JP2010013719A - レーザ照射熱処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】レーザ光を用いた簡単な構成により実施できる、効率のよいレーザ照射熱処理方法を提供する。
【解決手段】ワークWを回転させながら、ワークWを所定の温度まで加熱し、ワークWの表面に酸化膜を形成する酸化膜形成工程と、この酸化膜形成工程の後、ワークWの酸化膜上の熱処理必要部位にレーザ照射を行なうことにより熱処理を施す熱処理工程と、を有するレーザ照射熱処理方法とする。
【選択図】図2
【解決手段】ワークWを回転させながら、ワークWを所定の温度まで加熱し、ワークWの表面に酸化膜を形成する酸化膜形成工程と、この酸化膜形成工程の後、ワークWの酸化膜上の熱処理必要部位にレーザ照射を行なうことにより熱処理を施す熱処理工程と、を有するレーザ照射熱処理方法とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、レーザ照射熱処理方法に関する。
金属部品の耐摩耗性向上や強度向上を目的として焼入れ処理が行われており、その中でレーザ照射加熱による焼入れ方法に関して各種の提案がなされている。従来のレーザ焼入れは、既に高出力化が実現されている炭酸ガスレーザが用いられる。しかし鉄鋼へのレーザ光吸収性が悪いと言う問題があるため、一般的にはワーク表面に吸収剤を塗布しレーザ照射加熱を行っている。また、上記のような吸収剤を塗布しないものとして、レーザ光の偏光を利用して加熱効率を高めたレーザ焼入れ方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
このレーザ焼入れ方法は、直線偏光のレーザ光をP偏光の向きに入射角度60度以上でワークに照射し、ワークの表面を吸収材で被覆することなく焼入れを行うレーザ焼入れ方法において、ワークのレーザ光照射位置より反射されたレーザ光を凹面鏡で反射させて、焼入れ進行方向の前方に照射しながら焼入れを行うものである。このレーザ焼入れ方法によれば、レーザ光による加熱の効率を高めることができると共に、様々な形状の被加工物に対応し得るとされている。
しかし、特許文献1に示されたレーザ焼入れ方法は、レーザ光を反射させるための凹面鏡を必要とし、その反射方向の調整・制御を行なう必要があり、実際にこのような方法でレーザ熱処理を行なうには種々の問題があった。
特開平5−51627号公報
従って、本発明の目的は、レーザ光を用いた簡単な構成により実施できる、効率のよいレーザ照射熱処理方法を提供することにある。
[1]本発明は、上記目的を達成するために、ワークを回転させながら所定の温度まで加熱し、前記ワークの表面に酸化膜を形成する酸化膜形成工程と、前記酸化膜形成工程の後、前記酸化膜上の熱処理必要部位にレーザ照射を行なうことにより熱処理を施す熱処理工程と、を有するレーザ照射熱処理方法を提供する。
[2]前記酸化膜形成工程は、前記ワークへのレーザ照射により行なう上記[1]に記載のレーザ照射熱処理方法であってもよい。
[3]また、前記酸化膜形成工程は、前記ワーク表面の除去加工により行なう上記[1]に記載のレーザ照射熱処理方法であってもよい。
[4]また、前記除去加工は、研削加工である上記[3]に記載のレーザ照射熱処理方法であってもよい。
[5]また、前記ワークは鋼材であり、前記熱処理工程は、追加熱工程と冷却工程からなる焼入れ処理である上記[1]に記載のレーザ照射熱処理方法であってもよい。
[2]前記酸化膜形成工程は、前記ワークへのレーザ照射により行なう上記[1]に記載のレーザ照射熱処理方法であってもよい。
[3]また、前記酸化膜形成工程は、前記ワーク表面の除去加工により行なう上記[1]に記載のレーザ照射熱処理方法であってもよい。
[4]また、前記除去加工は、研削加工である上記[3]に記載のレーザ照射熱処理方法であってもよい。
[5]また、前記ワークは鋼材であり、前記熱処理工程は、追加熱工程と冷却工程からなる焼入れ処理である上記[1]に記載のレーザ照射熱処理方法であってもよい。
本発明によれば、レーザを用いた簡単な構成により実施できる、効率のよいレーザ照射熱処理方法を提供することができる。
(本発明の第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るレーザ照射熱処理方法を説明するための装置概略を示す斜視図である。図2は、本発明の第1の実施の形態に係るレーザ照射熱処理方法を、(a)酸化膜形成工程、(b)熱処理工程に分けて説明するための説明図である。図3は、母材温度と波長、レーザ吸収率の関係を示す関係図である。図4は、ワークに焼入れ処理を行なう場合の時間と温度の関係を示す図である。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るレーザ照射熱処理方法を説明するための装置概略を示す斜視図である。図2は、本発明の第1の実施の形態に係るレーザ照射熱処理方法を、(a)酸化膜形成工程、(b)熱処理工程に分けて説明するための説明図である。図3は、母材温度と波長、レーザ吸収率の関係を示す関係図である。図4は、ワークに焼入れ処理を行なう場合の時間と温度の関係を示す図である。
本発明の第1の実施の形態に係るレーザ照射熱処理方法は、例えば、図1に示すような装置により行なわれる。図1において、ワークWは、チャック部106により主軸105に保持され、所定の回転数で回転駆動される。この回転するワークWにレーザ光を照射するためのレーザ光源、及び、冷却液供給ノズル701が設けられている。レーザ光源は、レーザ発振器601とレーザヘッド600から大略構成され、レーザ発振器601とレーザヘッド600を光ファイバカップラ650を介して伝送ファイバ651で光学的に接続した構成とされている。
レーザヘッド600は、図示しないZ軸方向移動のためのステージに装着されており、ワークWの外周上を所定のZ方向送り速度でレーザ照射でき、あるいは、所定の周波数でZ方向にレーザ光をスキャン照射できる。これにより、所望の加熱範囲に亘ってレーザ照射により加熱することができる。尚、レーザヘッド600は上記したようにZ方向の移動制御がされると共に、Y方向の移動制御がされてレーザ照射ビームの大きさを調整することができる。
レーザ発振器601は、レーザスタックモジュール602、603、及び604、ダイクロイックミラー605,606を有して構成されている。レーザスタックモジュール602〜604は、半導体レーザ発光素子を多数積層(スタック)して高出力化したものである。各レーザスタックモジュール602〜604は、特定の波長の光を反射しその他の波長の光を透過させるダイクロイックミラー605,606により1本のレーザ光に合成される。
このように構成されたレーザ発振器601は、光出力1.8kW、発振波長は800nm〜1000nmの近赤外光である。尚、半導体レーザ以外に、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ等を使用することも可能である。
レーザ発振器601から出射されるレーザ光LBは、コリメートされて光ファイバカップラ650を介して伝送ファイバ651に光学的に接続され、レーザヘッド600に導光される。レーザヘッド600内の集光レンズによりワークWへ集光して照射される。
図1に示すように、レーザヘッド600の近傍には、冷却液供給ノズル701が配置されている。冷却液供給ノズル701は、レーザヘッド600で加熱されたワークWの外周上に冷却液を供給するもので、レーザヘッド600のZ方向への移動に追従して加熱部位を順次冷却していく。冷却液供給ノズル701には、冷却液供給部702から必要流量及び所定温度の冷却液が後述する熱処理工程において供給される。尚、冷却液としては工業用水を使用することができるが、液体に限らず、冷却エアー等のワークWを冷却できる冷却媒体であれば使用可能である。
(レーザ照射熱処理方法)
本発明の第1の実施の形態に係るレーザ照射熱処理方法は、ワークWを回転させながら、ワークWを所定の温度まで加熱してこの表面に酸化膜を形成する酸化膜形成工程(S101)と、酸化膜形成工程の後、酸化膜上の熱処理必要部位にレーザ照射を行なうことにより熱処理を施す熱処理工程(S102)とから構成されている。
本発明の第1の実施の形態に係るレーザ照射熱処理方法は、ワークWを回転させながら、ワークWを所定の温度まで加熱してこの表面に酸化膜を形成する酸化膜形成工程(S101)と、酸化膜形成工程の後、酸化膜上の熱処理必要部位にレーザ照射を行なうことにより熱処理を施す熱処理工程(S102)とから構成されている。
(酸化膜形成工程S101)
酸化膜形成工程S101は、ワークWにレーザヘッド600からレーザ照射を行ない、外周面上に酸化膜を生成させる。また、この酸化膜形成工程は、ワークWの表面を昇温させる予熱工程でもある。
酸化膜形成工程S101は、ワークWにレーザヘッド600からレーザ照射を行ない、外周面上に酸化膜を生成させる。また、この酸化膜形成工程は、ワークWの表面を昇温させる予熱工程でもある。
図2(a)に示すように、ワークWをチャック部106により主軸105に取り付ける。ワークWを低速で回転させながら、レーザヘッド600から所定のレーザパワーでワークWの外周面上の加熱範囲110にレーザ照射を行なう。レーザ照射は、所定のZ方向送り速度でレーザ照射し、あるいは、所定の周波数でZ方向にレーザ光LBをスキャン照射することにより行ない、熱処理必要部位にのみ加熱することができる。
上記のような方法により、ワークWの外周面上に酸化膜が形成されるまで、低速回転でレーザ照射を行なう。ワークWが鉄鋼の場合には、ワークWの表面に酸化被膜(黒錆)が生成される。この酸化被膜は、加熱温度により種々の着色を示し、レーザ吸収率を向上させる。また、レーザ照射によりワーク表面が昇温すると、図3に示すように、母材温度の上昇によりレーザ吸収率が向上する。
(熱処理工程S102)
熱処理工程S102は、酸化膜形成工程S101の後、酸化膜上の熱処理必要部位にレーザ照射を行なうことにより熱処理を施す工程である。この熱処理工程S102は、酸化膜上の熱処理必要部位にレーザ照射を行なうことでワーク表面を追加熱する追加熱工程と徐冷・急冷等の冷却工程から構成される。
熱処理工程S102は、酸化膜形成工程S101の後、酸化膜上の熱処理必要部位にレーザ照射を行なうことにより熱処理を施す工程である。この熱処理工程S102は、酸化膜上の熱処理必要部位にレーザ照射を行なうことでワーク表面を追加熱する追加熱工程と徐冷・急冷等の冷却工程から構成される。
酸化膜形成工程S101により昇温したワーク表面に、ワークWを高速回転させながらレーザ照射を行なうことにより追加熱する。酸化膜が形成されたワーク表面はレーザ吸収率が向上すると共に、昇温したワーク表面はレーザ吸収率が向上する。従って、このワーク表面に対して、所定のZ方向送り速度でレーザ照射し、あるいは、所定の周波数でZ方向にレーザ光LBをスキャン照射することにより、効率よく追加熱することができる。
上記示した追加熱工程の後、ワークWの表面を冷却する。冷却は、冷却液をワークWの外周上に供給することにより行なうが、図2(b)に示すように、レーザヘッド600のZ方向送りに追従して冷却液供給ノズル701から冷却液が加熱部位に供給されるので、加熱後一定時間内に冷却される。徐冷の場合は冷却液を供給せずに空冷とすることができる。
ワークWが鋼材の場合に、追加熱工程によりA3変態温度以上まで加熱し、冷却液を供給して急冷することで焼入れ処理を行なうことができる。また、追加熱工程により約200℃まで加熱し、空冷により徐冷することで焼戻し処理を行なうことができる。その他、加熱及び冷却工程の組合せにより、焼きならし等の種々の熱処理を行なうこともできる。
(本発明の第1の実施の形態の効果)
本発明の第1の実施の形態に係るレーザ照射熱処理方法によれば、次のような効果を有する。
(1)酸化膜形成工程S101によりワーク表面に酸化膜を形成すると共に昇温させるので、レーザ吸収率が向上する。これにより、熱処理工程S102においても効率よく追加熱でき、出力が小さいレーザ光源であっても本発明の実施が可能となる。
(2)特に、鋼材への焼入れ処理は900℃程度までの加熱が必要であり、従来は大出力のレーザ光源を要していたが、本発明により、出力が小さいレーザ光源であっても実現可能となった。
(3)上記示したワークWは円筒ワークを前提としたが、本発明は、レーザ光源を移動させることにより平板ワークにも対応可能である。
(4)レーザ吸収率が向上し、また、小出力レーザ光源が使用できるので、ランニングコスト及びイニシャルコストの低減が可能となる。
本発明の第1の実施の形態に係るレーザ照射熱処理方法によれば、次のような効果を有する。
(1)酸化膜形成工程S101によりワーク表面に酸化膜を形成すると共に昇温させるので、レーザ吸収率が向上する。これにより、熱処理工程S102においても効率よく追加熱でき、出力が小さいレーザ光源であっても本発明の実施が可能となる。
(2)特に、鋼材への焼入れ処理は900℃程度までの加熱が必要であり、従来は大出力のレーザ光源を要していたが、本発明により、出力が小さいレーザ光源であっても実現可能となった。
(3)上記示したワークWは円筒ワークを前提としたが、本発明は、レーザ光源を移動させることにより平板ワークにも対応可能である。
(4)レーザ吸収率が向上し、また、小出力レーザ光源が使用できるので、ランニングコスト及びイニシャルコストの低減が可能となる。
(実施例)
本発明の第1の実施の形態に係るレーザ照射熱処理方法による鋼材の焼入れ処理を行なう場合について説明する。
本発明の第1の実施の形態に係るレーザ照射熱処理方法による鋼材の焼入れ処理を行なう場合について説明する。
(酸化膜形成工程S101)
熱処理される鋼材(例えば、S45C)であるワークWを、チャック部106により主軸105に保持して、低速で回転させる。ワークWの焼入れ必要部位に対して、レーザヘッド600をZ方向にスキャンしながら酸化膜が形成されるまでレーザ光を照射する。レーザ光のスキャン照射において、入力されたワークの形状データに基づいて、ワーク内部の熱伝導性を考慮しながら加熱制御することができる。また、ワーク熱処理範囲に対して温度測定を行ないながら、レーザパワー、ワーク回転数、スキャン速度(スキャン周波数)及びスキャン回数を制御することにより上記の加熱制御を行なうことも可能である。
熱処理される鋼材(例えば、S45C)であるワークWを、チャック部106により主軸105に保持して、低速で回転させる。ワークWの焼入れ必要部位に対して、レーザヘッド600をZ方向にスキャンしながら酸化膜が形成されるまでレーザ光を照射する。レーザ光のスキャン照射において、入力されたワークの形状データに基づいて、ワーク内部の熱伝導性を考慮しながら加熱制御することができる。また、ワーク熱処理範囲に対して温度測定を行ないながら、レーザパワー、ワーク回転数、スキャン速度(スキャン周波数)及びスキャン回数を制御することにより上記の加熱制御を行なうことも可能である。
図4に示すt1から酸化膜形成工程が始まり、t2には、加熱範囲110の温度が例えば400℃程度に上昇してワーク表面に酸化膜が形成される。
(熱処理工程S102)
酸化膜が形成された加熱範囲110に対して、追加熱を行なうと共に、冷却液の供給により急冷を行なう。
酸化膜が形成された加熱範囲110に対して、追加熱を行なうと共に、冷却液の供給により急冷を行なう。
まず、図4に示すt2から、ワークWを高速回転させながらレーザ照射を行なう。酸化膜が形成され、昇温したワーク表面はレーザ吸収率が向上しており、ワークWの高速回転により均一に加熱することができ、t3には、加熱範囲110の温度がA3変態温度(約730℃)以上となる約900℃まで上昇する。
図2(b)に示すように、レーザヘッド600のZ方向送りに追従して冷却液供給ノズル701から冷却液が加熱部位に供給されるので、追加熱後、図4のt3からt4の間で一定時間内に冷却される。この一定時間は、焼入れ処理の場合には温度低下が所定内であるように、CCT(Continuous Cooling Transformation)線図に基づき設定される。
上記示したような急冷により、オーステナイトからマルテンサイト組織となり、所定の深さまで焼入れ処理が施される。
(本発明の第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態においてワークWへのレーザ照射によって行なった酸化膜形成工程を、高能率除去加工によって酸化膜形成工程を行なうものである。その後の熱処理工程(S102)は第1の実施の形態と同様である。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態においてワークWへのレーザ照射によって行なった酸化膜形成工程を、高能率除去加工によって酸化膜形成工程を行なうものである。その後の熱処理工程(S102)は第1の実施の形態と同様である。
高能率除去加工は、例えば、研削等の機械加工であって、切り込み量を大きく設定して高能率除去を行なうことで、加工に伴い加工部位で発生する発熱によりワーク表面を加熱するものであり、所謂「研削焼け」を生じさせることでワーク表面に酸化膜を形成しようとするものである。また、熱処理前の粗加工工程を高能率除去加工とすることで、この酸化膜形成工程を兼ねることができる。従来の一般的な加工、すなわち、旋削による粗加工工程の後に焼き入れ等の熱処理、研削による仕上げ加工工程を行なう代わりに、研削による粗加工工程兼酸化膜形成工程の後に焼き入れ等の熱処理工程、研削による仕上げ加工工程を行なう。なお、従来の旋削による粗加工工程を研削に代えると、旋削に比べて能率が低下するが、研削焼けが生じるような高能率研削とすることで、能率の低下は少なく抑えられる。
第2の実施の形態では、研削加工により酸化膜形成工程を行なうので、複合加工機を使用してレーザ照射熱処理方法を実施する場合を示す。図5は、本発明の第2の実施の形態に係るレーザ照射熱処理方法を実施するための複合加工機の構成を示す平面図である。図6は、本発明の第2の実施の形態に係るレーザ照射熱処理方法を、(a)酸化膜形成工程、(b)熱処理工程に分けて説明するための説明図である。
(複合加工機の構成)
レーザ照射熱処理方法を実施するための複合加工機は、ワーク加工ユニット200に種々の加工ツール501を装着でき、例えば、図5に示すように、熱処理加工ツールであるレーザヘッド600が装着される。尚、図5において、上下にX方向及び左右にZ方向を規定する。
レーザ照射熱処理方法を実施するための複合加工機は、ワーク加工ユニット200に種々の加工ツール501を装着でき、例えば、図5に示すように、熱処理加工ツールであるレーザヘッド600が装着される。尚、図5において、上下にX方向及び左右にZ方向を規定する。
この複合加工機10は、図示しないコンピュータ数値制御装置(CNC)により全体の駆動が制御されるものであり、複合加工機本体と図示しない付属装置からなる。主な付属装置は、オイル供給装置、冷却装置、エア供給機器、クーラント供給装置、冷却液供給装置、切屑収集装置及びこれらの装置を複合加工機本体と接続するダクト装置等からなっている。
複合加工機10は、ベッド11上に載置され、軸物あるいは長尺状のワークWを回転駆動可能に支持するワーク支持駆動ユニット100と、ベッド11上に装架されてX及びZ方向の移動及び位置決めを行なうXステージ301及びZステージ302と、Zステージ302上に載置され各種の加工ツールを着脱可能に搭載するワーク加工ユニット200と、加工ツール501をワーク加工ユニット200の所定位置に着脱するツール装着ユニット400とを有する。尚、ワーク加工ユニット200は、Xステージ301及びZステージ302によりX及びZ方向の移動を行うだけでなく、例えば、閉リンク機構を並列に配置して旋回動作も可能な所謂パラレル機構等によりXZ平面内で移動するものであってもよい。
ワーク支持駆動ユニット100は、ベッド11上に載置された主軸台ベース101に、主軸台スライドガイド102を介してZ方向にスライド可能に移動可能な主軸台103を有し、主軸台103には、主軸105を所定の回転数で回転駆動する主軸駆動モータ104が搭載されている。各々左右の主軸台103は、左右独立にZ方向にスライドして、ワークWを所定の心間で挟持して、その位置を固定できる構成となっており、ワークWは図示しない回し金等により回転駆動される。
ワーク加工ユニット200は、研削加工等の工具の回転とワークWとの回転により加工を行なう場合には、加工ツール501を装着したツール回転主軸202をツール駆動モータ201で所定回転数で回転駆動する。また、旋削、熱処理等の工具を回転させずワークWの回転により加工を行なう場合には、加工ツール501を装着したツール回転主軸202は回転させず所定の回転方向位置で所定の静止剛性で固定される。
ツール回転主軸202は、加工ツール501のテーパ部510をクランプして、加工ツール501とツール回転主軸202を強固に締結するクランプ部203を有している。具体的には、クランプ部203は、複合加工機用のHSKインターフェース規格等の互換性を有する規格により構成されている。HSKインターフェース規格によりクランプ部203が構成されている場合、加工ツール501のテーパ部510と端面は2面拘束により、ツール回転主軸202に強固に締結される。
ツール装着ユニット400は、ベッド11上の所定の位置に載置され、種々の加工ツール501を保持可能な複数のツールポッド402を有したツールタレット403と、X軸回りに割出し制御をするサーボモータ404により構成されている。ツールポッド402の内部には、加工ツール501の先端部に形成された溝部が着脱可能となる結合部405が形成されている。
加工ツール501には、旋削加工に使用される旋削用電着ホイール等の旋削工具502、穴あけ、溝加工等に使用されるドリル、エンドミル等の切削工具503、レーザヘッド600等の加熱ツールとしての熱処理工具504、研削加工に使用される砥石車(例えば、CBNホイール)等の研削工具505、超仕上げ、ELID研削等に使用される表面仕上げ工具506がある。
(酸化膜形成工程)
図6(a)に示すように、研削工具505が加工ツール501としてツール回転主軸202に装着され、クーラント供給ノズル700からクーラント991を供給しながら、ワークWに研削加工を行うことにより、酸化膜形成工程を行なう。研削加工による加工熱を利用するので、クーラント991の供給は潤滑性を維持できる最小限とする。ワークWの外周面上に酸化膜が形成されるまで研削加工を行なうので、ワークWにはそのための研削代を予め設けておくことが好ましい。
図6(a)に示すように、研削工具505が加工ツール501としてツール回転主軸202に装着され、クーラント供給ノズル700からクーラント991を供給しながら、ワークWに研削加工を行うことにより、酸化膜形成工程を行なう。研削加工による加工熱を利用するので、クーラント991の供給は潤滑性を維持できる最小限とする。ワークWの外周面上に酸化膜が形成されるまで研削加工を行なうので、ワークWにはそのための研削代を予め設けておくことが好ましい。
(熱処理工程)
研削加工による酸化膜形成工程の終了後、研削工具505をツール装着ユニット400側に回収し、図6(a)に示すようにレーザヘッド600を装着してワークWの必要部位に追加熱を行なう。この追加熱工程後に、図6(b)に示すように、レーザ光LBを照射するレーザヘッド600のZ方向送りに追従して冷却液供給ノズル701から冷却液992が加熱部位に供給されるので、加熱後一定時間内に冷却される。その他の工程は、第1の実施の形態と同様であるので詳細な説明を省略する。
研削加工による酸化膜形成工程の終了後、研削工具505をツール装着ユニット400側に回収し、図6(a)に示すようにレーザヘッド600を装着してワークWの必要部位に追加熱を行なう。この追加熱工程後に、図6(b)に示すように、レーザ光LBを照射するレーザヘッド600のZ方向送りに追従して冷却液供給ノズル701から冷却液992が加熱部位に供給されるので、加熱後一定時間内に冷却される。その他の工程は、第1の実施の形態と同様であるので詳細な説明を省略する。
(本発明の第2の実施の形態の効果)
本発明の第2の実施の形態に係るレーザ照射熱処理方法によれば、第1の実施の形態の効果に加えて次のような効果を有する。すなわち、複合加工機での研削加工等により高能率除去加工時の加工熱を利用して酸化膜形成工程を行なうことが可能となる。これにより、高能率除去加工とレーザ照射熱処理方法の酸化膜形成工程を共通に実施することができ、工程簡略化、サイクルタイム短縮等に効果を有する。
本発明の第2の実施の形態に係るレーザ照射熱処理方法によれば、第1の実施の形態の効果に加えて次のような効果を有する。すなわち、複合加工機での研削加工等により高能率除去加工時の加工熱を利用して酸化膜形成工程を行なうことが可能となる。これにより、高能率除去加工とレーザ照射熱処理方法の酸化膜形成工程を共通に実施することができ、工程簡略化、サイクルタイム短縮等に効果を有する。
以上、本発明のレーザ照射熱処理方法を上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。
10…複合加工機、11…ベッド、100…ワーク支持駆動ユニット、101…主軸台ベース、102…主軸台スライドガイド、103…主軸台、104…主軸駆動モータ、105…主軸、106…チャック部、107…封止部、110…加熱範囲、200…ワーク加工ユニット、201…ツール駆動モータ、202…ツール回転主軸、203…クランプ部、301…Xステージ、302…Zステージ、400…ツール装着ユニット、402…ツールポッド、403…ツールタレット、404…サーボモータ、405…結合部、501…加工ツール、502…旋削工具、503…切削工具、504…熱処理工具、505…研削工具、506…表面仕上げ工具、510…テーパ部、600…レーザヘッド、601…レーザ発振器、602,603,604…レーザスタックモジュール、605,606…ダイクロイックミラー、650…光ファイバカップラ、651…伝送ファイバ、700…クーラント供給ノズル、701…冷却液供給ノズル、991…クーラント、992…冷却水
Claims (5)
- ワークを回転させながら所定の温度まで加熱し、前記ワークの表面に酸化膜を形成する酸化膜形成工程と、
前記酸化膜形成工程の後、前記酸化膜上の熱処理必要部位にレーザ照射を行なうことにより熱処理を施す熱処理工程と、
を有するレーザ照射熱処理方法。 - 前記酸化膜形成工程は、前記ワークへのレーザ照射により行なう請求項1に記載のレーザ照射熱処理方法。
- 前記酸化膜形成工程は、前記ワーク表面の除去加工により行なう請求項1に記載のレーザ照射熱処理方法。
- 前記除去加工は、研削加工である請求項3に記載のレーザ照射熱処理方法。
- 前記ワークは鋼材であり、前記熱処理工程は、追加熱工程と冷却工程からなる焼入れ処理である請求項1に記載のレーザ照射熱処理方法。
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008176942A Pending JP2010013719A (ja) | 2008-07-07 | 2008-07-07 | レーザ照射熱処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2010013719A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013104103A (ja) * | 2011-11-14 | 2013-05-30 | Univ Of Shiga Prefecture | レーザ熱処理システム |
JP2016079473A (ja) * | 2014-10-17 | 2016-05-16 | 住友電工焼結合金株式会社 | レーザ焼入れ方法 |
JP2017141505A (ja) * | 2016-02-09 | 2017-08-17 | 株式会社ジェイテクト | 造形物の製造装置、及び製造方法 |
CN115323122A (zh) * | 2022-07-20 | 2022-11-11 | 浙江久恒光电科技有限公司 | 一种马氏体不锈钢餐刀刃口的激光淬火加工方法 |
-
2008
- 2008-07-07 JP JP2008176942A patent/JP2010013719A/ja active Pending
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JP2016079473A (ja) * | 2014-10-17 | 2016-05-16 | 住友電工焼結合金株式会社 | レーザ焼入れ方法 |
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CN115323122A (zh) * | 2022-07-20 | 2022-11-11 | 浙江久恒光电科技有限公司 | 一种马氏体不锈钢餐刀刃口的激光淬火加工方法 |
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