JP2010024079A - 窒化アルミニウム焼結体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】窒化アルミニウム焼結体の耐プラズマ特性を向上させる。
【解決手段】加水分解型のアルミニウム化合物を含むアルミニウム含有原料と、炭素含有原料と、水とを混合して原料混合物を生成する工程S1と、工程S1で混合された原料混合物に含まれる前駆体を炭化及び窒化還元処理する工程S2と、工程S2で炭化及び窒化還元処理によって得られた窒化アルミニウム粉体に焼結助剤を分散させる工程S3と、焼結助剤が分散された窒化アルミニウム粉体を製品形状に成形し、焼成する工程S4とを有することにより、緻密化された窒化アルミニウム焼結体が生成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、前駆体を用いて製造された窒化アルミニウム粉体を用いて窒化アルミニウム焼結体を製造する製造方法に関する。
従来、水酸化アルミニウムと、残炭率の高い有機物質(例えば、フェノール樹脂)とを混合する工程を含む窒化アルミニウムの製造方法が知られている(例えば、特許文献1)。
具体的には、当該製造方法は、ローラー(三本ロール)を用いて水酸化アルミニウムとフェノール樹脂とを混合し、シート状の固体(前駆体)を生成する工程と、シート状の固体を窒素雰囲気下において加熱する工程とを有する。
窒化アルミニウム製品(例えば、ヒートシンク)などの窒化アルミニウムの焼結体を製造する製造方法は、上述の工程に加えて、シート状の固体として生成された窒化アルミニウムを粉体にする工程と、窒化アルミニウム粉体を焼成する工程とを有する。
窒化アルミニウム製品の製造方法では、窒化アルミニウム粉体の焼成の促進と、焼結体の緻密化を目的として、窒化アルミニウム粉体に焼結助剤が添加される。
特開昭64−18978号公報(第4−5頁)
しかしながら、上述した従来の窒化アルミニウムの焼結体の製造方法には、次のような問題がある。すなわち、シート状の窒化アルミニウムから粉体を生成する工数がかかる。
また、シート状の固体から生成された窒化アルミニウム粉体は、粒子間の相互作用(凝集)によって2次粒を形成し易く、焼結助剤が窒化アルミニウム粉体中に分散されにくい。そのため、焼結体の未焼結部分や、気孔等の欠陥部分が形成され易かった。焼結体に欠陥部分が形成されると、焼結体の耐プラズマ特性が低下するという問題があった。
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、窒化アルミニウム焼結体の耐プラズマ特性の向上に寄与する窒化アルミニウム焼結体の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、加水分解型のアルミニウム化合物を含有するアルミニウム含有原料と、炭素を含有する炭素含有原料と、水とが混合された混合物(原料混合物、前駆体)を生成するステップ(工程S1)と、前記混合物を窒素雰囲気下で加熱させることによって、窒化アルミニウム粉体を生成するステップ(工程S2)と、前記窒化アルミニウム粉体と、前記窒化アルミニウム粉体の焼成を促進させる焼結助剤とを混合するステップ(工程S3)と、前記焼結助剤が混合された前記窒化アルミニウム粉体を焼成して焼結体を生成するステップ(工程S4)とを含むことを要旨とする。
本発明の第1の特徴によれば、加水分解型のアルミニウム化合物を含有するアルミニウム含有原料と炭素含有原料と水とを混合すると、アルミニウム含有原料と炭素含有原料とが高度に均一に分散された混合物が生成される。このように、原料元素が均一に分散された混合物を用いることにより、炭化処理及び窒化還元処理の反応効率を向上することができる。ここで、高度に均一に分散された状態とは、アルミニウム含有原料と炭素含有原料とが分子レベルで均一に混合された状態をいう。
従来、窒化アルミニウムの製造では、窒化アルミニウムは、例えば、シート状のような塊状の固体として生成されていた。そのため、後に、窒化アルミニウム製品を製造する場合には、シート状の固体として生成された窒化アルミニウムを粉体にする必要があった。
これに対して、本発明の第1の特徴によれば、上述した混合物を窒素雰囲気下で加熱すると、窒化アルミニウムが微細化された粉体として取り出されるので、塊状の窒化アルミニウムを粉砕する工程が必要ない。更に、窒化アルミニウム粉体と焼結助剤とを混合するステップにおいて、窒化アルミニウム粉体に対する焼結助剤の分散性を向上させることができる。
焼成の際、焼結助剤は、窒化アルミニウムの粒子間で融解して液相を生じる。この液相によって、窒化アルミニウムの粒子間の空隙が埋められることにより、窒化アルミニウムの粒子同士が引き付けられる。
本発明の第1の特徴によれば、焼結助剤は、窒化アルミニウムの粒子間に良好に分散されるので、窒化アルミニウムの粒子間の空隙が確実に埋められ、窒化アルミニウムの焼結体が緻密に形成される。このため、焼成時に、窒化アルミニウムの焼結体に未焼結部分や欠陥部分が形成されることを防止することができる。
従って、本発明の第1の特徴によれば、窒化アルミニウムの焼結体の耐プラズマ特性を向上させることができる。
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記混合物を生成するステップでは、液状のアルミニウム化合物が前記アルミニウム含有原料として用いられるとともに、前記液状のアルミニウム化合物が前記水により加水分解された加水分解物(水酸化アルミニウム)と前記炭素含有原料との混合物が生成されることを要旨とする。
本発明の第3の特徴は、本発明の第2の特徴に係り、前記液状のアルミニウム化合物は、アルミニウムアルコキシドであることを要旨とする。
本発明の第4の特徴は、本発明の第3の特徴に係り、前記混合物を生成するステップでは、化学反応の速度を速める触媒(有機酸、無機酸)を含む水溶液が添加され、前記加水分解は、前記水溶液に含まれる水によって行われることを要旨とする。
本発明の第5の特徴は、本発明の第1乃至第4の何れか1つの特徴に係り、前記窒化アルミニウム粉体を生成するステップでは、前記混合物を1,600℃に加熱することを要旨とする。
本発明の第6の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記混合物は、ゲル化合物であることを要旨とする。
本発明の特徴によれば、窒化アルミニウム焼結体の耐プラズマ特性の向上に寄与する窒化アルミニウム焼結体の製造方法を提供することができる。
次に、本発明に係る窒化アルミニウム焼結体の製造方法の実施形態について、図面を参照しながら説明する。具体的には、(1)窒化アルミニウム粉体の製造方法の説明、(2)実施例、(3)焼結体の評価、(4)作用・効果、及び(5)その他の実施形態について説明する。
なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
(1)窒化アルミニウム粉体の製造方法の説明
本実施形態に係る窒化アルミニウム焼結体の製造方法は、以下の方法により製造される窒化アルミニウム粉体に、窒化アルミニウム粉体の焼成を促進する焼結助剤を分散させた後、焼成するというものである。
窒化アルミニウム粉体の製造方法は、加水分解により水酸化アルミニウムが生成される加水分解型のアルミニウム化合物を含有するアルミニウム含有原料と、炭素を含有する炭素含有原料と、水とが混合された原料混合物を生成し、この原料混合物を窒素雰囲気下で加熱して、窒化アルミニウムを製造する方法である。この製造方法によれば、窒化アルミニウムを高純度の粉体として取り出すことができる。
(1−1)原料
アルミニウム含有原料は、加水分解型のアルミニウム化合物である。具体的には、加水分解型のアルミニウム化合物としては、液状のアルミニウムアルコキシドを使用することができる。
炭素含有原料は、有害元素を含まない触媒を用いて合成され、加熱、触媒、及び/又は架橋剤により、アルミニウム化合物と会合、重合又は架橋し得る任意の1種もしくは2種以上の有機化合物から構成されるモノマー、オリゴマー及びポリマーである。
炭素含有原料の好適な具体例としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂などの硬化性樹脂が挙げられる。特に、残炭率が高く、作業性に優れているレゾール型またはノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
本実施形態に有用なレゾール型フェノール樹脂は、有害元素を含まない触媒(具体的には、アンモニアまたは有機アミン)の存在下において、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、ビスフェノールAなどの1価または2価のフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類とを反応させて製造する。
有害元素の一例としては、Fe、Ni、Cu、Cr、V、W等の重金属元素、Li、Na、K等のアルカリ金属元素、並びにBe、Mg、Ca、B、Al、Ga等のアルカリ土類若しくは両性金属元素などが挙げられる。
一方、本実施形態に有用なノボラック型フェノール樹脂は、上記と同様の1価または2価フェノール類とアルデヒド類とを混合し、有害元素を含まない酸類(具体的には、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸またはシュウ酸など)を触媒として反応させて製造することができる。
アルミニウム含有原料と炭素含有原料との混合系に含まれる水は、水として直接添加されてもよい。また、反応促進剤としての触媒を溶質とする水溶液における、溶媒としての水であってもよい。触媒としては、有機酸、無機酸の何れも用いることができる。
また、焼結助剤としては、酸化イットリウム(Y)、酸化カリウム(CaO)を用いることができる。焼結助剤は、窒化アルミニウム粉体の焼成の促進、焼結体の緻密化の目的で添加される。
(1−2)窒化アルミニウム粉体及び窒化アルミニウム焼結体の製造方法
次に、本実施形態の窒化アルミニウム焼結体の製造方法について説明する。図1は、窒化アルミニウム焼結体の製造方法を説明する流れ図である。窒化アルミニウム焼結体の製造方法は、工程S1〜S4を有する。図1に示す工程S1〜S4のうちS1〜S2は、窒化アルミニウム粉体の製造方法である。
工程S1は、加水分解型のアルミニウム化合物を含むアルミニウム含有原料と、炭素含有原料と、水とを混合して原料混合物を生成する工程である。本実施形態では、液状のアルミニウム化合物を用いる。具体的には、液状のアルミニウムアルコキシドを使用することができる。
工程S1において生成された原料混合物は、液状のアルミニウム化合物が加水分解されて生じた加水分解物と炭素含有原料との縮合反応により形成された中間体である。加水分解が効率的に進行すると、加水分解物が多く生成されるので、原料混合物中において、アルミニウムと炭素とを均一に分散させることができる。ここで、加水分解物は、水酸化アルミニウムである。
工程S1において、液状のアルミニウム化合物の加水分解を促進する触媒を添加してもよい。また、適切な触媒を溶質とする触媒水溶液を、アルミニウム含有原料と炭素含有原料との混合系に添加してもよい。この場合、加水分解は、触媒水溶液の溶媒としての水によって進行する。本実施形態では、中間体はゲル状を呈するゲル化合物である。以下、この中間体を前駆体という。
工程S1は発熱反応であるため、冷却しながら反応を進行させる。また、工程S1は、液状のアルミニウム化合物、炭素含有原料の溶液、水とを混合するので、ロール等の装置を使用しない。攪拌混合でよいため、原料を混合する工程を簡便にすることができる。
工程S2は、工程S1で生成された前駆体を炭化処理及び窒化還元処理する工程である。工程S2において、反応系に窒素導入するとともに、前駆体を加熱する。工程S1で生成された前駆体は、酸化アルミニウムを経て、以下の反応式により、窒化アルミニウムを生じる。
Al+3C+N→2AlN+3CO ・・・(1)
従って、反応式(1)に基づいて、アルミニウム元素と炭素元素との配合比を決定することができる。すなわち、Al/C比は、0.67となる。この比率に基づいて各原料を調整する。
工程S1で生成された前駆体に対して、工程S2の炭化処理及び窒化還元処理すると、窒化アルミニウムを粉体として取り出すことができる。加熱条件の一例として、加熱温度は、約1500〜2000℃とすることが好ましい。また、焼成時間は、約30分〜10時間とすることが好ましい
工程S3は、工程S2で炭化及び窒化還元処理によって得られた窒化アルミニウム粉体に焼結助剤を分散させる工程である。
焼結助剤としては、酸化イットリウム(Y)、酸化カリウム(CaO)など、周知の焼結助剤を用いることができる。窒化アルミニウム粉体と焼結助剤とをエタノール等の分散媒に入れて混合し、ボールミルで分散させる。
工程S4は、焼結助剤が分散された窒化アルミニウム粉体を製品形状に成形し、焼成する工程である。
工程S3において、分散が完了した窒化アルミニウム粉体と焼結助剤との混合物をプレス成形し、窒素導入下にて焼成する。ここでの焼成温度は、1800度以上とすることが好ましい。
以上の製造方法により、窒化アルミニウムが微細化された粉体として生成される。更に、生成された窒化アルミニウム粉体に焼結助剤を分散させて焼成することにより、緻密化された窒化アルミニウム焼結体が生成される。
(2)実施例
(2−1)窒化アルミニウムの前駆体の生成
上述した製造方法に基づいて、出発物質である液状のアルミニウム化合物の種類を変えて2種類の前駆体を生成した。具体的に、液状のアルミニウム化合物として、アルミニウムジイソプロピレートモノセカンダリブチレート(AMD;Al(O−iC(O−secC)と、アルミニウムセカンダリブチレート(ASBD;Al(O−secC))とを用いた。炭素含有原料としてフェノール樹脂(PR)を用いた。フェノール樹脂は、樹脂溶液中の炭素原子濃度を50%とした。液状のアルミニウム化合物の加水分解を促進するための触媒としてマレイン酸(MA)水溶液(33%水溶液)を混合した。
各原料の配合量を表1に示す。反応式(1)に基づいて、原料中のAl/C比を0.67とした。
Figure 2010024079
表1に示す実施例1、実施例2ともに、液体のアルミニウム化合物(AMD,ASBD)と、フェノール樹脂と、マレイン酸水溶液とを同時に混合した。混合系を水冷しながら攪拌し反応させた。反応後、薄黄色のゲル状化合物(前駆体)が得られた。
(2−2)前駆体の同定
実施例1で生成された前駆体A(AMD/PR+HOを混合して反応させて得た中間体)の同定を試みた。前駆体Aをイソプロピルアルコールで抽出し、熱分解GC/MS分析を行ったところ、フェノール誘導体に由来する特徴ピークが確認された。また、フェノール誘導体は、3次元網目構造を有することが確認された。
次いで、飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)により、前駆体Aの表面構造を観測した。TOF−SIMSで調べたところ、アルキル基が微量に存在することが判った。従って、AMD由来のアルキル基が減少し、前駆体A中には、アルミニウムアルコキシドが生成されることが確認された。
更に、示差走査熱量分析計(TG−DSC)により、前駆体Aの熱分解挙動を観測した。TG−DSCによれば、前駆体Aは、150〜250度と400〜600度において重量減少が観測された。150〜250度における重量減少は、アルミニウムアルコキシドの脱水に伴うものと考えられる。400〜600度における重量減少は、フェノールの分解に伴うものと考えられる。従って、前駆体Aには、アルミニウムアルコキシドとフェノール誘導体とが存在する。
前駆体Aが単なる混合物である可能性も考えられるため、アルミニウムアルコキシドとフェノールとの混合物を窒化処理して得られた生成物のX線回折を行った。しかし、この結果からは、窒化アルミニウムの単一相が確認できなかった。
このように、アルミニウムアルコキシドとフェノールとの混合物を窒化処理したものから窒化アルミニウムの単一相が得られないことから、前駆体Aは、単なる混合物でないことが確認できた。
以上の結果によると、前駆体Aは、アルミニウムアルコキシドとフェノールとが会合した構造を有すると考えられる。前駆体Aは、アルミニウムアルコキシドとフェノールとの混合物ではないと言える。
(2−3)窒化アルミニウム粉体の生成
実施例1で生成された前駆体Aと、実施例2で生成された前駆体Bに対して、炭化及び窒化還元処理を行った。炭化処理と窒化還元処理とは、同一炉内で実施することができる。
図2は、炭化処理及び窒化還元処理のための温度及び窒素導入プロファイルの一例を示す。すなわち、室温(RT)から温度T1になるまで、所定の昇温速度で温度を上げる。続いて、温度T1から最高温度Tmaxになるまで昇温速度を変えて温度を上げる。温度T1(時刻t1)から所定流量で窒素の導入を開始する。最高温度Tmaxで所定期間保持する(時刻t2〜t3)。時刻t3以降、所定の降温速度で温度を下げる。温度がT2になったところで、ヒータの電源をオフにするとともに窒素の導入を停止した。自然冷却により室温RTまで温度を下げる。
前駆体A,Bに対して、図2のプロファイルに基づいて、表2に示す条件(条件1、条件2)で炭化処理と窒化還元処理とを行った。なお、時刻t1〜t4における窒素の導入量は、10L/分であった。
Figure 2010024079
前駆体A,Bに対して、炭化処理と窒化還元処理とを行ったところ、黒色粉体を得た。生成物に炭素成分が残留していることが予想されたため、大気炉で700度/1時間の熱処理(残留炭素成分の除去)を行った。熱処理後の粉体は、灰色に変わった。
得られた灰色粉体のX線回折を行った。測定されたピークチャートをJCPDSカード25−1133に記載されている窒化アルミニウムの回折線と比較した。結果を図3,図4に示す。
図3の線L11は、前駆体Aに対して、条件1の下で炭化処理及び窒化還元処理を行って得られた粉体のX線回折を測定した結果を示す。図3の線L12は、前駆体Aに対して、条件2の下で炭化処理及び窒化還元処理を行って得られた粉体のX線回折を測定した結果を示す。
図4の線L21は、前駆体Bに対して、条件1の下で炭化処理及び窒化還元処理を行って得られた粉体のX線回折を測定した結果を示す。図4の線L22は、前駆体Bに対して、条件2の下で炭化処理及び窒化還元処理を行って得られた粉体のX線回折を測定した結果を示す。
図3,図4に示すP1〜P5のピークは、窒化アルミニウムの特性ピーク(2θ)を示す。すなわち、P1=59.4°,P2=49.8°,P3=37.9°,P4=36.0°,P5=33.2°である。
図3,図4に示すように、前駆体A,Bの両方とも、最高温度1600℃で保持した場合に、窒化アルミニウムが生成されることが確認された。一方、最高温度1400℃で保持した試料は、窒化アルミニウム以外の成分(未反応成分を含む)の存在が認められた。
前駆体Aから条件1の下で炭化処理及び窒化還元処理を行って得られた窒化アルミニウム粉体の収率は、72.7%であり、残留炭素元素の割合(残炭率という)は、17.6%であった。また、前駆体Bから条件1の下で炭化処理及び窒化還元処理を行って得られた窒化アルミニウム粉体の収率は、59.2%であり、残炭率は、16.3%であった。
前駆体Aから条件1の下で炭化処理及び窒化還元処理を行って得られた窒化アルミニウム粉体を粉体Aという。また、前駆体Bから条件1の下で炭化処理及び窒化還元処理を行って得られた窒化アルミニウム粉体を粉体Bという。
粉体A,Bの外観を走査電子顕微鏡にて観察した。粉体A,Bともに1次粒が形成されていた。2次粒は確認されなかった。粉体Aの平均粒径は、0.6μmであった。粉体Bの平均粒径は、0.4μmであった。すなわち、窒化アルミニウムの粉体である粉体A,Bは、何れも粉砕、分級等の処理を必要とせず、サブミクロン単位の粒径であることが判った。
(2−4)窒化アルミニウム焼結体の製造
続いて、粉体A,Bを用いて窒化アルミニウム焼結体を製造した。窒化アルミニウム焼結体の製造方法では、(2−3)で説明した窒化アルミニウム粉体の製造方法に基づいて生成された粉体A,Bのそれぞれに、焼結助剤を分散させた。焼結助剤として、酸化イットリウム(Y)を使用した。
窒化アルミニウム粉体(粉体A,B)96重量部と、酸化イットリウム4重量部、分散媒としてのエタノール100重量部とを混合し、ボールミルを用いて72時間かけて分散させた。その後、プレス成形900kg/cmを行い、製品形状に成形した。そして、窒素導入下にて、1800度〜1900度で3時間焼成することにより、窒化アルミニウム焼結体を生成した。
粉体Aを用いて、上述の手順で製造された窒化アルミニウム焼結体を焼結体Aという。また、粉体Bを用いて、製造された窒化アルミニウム焼結体を焼結体Bという。
(3)焼結体の特性評価
本発明の実施形態として示す窒化アルミニウム焼結体の製造方法によって製造された焼結体A、Bの特性を評価した。焼結体A,Bの特性を表3に示す。
Figure 2010024079
窒化アルミニウムの理論密度は、3.24g/cmである。焼結体A,Bにおいて、理論密度に近い「かさ密度」が得られたことから、焼結体A,Bが良好に緻密化されている、すなわち、フル密度に近い状態になっていることが確認された。
更に、焼結体A,Bのプラズマ耐性を評価した。結果を図5に示す。図5は、焼結体A,Bにプラズマ処理を行ったときの損耗量(μg/cm)を示す。損耗量は、重量を測定し、減少した質量をプラズマ照射面の面積で除することにより算出した。
図5に示すように、焼結体Aの損耗量は、15μg/cm程度であった。また、焼結体Bの損耗量は、82μg/cm程度であった。すなわち、前駆体Bから生成された焼結体Bは、前駆体Aから生成された焼結体Aよりも損耗量が大きいことが判った。
(4)作用・効果
本実施形態に係る窒化アルミニウム焼結体の製造方法によれば、加水分解型のアルミニウム化合物を含有するアルミニウム含有原料と炭素含有原料と水とを混合すると、アルミニウム含有原料と炭素含有原料とが高度に均一に分散された状態で縮合された混合物(前駆体A,B)が生成される。このように、原料元素が均一に分散された混合物を用いることにより、炭化処理及び窒化還元処理の反応効率を向上することができる。
本実施形態に係る窒化アルミニウム焼結体の製造方法によれば、上述した混合物(前駆体A,B)を窒素雰囲気下で加熱すると、窒化アルミニウムが微細化された粉体(粉体A,B)として取り出されるので、塊状の窒化アルミニウムを粉砕する工程が必要ない。更に、窒化アルミニウム粉体(粉体A,B)と焼結助剤とを混合するステップにおいて、窒化アルミニウム粉体に対する焼結助剤の分散性を向上させることができる。
焼成の際、焼結助剤は、窒化アルミニウムの粒子間で融解して液相を生じる。この液相によって、窒化アルミニウムの粒子間の空隙が埋められることにより、窒化アルミニウムの粒子同士が引き付けられる。
本実施形態に係る窒化アルミニウム焼結体の製造方法によれば、焼結助剤は、窒化アルミニウムの粒子間に良好に分散されるので、窒化アルミニウムの粒子間の空隙が確実に埋められ、窒化アルミニウムの焼結体が緻密に形成される。このため、焼成時に、窒化アルミニウムの焼結体に未焼結部分や欠陥部分が形成されることを防止することができる。
従って、本実施形態に係る窒化アルミニウム焼結体の製造方法によれば、窒化アルミニウムの焼結体の耐プラズマ特性を向上させることができる。
本実施形態の工程S1では、加水分解型の液状のアルミニウム化合物の加水分解反応を促進するための触媒を添加すると、液状のアルミニウム化合物から水酸化アルミニウムが効率よく生成されて、水酸化アルミニウムとフェノール樹脂とが高度に均一に分散された状態を形成しやすくなる。従って、炭化処理及び窒化還元処理の反応効率をより向上させることができる。これにより、窒化アルミニウム粉体の収率を向上させることができる。
本実施形態の工程S2では、混合物(前駆体A,B)を1600℃に加熱することが好ましい。これにより、炭化処理及び窒化還元処理の反応効率を向上させることができる。
(5)その他の実施形態
上述したように、本発明の一実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態が明らかとなろう。
実施形態では、アルミニウム含有原料として、AMD、ASBDを使用したが、加水分解型の有機アルミニウム化合物であればよい。例えば、粉体のアルミニウムイソプロピレート、液状のアルミニウムセカンダリブチレート、粉末のアルミニウムエチレートなどを使用することができる。
実施形態では、焼結助剤として、酸化イットリウム(Y)、酸化カリウム(CaO)を挙げた。しかし、酸化イットリウム、酸化カリウムに限定されない。窒化アルミニウムの融点よりも低い融点を有し、窒化アルミニウムと反応しない物質は、焼結助剤として使用できる。
実施形態では、マレイン酸水溶液中のマレイン酸を酸触媒とした。しかし、触媒は、マレイン酸に限定されない。有機酸、無機酸の何れも触媒として用いることができる。触媒の添加量を増量すると、液状のアルミニウム化合物の加水分解反応が促進されるので、窒化アルミニウム粉体の収率を向上させることができる。
但し、本実施形態の工程S2では、触媒(マレイン酸)中に含まれる炭素元素は、飛散しないで粉体に取り込まれると考えられる。そこで、触媒として炭素元素を含む有機酸を用いた場合には、窒化アルミニウム粉体に残留する炭素成分を除去処理を十分に行うとよい。このように、窒化アルミニウムの生成後に、窒化アルミニウムに残留する炭素成分を除去する処理を行うことを考慮すると、炭素元素を含まない無機酸を触媒として使用するとよい。
本実施形態の工程S2における炭化処理及び窒化還元処理の時間は、適宜選択可能である。炭化処理及び窒化還元処理を十分に行うとにより、窒化アルミニウム粉体の収率を向上させることができる。
工程S2の前段階において、前駆体を乾燥する乾燥工程を行ってもよい。乾燥方法としては、真空乾燥が挙げられる。前駆体の乾燥時間の経過に連れて、前駆体が配置された配置空間の真空度を段階的に低下させてもよい。
工程S1は発熱反応であるため、反応中は、系を冷却する必要がある。そこで、反応の終了時点で冷却を停止することにより、系の余熱によって生成後の前駆体を乾燥することもできる。
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
本発明の実施形態に係る窒化アルミニウム焼結体の製造方法を説明する流れ図である。 炭化処理及び窒化還元処理のための温度及び窒素導入プロファイルを説明する説明図である。 炭化処理及び窒化還元処理後に得られた粉体AのX線回折結果を示す図である。 炭化処理及び窒化還元処理後に得られた粉体BのX線回折結果を示す図である。 焼結体A,Bに対してプラズマ照射を行ったときの損耗量(μg/cm)を説明する説明図である。

Claims (6)

  1. 加水分解型のアルミニウム化合物を含有するアルミニウム含有原料と、炭素を含有する炭素含有原料と、水とが混合された混合物を生成するステップと
    前記混合物を窒素雰囲気下で加熱させることによって、窒化アルミニウム粉体をを生成するステップと、
    前記窒化アルミニウム粉体と、前記窒化アルミニウム粉体の焼成を促進させる焼結助剤とを混合するステップと、
    前記焼結助剤が混合された前記窒化アルミニウム粉体を焼成して焼結体を生成するステップと
    を含む窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  2. 前記混合物を生成するステップでは、液状のアルミニウム化合物が前記アルミニウム含有原料として用いられるとともに、前記液状のアルミニウム化合物が前記水により加水分解された加水分解物と前記炭素含有原料との混合物が生成される請求項1に記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  3. 前記液状のアルミニウム化合物は、アルミニウムアルコキシドである請求項2に記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  4. 前記混合物を生成するステップでは、化学反応の速度を速める触媒を含む水溶液が添加され、
    前記加水分解は、前記水溶液に含まれる水によって行われる請求項3に記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  5. 前記窒化アルミニウム粉体を生成するステップでは、前記混合物を1,600℃に加熱する請求項1乃至4の何れか一項に記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  6. 前記混合物は、ゲル化合物である請求項1に記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
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