JP2010024313A - 水性インクジェットインク、インクジェット記録方法 - Google Patents

水性インクジェットインク、インクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】非吸収性媒体にプリントした場合でも、高光沢で高濃度のインクジェットインクおよびそれを用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
【解決手段】顔料、高分子分散剤、定着樹脂、並びにグリコールエーテルおよび炭素数が4以上12以下の1,2−アルカンジオールから選択される少なくとも一種を含有する水性インクジェットインクにおいて、該高分子分散剤が、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドから選択される少なくとも一方の共重合鎖を有することを特徴とする水性インクジェットインク。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な非吸水性記録媒体用の水性インクジェットインクおよびそれを用いたインクジェット記録方法に関し、詳しくは、非吸水性記録媒体にプリントした場合でも良好な画質が得られ、さらに高い画像耐擦性を有する水性インクジェットインクおよびそれを用いたインクジェット記録方法に関する。
近年、インクジェット記録方式は簡便かつ安価に画像作製できるため、写真、各種印刷、マーキング、カラーフィルター等の特殊印刷など、様々な印刷分野に応用されてきている。
この様なインクジェット記録方式で用いられるインクジェットインクとしては、水と少量の有機溶剤からなる水性インクジェットインク、有機溶剤を用い実質的に水を含まない非水系インクジェットインク、室温では固体のインクを加熱溶融して印字するホットメルトインク、印字後、光等の活性光線により硬化する活性光線硬化性インクジェットインク等、複数のインクジェットインクがあり、用途に応じて使い分けられている。
一方、長期の耐候性が求められる屋外掲示物や曲面を有する物体への密着性が求められる印字物等、広い用途でポリ塩化ビニル製などの非吸水性記録媒体が使用されている。
ポリ塩化ビニル製の記録媒体に記録可能なインクジェットインク方式の例として、シクロヘキサノン等の有機溶媒を含有した、実質的に水を含まない非水系インクジェットインクが開示されている(特許文献1参照)。
非吸水性記録媒体は、インクを吸収することがないことから、印字物の耐擦過性が課題であったが、前記インクジェットインクにより、その課題は解決された。しかしながら、このインクには、乾燥による多量の有機溶剤排出に伴う環境負荷が課題として残った。
ついで、溶媒を減量する代わりに定着樹脂を含有させることにより耐擦過性を向上させる、水系インクジェットインクが提案された(特許文献2,3)。
しかしながらこのインクでは、ポリ塩化ビニル製の記録媒体に対する光沢とプリント濃度が不十分であった。
特表2002−526631号公報 特開2005−113147号公報 特開2005−220352号公報
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、ポリ塩化ビニルに代表される非吸収性媒体にプリントした場合でも、高光沢で高濃度のインクジェットインクおよびそれを用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.顔料、高分子分散剤、定着樹脂、並びにグリコールエーテルおよび炭素数が4以上12以下の1,2−アルカンジオールから選択される少なくとも一種を含有する水性インクジェットインクにおいて、該高分子分散剤が、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドから選択される少なくとも一方の共重合鎖を有することを特徴とする水性インクジェットインク。
2.前記高分子分散剤が、下記条件(1)と(2)を満足することを特徴とする前記1記載の水性インクジェットインク。
条件(1)水溶性であり、アセトンに該高分子分散剤を5質量%加えた液をヘキサンまたは水で滴定することにより測定した臨界溶解点におけるSP値が17〜26(MPa)1/2の範囲にあること。
条件(2)高分子分散剤の3質量%水溶液に対する表面張力が40mN/m以上70mN/mにあること。
3.前記1または2に記載の水性インクジェットインクを用いて非吸水性記録媒体上に画像記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
本発明により、非吸収性媒体にプリントした場合でも高光沢で高濃度のインクジェットインクおよびそれを用いたインクジェット記録方法を提供することが可能となった。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明の水性インクジェットインクは、顔料、高分子分散剤、定着樹脂、並びにグリコールエーテルおよび炭素数が4以上12以下の1,2−アルカンジオールから選択される少なくとも一種を含有し、該高分子分散剤が、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの共重合鎖を有することを特徴とする。
<高分子分散剤>
本発明の高分子分散剤は、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドから選択される少なくとも一方の共重合鎖を有する高分子分散剤である。
ここで、共重合鎖とは、エチレンオキサイドまたはプロピレンンオキサイドのランダム、ブロック、グラフト重合鎖を含み、特にエチレンオキサイド鎖およびプロピレンオキサイド鎖がブロック状に存在するものが好ましい。
そしてこれらの鎖は、母体となる樹脂にエチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖またはそのブロック体がグラフトしているものが好ましい。
母体となる樹脂としては、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からなる共重合体、およびこれらの塩が挙げられるが、スチレン・マレイン酸共重合体が好ましい。
酸性の高分子分散剤の場合、中和塩基で中和して添加することが好ましい。ここで中和塩基は特に限定されないが、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン等の有機塩基であることが好ましい。
エチレンオキサイドの重合モル比率は、エチレンオキサイド鎖およびプロピレンオキサイド鎖の付加モル総数に対して、50モル%以上、80モル%以下であることが好ましい。
本発明の高分子分散剤のGPCによって測定した重量平均分子量は、5000以上、200000以下、好ましくは10000以上、50000以下のであることが好ましい。
本発明の高分子分散剤は、さらに次の条件(1)、(2)を満たすものが好ましい。
条件(1)水溶性であり、アセトンに該高分子分散剤を5質量%加えた液をヘキサンまたは水で滴定することにより測定した臨界溶解点におけるSP値が17〜26(MPa)1/2の範囲であること。
条件(2)高分子分散剤の3質量%水溶液に対する表面張力が40mN/m以上70mN/m以下であること。
ここで、SP値とは溶解性の指標として一般に用いられる溶解度パラメータであり分子の凝集エネルギーから導かれる値である。例えば、文献9:Polymer HandBook(Second Edition)第IV章 Solubility Parameter Valueに詳細な記載がある。本願で高分子分散剤のSP値を求めるために使用するアセトン、ヘキサンおよび水のSP値(σ)はこの文献に記載された25℃における値を用いた。
高分子分散剤のSP値は、臨界溶解点におけるヘキサンまたは水の滴定量とアセトンの量から次の式により算出した。
σ= Mσ+Mσ/M+M
σ1:アセトンのSP値
σ2:ヘキサンまたは水のSP値
M1:滴定後の混合溶剤中におけるアセトンのモル分率
V1:滴定後の混合溶剤中におけるアセトンのモル体積
M2:滴定後の混合溶剤中におけるヘキサンまたは水のモル分率
V2:滴定後の混合溶剤中におけるヘキサンまたは水のモル体積
条件(1)と(2)を満たす為には、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、ポリプロピレンオキサイドなどの比較的疎水性が高いモノマー成分と、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体、エチレンオキサイドなどの比較的親水性が高いモノマー成分との共重合比率を調整することによりコントロールすることができる。
本発明において、高分子分散剤の添加量としては、顔料に対し10〜100質量%であることが好ましい。
本発明に用いる高分子分散剤の使用法として、顔料を高分子分散剤で被覆したいわゆるカプセル顔料も好ましく用いられる。顔料を高分子分散剤で被覆する方法としては公知の種々の方法を用いることができるが、好ましくは、展相乳化法や酸析法の他に、顔料を重合性界面活性剤を用いて分散し、そこへモノマーを供給し、重合しながら被覆する方法から選択することがよい。
より好ましい方法としては、水不溶性樹脂をメチルエチルケトンなどの有機溶剤に溶解し、さらに塩基にて樹脂中の酸性基を部分的、もしくは完全に中和後、顔料およびイオン交換水を添加し、分散したのち、有機溶剤を除去、必要に応じて加水し調整する製造方法が好ましい。
本発明の高分子分散剤は、例えばビックケミー(株)社製「Disperbyk−190」や共栄社化学(株)社製の「フローレンTG−750W」などが市販品として入手することができる。
<定着樹脂>
本発明のインクにおいて、形成するインク皮膜の耐擦過性を得るため観点から、定着樹脂を含有することを特徴の一つとする。
本発明の定着樹脂は、顔料に対する定着樹脂の重量比が0.8以上、3.0以下の範囲でインク中に含有量することが好ましく、より好ましくは、1.0以上、2.5以下の範囲であれば、耐擦過性と吐出安定性を両立しやすい。
本発明において好ましい定着樹脂は、高湿環境下や水分が付着した場合でも画像の耐擦過性が得られる観点で、疎水モノマーを重合成分として有する水溶性共重合物、または水系分散型ポリマー微粒子であることが好ましい。
以下、疎水モノマーを重合成分として有する水溶性共重合物について説明する。
疎水モノマーを重合成分として有する水溶性共重合物(以下、水溶性共重合物と略記)は、インク中では安定に溶解しているが、記録媒体上での乾燥後は耐水性が付与される樹脂がより好ましい。
このような樹脂としては、樹脂中に疎水性成分と親水性成分を有するものを設計して用いる。この際、親水性成分としては、イオン性のもの、ノニオン性のものどちらを用いても良いが、より好ましくはイオン性のものであり、さらに好ましくはアニオン性のものである。特にアニオン性のものを揮発可能な塩基成分で中和することで水溶性を付与したものが好ましい。
特に、定着樹脂の少なくとも1種は、カルボキシル基を有する不飽和ビニルを少なくともモノマー成分として重合した共重合体であり、酸価は80以上、300未満の範囲が本発明の効果発現上好ましい。
前記共重合体の疎水性モノマーは、例えば、アクリル酸エステル(アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなど)、メタクリル酸エステル(メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジルなど)、スチレンなどが挙げられる。
親水性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミドなどが挙げられ、アクリル酸のような酸性基を有するものは、重合後に部分的あるいは完全に塩基成分で中和することが好ましい。
この場合、中和塩基としては、アルカリ金属含有塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等や、アミン類(例えば、アンモニア、アルカノールアミン、アルキルアミン等)を用いることができる。特に、沸点が200℃未満のアミン類で中和することは、画像堅牢性向上の観点から特に好ましい。
前記共重合体の分子量としては、平均分子量で、3000〜30000のものを用いることができ、より好ましい分子量の範囲は7000〜20000である。また、Tgは−40℃から100℃程度のものを用いることができ、より好ましいTgの範囲は−20℃から80℃である。
次に、本発明に係る定着樹脂として前記の疎水モノマーを重合成分として有する水溶性共重合物以外に好ましく用いられる水系分散型ポリマー微粒子について説明する。
ポリマー微粒子は、水系で重合された分散物をそのまま、あるいは処理したものを用いてもよいし、溶媒系で重合されたポリマーを水系に分散したものを用いてもよく、例えば、アクリル系、ウレタン系、スチレン系、酢酸ビニル系、塩化ビニリデン系、塩化ビニル系、スチレン−ブタジエン系、スチレン−アクリロニトリル系、ポリブタジエン系、ポリエチレン系、ポリイソブチレン系、ポリエステル系等から選択することができる。
インクの物性として、粘度に対するシェア依存性がないことが好ましく、この観点からポリマー微粒子の分散形態として、界面活性剤などの乳化剤を極力低濃度にするか、乳化剤を用いないソープフリー型の分散ポリマー粒子が好ましい。
好ましい水系分散型ポリマー微粒子は、カルボキシル基を有する不飽和ビニルを少なくとも単量体成分として重合した共重合体の自己分散型ディスパージョンであり、例えば、アクリル酸エチルなどのアクリル系モノマー単独もしくはアクリル系モノマーと共重合し得るエチレン性の不飽和モノマーからなる組成物にカルボン酸モノマーとしてアクリル酸やマレイン酸などを乳化重合もしくは懸濁重合して得られた分散液をアルカリ性化合物で膨潤後、機械的せん断により粒子を分割して得られるアクリルヒドロゾルである。
なお、アクリルヒドロゾルの中でも、樹脂の屈折率を高めて高い光沢感が得られる観点で、モノマー組成にスチレンを含有することが好ましい。
前記アルカリ性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジ−n−ブチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、2−アミノー2−メチル−1−プロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−メチルアミノエタノールなどのアミンであることが好ましく、アンモニア、2−アミノー2−メチル−1−プロパノールおよび2−メチルアミノエタノールが水系分散型ポリマー微粒子の分散安定性において得に好ましい。
また、前記アクリルヒドロゾルは、例えば、ジョンソンポリマー株式会社のジョンクリルシリーズなどとして市販されている。
水系分散型ポリマー微粒子の酸価は、44mgKOH/g以上、より好ましくは60mgKOH/g以上であることが、インク乾燥皮膜の良好な再分散・溶解性が得られる点で好ましい。酸価の上限は特に制限されるものではないが、より安定な分散物を得やすい観点で110mgKOH/g未満が好ましい。
水系分散型のポリマー微粒子の平均粒子径は、ヘッドのノズルにおける目詰まりがなく、良好な光沢感が得られる点で300nm以下であることが好ましく、より好ましくは130nm以下である。平均粒子径の下限は、微粒子の製造安定性の観点から30nm以上が好ましい。
なお、水系分散型ポリマー微粒子の平均粒子径は、光散乱方式やレーザードップラー方式を用いた市販の測定装置を使用して簡便に計測することが可能である。
また、水系分散型ポリマー微粒子の分散物を凍結乾燥し、透過型顕微鏡で観察される粒子から平均粒子径を換算することもできる。
本発明の定着樹脂として、前記の水溶性共重合物と水系分散型のポリマー微粒子を併用することも好ましく、画像の滲みと光沢をバランスよく改善することができる。
<グリコールエーテルおよび炭素数が4以上12以下の1,2−アルカンジオール>
本発明のインクには、斑が抑制された良好な画質を得る為に、グリコールエーテルおよび炭素数が4以上12以下の1,2−アルカンジオールから選択される少なくとも一種の水溶性有機溶剤を含有する必要がある。
具体的には、グリコールエーテルとしてはエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
また、炭素数が4以上の1,2−アルカンジオールとしては、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオールなどが挙げられる。
添加量としては、5%から30%の範囲で用いることが好ましい、より好ましくは7%から20%の範囲である。
この範囲で用いることによりプリント時の斑を有効に抑制することができる。特に好ましい溶剤は、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、1,2−ヘキサンジオールである。
本発明のインクには、グリコールエーテルもしくは1,2−アルカンジオール以外にも溶剤を添加することができる。
具体的には、本発明に係る溶媒としては、水性液媒体が好ましく用いられ、例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)などが挙げられる。
ポリ塩化ビニル製の記録媒体を用いる場合には、ポリ塩化ビニルに対して膨潤または溶解性が高い溶剤を用いることで顔料定着性を向上することができ好ましい。
具体的には、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)等が挙げられる。
なお、本発明の要件である水は、乾燥性とインクの保存安定性を高める観点から40質量%以上含有することが好ましく、より好ましい含有量は50%以上である。
<顔料>
本発明において使用できる顔料としては、従来公知のものを特に制限なく使用でき、水分散性顔料、溶剤分散性顔料等何れも使用可能であり、例えば、不溶性顔料、レーキ顔料等の有機顔料および、カーボンブラック等の無機顔料を好ましく用いることができる。この顔料は、インク中で本発明で用いる高分子分散剤により分散された状態で存在させて使用する。
不溶性顔料としては、特に限定するものではないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、ジケトピロロピロール等が好ましい。
好ましく用いることのできる具体的顔料としては、以下の顔料が挙げられる。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー15:3、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー155等が挙げられる。
特にイエロー顔料については、色調と耐光性のバランスにおいてピグメントイエロー155が好ましいが、定着樹脂と、グリコールエーテルまたは炭素数が4以上の1,2−アルカンジオールとを組み合わせることにより他の顔料に比べて著しくプリント光沢と濃度が低下する課題があった。
この課題については、本発明の高分子分散剤で分散することにより大幅に改善できることが可能となった。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、ブラック用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
本発明のインクが含有する顔料の分散状態の平均粒子径は、50nm以上、200nm未満であることが好ましい。
顔料分散体の平均粒子径が50nm未満あるいは200nm以上では顔料分散体の安定性が悪くなりやすく、インクの保存安定性が劣化しやすくなる。
顔料分散体の粒子径測定は、動的光散乱法、電気泳動法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることが出来るが、動的光散乱法による測定が簡便でこの粒子径領域の精度が良く多用される。
本発明に係る顔料は、分散剤およびその他所望する諸目的に応じて必要な添加物と共に分散機により分散して用いることが好ましい。
分散機としては従来公知のボールミル、サンドミル、ラインミル、高圧ホモジナイザー等が使用できる。中でもサンドミルによる分散により製造されるインクの粒度分布がシャープであり好ましい。
また、サンドミル分散に使用するビーズの材質はビーズ破片やイオン成分のコンタミネーションの点から、ジルコニアまたはジルコンが好ましい。さらに、このビーズ径としては0.3mm〜3mmが好ましい。
<界面活性剤ほか添加剤>
本発明において、特に非吸水性記録媒体に対して、より高い濡れ性を付与する観点から界面活性剤を用いることが好ましい。濡れ性を付与する為にインクの表面張力は、30mN/m以下が好ましく、28mN/m以下に調整することがより好ましい。
本発明に用いることができる界面活性剤は、インクの表面張力を30mN/m以下に調整できるものであれば、特に制限なく用いることができるが、インクの他の構成成分にアニオン性の化合物を含有することから、界面活性剤のイオン性はアニオン、ノニオンまたはベタイン型が好ましい。
本発明において、好ましくは静的な表面張力の低下能が高いフッ素系またはシリコン系界面活性剤や、動的な表面張力の低下能が高い、ジオクチルスルホサクシネートなどのアニオン活性剤、比較的低分子量のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アセチレングリコール類、プルロニック型界面活性剤、ソルビタン誘導体などのノニオン界面活性剤が好ましく用いられる。フッ素系またはシリコン系活性剤と、前記動的な表面張力の低下能が高い界面活性剤を併用して用いることも好ましい。
本発明のインクでは、上記説明した以外に、必要に応じて、出射安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、多糖類、粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができ、例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、特開昭57−74193号、同57−87988号および同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号および同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号および特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤等を挙げることができる。
上記構成からなる本発明のインクは、インクの粘度としては、25℃で1〜40mPa・sであることが好ましく、より好ましくは5〜40mPa・sであり、さらに好ましくは5〜20mPa・sである。
<非吸水性記録媒体>
次に、本発明の非吸水性記録媒体について説明する。
本発明のインクは、本発明の目的であるポリ塩化ビニルシートなどの非吸水性媒体へのプリントに特に適している。
非吸水性記録媒体としては、高分子シート、ボード(軟質塩ビ、硬質塩ビ、アクリル板、ポリオレフィン系など)、ガラス、タイル、ゴムなどが挙げられる。
特に、良好な画像と高い画像堅牢性が得られる好ましい非吸水性記録媒体は、記録面側に少なくともポリ塩化ビニルを有する記録媒体である。
ポリ塩化ビニルからなる記録媒体の具体例としては、SOL−371G、SOL−373M、SOL−4701(以上、ビッグテクノス株式会社製)、光沢塩ビ(株式会社システムグラフィ社製)、KSM−VS、KSM−VST、KSM−VT(以上、株式会社きもと製)、J−CAL−HGX、J−CAL−YHG、J−CAL−WWWG(以上、株式会社共ショウ大阪製)、BUS MARK V400 F vinyl、LITEcal V−600F vinyl(以上、Flexcon社製)、FR2(Hanwha社製)LLBAU13713、LLSP20133(以上、桜井株式会社製)、P−370B、P−400M(以上、カンボウプラス株式会社製)、S02P、S12P、S13P、S14P、S22P、S24P、S34P、S27P(以上、Grafityp社製)、P−223RW、P−224RW、P−249ZW、P−284ZC(以上、リンテック株式会社製)、LKG−19、LPA−70、LPE−248、LPM−45、LTG−11、LTG−21(以上、株式会社新星社製)、MPI3023(株式会社トーヨーコーポレーション社製)、ナポレオングロス 光沢塩ビ(株式会社二樹エレクトロニクス社製)、JV−610、Y−114(以上、アイケーシー株式会社製)、NIJ−CAPVC、NIJ−SPVCGT(以上、ニチエ株式会社製)、3101/H12/P4、3104/H12/P4、3104/H12/P4S、9800/H12/P4、3100/H12/R2、3101/H12/R2、3104/H12/R2、1445/H14/P3、1438/One Way Vision(以上、Intercoat社製)、JT5129PM、JT5728P、JT5822P、JT5829P、JT5829R、JT5829PM、JT5829RM、JT5929PM(以上、Mactac社製)、MPI1005、MPI1900、MPI2000、MPI2001、MPI2002、MPI3000、MPI3021、MPI3500、MPI3501(以上、Avery社製)、AM−101G、AM−501G(以上、銀一株式会社製)、FR2(ハンファ・ジャパン株式会社製)、AY−15P、AY−60P、AY−80P、DBSP137GGH、DBSP137GGL(以上、株式会社インサイト社製)、SJT−V200F、SJT−V400F−1(以上、平岡織染株式会社製)、SPS−98、SPSM−98、SPSH−98、SVGL−137、SVGS−137、MD3−200、MD3−301M、MD5−100、MD5−101M、MD5−105(以上、Metamark社製)、640M、641G、641M、3105M、3105SG、3162G、3164G、3164M、3164XG、3164XM、3165G、3165SG、3165M、3169M、3451SG、3551G、3551M、3631、3641M、3651G、3651M、3651SG、3951G、3641M(以上、Orafol社製)、SVTL−HQ130(株式会社ラミーコーポレーション製)、SP300 GWF、SPCLEARAD vinyl(以上、Catalina社製)、RM−SJR(菱洋商事株式会社製)、Hi Lucky、New Lucky PVC(以上、LG社製)、SIY−110、SIY−310、SIY−320(以上、積水化学工業株式会社製)、PRINT MI Frontlit、PRINT XL Light weight banner(以上、Endutex社製)、RIJET 100、RIJET 145、RIJET165(以上、Ritrama社製)、NM−SG、NM−SM(日栄化工株式会社製)、LTO3GS(株式会社ルキオ社製)、イージープリント80、パフォーマンスプリント80(以上、ジェットグラフ株式会社製)、DSE 550、DSB 550、DSE 800G、DSE 802/137、V250WG、V300WG、V350WG(以上、Hexis社製)、Digital White 6005PE、6010PE(以上、Multifix社製)等が挙げられる。
<記録方法>
本発明のインクジェット記録方法においては、本発明に係るインクを用いて記録媒体上に画像記録する際に、記録媒体の記録面側の表面温度を、35℃以上、80℃以下に加熱して記録することを特徴とする。
記録媒体を加熱することにより、インクの乾燥および増粘速度が著しく向上し、高画質が得られ、加えて、形成した画像の耐久性も向上する観点から好ましい。
記録媒体の加熱温度として、35℃以上に加熱することにより、特に非吸収性記録媒体で発生しやすい斑を有効に抑制でき、十分な画像耐久性を得やすいことに加え、乾燥時間も短縮でき好ましく、80℃以下であれば、インク射出に大きな影響が与えずに、安定に画像形成することができる。
より好ましくは、記録媒体の記録表面温度を35℃以上、60℃以下に加熱することが好ましい。
記録媒体の加熱方法としては、インクジェット記録装置の記録媒体搬送系もしくはプラテン部材に発熱ヒーターを組み込み、非吸水性記録媒体背面より接触式で加熱する方法や、ランプ等により下方、もしくは上方から非接触で加熱方法を選択することができる。
本発明のインクを吐出して画像形成を行う際に、使用するインクジェットヘッドはオンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。又吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)等など何れの吐出方式を用いても構わない。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《インクの調製》
〔インク−1の調製〕
(顔料分散液の調製)
高分子分散剤としてスチレン・マレイン酸共重合体(ビックケミー社製「Disperbyk−190」)を樹脂成分濃度として5部、顔料(ピグメントイエロー155)15部、残部にイオン交換水を加えた液をプレミックスした後、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、顔料の含有量が15質量%の顔料分散液を調製した。
(定着樹脂−1の合成)
滴下ロート、窒素導入官、還流冷却官、温度計および攪拌装置を備えたフラスコにメチルエチルケトン50gを加え、窒素バブリングしながら、75℃に加温した。そこへ、メタクリル酸n−ブチル40g、スチレン40g、アクリル酸20g、メチルエチルケトン50g、開始剤(AIBN)500mgの混合物を滴下ロートより3時間かけ滴下した。滴下後さらに6時間、加熱還流した。放冷後、減圧下加熱しメチルエチルケトンを留去した。
次いで、イオン交換水450mlに対して、モノマーとして添加したアクリル酸の1.05倍モル相当のジメチルアミノエタノールを溶解した液に上記重合物残渣を溶解した。イオン交換水で調整し、固形分20%の定着樹脂水溶液−1を得た。
(インクの調製)
下記に示すインク組成物を混合攪拌して調製した後、0.8μmのフィルターによりろ過して、インク1を得た。得られたインク1について、25℃の条件で測定した粘度は9.3mPa・s、表面張力は27.6mN/mであった。また、調整したインク中に分散されたカーボンブラックの平均粒子径は117nmであり、多分散性指数は0.19であった。なお、粒径測定はマルバーン社製ゼータサイザ1000HSにより行った。
顔料分散液 33.3質量%
定着樹脂−1(固形分20%の水溶液) 12.5質量%
定着樹脂−2 5.4質量%
(ジョンクリル390、BASF社製 水分散性エマルジョン 固形分46%水分散液)
1,2−ヘキサンジオール 5.0質量%
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 13.9質量%
スルホラン 5.0質量%
プロピレングリコール 11.2質量%
シリコン系界面活性剤(KF−351A、信越化学工業社製) 0.5質量%
イオン交換水 100質量%に仕上げるのに要する量
〔インク2〜23の調製〕
上記インクセット1の調製において、高分子分散剤、溶剤の種類と量、顔料種および、顔料に対する定着樹脂量の比(顔料濃度は全インク5%)を表1に示すように変更した以外は同様にしてインク2〜23を作成した。また、定着樹脂−1と定着樹脂−2の質量比率は1:1となるようにした。
なお、調整した各インクは25℃で測定した粘度が9±0.5cpの範囲になるようにプロピレングリコールの添加量で調整した。
各インクセットに用いた高分子分散剤についてアセトンに該高分子分散剤を5質量%加えた液をヘキサンまたは水で滴定することにより測定したSP値と、該高分子分散剤の3質量%水溶液について測定した表面張力の値、および主要インク構成要素の一覧を表1に示す。
(実施例で使用した比較素材)
フローレンTG−720W(共栄社化学(株)製):カルボン酸含有アクリル樹脂
ジョンクリル60(BASFジャパン(株)製):スチレン・アクリル酸系アンモニウム塩樹脂
Disperbyk−154(ビックケミー(株)製)アクリル酸アンモニウム樹脂
比較として特許文献2の実施例1に記載のバインダーに準ずるポリアクリル酸ジメチルエタノールアミン塩(Mw=10000)、特許文献3の実施例1に記載のスチレンアクリルコポリマーに準ずるポリスチレン−アクリル酸ナトリウム塩(モル比=1:1 Mw=15000)を作製し、本発明の高分子分散剤の代わりに使用した。
Figure 2010024313
なお、表1に略称にて記載した各有機溶剤の詳細は、以下の通りである。
〔グリコールエーテルまたは炭素数が4以上の1,2−アルカンジオール〕
1,2−HDO:1,2−ヘキサンジオール
DEGEE:ジエチレングリコールモノエチルエーテル
DPGPE:ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル
PGPE:プロピレングリコールモノプロピルエーテル
DEGBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
〔その他溶剤〕
PG:プロピレングリコール
EG:エチレングリコール
Gly:グリセリン
1,5−PDO:1,5−ペンタンジオール
〔画像のプリント〕
ノズル口径28μm、ノズル数512、最小液適量14pl、ノズル密度180dpiであるピエゾ型ヘッドを搭載し、最大記録密度が720×720dpiであるシャトル型インクジェットプリンタに各インクを装填した。
次いで、各インクをプリント解像度720dpi×720dpi、双方向走査の条件で記録媒体に出射し、ヘッド搬送速度200mm/secと100mm/secの2条件で10cm×10cmのベタ画像をプリントし記録画像とした。
記録媒体には、ポリ塩化ビニル製の記録媒体であるJT5929PM(Mactac社製)を用いた。
なお、プリント時に記録媒体を裏面から、プラテン部に設置したフラットパネルヒーターより加温して、画像記録時の記録媒体の表面温度が45℃になるようにヒーター温度で制御した。記録媒体の表面温度は、非接触温度計(IT−530N形 (株)堀場製作所社製)を用いて測定した。
〔記録画像の評価〕
上記形成した記録画像について、プリント後、23℃、湿度55%RHの環境下で12時間放置した後に下記の方法に従い各評価を行った。なお、斑の評価以外はヘッド搬送速度200mm/secの条件で作成したプリントサンプルについて評価した。
(反射濃度の評価)
各記録画像について反射濃度計(X−rite)を用いてプリント部分の反射濃度を測定した。
(光沢度の測定)
上記の塩化ビニル製記録媒体を用いて作製した記録画像について、日本電色工業株式会社製の変角光沢度計(VGS−1001DP)を用いて光沢度を測定した。なお、入射および反射角は20°で測定し、光沢度の値により以下の基準に従って光沢性の評価を行った。
◎:91以上
○:75〜90
△:65〜74
×:65未満
上記評価ランクにおいて、◎〜△が実用上好ましいランクと判断した。
(擦過性の評価)
各記録画像表面を乾いた木綿(カナキン3号)で擦り、下記基準に従って擦過性を評価した。
◎:50回以上擦っても画像はほとんど変化しない
○:50回擦った段階でわずかに傷が残るが画像濃度にはほとんど影響しない
△:20〜50回擦る間に、画像濃度が低下する
×:20回未満擦る間に、画像濃度が低下する
上記評価ランクにおいて、△〜◎が実用上好ましいランクと判断した。
(斑の評価)
各記録画像について、斑の発生状態を目視評価し、下記の基準に従って斑耐性の評価を行った。
◎:ヘッド搬送速度200、100mm/secの各条件ともに斑の発生が全く認められず良好な品質である
○:ヘッド搬送速度200mm/secでわずかに斑の発生が認められるが良好な品質である
△:ヘッド搬送速度200、100mm/secの各条件とも部分的に斑が見られるが、実用上可能な範囲である
×:全面に斑が発生し、実用上許容範囲外の品質である
以上により得られた各結果を、表2に示す。
Figure 2010024313
表2に記載の結果より明らかなように、本発明の要件を満たすインクは全評価項目において良好な結果を示した。一方、他のインクについてはいずれかの評価項目において実用上許容できない結果であった。

Claims (3)

  1. 顔料、高分子分散剤、定着樹脂、並びにグリコールエーテルおよび炭素数が4以上12以下の1,2−アルカンジオールから選択される少なくとも一種を含有する水性インクジェットインクにおいて、該高分子分散剤が、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドから選択される少なくとも一方の共重合鎖を有することを特徴とする水性インクジェットインク。
  2. 前記高分子分散剤が、下記条件(1)と(2)を満足することを特徴とする請求項1記載の水性インクジェットインク。
    条件(1)水溶性であり、アセトンに該高分子分散剤を5質量%加えた液をヘキサンまたは水で滴定することにより測定した臨界溶解点におけるSP値が17〜26(MPa)1/2の範囲にあること。
    条件(2)高分子分散剤の3質量%水溶液に対する表面張力が40mN/m以上70mN/mにあること。
  3. 請求項1または2に記載の水性インクジェットインクを用いて非吸水性記録媒体上に画像記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
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