従来の情報表示装置51を図11を参照して説明する。図11は、情報表示装置51のブロック構成図である。図11に示す情報表示装置51は、ハードディスク内蔵型やフラッシュメモリ内蔵型のポータブル音楽機器の構成例を示す。制御部52はCPU(Central Processing Unit)などで構成される。また、制御部52は、各部分を制御する。記録媒体53(ハードディスク、またはフラッシュメモリ)には、MP3(MPEG1 Audio Layer3)やWMA(Windows(登録商標) Media Audio)などの音楽ファイルが格納されている。MP3ファイルやWMAファイルにはアーティスト名やアルバム名、トラック名、ジャケット写真などのタグ情報が付随している。
ROM(Read Only Memory)54にはポータブル音楽機器である情報表示装置51を動作させるプログラムが記録されている。情報表示装置51の電源がオン状態になると、そのプログラムは、ROM54からRAM55(Random Access Memory)に展開される。RAM55に展開されたプログラムは、制御部52によって読み出されて情報表示装置51が動作する。
操作部56は、情報表示装置51の各種キー操作を受付ける部分である。各種キーは、上下左右キーやPLAYキーなどで構成される。各キーの押圧時の出力信号は制御部52に取り込まれる。制御部52は、各キーの出力信号に基づき各部を制御する。
情報表示装置51のその他に機能としては、表示部57と出力部58とがある。表示部57は、ユーザが楽曲を選択するための情報、あるいは、演奏中の楽曲に関する情報、もしくは、演奏中の楽曲に付随する画像情報などが表示される。なお、表示部57は、有機EL(organic Electro Luminescence)ディスプレイやLCD(Liquid Crystal Display)などにより実現する。また、出力部58からは、ユーザのキー操作に伴う操作確認音、あるいは、演奏中の楽曲のオーディオ情報、もしくは、表示部57に表示されている情報の音声読み上げ情報などが出力される。なお、出力部58は、オーディオ信号増幅部、スピーカまたはスピーカ端子、イヤホン端子などにより構成される。
操作部56において、上下左右を司るキーデバイスは、ジョグボール59(図12参照)を用いる。ジョグボール59について図12を参照して説明する。図12は、ジョグボール59を説明するための図である。ジョグボール59とは、ボール部60を指で回転させることでボール部60に接触または非接触の複数の回転部材が回転し、磁気信号を発生させ、その磁気信号をホール素子61−1〜61−4で検知し、電圧に変換するキーデバイスである。ホール素子61−1〜61−4が発生する電圧信号を制御部52にて解析し、制御部52は、情報表示装置51の表示部57におけるスクロール動作を制御する。すなわち、制御部52は、ジョグボール59のボール部60の操作に従って、複数列挙されている情報を1つずつスクロールする。
図13は、ホール素子61−1〜61−4がボール部60の動きに伴い発生する電圧を示す図である。図12において、ホール素子61−1は、ボール部60が上方向に回転すると磁気信号を検知する。その磁気信号は、図13に示すように、電圧信号に変換される。同様に、ホール素子61−2は、ボール部60が右方向に回転すると磁気信号を検知する。その磁気信号は、図13に示すように、電圧信号に変換される。ホール素子61−3は、ボール部60が下方向に回転すると磁気信号を検知する。その磁気信号は、図13に示すように、電圧信号に変換される。ホール素子61−4は、ボール部60が左方向に回転すると磁気信号を検知する。その磁気信号は、図13に示すように、電圧信号に変換される。
さらに、ボール部60を縦方向に押すことにより、スイッチとしての機能も有する。ボール部60の下部に図示しないプッシュスイッチが設けられ、ボール部60の回転操作に加えてプッシュスイッチに対応付けられた操作を行うことができる。
ボール部60が回転したとき、各ホール素子61−1〜61−4の電圧出力はLowレベルからHighレベル、あるいは、HighレベルからLowレベルに変化する。制御部52は、この電圧変化を検出し、上、下、左、右の各方向のキー操作をそれぞれ認識する。これにより制御部52は、表示部57において上、下、左、右の各方向にスクロール動作を制御する。さらに具体的には所定の時間内に検出した電圧変化(High→LowまたはLow→High)の回数によってキー検出を決定するなど、様々なキー検出方法がある。
図14は、ジョグボール59のボール部60を右下方向に斜めに回転したときのホール素子61−1〜61−4の電圧波形の例である。図14に示すように、ジョグボール59のボール部60を右下方向に斜めに回転したときに、ホール素子61−2とホール素子61−3とに電圧変化が現れる。制御部52は、ホール素子61−2およびホール素子61−3の電圧変化を同時に検出することにより右下方向、つまり斜め方向のキー操作と認識することができる。これにより、制御部52は、表示部57における斜め方向を含む全方向のスクロール動作を制御することができる。
このジョグボール59を利用することで、ポータブル音楽機器としての情報表示装置51で図15〜図17に示すような音楽ファイルの検索を行うことができる。図15〜図17は、情報表示装置51における音楽ファイルの検索例を説明するための図である。例えば、記憶媒体53の音楽ファイルにはタグ情報としてのジャケット写真が付随している。
制御部52は、記憶媒体53の音楽ファイルのタグ情報としてのジャケット写真(画像♯1〜画像♯64)を抽出し、図15に示すような複数の情報(画像♯1〜画像♯64)を縦横に配置してなる情報行列を生成する。この生成方法は、特開2001−344876に示されている技術を用いることができる。
なお、図15の二重の太枠の外側の枠内(画像♯19〜♯21、画像♯27〜♯29、画像♯35〜♯37が含まれている)が表示部57に表示される表示エリアである。また、二重の太枠の内側の枠内(画像♯28)が現在選択対象となる音楽ファイルのジャケット写真である。この状態でユーザがジョグホール59のボール部60を押すことにより、画像♯28が選択され、対応する音楽ファイルが再生されるか再生可能な状態となる。
図15の状態において、ユーザは、他の音楽ファイルを選択したい場合は、ジョグボール59のボール部60を回転させて表示部57内の表示エリアのジャケット写真を変更する。例えば、画像♯29を選択したいときには、ボール部60を右に回転させる。すると、図15に示す表示エリアが右方向にスクロールし、画像♯29が選択状態となる。この画像♯29の選択状態を図16に示す。また、ユーザは、図16に示す画像♯29の選択状態において、画像♯36を選択したいときには、ボール部60を左下に回転させる。すると、図16に示す表示エリアが左下方向にスクロールし、画像♯36が選択状態となる。この画像♯36の選択状態を図17に示す。
上述した情報表示装置51では、ジョグボール59の操作に対応して表示エリアにジャケット写真の情報行列をジョグボール59で操作した方向に移動するように表示させる。したがって、ユーザが選択を希望する情報に辿り着くまでの間に、ユーザはジョグボール59を多数回操作しなければならない場合がある。このような操作は、ユーザにとってきわめて煩わしい操作である。また、ユーザが望む方向のみのジャケット写真のみ表示されるため、数多くのジャケット写真が行列として表示可能となっているにも係わらず、ジャケット写真をランダムな方向の一覧としてユーザが閲覧することはできない。
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、ユーザが多数の情報の中から所望する情報を選択する際の利便性を高めると共に、ユーザが意図しない情報の選択をも促すことができる情報表示装置、情報表示方法および音楽ファイルの検索方法ならびにプログラムを提供することを目的とする。
本発明の情報表示装置は、情報を選択させるための画面を有する情報表示装置において、画面に、情報を面状に配置して表示する表示手段と、表示手段により画面に表示された面状に配置された情報を、操作の有無に係わらずスクロールを行うスクロール手段と、スクロール手段により画面に表示された情報を選択対象とする選択手段と、を備えることを特徴とする。
さらに、スクロール手段によるスクロールの方向を変える方向変更手段を備えることができる。または、スクロール手段によるスクロールの速度を変える速度変更手段を備えることができる。
これにより、スクロール手段は、情報の配列における最初の情報からスクロールを開始することができる。または、スクロール手段は、前回のスクロール終了位置からスクロールを開始することができる。または、スクロール手段は、面状に配置して表示された情報におけるランダムな位置からスクロールを開始することができる。
また、スクロール手段は、予め定められた特定の方向にスクロールを開始することができる。または、スクロール手段は、前回のスクロール終了時点のスクロール方向にスクロールを開始することができる。または、スクロール手段は、面状に配置して表示された情報におけるランダムな方向にスクロールを開始することができる。
また、本発明を情報表示方法としての観点から観ることもできる。すなわち、本発明の情報表示方法は、画面上に情報を選択させるための情報を表示する情報表示方法において、画面に、情報を面状に配置して表示する表示ステップと、表示ステップの処理により画面に表示された面状に配置された情報を、操作の有無に係わらずスクロールを行うスクロールステップと、スクロールステップの処理により画面に表示された情報を選択対象とする選択ステップと、を有することを特徴とする。
また、本発明を音楽ファイルの検索方法としての観点から観ることもできる。すなわち、本発明の音楽ファイルの検索方法は、画面上に、音楽ファイルを選択させるため、この音楽ファイルに付随するタグ情報としてのジャケット写真を表示する音楽ファイルの検索方法において、画面に、ジャケット写真を面状に配置して表示する表示ステップと、表示ステップの処理により画面に表示された面状に配置されたジャケット写真を、操作の有無に係わらずスクロールを行うスクロールステップと、スクロールステップの処理により画面に表示されたジャケット写真を選択対象とする選択ステップと、を有することを特徴とする。
また、本発明をプログラムとしての観点から観ることもできる。すなわち、本発明のプログラムは、情報処理装置に、情報を選択させるための画面を有する情報表示装置としての機能を実現するプログラムにおいて、画面に、情報を面状に配置して表示する表示機能と、表示機能により画面に表示された面状に配置された情報を、操作の有無に係わらずスクロールを行うスクロール機能と、スクロール機能により画面に表示された情報を選択対象とする選択機能と、を実現することを特徴とする。
本発明によれば、ユーザが多数の情報の中から所望する情報を選択する際の利便性を高めると共に、ユーザが意図しない情報の選択をも促すことができる。
(本発明の第一の実施の形態)
本発明の第一の実施の形態に係る情報表示装置1および情報表示方法を説明する。図1は、情報表示装置1のブロック構成図である。情報表示装置1は、既に説明した情報表示装置51とは制御部2における制御手順が制御部52とは大きく異なる。以下では、情報表示装置51と同一または同種の部分は同一または同一系の符号を用いて説明し、その説明を省略または簡略化し、かつ異なる部分について主として説明する。なお、情報表示装置51における記憶媒体53、ROM54、RAM55、操作部56、表示部57、出力部58は、情報表示装置1における記憶媒体3、ROM4、RAM5、操作部6、表示部7、出力部8と同一である。
情報表示装置1の制御部2は、1つのCPUなどにより実現する。しかしながら、制御部2の特徴的な処理を分り易く説明するために、制御部2は、表示部7により画面(この画面は表示部7が備えてもよいし、その他の部材が備えてもよい)に表示された情報を、操作の有無に係わらずスクロールを行うスクロール手段であるスクロール制御部12と、スクロール制御部12によるスクロールの方向を変える方向変更手段であるスクロール方向制御部13と、複数の情報が存在しているか否かの判定をする判定部14と、を備える構成として説明する。スクロール方向制御部13は、操作部6のジョグボール59のボール部60の操作方向によってスクロール方向を制御する処理を行う。その他の情報表示装置1の構成については情報表示装置51で既に説明した構成と同様である。
以下では、情報表示装置1の制御部2の制御手順を、スクロール制御部12、スクロール方向制御部13および判定部14を主として詳細に説明する。スクロール制御部12は、表示部7における表示エリアをユーザの操作の有無に係わらず所定の方向に所定の速度でスクロールさせる。スクロール方向制御部13は、ユーザの操作に応じてスクロールする所定の方向を適宜変更する。判定部14は、情報となる複数のジャケット写真などが存在しているか否かを判定し、1つの情報のみの場合には、スクロールを行わず、複数の情報が存在している場合にスクロールを開始させる。
図2〜図6は、情報表示装置1における音楽ファイルの検索例を説明するための図である。例えば、記憶媒体3の音楽ファイルにはタグ情報としてのジャケット写真が付随している。制御部2は、記憶媒体3の音楽ファイルのタグ情報としてのジャケット写真(画像♯1〜画像♯64)を抽出し、図2に示すような複数の情報(画像♯1〜画像♯64)を縦横に配置してなる情報行列を生成する。この生成方法は、特開2001−344876に示されている技術を用いることができる。
制御部2は、図2の二重の太枠の外側の枠内(図2の例では、画像♯1、画像♯2、画像♯9、画像♯10を含む)を表示部7に表示される表示エリアとする。判定部14において、ジャケット写真が複数存在するか否かを判定する。この判定の結果、1つのみの場合は、その1つに図2に示す二重の太枠の内側の枠を合わせる。一方、複数のジャケット写真が存在する場合は、まず、最初のジャケット写真となる左上の画像♯1を内側の枠内に納める。すなわち、制御部2は、二重の太枠の内側の枠内(画像♯1)を選択対象の音楽ファイルのジャケット写真とする。この状態でジョグボール59のボール部60を押すことにより、画像♯1が選択され、対応する音楽ファイルが再生されるか再生可能な状態となる。
図2の状態において、ユーザが他の音楽ファイルを選択したい場合は、判定部14において、ジャケット写真が複数存在していると判定しているので、ユーザは、スクロール制御部12が表示エリアを自動的にスクロールさせるのを待つ。図3は、スクロール制御部12が表示エリアを1つ右の画像情報に自動的にスクロールさせた例を示している。これにより、図3の二重の太枠の外側の枠内(画像♯1〜画像♯3、画像♯9〜画像♯11が含まれる)が表示部7に表示される表示エリアとなる。また、図3の二重の太枠の内側の枠内(画像♯2)が選択対象の音楽ファイルのジャケット写真となる。同様に、図3の状態において、ユーザが他の音楽ファイルを選択したい場合は、スクロール制御部12が表示エリアを自動的にスクロールさせるのを待つ。図4は、スクロール制御部12が表示エリアをさらに1つ右の画像情報に自動的にスクロールさせた例を示している。これにより、図4の二重の太枠の外側の枠内(画像♯2〜画像♯4、画像♯10〜画像♯12を含む)が表示部7に表示される表示エリアとなる。また、図4の二重の太枠の内側の枠内(画像♯3)が選択対象の音楽ファイルのジャケット写真となる。
情報表示装置1では、ジョグボール59のボール部60をユーザが操作することにより、スクロール方向制御部13は、表示エリアのスクロール方向を変更する。すなわち、表示エリアがいずれかの方向に自動的にスクロールしている状態で、ユーザがボール部60をいずれかの方向に操作すると、スクロール方向制御部13は、この操作により指示された方向に表示エリアのスクロール方向を変更する。
例えば、図4の状態において、表示エリアに画像♯12が見えてきたために、ユーザが画像♯12を選択する場合を想定する。図4において選択対象である画像♯3に対して右下方向に画像♯12が存在する。よって、ユーザは、ボール部60を右下方向に操作する。これにより、スクロール方向制御部13は、表示エリアのスクロール方向を右方向から右下方向に変更する。したがって、次にスクロール制御部12がスクロールを行うと、図5に示すように、画像♯12が選択対象になる。このときユーザが画像♯12を選択せず放置すると、スクロール制御部12は、右下方向への表示エリアのスクロールを継続し、図6に示すように、画像♯21が選択対象になる。なお、ユーザがさらに画像♯21を選択せず放置すると、スクロール制御部12は、画像♯30→画像♯39→画像♯48→画像♯4→画像♯13→…と右下方向へのスクロールを継続する。同様に、スクロール制御部12は、ユーザによって指定された上、右上、右、右下、下、左下、左、左上の各方向についてユーザが情報(画像♯1〜画像♯64のいずれか)を選択するまでスクロールを継続する。
なお、スクロール制御部12が表示エリアを自動的にスクロールさせる速度は、ユーザが現在選択対象の情報を確認してから操作部6のPLAYキーを押すことができる時間的余裕を有する速度になる。よって、表示エリアのスクロール速度については、多数のユーザに対して実験を行い、そのほとんどのユーザが最適と感じる1つのスクロール速度を見つけ出す。そして、その最適なスクロール速度をROM4に記憶させ、スクロール制御部12はこれを利用することが好ましい。
第一の実施の形態における制御部2の処理手順を図7のフローチャートを参照して説明する。図7は、制御部2の処理手順を示すフローチャートである。ユーザが情報表示装置1の操作部6を操作することにより、情報閲覧の開始を制御部2に対して指示する。制御部2は、この指示を受けて図7に示す情報閲覧のための処理をスタートさせる。まずは、制御部2は、表示部7に表示する選択画面を生成する(ステップS1)。次に、制御部2の判定部14は、選択画面に表示する情報(画像)が複数であるか否かを判定する(ステップS2)。判定の結果が複数でなければ(ステップS2のNo)、制御部2は、選択の対象となる画像を選択の対象とし、内側の枠(図2〜図6参照)に入れる(ステップS3)。ここでユーザが操作部6のPLAYキーを押すことにより選択の対象となる画像を選択すると(ステップS4のYes)、制御部2は、選択された画像に対応する情報を出力部8に出力する(ステップS12)。なお、ユーザが操作部6のPLAYキーを所定時間経過しても押さない場合には(ステップS5)、時間切れとして処理を終了する。
ステップS2において、制御部2の判定部14が選択画面に表示する情報(画像)が複数であると判定した場合には(ステップS2のYes)、制御部2のスクロール制御部12は、表示エリアのスクロール速度および方向ならびに表示エリアの内側の枠の位置(この位置をスクロールの開始位置ということにする)を初期値に設定する(ステップS6)。スクロール速度の初期値については、上述したように、実験の結果、ほとんどのユーザが最適と感じる1つのスクロール速度がROM4に記憶されている。スクロール制御部12は、このスクロール速度を以て初期値とする。また、内側の枠の位置の初期値は、左上の情報(画像♯1)の位置とする。
なお、制御部2が表示エリアのスクロールを開始する位置の設定については、様々な方法がある。例えば、1つ目は、所定の位置からスクロールを開始する方法である。所定の位置とは、例えば、図2に示したように表示エリアの内側の枠が画像♯1〜画像♯64の情報行列における先頭の画像♯1を含む位置である。例えば、2つ目は、前回のスクロール終了位置からスクロールを開始する方法である。例えば、3つ目は、ランダムな位置からスクロールを開始する方法である。
この1つ目および2つ目の方法は、情報表示装置1に対してユーザが情報閲覧指示を行う際に、ユーザは、スクロール開始位置を予測することが可能である。ユーザが、目的とする情報の位置を予め知っている場合には、1つ目および2つ目の方法を採ることがユーザにとって便利である。特に、前回のスクロール終了位置は、ユーザが前回選択した情報の位置である。したがって、ユーザにとって最も関心の高い情報が存在している可能性が高い情報位置である。よって、前回のスクロール終了位置から再びスクロールを開始することは有用である。すなわち、これにより、ユーザにとって関心の高い情報に、ユーザが再び巡り会える機会を多く含む可能性が高くなる。また、3つ目の方法は、情報表示装置1に対してユーザが情報閲覧指示を行う際に、ユーザは、スクロール開始位置を予測不可能である。この方法は、ユーザに対し、どの位置からの情報が表示されるか不明であるというゲーム的な楽しみを与えることができる。これら3つの方法は、それぞれ利点が異なる。したがって、操作部6からのユーザによる操作によって制御部2がこれら3つの方法またはこれら3つの方法に加えた他の方法を含めた複数の方法を切替えるようにすることが好ましい。
また、制御部2が表示エリアのスクロールを開始する方向の設定についても様々な方法がある。例えば、1つ目は、所定の方向からスクロールを開始する方法である。所定の方向とは、例えば、図2〜図4に示すように右方向である。例えば、2つ目は、前回のスクロール終了方向と同じ方向にスクロールを開始する方法である。例えば、3つ目は、ランダムな方向にスクロールを開始する方法である。
この1つ目および2つ目の方法は、情報表示装置1に対してユーザが情報閲覧指示を行う際に、ユーザは、スクロール開始方向を予測することが可能である。ユーザが、目的とする情報の位置を予め知っている場合には、1つ目および2つ目の方法を採ることがユーザにとって便利である。また、3つ目の方法は、情報表示装置1に対してユーザが情報閲覧指示を行う際に、ユーザは、スクロール開始方向を予測不可能である。この方法は、ユーザに対し、どの方向にスクロールが開始される不明であるというゲーム的な楽しみを与えることができる。これら3つの方法は、それぞれ利点が異なる。したがって、操作部6からのユーザによる操作によって制御部2がこれら3つの方法またはこれら3つの方法に加えた他の方法を含めた複数の方法を切替えるようにすることが好ましい。なお、スクロール開始位置およびスクロール開始速度の切替え操作については、それぞれ個別に切替えてもよいし、組み合わせパターンを複数用意しておき、この組み合わせパターン毎に切替えてもよい。
このようにして制御部2のスクロール制御部12は、図7のステップS6でスクロールの速度および方向ならびに開始位置を初期値に設定してスクロールを開始する。ここで、ユーザがジョグボール59のボール部60を操作したとする(ステップS7のYes)。これを受けてスクロール方向制御部13は、ボール部60の回転方向を検出する(ステップS8)。スクロール方向制御部13は、ボール部60の回転方向を検出すると、その方向に表示エリアのスクロール方向を設定する(ステップS9)。その後、制御部2は設定されたスクロール方向にスクロールを実行させる(ステップS10)。制御部2は、表示エリアのスクロール中にユーザが操作部6のPLAYキーを押下することにより情報を選択すると(ステップS11のYes)、選択された情報(例えば、音楽ファイル)を出力部8に出力する(ステップS12)。なお、ステップS7においてボール部60の操作がなされない場合には(ステップS7のNo)、スクロール制御部12は、初期値で設定された方向にスクロールを行う(ステップS10)。
(本発明の第二の実施の形態)
本発明の第二の実施の形態に係る情報表示装置1Aおよび情報表示方法を説明する。図8は、情報表示装置1Aのブロック構成図である。情報表示装置1Aは、情報表示装置1とは制御部2Aにおける制御手順が制御部2と異なる。以下では、情報表示装置1と同一または同種の部分は同一または同一系の符号を用いて説明し、その説明を省略または簡略化し、かつ異なる部分について主として説明する。
情報表示装置1Aの制御部2Aは、1つのCPUなどにより実現する。しかしながら、制御部2Aの特徴的な処理を分り易く説明するために、制御部2Aは、表示部7により画面に表示された情報(ジャケット写真)を、操作の有無に係わらずスクロールを行うスクロール手段であるスクロール制御部12Aと、スクロール制御部12Aによるスクロールの方向を変える方向変更手段であるスクロール方向制御部13と、判定部14とに加え、スクロール制御部12Aによるスクロールの速度を変える速度変更手段であるスクロール速度制御部15を備える構成として説明する。前述したように、スクロール方向制御部13は、操作部6のジョグボール59のボール部60の操作方向によってスクロール方向を制御する処理を行う。判定部14は、選択画面の表示すべき複数の情報が存在しているか否かの判定をする。また、スクロール速度制御部15は、操作部6のジョグボール59のボール部60の操作速度によってスクロール速度を制御する処理を行う。すなわち、スクロール速度制御部15は、ボール部60の操作速度を検出すると、その操作速度に応じたスクロール速度となるように、スクロール制御部12Aに対し、スクロール速度変更指示を与える。その他の情報表示装置1Aの構成については情報表示装置1または情報処理装置51で既に説明したものと同様である。
第一の実施の形態では、実験の結果、ほとんどのユーザが最適と感じる1つのスクロール速度をROM4に記憶し、スクロール制御部12は、このスクロール速度を以て初期値とした。しかしながら、ユーザが最適と感じるスクロール速度には個人差がある。また、表示されている情報(画像♯1〜画像♯64)の内容が単純であればスクロール速度が速くてもユーザは情報の内容を確認できる。しかし、表示されている情報の内容が複雑であればスクロール速度が速いとユーザは情報の内容を確認困難となる。したがって、表示エリアのスクロール速度についてもユーザが任意に設定できたら好ましい。第二の実施の形態では、制御部2Aのスクロール速度制御部15が、表示エリアのスクロール速度をユーザの操作により変更する例を説明する。
図9は、ジョグボール59のボール部60を回転させたときのホール素子11−1〜11−4の電圧出力を示す図である。図9に示す回転(1)は、ボール部60の回転を速くしたときの電圧出力であり、図9に示す回転(2)は、ボール部60の回転を遅くしたときの電圧出力である。スクロール速度制御部15は、例えば、50msの間に検出した電圧変化をカウントし、そのカウント値に応じて表示エリアのスクロール速度を変化させる。図9の例では、回転(1)と回転(2)とを比較すると、回転(1)の方が50ms間の電圧変化のカウント値が大きいので、スクロール速度制御部15は、表示エリアの移動速度(1)を移動速度(2)に比べて速くする。
次に、第二の実施の形態における制御部2Aの処理手順を図10のフローチャートを参照して説明する。図10は、制御部2Aの処理手順を示すフローチャートで、図7で説明した制御部2の処理手順のステップS6からステップS12に対応する部分の制御部2Aの処理手順を示したものである。ユーザが情報表示装置1Aの操作部6を操作することにより、情報閲覧の開始を制御部2Aに対して指示する。制御部2Aは、この指示を受けて図10に示す情報閲覧のための処理をスタートさせる。まずは、制御部2Aは、図7に示すステップS1、S2の処理を行う。ステップS2でNoの場合には、ステップS3、S4、S5の各処理を行う。一方、ステップS2でYesの場合には、スクロール制御部12Aにより表示エリアのスクロール速度および方向ならびに内側の枠の位置(スクロールの開始位置)を初期値に設定する(ステップS6)。スクロール速度の初期値については、上述したように、実験の結果、ほとんどのユーザが最適と感じる1つのスクロール速度がROM4に記憶されている。スクロール制御部12Aは、このスクロール速度を以て初期値とする。また、制御部2Aが表示エリアのスクロールを開始する位置およびスクロールを開始する方向の設定については、第一の実施の形態で説明したとおりである。
このようにして制御部2Aは、図10のステップS6でスクロール制御部12Aによりスクロールの速度および方向ならびに内側の枠の位置を初期値に設定してスクロールを開始する。ここで、ユーザがジョグボール59のボール部60を操作したとする(ステップS7のYes)。これを受けてスクロール方向制御部13およびスクロール速度制御部15は、ボール部60の回転方向および回転速度を検出する(ステップS8A)。スクロール方向制御部13およびスクロール速度制御部15は、ボール部60の回転方向および回転速度を検出すると、その方向および速度に表示エリアのスクロール方向および速度を設定する(ステップS9A)。その後、制御部2Aは、設定されたスクロール方向とスクロール速度にてスクロールを実行させる(ステップS10A)。制御部2Aは、表示エリアのスクロール中にユーザが操作部6のPLAYキーを押下することにより情報を選択すると(ステップS11のYes)、選択された情報(例えば、音楽ファイル)を出力部8に出力する(ステップS12)。なお、ステップS7においてボール部60の操作がなされない場合には(ステップS7のNo)、スクロール制御部12Aは、初期値で設定された方向および速度にスクロールを行う(ステップS10A)。
(プログラムの実施例)
情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、本発明の実施の形態の情報表示装置1、1Aとしての機能を実現するプログラムの実施例を説明する。ここで、情報処理装置とは、例えば、汎用のコンピュータ装置(CPU、DSP(Digital Signal Processor)など)である。
本実施例のプログラムは記録媒体に記録されることにより、情報処理装置は、この記録媒体を用いて本実施例のプログラムをインストールすることができる。あるいは、本実施例のプログラムを保持するサーバからネットワークを介して直接、情報処理装置に本実施例のプログラムをインストールすることもできる。
これにより、情報処理装置を用いて、本発明の実施の形態の情報表示装置1、1Aにおける制御部2、2Aの機能を実現することができる。なお、これ以外の機能についてもソフトウェアによって実現可能な機能については、本実施例のプログラムによって実現してもよい。
なお、本実施例のプログラムは、情報処理装置によって直接実行可能なものだけでなく、ハードディスクなどにインストールすることによって実行可能となるものも含む。また、圧縮されたり、暗号化されたりしたものも含む。
(その他の実施の形態)
本発明の実施の形態は、本発明の要旨を逸脱しなり限り、様々に変更可能である。情報表示装置1、1Aは、ハードディスク内蔵型やフラッシュメモリ内蔵型のポータブル音楽機器の構成例を示した。よって、画像♯1〜画像♯64としては楽曲を選択するために有用な画像情報(音楽ファイルのタグ情報としてのジャケット写真など)であるとして説明した。しかしながら、情報表示装置1、1Aを小説や百科事典もしくは辞書などのテキスト情報を選択して表示する機器とすることもできる。また、画像情報である画像♯1〜画像♯64を、テキスト情報であるテキスト♯1〜テキスト♯64としたり、画像情報とテキスト情報とを混在させたりすることもできる。なお、画像情報には、静止画、動画、図形、記号、数式などを含むものとする。さらに、情報行列としては、行のみ、あるいは、列のみの情報行列であってもよい。
また、上述の実施の形態では、画像♯1〜画像♯64の表示領域を全て同じサイズとして図示した。しかしながら、表示エリア(外側の太枠)を逸脱しない範囲で、異なるサイズの画像情報またはテキスト情報を表示してもよい。あるいは、表示エリアを逸脱してもスクロールによってその全貌が明らかになるのであれば、表示エリアを逸脱したサイズの画像情報またはテキスト情報を表示してもよい。また、説明上、選択画面となる表示エリアが移動するかのごとく説明したが、実際は、選択画面内を情報である画像♯1〜画像♯64が移動している(スクロールする)こととなる。
また、操作部6に備えるキーデバイスとしてジョグボール59を備えた例を説明した。しかしながら、制御部2、2Aにおいてスクロール方向および/またはスクロール速度が検出可能であれば、どのようなキーデバイスを備えてもよい。例えば、ユーザは、上下左右さらには斜め方向(右上、右下、左上、左下)を指定するキースイッチによって、制御部2、2Aに対し、スクロール方向を指定してもよい。また、ユーザは、このキースイッチの押し方(長押し、短押し、1回押し、2回押し、など)によって、制御部2Aに対し、スクロール速度を指定してもよい。あるいは、操作部6にマウスを備えてもよい。このマウスのポインタの移動方向によって、制御部2、2Aに対し、スクロール方向を指定してもよい。また、このマウスのポインタの移動速度によって、制御部2Aに対し、スクロール速度を指定してもよい。その他にも、操作部6と表示部7とが一体に形成されたタッチパネルなどを用いてもよい。この場合には、例えば、タッチパネル面をユーザの指先が移動する方向によって、制御部2、2Aに対し、スクロールの方向を指定してもよい。また、タッチパネル面をユーザの指先が移動する速度によって、制御部2Aに対し、スクロールの速度を指定してもよい。
また、スクロールの開始位置、開始方向、開始速度については、前述した例の他にも様々な方法を採り得ることとする。例えば、スクロールの途中に、スクロールしている行または列がランダムにシフトするようにしたり、行または列を、間引いてスクロールするようにしたり、渦巻き状にスクロールするようにしたり、スクロール速度が速くなったり遅くなったりを繰り返すようにしたり、などの方法を採ることができる。これにより、ユーザにゲーム感覚の楽しみを与えることができる。
また、操作の有無に係わらず自動的にスクロールさせる基準として、情報が2つ以上の場合としたが、この基準、すなわち判定部14の判定基準を1つの選択画面中に保存されている情報が複数か否かとしてもよい。すなわち、情報が2つ以上であっても、例えば図2〜図6における画像♯1と画像♯64のように、離れて配置されている情報しかない場合には、スクロールさせる必要はない。このような場合には、例えば、画像♯1と画像♯64とを交互に切替えて表示させるようにすればよい。さらには、判定部14を設けず、選択画面が開いたら、どのような場合でも自動的にスクロールを開始するようにしてもよい。また、上述の実施の形態では情報を選択する例を示したが、情報を表示させるのみの画面にも適用できる。この場合には、情報の選択は、他の入力装置を利用することが好ましい。
また、選択対象となる音楽ファイルのジャケット写真を、二重の太枠の内側の枠内に表示されたジャケット写真としたが、内側の枠を設けずに、表示部7の表示エリアの中心点が指し示すジャケット写真を選択対象としてもよい。
また、自動スクロールを行っている間に、ユーザが選択対象となるジャケット写真を選択しないために、ジャケット写真の情報行列の端部に達した場合、例えば図3において右横方向に自動スクロールが行われ、選択対象が端部の画像♯8に達した場合には、自動スクロールはそこで終了せずとも、画像♯8から逆方向、この場合は左横方向への自動スクロールを開始してもよい。さらには、画像#8に連続して画像♯1から右横方向への自動スクロールから再度開始してもよい。
1、1A 情報表示装置、2、2A 制御部(スクロール手段、方向変更手段、速度変更手段、選択手段)、3 記憶媒体、4 ROM、5 RAM、6 操作部、7 表示部(表示手段)、8 出力部、11−1〜11−4 ホール素子、12、12A スクロール制御部(スクロール手段)、13 スクロール方向制御部(方向変更手段)、14 判定部、15 スクロール速度制御部(速度変更手段)、59 ジョグボール、60 ボール部