JPH11248654A - マイクロpixe分析方法及び装置 - Google Patents

マイクロpixe分析方法及び装置

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JPH11248654A
JPH11248654A JP10045697A JP4569798A JPH11248654A JP H11248654 A JPH11248654 A JP H11248654A JP 10045697 A JP10045697 A JP 10045697A JP 4569798 A JP4569798 A JP 4569798A JP H11248654 A JPH11248654 A JP H11248654A
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JP
Japan
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energy
ion beam
sample
micro
microbeam
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Withdrawn
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JP10045697A
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English (en)
Inventor
Hiromi Kaneko
博実 金子
Toshio Kimura
寿男 木村
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Nissin High Voltage Co Ltd
Original Assignee
Nissin High Voltage Co Ltd
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Publication date
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  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】試料の3次元的組成分布を求めることができる
マイクロPIXE分析方法を提案する。 【解決手段】加速器3が発生するイオンビームB1 を、
ビームの減速量を調整する機能を持ったディグレーダ4
を通してエネルギ分析電磁石5に与え、電磁石5から出
たイオンビームB2 ´をマイクロビーム化して試料13
に照射する。ディグレーダ4により電磁石5に与えるイ
オンビームのエネルギを変えて試料13内へのマイクロ
ビームMBの侵入深さを変化させ、スキャナ11により
マイクロビームを2次元的に走査する。マイクロビーム
の侵入深さの変化と2次元的走査とを組み合わせてマイ
クロビームの到達位置を3次元的に変化させながら特性
X線を検出することにより、試料13の3次元的組成分
布を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試料の組成分布を
調べるマイクロPIXE分析方法及び該分析方法を実施
するために用いるマイクロPIXE分析装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】半導体産業、臨床医学、環境調査等の分
野において、試料の3次元的な組成分布(元素の分布)
を調べることが必要とされる場合がある。
【0003】物質の組成を調べる方法としては、Heや
Hなどの荷電粒子を試料に照射した際に励起された試料
の原子から発生する特性X線のスペクトラムを分析する
ことにより試料の組成を調べるPIXE(Partic
le Induced X−ray Emissio
n)がよく用いられている。特に、マイクロビーム(1
μm程度に径が絞られたイオンビーム)を用いるマイク
ロPIXEによれば、高い分解能で試料の組成を調べる
ことができ、マイクロビームをX−Y方向に走査するこ
とにより試料の2次元的な組成分布の情報を正確に得る
ことができる。
【0004】マイクロPIXEによれば、試料を破壊す
ることなく、その組成を調べることができるが、この方
法では組成分布の2次元情報しか得ることができないた
め、3次元的な組成分布を調べる必要がある場合には、
物質を精密に切削してその厚み方向の組成分布を調べる
分析方法であるSIMS(Secondary Ion
ization Mass Spectroscop
y)を併用して、マイクロPIXEにより得られる組成
分布の2次元情報と、SIMSにより得られる厚み方向
の組成分布情報とを組み合わせることにより、試料の3
次元的な組成分布を調べるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来
は、試料の3次元的な組成分布を調べる場合に、マイク
ロPIXEとSIMSとの2つの分析方法を併用してい
たが、SIMSは試料を精密に切削してその厚み方向の
組成分布を調べる破壊検査であるため、対象物を破壊す
ることなくその組成を調べる必要がある場合には適用す
ることができなかった。
【0006】またSIMSは、精密な切削が可能な対象
物にしか適用することができないため、適用し得る対象
物が限定され、臨床医学の分野で細胞の組成分析を行な
う場合などには適用できないという問題があった。
【0007】更に、マイクロPIXEとSIMSとの2
つの分析方法を併用すると、それぞれの測定系統の誤差
特性の相違により、測定の系統誤差が大きくなり、正確
な3次元組成分析を行うことが難しいという問題があっ
た。
【0008】本発明の目的は、試料を破壊することな
く、3次元的な組成分布を正確に調べることができるマ
イクロPIXE分析方法及び該分析方法を実施する分析
装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】マイクロPIXE分析方
法では、加速器から得られるイオンビームをエネルギ分
析電磁石に与えて、該エネルギ分析電磁石により選択し
た所定エネルギのイオンビームをマイクロビーム化して
試料に照射し、該マイクロビームの照射により試料から
発生する特性X線を検出して検出された特性X線のスペ
クトラムから試料の組成を求めるようにしている。
【0010】本発明においては、イオンビームを減速す
る機能を有して減速量の制御が可能なディグレーダ(イ
オンビーム減速器)を加速器とエネルギ分析電磁石との
間に挿入しておく。また加速器の加速電圧及びディグレ
ーダによるイオンビームの減速量の少なくとも一方とエ
ネルギ分析電磁石の励磁電流とを調整することによりマ
イクロビームのエネルギを変化させてマイクロビームの
試料内への侵入深さを変化させ得るようにしておくとと
もに、マイクロビームの照射位置を試料の厚み方向に対
して直角な平面上で2次元的に変化させ得るようにして
おく。そして、マイクロビームの試料内への侵入深さの
変化とマイクロビームの照射位置の2次元的な変化とを
組み合わせることにより、マイクロビームの到達位置を
3次元的に変化させ、マイクロビームの到達位置を3次
元的に変化させる過程で検出された特性X線のスペクト
ラムから分析対象領域の3次元的な組成分布を求める。
【0011】本発明に係わるマイクロPIXE分析方法
において、マイクロビームの到達位置を3次元的に変化
させるには、例えば、加速器の加速電圧及びディグレー
ダによるイオンビームの減速量の少なくとも一方とエネ
ルギ分析電磁石の励磁電流とを調整することによりマイ
クロビームのエネルギを調整してマイクロビームを分析
対象領域の所定の侵入深さ位置まで侵入させた状態でマ
イクロビームの照射位置を試料の厚み方向に対して直角
な平面上で2次元的に変化させる過程を、マイクロビー
ムのエネルギを種々変化させながら繰り返すようにすれ
ばよい。
【0012】上記の分析方法を実施するために用いるマ
イクロPIXE分析装置は、イオンを加速して所定のエ
ネルギを有するイオンビームを発生させる加速器と、加
速器から得られるイオンビームを減速する減速量の制御
が可能なディグレーダと、該ディグレーダを通過したイ
オンビームに磁界を作用させてイオンビームに含まれる
各イオンの軌道を各イオンが有するエネルギに応じた曲
率で湾曲させることにより所定のエネルギを有するイオ
ンビームを選択して送出するエネルギ分析電磁石と、エ
ネルギ分析電磁石から送出されるイオンビームを間にし
て該エネルギ分析電磁石内の磁界の方向に対して直角な
方向に相対するように配置された対のスリット形成板を
備えたスリットと、該スリットを通過したイオンビーム
をマイクロビーム化して前記試料に照射するマイクロビ
ーム生成手段と、試料に照射されるマイクロビームのエ
ネルギを目標値に等しくするために必要なエネルギを有
するイオンビームを前記エネルギ分析電磁石に与えるべ
く、加速器の加速電圧及びディグレーダによるイオンビ
ームの減速量の少なくとも一方を調整するとともに、マ
イクロビームのエネルギを目標値に等しくするために必
要なエネルギを有するイオンビームがエネルギ分析電磁
石から正しく送出されるように該エネルギ分析電磁石の
励磁電流を調整するビームエネルギ制御部と、前記対の
スリット形成板を通してそれぞれ検出されるスリット電
流の大きさを等しくするように加速器の加速電圧を微調
整する加速電圧制御部と、マイクロビームと試料との間
に該試料の厚み方向に対して直角な2軸方向の相対変位
を生じさせるビーム走査手段と、マイクロビームを試料
に照射した際に発生する特性X線を検出するX線検出器
と、X線検出器が検出した特性X線のデータを収集する
データ収集部とを備えることにより構成され、ビームエ
ネルギ制御部によりマイクロビームが有するエネルギを
種々変化させることによりマイクロビームの試料内への
侵入深さを変化させ得るようになっている。
【0013】上記加速電圧制御部を設ける代りに、対の
スリット形成板を通してそれぞれ検出されるスリット電
流の大きさを等しくするようにディグレーダによる減速
量を微調整するディグレーダ制御部を設けるようにして
もよい。
【0014】上記ディグレーダは、例えば、イオンビー
ムを透過させた際に該イオンビームのエネルギの一部を
吸収する性質を有する材料により形成されて加速器から
エネルギ分析電磁石に与えられるイオンビームの軌道を
遮る状態になる第1の位置と該イオンビームの軌道を遮
らない状態になる第2の位置との間を変位するように設
けられた複数の減速板と、各減速板を第1の位置と第2
の位置とに変位させる減速板駆動機構とにより構成する
ことができる。このように構成すると、第1の位置にあ
る減速板の数を変化させることにより加速器からエネル
ギ分析電磁石に与えられるイオンビームの減速量を調整
することができる。
【0015】また上記ディグレーダは、イオンビームを
透過させた際に該イオンビームのエネルギの一部を吸収
する性質を有する材料からなっていて加速器からエネル
ギ分析電磁石に与えられるイオンビームと直交する平面
に沿って定められた方向に変位し得るように設けられた
減速板と、該減速板を変位させる減速板駆動機構とによ
り構成することもできる。この場合、減速板は、上記定
められた変位の方向に沿ってその厚みが連続的にまたは
段階的に変化するように形成しておく。このように構成
すると、減速板を変位させてイオンビームを透過させる
部分の厚みを変化させることによりイオンビームの減速
量を調整することができる。
【0016】上記のディグレーダは他の方式のもの、例
えば、イオンビームに減速電界を作用させることにより
イオンビームを減速するように構成されたものであって
もよい。
【0017】上記のように、加速器とエネルギ分析電磁
石との間にディグレーダを設けると、該ディグレーダに
よりイオンビームの減速量を調整することにより、エネ
ルギ分析電磁石に与えられるイオンビームのエネルギを
適宜に調整することができる。また加速器の加速電圧を
調整することによってもイオンビームのエネルギを調整
することができる。
【0018】従って、上記のように構成すると、加速器
の加速電圧及びディグレーダによるビームの減速量の一
方または双方を調整することによりイオンビームのエネ
ルギを細かく調整できるため、マイクロビームの侵入深
さの微妙な調整を容易に行うことができる。
【0019】また上記のように、エネルギ分析電磁石の
出口側に設けた対のスリット形成板を通してそれぞれ検
出されるスリット電流を等しくするように加速器の加速
電圧を微調整するか、またはディグレーダによる減速量
を微調整するようにすると、加速器の加速電圧の変動な
どがあった場合でも、エネルギ分析電磁石により選択さ
れてマイクロビーム生成手段に与えられるイオンビーム
の量をほぼ一定に保つことができるため、マイクロビー
ム生成手段から所望のエネルギ(マイクロビームを試料
内の所定の侵入深さ位置まで到達させるために必要なエ
ネルギ)を有する定量のマイクロビームを効率よく、か
つ安定に得ることができる。
【0020】従って上記のように構成すれば、マイクロ
ビームが有するエネルギを微妙に変化させてその試料内
への侵入深さを細かく変化させながら、ビームの照射位
置を2次元的に変化させて特性X線のスペクトラムデー
タを収集することができるため、試料を破壊することな
くその3次元的な組成分布を求めることができる。
【0021】また上記のように構成すると、試料の2次
元的な組成分布のデータと深さ方向の組成分布のデータ
とを同じマイクロPIXE分析法により得ることができ
るため、マイクロPIXE分析法とSIMSとを併用し
た場合のように系統誤差が多くなるのを防ぐことがで
き、試料の3次元的組成分布を正確に求めることができ
る。
【0022】マイクロビームを試料に照射した際に発生
する特性X線は、マイクロビームが侵入した部分の組成
の積分情報を含むスペクトラムを有している。例えば、
図4に示したように、マイクロビームMBの侵入深さ
(試料の表面からの侵入深さ)をd1 ,d2 ,…,dn
(nは2以上の整数)のようにn回変化させたときに、
各侵入深さd1 〜dn の位置でそれぞれ特性X線A1 〜
An が検出されたとすると、特性X線A1 は、試料の表
面から深さd1 の領域D1 の組成の情報を含むスペクト
ラムを有しており、特性X線A2 は、表面から深さd2
までの部分(D1+D2 の部分)の組成の情報を含むス
ペクトラムを有している。同様に、深さdn までマイク
ロビームを侵入させた際に検出される特性X線An は、
表面から深さdn までの領域(D1 +D2 +…Dn の部
分)の組成の情報を含むスペクトラムを有している。
【0023】従ってn番目に検出された特性X線An の
スペクトラムにより得られる組成の情報からn−1番目
に検出された特性X線An-1 のスペクトラムにより得ら
れる組成の情報を減ずる処理を行うことにより、図示の
領域D1 ,D2 ,…Dn の部分の組成をそれぞれ求め
て、厚み方向の組成分布を求めることができる。
【0024】上記のように、本発明では、マイクロビー
ムの試料内への侵入深さの変化と該マイクロビームの照
射位置の2次元的な変化とを組み合わせることにより、
分析対象領域内でマイクロビームの到達位置を3次元的
に変化させながら特性X線を検出して、分析対象領域の
3次元的な組成分布を求めるが、その具体的な手順は種
々考えられる。
【0025】例えば、マイクロビームが有するエネルギ
を所定値に固定して、マイクロビームを所定の深さまで
侵入させた状態に保って、ビーム走査手段によりマイク
ロビームを走査しながら特性X線のデータを収集して、
収集した特性X線のデータから2次元的な組成分布を求
める過程を、マイクロビームのエネルギを変えてその侵
入深さを異ならせながら繰り返すことにより、3次元的
な組成分布を求めるようにすることができる。また、ビ
ーム走査手段によりマイクロビームの照射位置(2次元
位置)を所定の位置に固定した状態で、マイクロビーム
のエネルギを変化させることにより該マイクロビームの
侵入深さを変化させて厚み方向の組成分布を求める過程
を、ビーム走査手段によりマイクロビームの照射位置を
2次元的に変化させながら繰り返すことにより、3次元
的な組成分布を求めるようにすることもできる。更に、
マイクロビームを2次元的に動かしながらそのエネルギ
を変化させることにより、該マイクロビームの到達位置
を3次元的に変化させて特性X線のデータを収集し、収
集された特性X線のデータからそのスペクトラムを分析
することにより、分析対象領域の3次元的な組成分布を
求めるようにすることもできる。
【0026】本発明において、マイクロビームの2次元
的な走査は、マイクロビームと試料との間に相対変位を
生じさせることにより行えばよく、マイクロビームの走
査を行わせるに当り、マイクロビーム及び試料のいずれ
を動かしてもよい。
【0027】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係わるマイクロP
IXE分析装置の構成例を示したもので、同図において
1は負イオンを発生するイオン源、2はイオン源1が発
生する負イオンのビームに磁界を作用させることにより
所定の質量を有するイオンを選択して送り出す質量分析
電磁石である。また3は周知のタンデム加速器で、この
加速器は、質量分析電磁石2から送り出された負イオン
を加速する低エネルギ側加速管301と、加速管301
により加速された負イオンから電子を奪い取って負イオ
ンを正イオンに変換する荷電変換器(チャージストリッ
パ)302と、荷電変換器302から得られる正イオン
を加速する高エネルギ側加速管303と、加速管301
及び303のそれぞれの高電圧側の端部301a及び3
03aに設けられた電極につながる高電圧ターミナル3
04と、シェンケル回路等の昇圧回路を備えて高電圧タ
ーミナル304と接地間に加速電圧を印加する直流高圧
電源部305とを備えている。
【0028】タンデム加速器3においては、イオン源1
が発生する負イオンのうち、質量分析電磁石2により選
択された所定質量の負イオンが低エネルギ側加速管30
1の接地電位側の端部301bに与えられる。加速管3
01に与えられた負イオンは、該加速管の高電圧側の端
部301aに向って加速される。低エネルギ側加速管3
01により加速された負イオンは、荷電変換器302に
より荷電変換されて正イオンとされた後、高エネルギ側
加速管303の高電圧側の端部303aに与えられる。
高エネルギ側加速管303に与えられた正イオンは、該
加速管303の接地電位側の端部303bに向けて再度
加速されて高エネルギを有するイオンビームB1 として
送り出される。
【0029】図示の例では、荷電変換器302として、
低エネルギ側加速管301により加速された負イオンを
ストリッパフォイル306を通過させることにより正イ
オンに変換する方式のものを用いている。図2は、低エ
ネルギ側加速管301の高電位側端部付近と荷電変換器
302と高エネルギ側加速管303の高電位側端部付近
とを拡大して示したもので、荷電変換器302には、低
エネルギ側加速管301の出口と高エネルギ側加速管3
03の入口との間に介在するストリッパフォイル306
が設けられている。低エネルギ側加速管301により加
速された負イオンは、カーボン膜などからなるストリッ
パフォイル(荷電変換用薄膜)306を通過させられる
ことにより、その電子が剥ぎ取られて正イオンに変換さ
れる。
【0030】図示の例では、低エネルギ側加速管301
の高電位側の端部301a及び高エネルギ側加速管30
3の高電位側の端部303aと電位が等しい高電圧ター
ミナル304と高電圧ターミナル304に対して絶縁さ
れた状態で設けられたストリッパフォイル306との間
に加速電圧調整用電源部307の出力電圧が印加されて
いる。加速電圧調整用電源部307は、その出力電圧の
大きさを調整し得るように構成されていて、加速電圧制
御部21により該電源部307の出力電圧が制御される
ようになっている。
【0031】加速電圧調整用電源部307からストリッ
パフォイル306と高電圧ターミナル304との間に調
整用電圧Va を印加すると、低エネルギ側加速管301
から送出された負イオンは該調整用電圧Va により更に
加速される。また負イオンは、ストリッパフォイル30
6を通過することにより正イオンに変換されるため、ス
トリッパフォイル306と高エネルギ側加速管303と
の間で正イオンが調整用電圧Va により再び加速され
る。従って、上記のようにストリッパフォイル306と
高電圧ターミナル304との間に調整用電圧Va を印加
すると、加速電圧を2Va だけ微調整することができ
る。
【0032】加速器3としては、試料の分析対象領域の
最深部までマイクロビームを侵入させるために必要なビ
ームエネルギ以上のビームエネルギを得ることができる
ものを用いる必要があるが、そのためには、加速電圧が
3MV程度のタンデム加速器を用いるのが好ましい。
【0033】上記タンデム加速器3から送り出されたイ
オンビームB1 は、イオンビームを減速する機能を有す
るディグレーダ(イオンビーム減速器)4を通してエネ
ルギ分析電磁石5に与えられている。
【0034】ディグレーダ4は、イオンビームB1 を透
過させた際に該イオンビームのエネルギの一部を吸収す
ることによりイオンビームを減速するもので、本発明に
おいては、このディグレーダ4として、イオンビームの
減速量を細かく調整することができるものを用いる。
【0035】図示のディグレーダ4は、イオンビームの
エネルギの一部を吸収する性質を有する材料により形成
された多数の減速板401,401,…を有している。
減速板401,401,…は、それぞれの板面を、加速
器3からエネルギ分析電磁石5に与えられるイオンビー
ムの軌道と直交する平面と平行させた状態で並べて配置
されていて、図示のようにイオンビームB1 の軌道を遮
る状態になる第1の位置(図示の位置)と、該イオンビ
ームB1 の軌道を遮らない状態になる(イオンビームの
軌道から退避した状態になる)図示しない第2の位置と
の間を変位するように設けられている。なお各減速板4
01は、第1の位置と第2の位置との間を直線変位する
ように設けてもよく、両位置の間を回動変位するように
設けてもよい。
【0036】ディグレーダ4はまた電磁プランジャ(電
磁石)や電動機などを駆動源として、減速板401,4
01,…のそれぞれを上記第1の位置と第2の位置とに
変位させる減速板駆動機構402を備えていて、減速板
駆動機構402により第1の位置にある減速板401の
数を変化させることによりイオンビームの減速量を細か
く調整することができるようになっている。減速板40
1としては例えば所定の厚さを有するプラスチック板等
を用いることができる。
【0037】加速器3から送り出されるイオンビームB
1 の中心エネルギはタンデム加速器の加速電圧により決
まるが、該イオンビームB1 に含まれるイオンのエネル
ギは一様ではなく、該イオンビームB1 には、種々のエ
ネルギを有するイオンが含まれている。ディグレーダ4
から送り出されるイオンビームB2 の中心エネルギは、
加速器3から送り出されるイオンビームの中心エネルギ
とディグレーダ4による減速量とにより決まるが、該イ
オンビームB2 にも種々のエネルギを有するイオンが含
まれている。
【0038】エネルギ分析電磁石5は、イオンビームB
2 の軌道と直角な方向に相対する扇形の磁極を備えた周
知のもので、イオンビームB2 にその軌道と直交する方
向の一様な磁界を作用させてイオンビームに含まれる各
イオンの軌道を各イオンが有するエネルギに応じた曲率
で湾曲させることにより所定のエネルギを有するイオン
ビームを選択して送出するようにしたものである。即
ち、エネルギ分析電磁石5内の磁界中に置かれた荷電粒
子は、磁界から力を受けて円運動を行う。該円運動の半
径は、荷電粒子の質量と速度(エネルギ)とに比例す
る。従って、エネルギ分析電磁石5にイオンビームB2
が送り込まれると、該イオンビームB2 に含まれる各イ
オンの軌道が各イオンが有するエネルギに応じた曲率で
湾曲させられ、イオンビームB2 に含まれる異なるエネ
ルギのイオンは、それぞれが有するエネルギの大きさに
応じて異なる軌道をとって電磁石5の出口から出て行
く。すなわち、エネルギが小さいイオンは、図示のB2a
のように小さい曲率で湾曲させられて電磁石5の扇形磁
極の径方向の内側寄りの円軌道に沿って走行し、エネル
ギが大きいイオンは、図示のB2bのように大きな曲率で
湾曲させられて扇形磁極の径方向の外側寄りの円軌道に
沿って走行する。エネルギ分析電磁石5の励磁電流を所
定値に調整することにより、該エネルギ分析電磁石の出
口の中心部から出て行くイオンビームB2 ´のエネルギ
を選択することができる。
【0039】エネルギ分析電磁石5の出口側には、エネ
ルギ分析用スリット6が配置されている。スリット6
は、先端にエッジを有する対のスリット形成板6a,6
bのエッジどうしを、エネルギ分析電磁石5から送出さ
れるイオンビームB2 ´を間にして、電磁石5内の磁界
の方向に対して直角で、かつビームB2 ´に対して直角
な方向に対向させたものからなっていて、スリット形成
板6a,6b間の間隙の中心位置をエネルギ分析電磁石
5の出口の中心位置(該エネルギ分析電磁石により選択
されたイオンビームが送出される位置)に一致させた状
態で配置されている。
【0040】スリット6を通過したイオンビームB2 ´
は軸線方向寸法が十分に長く、内径が十分に小さいビー
ム透過孔7aを有するをコリメータ7に与えられる。コ
リメータ7は、イオンビームB2 ´の中心部のみを残
し、周辺部分を除去することによりイオンビームを整形
して、径が縮小されたビームをダブレットQレンズ8に
入射させる。ダブレットQレンズ8は、装置全体の制御
を統括する主制御部9により制御されるビームエネルギ
制御部10から励磁電流が与えられる2つのソレノイド
8a,8bを備えた磁界レンズからなっていて、コリメ
ータ7から与えられるビームを2段階に集束して直径が
1μm程度のマイクロビームMBとして送り出す。この
例では、コリタメータ7とQレンズ8とにより、マイク
ロビーム生成手段が構成されている。
【0041】マイクロビームMBは、スキャナ11を通
して、真空チャンバ12内に位置決めされた試料(試
料)13に照射される。
【0042】試料13は、チャンバ12内に配置された
ゴニオメータ(支持した対象物のX−Y方向の位置を精
密に調整し得るようにした支持具)20に支持されてい
て、その分析対象領域の厚み方向をダブレットQレンズ
8から送出されるマイクロビームMBの軌道の方向(Q
レンズの軸線方向)に一致させた状態で位置決めされ
る。この試料13の分析対象領域の厚み方向をZ軸方向
とする。
【0043】スキャナ11は、Qレンズ8から出るマイ
クロビームMBの軌道(Qレンズの軸線方向)に対して
直角な平面内で互いに直交する2軸の方向にマイクロビ
ームMBを静電偏向または電磁偏向させて、マイクロビ
ームMBをZ軸方向(試料13の厚み方向)に対して直
角な平面内で互いに直交するX軸方向及びY軸方向の2
軸方向に(2次元的に)変位させる装置で、主制御部9
から与えられる指令に基づいてビーム走査制御部14か
ら与えられる偏向用の電圧または電流に応じてマイクロ
ビームMBを2軸方向に変位させる。この例では、スキ
ャナ11とスキャナ制御部14とにより、マイクロビー
ムMBと試料13との間に該試料の厚み方向に対して直
角な2軸方向の相対変位を生じさせるビーム走査手段が
構成されている。
【0044】真空チャンバ12内には、試料13にマイ
クロビームMBが照射された際に該試料13から発生す
る特性X線15を検出するX線検出器16が配置され、
該X線検出器16の出力は主制御部9により制御される
データ収集部17に与えられている。
【0045】本発明においては、加速器3の加速電圧及
びディグレーダ4によるイオンビームの減速量の少なく
とも一方と、エネルギ分析電磁石5の励磁電流とを変化
させることにより、マイクロビームMBのエネルギを変
化させて該マイクロビームの試料13内への侵入深さを
変化させる。
【0046】マイクロビームの試料13内への侵入深さ
を変化させて試料の3次元的組成を調べるためには、マ
イクロビームMBのエネルギを相当に広範囲に、しかも
細かく変化させる必要がある。マイクロビームのエネル
ギを変化させるためには、加速器3の加速電圧を変化さ
せればよいが、加速器3の加速電圧を細かく変化させる
ことは容易ではない。そこで、本発明においては、加速
器3とエネルギ分析電磁石5との間にディグレーダ4を
配置して、加速器3の加速電圧の調整と、ディグレーダ
4によるイオンビームの減速量の調整とを組み合わせる
ことにより、マイクロビームMBのエネルギを細かくし
かも広範囲に変化させることができるようにした。
【0047】図1に示した例では、マイクロビームのエ
ネルギを所望の大きさとするように加速器3の加速電圧
とディグレーダ4によるイオンビームの減速量とを制御
し、所望のエネルギのイオンビームがマイクロビーム生
成部に与えられるようにエネルギ分析電磁石5の励磁電
流を調整するために、主制御部9から与えられる指令に
基づいて加速器3の直流高圧電源部305とディグレー
ダ4とエネルギ分析電磁石5とを制御するビームエネル
ギ制御部10が設けられている。
【0048】ビームエネルギ制御部10は、主制御部9
からマイクロビームのエネルギを変更する指令が与えら
れたときに、先ずディグレーダ4によるイオンビームの
減速量の調整によりビームエネルギの変更に対応し得る
か否かを判断する。その結果、ディグレーダ4によるイ
オンビームの減速量の調整によりマイクロビームのエネ
ルギの変更に対応し得ると判断されたときには、エネル
ギ分析電磁石5に与えるイオンビームのエネルギを、マ
イクロビーム生成手段により所望のエネルギを有するマ
イクロビームMBを得るために必要な大きさ(目標値)
とするべく、減速板駆動機構402を制御して第1の位
置(イオンビームを遮る位置)にある減速板401の数
を変化させることにより、ディグレーダ4によるイオン
ビームの減速量を調整する。主制御部9からマイクロビ
ームのエネルギを変更する指令が与えられたときに、デ
ィグレーダ4によるイオンビームの減速量の調整のみで
はマイクロビームのエネルギの変更に対応し得ないと判
断されたときには、加速器3の直流高圧電源部305を
制御することにより、該直流高圧電源部305から加速
管301及び303に印加される加速電圧を変化させ、
その後必要に応じてディグレーダ4によるイオンビーム
の減速量を調整して、エネルギ分析電磁石5に与えられ
るイオンビームB2 のエネルギを目標値に等しくするよ
うに調整する。
【0049】加速器3の直流高圧電源部305としてシ
ェンケル回路が用いられている場合には、該シェンケル
回路の高周波電源部の出力電圧を変化させるか、またシ
ェンケル回路の昇圧段数を変化させることにより、直流
高圧電源部305の出力電圧を変化させることができ
る。
【0050】ビームエネルギ制御部10はまた、加速器
3の加速電圧またはディグレーダ4によるイオンビーム
の減速量が調整されてエネルギ分析電磁石5に与えられ
るイオンビームの中心エネルギが新たな値に調整される
毎に、該電磁石5が調整後のエネルギを有するイオンビ
ームを正しく選択してコリメータ7に向けて送出するよ
うに、該電磁石5の励磁電流を調整後のイオンビームの
エネルギに見合った値に調整する。エネルギ分析電磁石
5の励磁電流の大きさは、マイクロビームMBの試料内
への侵入深さを変化させるためにイオンビームの中心エ
ネルギが再び調整されるまでの間一定に保たれる。
【0051】なおエネルギ分析電磁石5の励磁電流の調
整は、該電磁石5に与えるイオンビームのエネルギの調
整を行う前に行ってもよく、電磁石5に与えるイオンビ
ームのエネルギの調整を行った後に行ってもよい。
【0052】上記のように、加速器の加速電圧及びディ
グレーダによるイオンビームの減速量の少なくとも一方
を調整してイオンビームのエネルギを調整し、エネルギ
分析電磁石5の励磁電流を調整後のイオンビームのエネ
ルギに見合った値に固定した場合、加速器3の直流高圧
電源部305の電源変動等によりエネルギ分析電磁石5
に与えられるイオンビームのエネルギ分布が変化する
と、該電磁石5により選択されてコリメータ7に与えら
れるイオンビームの量が変化し、一定量のマイクロビー
ムMBを得ることが難しくなる。
【0053】そこで図1に示した例では、エネルギ分析
電磁石5の出口側に配置したスリット6を形成するスリ
ット形成板6a,6bを通して検出されるスリット電流
に応じて、加速電圧調整用電源部307を制御する加速
電圧制御部21と、スリット形成板6a,6bを通して
検出されるスリット電流に応じてディグレーダ4を制御
するディグレーダ制御部22とを設けて、これらの制御
部21及び22により、加速電圧またはディグレーダ4
によるイオンビームの減速量の少なくとも一方を調整す
ることによって、エネルギ分析電磁石5により選択され
てコリメータ7(マイクロビーム生成手段)に与えられ
るイオンビームの量を一定に保つようにしている。
【0054】スリット6を構成するスリット形成板6
a,6bにエネルギ分析電磁石5から送出されたイオン
ビームが接触すると、スリット形成板6a,6bと接地
回路とを通して、接触したイオンビームのビーム電流に
比例したスリット電流が流れる。図示の例では、スリッ
ト形成板6a及び6bがそれぞれエネルギ分析電磁石の
扇形の磁極の径方向の外側寄りの位置及び内側寄りの位
置に配置されているため、スリット形成板6aに接触す
るイオンビームのエネルギとスリット形成板6bに接触
するイオンビームのエネルギとを比較すると、スリット
形成板6aに接触するイオンビームのエネルギの方がス
リット形成板6bに接触するイオンビームのエネルギよ
りも大きい関係にある。エネルギ分析電磁石5の励磁電
流がある一定値に固定されている状態で、エネルギ分析
電磁石5に入射するイオンビームの中心エネルギが増加
すると、該電磁石内で大きな曲率半径の軌道を通るイオ
ンビームの量が増加するため、スリット形成板6aを通
して流れるスリット電流がスリット形成板6bを通して
流れるスリット電流よりも増加する。またエネルギ分析
電磁石5に入るイオンビームの中心エネルギが減少する
と、電磁石内で小さい曲率半径の軌道を通るイオンビー
ムの量が増加するため、スリット形成板6bを通して流
れるスリット電流がスリット形成板6aを通して流れる
スリット電流よりも増加する。従って、スリット形成板
6a,6bを通してそれぞれ検出されるスリット電流の
大きさを等しくするように加速器3の加速電圧またはデ
イグレーダ4によるイオンビームの減速量を調整するこ
とにより、エネルギ分析電磁石5により選択されるイオ
ンビームの量を一定に保つことができる。
【0055】図示の例では、スリット形成板6a及び6
bをそれぞれ流れるスリット電流の通路に電流検出用抵
抗23a及び23bが挿入され、これらの電流検出用抵
抗23a及び23bの両端に得られる電流検出信号が差
動増幅器24に入力されている。スリット形成板6a,
6bをそれぞれ流れるスリット電流はまた電流計25a
及び25bに与えられ、該電流計25a及び25bによ
りスリット形成板6a及び6bを通して流れるスリット
電流の大きさが表示される。
【0056】差動増幅器24は、スリット形成板6a及
び6bをそれぞれ流れるスリット電流の検出信号の差を
増幅してビームエネルギ偏差信号VD を発生し、該偏差
信号VD を主制御部9に与える。
【0057】主制御部9は、偏差信号VD が与えられた
ときに、加速電圧制御部21及びディグレーダ制御部2
2の少なくとも一方に制御動作を行わせて、偏差信号V
D を零に近付けてスリット形成板6a,6bを通してそ
れぞれ検出されるスリット電流の大きさを等しくするよ
うに、加速電圧及びイオンビームの減速量の少なくとも
一方を微調整する。
【0058】この場合、主制御部9は加速電圧制御部2
による制御及びディグレーダ制御部22による制御のい
ずれか一方を優先して、優先した制御により偏差信号V
D が零にならないときに、他方の制御を行わせて偏差信
号VD を零に近付ける。
【0059】ここで、例えば加速電圧制御部21による
加速電圧の微調整を優先させるものとすると、主制御部
9は、偏差信号VD が与えられたときに、先ず加速電圧
制御部21に制御動作を行わせて、偏差信号VD を零に
近付けるように加速電圧調整用電源部307を制御して
加速器3の加速電圧を微調整する。加速電圧の微調整に
より偏差信号VD が零にならない場合には、ディグレー
ダ制御部22に制御動作を行わせて、偏差信号VD を零
にするように、ディグレーダ駆動機構402を制御する
ことにより、偏差信号VD を零に近付ける。これらの制
御動作により、スリット6を通してコリメータ7に与え
られるイオンビームB2 ´の量を一定に保ち、試料13
に照射されるマイクロビームMBの量を一定に保つ。
【0060】上記主制御部9、ビームエネルギ制御部1
0、ビーム走査制御部14、加速電圧制御部21、ディ
グレーダ制御部22及びデータ収集部17は、コンピュ
ータを用いることにより実現することができる。
【0061】なお図1において、加速器3の加速管内か
らディグレーダ4、エネルギ分析電磁石5、スリット
6、コリメータ7、ダブレットQレンズ8及びスキャナ
11を通してチャンバ12に至るイオンビームの輸送路
が真空状態に保たれるのはもちろんである。
【0062】次に上記のマイクロPIXE分析装置を用
いて試料13の組成を調べる方法を説明する。ここで
は、試料の分析対象領域を図4に示したように厚み方向
にn個の領域D1 ,D2 ,…,Dn に分けて、それぞれ
の領域での2次元的組成分布を求めることにより、分析
対象領域の3次元的な組成分布を求めるものとする。マ
イクロビームMBを領域D1 ,D2 ,…,Dn にそれぞ
れ侵入させるために該マイクロビームに持たせる必要が
あるエネルギをそれぞれe1 ,e2 ,…en (e1 <e
2 <…<en )とする。またマイクロビームMBにエネ
ルギe1 ,e2 ,…,en をそれぞれ持たせるためにコ
リメータ7に与える必要があるビームエネルギをE1
´,E2 ´,…,En ´とする。
【0063】分析を行うに当っては、先ず試料13をチ
ャンバ12内に位置決めし、該チャンバ12内を真空引
きする。次いでイオン源1及び加速器3を動作させて、
イオンビームB1 を発生させる。
【0064】主制御部9からビームエネルギ制御部10
に指令を与えて、ディグレーダ4の減速板駆動機構40
2を制御することにより、イオンビームB1 を遮る位置
にある減速板401の数を調整して、マイクロビームM
Bを試料13の最上層の領域D1 まで(深さd1 だけ)
侵入するために必要なエネルギe1 をマイクロビームM
Bに持たせるために必要とされるエネルギE1 を有する
イオンビームB2 をエネルギ分析電磁石5に与える。ま
たこのときビームエネルギ制御部10からエネルギ分析
電磁石5に所定の励磁電流を与えて、エネルギe1 (目
標値)を有するマイクロビームを得るために必要なエネ
ルギE1 ´のイオンビームB2 ´が正しく電磁石5の出
口の中心部から出てスリット6を通過してコリメータ7
に入射するように調整する。エネルギ分析電磁石5の励
磁電流の値は、次にマイクロビームMBの侵入深さを変
更するために該ビームMBのエネルギを変更するまでの
間一定に保つ。エネルギ分析電磁石5の励磁電流の調整
は、イオンビームのエネルギを変更する前に行ってもよ
く、イオンビームのエネルギを変更した後に行ってもよ
い。
【0065】また、対のスリット形成板6a,6bを通
してそれぞれ検出されるスリット電流の大きさを等しく
するように加速電圧制御部21により加速器3の加速電
圧を微調整するか、またはディグレーダ制御部22によ
り、対のスリット形成板6a,6bを通してそれぞれ検
出されるスリット電流の大きさを等しくするようにディ
グレータ4によるイオンビームの減速量を微調整するこ
とにより、エネルギ分析電磁石5からマイクロビーム生
成手段側に常に一定の量のイオンビームが与えられるよ
うにする。
【0066】上記のようにしてマイクロビームMBを領
域D1 に侵入させた状態で、ビーム走査制御部14によ
りスキャナ11を制御することによりマイクロビームM
Bを2次元走査して、該領域D1 の各部で発生する特性
X線15をX線検出器16により検出する。領域D1 の
各部でX線検出器16により検出される特性X線のデー
タをデータ収集部17に読み込んで記憶させておく。こ
の領域D1 の各部で発生する特性X線のスペクトラムか
ら領域D1 の2次元的組成分布を求めることができる。
【0067】次いで、マイクロビームMBを試料内の領
域D2 まで(深さd2 だけ)侵入させるために必要な大
きさのエネルギe2 を該マイクロビームに持たせるため
に必要なエネルギE2 をエネルギ分析電磁石5に与える
ように、ディグレーダ4によるイオンビームの減速量を
調整する。目標とするエネルギE2 がディグレーダ4か
らエネルギ分析電磁石5に与えられているイオンビーム
のエネルギよりも大きい場合には、ディグレーダ4のイ
オンビームを遮る位置(第1の位置)にある減速板40
1の数を減少させて減速量を減少させることにより、エ
ネルギ分析電磁石5に与えられるイオンビームのエネル
ギを目標値E2 とする。ディグレーダ4のイオンビーム
を遮る位置(第1の位置)にある減速板401の数を減
少させても、エネルギ分析電磁石5に与えられるイオン
ビームのエネルギを目標値E2 にすることができない場
合には、ビームエネルギ制御部10により加速器3の直
流高圧電源部305を制御することにより加速電圧を増
加させ、その後必要に応じてディグレーダ4によるビー
ムの減速量を調整して電磁石5に与えられるイオンビー
ムのエネルギを目標値E2 に調整する。またエネルギ分
析電磁石5が所定のエネルギE2 ´を有するイオンビー
ムを選択してコリメータ7に与えるように、該電磁石5
の励磁電流を調整する。
【0068】このようにしてマイクロビームMBが有す
るエネルギをe2 として該マイクロビームを領域D2 ま
で侵入させ、ビーム走査手段11によりマイクロビーム
を2次元走査して各部で発生する特性X線のデータを収
集する。このようにして収集した特性X線のスペクトラ
ムを分析することにより、領域D1 +D2 の2次元的組
成分布を求めることができる。この領域D1 +D2 の2
次元的組成分布から先に求めた領域D1 の2次元的組成
分布を減ずる処理を行うことにより、領域D2の2次元
的組成分布を求める。
【0069】以下同様にして、マイクロビームMBが有
するエネルギをen まで増加させて該マイクロビームM
Bを領域Dn まで侵入させ、領域D1 +D2 +…+Dn
の2次元的組成分布を求める。この領域D1 +D2 +…
+Dn の2次元的組成分布から領域D1 +D2 +…Dn-
1 の2次元的組成分布を減ずる処理を行って領域Dnの
2次元的組成分布を求める。
【0070】上記のようにして、領域D1 ,D2 ,…,
Dn のそれぞれの2次元的組成分布を求めることによ
り、分析対象領域の3次元的組成分布を求める。
【0071】上記の例では、イオンビームを遮る状態に
なる位置(第1の位置)とイオンビームを遮らない状態
になる位置(第2の位置)との間を変位する多数の減速
板401をディグレーダ4に設けて、イオンビームを遮
る位置にある減速板401の数を調整することによりイ
オンビームの減速量を調整するようにしたが、ディグレ
ーダ4の構成は上記の例のものに限定されない。例え
ば、図3(A)または(B)に示すように、イオンビー
ムB1 を透過させた際に該イオンビームのエネルギの一
部を吸収する性質を有する材料からなっていて加速器か
らエネルギ分析電磁石に与えられるイオンビームの軌道
と直交する平面に沿って定められた方向(図示の矢印の
方向)に変位し得るように設けられた減速板4Aと、サ
ーボモータやパルスモータなどを駆動源として減速板4
Aを定められた方向に変位させる減速板駆動機構4Bと
により構成することもできる。この場合、減速板4A
は、図3(A)に示すように、その厚みが定められた方
向に沿って連続的に変化するように形成するか、または
図3(B)に示すように、その厚みが定められた方向に
沿って段階的に変化するように形成する。このように構
成すると、減速板4Aを変位させて加速器からエネルギ
分析電磁石に与えられるイオンビームを透過させる部分
の厚みを変化させることによりイオンビームの減速量を
調整することができる。
【0072】図3に示した例では、イオンビームの減速
量を調整するために減速板4Aを直線移動させるように
しているが、厚みが周方向に沿って連続的または段階的
に変化するように形成されて回転自在に支持された円板
状ないしは円環状の板を減速板として用いて、減速板駆
動機構により該減速板の回転角度位置を変化させるよう
に構成することにより、加速器から与えられるイオンビ
ームの減速量を調整するようにしてもよい。
【0073】またディグレーダは必ずしも減速板を用い
るものに限られるものではなく、イオンビームに減速電
界を作用させるようにしたもの、例えば加速管と同様の
構造を有して加速電極間に加速電圧の代りに減速電圧を
印加するようにしたものでもよい。
【0074】上記の例では、マイクロビームMBを試料
の所定の深さ位置まで侵入させた状態に保って、スキャ
ナ11によりマイクロビームを走査して2次元的な組成
分布を求める過程を、マイクロビームのエネルギを変え
てその侵入深さを異ならせながら繰り返すことにより、
2次元的な組成分布と厚み方向の組成分布とを求めて3
次元的組成分布を求めるようにしているが、スキャナ1
1によりマイクロビームMBの照射位置(2次元位置)
を所定の位置に固定した状態で、マイクロビームMBの
エネルギを変化させることにより該マイクロビームの侵
入深さを変化させて厚み方向の組成分布を求める過程
(例えば図3の領域D1 〜Dn のそれぞれの組成分布を
求める過程)を、マイクロビームの照射位置を2次元的
に変化させながら繰り返すことにより、3次元的な組成
分布を求めるようにしてもよい。
【0075】またマイクロビームを2次元的に動かしな
がら同時にそのエネルギを変化させることにより、該マ
イクロビームの到達位置を3次元的に変化させながら、
特性X線の検出を行って、該特性X線のスペクトラムを
分析することにより3次元的な組成分布を求めるように
することもできる。
【0076】上記の例では、マイクロビームMBを電磁
偏向または静電偏向することにより2軸方向に変位させ
るスキャナ11を用いて、マイクロビームMBを試料1
3に対して2次元走査するようにしているが、本発明に
おけるマイクロビームの2次元走査は、試料13に照射
されるマイクロビームMBと試料13との間に該試料の
厚み方向に対して直角な2軸方向の相対変位を生じさせ
るものであればよいので、マイクロビームMBを動かす
代りにゴニオメータ20を動かして、試料13側をZ軸
(試料の厚み方向の軸)に対して直角なX,Yの2軸方
向に変位させることにより、マイクロビームを試料に対
して2次元的に走査するようにしてもよい。
【0077】上記の例では、加速電圧制御部21とディ
グレーダ制御部22とを設けて、スリット電流に応じた
加速電圧の微調整とディグレーダ4による減速量の微調
整とを併用することにより、エネルギ分析電磁石5から
マイクロビーム生成手段に与えられるイオンビームの量
を一定に保つようにしたが、必ずしも加速電圧制御部2
1及びディグレーダ制御部22の双方を設ける必要はな
く、加速電圧制御部21またはディグレーダ制御部22
のいずれか一方のみによりエネルギ分析電磁石5からマ
イクロビーム生成手段に与えられるイオンビームの量を
一定に保つ制御を行わせるようにしてもよい。
【0078】上記の例では、タンデム加速器の荷電変換
部として、ストリッパフォイル306を用いる方式のも
のを採用したが、このような荷電変換部を用いると、ス
トリッパフォイル306を境にして、その前後の領域を
負イオンが存在する領域と正イオンが存在する領域とに
分けることができるため、ストリッパフォイル306と
高電圧ターミナル304との間に調整電圧を印加する加
速電圧調整用電源部307を設けることにより、加速電
圧の微調整を容易に行うことができる。しかしながら、
本発明は、必ずしもこのような荷電変換部を採用したタ
ンデム加速器を用いる場合に限定されるものではなく、
低エネルギ側加速管により加速された負イオンをガス中
を通過させることにより正イオンに変換する方式の荷電
変換器を採用したタンデム加速器を用いることもでき
る。
【0079】なお加速電圧の微調整は、加速器3の直流
高圧電源部305の電源電圧を変化させることにより行
ってもよい。
【0080】また上記の例では、加速器の加速電圧とデ
ィグレーダ4によるイオンビームの減速量とを変化させ
ることにより、マイクロビームMBのエネルギを変化さ
せるようにしているが、マイクロビームMBを試料13
の分析領域の最深部まで侵入させるために必要な大きさ
のエネルギを得るために必要にして充分な大きさのエネ
ルギ(例えば3MeV)を有するイオンビームを発生す
るように加速器3を構成するとともに、ディグレーダ4
によるイオンビームの減速量の最小調整幅を細かくし
て、ディグレーダ4のみによりマイクロビームのエネル
ギを変化させるようにしてもよい。
【0081】上記の例では、加速器3としてタンデム加
速器を用いたが、加速器3は、試料13の分析対象領域
の最深部までマイクロビームMBを侵入させるために必
要なエネルギ以上のエネルギを有するイオンビームをデ
ィグレーダ4に与えることができればよく、十分なエネ
ルギを有するイオンビームを得ることができるのであれ
ば、シングルエンド形の加速器を用いることもできる。
【0082】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、マイク
ロビームの試料内への侵入深さの変化とマイクロビーム
の照射位置の2次元的な変化とを組み合わせることによ
り、マイクロビームの到達位置を3次元的に変化させな
がら特性X線を検出するようにしたので、試料の3次元
的な組成分布を求めることができ、マイクロPIXE分
析法の応用範囲を拡大することができる利点がある。
【0083】また本発明によれば、試料の2次元的組成
分布と、厚み方向の組成分布とを、ともに同じマイクロ
PIXE分析法により求めるので、測定の系統誤差を少
なくして正確な組成分析を行うことができる利点があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるマイクロPIXE分析装置の構
成例を概略的に示した構成図である。
【図2】図1の分析装置で用いられている加速器の荷電
変換器付近の構造を概略的に示した構成図である。
【図3】(A)及び(B)はそれぞれ本発明で用いるデ
ィグレーダの異なる変形例を示した説明図である。
【図4】本発明に係わる分析方法を説明するための説明
図である。
【符号の説明】 1 イオン源 3 加速器 4 ディグレーダ 401,4A 減速板 402,4B 減速板駆動機構 5 エネルギ分析電磁石 6 スリット 6a,6b スリット形成板 7 コリメータ 8 ダブレットQレンズ 10 ビームエネルギ制御部 11 スキャナ 14 ビーム走査制御部 17 データ収集部 21 加速電圧制御部 22 ディグレーダ制御部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加速器から得られるイオンビームをエネ
    ルギ分析電磁石に与えて該エネルギ分析電磁石により選
    択した所定エネルギのイオンビームをマイクロビーム化
    して試料の分析対象領域に照射し、前記マイクロビーム
    の照射により前記試料から発生する特性X線を検出して
    検出された特性X線のスペクトラムから前記試料の分析
    対象領域の組成を求めるマイクロPIXE分析方法にお
    いて、 イオンビームを減速する機能を有していて減速量の制御
    が可能なディグレーダを前記加速器とエネルギ分析電磁
    石との間に挿入しておき、 前記加速器の加速電圧及び前記ディグレーダによるイオ
    ンビームの減速量の少なくとも一方と前記エネルギ分析
    電磁石の励磁電流とを調整することにより前記マイクロ
    ビームのエネルギを変化させて前記マイクロビームの前
    記試料内への侵入深さを変化させ得るようにしておくと
    ともに、前記マイクロビームの照射位置を前記試料の厚
    み方向に対して直角な平面上で2次元的に変化させ得る
    ようにしておき、 前記マイクロビームの試料内への侵入深さの変化と前記
    マイクロビームの照射位置の2次元的な変化とを組み合
    わせることにより、前記マイクロビームの到達位置を3
    次元的に変化させ、 前記マイクロビームの到達位置を3次元的に変化させる
    過程で検出された特性X線のスペクトラムから前記分析
    対象領域の3次元的な組成分布を求めることを特徴とす
    るマイクロPIXE分析方法。
  2. 【請求項2】 加速器から得られるイオンビームをエネ
    ルギ分析電磁石に与えて該エネルギ分析電磁石により選
    択した所定エネルギのイオンビームをマイクロビーム化
    して試料の分析対象領域に照射し、前記マイクロビーム
    の照射により前記試料から発生する特性X線を検出して
    検出された特性X線のスペクトラムから前記試料の分析
    対象領域の組成を求めるマイクロPIXE分析方法にお
    いて、 イオンビームを減速する機能を有していて減速量の制御
    が可能なディグレーダを前記加速器とエネルギ分析電磁
    石との間に挿入しておき、 前記加速器の加速電圧及び前記ディグレーダによるイオ
    ンビームの減速量の少なくとも一方と前記エネルギ分析
    電磁石の励磁電流とを調整することにより前記マイクロ
    ビームのエネルギを調整して前記マイクロビームを前記
    分析対象領域の所定の侵入深さ位置まで侵入させた状態
    で前記マイクロビームの照射位置を前記試料の厚み方向
    に対して直角な平面上で2次元的に変化させる過程を、
    前記マイクロビームのエネルギを種々変化させながら繰
    り返すことにより、前記マイクロビームの到達位置を3
    次元的に変化させ、前記マイクロビームの到達位置を3
    次元的に変化させる過程で検出された特性X線のスペク
    トラムから前記分析対象領域の3次元的な組成分布を求
    めることを特徴とするマイクロPIXE分析方法。
  3. 【請求項3】 イオンを加速して所定のエネルギを有す
    るイオンビームを発生させる加速器と、 前記加速器から得られるイオンビームを減速する減速量
    の制御が可能なディグレーダと、 前記ディグレーダを通過したイオンビームに磁界を作用
    させてイオンビームに含まれる各イオンの軌道を各イオ
    ンが有するエネルギに応じた曲率で湾曲させることによ
    り所定のエネルギを有するイオンビームを選択して送出
    するエネルギ分析電磁石と、 前記エネルギ分析電磁石から送出されるイオンビームを
    間にして前記エネルギ分析電磁石内の磁界の方向に対し
    て直角な方向に相対するように配置された対のスリット
    形成板を備えたスリットと、 前記スリットを通過したイオンビームをマイクロビーム
    化して前記試料に照射するマイクロビーム生成手段と、 前記試料に照射されるマイクロビームのエネルギを目標
    値に等しくするために必要なエネルギを有するイオンビ
    ームを前記エネルギ分析電磁石に与えるべく、前記加速
    器の加速電圧及びディグレーダによるイオンビームの減
    速量の少なくとも一方を調整するとともに、前記マイク
    ロビームのエネルギを目標値に等しくするために必要な
    エネルギを有するイオンビームが前記エネルギ分析電磁
    石から送出されるように該エネルギ分析電磁石の励磁電
    流を調整するビームエネルギ制御部と、 前記対のスリット形成板を通してそれぞれ検出されるス
    リット電流の大きさを等しくするように前記加速器の加
    速電圧を微調整する加速電圧制御部と、 前記マイクロビームと前記試料との間に該試料の厚み方
    向に対して直角な2軸方向の相対変位を生じさせるビー
    ム走査手段と、 前記マイクロビームを試料に照射した際に発生する特性
    X線を検出するX線検出器と、 前記X線検出器が検出した特性X線のデータを収集する
    データ収集部とを具備し、 前記ビームエネルギ制御部により前記マイクロビームが
    有するエネルギを種々変化させることにより前記マイク
    ロビームの前記試料内への侵入深さを変化させ得るよう
    にしたことを特徴とするマイクロPIXE分析装置。
  4. 【請求項4】 前記加速器は、負イオンを加速する低エ
    ネルギ側加速管と、前記低エネルギ側加速管により加速
    された負イオンをストリッパフォイルを通過させること
    により正イオンに変換する荷電変換器と、前記荷電変換
    器により得られる正イオンを加速する高エネルギ側加速
    管とを備えたタンデム加速器からなっていて、前記低エ
    ネルギ側加速管の出口側の電位に等しい導電部と前記ス
    トリッパフォイルとの間に大きさの調整が可能な直流電
    圧を調整電圧として印加する加速電圧調整用電源部が設
    けられ、 前記加速電圧制御部は、前記スリット電流に応じて前記
    加速電圧調整用電源部を制御して前記加速電圧を微調整
    するように構成されている請求項3に記載のマイクロP
    IXE分析装置。
  5. 【請求項5】 イオンを加速して所定のエネルギを有す
    るイオンビームを発生させる加速器と、 前記加速器から得られるイオンビームを減速する減速量
    の制御が可能なディグレーダと、 前記ディグレーダを通過したイオンビームに磁界を作用
    させてイオンビームに含まれる各イオンの軌道を各イオ
    ンが有するエネルギに応じた曲率で湾曲させることによ
    り所定のエネルギを有するイオンビームを選択して送出
    するエネルギ分析電磁石と、 前記エネルギ分析電磁石の出口側で該電磁石から送出さ
    れるイオンビームを間にして前記エネルギ分析電磁石内
    の磁界の方向に対して直角な方向に相対するように配置
    された対のスリット形成板を備えたスリットと、 前記スリットを通過したイオンビームをマイクロビーム
    化して前記試料に照射するマイクロビーム生成手段と、 前記試料に照射されるマイクロビームのエネルギを目標
    値に等しくするために必要なエネルギを有するイオンビ
    ームを前記エネルギ分析電磁石に与えるべく、前記加速
    器の加速電圧及びディグレーダによるイオンビームの減
    速量の少なくとも一方を調整するとともに、前記マイク
    ロビームのエネルギを目標値に等しくするために必要な
    エネルギを有するイオンビームが前記エネルギ分析電磁
    石から送出されるように該エネルギ分析電磁石の励磁電
    流を調整するビームエネルギ制御部と、 前記対のスリット形成板を通してそれぞれ検出されるス
    リット電流の大きさを等しくするように前記ディグレー
    ダによる減速量を微調整するディグレーダ制御部と、 前記マイクロビームと前記試料との間に該試料の厚み方
    向に対して直角な2軸方向の相対変位を生じさせるビー
    ム走査手段と、 前記マイクロビームを試料に照射した際に発生する特性
    X線を検出するX線検出器と、 前記X線検出器が検出した特性X線のデータを収集する
    データ収集部とを具備し、 前記ビームエネルギ制御部により前記マイクロビームが
    有するエネルギを種々変化させることにより前記マイク
    ロビームの前記試料内への侵入深さを変化させ得るよう
    にしたことを特徴とするマイクロPIXE分析装置。
  6. 【請求項6】 前記ディグレーダは、イオンビームを透
    過させた際に該イオンビームのエネルギの一部を吸収す
    る性質を有する材料により形成されて前記加速器からエ
    ネルギ分析電磁石に与えられるイオンビームの軌道を遮
    る状態になる第1の位置と該イオンビームの軌道を遮ら
    ない状態になる第2の位置との間を変位するように設け
    られた複数の減速板と、各減速板を前記第1の位置と第
    2の位置とに変位させる減速板駆動機構とを備えてい
    て、前記第1の位置にある減速板の数を変化させること
    によりイオンビームの減速量を調整するように構成され
    ている請求項3,4または5に記載のマイクロPIXE
    分析装置。
  7. 【請求項7】 前記ディグレーダは、イオンビームを透
    過させた際に該イオンビームのエネルギの一部を吸収す
    る性質を有する材料からなっていて前記加速器からエネ
    ルギ分析電磁石に与えられるイオンビームの軌道と直交
    する平面に沿って定められた方向に変位し得るように設
    けられた減速板と、該減速板を前記定められた方向に変
    位させる減速板駆動機構とを備え、前記減速板はその厚
    みが前記定められた方向に沿って連続的にまたは段階的
    に変化するように形成されていて、前記減速板を変位さ
    せて前記加速器からエネルギ分析電磁石に与えられるイ
    オンビームを透過させる部分の厚みを変化させることに
    よりイオンビームの減速量を調整するように構成されて
    いる請求項3,4または5に記載のマイクロPIXE分
    析装置。
JP10045697A 1998-02-26 1998-02-26 マイクロpixe分析方法及び装置 Withdrawn JPH11248654A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010016042A (ja) * 2008-07-01 2010-01-21 Panasonic Corp 元素分析方法および半導体装置の製造方法

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