JP2010022928A - 消泡剤及びこれを用いたインクジェットインク - Google Patents

消泡剤及びこれを用いたインクジェットインク Download PDF

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Abstract

【課題】低表面張力の水溶液の発泡に対して優れた消泡効果を示す消泡剤、及び該消泡剤を含む低起泡性のインクジェットインクの提供。
【解決手段】下記式(1)で示されるフッ素化合物と、フッ素系界面活性剤からなる消泡剤とする。
Figure 2010022928

上記式(1)中、nはそれぞれ独立して、1〜4の整数を表し、Rは水素又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rfは、それぞれ独立して、直鎖状又は分岐鎖状で、水素原子の50%以上がFで置換された炭素数1〜4のフルオロアルキル基を表す。
【選択図】なし

Description

本発明は、フッ素化合物と界面活性剤とを含む消泡剤及びこれを用いたインクジェットインクに関する。
従来、種々の技術分野で消泡剤が用いられている。消泡剤は泡の気液界面に進入・拡張を行うことで界面の表面状態を不均一化し、表面エネルギーの偏在により界面の安定性を低下させ、泡を破壊する。消泡剤が効果を奏するためには、拡散係数(=泡の表面張力−消泡剤の表面張力−界面張力)が正である必要がある。しかし、泡の表面張力が低い溶液では拡散係数が正になりにくく、従来の消泡剤では消泡機能が発揮されにくい。
そこで、消泡剤の表面張力を大幅に下げるべく、フルオロ基を導入したフルオロシリコーンを用いた消泡剤が提案されている(特許文献1)。
しかし、このフルオロシリコーンは、有機溶剤に対しては良好な消泡効果を示すが、水に対する溶解性が低いため、水系での消泡効果が不十分であった。
また、泡を好まない低表面張力(例えば30mN/m以下)の水溶液の一つにインクジェットインクがある。インクジェットによるインク吐出では、インクに圧力を付与して微小ノズルから噴出させるが、インク液中に泡を含むと、液体にかかる圧力を泡が吸収することにより圧力の伝達を阻害し、正常なインク吐出が出来ないようになってしまう。
そこで、特許文献2には、インクジェットインクに消泡剤として界面活性剤を添加する方法が開示されている。しかし、低表面張力のインクに対する効果は不十分であり、インクの吐出信頼性を確保することは難しい。
また、特許文献3には、インクジェットインクに疎水性シリカを展開した消泡剤を用いることが開示されている。しかし、粗大粒子がノズル近傍に固着して吐出障害を引き起こすこと、シリカ粒子が液室やオリフィス部を削ってしまうこと、疎水性シリカが濾過プロセスで除去されてしまい、十分な消泡性が確保できなくなることなどの問題がある。
また、特許文献4では、低気泡性の界面活性剤を用いたインクが開示されている。しかし、このような界面活性剤を用いると、他の構成成分との組合せに大幅な制限が課せられ、表面張力以外の物性やインクの性能を向上させることが難しくなる。
特開平06−121905号公報 特開平06−228481号公報 特開2004−059913号公報 特開2006−316243号公報
本発明は、低表面張力の水溶液の発泡に対して優れた消泡効果を示す消泡剤、及び該消泡剤を含む低起泡性のインクジェットインクの提供を目的とする。
上記課題は次の1)〜8)の発明によって解決される。
1) 水を主成分とする液体に対して用いられる消泡剤であって、下記式(1)又は(2)で示されるフッ素化合物と、界面活性剤とを含むことを特徴とする消泡剤。
Figure 2010022928
Figure 2010022928
上記式(1)又は式(2)中、Rfは、それぞれ独立して、直鎖状又は分岐鎖状で水素原子の50%以上がフッ素で置換された炭素数1〜4のフルオロアルキル基を表し、Rは水素又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。mはそれぞれ独立して、1〜4の整数を表し、nは正の整数を表す。
2) フッ素化合物が下記式(3)で示されるものであることを特徴とする1)記載の消泡剤。
Figure 2010022928
式中、Rfは−CF又は−Cを表し、nは6〜20の整数を表す。
3) 界面活性剤がフッ素系界面活性剤であることを特徴とする1)又は2)記載の消泡剤。
4) フッ素系界面活性剤が下記式(4)で示されるものであることを特徴とする3)記載の消泡剤。
Figure 2010022928
式中、Rfは−CF又は−Cを表し、Rは−H又は−CHを表し、R′は−H、−COCH、−COCFのいずれかを表す。yは1〜15の整数を表し、xはy≧xを満たす正の整数を表し、zは1〜100の整数を表す。
5) フッ素系界面活性剤が下記式(5)で示されるものであることを特徴とする3)記載の消泡剤。
Figure 2010022928
式中、Rfは−CF又は−Cを表し、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、プロトン配位したアミン類、4級アンモニウムイオンのいずれかを表す。yは1〜15の整数を表し、xはy≧xを満たす正の整数を表す。
6) 前記式(1)で示されるフッ素化合物が界面活性剤により乳化され、O/Wエマルジョンとなっていることを特徴とする1)記載の消泡剤。
7) 色材、水溶性有機溶剤、インク用の界面活性剤、水を含み、1)〜6)のいずれかに記載の消泡剤が添加されていることを特徴とするインクジェットインク。
8) インク用の界面活性剤と消泡剤を構成する界面活性剤とが同一であることを特徴とする7)記載のインクジェットインク。
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明の消泡剤は、前記式(1)又は(2)で示されるフッ素化合物と界面活性剤とを含む。
本発明の消泡剤が水系の消泡剤として有効である理由は明確ではないが、以下のように推測される。
前記式(1)で示されるフッ素化合物は、ポリエーテルの主骨格に対し側鎖にフルオロ基を有する点でフルオロシリコーンに類似しているが、主骨格からエーテル結合を介してフルオロ基が結合しており、また主骨格の炭素原子に主に水素が結合しているため、主骨格周囲がメチル基で覆われているシリコーンよりも親水性が格段に高い。またSi−O結合より一般的なC−Oからなるエーテル結合の方が耐加水分解性が高いため、水系に用いる消泡剤としては安定に存在することが可能となっている。このように主鎖の親水性がフルオロシリコーンより高いため、水系においてはフルオロ基と主鎖の親媒性が大きく異なり、界面活性剤としての性能を発揮することが可能となったと推測される。
また前記式(2)で示されるフッ素化合物は、フルオロ基を有するジオールがエーテル結合により繰り返し構造になっているため、フルオロ基が分子全体に広く分散して存在し、かつ単位構造的に見ると分離する構造となっている。このような構造では液膜表面にフルオロ基を配向させることで液面表面を広く占有することができ、分子が配向し配列しにくいため分子間の相互作用が弱い状態となり、液面への吸着力は高いが膜強度が弱いものとなる。そのためこのフッ素化合物を添加した系では、フッ素化合物の液面への吸着と、それによる表面の膜強度が弱いものとなり、泡の安定化が阻害され消泡効果を得ると推測される。
前記式(1)で示されるフッ素化合物の中でも、前記式(3)で示される短鎖のフルオロ基を有するオリゴマーがより好ましい。なお、式(3)のフッ素化合物の一例として、実施例で用いたOMNOVA製フッ素化合物「Polyfox PFシリーズ」を挙げることができる。
消泡剤としての機能を果たすためには、泡のラメラ膜内に流入できるように、フッ素化合物は柔軟で液状であることが望ましく、そのためにはポリマーよりもオリゴマーの方が望ましい。また、疎水疎油性を示すフルオロ基は剛直性が高いため、短鎖である方が分子全体の柔軟性に富み、消泡性に関して良好な働きが得られる。
フルオロ基が長鎖であると主鎖の親媒性に対するバランスを欠きやすく、分子内のフルオロ基が強く相互作用を持つようになり分子の広がりを抑制することになる。その結果、液表面への吸着力が落ちてしまうため、消泡性が低下すると推測される。
更にフッ素系化合物であるパーフルオロオクタン酸(PFOA)に関して、生態蓄積性や有害性が懸念されている。パーフルオロアルキル酸ではパーフルオロアルキル基の鎖長に応じて生態排出性が異なっており、短鎖になるほど生態排出性が良いことが知られている。パーフルオロアルキルエーテル型界面活性剤は、自然界での分解過程でパーフルオロアルキルアルコールを経て酸化され、パーフルオロアルキル酸となる。そのため長鎖のフルオロアルキル鎖を有するフッ素系界面活性剤は、環境放出後の生成物質が生態蓄積する可能性が高く、炭素数4以下の短鎖のフッ素系界面活性剤の方が安全性の面で好ましい。
消泡剤としては適度な親媒性を持つ必要はあるが、溶解性が高いと消泡性を十分に発揮することが出来ない。本発明に係るフッ素化合物は適度な親水性を有しているが、溶解するほど溶解度が高くはない。そのため、該フッ素化合物と界面活性剤とを共存させることにより、溶解には不足する親媒性を補助し、水系で分散又は可溶化して消泡性を発揮することが出来る。
本発明で用いる界面活性剤は、本発明に係るフッ素化合物を水系に良好に分散させる能力が必要であるが、一時的な破泡に関しては、分散状態が不安定であると破泡効果が向上することがあるため、使用用途に応じて適宜選択する。
また、本発明で用いる界面活性剤の特性としては、単独での起泡性が低いことも望まれる。このような特性を満たす物としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい
また本発明に係るフッ素化合物に対して親和性のよいフッ素系界面活性剤を用いることも望ましい。フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、パーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル及びその塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン類、パーフルオロアルキルアミン及びその塩、もしくは4級化物、パーフルオロアルキル鎖を側鎖に有するポリマー化合物などが挙げられる。これらの界面活性剤は、1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい
更にフッ素系界面活性剤と上記のフルオロ基を含まない界面活性剤を混合して用いてもかまわない。
界面活性剤として、前記式(4)で示されるフッ素系界面活性剤を用いると、本発明に係るフッ素化合物の分散性が向上し消泡性が良好となる。なお、式(4)のフッ素系界面活性剤の一例として、実施例で用いたOMNOVA製フッ素系界面活性剤「水系ノニオンPolyfox」を挙げることができる。
特にRfの鎖長は、混合するフッ素化合物に近い方がフッ素化合物の分散性が良好となる。また、構造単位の繰り返し数yが多くなるほどオリゴマーの浸透力が低下するため、フッ素化合物の分散性が低下しやすく、yは15以下、望ましくは10以下のとき良好な分散状態を得ることが出来る。更にポリオキシアルキレンの繰り返し数zは、少なすぎると界面活性剤の水溶性を失うこととなるため8以上が望ましく、更に望ましくは15以上である。オリゴマーの末端基R′は、水素よりもアセチル基の方がオリゴマー分子の分解を抑制することが出来るため望ましい。また、この界面活性剤による起泡性は低いので、本発明で用いるには最適な分散剤となりうる。
また、界面活性剤として、前記式(5)で示されるフッ素系界面活性剤を用いると、本発明に係るフッ素化合物の泡への浸透性が向上し消泡性が良好となる。なお、式(5)のフッ素系界面活性剤の一例として、実施例で用いたOMNOVA製フッ素系界面活性剤「水系アニオンPolyfox」を挙げることができる。
この界面活性剤もRfの鎖長は混合するフッ素化合物に近い方がフッ素化合物の分散性が良好となる。また、構造単位の繰り返し数yが多くなるほどオリゴマーの浸透力が低下するため、消泡効果が低下しやすく、yは15以下、望ましくは10以下のとき良好な消泡状態を得ることが出来る。
上記フッ素化合物と界面活性剤を、消泡や抑泡したい水溶媒の消泡系に添加することにより消泡性を付与することが出来るが、添加前にフッ素化合物と界面活性剤とを混合してから加えることが望ましい。更に混合した物に少量の水を加えてW/Oエマルジョンとした後、攪拌しつつ水を加えて転相乳化し、O/Wエマルジョンへ加工したものを用いることにより、消泡対象系への分散性が向上し、消泡効果も向上する。
フッ素化合物と界面活性剤の添加方法は、これらの混合物と水とをホモミキサーなどで強制混合して消泡対象系に添加する方法や、これらをエチルアルコールなどの希釈溶媒に溶解させ消泡対象系に添加する方法、これらをそれぞれ消泡対象系に添加した後、ホモミキサーなどで強制混合する方法などが利用できる。
更に発泡して泡立っている系に対して、O/Wエマルジョンへ加工した物や、アルコールに希釈した物を、泡上部から滴下、及びスプレー散布することにより消泡させることが可能となる。
本発明の消泡剤は、その機能から水系のインクジェットインクに利用することが出来る。以下、インクジェットインクの構成要素について詳しく説明する。
本発明の消泡剤をインクに用いると、インクの起泡性を抑制し、発泡した泡を素早く消泡することが可能となる。添加方法としては、フッ素化合物と界面活性剤を水と混ぜてO/Wエマルジョンを作成し、それをインクへ添加する方法が、フッ素化合物を均一にインク内に分散することができ、消泡効果も向上しやすい。
また、本発明の消泡剤以外に、一般的に利用されている消泡剤を併用することも可能である。例えばシリコーン消泡剤、ポリエーテル消泡剤、脂肪酸エステル消泡剤などが挙げられるが、これらの中でも破泡効果に優れる点でシリコーン消泡剤との併用が好ましい。併用する消泡剤は1種でも2種以上でもよい。
前記シリコーン消泡剤としては、例えば、オイル型シリコーン消泡剤、コンパウンド型シリコーン消泡剤、自己乳化型シリコーン消泡剤、エマルジョン型シリコーン消泡剤、変性シリコーン消泡剤、などが挙げられる。該変性シリコーン消泡剤としては、例えば、アミノ変性シリコーン消泡剤、カルビノール変性シリコーン消泡剤、メタクリル変性シリコーン消泡剤、ポリエーテル変性シリコーン消泡剤、アルキル変性シリコーン消泡剤、高級脂肪酸エステル変性シリコーン消泡剤、アルキレンオキサイド変性シリコーン消泡剤、などが挙げられる。これらの中でも、水系のインクジェットインクに対しては、自己乳化型シリコーン消泡剤、エマルジョン型シリコーン消泡剤が好ましい。
前記併用する消泡剤としては、市販品を使用してもよく、例えば、信越化学工業社製のシリコーン消泡剤(KS508、KS531、KM72、KM85等)、東レ・ダウ・コーニング社製のシリコーン消泡剤(Q2−3183A、SH5510等)、日本ユニカー社製のシリコーン消泡剤(SAG30等)、旭電化工業社製の消泡剤(アデカネートシリーズ等)、などが挙げられる。
インク中の消泡剤の割合は特に制限はなく、適宜選択することができるが、0.001〜3重量%程度が好ましく、0.05〜0.5重量%程度がより好ましい。消泡剤により、特に吐出安定性が向上するが、0.001重量%未満では含有効果が十分でないことがあり、3重量%を超えると、インクから分離した消泡剤が吐出不良の原因となる可能性が高くなり、インクの信頼性が悪くなることがある。
一般的な消泡剤を併用し、破泡効果を高めるため無機微粒子を多量に含有するものを用いる場合は、インク中の粒径0.5μm以上の粗大粒子を3.0×10(個/5μl)とし、かつ粒径が1μm以上5μm未満の粒子の粗大粒子に対する割合を1個数%以下とする必要があるため、無機微粒子を必要に応じて除去する。
インク用の色材(着色剤)については、耐候性の面から主として顔料が用いられるが、色調調整の目的で、耐候性を劣化させない範囲内で水溶性染料を含有させても構わない。特に好ましいのは、酸性染料及び直接性染料である。
無機顔料としては、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、特に水と親和性の良いものが好ましく用いられる。
これら顔料の好ましい形態は、顔料の表面に少なくとも1種の親水基が直接又は他の原子団を介して結合しているように表面改質されたものである。そのためには、顔料の表面に、ある特定の官能基(スルホン基やカルボキシル基等の官能基)を化学的に結合させるか、あるいは、次亜ハロゲン酸及び/又はその塩を用いて湿式酸化処理するなどの方法が用いられる。中でも好ましいのは、顔料の表面にカルボキシル基が結合され、水中に分散されている形態である。この場合、顔料の表面にカルボキシル基が結合しているので分散安定性が向上し、高品位な印字品質が得られると共に、印字後の記録媒体の耐水性が一層向上する。
また、この形態の顔料を用いたインクは乾燥後の再分散性に優れるため、長期間印字を休止し、インクジェットヘッドのノズル付近のインクの水分が蒸発した場合も目詰まりを起こさず、簡単なクリーニング動作で容易に良好な印字が行えるようになる。また、この自己分散型の顔料は、後述する界面活性剤及び浸透剤と組み合わせた時に、特に相乗効果が大きく、より信頼性の高い、高品位な画像を得ることが可能となる。
上記形態の顔料に加え、ポリマー微粒子に顔料を含有させたポリマーエマルジョンを使用することも可能である。顔料を含有させたポリマーエマルジョンとは、ポリマー微粒子中に顔料を封入したもの、及び/又はポリマー微粒子の表面に顔料を吸着させたものである。この場合、全ての顔料が封入及び/又は吸着している必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲で顔料がエマルジョン中に分散していてもよい。
ポリマーエマルジョンを形成するポリマーとしてはビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー等が挙げられる。特に好ましいのはビニル系ポリマー及びポリエステル系ポリマーであり、例えば特開2000−53897号公報、2001−139849号公報に開示されているポリマーが挙げられる。
インク中の着色剤の割合は1〜15重量%程度が好ましく、より好ましくは3〜12重量%程度である。
インク用の湿潤剤としては、水素結合しやすく、単独では粘度が高く、平衡水分量が高く、水分の存在下では粘度が低下するようなものを用いる。
具体例としては、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールなどの多価アルコールが挙げられる。中でもグリセリンは、水分蒸発に伴い粘度が急激に上昇するが、着色剤の凝集を押さえ、粒径が大きくなるのを防ぐ効果が高いため、湿潤剤全体の20%以上添加するとよい。またグリセリンは平衡水分量等の面からも好ましい。
グリセリンと併用される湿潤剤としては、アルキルジオールが望ましい。特にブタンジオール、ヘキサンジオールは、グリセリンと同様に平衡水分量が高く、信頼性を向上させえる上に、インクが紙に着弾した際の画素の広がりを均一にし、更には色材を紙表面に留める効果も高い。グリセリンは信頼性向上効果が高いが、多量に添加すると画質が悪くなり、また水分蒸発後の粘度上昇が大きくなりすぎて、吐出安定性も悪くなる場合がある。そこで、グリセリンとアルキルジオールの混合比は好ましくは1:5〜5:1、更に好ましくは1:1〜1:4とする。
インク中の湿潤剤の割合は、10〜40重量%が好ましく、より好ましくは25〜35重量%の範囲である。湿潤剤量が少ないとインクの保存安定性・吐出安定性が悪くなり、ノズルの目詰まりが起こりやすくなる。また湿潤剤量が多すぎると、乾燥性が悪くなり、文字の滲みや色境界の滲みが発生し、画像品質が低下することになる。
インク用の界面活性剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤を用いることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどのアセチレングリコール系〔例えばエアープロダクツ社(米国)のサーフィノール104、82、465、485、TGなど〕を用いることができるが、特にサーフィノール465、104やTGが良好な印字品質を示す。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー及びその硫酸エステル塩、フッ素系脂肪族系ポリマーエステルが挙げられる。このようなフッ素系界面活性剤の市販品を挙げると、サーフロンS−111、S−112、S−113、S121、S131、S132、S−141、S−145(旭硝子社製)、フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431、FC−4430(住友スリーエム社製)、FT−110、250、251、400S(ネオス社製)、ゾニールFS−62、FSA、FSE、FSJ、FSP、TBS、UR、FSO、FSO−100、FSN N、FSN−100、FS−300、FSK(Dupont社製)、ポリフォックスPF−136A、PF−156A、PF−151N(OMNOVA社製)などがある。
また、上記界面活性剤以外に、各種のアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、及び両性界面活性剤を用いることができる。
アニオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、琥珀酸エステルスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ジメチルアルキル(ヤシ)ベタイン等が挙げられる。
このような界面活性剤は界面活性剤メーカーから容易に入手できる。
上記界面活性剤の中から、色材の種類や湿潤剤、水溶性有機溶剤の組合せにより、分散安定性を損なわないものを選択して用いる。
上記インク用の界面活性剤は、本発明の消泡剤を構成する界面活性剤と同一であっても良い。同一の界面活性剤を用いることにより、フッ素化合物のインク中での分散状態を安定に保つことができ、インクの保存安定性と消泡性の持続に寄与する。更に界面活性剤を同一とすることにより、分散と浸透に用いる添加量に無駄を生じず、少量で最適量とすることができる。
上記インク用の界面活性剤は、単独で用いても、複数のものを混合して用いてもよい。単独では記録液中で容易に溶解しない場合も、混合することで可溶化され、安定に存在することができる。
インク中の界面活性剤の割合は、浸透性の効果を発揮するためには0.01〜5重量%とすることが望ましい。0.01重量%未満では添加効果が無く、5.0重量%より多いと記録媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けの発生などの問題が発生する。多くの物性の普通紙に対応するためには0.5〜2重量%がより好ましい。
インク用の浸透剤としては、20℃の水に対する溶解度が0.2重量%以上5.0重量%未満のポリオールの少なくとも1種を用いることが望ましい。
ポリオールとしては脂肪族ジオールが挙げられ、具体例として2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。これらの中で最も望ましいのは、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールである。
その他の併用できる浸透剤としては、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、エタノール等の低級アルコール類などが挙げられるが、インク中に溶解し、所望の物性に調整できるものであれば、これらに限らない。
インク中の浸透剤の割合は、0.1〜4.0重量%の範囲が望ましい。0.1重量%よりも少ないと速乾性が得られず滲んだ画像となる。逆に4.0重量%よりも多いと、着色剤の分散安定性が損なわれ、ノズルが目詰まりしやすくなったり、また記録媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けの発生といった問題が発生する。
インク用の水分散性樹脂としては、縮合系合成樹脂(ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、珪素樹脂など)や付加系合成樹脂(ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂など)、天然高分子(セルロース類、ロジン類、天然ゴムなど)が挙げられる。樹脂はホモポリマーとして用いても、コポリマーにして複合系樹脂として用いても良く、単相構造型、コアシェル型、パワーフィード型エマルジョンの何れのものも使用できる。また、樹脂自身に親水基を持ち自己分散性を持つもの、樹脂自身は分散性を持たず界面活性剤や親水基をもつ樹脂により分散性を付与したものが使用できる。特にポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂のアイオノマーや不飽和単量体の乳化及び懸濁重合によって得られた樹脂粒子のエマルジョンが最適である。不飽和単量体の乳化重合の場合、不飽和単量体、重合開始剤、及び界面活性剤、連鎖移動剤、キレート剤、pH調整剤などを添加した水中で反応させて樹脂エマルジョンを得るため、容易に水分散性樹脂を得ることができ、樹脂構成を容易に替えやすいため目的の性質を作りやすい。
使用可能な不飽和単量体としては、不飽和カルボン酸類、(メタ)アクリル酸エステル単量体類、(メタ)アクリル酸アミド単量体類、芳香族ビニル単量体類、ビニルシアン化合物単量体類、ビニル単量体類、アリル化合物単量体類、オレフィン単量体類、ジエン単量体類、不飽和炭素を持つオリゴマー類などが挙げられる。これらを単独で又は複数組み合わせて用いることにより、柔軟に水分散性樹脂の性質を改質することが可能である。また、オリゴマー型重合開始剤を用いて重合反応、グラフト反応を行うことにより水分散性樹脂の特性を改質することもできる。
また、このような水分散性樹脂は、強アルカリ性、強酸性下では分散破壊や加水分解などの分子鎖の断裂が引き起こされるため、pHは4〜12が望ましい。特に水分散着色剤との混和性から、pHが6〜11がより好ましく、pHが7〜9が更に好ましい。
水分散性樹脂の粒径は分散液の粘度と関係しており、組成が同じものでは粒径が小さくなるほど同一固形分での粘度が大きくなる。インク化した時に過剰な高粘度にならないためにも水分散性樹脂の平均粒子径は50nm以上が望ましい。また粒径が数十μmになるとインクジェットヘッドのノズル口より大きくなるため使用できない。ノズル口より小さくても粒子径の大きな粒子がインク中に存在すると吐出性を悪化させることはよく知られている。インク吐出性を阻害させないためには平均粒子径が500nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましい。
水分散性樹脂は水分散着色剤を紙面に定着させる働きを持ち、常温で被膜化して色材の定着性を向上させる役割を果たす。そのため最低造膜温度(MFT)が常温以下(20℃以下)であることが好ましい。しかしガラス転移点が−40℃以下になると、樹脂皮膜の粘稠性が強くなり印字物にタックが生じるため、ガラス転移点が−30℃以上の水分散性樹脂であることが望ましい。
その他のインク用の添加剤としては、pH調整剤、防腐防黴剤、キレート剤、防錆剤などがあるが、これらに限定されるものではない。
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずにpHを所望の値に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができる。
本発明のインクは、インク流路内のインクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用い、インク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの(特開平2−51734号公報参照)、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させるいわゆるサーマル型のもの(特開昭61−59911号公報参照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることにより、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のもの(特開平6−71882号公報参照)などの何れのインクジェットヘッドを搭載するプリンタにも良好に使用できる。
本発明のインクは、インクジェット記録方式による画像形成装置(プリンタ等)において好適に使用することができ、例えば、印字又は印字前後に被記録用紙及び前記記録用インクを50〜200℃で加熱し、印字定着を促進する機能を有するプリンタ等に使用することもできる。また、インクカートリッジ、インクジェット記録方法にも適用できる。
本発明によれば、低表面張力の水溶液の発泡に対して優れた消泡効果を示す消泡剤、及び該消泡剤を含む低起泡性のインクジェットインクを提供できる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1〜22、比較例1〜8
以下の手順で実施例1〜25の消泡剤を作成した。ただし、消泡剤の作成方法は、これに限定されるものではない。
まず、フッ素化合物、界面活性剤を均一に混合した。次に、この混合液を攪拌しながら水を少しずつ添加し、粘度が最大となる近辺で十分に攪拌を行い、粘度が最大値を超えた後に、残量分の水で希釈して評価に用いる消泡剤を得た。
一方、比較例1〜4では、本発明に係るフッ素化合物又は界面活性剤を単独で用い、比較例5では公知の界面活性剤を単独で用い、比較例6〜8では公知の消泡剤を用いた。
なお、各材料の配合割合(重量%)は表1〜表4に示すとおりである。
上記実施例及び比較例の各消泡剤について以下の評価を行った。
<分散性評価>
高さ65mm×内径27mmの蓋付きガラス瓶に、水10gに対し消泡剤0.01gを加えた混合液を入れ、軽く5回振った後の液状態を評価した。評価基準は次のとおりである。
○:均等に分散
△:表層に分離
×:沈降
<破泡性評価>
Dupont社製Zonyl FS−300の1.0重量%水溶液10gを、高さ65×内径27mmの蓋付きガラス瓶に入れて密封した後、IKA製ロータリーシェーカー:IKA−Vibraxに、該ガラス瓶を横に向けて固定し、180rpmで1分間振動を与え起泡させた。
次いで、ガラス瓶を静置したのち蓋を開け、消泡剤を0.01g滴下し、10分後の泡の状態を評価した。評価基準は次のとおりである。
○:約75%以上の泡が消えている。
△:約50%以上75%未満の泡が消えている。
×:約50%を超える泡が残っている。
<抑泡性評価>
Dupont社製Zonyl FS−300の1.0重量%水溶液10gと、消泡剤0.01gを、高さ65×内径27mmの蓋付きガラス瓶に入れて密封した後、IKA製ロータリーシェーカー:IKA−Vibraxに、該ガラス瓶を横に向けて固定し、180rpmで1分間振動を与え起泡させ、発生した泡の状態を評価した。評価基準は次のとおりである。
○:瓶の約50%以上の空間が空いている。
△:瓶の約20%以上50%未満の空間が空いている。
×:瓶の約20%未満の空間が空いている。
評価処方及び評価結果を表1〜表4に示す。なお、表中の商品名で示された材料の詳細は次のとおりである。
・Polyfox PF636:OMNOVA製フッ素化合物
式(3)、n=6、Rf=−CF
・Polyfox PF656:OMNOVA製フッ素化合物
式(3)、n=6、Rf=−C
・Polyfox PF6320:OMNOVA製フッ素化合物
式(3)、n=20、Rf=−CF
・Polyfox PF6520:OMNOVA製フッ素化合物
式(3)、n=20、Rf=−C
・Polyfox AT−1202:OMNOVA製フッ素系界面活性剤
式(4)、y=6、z=20、Rf=−C、R=H、R′=−COCH
・Polyfox PF−151N:OMNOVA製フッ素系界面活性剤
式(4)、y=8、z=20、Rf=−C、R=H、R′=−H
・Polyfox AT−1176C:OMNOVA製フッ素系界面活性剤
式(5)、y=7、Rf=−CF、M=Na
・Polyfox AT−1182C:OMNOVA製フッ素系界面活性剤
式(5)、y=7、Rf=−C、M=Na
・Zonyl FSO−100:Dupont製ポリオキシエチレンパーフロロアルキルエーテル型ノニオン製フッ素系界面活性剤
・Zonyl FS−300:Dupont製ポリオキシエチレンパーフロロアルキルエーテル型ノニオン製フッ素系界面活性剤
・KS508:信越化学製自己乳化型シリコーン消泡剤
・FS1265 1000CS:東レ・ダウコーニング製フルオロシリコーン消泡剤
・プロナール502:東邦化学工業製ポリオキシプロピルポリオキシエチレン型消泡剤
・レオドールTW−S120V:花王製ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート
Figure 2010022928
Figure 2010022928
Figure 2010022928
Figure 2010022928
表1〜表4から、実施例の消泡剤は、分散性を確保しつつ消泡性能(破泡性及び/又は抑泡性)を有することが判る。また、実施例1〜8のように、式(5)で示される界面活性剤を用いると破泡性を向上させることができ、初期的な起泡状態に対して有効な消泡剤となること、実施例9〜12のように、式(4)で示される界面活性剤を用いると、破泡効果も有しつつ優れた抑泡効果を示し、持続的に効果を示す消泡剤となることが判る。
これは、式(5)の界面活性剤を用いると、分散性が低いため、破泡効果は良好であるが(分散状態が不安定である方が破泡効果は高い)、時間が経つと分散粒子〔フッ素化合物及び式(5)の界面活性剤からなる粒子〕が沈み、泡に作用しなくなるのに対し、式(4)の界面活性剤を用いると、分散性が良好となるため、破泡効果はそれほどでもないが、時間が経っても分散粒子〔フッ素化合物及び式(4)の界面活性剤からなる粒子〕が沈まずに泡に作用することによると考えられる。
一方、本発明に係るフッ素化合物単独(比較例1、2)では分散性が悪く、水系に添加した場合、非常に液性が不安定である。また、従来の消泡剤や界面活性剤単独(比較例3〜8)では、低表面張力の水溶液において十分な消泡性が得られないことが判る。
<インクジェットインクの作成>
以下のようにして、まずポリマー溶液Aを調製し、これを用いて顔料含有ポリマー微粒子水分散体を調製した。更に別途、ポリマー微粒子分散体を調製した。
(ポリマー溶液Aの調製)
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー4.0g、メルカプトエタノール0.4g及びメチルエチルケトン40gを混合し、65℃に昇温した。
次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン342gの混合溶液を、2.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。
滴下後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gとメチルエチルケトン18gの混合液を、0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。
反応終了後、濃度が50%のポリマー溶液800gを得た。
(顔料含有ポリマー微粒子水分散体の調製)
ポリマー溶液Aを28g及びC.I.ピグメントイエロー74を26g、1モル/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g及びイオン交換水13.6gの混合溶液に投入して十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。
得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータ用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、顔料15重量%含有、固形分20重量%のマゼンタポリマー微粒子の水分散体を得た。
(ポリマー微粒子分散体の調製)
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、ラテムルS−180:8.0g、イオン交換水350gを加えて混合し、65℃に昇温した。昇温後、反応開始剤であるt−ブチルパーオキソベンゾエート3.0g、イソアスコルビン酸ナトリウム1.0gを加え、5分後にメタクリル酸メチル45g、メタクリル酸2エチルヘキシル160g、アクリル酸5g、メタクリル酸ブチル45g、メタクリル酸シクロヘキシル30g、ビニルトリエトキシシラン15g、ラテムルS−180:8.0g、イオン交換水340gを混合し、3時間かけて滴下した。
次いで80℃で2時間加熱熟成を行った後、常温まで冷却し、水酸化ナトリウムでpHを7〜8に調整した。エバポレータ用いてエタノールを留去し、水分調節をして、固形分40重量%のポリマー溶液730gを得た。
実施例23
上記顔料含有ポリマー微粒子水分散体及びポリマー微粒子分散体を用いて、以下の手順でインクジェットインクを作成した。
まず、1,3−ブタンジオール20重量部、グリセリン10重量部、Dupont製Zonyl FS−300:1重量部、オクタンジオール2重量部、水20重量部を混合して1時間攪拌し均一に混合した。
次に、この混合液に対し、ポリマー微粒子分散体12重量部を添加して1時間撹拌した後、顔料含有ポリマー微粒子水分散体を35重量部、実施例21の消泡剤を0.1重量部添加し、1時間撹拌した。
その後、0.8μセルロースアセテートメンブランフィルターで加圧濾過し、粗大粒子を除去して評価用インクとした。
実施例24
消泡剤を実施例22の消泡剤に変えた点以外は、実施例23と同様にして評価用インクを作成した。
実施例25
Dupont製Zonyl FS−300:1重量%を、Polyfox AT−1202:0.5重量%に変え、消泡剤を実施例9の消泡剤に変えた点以外は、実施例23と同様にして評価用インクを作成した。
比較例9
消泡剤を比較例6の消泡剤に変えた点以外は、実施例23と同様にして評価用インクを作成した。
比較例10
消泡剤を比較例7の消泡剤に変えた点以外は、実施例23と同様にして評価用インクを作成した。
上記実施例及び比較例の評価用インクの特性を、次のようにして測定し評価した。
<インクの起泡性>
JISK3362−1998,8.5に準じ、評価用インク200mlを、25℃において、900mmの高さから30秒間で水面上に落下させた時に生じる泡の高さを測定した。評価基準は次のとおりである。
○:泡高が0mm以上30mm未満
×:泡高が30mm以上
<インクの表面張力測定>
全自動表面張力計(CBVP−Z、協和界面科学社製)を使用して、25℃で評価用インクの表面張力を測定した。
<吐出安定性>
温度23℃、湿度50%の環境下で、評価用インクを充填したインクジェットプリンター(IPSIO G707、株式会社リコー製)を用い、Microsoft Word2000により作成した、一色当りA4用紙の面積5%をベタ画像で塗りつぶすチャートを連続200枚、Type6200(株式会社NBSリコー製)に打ち出し、打ち出し後の各ノズルの吐出乱れにより評価した。印字モードは、プリンタ添付のドライバで普通紙のユーザー設定より「普通紙−標準速い」モードを「色補正なし」と改変したモードを使用した。駆動波形として、通常の使用波形よりも印加電圧で1.1倍の波形を用い、実験を行った。評価基準は次のとおりである。
○:吐出乱れなし
×:吐出乱れあり
<初期充填性>
インクジェットプリンター(IPSIO G707、株式会社リコー製)のインク供給経路やヘッド内のインクを純水で置換し、その後、空気置換を行い、インクジェットプリンター内のインクを除去した。そこに、評価用インクを充填したインクカートリッジを用いてインク充填動作を行った。充填動作後にノズルチェックパターンを印字し、ノズル抜けを確認した。ノズル抜けが無くなるまでヘッドリフレッシング動作を繰り返し、行ったヘッドリフレッシング回数により評価を行った。評価基準は次のとおりである。
○:ヘッドリフレッシング1回以下
×:ヘッドリフレッシング2回以上必要
評価結果を表5に示す。
Figure 2010022928
表5から判るように、実施例の評価用インクでは、低表面張力のインクであっても消泡性が優れており、吐出安定性、初期充填性も良好であった。
ヘッドとインクタンクとの間には粗大粒子を除去するためのフィルターが設けられており、初期充填時にはインクがフィルターを通過する際にフィルター目で起泡する。そして起泡した泡がヘッド液室内に残留することにより吐出不良を引き起こすが、実施例の評価用インクのように、インクの消泡性が十分にあれば初期充填時の起泡が少なく、起泡した泡も液室内で破泡が進みやすいため、泡に起因する充填性不良を低下させることが出来ることが判る。

Claims (8)

  1. 水を主成分とする液体に対して用いられる消泡剤であって、下記式(1)又は(2)で示されるフッ素化合物と、界面活性剤とを含むことを特徴とする消泡剤。
    Figure 2010022928
    Figure 2010022928
    上記式(1)又は式(2)中、Rfは、それぞれ独立して、直鎖状又は分岐鎖状で水素原子の50%以上がフッ素で置換された炭素数1〜4のフルオロアルキル基を表し、Rは水素又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。mはそれぞれ独立して、1〜4の整数を表し、nは正の整数を表す。
  2. フッ素化合物が下記式(3)で示されるものであることを特徴とする請求項1記載の消泡剤。
    Figure 2010022928
    式中、Rfは−CF又は−Cを表し、nは6〜20の整数を表す。
  3. 界面活性剤がフッ素系界面活性剤であることを特徴とする請求項1又は2記載の消泡剤。
  4. フッ素系界面活性剤が下記式(4)で示されるものであることを特徴とする請求項3記載の消泡剤。
    Figure 2010022928
    式中、Rfは−CF又は−Cを表し、Rは−H又は−CHを表し、R′は−H、−COCH、−COCFのいずれかを表す。yは1〜15の整数を表し、xはy≧xを満たす正の整数を表し、zは1〜100の整数を表す。
  5. フッ素系界面活性剤が下記式(5)で示されるものであることを特徴とする請求項3記載の消泡剤。
    Figure 2010022928
    式中、Rfは−CF又は−Cを表し、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、プロトン配位したアミン類、4級アンモニウムイオンのいずれかを表す。yは1〜15の整数を表し、xはy≧xを満たす正の整数を表す。
  6. 前記式(1)で示されるフッ素化合物が界面活性剤により乳化され、O/Wエマルジョンとなっていることを特徴とする請求項1記載の消泡剤。
  7. 色材、水溶性有機溶剤、インク用の界面活性剤、水を含み、請求項1〜6のいずれかに記載の消泡剤が添加されていることを特徴とするインクジェットインク。
  8. インク用の界面活性剤と消泡剤を構成する界面活性剤とが同一であることを特徴とする請求項7記載のインクジェットインク。
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