〔第1実施形態〕
以下、図面を参照して、本発明に係る第1実施形態の光源装置の構造、動作等について説明する。
図1は、光源装置100の構造を概念的に説明する断面図である。光源装置100において、放電ランプである光源ユニット10は、放電発光型の発光管1と、楕円型の主反射鏡であるリフレクタ2と、球面状の副反射鏡である副鏡3とを備える。また、光源駆動装置70は、詳細は後述するが、光源ユニット10に交流電流を供給して所望の状態で発光させるための電気回路である。
光源ユニット10において、発光管1は、中央部が球状に膨出した透光性の石英ガラス管から構成され、照明用の光を放射する封体である本体部分11と、この本体部分11の両端を通る軸線に沿って延びる第1及び第2封止部13,14とを備える。
本体部分11内に形成される放電空間12には、タングステン製の第1電極15の先端部分と、同様にタングステン製の第2電極16の先端部分とが所定距離で離間配置されており、希ガス、金属ハロゲン化合物等を含む放電媒体であるガスが封入されている。この本体部分11の両端に延びる各封止部13,14の内部には、本体部分11に設けた第1及び第2電極15,16の根元部分に対し電気的に接続されるモリブデン製の金属箔17a,17bが挿入され、両封止部13,14は、それ自体或いはガラス材料等によって外部に対して気密に封止されている。これらの金属箔17a,17bに接続されたリード線18a,18bに光源駆動装置70により交流電圧を印加すると、一対の電極15,16間でアーク放電が生じ、本体部分11が高輝度で発光する。ここで、図1から明らかなように、リフレクタ2は、第1電極15側に配置され、副鏡3は、リフレクタ2に対向して第2電極16側に配置される。
発光管1の本体部分11のうち光束射出前方側の略半分は、副鏡3によって覆われている。この副鏡3は、石英ガラス製の一体成形品であり、発光管1の本体部分11から前方に放射された光束を本体部分11に戻す副反射部3aと、この副反射部3aの根元部を支持した状態で第2封止部14の周囲に固定される支持部3bとを備える。支持部3bは、第2封止部14を挿通させるとともに、副反射部3aを本体部分11に対してアライメントした状態で保持している。
リフレクタ2は、結晶化ガラスや石英ガラス製の一体成形品であり、発光管1の第1封止部13が挿通される首状部2aと、この首状部2aから拡がる楕円曲面状の主反射部2bとを備える。首状部2aは、第1封止部13を挿通させるとともに、主反射部2bを本体部分11に対してアライメントした状態で保持している。
発光管1は、主反射部2bの光軸に対応するシステム光軸OAに沿って配置されるとともに、本体部分11内の第1及び第2電極15,16間の発光中心Oが主反射部2bの楕円曲面の第1焦点F1位置と一致するように配置される。発光管1を点灯した場合、本体部分11から放射された光束は主反射部2bで反射され、或いは副反射部3aでの反射を経て主反射部2bでさらに反射され、楕円曲面の第2焦点F2位置に収束する光束となる。つまり、リフレクタ2及び副鏡3は、システム光軸OAに対して略軸対称な反射曲面を有し、一対の電極15,16は、その軸心である電極軸をシステム光軸OAと略一致させるように配置されている。
発光管1は、例えば石英ガラス管中に金属箔17a,17bの先端に固定された第1及び第2電極15,16を支持し、両封止部13,14に対応する部分で石英ガラス管を周囲からバーナで加熱して軟化、収縮させるシリンクシールによって作製される。発光管1は、リフレクタ2の首状部2aに第1封止部13を挿入した状態で、無機接着剤Cを注入及び充填して固化することにより固定され、副鏡3は、発光管1の第2封止部14に支持部3bを挿通させた状態で、無機接着剤Cを注入及び充填して固化することにより固定される。
図2は、図1に示す光源ユニット10を所望の状態で点灯動作させるための光源駆動装置70の構成を模式的に示すブロック図である。
光源駆動装置70は、図1等に示す一対の電極15,16間で放電を行うための交流電流を発生させるとともに、両電極15,16に対する交流電流の供給状態を制御する。光源駆動装置70は、点灯装置70aと、制御装置70bと、DC/DCコンバータ70cとを備える。ここでは、一例として、光源駆動装置70が、外部電源を使用する場合について説明する。つまり、光源駆動装置70は、AC/DCコンバータ81に接続されており、AC/DCコンバータ81は、商用電源90に接続されている。AC/DCコンバータ81は、商用電源90から供給される交流電流を直流に変換する。
点灯装置70aは、図1の光源ユニット10を点灯駆動させる回路部分である。点灯装置70aにより、光源駆動装置70の出力の周波数、振幅、デューティ比、正負の電圧又は電流比、出力波形等が調整され、任意の波形、例えば矩形、三角波、その重畳波等が出力される。
制御装置70bは、例えば、マイクロコンピュータ、メモリ、センサ、インターフェース等から構成される回路ユニットであり、電源であるDC/DCコンバータ70cにて生成された適切な駆動電圧により駆動される。制御装置70bは、点灯装置70aの動作状態を制御する駆動制御部74と、発光管1の状態を判断する判断部75と、点灯装置70aの動作態様すなわち給電条件等の各種情報を記憶するデータ収納部76とを備える。また、制御装置70bは、発光管1の累積点灯時間を計測するためのタイマ77と、発光管1への電圧を検出する電圧センサ78とを備える。
駆動制御部74は、データ収納部76等に保管されたプログラムに従って動作する部分であり、データ収納部76に保管された多数の給電条件から発光管1の現状に適合するものを選択し、点灯装置70aに対応する初期動作や定常動作を行わせる。なお、駆動制御部74は、点灯装置70aと協働して、発光管1に給電して必要な点灯動作を行わせるための駆動部として機能する。
判断部75は、発光管1の累積点灯時間がどのレベルにあるかや、発光管1への電圧がどのレベルあるかを判断する部分である。具体的には、発光管1の累積点灯時間が区分けされたどの時間範囲(状態区分)に該当するかや、発光管1への電圧が区分けされたどの電圧範囲(状態区分)に該当するか(発光管1の劣化がどの段階であるか)を判断する。
データ収納部76は、発光管1の初期動作の態様として複数の初期用給電条件を記憶し、発光管1の定常動作の態様として複数の定常用給電条件を記憶する。具体的には、データ収納部76は、初期動作に含まれる始動動作時や立上げ動作時の電流設定値を記憶し、定常動作での周波数や重畳波の三角波跳上げ率を記憶する。ここで、三角波跳上げ率とは、第1及び第2電極15,16にそれぞれ供給する交流電力の半周期分のうち後半期間に供給される電力の相対的な増加割合を意味する。
タイマ77は、発光管1の点灯時間をチェックしており、毎回の点灯時間を累積した累積点灯時間を保持する。電圧センサ78は、点灯装置70aを介して発光管1の第1及び第2電極15,16間にかかっている電圧を検出・保持する。
図3は、発光管1内に封入された第1及び第2電極15,16の先端部分の拡大図である。第1及び第2電極15,16は、先端部15a,16aと、本体部15b,16bと、コイル部15c,16cと、芯棒15d,16dとを備える。第1及び第2電極15,16の先端側に塊状の本体部15b,16bを設けることで、熱容量を大きくすることができる。なお、第1及び第2電極15,16の先端部分は、封入前の段階で、芯棒15d,16dにタングステンを巻き付け、これを加熱・溶融することにより形成される。この際、巻き付けられたタングステンのうち溶融されなかった残りの部分がコイル部15c,16cとなる。
発光管1の累積点灯時間が増していくと、図示のように、第1及び第2電極15,16のコイル部15cや芯棒16dに針状結晶65が形成されてくる。針状結晶65は、発光管1の点灯時間の経過とともに形成され徐々に長く延びる傾向がある。このような針状結晶65が一旦形成されると、針状結晶65から本体部分11の内壁に向けて放電が発生しやすくなり、このような放電が強くなると本体部分11の内壁を劣化させ、発光管1の寿命短縮の原因となると考えられる。そこで、本実施形態では、光源駆動装置70の動作により、発光管1の初期動作のうち始動動作時の電流設定値を例えば累積点灯時間の増加に伴って徐々に小さくする。これにより、針状結晶65から本体部分11内壁への放電を抑制し、発光管1の寿命短縮を防止する。
図4は、光源駆動装置70による第1及び第2電極15,16の補修を説明する拡大図である。発光管1の累積点灯時間が増していくと、図4(A)に示すように、第1及び第2電極15,16では、先端部15a,16a周辺の先端側領域15g,16gにおいて、複数の凹凸61が不規則に発生してくる。この場合、先端部15aと凹凸61との間で放電起点が移動する現象、つまりフリッカやアークジャンプが発生する。ここで、フリッカは放電の起点の移動が連続的に起こるものであり、アークジャンプは、当初の放電起点位置から放電起点が完全に移動するものである。フリッカはチラツキを発生させ、アークジャンプは照度低下を発生させる。このような凹凸61は、図4(B)に示すように、発光管1の初期動作のうち立上げ動作時の終期の電流値を増加させることによって溶かされ平滑化される。つまり、立上げ動作時の終期に至るまでにある程度温度が上昇するが、終期の電流増加によって更なる温度上昇が生じ、先端部15a,16aを残したままで凹凸61が平滑化される。その後は、図4(C)に示すように、発光管1の定常動作により先端部15a,16aをより大きく成長させることができる。しかしながら、第1及び第2電極15,16の劣化が進行して累積点灯時間が長くなると、両電極15,16が消耗して凹凸61の平滑化が必要になるにも関わらず、先端部15a,16aに形成された凹凸61は、次第に溶融しにくくなる。そこで、本実施形態では、光源駆動装置70の動作により、発光管1の初期動作のうち立上げ動作時の終期における電流設定値を例えば累積点灯時間の増加に伴って徐々に大きくする。これにより、発光管1の点灯時間の経過とともに凹凸61が溶けにくくなっても、これらを確実に溶かすことができる。また、先端部15a,16aの成長が妨げられることを防止できる。
図5は、光源駆動装置70による第1及び第2電極15,16の成長を説明する拡大図である。図5(A)は上述した初期動作の立ち上げ動作時において一部溶解されて変形し短くなった先端部15a,16aを示している。第1及び第2電極15,16の累積点灯時間が長くなると、先端部15a,16aが次第に成長しにくくなる。そこで、本実施形態では、光源駆動装置70の動作により、発光管1の定常動作において、第1電極及び第2電極15,16にそれぞれ供給する交流電力のうち半周期の後半期間に供給される電力の相対的な増加量に相当する三角波跳上げ率を増大させる。これにより、定常動作時における先端部15a,16aの成長を促進させ、図5(B)に示すような所望の先端部15a,16aの形状を維持することが可能となる。
以下、光源駆動装置70の具体的な動作について説明する。図6は、発光管1の初期動作から定常動作にかけての通電状態の一例を概念的に説明するグラフである。グラフにおいて、横軸は点灯開始からの経過時間を示し、縦軸は発光管1に供給される電圧(一点鎖線)、電力(破線)、及び電流(実線)を示す。この例では、60数秒程度の初期動作期間が設けられており、次に定格動作に対応する定常動作期間が設けられている。初期動作期間は、発光管1に過渡的エネルギー(具体的には過渡的電力)を供給するための期間であり、定常動作期間は、発光管1に定常的エネルギー(具体的には定常的電力)を供給するための期間である。この場合、初期動作期間については、数秒程度の始動動作時と、その後の60秒程度の立上げ動作時とが設けられている。電圧については、初期動作期間中は徐々に増加し、定常動作期間中は一定値に飽和する。また、電力については、初期動作期間中の立ち上げ時に徐々に増加し、定常動作期間中は一定値に飽和する。さらに、電流については、絶縁破壊後の初期動作期間中は所定の値を維持するように制御され立上げ動作時の終期に一旦増加し、その後の定常動作期間中は電力が所定の値となるように制御されて略一定値に維持される。
図7(A)〜7(C)は、図6の始動動作時すなわち領域A1における駆動例を概念的に説明するグラフである。各グラフにおいて、横軸は時間を示し、縦軸は電流を示す。図7(A)は、累積点灯時間の短い、すなわち新しい発光管1に対する始動動作時における交流電流の供給を説明する図である。この場合、発光管1に電流値A1の矩形波交流電流が供給され。図7(B)は、累積点灯時間が中程度の、すなわちある程度使用された発光管1に対する始動動作時における交流電流の供給を説明する図である。この場合、発光管1に電流値A1より小さい電流値A2の矩形波交流電流が供給される。図7(C)は、累積点灯時間が長い、すなわち古い発光管1に対する始動動作時における交流電流の供給を説明する図である。この場合、発光管1に電流値A2より小さい電流値A3の矩形波交流電流が供給される。つまり、発光管1の累積点灯時間が増加するにつれ発光管1の電流値を減少させている。これにより、第1及び第2電極15,16に成長する針状結晶65から強い放電が生じることを防止して、発光管1の寿命が短くなる現象を抑制している。
なお、点灯の始動動作時における駆動波形は、第1及び第2電極15,16から正常な放電を起こさせ、かつ、ある一点で放電が長時間持続することによって本体部分11へのアーク放電を防止するようなものとする。絶縁破壊直後の放電開始初期は、コイル部15c,16cからも放電が生じ、その間に電極15,16全体が加熱される。そして、突起状の先端部15a,16aが十分な高温に達すると、放電位置がコイル部15c,16cから先端部15a,16aに移動する。本体部分11への放電等の異常現象は、コイル部15c,16cや針状結晶65からの放電時に起こりやすいため、始動動作時においては、両電極15,16の加熱によって、放電位置を先端部15a,16aに速やかに移動することが望ましい。このため、放電位置が過剰に加熱される前に極性反転するようにし、本体部分11へのアーク放電を回避している。上述のように、累積点灯時間の増加に伴って針状結晶65が成長する傾向があり、これによる発光管1の早期劣化を防止すべく、発光管1の始動動作時における電流値を減少させることとしている。
図8(A)〜8(C)は、図6の立上げ動作時の終期すなわち領域A2における駆動例を概念的に説明するグラフである。各グラフにおいて、横軸は時間を示し、縦軸は電流を示す。図8(A)は、累積点灯時間の短い、すなわち新しい発光管1に対する立上げ動作時終期における交流電流の供給を説明する図である。この場合、発光管1に矩形波交流電流が供給されており、その電流値は、B1に増加する。図8(B)は、累積点灯時間が中程度の、すなわちある程度使用された発光管1に対する立上げ動作時終期における交流電流の供給を説明する図である。この場合、発光管1に矩形波交流電流が供給されており、その電流値は、B1より大きいB2に増加する。図8(C)は、累積点灯時間が長い、すなわち古い発光管1に対する立上げ動作時終期における交流電流の供給を説明する図である。この場合、発光管1に矩形波交流電流が供給されており、その電流値は、B2より大きいB3に増加する。つまり、発光管1の累積点灯時間が増加するにつれ、立上げ動作時終期における交流電流の増加量を増加させている。これにより、発光管1の累積点灯時間が増加して第1電極及び第2電極15,16の劣化が進んでも、先端側領域15g,16gの凹凸61の溶融量を確保することができるので、先端部15a,16aの成長が妨げられることを防止できる。
なお、初期の立ち上げ時の駆動波形は、第1電極及び第2電極15,16に過剰なダメージを与えることなく、発光管1を短時間で定常状態に到達させるようなものとしている。ここで、電極のダメージとは、過剰な電流により両電極15,16が過熱し、先端部15a,16aが溶解して平坦化することを言う。これにより、アーク長が長くなって、プロジェクタ等の照明対象において照度低下を引き起こす点で問題である。しかしながら、この溶解現象を逆に適度に利用すれば、消耗した先端部15a,16aの周辺の凹凸61を一旦溶かし、先端部15a,16aを適度に溶かすことができるので、次の定常動作で先端部15a,16aを徐々に成長させることもできる。発光管1の通電量を大きくすることによって発光輝度が上昇するので、照明対象がプロジェクタである場合、定常時にこの補修を行なうと、映像の照度が一時的に変化し、品質に悪影響を与えるおそれがある。しかし、本実施形態のように定格に達する前の立上げ段階においては、照度が連続的に増加しているので、一時的な照度変化を考慮する必要はない。すなわち、発光管1の通電量を大きくし先端部15a,16a周辺の凹凸61を溶かすことにより、電流量の変化や先端部15a,16aの形状変化によって照度変化が生じたとしても、映像品質に決定的な悪影響を与えることはない。
このような補修に関しては、第1電極及び第2電極15,16が消耗すると先端部15a,16aが溶解しにくくなることが実験的に確認されている。この原因としては、(1)先端部15a,16aと本体部分11との距離が短くなっているので、先端部15a,16aから本体部分11への放熱が促進され、温度が上がりにくくなるなっている、(2)点灯中、電極構成材料であるタングステンの結晶が粗大化し、結晶粒が小さい場合に比べて融点が上昇し、溶解しにくくなっている、(3)点灯中、第1電極及び第2電極15,16中の不純物が蒸発脱離し、タングステンの純度が上がり、それに伴って融点が上昇するため、溶解しにくくなっている等の事情が考えられる。このため、第1電極及び第2電極15,16が消耗した場合であっても、上記のような溶解による突起再形成を達成するため、累積点灯時間の少ない時期よりも大きな電流を発光管1に流して、溶解現象を確実に起こす必要がある。このような考えに基づき、上述のように、発光管1の累積点灯時間が増加するにつれ、立上げ動作時終期における交流電流の増加量を増大させている。
図9(A)〜9(C)は、定格に達した後の動作を説明するものであり、図6の定常動作期間すなわち領域A3における駆動例を概念的に説明するグラフである。各グラフにおいて、横軸は時間を示し、縦軸は電流を示す。図9(A)は、累積点灯時間の短い、すなわち新しい発光管1に対する定常動作期間における交流電流の供給を説明する図である。この場合、発光管1に矩形波交流電流が供給されており、その電流値は、C0である。図9(B)は、累積点灯時間が中程度の、すなわちある程度使用された発光管1に対する定常動作期間における交流電流の供給を説明する図である。この場合、発光管1に対して矩形波に三角波を重畳させた重畳波が供給されており、その平均電流値は、C0に維持されているが、重畳波のピーク値は、C2になっている。ここで、平均電流値C0に対するピーク値C2の比を重畳波の三角波跳上げ率とすると、三角波跳上げ率C2/C0は、図9(A)の三角波跳上げ率1よりも増加している。このように、三角波跳上げ率C2/C0が1よりも大きな場合、累積点灯時間が中程度の時の発光管1の第1電極及び第2電極15,16にそれぞれ供給される交流電力のうち陽極に対応する半周期の後半期間に供給される電力が、累積点灯時間が短い時の発光管1の第1及び第2電極15,16にそれぞれ供給される交流電力のうち半周期の後半期間に供給される電力に対して相対的に増加していることになる。このような相対的な増加量を三角波跳上げ率C2/C0として評価することができる。図9(C)は、累積点灯時間が長い、すなわちある程度使用された発光管1に対する定常動作期間における交流電流の供給を説明する図である。この場合、発光管1に重畳波が供給されており、その平均電流値は、C0に維持されているが、重畳波のピーク値は、C3になっている。ここで、重畳波の三角波跳上げ率C3/C0は、図9(B)の跳上げ率C2/C0よりも増加している。これにより、発光管1の累積点灯時間が増加して第1電極及び第2電極15,16の劣化が進んでも、先端部15a,16aのサイズを維持することができる。
定常動作時の駆動波形は、矩形波に三角波を重畳して所望の三角波跳上げ率を実現したものとなっている。これは、交流駆動の半周期における後半領域で電力値を大きくすることにより、先端部15a,16aの成長や維持を促すためである。交流駆動の半周期における後半領域で電力値を大きくすることの効果は、実験的に確認された。また、点灯時間が長くなり、第1電極及び第2電極15,16が消耗すると、突起が成長しにくくなることも、実験的に確認されている。このため、発光管1の累積点灯時間が増加するにつれて、すなわち消耗状態が進行するにつれて、交流駆動の半周期における後半領域で電力を大きくすることで、先端部15a,16aの成長性を維持できるようにしている。
図10は、光源駆動装置70の動作を説明するフローチャートである。電源投入後の点灯開始前、制御装置70bは、データ収納部76の設定情報を読み出して通常の動作モードに設定されているか否かを確認する(ステップS11)。通常の動作モードに設定されている場合、制御装置70bは、タイマ77で計測されている累積点灯時間をチェックすることにより、発光管1の状態(発光管1の劣化の段階)を判定する(ステップS12)。具体的には、累積点灯時間を基準として5段階の発光管1の劣化状態に区分している。第1段階は、0〜100時間の範囲であり、第2段階は、101〜300時間の範囲であり、第3段階は、301〜1000時間の範囲であり、第4段階は、1001〜3000時間の範囲であり、第5段階は、3001時間以上の範囲である。なお、上記の状態区分は一例であり、発光管1の種類や用途に応じて適宜設定を変更できることはいうまでもない。このような状態区分の判定結果は、状態区分情報として、データ収納部76の特定領域に保管される。
次に、制御装置70bは、データ収納部76に保管した駆動制御テーブルから、ステップS12で判定した状態区分情報に対応する動作条件すなわち発光管1の劣化の段階に対応したデータを読み出す(ステップS13)。各状態区分に対応する複数組の対応データは、複数の初期用給電条件と複数の定常用給電条件とを含んでおり、前者の初期用給電条件は、さらに始動時給電条件と立上げ時給電条件とを含んで構成される。以下の表1は、駆動制御テーブルの一例を示す。
この駆動制御テーブルの場合、始動動作時において、初期用給電条件のうち始動時給電条件として、発光管1に供給する電流値を、第1〜第5段階の発光管1の劣化の進行に合わせて2.5A〜2.0Aに徐々に減少させている。また、立上げ動作時終期において、初期用給電条件のうち立上げ時給電条件として、発光管1に供給する電流値を、第1〜第5段階の発光管1の劣化の進行に合わせて3.6A〜3.8Aに徐々に増加させている。また、定常動作期間において、定常用給電条件として、発光管1に供給する三角波の跳上げ率を、第1〜第5段階の発光管1の劣化の進行に合わせて0%〜30%に徐々に増加させている。例えば発光管1が第1状態であると判定された場合、始動動作時の電流値を2.5Aに設定し、立上げ動作時終期の電流値を3.6Aに設定し、定常動作期間中の供給電流の三角波跳上げ率を0%とする動作条件すなわち対応データが読み出される。
次に、制御装置70bは、ステップS13で読み出した始動動作時に関する対応データに基づいて点灯装置70aの動作状態すなわち発光管1の駆動を制御する(ステップS14)。具体的には、例えば状態区分が発光管1の劣化の段階が最も低い第1段階の場合、始動動作時の動作として、2.5Aの交流電流を発光管1に供給して第1及び第2電極15,16間に正常な放電を生じさせる。この際、交流電流の周波数を数十〜数百Hzとし、始動時動作を2〜3秒継続させる。始動動作時における交流電流の周波数や継続時間は、固定的なものとすることもできるが、表1の動作条件に含ませることにより、状態区分の変化に伴って設定を変更することもできる。
次に、制御装置70bは、ステップS13で読み出した立上げ動作時に関する対応データに基づいて点灯装置70aの動作状態すなわち発光管1の駆動を制御する(ステップS15)。具体的には、例えば状態区分が発光管1の劣化の段階が最も低い第1段階の場合、立上げの当初動作として、3.0A程度の交流電流を発光管1に供給して第1及び第2電極15,16間の発光を短時間で定常状態に到達させるようにする。この際、交流電流の周波数を50〜300Hzとし、定格電力に達するまで立上げ時動作を継続させる。始動動作時における交流電流の周波数は、固定的なものとすることもできるが、表1の動作条件に含ませることにより、状態区分の変化に伴って設定を変更することもできる。さらに、立上げ動作時終期の動作として、3.6A程度の交流電流を発光管1に供給して第1及び第2電極15,16に形成された凹凸61を溶融して先端部15a,16aの成長を促進する。立上げ動作時終期の電流値の増減パターンは、例えば電流値を一定の傾きで1秒程度増加させ、電流値が最大値に達した後に徐々に減少させるものとできる。このような電流値の増減パターンは、固定的なものとすることもできるが、表1の動作条件に含ませることにより、状態区分の変化に伴って設定を変更することもできる。
次に、制御装置70bは、ステップS13で読み出した定常動作期間に関する対応データに基づいて点灯装置70aの動作状態すなわち発光管1の駆動を制御する(ステップS16)。具体的には、例えば状態区分が発光管1の劣化の段階が最も低い第1段階の場合、定常動作期間中の動作として、三角波跳上げ率0%の矩形波の交流電流を発光管1に供給して第1及び第2電極15,16間に正常な放電を生じさせる。この際、第1及び第2電極15,16間に例えば170W程度の電力が供給される。また、例えば状態区分が第2段階の場合、三角波跳上げ率10%の重畳波の交流電流を発光管1に供給して先端部15a,16aの成長が少し促進されるようにする。なお、交流電流の三角波跳上げ率は、各段階で固定的に維持されるものに限らず、周期的なものとすることもできる。具体的には、角波跳上げ率の異なる複数種類の波形を第1及び第2電極15,16間に交互に供給することも可能であり、この場合、平均的な三角波跳上げ率が劣化の段階に応じて増加していればよい。
一方、ステップS11において、通常の動作モードに設定されていないと判断された場合、制御装置70bは、データ収納部76に保管した特別モードテーブルから、動作条件すなわち特別データを読み出す(ステップS23)。特別モードテーブルは、例えば第1及び第2電極15,16の本格的な修復工程を定義する。例えば立上げ動作時終期に先端部15a,16aを完全に溶かして平滑化し、定常動作期間の開始期に本体部15b,16bの平坦な端面に先端部15a,16aを徐々に成長させる。このため、特別モードテーブルの特別データには、立上げ動作時終期における電流値の増加分等の設定情報が保管され、また、定常動作期間における電流値の増減量、重畳波の三角波跳上げ率、デューティ比、周波数等の各種設定情報が保管されている。
次に、制御装置70bは、ステップS23で読み出した始動動作時に関する対応データに基づいて点灯装置70aの動作状態すなわち発光管1の点灯開始を制御する(ステップS24)。
次に、制御装置70bは、ステップS23で読み出した立上げ動作時に関する対応データに基づいて点灯装置70aの動作状態すなわち発光管1の点灯状態を制御する(ステップS25)。
次に、制御装置70bは、ステップS23で読み出した定常動作期間に関する対応データに基づいて点灯装置70aの動作状態すなわち発光管1の点灯状態を制御する(ステップS26)。
以上により、特別モードでの動作が行われ、第1及び第2電極15,16に対する修復工程が実行される。この特別モードでの動作は、定期的に行われ或いはユーザの判断で一時的に行われるものであり、修復工程の完了によって解除され、その後は、通常の動作モードに戻る(ステップS27)。なお、通常の動作モードに復帰した場合、ステップS16に対応する定常動作が行われる。
以上の例では、データ収納部76に保管した駆動制御テーブルを、累積点灯時間を判断基準として発光管1の劣化の段階を5段階の状態区分としているが(表1参照)、駆動制御テーブルを、第1及び第2電極15,16の定常動作時における電圧値に基づいて発光管1の劣化段階を5段階の状態区分とすることもできる。具体的には、前回の動作時の消灯前に電圧センサ78の検出出力をデータ収納部76に保管し、今回の動作開始前にデータ収納部76に保管された電圧データを参照して発光管1の状態を判定する(ステップS12)。以下の表2は、電圧データを基準とする駆動制御テーブルの一例を示す。
この駆動制御テーブルの場合、発光管1の劣化の段階が最も低い第1段階は、0〜65Vの範囲であり、第2段階は、66〜75Vの範囲であり、第3段階は、76〜90Vの範囲であり、第4段階は、91〜100Vの範囲であり、第5段階は、101V以上の範囲である。この駆動制御テーブルでも、始動動作時に発光管1に供給する電流の値を、第1〜第5段階の進行に合わせて徐々に減少させており、立上げ動作時終期に発光管1に供給する電流の値を、第1〜第5段階の進行に合わせて徐々に増加させている。また、定常動作期間において、発光管1に供給する重畳波の三角波跳上げ率を、第1〜第5段階の進行に合わせて徐々に増加させている。
以上の説明から明らかなように、本実施形態の光源装置100では、制御装置70bが、発光管1の状態区分の判断結果に応じて複数の動作条件から選択したいずれかの動作条件、具体的には発光管1に供給する電流の値の調整によって始動及び立上げの初期動作を行い(ステップS14,S15)、発光管1に供給する重畳波の三角波跳上げ率の調整によって定常動作を行うので(ステップS16)、発光管1の状態区分の変動に応じた適切な動作が確保される。よって、発光管1の発光状態を長期間に亘ってフリッカ等の少ない良好な状態に保持することができ、発光管1の寿命を長くすることができる。なお、本実施形態の場合、表1及び表2において、第1〜第5段階の各段階の切り替わりにおいて、初期動作の始動動作時、初期動作の立上動作時、及び定常動作時の給電条件が必ずしも同時に変化していないが、これは、各発光管1の劣化の状態に対して、初期動作の始動動作時、初期動作の立上動作時、及び定常動作時の個々の給電条件を適切に設定しているためである。
図11は、図1の光源装置100を組み込んだプロジェクタの構造を説明するための概念図である。プロジェクタ200は、光源装置100と、照明光学系20と、色分離光学系30と、液晶ライトバルブ40a,40b,40cと、クロスダイクロイックプリズム50と、投射レンズ60とを備える。なお、3つの液晶ライトバルブ40a,40b,40c全体としては、光変調部を構成する。
上記プロジェクタ200において、光源装置100は、図1に示した光源ユニット10と、光源駆動装置70とを備え、照明光学系20等を介して液晶ライトバルブ40a,40b,40cを照明するための照明光を発生する。
照明光学系20は、光源光の光束方向を平行化する平行化レンズ22と、光を分割して重畳するためのインテグレータ光学系を構成する第1及び第2フライアイレンズ23a,23bと、光の偏光方向を揃える偏光変換素子24と、両フライアイレンズ23a,23bを経た光を重畳させる重畳レンズ25と、光の光路を折り曲げるミラー26とを備え、これらにより均一化された略白色の照明光を形成する。照明光学系20において、平行化レンズ22は、光源ユニット10から射出された照明光の光束方向を略平行に変換する。第1及び第2フライアイレンズ23a,23bは、それぞれマトリクス状に配置された複数の要素レンズからなり、第1フライアイレンズ23aを構成する要素レンズによって平行化レンズ22を経た光を分割して個別に集光し、第2フライアイレンズ23bを構成する要素レンズによって第1フライアイレンズ23aからの分割光束を適当な発散角にして射出させる。偏光変換素子24は、PBS、ミラー、位相差板等を一組の要素とするアレイで形成されており、第1フライアイレンズ23aにより分割された各部分光束の偏光方向を一方向の直線偏光に揃える役割を有する。重畳レンズ25は、偏光変換素子24を経た照明光を全体として適宜収束させて、後段の各色の光変調装置である液晶ライトバルブ40a,40b,40cの被照明領域に対する重畳照明を可能にする。
色分離光学系30は、第1及び第2ダイクロイックミラー31a,31bと、反射ミラー32a,32b,32cと、3つのフィールドレンズ33a,33b,33cとを備え、照明光学系20により均一化された照明光を赤(R)、緑(G)、及び青(B)の3色に分離するとともに、各色光を後段の液晶ライトバルブ40a,40b,40cへ導く。より詳しく説明すると、まず、第1ダイクロイックミラー31aは、RGBの3色のうちR光を透過させG光及びB光を反射する。また、第2ダイクロイックミラー31bは、GBの2色のうちG光を反射しB光を透過させる。次に、この色分離光学系30において、第1ダイクロイックミラー31aを透過したR光は、反射ミラー32aを経て入射角度を調節するためのフィールドレンズ33aに入射する。また、第1ダイクロイックミラー31aで反射され、さらに、第2ダイクロイックミラー31bでも反射されたG光は、入射角度を調節するためのフィールドレンズ33bに入射する。さらに、第2ダイクロイックミラー31bを通過したB光は、リレーレンズLL1,LL2及び反射ミラー32b,32cを経て入射角度を調節するためのフィールドレンズ33cに入射する。
液晶ライトバルブ40a,40b,40cは、入射した照明光の空間的強度分布を変調する非発光型の光変調装置であり、色分離光学系30から射出された各色光に対応してそれぞれ照明される3つの液晶パネル41a,41b,41cと、各液晶パネル41a,41b,41cの入射側にそれぞれ配置される3つの第1偏光フィルタ42a,42b,42cと、各液晶パネル41a,41b,41cの射出側にそれぞれ配置される3つの第2偏光フィルタ43a,43b,43cとを備える。第1ダイクロイックミラー31aを透過したR光は、フィールドレンズ33a等を介して液晶ライトバルブ40aに入射し、液晶ライトバルブ40aの液晶パネル41aを照明する。第1及び第2ダイクロイックミラー31a,31bの双方で反射されたG光は、フィールドレンズ33b等を介して液晶ライトバルブ40bに入射し、液晶ライトバルブ40bの液晶パネル41bを照明する。第1ダイクロイックミラー31aで反射され、第2ダイクロイックミラー31bを透過したB光は、フィールドレンズ33c等を介して液晶ライトバルブ40cに入射し、液晶ライトバルブ40cの液晶パネル41cを照明する。各液晶パネル41a〜41cは、入射した照明光の偏光方向の空間的強度分布を変調し、各液晶パネル41a〜41cにそれぞれ入射した3色の光は、各液晶パネル41a〜41cに電気的信号として入力された駆動信号或いは画像信号に応じて、画素単位で偏光状態を調節される。この際、第1偏光フィルタ42a〜42cによって、各液晶パネル41a〜41cに入射する照明光の偏光方向が調整されるとともに、第2偏光フィルタ43a〜43cによって、各液晶パネル41a〜41cから射出される変調光から所定の偏光方向の変調光が取り出される。以上により、各液晶ライトバルブ40a,40b,40cは、それぞれに対応する各色の像光を形成する。
クロスダイクロイックプリズム50は、各液晶ライトバルブ40a,40b,40cからの各色の像光を合成する。より詳しく説明すると、クロスダイクロイックプリズム50は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、X字状に交差する一対の誘電体多層膜51a,51bが形成されている。一方の第1誘電体多層膜51aは、R光を反射し、他方の第2誘電体多層膜51bは、B光を反射する。クロスダイクロイックプリズム50は、液晶ライトバルブ40aからのR光を誘電体多層膜51aで反射して進行方向右側に射出させ、液晶ライトバルブ40bからのG光を誘電体多層膜51a,51bを介して直進・射出させ、液晶ライトバルブ40cからのB光を誘電体多層膜51bで反射して進行方向左側に射出させる。このようにして、クロスダイクロイックプリズム50によりR光、G光及びB光が合成され、カラー画像による画像光である合成光が形成される。
投射レンズ60は、投射光学系であり、クロスダイクロイックプリズム50を経て形成された合成光による画像光を所望の拡大率で拡大してスクリーン(不図示)上にカラーの画像を投射する。
なお、この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
例えば、上記実施形態では、初期動作と定常動作とに関する動作条件の切替のみを説明したが、発光管1を消灯する立下げ時も、累積点灯時間又は点灯時の電圧データに基づいて発光管1に供給する電流値や三角波跳上げ率等の動作条件の切替を行うことができる。
また、上記実施形態では、累積点灯時間又は点灯時の電圧データに基づいて発光管1に供給する電流値や三角波跳上げ率等の動作条件の切替を行っているが、発光管1の照度をPD等のフォトセンサで監視し、そのような監視結果に基づいて電流値や三角波跳上げ率等の動作条件の切替を行うこともできる。
また、上記実施形態では、発光管1に供給する電流値や三角波跳上げ率等を動作条件として、状態区分に応じた別の動作条件への切替を行っているが、周波数、デューティ比等を含めた別の動作条件への切替を行うこともできる。例えば、周波数を低下させた場合、交流電力のうち半周期の後半期間に供給される電力は相対的に増加する。また、陽極となる側のデューティ比を増加させた場合、交流電力のうち半周期の後半期間に供給される電力は相対的に増加する。
以上説明した光源装置において、光源ユニット10に用いるランプとしては、高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等種々のものが考えられる。
また、上記実施形態のプロジェクタ200では、光源装置100からの光を複数の部分光束に分割するため、一対のフライアイレンズ23a,23bを用いていたが、この発明は、このようなフライアイレンズすなわちレンズアレイを用いないプロジェクタにも適用可能である。さらに、フライアイレンズ23a,23bをロッドインテグレータに置き換えることもできる。
また、上記プロジェクタ200において、光源装置100からの光を特定方向の偏光とする偏光変換素子24を用いていたが、この発明は、このような偏光変換素子24を用いないプロジェクタにも適用可能である。
また、上記実施形態では、透過型のプロジェクタに本発明を適用した場合の例について説明したが、本発明は、反射型プロジェクタにも適用することが可能である。ここで、「透過型」とは、液晶パネル等を含む液晶ライトバルブが光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、液晶ライトバルブが光を反射するタイプであることを意味している。なお、光変調装置は液晶パネル等に限られず、例えばマイクロミラーを用いた光変調装置であってもよい。
また、プロジェクタとしては、投射面を観察する方向から画像投射を行う前面プロジェクタと、投射面を観察する方向とは反対側から画像投射を行う背面プロジェクタとがあるが、図11に示すプロジェクタの構成は、いずれにも適用可能である。
また、上記実施形態では、3つの液晶パネル41a〜41cを用いたプロジェクタ200の例のみを挙げたが、本発明は、1つの液晶パネルのみを用いたプロジェクタ、2つの液晶パネルを用いたプロジェクタ、或いは、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクタにも適用可能である。
また、上記実施形態では、色分離光学系30や液晶ライトバルブ40a,40b,40c等を用いて各色の光変調を行っているが、これらに代えて、例えば光源装置100及び照明光学系20によって照明されるカラーホイールと、マイクロミラーの画素によって構成されカラーホイールの透過光が照射されるデバイスとを組み合わせたものを用いることによって、カラーの光変調及び合成を行うこともできる。