JP2010016042A - 元素分析方法および半導体装置の製造方法 - Google Patents

元素分析方法および半導体装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】半導体基板等の表面または内部において局所的に存在する金属不純物元素を現実的な時間内で検出、定量可能な元素分析方法を提供する。また、インラインで、できる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】プロトンを、0°より大きく90°より小さいプロトン入射角で分析対象の基板へ入射させる。このとき、プロトンの入射により励起され、分析対象の基板から放射される特性X線は、エネルギー分散型のX線検出器等により計測される。分析対象の基板内部に存在する不純物元素は、計測された特性X線から特定される。プロトンビームを走査することで基板面内の分布を取得でき、異なるプロトン入射角でプロトンを入射することで深さ方向の分布を取得することができる。また、当該元素分析方法を、半導体装置の製造工程に適用することで、金属汚染の分析や導電型決定不純物量の定量をインラインでかつ高精度に実施できる。
【選択図】図3

Description

本発明は元素分析方法および半導体装置の製造方法に関し、特に、半導体集積回路装置の製造工程などにおいて半導体基板の深部に微量に混入した重金属不純物や半導体基板に導入された導電型決定不純物量を高感度に測定分析できる新規な元素分析方法および当該元素分析方法を使用した半導体装置の製造方法に関する。
半導体集積回路装置の製造工程では、半導体集積回路装置の特性不良の原因となる重金属汚染を防止することが求められている。特に、CCD(Charge Coupled Device)型固体撮像装置やMOS(Metal Oxide Semiconductor)型固体撮像装置の製造工程では、プロセス中にシリコン基板中に混入する鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、クロム(Cr)等の重金属不純物は、表示画面上で白キズといわれる特性不良を引き起こし、デバイスの製造歩留に直接悪影響を及ぼす。そのため、固体撮像装置の製造工程では、製造工程ごとに製造装置の汚染管理を特に厳しく行う必要性がある。
特に、イオン注入工程やプラズマエッチング工程では、処理時にシリコン基板の表面が処理雰囲気に直接曝される可能性が高い。公知のように、シリコン基板に対するイオン注入やプラズマエッチングはチャンバ内で実施される。チャンバやチャンバ内に配置される部材はアルミニウム等の金属材料で構成されており、当該金属材料は微量の上記重金属元素を含有している。注入イオンやプラズマはエネルギーを有しているため、イオン注入やプラズマエッチングの過程で、チャンバやチャンバ内に配置される部材を構成している金属材料をスパッタリングする。スパッタリングされた金属材料の一部はシリコン基板表面に到達する。このようなスパッタリングによりチャンバ内で発生した重金属粒子もある程度のエネルギーを有しているため、イオン注入工程やプラズマエッチング工程では、シリコン基板内部に重金属が侵入するリスクが常に存在している。
以上のような製造工程における重金属汚染の管理、すなわち、シリコン基板の重金属汚染状態の把握を目的として、半導体装置の製造工程では、各種の元素分析法が使用されている。この種の元素分析法として、原子吸光(AAS:Atomic Absorption Spectrometry)、誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS:Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry)、全反射蛍光X線分析(TXRF:Total Reflection X-Ray Fluorescence Analysis)、SIMS分析(Secondary Ion Mass Spectrometry)等がよく知られている。
原子吸光法(以下、AAS法という。)は、分析対象の元素(目的元素)に応じた波長の光(たとえば約200〜850nm)を試料に選択照射して、試料中に含まれる目的元素を定量する。すなわち、試料を加熱して原子化した後、照射光により目的元素の原子を、当初の低いエネルギー準位(基底状態)から他の励起準位(励起状態)に遷移させ、その準位間のエネルギー差に相当する固有の波長を持つ光の光吸収量を測定することにより試料中の目的元素を定量する。分析装置に搬入される試料の態様は液体(試料液)であり、分析対象物が固体である場合には、当該分析対象物を溶媒に溶解させた溶液が試料液として使用される。このため、少量の試料に対しても測定が可能である。
誘導結合プラズマ質量分析法(以下、ICP−MS法という。)は、誘導結合プラズマにより大気圧下で試料をイオン化し、生成されたイオンを質量分離部において質量電荷比(質量/電荷数)に応じて分離する。そして、検出器に入ったイオンの個数を電気信号として測定することにより試料中に含まれる元素を定性、定量する。分析装置に搬入される試料の態様は液体(試料液)であり、例えばHCl、HF、HNO3、NH4OH、H22などが溶媒として使用される。この方法は迅速に多元素分析ができるという特徴を有しており、多くの元素について、他の元素分析方法では検出下限以下である、ng/L(ppt:parts per trillion)レベルの定量が可能である。また、同位体比の測定もできる。
次に、全反射蛍光X線分析法(以下、TXRF法という。)は、試料に蛍光X線を、試料表面で蛍光X線が全反射する角度で入射することにより、試料中に含まれる元素を定性、定量する。試料に含まれる原子の内殻軌道の電子は、入射した蛍光X線により、より外殻の軌道に励起され、励起された電子が存在していた内殻軌道に外殻軌道の電子が遷移する。このとき放射されるX線は外殻軌道のエネルギー準位と内殻軌道とエネルギー準位との差に等しいエネルギーを有し、当該エネルギー準位の差は元素ごとに固有である。このため、試料から放射されたX線のエネルギーをエネルギー分散型X線検出器により分析することで元素の種類を特定し、その信号強度により元素を定量することができる。この分析法では、試料に入射する蛍光X線が試料表面で全反射にするため、試料から元素固有のX線とともに放射されるバックグラウンド散乱X線を著しく減少させることができる。そのため、信号強度対バックグラウンドX線強度比(S/N比)が向上し、微量な物質元素の特性X線スペクトルを精度よく観測することができる。しかしながら、当該分析法では、蛍光X線を試料表面に対して約0.5度以下という全反射角で入射しているため、試料へのX線侵入深さが浅い。そのため、試料表面から深さが1〜約100nm程度の範囲での元素情報の取得に適している。
現在、AAS法、ICP−MS法、TXRF法等では気相分解(VPD:Vapor Phase Decomposition)法という前処理を試料に施すこととにより、存在する重金属を濃縮することとで分析感度を向上させている。ここで、VPD法について説明する。例えば、シリコン酸化膜が形成されているウエハを試料として用いる場合、まず、HF(フッ酸)蒸気でウエハ上の酸化膜のみを分解してウエハ表面を疎水状態にする。次いで、ウエハ表面を液滴でスキャンすることによって、ウエハ表面に残留している重金属などの分析対象物質を液滴に含ませ、当該液滴を回収する。回収した液滴をウエハに滴下して減圧乾燥することで、分析対象物質が濃縮された乾燥痕を形成する。当該乾燥痕を、例えば全反射蛍光X線分析法で測定する。このVPD法は分析対象の元素を濃縮するので、例えば、ウエハ上に、薄くかつ面状に広範囲に広がっている重金属などの元素を検出する場合に特に有効である。逆に、ウエハの深い位置(数十μm)に重金属などの元素が存在する場合には、VPD法では濃縮することができない。また、重金属などの元素がウエハ表面に点在する場合は、分析対象元素を含む液滴の乾燥痕の範囲が、そもそも存在していた点の範囲よりも大きくなることもある。この場合、単位体積あたりの元素の濃度が減少して感度が低下する可能性もある。加えて、ウエハ表面を疎水状態にする際に試料は破壊されることになる。
一方、半導体分野で主にイオン注入した導電型決定不純物の注入量測定に用いられているSIMS分析や極最表面を観察するTOF−SIMS(Time Of Flight-SIMS)分析によっても、重金属元素を定性、定量することができる。SIMS分析は試料表面に数keVのエネルギーを持つO2 +やCs+等のイオンビームを照射して試料表面部をスパッタリングし、試料表面の原子および二次イオンを真空中に放出させる。そして、放出した二次イオンを電界により引き出し磁場や高周波電場を用いて質量分析する。このため、深さ方向の不純物元素濃度分布を精度よく知ることができる。この分析法では、試料表面部に入射させるイオンのビーム径または分析エリア分解能は数十nm〜10μmと小さい。そのため、重金属の存在位置が既知である場合や、重金属が試料表面に対してシート状に面で広がっている場合に特に有効な分析技術である。
ところで、近年、半導体分野では、半導体集積回路パターンの微細化、素子の高密度化に伴い、半導体基板中にイオン注入した導電型決定不純物の実際の注入量を、測定不確かさ数%以内の精度で計測し、管理することが要求される。導電型決定不純物の実際の注入量を計測する手法として、シート抵抗測定、サーマルウェーブ法、SIMS分析法等の分析手法が知られている。
公知のように、シート抵抗測定は、一様の厚さを有する薄い層の抵抗を測定する方法である。バルクの抵抗は、抵抗率×試料の長さ/試料の断面積で表される一方、シート抵抗は抵抗率/試料の厚さ(単位:Ω/□)で表される。そのためシート抵抗は単純にその層が含有する導電型決定不純物濃度を示しているのではなく、層の厚さが既知であるときに、その層中で電気的に活性化された導電型決定不純物の濃度を示していることになる。
一方、サーマルウェーブ法は、イオン注入によりシリコン基板中に導入されるダメージ(格子欠陥)量が注入量に比例するという性質を利用して注入量を推定する手法である。シリコン基板にレーザ光等により熱衝撃を与えたとき、ダメージの有無により基板表面の変位量(変形具合)がわずかに変化する。当該手法では、その変位量の変化からイオン注入によりシリコン基板中に導入されるダメージ量を推定し、イオン注入量を推定する。しかしながら、基板表面の変位量は、半導体製造工程に用いられるレジスト膜の酸素プラズマアッシングや洗浄等により増大する表面粗さの影響も受ける。そのため、プラズマアッシングや洗浄等のイオン注入以外の基板処理が施された製造途中の基板に対して注入量を推定する際には、一般的に前記のようなイオン注入以外の処理が施されていない基準基板を別途作製し、基準基板との相対比較によってダメージ量が推定される。なお、SIMS分析については、既述したとおりである。なお、本願に関連する従来の元素分析技術として特許文献1がある。
特開2001−235436号公報
半導体基板に対する重金属などの汚染状態には種々の形態がある。例えば、基板中に混入するFe、Ni、Cu、Cr等の重金属が少量で、局所的にしかも数μm〜数十μmと深いところまで分布している場合がある。このような分布形態であってもある種の半導体装置(例えば、固体撮像装置)においてはその電気的特性に大きな影響を与えるため、このような金属汚染を検知して製造工程を管理することは重要である。本願発明者らの検討により重金属汚染に関して実際に以下の可能性があることも判明している。
すなわち、半導体装置の実際の製造工程においては、イオン注入、プラズマエッチング、酸素プラズマアッシングのように、チャンバ内で基板を処理する工程が複数回繰り返される。上述のように、チャンバ内で基板を処理する各工程では、基板処理の際にチャンバ等を構成する金属材料に含まれる金属元素が基板に導入される可能性がある。また、このような工程が複数回行われる場合、1の工程で重金属不純物が基板表面に付着すると、その後の工程において、表面付着した重金属不純物が次第に基板の奥深くに押し込まれていく可能性もある。例えば、イオン注入では、注入イオンが衝突することにより重金属不純物が基板に押し込まれる。プラズマエッチングやプラズマアッシングでは、プラズマから基板へ飛来したイオン等が衝突することで重金属不純物が基板に押し込まれる。このような工程が繰り返し行われることで、重金属不純物の基板への押し込みが連続的に発生し、重金属不純物は基板の奥深くにまで到達し得る。つまり、重金属不純物は単独工程で基板の極表面のみに導入されるだけでなく、エネルギー粒子を利用する複数の工程の相互作用で基板の深い位置にまで導入される場合もあることになる。また、成膜工程等の熱処理を伴う工程では、加えられた熱により、重金属不純物が基板の深さ方向にも拡散する。
したがって、半導体装置の製造工程では、このような基板の深い位置に侵入した重金属元素を検出することが求められる。
これに対し、上述のAAS法、ICP−MS法では、分析対象の元素を溶液に溶解して濃縮するという手法を採用しているため、基板の深い位置に含まれる重金属不純物であっても、その位置を含む基板を溶解して試料液とすることができれば分析を行うことができる。しかしながら、当該手法では、重金属不純物が局所的に分布していたか等の分布状況を知ることはできない。一方、SIMS分析やTOF−SIMS分析では、重金属不純物の存在箇所および濃度を特定することができる。しかしながら、1回に分析(測定)できるエリアが小さいために、半導体基板中の重金属不純物の存在領域が予め精度よく推定されている必要がある。存在領域が不明である場合には、重金属不純物の存在箇所を現実的な時間内で探索することは困難である。また、TXRF法では、上述のように、原理上、試料の極表面しか分析することができない。したがって、半導体基板の深い位置に分布している重金属不純物を検出することはできない。このように、上述のいずれの分析技術も重金属などの不純物が比較的局所的にしかも半導体基板の深部に存在する場合、その位置および濃度を同時に検出することが困難であった。
また、製造工程中における金属汚染管理では、製造途中の製品をそのままの形態で分析し、工程中の製品に対する金属汚染情報を得ることが望ましい。しかしながら、現実には、例えば、AAS法では予め表面に重金属不純物を含有させやすく、かつ基板に対して選択的に容易に除去できるシリコン酸化膜を堆積した分析用基板を作製している。すなわち、当該分析用基板を製品基板とともに処理した後、分析用基板のシリコン酸化膜を溶解して分析を行っている。この場合、より製造途中の製品形態に近づけるために、分析用基板上に、例えばレジスト膜を形成しようとすると、試料液を得るために、レジスト膜とシリコン酸化膜とを同等に溶解することができる薬液を適切に選択しなければならない。また、レジスト膜がイオン注入やプラズマ処理などで硬化している場合には、溶解することすら困難である。このため、分析用基板の構造には必然的に制限が生じ、製造途中の製品をそのままの形態で分析することは困難である。このような課題は、試料液を分析対象とする誘導結合プラズマ法においても同様である。
一方、導電型決定不純物の注入量測定に関しても以下のような問題があった。シート抵抗測定法ではイオン注入エネルギーに起因する接合深さを考慮する必要があり、接合深さが正確でなければ、導電型決定不純物の注入量を正確に測定することができない。同様にサーマルウェーブ法ではイオン注入により半導体基板に形成されるダメージの量から相対的に注入量を推定するため、絶対値の評価は困難である。また、SIMS分析では導電型決定不純物の注入量の絶対値を直接的に測定することが可能であるが、試料表面のスパッタリングによる組成変化等の揺らぎが大きく、測定不確かさは10%程度である。そのため、今後の65nmノード以下の微細化プロセスを含めた半導体装置の製造、特に超微細システムMOSLSI(MOS Large Scale Integrated Circuit)の閾値電圧制御注入、ソース・ドレインエクステンション領域注入、固体撮像装置のフォトダイオード等への注入で要求される測定精度を満たすことが難しい。
前記に鑑み本発明は、半導体基板等の表面または内部において数mm四方程度の複数の局所領域に少量存在する金属不純物元素を基板全面に亘って現実的に実施可能な時間内で分析でき、また数μm〜数十μmと深いところに存在する金属不純物元素を分析でき、また製造途中の製品基板構造に近い形態の試料で分析できる元素分析方法および当該元素分析法を利用した半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。さらに、高精度で導電型決定不純物の注入量を測定できる元素分析方法および当該元素分析方法を利用した半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明はイオン加速器を使用した粒子励起X線分光法(PIXE:Particle Induced X-ray Emission)を用いる元素分析方法および当該元素分析方法を利用した半導体装置の製造方法である。まず、PIXEの基本原理について説明する。固体試料へ数MeVのエネルギーの粒子線(プロトンビームやヘリウムイオンビーム等のイオンビーム)を照射すると、原子内の電子のうち、基底状態に近い内殻軌道の電子が、よりエネルギーの高い軌道へ励起され、励起された電子が存在していた内殻軌道へ外殻軌道の電子が遷移する。このとき、各殻のエネルギー準位差に相当するエネルギーを有する特性X線が試料から放出される。この特性X線の波長はその元素固有の値を有しているため、この特性X線を検出することにより元素を同定することができる。特性X線は、例えば、原子のL殻からK殻に遷移するときに放出される特性X線をkα線、M殻からK殻に遷移するときに放出される特性X線をkβ線と呼んでいる。例えば、粒子線としてプロトンビームを使用する場合、このような特性X線の観測に好適なプロトンビームの入射エネルギーの最適値は3MeVと実験的に求められている。現在のこのPIXEは、主に医療技術、生物学、水産学、環境化学、食品、工学・地球科学、考古学といった分野で使用されている。
イオンビームにより励起された特性X線は、エネルギー分散型(EDX)のX線検出器を使用することによって極めて低いバックグラウンドで検出することができるとされている。分析領域の空間解像度はビーム径に依存し、一般的な加速器で数mm、特にマイクロビーム−PIXE(micro−PIXE)では、1μmオーダの空間解像度での分析が可能である。また、3MeVの入射エネルギーを有するプロトンビームでは、試料がシリコン単結晶基板である場合、プロトンの飛程として92μmが得られるので、基板中の非常に深い位置に存在する元素も検出できるという特徴を有している。このような、プロトンのシリコン単結晶基板中での飛程を考慮すると、表面から約40μmの深さまでの元素を十分に検出できると予想される。
しかしながら、この元素分析法では、半導体基板中に入射したイオンと半導体基板の格子結晶との相互作用により生じる制動放射の連続スペクトルが検出される。例えば、試料がシリコン単結晶基板である場合、プロトンの制動放射の連続スペクトルは、数keV〜十数keVのエネルギー領域で連続的に発生する。そのため、当該エネルギー領域に属する特性X線ピークが制動放射の連続スペクトルに埋没する。当該エネルギー領域には、金属汚染の原因元素であるFe、Ni、Cu、Cr等の重金属不純物や、導電型決定不純物である砒素(As)等の特性X線が存在している。このため、これらの元素を検出対象とした測定では、PIXEの検出感度は十分ではなく、現在までに半導体分野における不純物元素の分析には使用されていなかった。しかし、本発明者らはこの問題を克服し本願発明に至ったものである。
前記の目的を達成するため、本発明は以下の技術的手段を採用している。まず、本発明は、基板に含まれる不純物元素を検出する元素分析方法を前提としている。そして、本発明に係る元素分析方法では、イオンビームを、0°より大きく90°より小さいイオンビーム入射角で分析対象の基板へ入射させる。このとき、イオンビームの入射により励起され、分析対象の基板から放射される特性X線は、エネルギー分散型のX線検出器等により計測される。分析対象の基板内部に存在する不純物元素は、計測された特性X線から特定される。なお、イオンビーム入射角とは、分析対象基板の表面に対する法線とイオンビームの入射方向とがなす角である。
この元素分析方法によれば、エネルギー領域におけるX線スペクトルにおいてバックグラウンドノイズとなるイオン(例えば、プロトン)の制動放射に由来する連続スペクトルの強度と検出対象である不純物元素の特性X線ピークのシグナルノイズ比(S/N比)を向上させることができる。その結果、不純物元素を高感度に検出することができる。また、本方法では、基板内部の比較的深い位置の不純物元素を高感度に検出することも可能である。
この元素分析方法において、上記イオンビームの入射および上記特性X線の計測は、例えば、分析対象基板上でイオンビームを走査することにより、分析対象基板上の複数位置において実行してもよい。この場合、分析対象基板上の各位置において計測された特性X線の強度により、当該特性X線により特定される不純物元素の、前記基板面内における存在量の分布を取得することができる。また、イオンビームの入射は、イオンビーム入射角を変化させ、複数のイオンビーム入射角で実行してもよい。この場合、各イオンビーム入射角において計測された特性X線の強度により、特性X線により特定される不純物元素の、前記基板の深さ方向における存在量の分布を取得することができる。
上記基板には、例えば、シリコン単結晶基板を用いることができる。また、シリコン単結晶基板上にシリコン元素を実質的に含まない有機樹脂膜を形成した基板を用いることもできる。有機樹脂膜の一例はレジスト膜である。また、このような基板を使用する場合、代表的な検出対象の不純物元素は、シリコン単結晶基板中で導電型を決定する不純物元素や、金属汚染の原因物質である金属元素である。シリコン単結晶基板上にシリコン元素を実質的に含まない有機樹脂膜を形成した基板を用いる場合、不純物元素の大部分は上記有機樹脂膜に含まれる状態とすることで、不純物元素の検出感度を著しく高めることが可能である。なお、以上の元素分析方法において、イオンビームはプロトンビームであることが好ましい。
不純物元素の検出感度を高める観点では、シリコン単結晶基板上にシリコン元素を実質的に含まない有機樹脂膜を形成した基板は、全反射蛍光X線分析法に適用してもよい。すなわち、当該元素分析方法では、まず、シリコン単結晶基板上に有機樹脂膜を形成した構造を有する分析対象基板に、当該分析対象基板の表面とのなす角が0.5°以下となる角度で蛍光X線を入射させる。このとき、蛍光X線の入射により励起され、分析対象基板から放射される特性X線を、エネルギー分散型のX線検出器等により計測する。分析対象基板内部に存在する不純物元素は、計測された特性X線から特定される。当該元素分析方法は、不純物元素がリンまたはアルミニウムである場合に特に好適である。
一方、他の観点では、本発明は、上述した元素分析方法を利用した半導体装置の製造方法を提供することができる。本発明に係る半導体装置の製造方法は、導電型決定不純物元素をシリコン単結晶基板にイオン注入する工程を有する、半導体装置の製造方法である。当該半導体装置の製造方法では、まず、第1のイオン注入工程において、半導体素子を形成すべき第1のシリコン単結晶基板へ、導電型決定不純物元素が導入される。また、第2のイオン注入工程において、第2のシリコン単結晶基板に、第1のイオン注入工程と同一の注入条件で、上記導電型決定不純物元素が導入される。次いで、0°より大きく90°より小さいイオンビーム入射角で第2のシリコン単結晶基板へイオンビームが入射される。当該イオンビームの入射により励起され、第2のシリコン単結晶基板に導入された導電型決定不純物元素から放射される特性X線は、エネルギー分散型のX線検出器等により計測される。そして、第1のイオン注入による導電型決定不純物元素の注入量として、第2のイオン注入による導電型決定不純物元素の注入量が、計測された特性X線の強度から算出される。
この半導体装置の製造方法によれば、第2のシリコン単結晶基板に導入された導電型決定不純物の注入量を正確に計測できる。そのため、半導体素子を形成すべき第1のシリコン単結晶基板に導入された導電型決定不純物の注入量を正確に推定することができる。なお、第2のシリコン単結晶基板は、半導体素子を形成すべき製品基板であってもよく、注入量を計測するための評価用基板であってもよい。
また、本発明は、導電型決定不純物元素をシリコン単結晶基板にイオン注入する工程を有する、他の半導体装置の製造方法を提供することもできる。当該半導体装置の製造方法では、まず、第1のイオン注入工程において、半導体素子を形成すべきシリコン単結晶基板である第1の基板へ、導電型決定不純物元素が導入される。また、第2のイオン注入工程において、シリコン単結晶基板上にシリコン元素を実質的に含まない有機樹脂膜が形成された第2の基板に、第1のイオン注入と同一の注入条件で、導電型決定不純物元素が導入される。次いで、0°より大きく90°より小さいイオンビーム入射角で第2の基板へイオンビームが入射される。当該イオンビームの入射により励起され、第2の基板に導入された導電型決定不純物元素から放射される特性X線は、エネルギー分散型のX線検出器等により計測される。そして、第1のイオン注入による導電型決定不純物元素の注入量として、第2のイオン注入による導電型決定不純物元素の注入量が、計測された特性X線の強度から算出される。
この半導体装置の製造方法によれば、第2のシリコン単結晶基板に導入された導電型決定不純物の注入量をより高感度に算出できる。そのため、半導体素子を形成すべき第1のシリコン単結晶基板に、導電型決定不純物が、より低いドーズ量でイオン注入された場合であっても、その注入量を正確に推定することができる。なお、第2のシリコン単結晶基板は、半導体素子を形成すべき製品基板であってもよく、注入量を計測するための評価用基板であってもよい。
さらに、本発明は、金属汚染の原因物質である金属元素の存在量を正確に把握することができる半導体装置の製造方法を提供することもできる。当該半導体装置の製造方法では、まず、半導体素子を形成すべき第1の基板に、イオン注入処理またはプラズマ処理を含む所定処理が実施される。また、第2の基板に対して、所定処理と同一の処理条件で同一の処理が実施される。次いで、0°より大きく90°より小さいイオンビーム入射角で第2の基板へイオンビームが入射される。当該イオンビームの入射により励起され、第2の基板から放射される特性X線が計測される。そして、当該計測された特性X線により、第2の基板内部に存在する金属元素が検出される。ここで、所定処理は、イオン注入処理またはプラズマ処理の単独処理に限らず、イオン注入処理、プラズマ処理の少なくとも一方と他の処理とを連続的に行う処理を含む。
この半導体装置の製造方法によれば、第2の基板内部の金属元素の存在量を、正確に計測できるため、半導体素子を形成すべき第1の基板内部の金属元素の存在量を正確に推定することができる。なお、第2の基板は、半導体素子を形成すべき製品基板であってもよく、金属元素量を計測するための評価用基板であってもよい。また、第2の基板としてシリコン単結晶基板上にシリコン元素を実質的に含まない有機樹脂膜が形成された基板を使用することもできる。これにより、金属元素をより高感度に検出することができ、第1の基板内部に存在する、より微量な金属元素の存在量をも推定することができる。
金属汚染の原因物質である金属元素の存在量を正確に把握する観点では、本発明は、さらに他の半導体装置の製造方法を提供することもできる。当該半導体装置の製造方法では、まず、半導体素子を形成すべきシリコン単結晶基板を含む基板に、イオン注入処理またはプラズマ処理を含む所定処理が実施される。所定処理後、所定処理がなされたシリコン単結晶基板上に形成された、半導体素子を構成する各種の膜が除去される。次いで、各種の膜が除去された基板に、0°より大きく90°より小さいイオンビーム入射角でイオンビームが入射される。当該イオンビームの入射により励起され、当該基板から放射される特性X線が計測される。そして、計測された特性X線により、各種の膜を除去した基板内部に存在する金属元素が検出される。ここで、所定処理は、イオン注入処理またはプラズマ処理の単独処理に限らず、イオン注入処理、プラズマ処理の少なくとも一方と他の処理とを連続的に行う処理を含む。
この半導体装置の製造方法によれば、現実の製品基板において、シリコン単結晶基板上に形成された、半導体素子を構成する各種の膜を除去した基板を使用して金属元素を計測するため、製品基板内部の金属元素の存在量を正確に計測できる。
なお、金属元素の検出を含む以上の半導体装置の製造方法は、例えば、上述の半導体素子が固体撮像素子である場合に特に好適である。また、以上の半導体装置の製造方法において、イオンビームはプロトンビームであることが好ましい。
本発明に係る元素分析方法によれば、従来、検出が困難であった、半導体基板、特に、シリコン単結晶基板中の深い位置に存在する不純物元素(導電型決定不純物元素、金属元素)を極めて高感度に、定性、定量することができる。また、半導体基板の表面または内部に局所的に分布する金属元素等の存在位置を現実的な時間内で特定することができ、また、定量することができる。
また、本発明に係る半導体装置の製造方法によれば、製造工程においてインラインで金属汚染を分析することができる。また、イオン注入により半導体基板に導入された導電型決定不純物元素の注入量を高精度に計測することができる。
以下、本発明による各実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。まず、以下の各実施形態において不純物元素(金属不純物元素、導電型決定不純物元素)の分析に使用するPIXE分析装置について簡単に説明する。図1は、当該PIXE分析装置を示す概略図である。図1(a)はPIXE分析装置の全体構成を示す概略図であり、図1(b)はPIXE分析装置の分析用チャンバを示す概略図である。
図1(a)に示すように、PIXE分析装置は、MeVオーダのエネルギーを有するイオンビームを生成するビーム生成部20と、分析対象の試料が設置される分析用チャンバ7とを備える。イオンビームとなるイオンは負イオン源1で生成される。負イオン源1は、例えば、気体材料をプラズマ化して負イオンを生成するデュオプラズマトロン型イオン源や、固体材料にセシウムイオンを衝突させることにより負イオンを生成するセシウムスパッタ型イオン源である。負イオン源1で生成され外部に引き出された負イオンは、偏向電磁石2により、適宜、運動方向を偏向されて低エネルギー輸送部3に導入される。低エネルギー輸送部3に導入された負イオンは、静電場により加速されるとともに収束されて加速部4に導入される。この加速部4は、中間部にMVオーダの正電圧が印加されており、導入された負イオンを中間部までの間で加速する。加速部4の中間部に到達した負イオンは、アルゴンガス等のガス中を通過することによる電荷ストリッピングにより正イオンに変換され、当該正イオンが加速部4の他端までの間でさらに加速される。加速部4においてMeVオーダの高エネルギーを得た正イオンは、高エネルギー輸送部5を通過した後、分析振分部6に導入される。分析振分部6は、電場および磁場により、正イオンの質量と電荷に基づいて、所定のイオン種のみを分析用チャンバ7に向けて出射する。以下では、イオンビーム21が水素イオンビーム(プロトンビーム)である事例により本発明を具体化している。なお、以上説明したPIXE分析装置の各部は真空容器に収納されている。また、試料の搬入出時には、分析用チャンバ7のみが大気開放されるようになっている。
続いて、分析用チャンバ7の内部構造を説明する。図1(b)に示すように、分析用チャンバ7は、試料(半導体基板)10が設置される試料台8を内部に備える。試料台8は円盤状であり、直径方向の回転軸9の周りに、0.5°ステップで回転可能に構成されている。したがって、プロトンビーム21の入射方向と試料台8とのなす角を0.5°ステップで任意に設定することができる。特に限定されないが、ここでは、回転軸9は鉛直方向に沿って配置されている。また、試料台8は、その表面と平行な面内で、互いに垂直な2方向へ0.1mmピッチで二次元的に移動自在に構成されている。当該移動機構は、試料台8の回転に伴って回転軸9周りに回転する構成になっており、試料台8は、常に、その表面と平行な面内で二次元的に移動可能である。そのため、試料10表面の全面において、所望の位置へプロトンビーム21を入射させることができる。なお、上記試料台8の回転角および二次元方向への移動は、大気エリアにある位置制御装置の指示により、分析用チャンバ7内に設置された当該回転、移動用のステッピングモータを制御することで実現される。
分析用チャンバ7内には、エネルギー分散型(EDX)のX線検出器11が配置されている。公知のように、X線検出器11は、シリコン半導体等からなり、プロトンビーム21の入射により励起され、試料10から放射されるX線22を、X線エネルギーに比例した電流パルスに変換する。当該パルス数をX線エネルギー(パルス強度)ごとに計数することで、エネルギー領域のX線スペクトル(以下、EDXスペクトルという。)が得られる。なお、図2に示すように、以下では、試料10すなわち基板の表面に垂直な法線31とプロトンビーム21の入射方向とのなす角θ(0°≦θ<90°)をプロトン入射角θという。
図3は、上述した各種元素分析法およびPIXE法のそれぞれが有する、平面分解能および現実的な分析可能深さを示す図である。PIXE法では、平面分解能および分析可能深さは、プロトンビーム径とプロトン入射角θによって決まる。図3に示すように、PIXE法の平面分解能は約1mm〜十数mmであり、分析可能深さは数nm〜約100μmである。図3から理解できるように、PIXE法は、SIMS分析、ICP−MS法、AAS法、TXRF法ではカバーできない分析範囲をカバーできるという特徴を有しているといえる。
(第1の実施形態)
本発明に係る第1の実施形態は、シリコン単結晶基板(以下、適宜、Si基板という。)中へイオン注入された導電型決定不純物を検出する事例である。本実施形態では、表面にパターンが存在しないSi基板(以下、適宜、ベア基板という。)の全面に砒素イオン(As+)をイオン注入した試料を使用している。砒素イオンの注入条件は、加速エネルギー10keV、ドーズ量5E14atoms/cm2である。
図4は、上記試料について、図1に示したPIXE分析装置により取得したEDXスペクトルを示す図である。図4において、縦軸はプロトンビーム21の入射により試料から放射されたX線22の強度(計数値)に対応し、横軸は放射X線のエネルギー値に対応する。入射プロトンビーム21のエネルギーは3MeVであり、プロトンビーム径は1mmφである。また、プロトン入射角θは75°である。本発明の元素分析方法は、従来0°であったプロトン入射角θを、0°より大きくすること、ここでは、75°に設定することに特徴がある。また、図4では、比較例として、プロトン入射角θが0°であるときに取得されたEDXスペクトルを示している。図4では、プロトン入射角θが75°の場合を曲線41(丸印)で示し、プロトン入射角θが0°の場合を曲線42(四角印)で示している。なお、X線検出器11は、プロトンビーム21の試料10上の入射点およびX線検出器11のX線入射部を結ぶ直線と、プロトンビーム21の入射方向とのなす角(図2に示す角δ)が45°となる位置に配置している。
図4に示すように、両スペクトル曲線41、42は、約4keVから約15keVまでの範囲の放射X線エネルギーにおいて、幅広のピークを有している。当該ピークは、既に説明したように、Si基板内部へ入射したプロトンが、Si基板の結晶格子との相互作用により減速して運動エネルギーを失うときに放出する制動放射による連続スペクトルである。また、両スペクトル曲線41、42では、制動放射による連続スペクトルとともに、砒素に対応する特性X線スペクトルピークが確認できる。ここで、砒素のkα線は図4に破線で示す10.53keVであり、砒素のkβ線は図4に点線で示す11.73keVである。なお、2keV付近に存在するスペクトルピークはPIXE分析装置自体に起因するピークである。
図4から理解できるように、5×1014atoms/cm2のドーズ量では、プロトン入射角θが0°である場合(曲線42)でも、砒素の特性X線kα、kβの強度が、制動放射による連続スペクトルの強度を上回るため、両特性X線を検出することができる。しかしながら、スペクトル曲線41、42との比較から明らかなように、プロトン入射角θを75°とすることにより、放射X線強度がさらに増加し、より明確且つ容易に砒素の特性X線kα、kβの存在を検知することができる。
このような結果は、以下の理由により発生していると推定できる。すなわち、10keV程度の加速エネルギーでイオン注入された砒素は、Si基板の極表層に高密度で存在している。そのため、プロトンビーム21をSi基板表面に対して斜めに入射させると、Si基板に入射したプロトンは、より多数の砒素に衝突する。したがって、プロトンビーム21をSi基板表面に対して斜めに入射させた方が、Si基板から放射される特性X線量が増加する。また、プロトンビーム21をSi基板表面に対して斜めに入射させた場合、Si基板へのプロトンの侵入深さは小さくなる。Si基板の深い位置で発生した制動放射はSi基板表面に到達するまでの間で一部が吸収されるのに対し、Si基板の浅い位置で発生した制動放射は吸収の影響を受け難い。そのため、プロトンビーム21をSi基板表面に対して斜めに入射させた場合、制動放射による連続スペクトルの強度も増大する。しかしながら、プロトンビーム21をSi基板表面に対して斜めに入射させることによる制動放射の強度上昇に比べて特性X線の強度上昇が大きいため、結果としてS/N比が改善することになる。
また、図5は、ベア基板に砒素イオンを、加速エネルギー10keV、ドーズ量5E13atoms/cm2でイオン注入した試料について、PIXE分析装置により取得したEDXスペクトルの要部を拡大して示す図である。入射プロトンビーム21のエネルギーは3MeVであり、プロトンビーム径は1mmφである。また、プロトン入射角θは75°である。図5においても、比較例として、プロトン入射角θを0°であるときに取得されたEDXスペクトルを示している。図5では、プロトン入射角θが75°の場合を曲線51(丸印)で示し、プロトン入射角θが0°の場合を曲線52(四角印)で示している。また、図5に示す破線は砒素のkα線であり、図5に示す点線は砒素のkβ線である。X線検出器11の配置は、図4の場合と同様である。
図5から理解できるように、5×1013atoms/cm2のドーズ量では、プロトン入射角θが0°である場合(曲線52)には、砒素の特性X線kα、kβの強度が、制動放射による連続スペクトルの強度を下回るため、両特性X線を検出することができない。これに対し、プロトン入射角θを75°である場合(曲線51)には、砒素の特性X線kαの強度が制動放射による連続スペクトルの強度を上回るため砒素を検出することができる。すなわち、プロトン入射角θを75°とすることでS/N比が改善され、ドーズ量が5E13atoms/cm2と少ない場合であっても、砒素の存在を十分に検出することができる。なお、図5に示すスペクトル曲線51の砒素の特性X線kαの強度と制動放射による連続スペクトルの強度から、プロトン入射角θが75°である場合、加速エネルギー10keVでイオン注入された砒素のドーズ量が3×1013atoms/cm2程度まで低下しても検出可能であると推定される。
このように本発明による元素分析方法では、PIXE法においてプロトン入射角θを0°より大きい適切な角度、特に好ましくは、70°<θ<90°の範囲内の適切な角度に設定することによって、Si基板の制動放射スペクトルなどのノイズに対する特性X線ピーク強度比(S/N比)を向上させることができる。その結果、基板中の不純物元素を極めて高感度で検出することができる。なお、注入量の定量については第2の実施形態において説明する。
(第2の実施形態)
第1の実施形態ではSi基板中に存在する導電型決定不純物元素を高感度で検出できることを説明した。本実施形態では、本発明に係る元素分析法により、Si基板に対する汚染物質となる重金属元素も高感度に分析可能であることを説明する。表1は上述のPXIE分析装置を用いてSi基板中に存在する重金属元素を分析した結果の一例を示す表である。
Figure 2010016042
本実施形態での分析に使用した試料は、Si基板の表面層(ここでは、表面から数ミクロンまでの層)に半導体集積回路(半導体素子)が形成された後、集積回路構成素子等を除去し、さらに再研磨して前記表面層を完全に除去したベア基板である。なお、各試料R1〜R6について、表面に付着した重金属元素をTXRF法により事前に分析したところ、表面の単位面積あたりの汚染元素は1E10/cm2以下(検出限界以下)であった。なお、上記集積回路構成素子の除去とは、例えば、Si基板上に形成された、Al配線、層間絶縁膜、ゲート電極、ゲート酸化膜等すべての膜をフッ酸等で除去するものである。また、分析条件は、プロトンビーム21のエネルギーは3MeVであり、プロトンビーム径は1mmφである。なお、以下で詳述するが表1に示すデータは、プロトン入射角θは0°である。また、表1において、元素名に付されている「*」は、PIXE分析装置により取得されたEDXスペクトルにおいて、特性X線強度がバックグラウンド信号強度を下回っていたことを示している。当該元素に対して示す、検出量はバックグラウンド信号強度を示しており、当該検出量は、PIXE分析装置での検出下限を示していることになる。また、表1において、サンプルに付されている「**」は、EDXスペクトルにおいて、重金属元素の全ての特性X線強度がバックグラウンド信号強度を下回っていたことを示している。
表1に示す面密度(atoms/cm)は、次のようにして計算することができる。上述のようにX線検出器11は、放射X線22の強度を、そのX線のエネルギーを有する粒子(フォトン)の数として計数する。ここで、特性X線が1カウント検出された場合に、Si基板中のプロトンが侵入した領域に存在する、当該特性X線を放射する不純物元素の数を示すパラメータAを定義すると、Si基板中のプロトンが侵入した領域に存在する当該不純物元素数Nは、X線検出器11が取得した特性X線の強度I(計数値)を用いて、N=I×Aで表現することができる。この場合、面密度n(atoms/cm)は、n=N/S=(I×A)/Sにより算出できることになる。例えば、Si基板中のプロトンが侵入した領域を、Si基板表面におけるビーム面積S×プロトンビームのSi基板中への有効到達距離hと仮定した場合、Si基板単位体積あたりの不純物元素数N(atoms/cm)は、N=N/(S×h)となる。ここで、有効到達距離hは、プロトンが原子に衝突して特性X線を放出することのできる基板表面からの侵入距離である。この場合、面密度nは、単位体積あたりの不純物元素数NにプロトンビームのSi基板中への有効到達距離hを乗ずること、すなわち、n=N×h=N/S=(I×A)/Sにより算出できる。なお、ここでは、説明のため、Si基板中のプロトンが侵入した領域を近似的に示したが、現実には、Si基板中に侵入したプロトンの衝突散乱を考慮した、Si基板中のプロトン侵入領域に対して上述の演算が行われる。また、上記パラメータAは、プロトンと特性X線に対応する不純物原子との反応断面積、試料に入射したプロトン数(プロトンビーム電流密度)、X線検出器11の検出効率、放射された特性X線のうちX線検出器11に到達するまでの間に特性X線が吸収される場合の吸収率、X線検出器11の立体角等を用いた計算により算出される。ここで、反応断面積は、単位面積あたり1個のプロトンが入射した場合に、試料の単位体積中に1個存在する特定元素が、入射したプロトンにより特性X線を放射する確率である。また、上記面密度の算出において、プロトン入射角θは、ビーム面積Sとして反映されることになる。
以上のように算出される面密度は、金属汚染分析で一般的に用いられる単位である。このような計算には、PIXE分析装置で取得されたEDXスペクトルを対象とするEDXスペクトル解析ソフトを用いることができる。なお、第1の実施形態で説明した導電型決定不純物についても、上記演算により、密度すなわち注入量を定量することができる。
また、表1の検出量(ng/cm2)は面密度に不純物元素の質量数を乗ずることで算出できる。なお、第1の実施形態では言及していないが、砒素等の導電型決定不純物についても、本実施形態の重金属不純物の場合と同様な方法で密度(atoms/cm3)、および面密度(atoms/cm2)が算出できる。
表1から、第1の実施形態で説明した導電型決定不純物と同様に重金属元素についてもPIXE分析装置を用いて容易に高感度で検出できることが理解できる。また、取得したEDXスペクトルから、重金属不純物元素の密度や面密度を定量することができる。すなわち、表1に示す各試料は、PIXE測定前のTXRF法による測定ではどの試料においても検出限界以下の値であった。しかしながら、PXIE分析装置による測定結果では、いくつかの試料において重金属不純物元素が存在していることが確認されている(表1に示す試料R2、R4、R5)。この結果は、Si基板表面には重金属は存在しないが、シリコン基板内部には重金属不純物が存在することを意味している。また、この結果は、重金属不純物が、半導体集積回路装置の製造工程において実施されるイオン注入、プラズマエッチング、酸素プラズマアッシング等の処理、成膜や熱処理に伴ってSi基板内部深くに拡散され得ることを示唆している。
表1における検出量、面密度はプロトンビームのSi基板表面における入射面積に対応する値であり、この入射面積の範囲内においてSi基板に局所的に存在する重金属元素を検出できていることを意味する。また、表1に示されているウエハ全面換算密度(atoms/cm2)は、Si基板の局所的な場所(プロトンビームのSi基板表面における入射面積の領域)に単位体積あたり存在する重金属元素と同数の重金属元素が、Si基板全面に一様に分布したと仮定した場合の面密度である。ウエハ全面換算密度は、以上のようにして算出された単位体積あたりの不純物元素数を、Si基板の全面積で除することで算出している。
また、表1の結果はプロトン入射角θが0°の場合のデータを示しているが、本発明では、プロトン入射角θを0°より大きい大傾斜入射により放射X線のEDXスペクトルを取得する。したがって、第1の実施形態で説明したように、プロトン入射角θが0°の場合に比べてS/N比を改善できるため、重金属不純物元素をさらに高感度で検出できることになる。すなわち、表1に示す検出限界をさらに低下させることができ、より高精度に重金属不純物元素を検出することができる。
以上のように、PIXE法を用いる不純物分析は、数MeVのエネルギーを有するプロトンビームをSi基板へ入射させる場合、入射深さが数μm〜数十μmと深いために従来、半導体集積回路装置の製造工程において検出されていなかったSi基板の深部に存在する不純物元素を検出することができる。また、プロトンビーム径を適切な値(例えば、μmオーダ)に設定することによって局所的に存在する不純物元素を検出できる。さらに、プロトンビーム径をmmオーダとすることで、Si基板全面をプロトンビームで走査して、Si基板の複数点においてプロトンビームの入射および特性X線の計測を行うことで、Si基板面内の重金属など不純物元素の存在量(面密度)分布を定量的に得ることができる。また、プロトン入射角を変化させることにより、Si基板に対して複数のプロトン入射角でプロトンビームを入射させると、Si基板中でのプロトンの有効到達深さが変わる。したがって、各プロトン入射角においてプロトンビームの入射および特性X線の計測を行うことで、Si基板面内の重金属など不純物元素の、深さ方向の存在量分布を定量的に得ることができる。
なお、Si基板中の不純物分析を目的とする場合、制動放射の連続スペクトルの理論計算によれば、本手法の理論上の不純物元素検出限界は面密度で1×1013atoms/cm2程度である。検出限界は元素ごとに異なるが、重金属不純物の場合、3×1013atoms/cm2程度の面密度であれば検出することができる。
(第3の実施形態)
上記第1の実施形態では、Si基板中にイオン注入された導電型決定不純物のPIXE分析装置を用いた元素分析手法を説明した。第1の実施形態で説明した手法では、分析対象不純物元素(上記説明では砒素)の特性X線の強度を増加させることができる反面、制動放射に起因する連続スペクトルは依然として存在しているため、ドーズ量の小さい導電型決定不純物の検出および注入量の測定が困難である。そこで、本発明に係る第3の実施形態では、さらに少量の不純物の検出と存在量の測定を可能とする元素分析方法について説明する。
本実施形態では、図1に示したPIXE分析装置を用いて、レジスト膜中に注入された不純物量を高精度に得る事例について説明する。当該元素分析法で使用する試料は、Si基板上にレジスト膜を形成し、レジスト膜中に導電型決定不純物をイオン注入したものである。そして、本元素分析法では、当該レジスト表面に対し、大きなプロトン入射角θでプロトンビームを入射させることにより、導電性不純物を分析する。
図6は、Si基板上に形成したレジスト膜に対して、砒素を1×1013atoms/cm2という低ドーズ量(加速エネルギーは10keV)でイオン注入した試料を用いて取得したEDXスペクトルを示す図である。図4、5と同様に、縦軸はプロトンビームの入射により試料から放射されたX線の強度(計数値)に対応し、横軸は放射X線のエネルギー値に対応する。ここでは、レジスト膜として、膜厚が1.5μmのKrFリソグラフィー用の化学増幅型レジストを使用している。また、入射プロトンビームのエネルギーは3MeVであり、プロトンビーム径は1mmφである。また、プロトン入射角θは88°である。
図6から理解できるように、本実施形態においても、約4keVから約15keVまでの範囲の放射X線エネルギーに、Si基板の制動放射に由来する連続スペクトルが存在する。しかしながら、例えば、図5に示すスペクトル曲線51との比較により容易に理解できるように、本実施形態のスペクトル曲線61では、連続スペクトルの強度が小さくなっている。また、制動放射由来の連続スペクトルが低減していることにより、1×1013atoms/cm2という低ドーズ量であるにもかかわらず、砒素の特性X線(kα線およびkβ線)を検出することができている。
このように本実施形態のように、Si基板上にレジスト膜を形成した構造を有する試料を用いることにより、さらに低ドーズ量の導電型決定不純物を検出でき、さらに、上述した手法により正確に導電型決定不純物を定量することができる。本手法による不純物の検出限界は放射X線のノイズ成分、および制動放射成分から算出すると、1×1012atoms/cm2程度である。なお、プロトン入射角θは0°<θ<90°であればよいが、70°<θ<90°の範囲内の角度であることが特に好ましい。
本実施形態では、図7に示すようにSi基板71上に形成され、不純物が注入されたレジスト膜72に大入射角でプロトンビーム21を入射させる。このとき、レジスト膜72に入射したプロトンビーム21はレジスト膜72を浅い角度で貫通して、さらにSi基板71まで到達する。この場合、プロトンビーム21は、レジスト膜72を通過中にエネルギーを失うことと、プロトン入射角θが大きいことに起因して、Si基板71中に対する有効到達深さ(特性X線を放射させることができる深さ)が浅くなる。すなわち、制動放射に寄与するシリコン原子数が少なくなり制動放射の連続スペクトル強度を小さくすることができる。また、上記注入条件では、イオン注入された導電型決定不純物元素は、ほぼすべてがレジスト膜72の表面に近い部分に存在している。したがって、本実施形態の試料形態では、導電型決定不純物元素から特性X線22が放出される領域においてシリコン原子に起因する制動放射が発生せず、かつSi基板へのプロトンの侵入深さを小さくできることが制動放射の連続スペクトル強度の減少に寄与していると考えられる。これに対し、Si基板中に導電型決定不純物元素をイオン注入した試料では、導電型決定不純物が特性X線22を放射する領域で同時にSiの制動放射が発生する。
なお、プロトンビーム21のビームエネルギーを低下させれば、Si基板へのプロトンビーム21の侵入深さは浅くなる。したがって、プロトンビーム21のビームエネルギーを低下させれば、Siの制動放射による連続スペクトル強度を小さくすることができる。しかしながら、ビームエネルギーを低下させると、特性X線の反応断面積が小さくなり、検出能力が低下してしまう。したがって、プロトンビーム21のビームエネルギーを単に低下させても、特性X線の検出感度を高めることはできない。
また、本実施形態で使用する図7に示す試料形態は、背景技術で述べたTXRF法にも応用しても、以下のような利点がある。上述のように、TXRF法は、蛍光X線(例えば、波長0.1279nm、エネルギー範囲:タングステン(W)フィラメントの場合、Lβ1=9.673keV、Lβ2=9.962keV)を試料表面に対して約0.5度以下という全反射角で入射させて、不純物元素からの特性X線を観測する方法である。
Si基板にイオン注入などで導電型決定不純物元素を導入した試料に対してTXRFを適用した場合、PIXE法のような制動放射は原理上発生しない。しかしながら、特性X線は、シリコンの特性X線がkα=1.74keV、kβ=1.829keVであるのに対し、リンの特性X線はkα=2.013keV、kβ=2.136keVであり、アルミニウムの特性X線はkα=1.487keV、kβ=1.553keVである。すなわち、EDXスペクトルにおいて、リン(N型不純物)およびアルミニウム(P型不純物)の特性X線のピークはシリコンの特性X線と隣接している。Si基板では、Si元素が主成分であるため、Siの特性X線のピーク強度が極めて大きく、ピーク幅(X線エネルギースペクトル幅)も大きい。このため、Siの特性X線に隣接するリンおよびアルミニウムの特性X線のピークが、シリコンの特性X線のピークに埋没してしまい、検出が非常に困難であるという問題点がある。
こうした場合に、Si基板にレジスト膜を形成し、導電型決定不純物を導入した上述の構造を有する試料を使用すると、TXRFにおいても、リンやアルミニウム等の導電型決定不純物の検出感度を向上させることができる。この試料を使用したTXRFでは、全反射角を調整することによって、蛍光X線の大部分をレジスト膜内のみに入射させる。このとき、レジスト膜に主に含まれている原子、C(炭素)、Cl(塩素)、S(硫黄)、O(酸素)、H(水素)等はどれも軽いため、リン、アルミニウムの特性X線エネルギーピークと特性X線の重なりを生じない。したがって、EDXスペクトルから、リン、アルミニウムの特性X線を容易に判別することができる。なお、基板に入射した蛍光X線の散乱等により、蛍光X線をSi基板に全く入射しない状態にすることはできないが、上記のように蛍光X線の試料表面あるいはレジスト表面に対する入射角を0°より大きく0.5°以下の範囲内で調整することで、リン、アルミニウムの特性X線強度をシリコンの特性X線強度より大きくすることができる。このようにしてTXRF法においてもリンを容易に検出し、リンの注入量を導き出すことが可能となる。
以上、導電型決定不純物元素を検出する例を説明したが、本実施形態の手法によれば、他の元素である重金属元素を検出する場合にも検出感度を向上させることができる。例えば、Si基板に侵入した重金属元素をPIXE分析装置で測定する場合、Siの制動放射による連続スペクトルの強度ピークが7keV付近に存在する(図4参照)。したがって、7keV付近に特性X線を有するSi基板中の重金属元素を高感度で検出することは難しい。例えば、Feの特性X線スペクトル強度のピークは、kα=6.400keV、kβ=7.058keVであり、Si基板中の微量のFeを検出することは困難である。これに対し、Si基板上にレジスト膜を形成した試料構造を採用し、図6と同様の分析条件でPIXE分析を行うことによってFeを高感度に検出することが可能となる。例えば、Si基板上にレジスト膜を形成し、レジスト膜表面から故意に鉄を侵入させて金属汚染を発生させた試料を用いてPIXE分析を行った結果、1×1013atoms/cm2程度の微量のFeを検出できることを確認した。
また、プロトンビーム径は1mmφ〜数mmφであるので、プロトン入射角θを大きくした状態で基板全面走査しながら分析することにより、局所的に存在する重金属元素を検出できるとともに基板上の重金属元素分布も得ることができる。また、プロトンビーム径を適切な値(例えば、μmオーダ)に設定することによって、局所的に存在する重金属元素の分布等をさらに詳細に分析することも可能である。
なお、上記では、シリコン基板上に形成する膜をレジスト膜としたが、レジスト膜に限らず、シリコン元素を実質的に含まない有機樹脂膜(少なくともC、Hを含み付加的にO、N、S等を含む)を形成してもよい。ここで、「シリコン元素を実質的に含まない」とは、プロトンビームを入射させたときに、シリコン原子に起因する制動放射が、X線検出器11にて、検出されないことを意味する。
(第4の実施形態)
本実施形態は、第1〜第3の実施形態による元素分析法を用いた元素分析工程を含む半導体装置の製造工程を説明する。
(a)導電型不純物元素の定量分析への適用
上述のように、本発明に係る元素分析方法によれば、導電型決定不純物の注入量を定量することができる。そこで、当該元素分析方法を利用した第1の態様の半導体装置の製造方法では、イオン注入工程において、当該元素分析方法により注入量を測定し、例えば、次工程への投入可否を判定する。
この半導体装置の製造方法では、集積回路を形成する製品用シリコン基板に所定のイオンを注入する際に、評価用基板に対しても同一のイオン注入条件でイオン注入を行う。ここで評価用基板は、表面が露出したベアSi基板、あるいはレジスト膜等のSiを実質的に含まない有機樹脂膜を表面に形成したSi基板(以下、樹脂膜付Si基板という。)である。なお、評価用基板として樹脂膜付Si基板を使用する場合には、有機樹脂膜として、イオン注入マスクとなるレジスト膜を使用してもよい。この場合、製品用シリコン基板が評価用基板を兼ねていてもよい。評価用基板は、例えば、半導体装置の生産ラインにおいて、イオン注入装置に一時に投入する製品用シリコン基板群(処理ロット)ごとに、1枚の評価用基板に対してイオン注入を行う構成とすることができる。
イオン注入がなされた評価用基板は、上述のPIXE分析装置に搬入され、上述した手法により、イオン注入された導電型決定不純物の濃度が算出される。特に限定されないが、ここでは、PIXE分析装置に付随する解析用コンピュータが当該濃度を算出する構成であるとする。
算出された濃度は、半導体装置の生産ラインにおいて生産ラインに属する各生産装置への処理ロットの搬入、搬出等を管理する工程管理システムに入力される。工程管理システムは、入力された濃度と、予め設定されている規格値とを比較することにより、当該処理ロットを次工程に進行させるか否かを判定する。例えば、製品用シリコンウェハが評価用基板を兼ねている場合、各製品用シリコン基板について取得された濃度に対して当該判定を行い、次工程への進行可と判定された製品用シリコン基板のみを次工程へ進行させる構成とすることができる。また、同一の処理ロットに属する製品用シリコン基板から選択された1枚の製品用シリコン基板について取得された濃度に対して判定を行い、次工程への進行可と判定された場合のみに、当該処理ロットを次工程へ進行させる構成としてもよい。製品用シリコンウェハが評価用基板を兼ねていない場合は、処理ロットに属する評価用基板について取得された濃度に対して判定を行い、次工程への進行可と判定された場合のみに、当該処理ロットを次工程へ進行させる構成とすればよい。なお、処理ロットにおいて最初に評価用基板にイオン注入を行い、当該評価用基板に対する上記判定の結果、導電型決定不純物元素の濃度が規格内であった場合に、同一ロットに属する製品用シリコン基板に対してイオン注入を実施する構成とすることもできる。
以上のような判定は、例えば、今後の65nmノード以下の微細化プロセス技術を用いる超微細システムMOSLSIのトランジスタ閾値電圧制御用イオン注入、ゲート電極が備える絶縁膜からなるサイドウォール下のシリコン基板に形成される、接合深さが50nm以下であるソース・ドレインエクステンション領域イオン注入、あるいは、固体撮像装置のフォトダイオード形成用のイオン注入などの低ドーズ量のイオン注入を実施するイオン注入工程に適用することが特に好適である。
(b)重金属元素汚染分析への適用
上述のように、本発明に係る元素分析方法によれば、重金属元素の存在量を定量することができる。そこで、当該元素分析方法を利用した第2の態様の半導体装置の製造方法では、当該元素分析方法により重金属元素の存在量を測定し、例えば、次工程への投入可否を判定する。
この半導体装置の製造方法では、イオン注入工程において集積回路を形成する製品用シリコン基板に所定のイオンを注入する際、あるいは、プラズマエッチングなどのプラズマ処理を行う工程において、集積回路(半導体素子)を形成する製品用シリコン基板にプラズマ処理を行う際に、評価用基板に対しても同一の処理条件でイオン注入あるいはプラズマ処理を行う。ここで評価用基板は、表面が露出したベアSi基板あるいは樹脂膜付Si基板である。この場合、各処理直後には、評価用基板に処理装置のチャンバ等がスパッタリングされて飛来したFeなどの重金属不純物が含有されている。なお、プラズマ処理が酸素または水素を含むプラズマによるアッシング処理である場合、樹脂膜付Si基板では有機樹脂膜が除去されるため、表面が露出したベアSi基板を評価用基板とすることが好ましい。
上述の処理がなされた評価用基板は、上述のPIXE分析装置に搬入され、上述した手法により、イオン注入された重金属不純物の存在量(例えば、面密度)が算出される。特に限定されないが、ここでは、PIXE分析装置に付随する解析用コンピュータが当該存在量を算出する構成であるとする。
算出された重金属不純物元素の存在量は、上述の工程管理システムに入力される。工程管理システムは、入力された存在量と、予め設定されている規格値とを比較することにより、当該処理ロットを次工程に進行させるか否かを判定する。当該判定は、上述のように、製品用シリコンウェハが評価用基板を兼ねている場合、各製品用シリコン基板について取得された重金属不純物元素の存在量に対して当該判定を行い、次工程への進行可と判定された製品用シリコン基板のみを次工程へ進行させる構成とすることができる。また、同一の処理ロットに属する製品用シリコン基板から選択された1枚の製品用シリコン基板について取得された重金属不純物元素の存在量に対して判定を行い、次工程への進行可と判定された場合のみに、当該処理ロットを次工程へ進行させる構成としてもよい。製品用シリコンウェハが評価用基板を兼ねていない場合は、処理ロットに属する評価用基板について取得された濃度に対して判定を行い、次工程への進行可と判定された場合のみに、当該処理ロットを次工程へ進行させる構成とすればよい。なお、処理ロットにおいて最初に評価用基板に対して処理を行い、当該評価用基板に対する上記判定の結果、重金属不純物元素の存在量が規格内であった場合に、同一ロットに属する製品用シリコン基板に対して処理を実施する構成とすることもできる。
以上のような判定は、CCD型固体撮像装置やMOS型固体撮像装置の製造工程において特に好適である。すなわち、固体撮像装置では、Si基板の深部に侵入した重金属不純物元素も特性に悪影響を及ぼし画像欠陥の原因となる。この製造方法では、従来、検出が不可能であった、Si基板中の深い位置に侵入した重金属不純物を、上述のように定量的に検出できるので、固体撮像装置の製造工程管理に極めて有益である。
一方、本発明に係る元素分析方法を、プラズマエッチング、アッシング処理、熱処理等の各処理後、製造途中の集積回路が形成された製品用基板を抜き出し、製品用基板上に形成された集積回路を構成する各種の膜、すなわち配線、層間絶縁膜などを除去してSi表面を露出させたシリコン基板に対して適用することもできる。これにより、各工程において、Si基板中の深い位置にまで拡散した重金属元素の真の面密度を知ることができる。
また、本発明に係る元素分析方法において、複数のプロトン入射角θで試料(基板)を分析すると、プロトンのSi基板内有効到達深さが変化し、各測定で得られる重金属元素面密度も変化する。したがって、Si基板中の重金属元素存在量の深さ分布の概要も知ることができる。このようにして算出した重金属量(面密度)の結果が製造で許容される規格を満たさない場合、該当基板を工程から除外し次工程以降の汚染拡散を阻止することができる。このような判定は、例えば、上述の説明と同様に、PIXE分析装置に付随する解析用コンピュータが重金属不純量あるいは重金属不純物量の深さ方向分布を算出し、当該算出されたデータが入力された工程管理システムが行う構成を採用することができる。
加えて、固体撮像装置、特にCCD型固体撮像装置では通常内部に汚染の原因となる遷移金属元素のゲッタリング能力があるBMD(Bulk Micro Defect)が形成されるSi基板が使用されている。BMDは半導体集積回路製造時の高温熱処理時にゲッタリングサイトとして機能する。しかしながら、近年、半導体集積回路装置の製造工程での熱処理温度が素子パターンの微細化に伴って低下しつつあるため、このような低温の工程ではSi基板深層でのBMD生成が難しくなっている。したがって、本発明による元素分析方法を用いた基板中の重金属汚染検知、定量分析を、固体撮像装置製造工程のインライン検査として導入して工程管理を行うことは、例えば、900℃以下の低温の工程で製造される固体撮像装置において、BMDが生成されているか否かを確実に判定することができる。このため、画像欠陥の発生を抑制できるという効果が得られる。
以上説明したように、本発明に係る元素分析方法によれば、半導体基板中の数μm〜数十μmと深い位置に侵入した重金属不純物を確実に検出することができる。また、半導体基板中に導入された導電型決定不純物の存在量をインラインで定量することもできる。さらに、本発明に係る半導体装置の製造方法では、インラインで金属汚染を判別することができ、製造歩留を向上させることができる。
なお、以上で説明した実施形態は本発明の技術的範囲を制限するものではなく、既に記載したもの以外でも、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形や応用が可能である。例えば、上記では、特に好適な事例として、本発明に係る元素分析方法を固体撮像装置のインライン検査に導入した例を説明したが、本発明に係る元素分析方法は、いかなる、半導体装置の製造工程においても採用することができる。
本発明は、打ち込まれたドーパントの不純物量の評価、および重金属不純物による汚染量の評価等に有用である。
本発明に係る元素分析方法に用いるPIXE分析装置を示す概略図 プロトン入射角θを示す図 本発明に係る元素分析方法および各種汚染分析方法の平面分解能と分析可能深さとを示す模式図 本発明の第1の実施形態におけるEDXスペクトルの一例を示す図 本発明の第1の実施形態におけるEDXスペクトルの他の例を示す図 本発明の第3の実施形態におけるEDXスペクトルの一例を示す図 本発明の第3の実施形態における試料形態を示す模式図
符号の説明
1 負イオン源
2 偏向電磁石
3 低エネルギー輸送部
4 加速部
5 高エネルギー輸送部
6 分析振分部
7 分析用チャンバ
8 試料台
9 試料台回転軸
10 試料
11 エネルギー分散型X線検出器
20 ビーム生成部
21 プロトンビーム
22 X線
41 砒素イオン注入基板のEDXスペクトル曲線(プロトン入射角75°)
42 砒素イオン注入基板のEDXスペクトル曲線(プロトン入射角0°)
51 砒素イオン注入基板のEDXスペクトル曲線(プロトン入射角75°)
52 砒素イオン注入基板のEDXスペクトル曲線(プロトン入射角0°)
61 砒素イオン注入基板のEDXスペクトル曲線(プロトン入射角88°)
71 シリコン基板
72 有機樹脂膜

Claims (18)

  1. 基板に含まれる不純物元素を検出する元素分析方法において、
    イオンビームを、基板表面に対する法線と前記イオンビームの入射方向とがなす角をイオンビーム入射角として、0°より大きく90°より小さい前記イオンビーム入射角で前記基板へ入射させるステップと、
    前記イオンビームの入射により励起され、前記基板から放射される特性X線を計測するステップと、
    前記計測した特性X線により、前記基板内部に存在する不純物元素を検出するステップと、
    を含むことを特徴とする元素分析方法。
  2. 前記イオンビームの入射および前記特性X線の計測が、前記基板上の複数位置において実行され、前記基板上の各位置において計測された特性X線の強度により、特性X線により特定される不純物元素の、前記基板面内における存在量の分布を取得する、請求項1に記載の元素分析方法。
  3. 前記イオンビームの入射が、前記イオンビーム入射角を変化させることにより複数の前記イオンビーム入射角で実行され、前記各イオンビーム入射角において計測された特性X線の強度により、特性X線により特定される不純物元素の、前記基板の深さ方向における存在量の分布を取得する、請求項1または2記載の元素分析方法。
  4. 前記基板は、シリコン単結晶基板上にシリコン元素を実質的に含まない有機樹脂膜を形成した基板である、請求項1から3のいずれか1項に記載の元素分析方法。
  5. 前記基板はシリコン単結晶基板である、請求項1から3のいずれか1項に記載の元素分析方法。
  6. 前記有機樹脂膜はレジスト膜である、請求項4記載の元素分析方法。
  7. 前記不純物元素はシリコン単結晶基板中で導電型を決定する不純物元素である、請求項1から6のいずれか1項に記載の元素分析方法。
  8. 前記不純物元素は金属元素である、請求項1から6のいずれか1項に記載の元素分析方法。
  9. 前記不純物元素はシリコン単結晶基板中で導電型を決定する不純物元素であり、当該不純物元素の大部分は前記有機樹脂膜に含まれる、請求項4または6記載の元素分析方法。
  10. 前記不純物元素は金属元素であり、当該金属元素の大部分は前記有機樹脂膜に含まれる、請求項4または6記載の元素分析方法。
  11. 基板に含まれる不純物元素を検出する元素分析方法において、
    シリコン単結晶基板上に有機樹脂膜を形成した基板に、前記基板の表面とのなす角が0°より大きく、0.5°以下となる角度で蛍光X線を入射させるステップと、
    前記蛍光X線の入射により励起され、前記基板から放射される特性X線を計測するステップと、
    前記計測した特性X線により、前記基板内部に存在する不純物元素を検出するステップと、
    を有することを特徴とする元素分析方法。
  12. 前記不純物元素はリンまたはアルミニウムである、請求項11記載の元素分析方法。
  13. 導電型決定不純物元素をシリコン単結晶基板にイオン注入する工程を有する、半導体装置の製造方法において、
    半導体素子を形成すべき第1のシリコン単結晶基板へ、導電型決定不純物元素を導入する第1のイオン注入ステップと、
    第2のシリコン単結晶基板に、前記第1のイオン注入と同一の注入条件で、前記導電型決定不純物元素を導入する第2のイオン注入ステップと、
    イオンビームを、前記第2のシリコン単結晶基板の表面に対する法線と前記イオンビームの入射方向とがなす角をイオンビーム入射角として、0°より大きく90°より小さい前記イオンビーム入射角で前記第2のシリコン単結晶基板へ入射させるステップと、
    前記イオンビームの入射により励起され、前記第2のシリコン単結晶基板に導入された前記導電型決定不純物元素から放射される特性X線を計測するステップと、
    前記第1のイオン注入による前記導電型決定不純物元素の注入量として、前記計測した特性X線の強度により、前記第2のイオン注入による前記導電型決定不純物元素の注入量を算出するステップと、
    を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  14. 導電型決定不純物元素をシリコン単結晶基板にイオン注入する工程を有する、半導体装置の製造方法において、
    半導体素子を形成すべきシリコン単結晶基板である第1の基板に導電型決定不純物元素を導入する第1のイオン注入ステップと、
    シリコン単結晶基板上にシリコン元素を実質的に含まない有機樹脂膜が形成された第2の基板に、前記第1のイオン注入と同一の注入条件で、前記導電型決定不純物元素を導入する第2のイオン注入ステップと、
    イオンビームを、前記第2の基板の表面に対する法線と前記イオンビームの入射方向とがなす角をイオンビーム入射角として、0°より大きく90°より小さい前記イオンビーム入射角で前記第2の基板へ入射させるステップと、
    前記イオンビームの入射により励起され、前記第2の基板に導入された前記導電型決定不純物元素から放射される特性X線を計測するステップと、
    前記第1のイオン注入による前記導電型決定不純物元素の注入量として、前記計測した特性X線の強度により、前記第2のイオン注入による前記導電型決定不純物元素の注入量を算出するステップと、
    を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  15. 半導体装置の製造方法において、
    半導体素子を形成すべき第1の基板にイオン注入処理またはプラズマ処理を含む所定処理を行うステップと、
    第2の基板に前記所定処理と同一の処理条件で同一の処理を行うステップと、
    イオンビームを、前記処理された第2の基板の表面に対する法線と前記イオンビームの入射方向とがなす角をイオンビーム入射角として、0°より大きく90°より小さい前記イオンビーム入射角で前記第2の基板へ入射させるステップと、
    前記イオンビームの入射により励起され、前記第2の基板から放射される特性X線を計測するステップと、
    前記計測した特性X線により、前記第2の基板内部に存在する金属元素を検出するステップと、
    を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  16. 前記第2の基板は、シリコン単結晶基板上にシリコン元素を実質的に含まない有機樹脂膜が形成された基板である、請求項15記載の半導体装置の製造方法。
  17. 半導体装置の製造方法において、
    半導体素子を形成すべきシリコン単結晶基板を含む基板に、イオン注入処理またはプラズマ処理を含む所定処理を行うステップと、
    前記所定処理後、前記シリコン単結晶基板上に形成された前記半導体素子を構成する各種の膜を除去するステップと、
    イオンビームを、前記各種の膜を除去した基板の表面に対する法線と前記イオンビームの入射方向とがなす角をイオンビーム入射角として、0°より大きく90°より小さい前記イオンビーム入射角で前記各種の膜を除去した基板へ入射させるステップと、
    前記イオンビームの入射により励起され、前記各種の膜を除去した基板から放射される特性X線を計測するステップと、
    前記計測した特性X線により、前記各種の膜を除去した基板内部に存在する金属元素を検出する工程と、
    を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  18. 前記半導体素子は固体撮像素子である、請求項15から17のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
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