JP2010016055A - 発光ダイオードの製造方法及び発光ダイオード、並びにランプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ドライフィルムレジスト層4を形成するレジスト形成工程と、複数の化合物半導体層11及びドライフィルムレジスト層4の上に形成され、内部に分離用レジスト層22を包含するメッキ層1に仮貼付基板24を貼り付ける仮貼付工程と、基板21を剥離し、ドライフィルムレジスト層4の一部を残しながら、該ドライフィルムレジスト層4を除去する除去工程と、メッキ層1を切断する分割工程とを具備する。
【選択図】図7
Description
また、導電性基板を、例えば銅等のメッキ層として構成した場合には、レーザの熱によって銅に熱膨張が発生し、ウェーハを素子(チップ)単位に分割する際のカットラインにズレが生じるため、半導体層にレーザが照射されて素子にダメージが与えられてしまうという問題がある。
またさらに、レーザの熱により、分割後の導電性基板に大きなバリが発生するため、分割後の素子特性が劣化するという問題や、ウェーハの外周部の膜厚が厚くなった場合に、レーザカットが困難になるという問題があった。
このような方法により、メッキ層上にIII族窒化物半導体層を形成して上下電極構造の発光ダイオードを製造する場合には、半導体層をエッチング等の方法によって複数に分割した後、この半導体層上にメッキ層を形成する際、複数の半導体層間に形成された分断溝にメッキ材料が入り込まないようにする必要がある。しかしながら、このような方法とした場合には、以下に示すような問題点がある。
また、上述のようなフォトリソプロセス法を用いて分断溝にフォトレジストを埋め込み、その後、フォトレジストを除去した場合に半導体層の上縁部に空隙が生じるのを防止する方法として、永久膜レジストを用いる方法や、レジストをハードベークすることにより、その後の工程において空隙が生じないようにすることが考えられる。しかしながら、これらの方法では、分断溝の底部においてレジストとサファイア基板とが強固に接着してしまい、サファイア基板を剥離するのが困難になるという問題があった。
[1] 複数の化合物半導体層の上に、該複数の化合物半導体層に備えられる基板と反対側の面の少なくとも一部を露出させながら、前記複数の化合物半導体層の各々の間の分離溝を塞ぐようにドライフィルムレジスト層を形成するレジスト形成工程と、
前記複数の化合物半導体層及び前記ドライフィルムレジスト層の上に形成され、内部に分離用レジスト層を包含するメッキ層上に仮貼付基板を貼り付ける仮貼付工程と、
前記基板を前記複数の化合物半導体層から剥離するとともに、前記ドライフィルムレジスト層の少なくとも一部を前記複数の化合物半導体層上に残しながら、前記分離溝に沿う位置の前記ドライフィルムレジスト層を除去し、さらに、前記分離用レジスト層を除去して前記メッキ層の内部に分断溝を形成することにより、前記メッキ層を前記複数の化合物半導体層に対応するように分断する除去工程と、
前記メッキ層の、前記複数の化合物半導体層と反対側の面を研磨することにより、前記分断溝に沿って前記メッキ層を切断する分割工程と、
を具備してなることを特徴とする発光ダイオードの製造方法。
前記ドライフィルムレジスト層上に分離用レジスト層を形成するとともに、該分離用レジスト層よりも低い高さ寸法の第1メッキ層を形成した後、さらに、該第1メッキ層上に、前記分離用レジスト層よりも低い高さ寸法の第2メッキ層及び第3メッキ層を形成することにより、前記分離用レジスト層によって一部が分断されてなるメッキ層を形成するメッキ工程と、
前記分離用レジスト層を除去し、前記メッキ層の内部に分断溝を形成することにより、前記メッキ層を前記複数の化合物半導体層に対応するように分断するメッキ層分断工程と、
前記メッキ層分離工程において分離された各々のメッキ層に仮貼付基板を貼り付ける仮貼付工程と、
前記基板を前記複数の化合物半導体層から剥離するとともに、前記ドライフィルムレジスト層の少なくとも一部を前記複数の化合物半導体層上に残しながら、前記分離溝に沿う位置の前記ドライフィルムレジスト層を除去する除去工程と、
を具備してなることを特徴とする発光ダイオードの製造方法。
[4] 前記複数の化合物半導体層は、前記基板上に、n型半導体層、発光層、p型半導体層を順次積層した後、前記分離溝を形成し、さらに反射性p型電極層を積層する積層工程によって形成されることを特徴とする上記[1]〜[3]の何れか1項に記載の発光ダイオードの製造方法。
[6] 前記除去工程は、前記分離溝に沿う位置の前記ドライフィルムレジスト層を、アッシング処理によって除去することを特徴とする上記[1]〜[5]の何れか1項に記載の発光ダイオードの製造方法。
[7] 前記除去工程を行なった後、少なくとも前記複数の化合物半導体層の周囲面に、保護用の絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程を設けることを特徴とする上記[1]〜[6]の何れか1項に記載の発光ダイオードの製造方法。
[8] 前記絶縁膜形成工程を行なった後、前記n型半導体層の光取出面を粗面化する粗面化工程を設けることを特徴とする上記[7]に記載の発光ダイオードの製造方法。
[10] メッキ層上に、少なくとも反射性p型電極層、p型半導体層、発光層及びn型半導体層が順次積層されてなる化合物半導体層が形成されてなる発光ダイオードであって、前記メッキ層及び前記化合物半導体層の各々の側面には、該メッキ層と化合物半導体層との境界近傍において、前記各々の側面が括れるように形成された凹部が設けられ、該凹部内に設けられるドライフィルムレジスト層が、前記メッキ層及び化合物半導体層の外周において連なるように形成されなることを特徴とする発光ダイオード。
[11] 上記[9]又は[11]に記載の発光ダイオードが用いられてなるランプ。
また、本発明の発光ダイオードは、発光強度等の素子特性に非常に優れたものとなるので、このような発光ダイオードを用いてランプを構成することにより、発光特性に優れたランプが実現可能となる。
図1に示す例の発光ダイオードAは、基体となるメッキ層1と、メッキ層1上に配置されたシード層2と、シード層2の上に配置された化合物半導体層11と、化合物半導体層11上に配置されたn型電極層9と、から概略構成されている。
このn型電極層9は、後述するように、光取出面11aをプラズマで処理した後にCr膜9a、Ti膜9b及びAu膜9cを順次積層することによって形成され、これによりアニール処理を施すことなくn型半導体層8との間でオーミック接触が得られるようになっている。
本実施形態におけるシード層2の材質は、後述のメッキ層1の材質をCuとした場合には、同じCuを用いることが、密着性が良好となる点から好ましい。
また、このようなドライフィルムレジスト層4の膜厚は、特に限定されないが、例えば、発光ダイオードAの横幅方向(図1における横幅方向)で、15μm程度とすることが好ましい。
また、発光ダイオードAにおいては、ドライフィルムレジスト層4が、マイグレーションし易い反射膜材料(Ag合金)からなる、後述の反射性p型電極層5の保護膜として作用する。
反射性p型電極層5は、シード層2を介してメッキ層1と電気的に接続されており、これによりメッキ層1が反射性p型電極層5の取出電極となっている。また、反射性p型電極層5及びメッキ層1と、n型電極層9とは、化合物半導体層11の厚み方向において反対側に配置された関係になっている。これにより本実施形態の発光ダイオードAは、所謂上下電極構造の発光ダイオードとなっている。
また、反射性p型電極層5は、図1に示すように、化合物半導体層11に接するオーミックコンタクト層5cと、オーミックコンタクト層5cに接する反射層5bと、反射層5bに接する相互拡散防止層5aとから構成されている。反射層5bを備えることによって反射性p型電極層5は、発光層7から発した光を光取出面11a側に反射させる反射層となっている。
この反射性p型電極層5は、後述するように、オーミックコンタクト層5cを、RFスパッタリング法を用いて積層し、反射層5b及び相互拡散防止層5aは例えばDCスパッタリング法を用いて積層することによって形成され、これによりアニール処理を施すことなくp型半導体層6との間でオーミック接触が得られるようになっている。
下地層はAlXGa1―XN層(0≦x≦1、好ましくは0≦x≦0.5、さらに好ましくは0≦x≦0.1)から構成されることが好ましい。その膜厚は0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上である。この膜厚以上にした方が結晶性の良好なAlXGa1―XN層が得られやすい。
下地層にはn型不純物を1×1017〜1×1019/cm3の範囲内であればドープしても良いが、アンドープ(<1×1017/cm3)の方が良好な結晶性の維持という点で好ましい。n型不純物としては、特に限定されないが、例えば、Si、GeおよびSn等が挙げられ、好ましくはSiおよびGeであり、より好ましくはSiである。
nコンタクト層を構成するGaN系半導体は、下地層と同一組成であることが好ましく、nコンタクト層と下地層との合計の膜厚を1〜20μm、好ましくは2〜15μm、さらに好ましくは3〜12μmの範囲に設定することが好ましい。nコンタクト層と下地層との合計の膜厚が上記範囲にあると、半導体の結晶性が良好に維持される。
nクラッド層の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは0.005〜0.5μmであり、より好ましくは0.005〜0.1μmである。nクラッド層のn型ドーパント濃度は1×1017〜1×1020/cm3が好ましく、より好ましくは1×1018〜1×1019/cm3である。ドーパント濃度がこの範囲であると、良好な結晶性の維持および素子の動作電圧低減の点で好ましい。
また、発光層7は、上記のような単一量子井戸(SQW)構造の他に、上記Ga1−sInsNを井戸層として、この井戸層よりバンドギャップエネルギーが大きいAlcGa1−cN(0≦c<0.3)障壁層とからなる多重量子井戸(MQW)構造としてもよい。また、井戸層および障壁層には、不純物をドープしてもよい。
pクラッド層としては、発光層7のバンドギャップエネルギーより大きくなる組成であり、発光層7へのキャリアの閉じ込めができるものであれば特に限定されないが、好ましくは、AldGa1−dN(0<d≦0.4、好ましくは0.1≦d≦0.3)のものが挙げられる。pクラッド層が、このようなAlGaNからなると、発光層7へのキャリアの閉じ込めの点で好ましい。pクラッド層の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは1〜400nmであり、より好ましくは5〜100nmである。pクラッド層のp型ドーパント濃度は、1×1018〜1×1021/cm3が好ましく、より好ましくは1×1019〜1×1020/cm3である。p型ドーパント濃度が上記範囲であると、結晶性を低下させることなく良好なp型結晶が得られる。
次に、図2〜図16を参照して、本発明に係る発光ダイオードの製造方法について説明する。
以下、本実施形態の発光ダイオードの製造方法の一例について、各工程を詳細に説明する。
本実施形態の発光ダイオードAの製造方法は、複数の化合物半導体層11の上に、該複数の化合物半導体層11に備えられる基板21と反対側の面11cの少なくとも一部を露出させながら、複数の化合物半導体層11の各々の間の分離溝12を塞ぐようにドライフィルムレジスト層4を形成するレジスト形成工程と、複数の化合物半導体層11及びドライフィルムレジスト層4の上に形成され、内部に分離用レジスト層22を包含するメッキ層1上に仮貼付基板24を貼り付ける仮貼付工程と、基板21を複数の化合物半導体層11から剥離するとともに、ドライフィルムレジスト層4の少なくとも一部を複数の化合物半導体層11上に残しながら、分離溝12に沿う位置のドライフィルムレジスト層4を除去し、さらに、分離用レジスト層22を除去してメッキ層1の内部に分断溝1bを形成することにより、メッキ層1を複数の化合物半導体層11に対応するように分断する除去工程と、メッキ層1の、複数の化合物半導体層11と反対側の面1a(図1を参照)を研磨することにより、前記分断溝に沿って前記メッキ層を切断する分割工程と、を具備してなる方法である。
積層工程では、図2(a)〜図2(c)に示すように、基板21上に、n型半導体層8、発光層7、p型半導体層6及び反射性p型電極層5を順次積層して複数の化合物半導体層11を形成する。
n型半導体層8にはn型ドーパントとしてSi等をドープさせることが望ましく、p型半導体層6にはp型ドーパントとしてMg等をドープさせることが望ましい。
また、基板21上に化合物半導体層11を構成するn型半導体層8、発光層7及びp型半導体層6の各々を形成する際には、あらかじめ基板21上にバッファ層を形成することが望ましい。すなわち、基板21としてサファイア基板を用い、n型半導体層8としてGaNを形成する場合には、基板21とn型半導体層8との格子定数が10%以上も異なる。この場合に、バッファ層として、基板21とn型半導体層8との中間の格子定数を有するAlNやAlGaNなどを用いることで、n型半導体層8を構成するGaNの結晶性を向上させることができる。
また、MOCVD法では、キャリアガスとして水素(H2)または窒素(N2)、III族原料であるGa源としてトリメチルガリウム(TMG)またはトリエチルガリウム(TEG)、Al源としてトリメチルアルミニウム(TMA)またはトリエチルアルミニウム(TEA)、In源としてトリメチルインジウム(TMI)またはトリエチルインジウム(TEI)、V族原料であるN源としてアンモニア(NH3)、ヒドラジン(N2H4)などが用いられる。また、ドーパントとしては、n型にはSi原料としてモノシラン(SiH4)またはジシラン(Si2H6)を、Ge原料としてゲルマンガス(GeH4)や、テトラメチルゲルマニウム((CH3)4Ge)やテトラエチルゲルマニウム((C2H5)4Ge)等の有機ゲルマニウム化合物を利用できる。
MBE法では、元素状のゲルマニウムもドーピング源として利用できる。p型にはMg原料としては例えばビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)またはビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム(EtCp2Mg)を用いればよい。
次に、レジスト形成工程では、図3に示すように、複数の化合物半導体層11の上に、化合物半導体層11の基板21と反対側の面11cの少なくとも一部を露出させながら、分離溝12を塞ぐようにドライフィルムレジスト層4を形成する。また、本例のレジスト形成工程は、さらに、複数の化合物半導体層11及びドライフィルムレジスト層4の上に、オーバーコート層3及びシード層2をこの順で形成する。
また、ドライフィルムレジスト層4の膜厚としては、例えば、発光ダイオードAの横幅方向(図1における横幅方向)で、15μm程度として形成することができる。
次に、メッキ工程では、図5(a)、(b)に示すように、シード層2上に、分離溝12に沿う分離用レジスト層22を形成するとともに、該分離用レジスト層22よりも厚く構成され、且つ、分離用レジスト層22によって少なくとも一部が分断されてなるメッキ層1を形成する。
次に、図5(b)に示すように、シード層2及び分離用レジスト層22を覆うようにメッキ層1を形成する。メッキ層1の形成は、シード層2に電流を印加しつつ電気メッキ法で行うとよい。この際、メッキ層1の厚みを、例えば、150〜300μm程度として分離用レジスト層22の高さよりも厚く形成することにより、図示するような、分離用レジスト層22によって一部が分断されてなるメッキ層1を形成することができる。
次に、仮貼付工程では、図6に示すように、メッキ層1に仮貼付基板24を貼り付ける。仮貼付基板24は、例えば、ガラス(石英)基板からなり、UVを透過する特性を有する。
具体的には、図6に示すように、メッキ層1に、仮貼付基板24を、UV硬化レーザ剥離接着剤25を用いて貼り付ける。
次に、除去工程では、図7(a)〜図7(d)に示すように、基板21及び図示略のバッファ層を、複数の化合物半導体層11から剥離して、複数の化合物半導体層11に備えられるn型半導体層8の光取出面11aを露出させるとともに、ドライフィルムレジスト層4の少なくとも一部を複数の化合物半導体層11の上に残しながら、分離溝12に沿う位置のドライフィルムレジスト層4と、オーバーコート層3、シード層2の各々を除去し、さらに、分離用レジスト層22を除去して、メッキ層1の分離用レジスト層22で分断された部分に分断溝1bを形成することにより、メッキ層1を複数の化合物半導体層11に対応するように分断する。
また、ドライフィルムレジスト層4の除去には、O2(酸素)アッシング処理による方法を用いることが好ましい。
また、オーバーコート層3及びシード層2、並びに分離用レジスト層22の除去には、溶剤(NMP等)のジェット噴霧による方法を用いることが好ましい。
本発明の製造方法に備えられる除去工程では、上述のように、分離溝12に沿った位置のドライフィルムレジスト層4を除去する際、化合物半導体層11がマスクとして機能することにより、ドライフィルムレジスト層4の少なくとも一部を複数の化合物半導体層11上に残しながら、分離溝12に沿う位置のドライフィルムレジスト層4を除去する方法としている。そして、上記方法とすることにより、図1に示す例の発光ダイオードAのように、メッキ層1と化合物半導体層11との境界近傍において、メッキ層1の側面1c及び化合物半導体層11の側面11bの各々が括れるように形成された凹部Cの内部に、メッキ層1及び化合物半導体層11の外周で連なるようにドライフィルムレジスト層4を残留させる。この部分は、その後の工程において空隙とならず、また、永久膜ハードレジストとしてドライフィルムレジスト層4を残すことで、このドライフィルムレジスト層4によって素子外周部(発光ダイオードAの側面11b)が強固に支持されるので、素子(化合物半導体層11)にクラック等のダメージが発生するのを防止できる。
次に、絶縁膜形成工程では、図8に示すように、複数に分割された化合物半導体層11の各側面(周囲面)11bに、保護用の絶縁膜10を形成する。
具体的には、図8に示すように、CVD法やスパッタ法等の手段によって、SiO2からなる絶縁膜10を、各化合物半導体層11の側面11bと、各化合物半導体層11の光取り出し面11aの外周部分を覆うように形成する。化合物半導体層11の全体に絶縁膜10を形成し、光取出面11aの中央部以外の部分にレジストを形成し、ドライエッチングすることで、目的の絶縁膜10を形成できる。
なお、図8に示す例では、絶縁膜10を、メッキ層1の各側面1cや、ドライフィルムレジスト層4、オーバーコート層3及びシード層2にも形成しているが、絶縁膜10は、少なくとも、化合物半導体層11の側面11bと光取り出し面11aの外周部分に形成されていれば良い。なお、本発明で参照する各図面(図8〜12、図16)においては、符号を明示するために、図中の化合物半導体層やメッキ層等の側面における絶縁膜を意図的に削除して表しているが、本発明に係る発光ダイオードは、各側面において絶縁膜が連続的に存在するものである。
次に、粗面化工程では、n型半導体層8の光取出面11aを粗面化する。
具体的には、詳細な図示を省略するが、加熱したKOH溶液またはTMAH(Tetramethyl ammonium hydroxide)溶液に浸漬して、光取出面11aの中央の絶縁膜10に被覆されずに露出している部分の、n型半導体層8を構成する図示略の下地層を除去するとともに、n型半導体層8の光取出面11aを粗面化する。
なお、光取出面11aにおける下地層の除去及び粗面化には、PEC(photo electrochemical etch)を使用することもでき、また、ドライエッチングを適用することもできる。
また、上記の下地層の除去操作は、下地層がアンドープ層である場合に必要な操作であって、下地層にSi等がドープされている場合には下地層の除去操作は不要である。
電極形成工程では、図9に示すように、n型半導体層8の光取出面11aを、n型半導体層8中のドーパント元素と同一の元素を含有するエッチングガスによりドライエッチングしてから、光取出面11aにn型電極層9を形成する。
具体的には、メッキ層1及び化合物半導体層11等を含むメッキ基板をプラズマドライエッチング装置のチャンバに収納し、n型半導体層8中のドーパント元素と同一の元素を含有するエッチングガスからなる反応ガスをチャンバ内に供給し、化合物半導体層11の上方においてプラズマを発生させ、エッチングガスを含むプラズマを光取出面11aに暴露させる。
また、反応ガスを導入した際のチャンバ内の圧力は、例えば0.2〜2Paの範囲にすることが好ましく、エッチングガスの流量は15sccm〜50sccmの範囲が好ましく、プラズマのパワーは120W程度が好ましく、バイアスは50W程度が好ましく、処理時間は150秒程度がよい。
このようなエッチング処理を行うことによって、n型半導体層8の表面近傍にエッチングガスに含まれるSiが打ち込まれて、表面近傍のSi濃度が高められると考えられる。
次に、貼り替え工程では、図10(a)、(b)に示すように、ガラス(石英)基板からなる仮貼付基板24をメッキ層1から剥離して、該メッキ層1の、複数の化合物半導体層11と反対側の面1aを露出させるとともに、メッキ層1から剥離した仮貼付基板24をn型半導体層8上に形成されたn型電極層9に貼り付ける。
そして、図10(b)に示すように、上記方法でメッキ層1から引き剥がした仮貼付基板24を、上記仮貼付工程と同様、UV硬化レーザ剥離接着剤25を用いてn型電極層9上に貼り付ける。この際、貼り付けに用いるUV硬化レーザ剥離接着剤25は柔軟性を有しているため、図示例のように、n型電極層9がUV硬化レーザ剥離接着剤25にめり込むようにして貼り付けられるので、このような場合には、UV硬化レーザ剥離接着剤25がn型半導体層8上の一部に貼り付けられていても構わない。本実施形態で用いるUV硬化レーザ剥離接着剤25としては、従来公知の材料を用いれば良く、例えば、3Mウエーハサポートシステム(登録商標)で使用されるUV硬化レーザ剥離接着剤等が使用できる。
次に、分割工程では、図11に示すように、メッキ層1の、複数の化合物半導体層11と反対側の面1a(図10等参照)を研磨することにより、分断溝1b(図10等参照)に沿ってメッキ層1を切断する。
具体的には、図11に示すように、メッキ層1の、複数の化合物半導体層11と反対側の面1a(図10等参照)を、CMP(Chemical Mechanical Polishing)等の方法で研磨することにより、分断溝1bの底部で残存した部分を除去する。
このような分割工程を行なうことにより、図11に示すように、仮貼付基板24上に貼り付けられた状態の、複数の発光ダイオードAが得られる(発光ダイオードAについては図1も参照)。
次に、テープ貼付工程では、図11に示す分割工程に引き続き、該分割工程において切断されたメッキ層1の各々にテープ26を貼り付けるとともに、n型電極層9に貼り付けられた仮貼付基板24を、図12に示すように、レーザ照射によって除去する。
そして、n型電極層9に仮貼付基板24を貼着しているUV硬化レーザ剥離接着剤25に対し、仮貼付基板24側からレーザを照射することにより、透過したレーザ(UV)がUV硬化レーザ剥離接着剤25で吸収されることで、仮貼付基板24をn型電極層9から剥離する。そして、図12に示すように、テープ26上に貼り付けられた状態の、複数の発光ダイオードAが得られる(発光ダイオードAについては図1も参照)。
なお、図12における、テープ26上に貼り付けられた発光ダイオードAは、上述したように、絶縁膜10が、化合物半導体層11の側面11bと光取り出し面11aの外周部分のみに形成された例を示している。
レーザを用いずに素子分割を行なう上記方法とすることにより、レーザ熱による導電性基板の再溶着が生じることが無く、分割処理が容易になり、また、レーザによって化合物半導体層にダメージを与えることが無い。また、メッキ層の熱膨張によるカットラインのズレ等の問題が生じないため、正確に分割することが可能となる。またさらに、レーザ熱によるメッキ層のバリ等が発生することが無く、分割後の素子特性に優れた発光ダイオードAを製造することが可能となる。
以下、本発明の発光ダイオードの製造方法の他の例について、各工程を詳細に説明する。なお、本例においては、上述したような本実施形態の製造方法の一例と共通する構成については共通の符号を付与するとともに共通の図面を用いて説明し、また、各例において共通する工程については、図面やその詳しい説明を省略する。
また、本例では、積層工程及びレジスト形成工程の各工程については、上記製造方法の一例と共通であるので、上記したメッキ工程以降の工程を中心に説明する。
次に、図13(b)に示すように、シード層2上に、分離用レジスト層22よりも低い高さ寸法の第1メッキ層16を形成する。
次に、図13(c)に示すように、第1メッキ層16の上に第2メッキ層17及び第3メッキ層18を形成することにより、分離用レジスト層22によって一部が分断されてなるメッキ層15を形成する。この際、第2メッキ層17及び第3メッキ層18の厚さは、例えば、第2メッキ層17を5μmとし、第3メッキ層18を1μmとして形成する。
このような各メッキ層の形成処理は、上記製造方法の一例と同様、シード層2に電流を印加しつつ電気メッキ法で行うことができる。
そして、本例では、仮貼付工程において、メッキ層15に仮貼付基板24を、UV硬化レーザ剥離接着剤25を用いて貼り付ける(図15(a)を参照)。
次に、図15(c)に示すように、分離溝12に沿う位置のドライフィルムレジスト層4を、上記同様、O2アッシング処理によって除去する。
次に、図15(d)に示すように、分離溝12に沿う位置のオーバーコート層3及びシード層2を、上記同様、リフトオフ等の方法を用いて除去する。
また、本例では、上記製造方法の一例のような貼り替え工程及び分割工程が備えられていないが、本例においては、上述のようなメッキ層分断工程及び除去工程において、仮貼付基板24上のウェーハが素子単位に分割されているので、上記貼り替え工程及び分割工程が不要となる。
本例では、上記した各工程により、図16に示すような、複数の発光ダイオードBが得られる。
また、本発明の製造方法によって得られる発光ダイオードA(B)は、発光強度等の素子特性に非常に優れたものとなる。
以上説明したような、本発明に係る発光ダイオードの製造方法によって得られる、図1に示すような上下電極型の発光ダイオードAと蛍光体とを組み合わせることにより、当業者周知の手段を用いてランプを構成することができる。従来から、発光素子と蛍光体と組み合わせることによって発光色を変える技術が知られており、本発明では、このような技術を何ら制限されることなく採用することが可能である。
例えば、蛍光体を適正に選定することにより、発光素子より長波長の発光を得ることも可能となり、また、発光素子自体の発光波長と蛍光体によって変換された波長とを混ぜることにより、白色発光を呈するランプとすることもできる。
また、ランプとしては、一般用途の砲弾型、携帯のバックライト用途のサイドビュー型、表示器に用いられるトップビュー型等、何れの用途にも用いることができる。
上述のような本発明のランプ80は、本発明に係る発光ダイオードの製造方法によって得られる発光ダイオードA(B)が用いられてなるものなので、発光特性等に優れたものとなる。
Claims (11)
- 複数の化合物半導体層の上に、該複数の化合物半導体層に備えられる基板と反対側の面の少なくとも一部を露出させながら、前記複数の化合物半導体層の各々の間の分離溝を塞ぐようにドライフィルムレジスト層を形成するレジスト形成工程と、
前記複数の化合物半導体層及び前記ドライフィルムレジスト層の上に形成され、内部に分離用レジスト層を包含するメッキ層上に仮貼付基板を貼り付ける仮貼付工程と、
前記基板を前記複数の化合物半導体層から剥離するとともに、前記ドライフィルムレジスト層の少なくとも一部を前記複数の化合物半導体層上に残しながら、前記分離溝に沿う位置の前記ドライフィルムレジスト層を除去し、さらに、前記分離用レジスト層を除去して前記メッキ層の内部に分断溝を形成することにより、前記メッキ層を前記複数の化合物半導体層に対応するように分断する除去工程と、
前記メッキ層の、前記複数の化合物半導体層と反対側の面を研磨することにより、前記分断溝に沿って前記メッキ層を切断する分割工程と、
を具備してなることを特徴とする発光ダイオードの製造方法。 - 複数の化合物半導体層の上に、該複数の化合物半導体層に備えられる基板と反対側の面の少なくとも一部を露出させながら、前記複数の化合物半導体層の各々の間の分離溝を塞ぐようにドライフィルムレジスト層を形成するレジスト形成工程と、
前記ドライフィルムレジスト層上に分離用レジスト層を形成するとともに、該分離用レジスト層よりも低い高さ寸法の第1メッキ層を形成した後、さらに、該第1メッキ層上に、前記分離用レジスト層よりも低い高さ寸法の第2メッキ層及び第3メッキ層を形成することにより、前記分離用レジスト層によって一部が分断されてなるメッキ層を形成するメッキ工程と、
前記分離用レジスト層を除去し、前記メッキ層の内部に分断溝を形成することにより、前記メッキ層を前記複数の化合物半導体層に対応するように分断するメッキ層分断工程と、
前記メッキ層分離工程において分離された各々のメッキ層に仮貼付基板を貼り付ける仮貼付工程と、
前記基板を前記複数の化合物半導体層から剥離するとともに、前記ドライフィルムレジスト層の少なくとも一部を前記複数の化合物半導体層上に残しながら、前記分離溝に沿う位置の前記ドライフィルムレジスト層を除去する除去工程と、
を具備してなることを特徴とする発光ダイオードの製造方法。 - 前記レジスト形成工程は、さらに、前記複数の化合物半導体層及び前記ドライフィルムレジスト層の上に、オーバーコート層及びシード層をこの順で形成し、該シード層上に前記メッキ層が形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光ダイオードの製造方法。
- 前記複数の化合物半導体層は、前記基板上に、n型半導体層、発光層、p型半導体層を順次積層した後、前記分離溝を形成し、さらに反射性p型電極層を積層する積層工程によって形成されることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の発光ダイオードの製造方法。
- 前記レジスト形成工程は、前記オーバーコート層を、前記複数の化合物半導体層及び前記ドライフィルムレジスト層の上に、Ni、NiCr、Ti、TiW、Cr、Ta及びWの内の少なくとも1種を積層することによって形成するとともに、前記シード層を、前記オーバーコート層の上にCuを積層することによって形成することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の発光ダイオードの製造方法。
- 前記除去工程は、前記分離溝に沿う位置の前記ドライフィルムレジスト層を、アッシング処理によって除去することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の発光ダイオードの製造方法。
- 前記除去工程を行なった後、少なくとも前記複数の化合物半導体層の周囲面に、保護用の絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程を設けることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の発光ダイオードの製造方法。
- 前記絶縁膜形成工程を行なった後、前記n型半導体層の光取出面を粗面化する粗面化工程を設けることを特徴とする請求項7に記載の発光ダイオードの製造方法。
- 請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の製造方法で得られる発光ダイオード。
- メッキ層上に、少なくとも反射性p型電極層、p型半導体層、発光層及びn型半導体層が順次積層されてなる化合物半導体層が形成されてなる発光ダイオードであって、
前記メッキ層及び前記化合物半導体層の各々の側面には、該メッキ層と化合物半導体層との境界近傍において、前記各々の側面が括れるように形成された凹部が設けられ、該凹部内に設けられるドライフィルムレジスト層が、前記メッキ層及び化合物半導体層の外周において連なるように形成されなることを特徴とする発光ダイオード。 - 請求項9又は請求項10に記載の発光ダイオードが用いられてなるランプ。
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