JP2010014797A - マスクレス露光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)を用いず構成が複雑にならずに大面積露光が高速でかつ高精度に実施可能なマスクレス露光装置を提供する。
【解決手段】このマスクレス露光装置は、被露光物Sに露光する光を出力するための光源21と、光路中に設けられた光スイッチング手段23と、光源からの光を被露光物へ導く光学系12と、により被露光物上に多数の集光スポットS2を投影可能な露光ヘッド20と、露光ヘッドと被露光物とを相対移動させる移動手段と、を備え、各集光スポットのオンオフを光スイッチング手段により制御するとともに移動手段による相対移動を制御することで被露光物上に任意のパターンを露光する。
【選択図】図2
【解決手段】このマスクレス露光装置は、被露光物Sに露光する光を出力するための光源21と、光路中に設けられた光スイッチング手段23と、光源からの光を被露光物へ導く光学系12と、により被露光物上に多数の集光スポットS2を投影可能な露光ヘッド20と、露光ヘッドと被露光物とを相対移動させる移動手段と、を備え、各集光スポットのオンオフを光スイッチング手段により制御するとともに移動手段による相対移動を制御することで被露光物上に任意のパターンを露光する。
【選択図】図2
Description
本発明は、マスクを用いないで露光が可能なマスクレス露光装置に関する。
特許文献1は、光導波路アレイの各導波路の出射口から出射した複数の光を被露光部に縮小投影するマスクレス露光装置を開示する。特許文献2は、形成した調光分布を一方向に沿って高速に移動させることが可能な二次元調光デバイスを可変成形マスクとして備えた走査型のマスクレス露光装置を開示する。特許文献3は、多数の微小ミラーが直交する2方向に整列されて配置された空間的光変調器と露光対象物とを相対的に移動させながら光源からの光を露光対象物の表面に入射させて露光対象物の表面に所望のパターンを露光するマスクレス露光装置を開示する。特許文献4は、光源アレイで所望の露光パターンを形成するようにしたマスクレスの露光パターン形成装置を開示する。特許文献5は、露光光源として偏光光源を用いたマスクレス露光装置を開示する。
特許文献6は、複数の二次元配列状の微小ミラーの配列としてスキャン方向に2段以上で、かつ複数の二次元配列状の微小ミラーの全体の配置としてスキャン移動の方向と直交する方向に長い形状の長方形領域内に並べたパターン露光装置を開示する。すなわち、特許文献6のパターン露光装置は、図7に示すように(特許文献6の図1参照)、光源(図示省略)からの紫外光を、多数のミラーデバイスが並べられたミラーデバイスアレイ100の表面に入射させ、ミラーデバイスアレイ100で反射した紫外光は、レンズ200a、200bとで構成される等倍の投影光学系300を通り、マイクロレンズアレイ400上に投影され、マイクロレンズアレイ400によって形成される多数のスポットはレンズ200c、200dとで構成される縮小投影光学系500によって、ピンホール板600上に約0.7倍に投影される。ピンホール板600の下面の穴の位置での光の像が、多数のレンズで構成された縮小投影光学系700によって、ウエハ800上にパターン投影される。ウエハ800は、ウエハステージ900におけるステージ台110の上に載せられており、ステージ台110はスキャンステージガイド110内でY方向に往復移動できるようになっている。スキャンステージガイド110は、ステップステージガイド120内でX方向にステップ移動できるようになっている。ウエハ800のスキャン移動とステップ移動によって、ウエハ800内の全面にレーザ光照射領域130を移動させることができ、ウエハ800内の全てのチップが露光できるようになっている。ミラーデバイスアレイ100はDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)からなる。
特許文献7は、基板を投影されたパターンを構成する多数のスポットの並びに対して斜めに移動させることで、時間的に異なる照射によるパターンにおけるいくつかのスポットが基板上で同一地点に重なるようにパターン描画させるようにしたパターン描画装置を開示し、特許文献6と同様にDMDからなるミラーデバイスを用いている。DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)とは、集積回路上にMEMS技術により鏡面サイズが10数μm程度の可動式マイクロミラーを多数格子状に配列したものである(非特許文献1参照)。
特許文献8は、一方の光ファイバコリメータアレイから射出される平行光と他方の光ファイバコリメータアレイから射出される平行光の偏光方向が相互に直交するように選ばれ、両平行光が偏光合成器により合成されるようにした平行光源装置を開示する。
特開2008−42015号公報
再表2005−081034号公報
特開2007−219011号公報
特開2007−19073号公報
特開2004−87771号公報
特開2005−175264号公報
特開2004−319581号公報
特開2006−156269号公報
ディジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)日本テキサス・インスツルメンツ(株)新地 修、林田正尚(http://www.realize-at.jp/items/bt/112/5/index.html)
特許文献1〜5は、いずれもマスクレス露光技術を開示するが、大面積露光を高速かつ高精度に実施するようにしたものではない。特許文献6,7では、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)に光を照射した後に、DMDの各ピクセルに対応する位置で反射された光を、各ピクセル毎に置いたマイクロレンズアレイによって集光することによって周期的なスポットをサンプル表面上に露光することができる。このスポット光のオンオフ制御及びサンプルを固定したステージの位置・速度制御によって、任意のパターンのマスクレス露光を可能にしている。しかし、DMDを用いていることから露光投影領域がDMDのサイズに依存し、このため、大面積の露光を行う場合にはDMDを複数用いて交互に配置した構成としなければならないという問題がある。また、DMDのミラーの応答速度に応じて露光のスループットが影響を受けるという問題がある。以上の2つの問題により、特に大きな基板サイズを露光する場合には、システム構成が複雑になりコスト高になってしまう。
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)を用いず構成が複雑にならずに大面積露光が高速でかつ高精度に実施可能なマスクレス露光装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本実施形態によるマスクレス露光装置は、被露光物に露光する光を出力するための光源と、光路中に設けられた光スイッチング手段と、前記光源からの光を前記被露光物へ導く光学系と、により前記被露光物上に多数の集光スポットを投影可能な露光ヘッドと、前記露光ヘッドと前記被露光物とを相対移動させる移動手段と、を備え、前記各集光スポットのオンオフを前記光スイッチング手段により制御するとともに前記移動手段による相対移動を制御することで前記被露光物上に任意のパターンを露光することを特徴とする。
このマスクレス露光装置によれば、光源から光学系までの光路中に設けた光スイッチング手段により被露光物上に投影される集光スポットをオンオフ制御することで高速に変調が可能であり、被露光物の表面上の集光スポットを周期間隔が広くかつ集積させることができるので、大面積露光が高速かつ高精度に実施できる。また、マスクもDMDも不要であるから、装置構成が複雑にならず装置コストが嵩むこともない。
上記マスクレス露光装置において前記光学系は所定のピクセル数でマイクロレンズが配列されたマクロレンズアレイを有し、前記光スイッチング手段は、前記ピクセル数に応じたスイッチングが可能な液晶光スイッチを有するようにして露光ヘッドを構成することが好ましい。
または、前記光学系は所定のピクセル数でマイクロレンズが配列されたマクロレンズアレイを有し、前記光スイッチング手段は、前記ピクセル数に応じたスイッチングが可能な干渉型の光スイッチを有するようにして露光ヘッドを構成することが好ましい。
なお、前記ピクセル数に応じて多数のアパーチャが配置された開口部材を、前記液晶光スイッチまたは前記干渉光スイッチに前置させることが好ましい。
また、前記被露光物上に投影された隣り合う集光スポットの間隔が500μm程度となるように構成することができ、被露光物の表面上の集光スポットの周期間隔が500μm程度と広くできる。
また、前記移動手段が前記被露光物を載置し前記露光ヘッドに対し移動可能なステージから構成されることが好ましい。
また、前記多数の集光スポットの投影位置を縦横に結ぶ直線がなす正方格子を前記相対移動の方向に対し傾斜させるようにすることが好ましい。また、前記多数の集光スポットの投影位置を縦横に結ぶ直線が前記相対移動の方向に対し斜方格子をなすようにすることが好ましい。これらの構成により、露光の空間分解能を向上させることができる。
本発明のマスクレス露光装置によれば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)を用いず装置構成が複雑にならずに大面積露光が高速でかつ高精度に実施できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
〈第1の実施形態〉
図1は第1の実施形態のマスクレス露光装置の全体を概略的に示す図である。図2は図1の光源、光学系、試料との相対的な位置関係を概略的に示す図である。
図1は第1の実施形態のマスクレス露光装置の全体を概略的に示す図である。図2は図1の光源、光学系、試料との相対的な位置関係を概略的に示す図である。
図1,図2に示すように、マスクレス露光装置10は、試料S(被露光物)に対する露光光を出力する光源11と、光源11からの光を試料Sの表面S1にスポット光として照射し投影する光学系12と、光学系12に前置されて光源11からの光の透過・非透過を切り替える液晶光スイッチ23と、試料Sを載置して2次元的(XY方向)に移動させるステージ13と、ステージ13の二次元的な位置を検出するエンコーダ等からなるセンサ14と、センサ14の検出結果に基づいてステージ13を駆動するアクチュエータ15と、光源11及び液晶光スイッチ23を制御する光源制御回路16と、装置全体を制御するパーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」または「PC」という。)17と、を備える。露光ヘッド20が上述の光学系12と光源11等とから構成される。
図1のマスクレス露光装置10は、光源11からの光のオンオフおよび試料Sを載せたステージ13の移動を制御することで、フォトマスクを用いることなく試料表面上のレジストなどの光感光性樹脂を設計に応じたパターンに対応して露光することができ、マスクレス露光が可能になっている。
図1,図2のように、光源11は、LD(レーザダイオード)やLED(発光ダイオード)などの半導体発光素子、または、水銀ランプ等と、開口部材22と、液晶光スイッチ23と、を備え、多数のピクセルからなる光源アレイ21に構成されている。すなわち、開口部材22は光源アレイ21のピクセル数に対応して多数のアパーチャ22a〜22eが格子状に周期配置され、また、液晶光スイッチ23は同じくピクセル数に対応して多数の液晶スイッチ23a〜23eが格子状に周期配置されている。
光源アレイ21では、半導体発光素子や水銀ランプ等からの光が各アパーチャ22a〜22eに入射し、各液晶スイッチ23a〜23eでオンオフ(光の透過・非透過)制御されながら、各液晶スイッチ23a〜23eから光が出力する。液晶光スイッチ23は各液晶スイッチ23a〜23eが光源制御回路16により独立にオンオフ可能な構成となっている。
なお、光源11の光源制御回路16には、光強度をモニタする機能を備えてもよく、例えばAPC(オートパワーコントロール)制御やACC(オート電流コントロール)制御ができるような構成としてもよい。また、光源11には発熱の影響を避けるためにヒートシンク等の冷却機能を備えることが好ましく、水冷、空冷、ペルチェ素子による冷却等を用いることができる。
次に、図1,図2の液晶光スイッチについて図3を参照して説明する。図3は図1,図2の液晶光スイッチの作動原理を説明するために液晶光スイッチを概略的に示す要部断面図であり、光透過のオン状態(a)及び光非透過のオフ状態(b)をそれぞれ示す図である。
図3(a)、(b)のように、液晶光スイッチ23は、比較的大きな偏光板23kと各ピクセル毎に形成された比較的小さいITO等からなる透光性電極23nとを有する第1の基板23fと、比較的大きな偏光板23mと各ピクセル毎に形成された比較的小さいITO等からなる透光性電極23pとを有する第2の基板23gと、を備え、第1の基板23fと第2の基板23gとの間の隙間に液晶23hを注入したものである。
第1の基板23fでは光束が通過する光通過部T以外の断面積部分に制御回路22jが設けられており、制御回路23jにより透光性電極23n,23pに印加する電圧を制御する。制御回路23jは図1の光源制御回路16の一部を構成する。
液晶光スイッチ23は、液晶への電圧印加時の電界により液晶の構成分子の向きが変化して液晶の中を通る光の屈折率が液晶分子が並んだ向きにより変わることを利用したもので、透光性電極23n,23pへの電圧印加による電界を制御することで光の偏光を操作し光スイッチングを行うことができる。図3(b)のオフ状態では、第1の基板23fと第2の基板23gにおける偏光が直交するために光Bが遮断され、透過光がゼロとなる。一方、図3(a)のオン状態では、偏光状態を変えることで光Aが偏光板23k,23mを通過する。図3(a)、(b)のオン・オフを透光性電極23n,23pへの電圧印加を制御することで液晶を利用したスイッチングが可能となる。
光源アレイ21は後述のように各ピクセル間の間隔(ピッチ)が500μm程度に比較的広くなるように構成され、図3(a)、(b)のように、液晶光スイッチ23では第1の基板23fの光通過部T以外の断面積部分に制御回路23jが設置可能となる。このため、上述のように光透過型の液晶光スイッチであってもメモリを搭載させることで各ピクセル(各透光性電極)を独立に制御することができる。なお、制御回路23jと透光性電極23n,23pとの導通のためにスルーホール電極などを形成してもよい。
図1,図2の光学系12は、光源アレイ21のピクセルの数に対応して多数のマイクロレンズ24a〜24eを配置したマイクロレンズアレイ24を有するレンズ系を備え、液晶光スイッチ23の各液晶スイッチ23a〜23eから出力した光をレンズ系により試料Sの表面S1上に集光し集光スポットS2を形成するようになっている。
すなわち、光源アレイ21の半導体発光素子や水銀ランプ等からの光が自由空間で図2の矢印方向に平行光として各アパーチャ22a〜22eに入射し、図3の透光性電極23n、23pへの電圧印加を制御することで各液晶スイッチ23a〜23eでオンオフ変調され、各液晶スイッチ23a〜23eから出力した光がマイクロレンズアレイ24によって試料Sの表面S1上に集光スポットS2として投影される。
図2の開口部材22,液晶光スイッチ23及びマイクロレンズアレイ24では、各アパーチャ22aと22b,22bと22c,・・・間の間隔(ピッチ)、各液晶スイッチ23aと23b,23bと23c,・・・間の間隔(ピッチ)、及びマイクロレンズ24aと24b,24bと24c,・・・間の間隔(ピッチ)がそれぞれ500μm程度となるように比較的大きく構成されており、このため、試料Sの表面S1上で隣り合う集光スポットS2の間隔(ピッチ)pが500μm程度と比較的大きくなっている。
上述のように、光源アレイ21と光学系12とを備える露光ヘッド20は集光スポットS2の間隔pが500μm程度と比較的大きく、かかる露光ヘッド20をマスクレス露光装置10が備えることで大面積露光が可能となる。
試料Sを載置するステージ13は、PC17からのステージ稼動信号により作動するアクチュエータ15により駆動されるが、センサ14により検出したステージ13の位置信号に基づいて位置および速度制御を行うようにフィードバック制御が可能に構成されている。かかるフィードバック制御によるステージ稼動信号がPC17から出力する。PC17は、上述のステージ13の制御及び任意パターンを露光するための光源アレイ21のオンオフ制御を統括する。
図1,図2のマスクレス露光装置10による露光動作を説明する。例えば、表面S1上にレジストなどの光感光性樹脂が形成された試料Sをステージ13に載置し、ステージ13を等速で移動させる。例えば、図2の光源アレイ21のアパーチャ22a、液晶スイッチ23a、マイクロレンズ24aを介した試料Sの表面S1上における集光スポットの軌跡が露光すべき所定の位置を通過するタイミングで液晶スイッチ23aを図3(b)のオフ状態から図3(a)のオン状態にするようにして光源アレイ21がオンオフ制御される。
PC17は、露光すべき露光パターンの情報(露光データ)を演算し光源制御回路16に転送し、かかる露光データに基づいて光源制御回路16・制御回路23jにより光源アレイ21から出力する光のオンオフを変化させることで露光パターンを試料Sの表面S1上の光感光性樹脂にマスクレスで形成する。
次に、図2の光源アレイの別の例について図4を参照して説明する。図4は図2の光源アレイの変形例を示す図2と同様の図である。図4の光源アレイ21Aは、半導体発光素子や水銀ランプ等からの光を光ファイバ25により導いた後に、マイクロレンズアレイ26で平行光として開口部材22の各アパーチャ22a〜22eに導入するように構成されたものである。
図4のように、光源アレイ21Aの多数のピクセルに応じて各光ファイバ25a〜25eが配置されるとともに、同じくピクセルに応じて各マイクロコリメートレンズ26a〜26eが設けられたマイクロレンズアレイ26が配置されている。マイクロレンズアレイ26はマイクロコリメートレンズ26aと26b,26bと26c,・・・間の間隔(ピッチ)がそれぞれ500μm程度となるように比較的大きく構成されている。また、開口部材22及び液晶光スイッチ23は図2と同様に構成されている。
図4の光源アレイ21Aでは、半導体発光素子や水銀ランプ等からの光を各光ファイバ25a〜25eによりマイクロレンズアレイ26に導き、各マイクロコリメートレンズ26a〜26eで平行光とし、この平行光を開口部材22の各アパーチャ22a〜22eに導入し、液晶光スイッチ23の各液晶スイッチ23a〜23eでオンオフ変調制御して出力する。光源アレイ21Aと光学系12により上述と同様に露光ヘッド20を構成できる。
本実施形態のマスクレス露光装置10によれば、新規な構成により次のような作用効果を奏する。
各ピクセルに対応する光源アレイ21の各ピクセルの空間的な周期が500μmと従来よりもかなり大きな値になるように光源11をアレイ化し、発光の位置間隔を500μm程度と広くし、光源アレイ21の空間周期が大きくなるとともに光源アレイ21を集積化することで、従来よりも広い範囲を網羅することのできる露光ヘッド20を構成できる。このために大面積の露光を容易に実施可能となる。
また、光源位置の周期性が大きくなることで、露光ヘッド20自身の放熱性がよくなる。また、光源の空間的な周期位置間隔を大きくすることで、ピクセルの充填率を下げることができるために、露光光の光束位置以外にも面積的な余裕があり、このため、様々な制御回路や配線パターンを設置することが可能となるなど回路を構成するための自由度が大きくなる。
また、光のオンオフ変調のためにアパーチャ22a〜22e及び液晶スイッチ23a〜23eを用い、液晶光スイッチ23において光通過部Tの断面積を狭く構成することで、光透過型の光スイッチであっても回路基板を設置する領域を確保できるために、光束が通過する周辺に図3の制御回路23jのような制御回路を備えることができる。
上述の露光ヘッド20を有するマスクレス露光装置10は、特に、大面積の領域を5μm以下の線幅で高精度に露光するようなFPD(Flat Panel Display)やPDP (Plasma Display Panel) 用の露光装置として効果的である。
また、本実施形態のマスクレス露光装置10を図7の特許文献6のパターン露光装置と比較すると、大面積露光への適用に関しては、図7では集光スポットの間隔が狭いため、大面積露光にはDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)が複数必要であるのに対し、本実施形態では集光スポットの間隔が広いため大きな露光ヘッドが設計可能であり大面積露光に適したものに構成できる。また、露光スループットに関しては、図7では露光速度はDMDのスイッチング速度により決まり、そのスイッチング速度に限界があるのに対し、本実施形態では液晶を用いて光のオンオフが可能なシンプルな構成であるため、大面積化が容易であり、高い露光スループットを得ることができる。さらに、集光スポット位置の自由度に関しては、図7ではDMDを用いるために光学的な設計自由度が低いのに対し、光源アレイ21の各ピクセルの間隔が広くなるので、制御用の回路基板をピクセルの周りに配置可能となり、設計自由度が高くなり、有利である。
次に、露光パターンの解像度を向上させるための露光配置について図5,図6を参照して説明する。図5は、図1のマスクレス露光装置の集光スポット投影位置の例を示す平面図である。図6は、図1のマスクレス露光装置の集光スポット投影位置の別の例を示す平面図である。
図5に示すように、ステージ13上の試料Sの表面S1上で、図の等間隔に平行に並んだ縦線mと横線nとにより多数の正方格子が形成され、それらの正方格子がステージ13の移動方向S3に対して傾斜するように構成することで、縦線mと横線nとの多数の交点aが集光スポットの投影位置となると、各集光スポットの投影位置の隣り合う距離が短くなるために露光のデータ解像度が大きくなる。このように、集光スポット投影位置をステージ13の移動方向S3に対し傾斜させることで露光の空間分解能を向上させることができる。
また、図6のように、例えば、縦線m’をステージ13の移動方向S3に対して傾斜させ、横線n’とにより多数の斜方格子が形成され、それらの多数の交点bが集光スポットの投影位置となるように構成することで、各集光スポットの投影位置の隣り合う距離が短くなるために露光のデータ解像度が大きくなる。このように、集光スポット投影位置をステージ13の移動方向S3に対し直交する方向に歪ませることで露光の空間分解能を向上させることができる。
次に、本実施形態の露光ヘッドにおける集積例及び露光のスループットの計算例について図8を参照して説明する。図8は図1,図2の露光ヘッドの集光スポットの出射面を部分的かつ概略的に示す平面図である。
図8のように、露光ヘッド20の集光スポットの出射面Lにはマイクロレンズアレイ24が配置され、マイクロレンズアレイ24は、多数のマイクロレンズ24a、24bがピッチp1で格子状に規則正しく配列されるようにして集積されている。このピッチp1は0.5mmであり、このため、集光スポットの配列ピッチp(図2)は0.5mmである。集積数(ピクセル数)は、ステージ13の移動方向S3に1000個、移動方向S3に直交する方向に6000個である。データ解像度を0.5μm、光源の変調速度を100kHzとすると、露光速度は50mm/秒となり、高い露光スループットを達成できる。
以上のように、本実施形態では、従来よりも集光スポットの間隔pを500μm程度に大きく広げかつ集積度を増すとともに、スポット位置の精密位置決め及び半導体発光素子の高応答性を利用することで、大面積な範囲を高分解能でかつ高スループットで露光を行うことができる。
〈第2の実施形態〉
図9は第2の実施形態のマスクレス露光装置における光源アレイ、光学系、試料の相対的な位置関係を概略的に示す図である。
図9は第2の実施形態のマスクレス露光装置における光源アレイ、光学系、試料の相対的な位置関係を概略的に示す図である。
第2の実施形態のマスクレス露光装置の基本的構成は図1と同様であるので、各部分の説明は省略する。本実施形態のマスクレス露光装置は、図2における液晶光スイッチの代わりに、干渉型の光スイッチ(以下、「干渉光スイッチ」という。)を配置したものであり、その他の構成は同じであるので、同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
図1の光源11は、LD(レーザダイオード)やLED(発光ダイオード)などの半導体発光素子、または、水銀ランプ等と、開口部材22と、干渉光スイッチ33と、を備え、多数のピクセルからなる光源アレイ31に構成されている。干渉光スイッチ33は光源アレイ21のピクセル数に対応して多数の光スイッチ33a〜33eが格子状に周期配置されている。
光源アレイ31では、半導体発光素子や水銀ランプ等からの光が開口部材22の各アパーチャ22a〜22eに入射し、各光スイッチ33a〜33eでオンオフ(光の透過・非透過)制御されながら、各光スイッチ33a〜33eから光が出力する。干渉光スイッチ33は各光スイッチ33a〜33eが光源制御回路16により独立にオンオフ可能な構成となっている。
次に、図9の干渉光スイッチについて図10を参照して説明する。図10は図9の干渉光スイッチの作動原理を説明するために干渉光スイッチを概略的に示す要部断面図であり、光透過のオン状態(a)及び光非透過のオフ状態(b)をそれぞれ示す図である。
図10(a)、(b)のように、干渉光スイッチ33は、各光スイッチ33a〜33eが固定ハーフミラー33fと移動ハーフミラー33gと移動ハーフミラー33gを移動させる駆動手段(図示省略)とから構成され、駆動手段は、図1の光源制御回路16により駆動され、移動ハーフミラー33gを光軸方向に微小に変位させ、固定ハーフミラー33fに対する間隔gを変えるようになっている。
図3(b)のオフ状態では、移動ハーフミラー33gを駆動することで2つのハーフミラー33f,33gによる光の干渉が弱めあうような間隔gに調整することで、光Bを遮断する。一方、図3(a)のオン状態では、2つのハーフミラー33f,33gによる光の干渉が強めあうような間隔gに調整することで、光Aを透過させる。このように、干渉光スイッチ33では、干渉効果を利用して高速なスイッチングが可能である。
各光スイッチ33a〜33eを構成する移動ハーフミラー33gと固定ハーフミラー33fは、MEMS技術により作製することができ、駆動手段は、例えば電極への電圧印加により静電吸引力を発生させるような構成とすることができる。かかる光スイッチは、例えば、非特許文献「Y.Taii,A,Higo,H.Fujita and H.Toshiyoshi,"Electrostatically Controlled Transparent Display Pixels by PEN一Film MEMS",IEEE/LEOS Int.Conf.on Optical MEMS and Their Applications,August 1-4,2005,0ulu,Finland」や「"MARS for Fiber-in-the-loop Application",J.W.Kim,M.S.Park,B.H.Park,K.S.Kwak,O'Dae Kwon,13th Opt.and Quantm Electron.Conf.,p.9(1996)(http://www.postech.ac.kr/dept/ee/light/act/mars/mars.html)」から公知である。
光源アレイ31は、図2と同様に各ピクセル間の間隔(ピッチ)が500μm程度に比較的広くなるように構成されている。干渉光スイッチ33の各光スイッチ33a〜33eから出力した光を光学系12のレンズ系により試料Sの表面S1上に集光し集光スポットS2を形成する。
すなわち、光源アレイ31の半導体発光素子や水銀ランプ等からの光が自由空間で図9の矢印方向に平行光として各アパーチャ22a〜22eに入射し、図9の各光スイッチ33a〜33eへの電圧印加を制御することで各光スイッチ33a〜33eでオンオフ変調され、各光スイッチ33a〜33eから出力した光がマイクロレンズアレイ24によって試料Sの表面S1上に集光スポットS2として投影される。
干渉光スイッチ33では、各光スイッチ33aと33b,33bと33c,・・・間の間隔(ピッチ)が500μm程度となるように比較的大きく構成されており、このため、試料Sの表面S1上で隣り合う集光スポットS2の間隔(ピッチ)pが500μm程度と比較的大きくなっている。
上述のように、光源アレイ31と光学系12とを備える露光ヘッド40は集光スポットS2の間隔pが500μm程度と比較的大きく、かかる露光ヘッド40をマスクレス露光装置が備えることで大面積露光が可能となる。また、図9,図10の露光ヘッド40を備えたマスクレス露光装置による露光動作は、図1〜図3と同様にして行われる。
次に、図9の光源アレイの別の例について図11を参照して説明する。図11は図9の光源アレイの変形例を示す図9と同様の図である。図11の光源アレイ31Aは、図4と同様に、半導体発光素子や水銀ランプ等からの光を光ファイバ25により導いた後に、マイクロレンズアレイ26で平行光として開口部材22の各アパーチャ22a〜22eに導入するように構成されたものである。光ファイバ25及びマイクロレンズアレイ26の構成は図4と同様であり、干渉光スイッチ33は図9,図10と同様に構成されている。
図11の光源アレイ31Aでは、半導体発光素子や水銀ランプ等からの光を各光ファイバ25a〜25eによりマイクロレンズアレイ26に導き、各マイクロコリメートレンズ26a〜26eで平行光とし、この平行光を開口部材22の各アパーチャ22a〜22eに導入し、干渉光スイッチ33の各光スイッチ33a〜33eでオンオフ変調制御して出力する。光源アレイ31Aと光学系12により上述と同様に露光ヘッド20を構成できる。
本実施形態のマスクレス露光装置によれば、新規な構成により次のような作用効果を奏する。
各ピクセルに対応する光源アレイ31の各ピクセルの空間的な周期が500μmと従来よりもかなり大きな値になるように光源アレイ31を構成し、光源アレイ31の発光部の空間周期が大きくなるとともに光源アレイ31を集積化することで、従来よりも広い範囲を網羅することのできる露光ヘッド40を構成できる。このために大面積の露光を容易に実施可能となる。
また、光源位置の周期性が大きくなることで、露光ヘッド40自身の放熱性がよくなる。また、光源の空間的な周期位置間隔を大きくすることで、ピクセルの充填率を下げることができるために、露光光の光束位置以外にも面積的な余裕があり、このため、様々な制御回路や配線パターンを設置することが可能となるなど回路を構成するための自由度が大きくなる。
光のオンオフ変調のために干渉原理を用いた干渉光スイッチ33を用いているため、少ない変位でスイッチングできるために高速性向上に寄与することができる。
上述の露光ヘッド40を有するマスクレス露光装置は、特に、大面積の領域を5μm以下の線幅で高精度に露光するようなFPD(Flat Panel Display)やPDP (Plasma Display Panel) 用の露光装置として効果的である。
また、本実施形態のマスクレス露光装置を図7の特許文献6のパターン露光装置と比較すると、大面積露光への適用に関しては、図7では集光スポットの間隔が狭いため、大面積露光にはDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)が複数必要であるのに対し、本実施形態では集光スポットの間隔が広いため大きな露光ヘッドが設計可能であり大面積露光に適したものに構成できる。また、露光スループットに関しては、図7では露光速度はDMDのスイッチング速度により決まり、そのスイッチング速度に限界があるのに対し、本実施形態では干渉原理により干渉光スイッチを用いて光源のオンオフが可能なシンプルな構成であるので、スイッチングが高速化でき、高速変調が可能であので、大面積化が容易であり、高い露光スループットを得ることができる。
また、本実施形態のマスクレス露光装置においても図5と同様に、集光スポット位置をステージ13の移動方向S3に対し傾斜させることで露光の空間分解能を向上させることができる。また、図6と同様に、集光スポット位置をステージ13の移動方向S3に対し直交する方向に歪ませることで露光の空間分解能を向上させることができる。
また、本実施形態においても図8と同様の集積例で露光ヘッドを構成でき、上述と同様に高い露光のスループットを達成できる。このため、本実施形態では、従来よりも集光スポットの間隔pを500μm程度に大きく広げかつ集積度を増すとともに、スポット位置の精密位置決め及び半導体発光素子の高応答性を利用することで、大面積な範囲を高分解能でかつ高スループットで露光を行うことができる。
以上のように本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、図4,図11では、1枚のマイクロレンズアレイにより集光するように構成してもよく、また、図2,図4,図9,図11では、複数の光学系を利用するように構成してもよい。
また、図2,図4,図9,図11では、光源アレイが開口部材22及び液晶光スイッチ23や干渉光スイッチ33を含むものとして説明したが、開口部材22及び液晶光スイッチ23や干渉光スイッチ33が光学系12に含まれるものとしてもよいことはもちろんである。
また、本実施形態では、露光ヘッド20,40と被露光物である試料Sとの相対移動を試料Sが載るステージ13で行うようにしたが、露光ヘッド20,40側を移動させるようにしてもよく、また、両方を移動させるようにしてもよい。
また、本実施形態の各マスクレス露光装置は、プリント基板用露光、マイクロマシン製造用露光、マイクロ流路パターニング用露光、液晶パネルのカラーフィルタおよびTFT、周辺配線の露光、及びフォトマスク作製用に適用可能なフォトリソグラフィ用露光に適用可能である。
10 マスクレス露光装置、11 光源、12 光学系、13 ステージ、16 光源制御回路、17 PC、20 露光ヘッド、21,21A 光源アレイ、22 開口部材、23 液晶光スイッチ、23a〜23e 液晶スイッチ、23j 制御回路、24 マイクロレンズアレイ、25 光ファイバ、26 マイクロレンズアレイ、31,31A 光源アレイ、33 干渉光スイッチ、33a〜33e 光スイッチ、40 露光ヘッド、S 試料(被露光物)、S1 試料Sの表面、S2 集光スポット、S3 ステージの移動方向、p 間隔(ピッチ)
Claims (7)
- 被露光物に露光する光を出力するための光源と、光路中に設けられた光スイッチング手段と、前記光源からの光を前記被露光物へ導く光学系と、により前記被露光物上に多数の集光スポットを投影可能な露光ヘッドと、
前記露光ヘッドと前記被露光物とを相対移動させる移動手段と、を備え、
前記各集光スポットのオンオフを前記光スイッチング手段により制御するとともに前記移動手段による相対移動を制御することで前記被露光物上に任意のパターンを露光することを特徴とするマスクレス露光装置。 - 前記光学系は所定のピクセル数でマイクロレンズが配列されたマクロレンズアレイを有し、
前記光スイッチング手段は、前記ピクセル数に応じたスイッチングが可能な液晶光スイッチを有する請求項1に記載のマスクレス露光装置。 - 前記光学系は所定のピクセル数でマイクロレンズが配列されたマクロレンズアレイを有し、
前記光スイッチング手段は、前記ピクセル数に応じたスイッチングが可能な干渉型の光スイッチを有する請求項1に記載のマスクレス露光装置。 - 前記被露光物上に投影された隣り合う集光スポットの間隔が500μm程度である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマスクレス露光装置。
- 前記移動手段が前記被露光物を載置し前記露光ヘッドに対し移動可能なステージから構成された請求項1乃至4のいずれか1項に記載のマスクレス露光装置。
- 前記多数の集光スポットの投影位置を縦横に結ぶ直線がなす正方格子を前記相対移動の方向に対し傾斜させるようにした請求項1乃至5のいずれか1項に記載のマスクレス露光装置。
- 前記多数の集光スポットの投影位置を縦横に結ぶ直線が前記相対移動の方向に対し斜方格子をなすようにした請求項1乃至5のいずれか1項に記載のマスクレス露光装置。
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