、カツラの着用当初にネット片6が生えぎわ部4に好適に密着していても、着用者が無意識に前髪1bを掻いたりすると、ネット片6が浮き上がるおそれがあり、しかも、着用者がネット片6の浮き上がりに気づかない事態を招来するおそれがある。
(第1比較例)
そこで、図10(A)に示すように、生えぎわシート5を着用者の生えぎわ部4に対して両面接着テープ7から成る粘着手段8により粘着させれば上記問題を解決できるが、生えぎわシート5は、多数の網目を構成するネット片6により形成されているので、両面接着テープ7が粘着し難く、容易に剥離してしまう。
(第2比較例)
このため、図10(B)に示すように、ネット片6の一部分をウレタン樹脂等の透明又は半透明の樹脂で被覆することによりシート状部9を形成し、該シート状部9を介して、生えぎわシート5を着用者の生えぎわ部4に対し、両面接着テープ7から成る粘着手段8により粘着させれば、確実な粘着が可能になる。しかしながら、ウレタン樹脂等の被膜は、径年変化等により黄ばみを生じる等、透明性を劣化するので、生えぎわシート5の前縁を正面から見たとき、その存在が視認されるおそれがある。
本発明は、上記課題を解決したカツラを提供するものであり、その手段として構成したところは、着用者の頭部に被冠される下向き皿状のネットシート本体から成るベースに疑似毛からなる頭髪を植毛し、着用者の少なくとも眉間の上方部位に位置する生えぎわ部に位置して疑似毛からなる前髪を植毛したカツラにおいて、前記生えぎわ部に対応するベースのフロント部に前記前髪を植設する生えぎわシートを連設し、該生えぎわシートは、前記フロント部に連設された基部と生えぎわ部に臨む前縁の間に多数の網目を構成するネット片により形成され、前記ネット片は、隣接する複数の網目を閉塞する透明又は半透明の膜から成るシート状部を該ネット片に対して部分的に形成し、該シート状部を介して粘着手段を形成するように構成されて成る点にある。
この際、前記シート状部は、ネット片の基部に近傍する幅広部から前縁に向けて次第に幅狭となる輪郭を有するように形成され、前縁に臨む先端に尖鋭部を形成している。
前記粘着手段は、両面接着テープにより構成することができる。この場合、前記シート状部の下面により両面接着テープを貼着自在とする貼着面を形成し、該貼着面に貼着した両面接着テープを粘着手段として生えぎわシートを着用者の生えぎわ部に粘着する。
或いは、両面接着テープを使用せず、前記シート状部それ自体により粘着手段を構成することができる。この場合、シート状部を粘着性素材により形成し、該シート状部の下面の粘着面を粘着手段として生えぎわシートを着用者の生えぎわ部に粘着する。
生えぎわシートを構成するネット片を着用者の生えぎわ部に好適にフィットさせると共に、ネット片及びシート状部を視認困難とする錯視効果を損なわないようにするためには、ネット片の網目を構成する線条の直径Dに対して、シート状部の網目閉塞部の肉厚Tを、D≧Tとなるように形成することが好ましい。
本発明によれば、カツラ着用状態において、生えぎわシート22がネット片23により構成されているので、着用者の生えぎわ部13に好適にフィットして密着する。この際、生えぎわシート22は、外部から前髪12bの間を透視して視認可能であるが、ネット片23が密着状態で頭部の頭皮と一体化した外観を呈しているので、識別不能であり、あたかも生えぎわシート22が存在しておらず、生えぎわシート22から起立する前髪12bの毛根近傍部が本当の地毛の生えぎわを表しているような錯視効果がある。そして、ネット片23は、着用者の頭皮に適合するだけでなく、通気性に優れるので、汗をかいても浮き上がるようなことはない。しかも、網目を大きく且つ線条を細く形成すれば、更に錯視効果に優れたものとなる。
特に、本発明によれば、生えぎわシート22を構成するネット片23は、隣接する複数の網目24を閉塞する透明又は半透明の膜から成るシート状部25を部分的に形成し、該シート状部25を介して粘着手段26を形成するように構成されているので、平面的に広がりのあるシート状部25に基づいて粘着手段26を設けることによりネット片23を生えぎわ部13に好適に粘着させることができる。このため、外力によりネット片23が生えぎわ部13から浮き上がることはなく、所期の錯視効果を保証する。
ところで、着用時に、カツラは、ネットシート本体15が伸縮等を介して着用者の頭部に適合され、保形シート部16が頭部に固着される。殊に、ネットシート本体15の両側部15b、15bは、着用者の残存する地毛に混然一体化せしめるため下方に強く引っ張られた状態で固定され、ベース14の周縁に周方向の張力を生じるので、生えぎわシート22にも両端が引っ張られる方向P、Pの張力が作用する。この点に関して、本発明によれば、所定個所にシート状部25を設けることにより、ネット片23の伸長が妨げられ、網目24の破断が防止される。
この点に関して、請求項2に記載の本発明によれば、シート状部25は、ネット片23の基部22aに近傍する幅広部25aから前縁22bに向けて次第に幅狭となる輪郭を有するように形成されているので、ネット片23は、前記幅広部25aにより基部22aが保形され、該基部22aから前縁22bに向けて次第に柔軟性を増すものとなる。従って、生えぎわシート22に前述のような張力P、Pが作用する場合でも、次第に柔軟性を増した前縁22bの近傍部において張力を吸収し、該前縁22bが生えぎわ部13からめくれ上がることを防止できる。
しかも、シート状部25は、前縁22bに向けて次第に幅狭状となるように形成された先端に尖鋭部25bを形成している。そこで、シート状部25が径年変化等(所謂焼け等)により透明性を劣化した場合でも、シート状部25を前縁22bの正面から見たとき、尖鋭部25bがほとんど点状に見えるだけであるから、該シート状部25の先端が視認困難とされ、所期の錯視効果を担保する。
そして、請求項3に記載の本発明によれば、シート状部25は、下面に両面接着テープ26aを貼着自在とする貼着面27を構成し、該貼着面27に貼着した両面接着テープ26aにより粘着手段26を形成する構成であるから、上述の第1比較例のような粘着不良による剥離の問題はなく、ネット片23を生えぎわ部13に良好に粘着させることができる。この際、ネット片23に複数のシート状部25を隣接状態で形成しておけば、複数のシート状部25、25に跨がって両面接着テープ26aを粘着させることが可能となる。
また、請求項4に記載の本発明によれば、シート状部25を粘着性素材により形成し、下面の粘着部26bにより粘着手段26を構成しているので、前述のような両面接着テープを使用しなくても、ネット片23を生えぎわ部13に良好に粘着できるものとなる。
更に、請求項5に記載の本発明によれば、シート状部25は、網目閉塞部25cの肉厚Tを、ネット片23の網目24を構成する線条24aの直径Dに対して、D≧Tとなるように形成されているので、シート状部25の全体にわたる肉厚が可及的薄く形成される。従って、シート状部25を形成することによりネット片23の薄さと柔軟性を損なうことはなく、生えぎわ部13に対するフィット性と密着性を担保する。しかも、このように肉厚を極薄とすることにより、シート状部25の透明性が低下しないので、前縁22bを透かして見たときの該シート状部25の視認困難性も良好である。
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
図1は、本発明に係るカツラの概略全体図を示し、カツラは、着用者の頭部に被冠される下向き皿状のネットシート本体15からなるベース14に疑似毛からなる頭髪12aを植毛し、着用者の少なくとも眉間の上方部位に位置する生えぎわ部13に植毛された疑似毛からなる前髪12bを有し、頭髪12a及び前髪12bを後向きに癖付けしたバックスタイルのカツラを構成しており、その植毛密度を矢印Bで示すように、前髪12bから頂部の頭髪12aに向けて、次第に疎から密となるように植設されるのが好ましい。即ち、植毛密度(単位面積あたりの植毛本数)は、頭髪12aの植毛密度よりも前髪12bの植毛密度が疎とされ、これにより自然な生えぎわ状態を形成し、しかも、頭髪12aの植毛密度が前部(前髪の近傍部)から後部(後頭部)に向けて次第に密とされている。
この点に関し、本発明において「疑似毛」とは、着用者の頭部に残存する生存中の地毛に対する意味であり、天然毛又は人工毛を問わないことを諒解されたい。また、「生えぎわ部」とは、カツラの装着を必要としない通常の人体の頭部で地毛としての前髪が生えている部分のことであり、カツラを必要とする着用者の額における地毛の生えぎわが概ねM形を描くように眉間の上方で禿げ上がった部分を意味している。従って、その幅寸法Wは、少なくとも眉間の上方部位を含むが、禿げ上がった部分が幅広いときは、その幅広の部分を包含する意味であることを諒解されたい。更に、図1は、オールバックスタイルのカツラを示しているが、「バックスタイル」とは、少なくとも前髪12bの生えぎわを外部から視認できるように、前髪12bを前下りでなく頭部の上部に向けて後向きに癖付けしたヘアースタイルを意味し、必ずしもオールバックに限定されないことを理解されたい。
図2及び図3は、カツラの内側(着用者の頭部に面する裏側)を示しており、ベース14を構成するネットシート本体15は、着用者の頭部の生えぎわ部13に臨む前部15aから、着用者の地毛が残存する頭部両側に臨む両側部15b、15bと、着用者の地毛が残存する後頭部に臨む後部15cを含んで底面視ほぼ楕円状で、着用者の頭部に沿うような球面状に形成されており、少なくとも、伸縮性と通気性を有している。この伸縮性は、顕著なものである必要はなく、僅かな伸縮性でも足りるが、要するに着用者の頭部にフィットできるものであれば良い。図1のように、ネットシート本体15には、外側に起立するように多数の頭髪12aが植設される。
ネットシート本体15の内側には、球面のほぼ中央部を残して、前部15a、両側部15b、15b、後部15cに沿う周縁部に固着された非伸縮性の保形シート部16が設けられている。この保形シート部16は、ネットシート本体15の内側面にウレタン樹脂又はシリコン樹脂等の合成樹脂液を塗布した後、硬化させることにより、適度の弾性を有するフィルム状又はシート状に形成されるが、予めネット状又は非ネット状の保形シートを裁断したものをネットシート本体15の内側面に接着、溶着、縫合等により固着することにより形成しても良く、要するに、ネットシート本体15を球面状に保形すると共に、該保形シート部16の部分でネットシート本体15の伸縮性を阻害して非伸縮状態に保持するものであれば良い。尚、ベース14の球面状の頂部に位置するネットシート本体15の内側にも保形シート部16と同様の素材で同様の方法により形成されたシート片17が形成され、カツラを着用した際にベース14を頭部に固定するための接着テープ等の固定手段を設けることができるように構成されている。
ネットシート本体15の前部15aに位置して設けられた前記保形シート部16のフロント部16aには、生えぎわ部13に位置して該フロント部16aを切欠した凹形部18が形成され、該凹形部18の縁により、生えぎわ部13に臨む前縁部18aと、該前縁部18aの両側に位置する側縁部18b、18bとを構成している。一対の側縁部18b、18bは、後述する生えぎわシートに対してベース14及びネットシート本体15の張力を伝達させないように阻止する保護手段19、19を構成する。図例の場合、凹形部18の両側に隣接して更に保形シート部16のフロント部16aを切欠した補助凹形部20、20が形成され、該補助凹形部20は、透明の補助フィルム20aにより被われ、該補助フィルム20aの外側表面に起立するように補助前髪(図示省略)を植毛している。この補助フィルム20aは、補助凹形部20の全体にわたりシリコン樹脂等の合成樹脂液を塗布した後、硬化させることにより、適度の弾性を有するフィルム状又はシート状に形成されるが、予めシートを裁断したものを接着することにより形成しても良い。これにより、凹形部18と補助凹形部20との間に位置して保形シート部16から延設された舌片21、21が形成され、該舌片により保護手段19、19を構成している。尚、図2において、ネットシート本体15の周縁部は、保形シート部16に隠れて見えないが、保形シート部16の外側にはネットシート本体15が重ね合わせられていることを理解されたい。
そこで、前記凹形部18を被うようにネット片23から成る生えぎわシート22が配置され、該生えぎわシート22を凹形部18の前縁部18aと側縁部18b、18bにオーバラップした状態で固着し、該生えぎわシート22の外側表面に起立するように前髪12bを植毛している。
図3及び図4に示すように、生えぎわシート22を構成するネット片23は、凹形部18を被うようにベース14のフロント部16aに連設される基部22aから生えぎわ部13に臨む前縁22bの間に多数の網目24を構成し、前縁22bをベース14のほぼ楕円を描く周縁に一致し又は該周縁よりも僅かに膨出する膨出状円弧縁となるように形成されている。
前記ネット片23は、網目24を介して経緯糸を平織状に織成したりニット状に編成したものや、合成樹脂により網目24を形成したフィラメント状の糸条を一体成形したものを採用することができるが、それ自体は、縦横に引っ張ると、個々の網目24を変形するので、その意味で伸縮性を有している。この際、ネット片23の網目24は、ベース14を構成するネットシート本体15の網目よりも大きく形成されていることが好ましく、該網目24を形成するネット片23の線条は、ネットシート本体15を構成する線条よりも細く形成されていることが好ましい。これにより生えぎわシート22は、生えぎわ部13に好適にフィットして密着する柔軟性に優れたものとなる。しかも、細い線条で大きな網目24を形成しているので、前髪12bを透かしてネットシート本体15が視認される場合でも、肉眼により視認困難であり、あたかもネットシート本体15が存在しないかのような錯視効果を奏する。
従って、図示実施形態の場合、生えぎわシート22は、ネットシート本体15とは別体のネット片23により構成されているが、本発明において、生えぎわシート22を構成するネット片23は、ネットシート本体15を生えぎわ部13まで延設することにより形成しても良い。この場合、生えぎわシート22とネットシート本体15の全体を構成するネットシートに対して、図2に示すような上述の保形シート部16が設けられ、該保形シート部16により保形されたベース14と、該保形シート部16により保形されない柔軟な生えぎわシート22が形成される。
そこで、生えぎわシート22を構成するネット片23は、図4に示すように、隣接する複数の網目24を閉塞する透明又は半透明の膜から成るシート状部25を設けている。シート状部25は、複数の網目24にわたりシリコン樹脂等の合成樹脂液を塗布した後、硬化させることにより、柔軟な可撓性を有するフィルム状のシートを構成し、このようなフィルム状のシートがネット片23に部分的に形成される。換言すれば、シート状部25が形成されていない部分では、ネット片23の網目24がそのまま露呈されている。この際、シート状部25は、ネット片23の基部22aに近傍する幅広部25aから前縁22bに向けて次第に幅狭となる輪郭を有するように形成され、前縁22bに臨む先端に尖鋭部25bを形成している。図例の場合、ほぼ二等辺三角形を描く輪郭を表すように形成されているが、これに限定されるものではない。
前記シート状部25は、図示のように、ネット片23の延長方向(横方向)に隣接して複数形成するのが好ましく、このように構成することにより、細い線条で大きな網目24を形成するネット片23は、前記幅広部25aにより基部22aが保形され、該基部22aから前縁22bに向けて次第に柔軟性を増すものとなる。従って、カツラの着用時にベース14の両側部15b、15bが下向きに引っ張られ、ピンや接着テープにより頭部に残存する地毛に固着された状態で、ネット片23の両端には図3の矢印Pで示す方向の張力が作用するが、該ネット片23の伸長が妨げられ、網目24の破断を防止する。しかも、前縁22bに向けて柔軟性を増しているので、該前縁22bの近傍部では矢印P方向の張力を吸収し、該前縁22bが生えぎわ部13からめくれ上がることを防止する。
ネット片23の複数の網目24にわたってシリコン樹脂等の合成樹脂液を塗布することにより形成されたシート状部25は、図5(A)に示すように、各網目24を閉塞するフィルム状の網目閉塞部25cを構成する。この際、合成樹脂液の塗布量は、硬化後に形成される網目閉塞部25cの肉厚Tがネット片23の網目24を構成する線条24aの直径Dに対して、D≧Tとなるように設定されている。図5(B)に示す実施例では、シート状部25が線条24aを被覆しないように形成され、従って、網目24ごとに独立した網目閉塞部25cが連設された状態でシート状部25を構成する。これに対して、図5(C)に示す実施例では、シート状部25が線条24aを被覆するように形成され、従って、線条24aの表面が薄い被膜25dにより被覆されるが、網目24の内部に位置する網目閉塞部25cの肉厚はD≧Tとなるように形成されている。
上記のようにD≧Tとするため、シート状部25は、全体にわたる肉厚が可及的薄くなるように形成される。これにより、ネット片23の薄さと柔軟性が損なわれないので、生えぎわ部13に対するフィット性と密着性を低下させることはない。しかも、このように肉厚を極薄とすることにより、シート状部25の透明性が低下しないので、前縁22bを透かして見たときの該シート状部25の視認困難性が良好となる。
ところで、シート状部25は、径年変化等(所謂焼け等)により黄ばみを生じる等、その透明性を劣化する。従って、該シート状部25の錯視効果が低下するおそれがある。この点に関して、図6に示すように、ネット片23には前髪12bが植毛されているので、前髪12bを透かして見る限り、透明性を劣化した状態でもシート状部25を視認することは比較的困難である。これに対して、図示矢印Eで示すように、ネット片23の前縁22bを正面から見たときは、該前縁22bに臨むシート状部25の先端部分が比較的視認容易であるから、シート状部25の透明性が劣化していると、該先端部分を視認されるおそれが高くなる。しかしながら、本発明のシート状部25は、ネット片23の前縁22bに臨む先端に尖鋭部25bを形成し、これにより透明性が劣化した場合の錯視効果を担保している。
即ち、仮にシート状部25を矩形等の輪郭を有するように形成している場合は、先端部分が前縁22bに沿って長く延びる線を表すので、前縁22bの正面から見たとき、長い線状の先端部分を視認することが容易となる。これに対して、本発明は、シート状部25を基部22aに近傍する幅広部25aから前縁22bに向けて次第に幅狭となるように形成し、前縁22bに臨む先端に尖鋭部25bを設けているので、前縁22bの正面から見たとき、尖鋭部25bがほとんど点状に見えるだけとなり、シート状部25が透明性を劣化した状態でも、その存在を視認することが困難になるように構成されている。
上記の構成に基づいて、ネット片23は、前記シート状部25を介して粘着手段26を形成するように構成されている。
図4及び図7に示す第1実施例において、シート状部25は、下面に両面接着テープ26aを貼着自在とする貼着面27を構成し、該貼着面27に貼着した両面接着テープ26aにより粘着手段26を構成される。図4に示すように、ネット片23には複数のシート状部25が隣接状態で形成されているので、複数のシート状部25、25に跨がって両面接着テープ26aを好適に粘着させることができる。従って、図10(A)に示した第1比較例のように粘着不良による剥離の問題はなく、ネット片23を生えぎわ部13に良好に粘着させることができる。この際、両面接着テープ26aは、随時、新しい両面接着テープ26aと交換自在であり、透明性に優れているので、外部から視認不能である。尚、図7に矢印Eで示すように、前縁22bを正面から見たとき、シート状部25の先端の尖鋭部25bが点状に見えるだけであり、その存在を視認困難としており、この点は前述の通りである。
図8に示す第2実施例において、シート状部25は、粘着性素材により形成されており、該シート状部25の下面の粘着部26bにより粘着手段26を構成している。例えば、シート状部25をシリコンゴム等の粘着性を有するエラストマーにより形成すれば、透明又は半透明の膜状に形成されたシート状部25の表面が粘着性を備えたものとなり、粘着部26bが形成される。これにより、ネット片23は、生えぎわ部13に良好に粘着可能なものとなる。尚、図8に矢印Eで示すように、前縁22bを正面から見たとき、シート状部25の先端の尖鋭部25bが点状に見えるだけであり、その存在を視認困難とする。この点は前述の通りである。ところで、第2実施例の場合、シート状部25は、それ自体が粘着部26bを備えているので、前述のような両面接着テープを不要とする利点があるが、粘着部26bの粘着性が低下したときは、第1実施例のように両面接着テープを使用することにより、生えぎわ部13に対する粘着が可能となる。
生えぎわシート22を構成するネット片23に設けられたシート状部25は、図9に示すように、隣り合うシート状部25の幅広部25aを相互に連設部25eを介して一連一体に連設するように構成しても良く、また、先端の尖鋭部25bに丸みをつけたり、該尖鋭部25bを前縁22bから距離Lで示すようにやや後方に後退させた位置に設けるように形成しても良い。
本発明の1実施形態を示す斜視図である。 本発明の1実施形態を内側から示す底面図である。 本発明の要部を拡大して示す底面図である。 本発明の要部を更に拡大して示す底面図である。 本発明の実施形態におけるシート状部を示しており、(A)は部分的拡大斜視図、(B)はシート状部の第1実施例を示す拡大断面図、(C)はシート状部の第2実施例を示す拡大断面図である。 シート状部の尖鋭部の視認状態を示す説明図である。 シート状部と粘着手段の第1実施例を示す断面図である。 シート状部と粘着手段の第2実施例を示す断面図である。 シート状部の他の実施形態を示す底面図である。 本発明に対する比較例を示しており、(A)は第1比較例を示す説明図、(B)は第2比較例を示す説明図である。
符号の説明
12a 頭髪
12b 前髪
13 生えぎわ部
14 ベース
15 ネットシート本体
16 保形シート部
22 生えぎわシート
22a 基部
22b 前縁
23 ネット片
24 網目
24a 線条
25 シート状部
25a 幅広部
25b 尖鋭部
25c 網目閉塞部
26 粘着手段
26a 両面接着テープ
26b 粘着部

Claims (5)

  1. 着用者の頭部に被冠される下向き皿状のネットシート本体(15)から成るベース(14)に疑似毛からなる頭髪(12a)を植毛し、着用者の少なくとも眉間の上方部位に位置する生えぎわ部(13)に位置して疑似毛からなる前髪(12b)を植毛したカツラにおいて、
    前記生えぎわ部(13)に対応するベース(14)のフロント部(16a)に前記前髪(12b)を植設する生えぎわシート(22)を連設し、該生えぎわシート(22)は、前記フロント部(16b)に連設された基部(22a)と生えぎわ部(13)に臨む前縁(22b)の間に多数の網目(24)を構成するネット片(23)により形成され、
    前記ネット片(23)は、隣接する複数の網目(24)を閉塞する透明又は半透明の膜から成るシート状部(25)を該ネット片(23)に対して部分的に形成し、該シート状部(25)を介して粘着手段(26)を形成するように構成されて成ることを特徴とするカツラ。
  2. 前記シート状部(25)は、ネット片(23)の基部(22a)に近傍する幅広部(25a)から前縁(22b)に向けて次第に幅狭となる輪郭を有するように形成され、前縁(22b)に臨む先端に尖鋭部(25b)を形成して成ることを特徴とする請求項1に記載のカツラ。
  3. 前記シート状部(25)の下面により両面接着テープを貼着自在とする貼着面(27)を形成し、該貼着面(27)に貼着した両面接着テープ(26a)により前記粘着手段(26)を形成するように構成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のカツラ。
  4. 前記シート状部(25)を粘着性素材により形成し、該シート状部の下面に形成される粘着部(26b)により前記粘着手段(26)を構成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のカツラ。
  5. ネット片(23)の網目(24)を構成する線条(24a)の直径Dに対して、シート状部(25)の網目閉塞部(25c)の肉厚Tを、D≧Tとなるように形成して成ることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載のカツラ。
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