JP2010019214A - 燃料噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧力制御室81は、内部の燃料の圧力が高まるとニードル3を離座方向へ付勢する。加圧室82は、圧力制御室81に連通し、ピストン5によって内部の燃料が加圧される。ピエゾ駆動体6は、電圧を印加されて伸長することにより、加圧室82を昇圧する方向にピストン5を押圧する。ECU8は、ピエゾ駆動体6に印加する電圧を変化させることにより、加圧室82および圧力制御室81の圧力を変化させる。また、ECU8は、ニードル3が離座位置から着座位置まで移動する途中、ピエゾ駆動体6に印加する電圧を減少させる度合いを変化させてピエゾ駆動体6の単位時間あたりの収縮率を変化させることにより、ニードル3の着座方向への移動速度を低減する速度低減手段を有している。
【選択図】図1
Description
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による燃料噴射装置を図1に示す。燃料噴射装置1は、例えばディーゼルエンジンの各気筒に取り付けられ、コモンレールに蓄圧状態で蓄えられた高圧の燃料を各気筒に噴射する。燃料噴射装置1は、ノズルボディ2、ニードル3、ピストン5、ピエゾ駆動体6および電子制御ユニット(以下、ECUという。)8などを備えている。ノズルボディ2の内部に、ニードル3、ピストン5およびピエゾ駆動体6などが設けられ、燃料通路70、燃料溜り室71、背圧室72、圧力制御室81、加圧室82などが形成されている。
本実施形態では、アウターニードル30は、3つの部材により構成されている。すなわち、アウターニードル30は第1アウターニードル31、第2アウターニードル32および第3アウターニードル33により構成され、各アウターニードルはこの順で当接している。第1アウターニードル31、第2アウターニードル32および第3アウターニードル33は、いずれも略円筒状に形成され、それぞれ第1ボディ21、第2ボディ22および第3ボディ23の内側に、軸方向へ往復移動可能に収容されている。
インナーニードル40は第1インナーニードル41、第2インナーニードル42および第3インナーニードル43の3つの部材により構成され、各インナーニードルはこの順で当接している。第1インナーニードル41、第2インナーニードル42および第3インナーニードル43は、いずれも略円柱状に形成され、それぞれ第1アウターニードル31、第2アウターニードル32および第3アウターニードル33の内側に、軸方向へ往復移動可能に収容されている。
第2ボディ22の内壁と第2アウターニードル32の段差面32aとの間には、圧力制御室81が形成されている。第1ピストン51の大径部53と第4ボディ24の内壁との間には、加圧室82が形成されている。圧力制御室81と加圧室82とは、第2ボディ22、第3ボディ23および第4ボディ24の内部に形成された連通路80によって連通している。圧力制御室81と加圧室82とは、特許請求の範囲における「燃料圧力制御系統」を構成している。
図1に示すように、ピエゾスタック61が充電されていないとき、ピエゾスタック61は収縮している。このとき、第1アウターニードル31は、スプリング16の付勢力により弁座13に着座している。また、第1インナーニードル41は、スプリング17の付勢力により弁座13に着座している。そのため、燃料溜り室71と噴孔11との間、および燃料溜り室71と噴孔12との間は遮断されており、噴孔11および噴孔12からの燃料の噴射は停止されている。なお、このとき、第3アウターニードル33の端面33aには、背圧室72内の燃料圧力が作用している。これにより、第3アウターニードル33、第2アウターニードル32および第1アウターニードル31は、弁座13側へ付勢されている。
また、本実施形態では、第1アウターニードル31が離座位置から着座位置まで移動するとき、図2(A)に示すように先ず第1当接部としての壁面34aが弁座13に当接する。第1アウターニードル31がさらに着座方向へ移動すると、図2(B)に示すように第1アウターニードル31は、壁面34aが弁座13に接して滑りながら、壁面34a側端部が径内方向へ撓む。これにより、第2当接部としての壁面34bは、弁座13に当接し、壁面34aとともに噴孔11を閉塞する。図2(B)は、第1アウターニードル31のシート部34が噴孔11を閉塞し、第1アウターニードル31の着座方向への移動が停止している状態、すなわち第1アウターニードル31の着座状態を示している。なお、図2(B)中の波線は、図2(A)での第1アウターニードル31の位置を示している。
次に、ECU8によるニードル3の駆動制御処理について図3および図4を用いて説明する。
ニードル3の駆動制御処理が開始されると、ECU8は、先ずステップS101(以下、「ステップ」を省略し、単に記号「S」で示す。)を実行する。
S102では、ECU8は、印加電圧の値が閾値V1以下かどうかを判断する。印加電圧の値は閾値V1以下であると判断した場合(S102:Y)、処理はS103へ移行する。一方、印加電圧の値は閾値V1以下ではない、すなわちV1よりも大きいと判断した場合(S102:N)、処理はS102へ戻る。つまり、印加電圧の値が閾値V1よりも大きい間は、S102が繰り返し実行される。ここで、閾値V1とは、インナーニードル40が弁座13に当接する直前の時点における印加電圧の値である。閾値V1は、RAMに記憶された印加電圧とニードルリフト量との対応関係を示す特性データから推定される、印加電圧に対するインナーニードル40の着座位置からの距離に基づいて設定されている。
S103の後、処理はS104へ移行する。
上述のように、ECU8は、印加電圧を減少させる度合いを、時刻t5からt6までの期間と時刻t6からt9までの期間との間で変化させることによりピエゾ駆動体6の単位時間あたりの収縮率を変化させる。そのため、時刻t6からt9までの期間のインナーニードル40の着座方向への移動速度は、時刻t5からt6までの期間の移動速度に比べて小さくなる。すなわち、このとき、ECU40は、速度低減手段として機能する。これにより、インナーニードル40が弁座13に当接してから(時刻t6の直後)、インナーニードル40が着座位置に位置するまで(時刻t9)の期間のインナーニードル40の滑りの速度を低減することができる。
S104の後、処理はS105へ移行する。
図4のL1に示すように、時刻t9の時点でインナーニードル40は着座位置にあるため、第2噴孔群からの燃料の噴射は停止する。時刻t9以降は第1噴孔群のみから燃料が噴射される。時刻t10以降に印加電圧が減少され、時刻t11の時点(アウターニードル30が弁座13に当接する直前の時点)で印加電圧が閾値V2以下となったことが判断される(S105:Y)と、ECU8は印加電圧を上昇させる(S106)。これにより、L2およびL3からわかるように、アウターニードル30の着座方向への移動速度が変化する。すなわち、時刻t11後のアウターニードル30の移動速度は、時刻t11までの移動速度に比べて小さくなる。これにより、アウターニードル30が弁座13に当接するときの衝撃を緩和することができる。
S106の後、処理はS107へ移行する。
上述のように、ECU8は、印加電圧を減少させる度合いを、時刻t10からt11までの期間と時刻t11からt14までの期間との間で変化させることによりピエゾ駆動体6の単位時間あたりの収縮率を変化させる。そのため、時刻t11からt14までの期間のアウターニードル30の着座方向への移動速度は、時刻t10からt11までの期間の移動速度に比べて小さくなる。すなわち、このとき、ECU40は、速度低減手段として機能する。これにより、アウターニードル30が弁座13に当接してから(時刻t11の直後)、アウターニードル30が着座位置に位置するまで(時刻t14)の期間のアウターニードル30の滑りの速度を低減することができる。つまり、第1アウターニードル31の、第1当接部としての壁面34aが弁座13に当接した位置(図2(A)参照)から第2当接部としての壁面34bが弁座13に当接して着座位置に位置する(図2(B)参照)までの期間のシート部34の滑りの速度を低減することができる。
S107の処理が完了すると、ニードル3の駆動制御処理が終了する。その後、引き続きニードル3の駆動制御を行うために、再び図3に示すニードル3の駆動制御処理が開始され、S101の処理が実行される。
以上説明したように、第1実施形態では、ECU8は、ニードル3が離座位置から着座位置まで移動する途中、ピエゾ駆動体6に印加する電圧を減少させる度合いを変化させてピエゾ駆動体6の単位時間あたりの収縮率を変化させることにより、ニードル3の着座方向への移動速度を低減する速度低減手段として機能する。これにより、ニードル3が弁座13に当接するときのニードル3の速度、またはニードル3が弁座13に当接した後のニードル3の滑りの速度を低減することができる。そのため、ニードル3が弁座13に当接するときの衝撃を緩和すること、またはニードル3および弁座13の摩耗を抑制することができる。その結果、ニードル3を構成するアウターニードル30およびインナーニードル40と弁座13とが摩耗することによる、燃料噴射装置1の開弁時期や開弁時間などの経時的な変化を抑制できる。したがって、燃料噴射装置1の噴射性能の経時劣化を抑制することができる。
本発明の第2実施形態による燃料噴射装置を図に基づいて説明する。なお、第1実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
図5に第2実施形態による燃料噴射装置の一部を示す。第2実施形態では、ニードル47は、第1実施形態のインナーニードルに相当する。すなわち、第2実施形態では、ニードル47は、第1実施形態のようにアウターニードルとインナーニードルとからなる構成ではなく、インナーニードルに相当する部材のみからなる。
図6に示すニードル47の駆動制御処理のフローは、第1実施形態のニードルの駆動制御処理と同様、車両の運転を開始したときに開始される。また、ニードル47の駆動制御処理は、図6に示す一連の処理を実行することにより一旦終了するが、終了後、再び処理の先頭から開始される。
S201では、ECU8は、印加電圧が時間の経過にともなって減少しているかどうか、すなわち印加電圧の勾配が負であるかどうかを判断する。印加電圧の勾配が負であると判断した場合(S201:Y)、処理はS202へ移行する。一方、印加電圧の勾配は負ではないと判断した場合(S201:N)、処理はS201へ戻る。すなわち、印加電圧の勾配が0または正の場合、S201が繰り返し実行される。
時刻t21からt22にかけて印加電圧が増大すると、これにともなって圧力制御室81の燃料圧力が上昇し、ニードル47が離座方向へ移動する。これにより、噴孔12からの燃料の噴射が開始される。時刻t22からt23にかけては、印加電圧は一定であり、ニードル47の着座位置からの距離も一定である。時刻t23からt24にかけて印加電圧が減少すると、これにともなって圧力制御室81の燃料圧力が低下し、ニードル47が着座方向へ移動する。
S202では、ECU8は、印加電圧の値が閾値V3以下かどうかを判断する。印加電圧の値は閾値V3以下であると判断した場合(S202:Y)、処理はS203へ移行する。一方、印加電圧の値は閾値V3以下ではない、すなわちV3よりも大きいと判断した場合(S202:N)、処理はS202へ戻る。つまり、印加電圧の値が閾値V3よりも大きい間は、S202が繰り返し実行される。ここで、閾値V3とは、ニードル47が弁座13に当接する直前の時点における印加電圧の値である。閾値V3は、RAMに記憶された印加電圧とニードルリフト量との対応関係を示す特性データから推定される、印加電圧に対するニードル47の着座位置からの距離に基づいて設定されている。
例えば図7のL4に示すように、時刻t24の時点(ニードル47が弁座13に当接する直前の時点)で印加電圧が閾値V3以下となったことが判断される(S202:Y)と、ECU8は印加電圧を上昇させる(S203)。これにより、L5からわかるように、ニードル47の着座方向への移動速度が変化する。すなわち、時刻t24後のニードル47の移動速度は、時刻t24までの移動速度に比べて小さくなる。これにより、ニードル47が弁座13に当接するときの衝撃を緩和することができる。
S203の後、処理はS204へ移行する。
上述のように、ECU8は、印加電圧を減少させる度合いを、時刻t23からt24までの期間と時刻t24からt27までの期間との間で変化させることによりピエゾ駆動体6の単位時間あたりの収縮率を変化させる。そのため、時刻t24からt27までの期間のニードル47の着座方向への移動速度は、時刻t23からt24までの期間の移動速度に比べて小さくなる。すなわち、このとき、ECU40は、速度低減手段として機能する。これにより、ニードル47が弁座13に当接してから(時刻t24の直後)、ニードル47が着座位置に位置するまで(時刻t27)の期間のニードル47の滑りの速度を低減することができる。
S204の処理が完了すると、ニードル47の駆動制御処理が終了する。その後、引き続きニードル47の駆動制御を行うために、再び図6に示すニードル47の駆動制御処理が開始され、S201の処理が実行される。
以上説明したように、第2実施形態では、ECU8は、ニードル47が離座位置から着座位置まで移動する途中、ピエゾ駆動体6に印加する電圧を減少させる度合いを変化させてピエゾ駆動体6の単位時間あたりの収縮率を変化させることにより、ニードル47の着座方向への移動速度を低減する速度低減手段として機能する。これにより、ニードル47が弁座13に当接するときのニードル47の速度、またはニードル47が弁座13に当接した後のニードル47の滑りの速度を低減することができる。そのため、ニードル47が弁座13に当接するときの衝撃を緩和すること、またはニードル47および弁座13の摩耗を抑制することができる。その結果、ニードル47と弁座13とが摩耗することによる、燃料噴射装置の開弁時期や開弁時間などの経時的な変化を抑制できる。したがって、第1実施形態と同様、燃料噴射装置の噴射性能の経時劣化を抑制することができる。
上述の第1実施形態では、インナーニードルおよびアウターニードルに対して、弁座との衝撃を緩和する制御、および弁座に当接してから着座位置まで滑るときの移動速度を低減する制御を行う例を示した。本発明のその他の実施形態では、インナーニードルに対しては上記制御を行わず、アウターニードルに対してのみ上記制御を行うこととしてもよい。アウターニードルは、その形状により、インナーニードルに比べて摩耗しやすい。そのため、アウターニードルに対してのみ上記制御を行うこととしても、ニードルの摩耗を抑制する効果は十分に発揮することができる。
さらに、上述の複数の実施形態では、燃料噴射装置をコモンレール式のディーゼルエンジンに適用した例について説明した。本発明のその他の実施形態では、他の形式のディーゼルエンジンまたはガソリンエンジンに適用してもよい。
Claims (6)
- 噴孔、弁座、および前記噴孔に連絡する燃料通路を有するノズルボディと、
前記ノズルボディの内部を軸方向に往復移動し、前記弁座に着座することにより前記燃料通路を遮断し、前記弁座から離座することにより前記燃料通路を開放するニードルと、
前記ニードルを着座方向へ付勢するニードル付勢部材と、
前記ノズルボディの内部を往復移動するピストンと、
内部の燃料の圧力が高まると前記ニードルを前記ニードル付勢部材の付勢力に抗して離座方向へ付勢する圧力制御室と、当該圧力制御室に連通し前記ピストンによって内部の燃料が加圧される加圧室と、を有する燃料圧力制御系統と、
前記加圧室の圧力が低下する方向に前記ピストンを付勢するピストン付勢部材と、
電圧を印加されて伸長することにより、前記ピストン付勢部材の付勢力に抗して前記加圧室を昇圧する方向に前記ピストンを押圧する駆動体と、
前記駆動体に印加する電圧を変化させることにより、前記加圧室および前記圧力制御室の圧力を変化させる制御部とを備え、
前記制御部は、前記ニードルが離座位置から着座位置まで移動する途中、前記駆動体に印加する電圧を減少させる度合いを変化させて前記駆動体の単位時間あたりの収縮率を変化させることにより、前記ニードルの着座方向への移動速度を低減する速度低減手段を有することを特徴とする燃料噴射装置。 - 前記ノズルボディの噴孔は、第1噴孔群と、前記第1噴孔群より軸中心に近い第2噴孔群とからなり、
前記ニードルは、前記第1噴孔群を開閉する円筒状のアウターニードルと、前記アウターニードルの内側に収容され前記第2噴孔群を開閉するインナーニードルとからなることを特徴とする請求項1記載の燃料噴射装置。 - 前記制御部は、前記速度低減手段による前記インナーニードルの着座方向への移動速度の低減の度合いよりも前記アウターニードルの着座方向への移動速度の低減の度合いのほうが大きくなるように、前記駆動体を制御することを特徴とする請求項2記載の燃料噴射装置。
- 前記制御部は、前記ニードルが離座位置から着座位置へ移動する途中、前記ニードルが前記弁座に当接する直前の時点で、前記駆動体に印加する電圧を上昇させて前記駆動体を伸長させることにより、前記ニードルの着座方向への移動速度を前記時点において変化させることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の燃料噴射装置。
- 前記駆動体は、ピエゾ素子を複数積層することにより構成されるピエゾ駆動体であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の燃料噴射装置。
- 前記アウターニードルは、前記弁座に当接可能な第1当接部と、前記弁座に当接可能で前記第1当接部とともに前記弁座に当接することにより前記第1噴孔群を閉塞可能な第2当接部とを有し、
前記制御部は、前記アウターニードルが離座位置から着座位置へ移動する途中、前記第1当接部または前記第2当接部の少なくとも一方が前記弁座に当接したときに、前記アウターニードルの着座方向への移動速度の低減を開始することを特徴とする請求項2から5のいずれか一項記載の燃料噴射装置。
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