JP5262364B2 - 熱処理装置、熱処理方法、及び、複合加工機 - Google Patents
熱処理装置、熱処理方法、及び、複合加工機 Download PDFInfo
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Description
[6]また、前記冷却工程は、前記冷却カプセル内に満たされた冷却液の温度に基づき、前記冷却カプセルへの前記冷却液の供給を停止することにより、冷却速度を制御する冷却速度制御工程を含むことを特徴とする上記[5]に記載の熱処理方法であってもよい。
[7]本発明は、上記目的を達成するために、ワークを回転させながら、前記ワークを所定のパワーで加熱する加熱ツール、及び、クーラントを前記ワークに供給しながら前記ワークの研削、切削等を行う機械加工ツールを有する加工部と、前記加工部において加熱された前記ワークを挿入して収容する冷却カプセル、及び、前記冷却カプセル内に冷却液を満たす冷却液供給部を有するワーク冷却部と、を有し、前記冷却液及び前記クーラントがそれぞれ共通の回収タンクに回収された後、それぞれが前記回収タンクから送出される冷却液回収タンク及びクーラント回収タンクが独立して設けられていることを特徴とする複合加工機を提供する。
[8]前記冷却液は冷却水であって、前記冷却液回収タンクに回収された前記冷却水が前記クーラント回収タンクに供給されることを特徴とする上記[7]に記載の複合加工機であってもよい。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る熱処理装置、熱処理方法を説明するための装置概略を示す図である。図2は、ワーク上に照射されるレーザ光源の構成を示す斜視図である。図3は、本発明の第1の実施の形態に係る熱処理装置、熱処理方法の特に冷却工程を説明するための図である。図4は、ワークに焼入れ処理を行なう場合の時間と温度の関係を示す図である。
ワークWを回転させながら、ワークWを所定パワーの加熱ツールで加熱する加熱工程(S101)と、加熱工程(S101)により加熱されたワークWを、次工程に移動させる移動工程(S102)と、移動工程(S102)により移動されたワークWを回転させながら冷却液990に漬け込むことにより冷却する冷却工程(S103)、を有することを特徴とする熱処理方法である。
加熱工程(S101)は、ワークWにレーザヘッド600からレーザ照射を行ない所定の温度まで加熱する工程である。図1に示すように、ワークWを封止部107を装着した状態でチャック部106により主軸105に取り付ける。ワークWを所定の回転数で回転させながら、レーザヘッド600から所定のレーザパワーでワークWの外周面上の加熱範囲110にレーザ照射を行なう。レーザ照射は、所定のZ方向送り速度でレーザ照射し、あるいは、所定の周波数でZ方向にレーザ光をスキャン照射することにより行ない、熱処理必要部位にのみ加熱することができる。
移動工程S102は、加熱工程S101により加熱されたワークWを、次の工程である冷却工程S103を行う冷却カプセル800内へ移動させる工程である。加工部900から冷却部901へのワークWの移動は、別途、移動・搬送装置を設けてもよく、また、加工部の移動Zステージ(トラーバース用ステージ)をワークWの冷却カプセル800への移動に使用してもよい。この移動工程は、例えば、焼き入れ処理の場合には、温度低下が所定内であるように、CCT(Continuous Cooling Transformation)線図に基づき、所定の時間内に行なう必要がある。
冷却工程S103は、加熱されたワークWを、冷却カプセル800で冷却液990に漬け込むことにより強制冷却する工程である。冷却カプセル800の内空部802にワークWを配置し、開口部801を封止部107で覆うことにより、冷却液供給部820から冷却液990を供給し、内空部802に冷却液990を満たすことでワークWが冷却液990中に漬け込まれる状態とする。この状態で、ワークWを所定の回転数で回転させる。冷却液990を攪拌ファン860により攪拌して温度分布を均一にしながら、冷却液供給部820から冷却カプセル800の内空部802に冷却液990を供給する。冷却液990は、内空部802に十分充填され、過剰な冷却液990はドレン配管830の取出口835からドレン配管830を通して冷却液回収タンク910に回収される。また、封止部107と開口部801の隙間から漏れる冷却液990も冷却液回収タンク910に回収される。回収された冷却液990は冷却液ポンプ840で汲水され、カプセル内温度計810による冷却液温度の測定結果に基づいて液温制御部850が冷却液ポンプ840を制御して、所定の温度になるよう冷却液供給部820から冷却液990が適宜供給される。
図2に示すように、ワークWが、円筒面以外に、段付部の端面及びテーパ面等を有するワーク形状の場合に、鋼材に焼入れ処理を行なう場合を説明する。
熱処理される鋼材(例えば、S45C)であるワークWを、加工部900においてチャック部106により主軸105に保持して、所定の回転速度で回転させる。ワークWの焼入れ必要部位に対して、レーザヘッド600のY方向(必要に応じてθ角度)の制御を行いながら、レーザヘッド600をZ方向にスキャンしながらレーザ光を照射する。レーザ光のスキャン照射において、入力されたワークの形状データに基づいて、ワーク内部の熱伝導性を考慮しながら加熱制御することができる。また、ワーク熱処理範囲に対して温度測定を行ないながら、レーザパワー、ワーク回転数、スキャン速度(スキャン周波数)及びスキャン回数を制御することにより上記の加熱制御を行なうことも可能である。
加熱工程が終了したワークWを、加工部900から冷却部901まで移動させる。この移動工程は、CCT線図に基づき、所定の時間内に行なう必要があり、S45Cの場合は約2秒以内である。この移動工程は、図4に示すt2〜t3であり、この間に若干の温度低下が生じる。
冷却工程では、加熱されたワークWを、冷却カプセル800で冷却液990に漬け込むことにより強制冷却し、t3からt5の間でワークWは急冷される。この急冷により、オーステナイトからマルテンサイト組織となり、所定の深さまで焼入れ処理が施される。
上記示した冷却工程では、t3からt5の約常温までワークWを急冷したが、例えば非接触で温度測定を行なうことで、あるいは、所定の時間経過後に、ワークWを開口部801から冷却カプセル800の外に出すことにより、危険区域(約250℃)を回避した焼入れ処理が可能である。すなわち、約250℃に達したt4の時点でワークWを冷却カプセル800の外に出すことで、その後は大気雰囲気での徐冷となり、焼き割れの発生が抑制できる。
本発明の第1実施の形態に係る熱処理装置、熱処理方法によれば、次のような効果を有する。
(1)冷却カプセル800で使用する冷却液990を回収する冷却液回収タンク910を、加工部900から離間して独立して設ける構成としているので、加工時に加工箇所に供給するクーラント等と熱処理のための冷却液の分離回収が可能となる。これにより、複合加工機への適用も可能となる。
(2)上記の構成により、冷却カプセル800で大量の冷却液を使用できるようになるので、ワークWを冷却液に漬け込むことにより冷却(急冷)でき、特に、冷却速度が均一化されること、温度の制御性がよいこと、急冷効果が高いことから、高品質な焼き入れが可能となる。
(3)カプセル内温度計810による冷却液温度の測定結果に基づいて液温制御部850が冷却液ポンプ840を制御して、所定の温度になるよう冷却液供給部820から冷却液990を適宜供給するので、熱処理温度の制御が可能となり、高精度の熱処理が可能となる。
(4)加熱ツールとしてレーザ光源を使用するので、ワークWの熱処理必要部位のみを加熱でき、高機能な熱処理が可能となる。
(5)ワークWを収容できる大きさの冷却カプセル800に冷却液を供給して熱処理を行なう構成であるので、使用する冷却液を削減でき、また、冷却カプセルの小型化が可能となる。
(6)冷却カプセル800内で熱処理を行なうので、蒸気の発生が抑制され、クリーンな装置環境が得られる。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態に係る熱処理装置を、複合加工機に適用したものである。図5は、本発明の第2の実施の形態に係る熱処理装置を複合加工機に適用した場合の構成を示す平面図である。図6は、冷却水を加工用クーラントに供給して利用する場合の回収タンクの構成を示す図である。
本発明の実施の形態に係る複合加工機は、ワーク加工ユニット200に種々の加工ツール501を装着でき、例えば、図5に示すように、熱処理加工ツールであるレーザヘッド600が装着される。尚、図5において、上下にX方向及び左右にZ方向を規定する。
本発明の第2実施の形態に係る複合加工機によれば、第1実施の形態の効果に加えて次のような効果を有する。すなわち、複合加工機では、加工時にワークWにクーラントを供給するが、これと熱処理のための冷却液との分離が容易にできる。さらに、冷却液を冷却水(工業用水)とすることで、クーラントタンク940への水の補給も可能となる。
Claims (8)
- ワークを回転させながら、前記ワークを所定のパワーで加熱する加熱ツールを有する加工部と、
前記加工部において加熱された前記ワークを挿入して収容する冷却カプセル、前記冷却カプセル内に冷却液を満たす冷却液供給部、及び、前記冷却液供給部から排出される前記冷却液を回収する冷却液回収タンクを有するワーク冷却部と、を有し、
前記冷却液回収タンクが前記加工部から離間して独立して設けられていることを特徴とする熱処理装置。 - 前記加熱ツールは、レーザ光源を有して構成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。
- 前記冷却カプセルは、前記冷却カプセル内の温度を測定してこの測定結果に基づいて前記冷却液の温度制御を行なうことを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。
- 前記加工部と前記ワーク冷却部との間に、前記ワークを移動させる搬送部を有することを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。
- ワークを回転させながら、前記ワークを所定パワーの加熱ツールで加熱する加熱工程と、
前記加熱工程により加熱された前記ワークを、次工程に移動させる移動工程と、
前記移動工程により移動された前記ワークを回転させながら冷却液に漬け込むことにより冷却する冷却工程とを有し、
前記冷却工程は、前記移動工程により前記ワークを冷却カプセル内に挿入して収容し、前記冷却カプセル内に前記冷却液を満たすことにより行なわれることを特徴とする熱処理方法。 - 前記冷却工程は、前記冷却カプセル内に満たされた冷却液の温度に基づき、前記冷却カプセルへの前記冷却液の供給を停止することにより、冷却速度を制御する冷却速度制御工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の熱処理方法。
- ワークを回転させながら、前記ワークを所定のパワーで加熱する加熱ツール、及び、クーラントを前記ワークに供給しながら前記ワークの研削、切削等を行う機械加工ツールを有する加工部と、
前記加工部において加熱された前記ワークを挿入して収容する冷却カプセル、及び、前記冷却カプセル内に冷却液を満たす冷却液供給部を有するワーク冷却部と、を有し、
前記冷却液及び前記クーラントがそれぞれ共通の回収タンクに回収された後、それぞれが前記回収タンクから送出される冷却液回収タンク及びクーラント回収タンクが独立して設けられていることを特徴とする複合加工機。 - 前記冷却液は冷却水であって、前記冷却液回収タンクに回収された前記冷却水が前記クーラント回収タンクに供給されることを特徴とする請求項7に記載の複合加工機。
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