JP2010017735A - 熱処理加工ツールの配線取り回し構造、熱処理加工装置、及び、複合加工機 - Google Patents

熱処理加工ツールの配線取り回し構造、熱処理加工装置、及び、複合加工機 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザ加工ヘッドの移動によっても光ファイバケーブルが所定の曲率半径以下にならず、信頼性の高い熱処理加工ツールの配線取り回し構造、及び、この配線取り回し構造を備えた熱処理加工装置、複合加工機を提供することにある。
【解決手段】レーザ発振器601と、レーザ光を導光する光ファイバケーブル602と、レーザ発振器601から導光されたレーザ光をワークWに集光して照射するレーザ加工ヘッド600と、を有する熱処理加工ツールにおいて、ベッド10上に設けられたガイドレール350上に、レーザ加工ヘッド600の相対移動に伴い移動する光ファイバケーブル602をガイドするスライダ351を備え、光ファイバケーブル602は、スライダ351とレーザ加工ヘッド600の間、または、スライダ351間に設けられて光ファイバケーブル602の曲げ動作を規制するガイドバー352、ガイドワイヤ353に沿って配線される配線構造とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱処理加工ツールの配線取り回し構造、及び、熱処理加工装置、複合加工機に関し、特に、レーザ光を光ファイバケーブルを介してワークに集光して熱処理を施すレーザ加工ヘッドを有する熱処理加工ツールの配線取り回し構造、熱処理加工装置、及び、複合加工機に関するものである。
ワークに熱処理を施す熱処理加工ツールとして、レーザ光源から光ファイバケーブルを介してレーザ加工ヘッドに導光し、ワークに集光して熱処理を施すものがある。例えば、特許文献1に開示された複合加工機には、固定側に載置されたレーザ発振器と、このレーザ発振器により発振したレーザ光を導光する光ファイバケーブルと、導光されたレーザ光をワークに集光して照射するレーザ加工ヘッドと、を有する熱処理加工ツールが開示されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1による熱処理加工ツールのレーザ加工ヘッドは、所定の方向に移動しながらワークを加工するワーク加工ユニットに装着可能とされている。レーザ発振器とレーザ加工ヘッド間は光ファイバケーブルで光学的に接続されているので、レーザ加工ヘッドは、ワーク加工ユニットに装着されて移動しながら熱処理加工が可能で、かつ、複合加工機に備えられたツール装着ユニットにも装着されてツール交換が可能とされている。
しかし、特許文献1に示された熱処理加工ツールでは、レーザ発振器とレーザ加工ヘッド間に配線された光ファイバケーブルの配線取り回し構造は示されてなく、レーザ加工ヘッドの移動またはツール交換時に光ファイバケーブルが所定の曲率半径以下になる場合も想定され、光ファイバケーブルが損傷を受けるおそれもある。
特開2007−313515号公報
従って、本発明の目的は、レーザ加工ヘッドの移動によっても光ファイバケーブルが所定の曲率半径以下にならず、信頼性の高い熱処理加工ツールの配線取り回し構造、及び、この配線取り回し構造を備えた熱処理加工装置、複合加工機を提供することにある。
[1]本発明は、上記目的を達成するために、固定側に載置されレーザ光を発振するレーザ発振器と、前記レーザ発振器により発振した前記レーザ光を導光する光ファイバケーブルと、前記光ファイバケーブルの可撓性により前記レーザ発振器に対して相対移動可能とされ前記レーザ発振器から導光された前記レーザ光をワークに集光して照射するレーザ加工ヘッドと、を有する熱処理加工ツールにおいて、前記固定側に設けられたガイドレール上に、前記レーザ加工ヘッドの相対移動に伴い移動する前記光ファイバケーブルをガイドする移動ガイドを備え、前記光ファイバケーブルは、前記移動ガイドと前記レーザ加工ヘッドの間、または、前記移動ガイド間に設けられて前記光ファイバケーブルの曲げ動作を規制するガイド部に沿って配線されていることを特徴とする熱処理加工ツールの配線取り回し構造を提供する。
[2]前記移動ガイドは、前記ガイドレール上を直線移動可能なスライダであることを特徴とする上記[1]に記載の熱処理加工ツールの配線取り回し構造であってもよい。
[3]また、前記ガイド部は、所定の形状に形成されて前記移動ガイドと前記レーザ加工ヘッドの間に設けられ、前記光ファイバケーブルを所定の曲率半径以上で配線するガイドバーであることを特徴とする上記[1]に記載の熱処理加工ツールの配線取り回し構造であってもよい。
[4]また、前記ガイド部は、前記移動ガイド間に設けられ、所定の曲率半径以下に曲折しないガイドワイヤであることを特徴とする上記[1]に記載の熱処理加工ツールの配線取り回し構造であってもよい。
[5]本発明は、上記目的を達成するために、所定の方向に移動しながらワークを加工するワーク加工ユニットと、上記[1]から[4]のいずれかに記載の前記配線取り回し構造を備えた熱処理加工ツールと、を有することを特徴とする熱処理加工装置を提供する。
[6]本発明は、上記目的を達成するために、所定の方向に移動しながらワークを加工するワーク加工ユニットと、上記[1]から[5]のいずれかに記載の前記配線取り回し構造を備えた熱処理加工ツールと、前記ワークに形状加工を施す形状加工ツール、前記ワークに仕上げ加工を施す仕上げ加工ツール、または、前記熱処理加工ツールの少なくとも1つから選択されたツールを前記ワーク加工ユニットに装着するツール装着ユニットと、を有することを特徴とする複合加工機を提供する。
本発明によれば、レーザ加工ヘッドの移動によっても光ファイバケーブルが所定の曲率半径以下にならず、信頼性の高い熱処理加工ツールの配線取り回し構造、及び、この配線取り回し構造を備えた熱処理加工装置、複合加工機を提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る熱処理加工ツールの配線取り回し構造を示し、及び、これを備えた複合加工機あって、ワーク加工ユニット200に熱処理加工ツールであるレーザ加工ヘッド600が装着された平面図である。尚、この複合加工機からツール装着ユニット400を除去した構成は、ツール交換機能がない熱処理加工のみの単機能機、すなわち、熱処理加工装置として機能する。従って、以下の本発明の実施の形態では、熱処理加工ツールの配線取り回し構造、及び、これを備えた熱処理加工装置を含む構成として、複合加工機の例を示して説明する。尚、図1において、上下にX方向及び左右にZ方向を規定する。
(複合加工機の構成)
この複合加工機1は、図示しないコンピュータ数値制御装置(CNC)により全体の駆動が制御されるものであり、複合加工機本体と図示しない付属装置からなる。主な付属装置は、レーザ発振器、オイル供給装置、冷却装置、エアー供給機器、クーラント供給装置、切屑収集装置及びこれらの装置を複合加工機本体と接続するダクト装置等からなっている。
複合加工機1は、ベッド10上に載置され、軸物あるいは長尺状のワークWを回転駆動可能に支持するワーク支持駆動ユニット100と、ベッド10上に装架されてX及びZ方向の移動及び位置決めを行なうXステージ301及びZステージ302と、Zステージ302上に載置され各種の加工ツールを着脱可能に搭載するワーク加工ユニット200と、加工ツールをワーク加工ユニット200の所定位置に着脱するツール装着ユニット400とを有する。また、加工ツールとして後述する熱処理加工ツール504の光ファイバケーブル602の相対移動をガイドするためのガイドレール350及びスライダ351が固定側であるベッド10上に設けられている。尚、ワーク加工ユニット200は、Xステージ301及びZステージ302によりX及びZ方向の移動を行なうだけでなく、例えば、閉リンク機構を並列に配置した所謂パラレル機構等によりXZ平面内で移動するものであってもよい。
ワーク支持駆動ユニット100は、ベッド10上に載置された主軸台ベース101に、左右の主軸台スライドガイド102を介してスライド可能に移動可能な左右の主軸台103を有し、主軸台103には、主軸105を所定の回転数で回転駆動する主軸駆動モータ104が搭載されている。各々左右の主軸台103は、左右独立にZ方向にスライドして、ワークWを所定の心間で挟持して、その位置を固定できる構成となっている。
ワーク加工ユニット200は、研削加工等の工具の回転とワークWとの回転により加工を行なう場合には、加工ツール501を装着したツール回転主軸202をツール駆動モータ201で所定回転数で回転駆動する。また、旋削、熱処理等の工具を回転させずワークWの回転により加工を行なう場合には、加工ツール501を装着したツール回転主軸202は回転させず所定の回転方向位置で所定の静止剛性で固定される。
尚、研削加工等の工具を回転させる構成では、ツール駆動モータ201に直結して回転させる以外に、ギアやベルトによる回転駆動方式、あるいは、摩擦伝導によるトラクションドライブ方式等であってもよい。
ツール回転主軸202は、加工ツール501のテーパ部510をクランプして、加工ツール501とツール回転主軸202を強固に締結するクランプ部203を有している。具体的には、クランプ部203は、複合加工機用のHSKインターフェース規格等の互換性を有する規格により構成されている。HSKインターフェース規格によりクランプ部203が構成されている場合、加工ツール501のテーパ部510と端面は2面拘束により、ツール回転主軸202に強固に締結される。
ツール装着ユニット400は、ベッド10上の所定の位置に載置され、種々の加工ツール501を保持可能な複数のツールポッド402を有したツールタレット403と、X軸回りに割出し制御をするサーボモータ404により構成されている。ツールポッド402の内部には、加工ツール501の先端部に形成された溝部405が所定の力以上で着脱可能となるよう、ボールブッシュによる結合部406が形成されている。
図2は、本発明の実施の形態に係る複合加工機1において、図1のレーザ加工ヘッド600がワーク加工ユニット200に装着された状態からツール交換されてツール装着ユニット400のツールポッド402に回収された状態を示す図である。この状態から、他の加工ツール501をワーク加工ユニット200に装着するには、サーボモータ404によりツールタレット403をX軸回りに180度回転させて他の加工ツール501をワーク加工ユニット200側の装着可能な位置に移動させる。この状態からZステージ302を駆動してワーク加工ユニット200を他の加工ツール501まで移動させて、クランプ部203を介して他の加工ツール501をワーク加工ユニット200に固定する。
加工ツール501には、旋削加工に使用される旋削用電着ホイール等の旋削工具502、穴あけ、溝加工等に使用されるドリル、エンドミル等の切削工具503、レーザ焼入れ用等の熱処理加工ツール504、研削加工に使用される砥石車(例えば、CBNホイール)等の研削工具505、超仕上げ、ELID研削等に使用される表面仕上げ工具506がある。尚、旋削用電着ホイール等の旋削工具502、穴あけ、溝加工等に使用されるドリル、エンドミル等の切削工具503は、主にワークWの形状を形成するのに使用されるので、形状加工ツールと総称することができる。また、砥石車等の研削工具505、超仕上げ、ELID研削等に使用される表面仕上げ工具506等は、主にワークWの精度、表面粗さ等を出すのに使用されるので、仕上げ加工ツールと総称することができる。そして、ワーク加工ユニット200、及び、自動ツール装着ユニット400によって、形状加工ツール、熱処理加工ツール、及び、仕上げ加工ツールから所定の順序で1つの加工ツールが選択される。尚、熱処理加工ツールは、自動ツール装着ユニット400によって交換されずに、所定の場所に載置されたものであってもよい。
旋削工具502としては、バイト等、工具を回転させない状態で使用するものの他、旋削用電着ホイール等の回転状態で使用する工具を装着可能である。ここで旋削用電着ホイールとは、ホイール母材の外周にバイトチップやダイヤモンド、CBN等の超砥粒を例えばニッケル等のメッキにより埋め込んだもので、ツールコストに優れる。
穴あけ、溝加工等に使用される切削工具503としては、ドリル、タップ、エンドミル、フライス工具等が装着可能で、これらの工具は工具の軸線回り、すなわちX軸回りの回転駆動が必要であるので、Z軸回りの回転であるツール回転主軸202の回転動カの方向を変換する必要がある。この回転方向変換機構は、例えば、べベルギヤで構成することができ、工具内に組み込むことが可能である。また、ツール回転主軸202の回転動カを用いることなく、工具内にモータ等の回転駆動手段を有する構成としてもよい。
図3は、熱処理加工ツール504の具体的構成を示すものであり、レーザ加工ヘッド600、レーザ発振器601、及び、光ファイバケーブル602から構成されることを示す図である。
熱処理加工ツール504は、レーザ加工ヘッド600、レーザ発振器601、及び、光ファイバケーブル602から構成される。高出力のレーザ発振器601は、例えばベッド10上に載置され、光ファイバカップラ603を介して光ファイバケーブル602の一端に光学的に接続され、光ファイバケーブル602の他端は光ファイバカップラ603を介してレーザ加工ヘッド600へ光学的に接続されている。レーザ加工ヘッド600は、ワークWに対してX方向の位置を制御して所定のレーザビームサイズでレーザ発振器601から導光したレーザビームを照射するための集光レンズ620を有する。ここで、熱処理加工ツール504は、焼入れ、焼きならし、焼鈍し、または、焼戻し等の熱処理加工に使用される。
尚、熱処理加工ツール504を使用する場合には、ツール回転主軸202の回転動力は使用せず、ツール回転主軸202は、所定の静止剛性で固定され、レーザ加工ヘッド600は、ワーク加工ユニット200に固定された状態で熱処理動作を行なう。尚、レーザ加工ヘッド600は、ワーク加工ユニット200に搭載されずに、ワーク加工ユニット200以外、例えば、ベッド10上に載置されてもよく、また、自動ツール装着ユニット400によって交換されずに、所定の場所に載置されたものであってもよい。
レーザ発振器601は、レーザスタックモジュール610a、610b、610c及び610d、偏光カップリング板611、波長カップリング板612とを有して構成されている。レーザスタックモジュール610は、レーザ発光素子を多数積層(スタック)して高出力化したものである。各レーザスタックモジュール610は、ビーム整形し、所定の直線偏光状態のコリメート光にした後、偏光カップリング板611によりビーム合成を行なう。
合成されるレーザスタックモジュール610aと610bの偏光方向は互いに直交しており、例えばポラロイドフィルムで構成された偏光カップリング板611では、レーザスタックモジュール610aから出射するレーザビームは透過し、610bから出射するレーザビームは反射することで、1つのレーザビームに合成される。610c及び610dのレーザビームも同様に合成される。
レーザスタックモジュール610a、610bの発振波長と、レーザスタックモジュール610c、610dの発振波長とを異なる発振波長に設定しておき、波長カップリング板612を上記異なる発振波長の一方を透過し他の一方を反射する波長フィルタで構成することにより、波長カップリング板612の出射側で1つのレーザビームに合成される。
このように構成されたレーザ発振器601は、例えば、発光点間隔2mmで25段スタックすることにより、合成されたレーザビームの光出力は1kWである。また、発振波長は、800nm〜1000nmの近赤外光であり、本構成では、800nmと830nmの2波長を有する構成となっている。
ここで、ベッド10上に、熱処理加工ツール504のX、Y方向への移動による光ファイバケーブル602の相対移動をガイドするためのガイドレール350及びスライダ351が設けられている。ガイドレール350は、長尺状であって、ガイドレール350に沿ってスライドして移動可能なスライダ351を1又は2以上備えている。ここで、スライダ351は、図1に示すガイドレール350のレーザ加工ヘッド600側に設けられており、ガイドレール350の反対側にはガイドレール350に固定されて光ファイバケーブル602を支持する固定ガイド356が設けられている。光ファイバケーブル602をガイドする移動ガイドとしてのスライダ351は、図1に示すように、ガイドレール350に接してスライドするスライド部351aと光ファイバケーブル602を結束するための結束部351bから構成されている。尚、スライダ351以外の移動ガイドとして、ガイドレール350に支持されて移動可能なリンク機構等であってもよい。
図1に示すように、スライダ351とレーザ加工ヘッド600の間には、光ファイバケーブル602の曲げ動作を規制するガイド部としてのガイドバー352が設けられている。ガイドバー352は、所定の形状に形成されており、一端はスライダ351に支持され、他端はレーザ加工ヘッド600側に支持されている。そして、光ファイバケーブル602は、このガイドバー352に沿って結束バンド355等により結束されて配線されることにより、レーザ加工ヘッド600の移動、交換に関わらず常に所定の曲率半径以上となるように配線取り回しされる。例えば、光ファイバケーブル602は、ファイバコア径が600μmの石英光ファイバケーブルであり、半径300mm以上の配線取り回しがされる。尚、ガイドバー352は、剛体のみならず、弾性体であっても上記の条件を維持できるものであればよい。
また、スライダ351と他のスライダ351、又は、固定ガイド356との間には、ガイド部としてのガイドワイヤ353が設けられている。ガイドワイヤ353は、スライダ351と他のスライダ351、又は、固定ガイド356にそれぞれ結束バンド355等により結束されて支持されている。このガイドワイヤ353は、所定の曲率半径以下には曲折しないものであって、光ファイバケーブル602は、このガイドワイヤ353に沿って配線されることにより、レーザ加工ヘッド600の移動に関わらず常に所定の曲率半径以上となるように配線取り回しされる。上記示したガイドバー352と同様に、例えば、ガイドワイヤ353は、曲率半径300mm以下には曲折しないものである。
尚、光ファイバケーブル602の許容される曲率半径は、ファイバ径、材質、被覆等により種々のものがあり、これに対応して、ガイドバー352及びガイドワイヤ353の仕様を決定する。このような構成により、レーザ加工ヘッド600がワーク加工ユニット200に装着されて所定の加工範囲を移動でき、かつ、図3に示すように、レーザ加工ヘッド600がツールポッド402に収納された状態でも光ファイバケーブル602が許容される曲率半径以上に維持されるので、特性変化、破損、断線等の抑制が可能となる。
レーザ加工ヘッド600は、光ファイバカップラ603を介して光ファイバケーブル602から導光されたレーザビームをワークWの加工表面に所定のビーム径で集光させる集光レンズ620を有して構成されている。そして、集光レンズ620は、1又は2以上のレンズの組み合わせにより構成され、例えば、NA0.2で、ワークWの加工表面に所定のレーザビーム径で集光される。
集光されるレーザビーム径は、レーザ加工ヘッド600のワークWの加工表面に対する位置により制御することができ、例えば、1mm〜10mmまで変化するよう設定できる。あるいは、レーザ加工ヘッド600上の集光レンズ620を光軸方向へ移動させる機構を有する構成とすることにより、ワークWの加工表面までの距離を変化させるようにして、集光されるレーザビームの径を変化させることもできる。
また、ワークWの加工表面に集光されるレーザビームは、略矩形状のビームプロファイルを有するものとすることもできる。各レーザスタックモジュール610でのビーム整形においてファーフィールドパターンを略矩形状にしておくことで、ワークWの加工表面に集光されるレーザビームを、例えば、1mm×1mm〜10mm×10mmの略矩形状にすることもできる。
レーザ加工ヘッド600には、ツール回転主軸202のクランプ部203に締結するためのテーパ部510が形成されている。具体的には、テーパ部510は、複合加工機用のHSKインターフェース規格等の互換性を有する規格により構成されている。
また、レーザ加工ヘッド600には、ワークWの加工表面にクーラント等の強制冷却用流体を供給するための冷却装置として、供給ノズル700が搭載されている。供給ノズル700は、レーザ加工ヘッド600に搭載されていなくても、レーザ加工ヘッド600の移動に対応してワークWの加工表面へクーラントを供給できればよい。また、クーラントの供給は、形状加工又は仕上げ加工で使用するクーラントの供給と併用してもよい。また、ワークWの加工表面を強制冷却する手段は、クーラント供給以外でもよく、例えば、水、エアー、液体窒素等によるものでもよい。また、上記強制冷却によらず、ワークWの加工表面を加熱後に、自然冷却させる自己冷却法によっても熱処理加工を施すことができる。
尚、クーラントの供給等を行なう冷却チューブ類を光ファイバケーブル602と同様に、ガイドバー352又はガイドワイヤ353に沿って配線することもできる。このような配線取り回し構造により、冷却チューブ類の曲折、キンク等による冷却媒体の流通阻害が抑制できる。
ワーク加工ユニット200は、ツール回転主軸202を停止状態に保持するブレーキ等の静止手段、ツール回転主軸202の静止トルクが大きく設定できるツール駆動モータ201、又は、ツール回転主軸202を停止状態に保持する回転停止サーボ剛性の大きな制御手段を有して構成することが好ましい。また、熱処理加工ツール504等のように、回転状態で加工しないツールを使用する場合は、テーパ部510とクランプ部203による締結でなく、他の固定方法による構成とすることもできる。
研削工具505は、例えば、CBN(Cubic Boron Nitride:立方晶窒化ホウ素)の砥粒を使用したCBNホイールであり、高精度の研削加工が可能な構成となっている。
表面仕上げ工具506は、超仕上げ加工により滑らかな表面を得るために、砥石に振動を与える超音波発生装置等の加振手段を表面仕上げ工具506に内蔵している。また、表面仕上げ工具506は、ELID研削加工用として、ダイヤモンド砥粒を鋳鉄ボンド剤で固定した砥石車で構成され、また、電解液供給手段および電解電源を具備する構成とされている。
(本実施の形態に係る複合加工機による加工工程例)
図4は、本実施の形態に係る複合加工機による加工工程の例を説明する図である。この加工工程例は、旋削加工、穴あけ加工、レーザ焼入れ処理、研削加工、表面仕上げ加工を本実施の形態に係る複合加工機により、順次加工ツールを交換しながら加工するものである。
長尺状のワークWを主軸105間にセットしてワークWを支持し、加工をスタートすると、旋削加工のための旋削工具502の装着工程により、旋削工具502がワーク加工ユニット200へ装着される(S101)。次に、旋削工具502をワークWの材質に適合した回転数で回転させ、旋削加工を行なう(S102)。この工程により、ワークWの外径加工が終了する。
次に、穴あけ加工を行なう。旋削工具502をツールタレット403へ回収した後、切削工具503、すなわち、ドリルをワーク加工ユニット200へ装着する(S103)。主軸105の回転を停止させ、ワークWを停止させた状態で、ドリルを回転させ所定の深さまで切込んで穴あけ加工が完了する(S104)。
次に、機上焼入れを行なう。切削工具503をツールタレット403へ回収した後、レーザ加工ヘッド600をワーク加工ユニット200へ装着する(S105)。このレーザ加工ヘッド600をワーク加工ユニット200へ装着した状態は、図2に示される状態であって、光ファイバケーブル602はガイドバー352に沿って配線されているため、所定の曲率半径以上となっている。次に、レーザ加工ヘッド600をXステージ301及びZステージ302により、焼入れ開始位置に移動させる。これは、図1に示される状態であって、光ファイバケーブル602はガイドバー352及びガイドワイヤ353に沿って配線されているため、所定の曲率半径以上となっている。特に、レーザ加工ヘッド600の移動中で曲率半径の小さいUターン部354においても、ガイドワイヤ353に沿って配線されているため、所定の曲率半径以上が確保されている。
Xステージ301により集光レンズ620からワークWの加工表面に照射されるレーザビーム径が決定される。主軸105を回転させてワークWを所定の回転数で回転させながら、Zステージ302によりレーザ加工ヘッド600を所定の速度で送り動作させる。本加工例では、レーザビームの光出力1kW、加工表面でのレーザビームサイズ2mm×2mm、焼入れ速度5mm/sの条件とすると、焼入れ温度は約1000度であった。
集光レンズ620からワークWの加工表面にレーザビームを照射して約1000度の焼入れ温度に加熱しながら、供給ノズル700からクーラントを加工表面に供給して、約200度まで急冷させる。このような焼入れ加工を所定の熱処理範囲に連続的に行なうことにより、ワークWは表面から約3mmの深さまで焼入れ処理が施された(S106)。
次に、研削加工を行なう。レーザ加工ヘッド600をツールタレット403へ回収した後、研削工具505をワーク加工ユニット200へ装着する(S107)。ワークWを研削工具505とワークWの材質に適合した回転数で回転させ、また、研削工具505の材質に適合した回転数で回転させて研削加工を行なう(S108)。
最後に、ワークWの表面仕上げ加工を行なう。研削工具505をツールタレット403へ回収した後、表面仕上げ工具506をワーク加工ユニット200へ装着する(S109)。装着された表面仕上げ工具506により、超仕上げ加工、ELID研削、ラッピング、ポリッシング、あるいは、バフ仕上げ等の表面仕上げ加工を行なう(S110)。以上の一連の加工により、1台の複合加工機で、形状加工から仕上げ加工までのほとんどすべての加工が可能となる。また、上記した加工工程例1では、形状加工、熱処理、仕上げ加工を組み合せた加工工程としたが、形状加工と熱処理とを組み合せた加工工程、あるいは、熱処理と仕上げ加工とを組み合せた加工工程とすることも容易に可能である。
本発明の実施の形態によれば、以下の効果を有する。
(1)光ファイバケーブル602が、曲げ動作を規制するガイドバー352又はガイドワイヤ353に沿って配線されているので、レーザ加工ヘッド600の移動、交換時でも常に所定の曲率半径以上となるように配線取り回しされる。これにより、光ファイバケーブルの特性変化、破損、断線等の抑制が可能となり、信頼性の高い熱処理加工ツールの配線取り回し構造、及び、この配線取り回し構造を備えた熱処理加工装置、複合加工機が可能になる。
(2)クーラントの供給用を行なう冷却チューブ類を光ファイバケーブル602と同様に、ガイドバー352又はガイドワイヤ353に沿って配線することもできる。このような配線取り回し構造により、冷却チューブ類の曲折、キンクによる冷却媒体の流通阻害が抑制できる。
(3)レーザ発振器601からレーザ加工ヘッド600へ接続される光ファイバケーブル602の信頼性が向上するので、特に、複合加工機を実現する上で大きな効果を有する。大パワーのレーザ光で焼入れ処理等を行なう場合には、レーザ加工ヘッド600にレーザ発振器自体を搭載することが困難であり、本発明により安全な複合加工機が可能になる。
図1は、本発明の実施の形態に係る熱処理加工ツールの配線取り回し構造を示し、及び、これを備えた複合加工機あって、ワーク加工ユニット200に熱処理加工ツールであるレーザ加工ヘッド600が装着された平面図である。 図2は、本発明の実施の形態に係る複合加工機において、図1のレーザ加工ヘッド600がワーク加工ユニット200に装着された状態からツール交換されてツール装着ユニット400のツールポッド402に回収された状態を示す図である。 図3は、熱処理加工ツール504の具体的構成を示すものであり、レーザ加工ヘッド600、レーザ発振器601、及び、光ファイバケーブル602から構成されることを示す図である。 図4は、本実施の形態に係る複合加工機による加工工程の例を説明する図である。
符号の説明
1…複合加工機、10…ベッド、100…ワーク支持駆動ユニット、101…主軸台ベース、102…主軸台スライドガイド、103…主軸台、104…主軸駆動モータ、105…主軸、200…ワーク加工ユニット、201…ツール駆動モータ、202…ツール回転主軸、203…クランプ部、301…Xステージ、302…Zステージ、350…ガイドレール、351…スライダ、352…ガイドバー、353…ガイドワイヤ、354…Uターン部、355…結束バンド、356…固定ガイド、400…ツール装着ユニット、402…ツールポッド、403…ツールタレット、404…サーボモータ、405…溝部、406…結合部、501…加工ツール、502…旋削工具、503…切削工具、504…熱処理加工ツール、505…研削工具、506…表面仕上げ工具、510…テーパ部、600…レーザ加工ヘッド、601…レーザ発振器、602…光ファイバケーブル、603…光ファイバカップラ、610a、610b、610c、610d…レーザスタックモジュール、611…偏光カップリング板、612…波長カップリング板、620…集光レンズ、700…供給ノズル

Claims (6)

  1. 固定側に載置されレーザ光を発振するレーザ発振器と、前記レーザ発振器により発振した前記レーザ光を導光する光ファイバケーブルと、前記光ファイバケーブルの可撓性により前記レーザ発振器に対して相対移動可能とされ前記レーザ発振器から導光された前記レーザ光をワークに集光して照射するレーザ加工ヘッドと、を有する熱処理加工ツールにおいて、
    前記固定側に設けられたガイドレール上に、前記レーザ加工ヘッドの相対移動に伴い移動する前記光ファイバケーブルをガイドする移動ガイドを備え、
    前記光ファイバケーブルは、前記移動ガイドと前記レーザ加工ヘッドの間、または、前記移動ガイド間に設けられて前記光ファイバケーブルの曲げ動作を規制するガイド部に沿って配線されていることを特徴とする熱処理加工ツールの配線取り回し構造。
  2. 前記移動ガイドは、前記ガイドレール上を直線移動可能なスライダであることを特徴とする請求項1に記載の熱処理加工ツールの配線取り回し構造。
  3. 前記ガイド部は、所定の形状に形成されて前記移動ガイドと前記レーザ加工ヘッドの間に設けられ、前記光ファイバケーブルを所定の曲率半径以上で配線するガイドバーであることを特徴とする請求項1に記載の熱処理加工ツールの配線取り回し構造。
  4. 前記ガイド部は、前記移動ガイド間に設けられ、所定の曲率半径以下に曲折しないガイドワイヤであることを特徴とする請求項1に記載の熱処理加工ツールの配線取り回し構造。
  5. 所定の方向に移動しながらワークを加工するワーク加工ユニットと、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の前記配線取り回し構造を備えた熱処理加工ツールと、
    を有することを特徴とする熱処理加工装置。
  6. 所定の方向に移動しながらワークを加工するワーク加工ユニットと、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の前記配線取り回し構造を備えた熱処理加工ツールと、
    前記ワークに形状加工を施す形状加工ツール、前記ワークに仕上げ加工を施す仕上げ加工ツール、または、前記熱処理加工ツールの少なくとも1つから選択されたツールを前記ワーク加工ユニットに装着するツール装着ユニットと、
    を有することを特徴とする複合加工機。
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