本発明は、基板を露光する露光装置、露光方法、及びデバイス製造方法に関する。
本願は、2007年12月17日に出願された特願2007−325222号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
フォトリソグラフィ工程で用いられる露光装置は、パターンを露光光で照明し、そのパターンからの露光光で基板上の複数のショット領域を順次露光する。露光装置に求められる性能の一つとして、スループットの向上が挙げられる。そのため、例えば特許文献1に開示されているような、2つ以上のパターンを用いて基板上のショット領域を順次露光する技術が案出されている。特許文献1に開示されている露光装置は、走査型露光装置であり、照明システムの照明領域に対するパターンの移動と同期して、投影光学システムの投影領域に対してショット領域を移動しながら、そのショット領域を露光する。
特開平09−007933号公報
走査型露光装置は、パターンを露光開始位置へ移動する動作、走査露光のためにパターンの移動を開始する動作、及びパターンを照明領域に対して所定速度で露光終了位置まで移動する動作等を含む。2つのパターンを用いて露光する場合において、例えば上述の特許文献1の発明によれば、一方のパターンが走査露光のための移動を終了した後、他方のパターンが走査露光のための移動を開始してから終了するまでの間に、先に走査露光を終了していた前記一方のパターンは次の走査露光の開始位置に戻っていなければならない。
この「戻り動作」に時間が掛かってしまっては、前記一方のパターンを用いる走査露光を開始するまでの時間が長くなる可能性がある。その結果、スループットは向上せず、たとえ2つのパターンを用いても、デバイスの生産性の向上は望めない。このように、単に2つのパターンを用いるというだけでは、デバイスの生産性を向上させることは困難である。
本発明は、現実的にスループットを向上できる露光装置、及び露光方法を提供することを目的とする。別の目的は、現実的にデバイスの生産性を向上できるデバイス製造方法を提供することである。
本発明の第1の態様に従えば、第1パターンを少なくとも順移動及び逆移動可能な第1移動装置と、第2パターンを少なくとも順移動及び逆移動可能な第2移動装置と、前記第1パターンからの第1露光光及び前記第2パターンからの第2露光光の少なくとも1つと交差しながら、基板を少なくとも順移動及び逆移動可能な基板移動装置と、前記第1移動装置、前記第2移動装置、及び前記基板移動装置を制御する制御装置であって、前記第1露光光及び前記第2露光光で前記基板上の2つのショット領域を前記第1パターン及び前記第2パターンを順移動させつつそれぞれ順次露光し、少なくとも前記基板の移動の反転を伴って前記第1露光光及び前記第2露光光で前記基板上の前記2つのショット領域と隣接した次の2つのショット領域を前記第1パターン及び前記第2パターンを逆移動させつつそれぞれ順次露光する単露光モードを実行する前記制御装置と、を備える露光装置が提供される。
本発明の第2の態様に従えば、第1ショット領域を、第1パターンからの第1露光光で単露光する又は前記第1露光光及び第2パターンからの第2露光光で多重露光する動作であって、前記単露光は、前記基板の順移動と、前記第1パターンの順移動とを含み、前記多重露光は、前記基板の順移動と、前記第1パターン及び前記第2パターンの同期的順移動とを含む、前記動作と、前記第1ショット領域の露光の後に、第2ショット領域を、前記第2露光光で単露光する又は前記第1露光光及び前記第2露光光で多重露光する動作であって、前記単露光は、前記基板の順移動と、前記第2パターンの順移動とを含み、前記多重露光は、前記基板の逆移動と、前記第1パターン及び前記第2パターンの同期的逆移動とを含む、前記動作と、前記第2ショット領域の露光の後に、第3ショット領域を、前記第2露光光で単露光する又は前記第1露光光及び前記第2露光光で多重露光する動作であって、前記単露光は、前記基板の逆移動と、前記第2パターンの逆移動とを含み、前記多重露光は、前記基板の順移動と、前記第1パターン及び前記第2パターンの同期的順移動とを含む、前記動作と、前記第3ショット領域の露光の後に、第4ショット領域を、前記第1露光光で単露光する又は前記第1露光光及び前記第2露光光で多重露光する動作であって、前記単露光は、前記基板の逆移動と、前記第1パターンの逆移動とを含み、前記多重露光は、前記基板の逆移動と、前記第1パターン及び前記第2パターンの同期的逆移動とを含む、前記動作と、を含む露光方法が提供される。
本発明の第3の態様に従えば、第1パターンを少なくとも順移動及び逆移動可能な第1移動装置と、第2パターンを少なくとも順移動及び逆移動可能な第2移動装置と、第3パターンを少なくとも順移動及び逆移動可能な第3移動装置と、前記第1パターンからの第1露光光、前記第2パターンからの第2露光光、及び前記第3パターンからの第3露光光の少なくとも1つと交差しながら、基板を少なくとも順移動及び逆移動可能な基板移動装置と、前記第1移動装置、前記第2移動装置、前記第3移動装置、及び前記基板移動装置を制御する制御装置であって、前記第1、前記第2、及び前記第3露光光の1つで前記基板を露光している間に、前記第1、前記第2、及び前記第3パターンの少なくとも1つが準備動作する、前記制御装置と、を備える露光装置が提供される。
本発明の第4の態様に従えば、基板を露光する露光装置であって、第1パターンを所定の走査方向に移動可能な第1移動装置と、第2パターンを所定の走査方向に移動可能な第2移動装置と、第1パターンからの第1露光光が照射される第1露光領域及び第2パターンからの第2露光光が照射される第2露光領域に対して、基板上の複数のショット領域を所定の走査方向に移動可能な基板移動装置と、基板が一方向に移動しているときに、第1パターンを所定方向に移動して、第1露光領域に照射される第1露光光で、基板上の第1ショット領域を露光した後、基板の一方向への移動を継続しつつ、第2パターンを特定方向に移動して、基板上の第2ショット領域を露光し、その後、基板及び第2パターンのそれぞれの移動方向を逆方向にして、第2露光領域に照射される第2露光光で、基板上の第3ショット領域を露光した後、基板の逆方向への移動を継続しつつ、第1パターンを所定方向と逆方向に移動して、第1露光領域に照射される第1露光光で、基板上の第4ショット領域を露光する第1露光モードで、第1移動装置と第2移動装置と基板移動装置とを制御する制御装置と、を備えた露光装置が提供される。
本発明の第5の態様に従えば、基板を露光する露光装置であって、第1パターンを所定の走査方向に移動可能な第1移動装置と、第2パターンを所定の走査方向に移動可能な第2移動装置と、第3パターンを所定の走査方向に移動可能な第3移動装置と、第1パターンからの第1露光光が照射される第1露光領域、第2パターンからの第2露光光が照射される第2露光領域及び第3パターンからの第3露光光が照射される第3露光領域に対して、基板上の複数のショット領域を所定の走査方向に移動可能な基板移動装置と、基板が一方向に移動しているときに、第1パターンを所定方向に移動して第1露光領域に照射される第1露光光で基板上の第1ショット領域を露光する間に、第2パターンを所定方向に移動して第2露光領域に照射される第2露光光で基板上の第2ショット領域を露光するための準備動作を行い、第3パターンを所定方向に移動して第3露光領域に照射される第3露光光で基板上の第3ショット領域を露光するための準備動作を行うとともに、第1パターンを所定方向とは逆方向へ移動して、次に第1パターンを所定方向に移動して第1露光領域に照射される第1露光光で基板上の第4ショット領域を露光するための準備動作を行うように、第1移動装置と第2移動装置と第3移動装置と基板移動装置とを制御する制御装置と、を備えた露光装置が提供される。
本発明の第6の態様に従えば、第1、第3、第4、及び第5の態様の露光装置を用いて基板を露光することと、露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
本発明の第7の態様に従えば、基板を露光する露光方法であって、基板の一方向への移動と同期して、第1露光光に対して第1パターンを所定方向に移動して、第1パターンからの第1露光光で基板上の第1ショット領域を露光した後、基板の一方向への移動を継続しつつ、第2パターンを特定方向に移動して、第2パターンからの第2露光光で第1ショット領域に隣接する基板上の第2ショット領域を露光することと、基板の一方向への移動を継続しつつ、第2パターンを特定方向に移動して、第2パターンからの第2露光光で第2ショット領域を露光した後に、基板及び第2パターンのそれぞれの移動方向を逆方向にして、基板の逆方向への移動と同期して、第2パターンを逆方向に移動して、第2パターンからの第2露光光で基板上の第3ショット領域を露光することと、第3ショット領域の露光と連続して、基板の逆方向への移動を継続しつつ、第1パターンを第2パターンの移動方向と同じ方向に移動して、第1パターンからの第1露光光で第3ショット領域に隣接する基板上の第4ショット領域を露光することと、を含む露光方法が提供される。
本発明の第8の態様に従えば、第2及び第7の態様の露光方法を用いて基板を露光することと、露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
本発明によれば、スループットの向上を実現することが可能であり、デバイスの生産性の向上を実現することが可能となる。
第1実施形態に係る露光装置の一例を示す概略構成図である。
第1実施形態に係る基板を保持した基板ステージを示す平面図である。
第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための模式図である。
第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための模式図である。
第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための模式図である。
第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための模式図である。
第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための模式図である。
第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための模式図である。
第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための模式図である。
第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための模式図である。
第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための模式図である。
第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための模式図である。
第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための模式図である。
第1実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための模式図である。
第2実施形態に係る露光装置の一例を示す模式図である。
第2実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための模式図である。
第2実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための模式図である。
第2実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための模式図である。
第2実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための模式図である。
第2実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための模式図である。
第2実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための模式図である。
第2実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための模式図である。
第2実施形態に係る露光装置の動作の一例を説明するための模式図である。
マイクロデバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
符号の説明
1…第1マスクステージ(第1移動装置)、2…第2マスクステージ(第2移動装置)、3…基板ステージ(基板移動装置)、8…制御装置、9…液浸部材、10…終端光学素子、EL1…第1露光光、EL2…第2露光光、EX…露光装置、IL1…第1照明システム、IL2…第2照明システム、IR1…第1照明領域、IR2…第2照明領域、LQ…液体、LS…液浸空間、P…基板、PA1…第1パターン、PA2…第2パターン、PL…投影光学システム、PL1…第1光学システム、PL2…第2光学システム、PR1…第1露光領域、PR2…第2露光領域、S(S1〜S6)…ショット領域
発明を実施するための形態
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。そして、水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る露光装置EXの一例を示す概略構成図である。図1において、露光装置EXは、第1パターンPA1が形成された第1マスクM1を保持して移動可能な第1マスクステージ1(第1移動装置)と、第2パターンPA2が形成された第2マスクM2を保持して移動可能な第2マスクステージ2(第2移動装置)と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ3と、第1光源装置4からの第1露光光EL1で第1パターンPA1を照明する第1照明システムIL1と、第2光源装置5からの第2露光光EL2で第2パターンPA2を照明する第2照明システムIL2と、第1露光光EL1で照明された第1パターンPA1の像、及び第2露光光EL2で照明された第2パターンPA2の像を基板Pに投影する投影光学システムPLと、第1マスクステージ1、第2マスクステージ2、及び基板ステージ3それぞれの位置情報を計測可能な干渉計システム6と、基板ステージ3に保持された基板Pの表面の位置情報(面位置情報)を検出可能なフォーカス・レベリング検出システム7と、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置8とを備えている。
また、本実施形態の露光装置EXは、例えば米国特許出願公開第2005/0280791号明細書、及び米国特許出願公開第2007/0127006号明細書等に開示されているような、液体LQを介して基板Pを露光する液浸露光装置であり、第1、第2露光光EL1、EL2の光路の少なくとも一部を液体LQで満たすように液浸空間LSを形成可能な液浸部材9を備えている。液浸空間LSは、液体LQで満たされた空間である。本実施形態においては、液体LQとして、水(純水)を用いる。なお、液体LQは、水以外の液体でもよい。
第1マスクM1及び第2マスクM2は、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。第1、第2マスクM1、M2は、例えばガラス板等の透明板上にクロム等の遮光膜を用いて所定のパターンが形成された透過型マスクを含む。透過型マスクは、遮光膜でパターンが形成されるバイナリーマスクに限られず、例えばハーフトーン型、あるいは空間周波数変調型等の位相シフトマスクも含む。本実施形態においては、第1、第2マスクM1、M2として透過型マスクを用いる。なお、第1、第2マスクM1、M2として、反射型マスクを用いることもできる。また、本実施形態においては、第1マスクM1と第2マスクM2とは、同一の種類のマスクである。本実施形態においては、第1マスクM1と第2マスクM2との両方が、バイナリーマスクである。なお、第1マスクM1と第2マスクM2との両方が、位相シフトマスクでもよい。また、第1マスクM1と第2マスクM2とが、異なる種類のマスクでもよい。例えば、第1マスクM1及び第2マスクM2の一方が、バイナリーマスクで、他方が、位相シフトレチクルでもよい。
基板Pは、デバイスを製造するための基板である。基板Pは、例えばシリコンウエハのような半導体ウエハ等の基材に感光膜が形成されたものを含む。感光膜は、感光材(フォトレジスト)の膜である。また、基板Pが、感光膜と別の膜を含んでもよい。例えば、基板Pが、反射防止膜を含んでもよいし、液浸露光の際に液体から感光膜を保護する保護膜(トップコート膜)を含んでもよい。
投影光学システムPLは、その投影光学システムPLの像面側に、第1パターンPA1からの第1露光光EL1が照射される第1露光領域PR1、及び第2パターンPA2からの第2露光光EL2が照射される第2露光領域PR2を所定の位置関係で設定可能である。投影光学システムPLは、第1パターンPA1の像を第1露光領域PR1に形成可能であり、第2パターンPA2の像を第2露光領域PR2に形成可能である。第1照明システムIL1より射出され、第1パターンPA1及び投影光学システムPLを介して第1露光領域PR1に照射される第1露光光EL1によって、第1露光領域PR1に第1パターンPA1の像が形成される。また、第2照明システムIL2より射出され、第2パターンPA2及び投影光学システムPLを介して第2露光領域PR2に照射される第2露光光EL2によって、第2露光領域PR2に第2パターンPA2の像が形成される。
本実施形態の露光装置EXは、第1マスクM1及び第2マスクM2と基板Pとをそれぞれの走査方向に同期移動しつつ、第1マスクM1の第1パターンPA1の像及び第2マスクM2の第2パターンPA2の像を基板P上に投影する走査型露光装置(所謂、スキャニングステッパ)である。本実施形態においては、第1マスクM1及び第2マスクM2と基板Pとの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とする。制御装置8は、第1マスクM1及び第2マスクM2のY軸方向への移動と基板PのY軸方向への移動とが同期して行われるように、第1マスクステージ1と第2マスクステージ2と基板ステージ3とを制御する。
基板ステージ3は、第1露光領域PR1及び第2露光領域PR2に対して、基板P上の複数のショット領域をY軸方向(走査方向)に移動可能である。
本実施形態において、制御装置8は、第1露光モードと第2露光モードとを切り替え可能である。第1露光モードは、第1露光領域PR1に照射される第1パターンPA1からの第1露光光EL1で、基板P上の一つのショット領域を露光し、第2露光領域PR2に照射される第2パターンPA2からの第2露光光EL2で、基板P上の別の一つのショット領域を露光する動作を含む。したがって、第1露光モードでは、第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像とは、基板P上で重ならない。第2露光モードは、第1露光領域PR1に照射される第1パターンPA1からの第1露光光EL1と第2露光領域PR2に照射される第2パターンPA2からの第2露光光EL2とで、基板P上の同じ一つのショット領域を露光する動作を含む。すなわち、第1露光モードでは、所謂、シングルパターニング処理が実行され、第2露光モードでは、所謂、ダブルパターニング(二重露光、多重露光)処理が実行される。
また、第1露光モードでは、第1パターンPA1を第1露光光EL1で照明中、第2パターンPA2は第2露光光EL2で照明されない。あるいは、第1パターンPA1を第1露光光EL1で照明中、第2パターンPA2を第2露光光EL2で照明するにしても、第2露光光EL2が第2露光領域PR2に照射されないように第2露光光EL2の光路を第2露光領域PR2の手前で遮断する遮光装置を設けてもよい。また、第1露光モードでは、第2パターンPA2を第2露光光EL2で照明中、第1パターンPA1は第1露光光EL1で照明されない。あるいは、第2パターンPA2を第2露光光EL2で照明中、第1パターンPA1を第1露光光EL1で照明するにしても、第1露光光EL1が第1露光領域PR1に照射されないように第1露光光EL1の光路を第1露光領域PR1の手前で遮断する遮光装置を設けてもよい。第2露光モードでは、第1パターンPA1を第1露光光EL1で照明する動作の少なくとも一部と並行して、第2パターンPA2を第2露光光EL2で照明する動作が実行される。
また、本実施形態においては、第1露光モードでは、第1パターンPA1と第2パターンPA2とは同じパターンであり、第2露光モードでは、第1パターンPA1と第2パターンPA2とは異なるパターンである。なお、第1露光モードについては、第1パターンPA1と第2パターンPA2とは異なるパターンであってもよい。
まず、第1光源装置4及び第2光源装置5について説明する。第1光源装置4は、第1露光光EL1を射出し、第2光源装置5は、第2露光光EL2を射出する。第1、第2光源装置4、5から射出される第1、第2露光光EL1、EL2としては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においては、第1、第2光源装置4、5として、ArFエキシマレーザ装置を用い、第1、第2露光光EL1、EL2として、ArFエキシマレーザ光を用いる。
次に、第1照明システムIL1及び第2照明システムIL2について説明する。本実施形態において、第1照明システムIL1は、例えば、米国特許出願公開第2006/0170901号明細書に開示されているような、ビームエキスパンダ、偏光状態切換光学系、回折光学素子、アフォーカル光学系(無焦点光学系)、ズーム光学系、偏光変換素子、オプティカルインテグレータ、及びコンデンサー光学系等を含み、所定の第1照明領域IR1を均一な照度分布の第1露光光EL1で照明する。
また、第1照明システムIL1は、第1照明領域IR1を規定可能な第1光学機構BR1を備えている。第1光学機構BR1は、第1照明領域IR1の大きさ、形状、及び位置(回転位置を含む)の少なくとも一つを調整可能である。本実施形態において、第1光学機構BR1は、例えば米国特許第6597002号明細書に開示されているような、第1マスクM1上での第1露光光EL1による第1照明領域IR1を規定する固定ブラインド、及び第1露光光EL1による基板Pの不要な露光を抑制するための可動ブラインドを有するブラインド装置(マスキングシステム)を含む。第1光学機構BR1は、第1照明システムIL1内において、第1マスクM1のパターン形成面と光学的にほぼ共役な位置に配置された、独立に可動な複数の可動ブラインドを備えている。第1光学機構BR1は、その複数の遮光板の少なくとも1つの移動によって、第1マスクM1上での第1照明領域IR1の大きさ(幅)を変更可能である。制御装置8は、その第1光学機構BR1を制御して、第1照明領域IR1の大きさ(幅)を調整することによって、第1露光領域PR1の大きさ(幅)を調整することができる。また、制御装置8は、第1光学機構BR1を用いて、第1露光領域PR1に照射される第1露光光EL1による基板Pの走査露光の開始及び終了を制御可能である。これにより、制御装置8は、1回の走査露光動作によって露光すべき基板P上の1つのショット領域以外の不要な露光を抑制することができる。
第2照明システムIL2は、第1照明システムIL1とほぼ同様の構成を有し、所定の第2照明領域IR2を均一な照度分布の第2露光光EL2で照明する。第2照明システムIL2は、第2照明領域IR2を規定可能な第2光学機構BR2を有する。第2光学機構BR2は、第2照明領域IR2の大きさ、形状、及び位置(回転位置を含む)の少なくとも一つを調整可能である。第1光学機構BR1と同様、第2光学機構BR2は、例えば米国特許第6597002号明細書に開示されているようなブラインド装置(マスキングシステム)を含む。制御装置8は、第2光学機構BR2を用いて、第2露光領域PR2に照射される第2露光光EL2による基板Pの走査露光の開始及び終了を制御可能である。これにより、制御装置8は、1回の走査露光動作によって露光すべき基板P上の1つのショット領域以外の不要な露光を抑制することができる。
本実施形態において、第1照明システムIL1は、第1偏光状態の第1露光光EL1で第1パターンPA1を照明し、第2照明システムIL2は、第1偏光状態と異なる第2偏光状態の第2露光光EL2で第2パターンPA2を照明する。第1偏光状態は、例えばS偏光状態であり、第2偏光状態は、例えばP偏光状態である。なお、同じ偏光状態の第1、第2露光光EL1、EL2で第1、第2パターンPA1、PA2が照明されてもよい。
また、第1、第2露光光EL1、EL2の少なくとも一方が、ランダム偏光状態(無偏光状態)でもよい。
次に、第1マスクステージ1及び第2マスクステージ2について説明する。第1マスクステージ1は、第1マスクM1を保持する第1マスク保持部1Hを有する。第1マスク保持部1Hは、第1マスクM1を着脱可能である。本実施形態において、第1マスク保持部1Hは、第1マスクM1のパターン形成面とXY平面とがほぼ平行となるように、第1マスクM1を保持する。第1マスクステージ1は、第1マスクステージ駆動システム1Dによって駆動される。第1マスクステージ駆動システム1Dは、リニアモータ等のアクチュエータを含む。第1マスクステージ1は、第1マスクステージ駆動システム1Dの作動により、第1マスクM1を保持してXY平面内を移動可能である。本実施形態においては、第1マスクステージ1は、第1マスク保持部1Hで第1マスクM1を保持した状態で、X軸、Y軸、及びθZ方向の3つの方向に移動可能である。第1露光領域PR1に照射される第1露光光EL1で基板P上のショット領域を露光するとき、第1マスクステージ1は、第1照明領域IR1に対して、第1パターンPA1を走査方向(Y軸方向)に移動する。
第2マスクステージ2は、第2マスクM2を保持する第2マスク保持部2Hを有する。
第2マスク保持部2Hは、第2マスクM2を着脱可能である。本実施形態において、第2マスク保持部2Hは、第2マスクM2のパターン形成面とXY平面とがほぼ平行となるように、第2マスクM2を保持する。第2マスクステージ2は、第2マスクステージ駆動システム2Dによって駆動される。第2マスクステージ駆動システム2Dは、リニアモータ等のアクチュエータを含む。第2マスクステージ2は、第2マスクステージ駆動システム2Dの作動により、第2マスクM2を保持してXY平面内を移動可能である。本実施形態においては、第2マスクステージ2は、第2マスク保持部2Hで第2マスクM1を保持した状態で、X軸、Y軸、及びθZ方向の3つの方向に移動可能である。第2露光領域PR2に照射される第2露光光EL2で基板P上のショット領域を露光するとき、第2マスクステージ2は、第2照明領域IR2に対して、第2パターンPA2を走査方向(Y軸方向)に移動する。
次に、投影光学システムPLについて説明する。投影光学システムPLは、第1露光光EL1で照明された第1パターンPA1の像及び第2露光光EL2で照明された第2パターンPA2の像を所定の投影倍率で基板P上に投影する。本実施形態の投影光学システムPLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5、1/8等の縮小系である。また、本実施形態の投影光学システムPLは、倒立像を形成する。
なお、投影光学システムPLは、等倍系でもよいし、拡大系でもよい。また、投影光学システムPLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれでもよい。また、投影光学システムPLは、正立像を形成してもよい。
本実施形態の投影光学システムPLは、基板Pと対向可能な終端光学素子10を有する。終端光学素子10は、第1、第2露光領域PR1、PR2に第1、第2露光光EL1、EL2を射出する射出面(下面)10Uを有する。基板ステージ3及び基板ステージ3に保持された基板Pは、射出面10Uと対向する位置に移動可能である。本実施形態において、第1、第2露光光EL1、EL2が照射される第1、第2露光領域PR1、PR2は、射出面10Uと対向する位置を含む。
終端光学素子10は、投影光学システムPLの複数の光学素子のうち、投影光学システムPLの像面に最も近い光学素子である。投影光学システムPLは、終端光学素子10を介して、第1露光領域PR1に第1露光光EL1を照射し、第2露光領域PR2に第2露光光EL2を照射する。
本実施形態において、投影光学システムPLは、終端光学素子10を含む共通光学システム13と、第1パターンPA1からの第1露光光EL1を共通光学システム13へ導く第1個別光学システム11と、第2パターンPA2からの第2露光光EL2を共通光学システム13へ導く第2個別光学システム12とを含む。
第1個別光学システム11は、第1パターンPA1からの第1露光光EL1が入射する第1結像光学系14と、第1結像光学系14を介した第1露光光EL1が入射する第1反射ミラー15と、第1反射ミラー15を介した第1露光光EL1が入射する第2反射ミラー16とを含む。
第2個別光学システム12は、第2パターンPA2からの第2露光光EL2が入射する第2結像光学系17と、第2結像光学系17を介した第2露光光EL2が入射する第3反射ミラー18とを含む。
共通光学システム13は、第2反射ミラー16を介した第1露光光EL1、及び第3反射ミラー18を介した第2露光光EL2が入射する偏光ビームスプリッタ19と、終端光学素子10と、偏光ビームスプリッタ19と終端光学素子10との間に配置され、偏光ビームスプリッタ19からの第1、第2露光光EL1、EL2を終端光学素子10へ導く複数の光学素子とを含む。
第1結像光学系14は、第1マスクステージ1に対応して、第1マスクステージ1の下方に配置されている。第1結像光学系14は、第1パターンPA1を介した第1露光光EL1の形状を補正する。第1反射ミラー15は、第1結像光学系14の下方に配置されている。第1反射ミラー15は、第1結像光学系14からの第1露光光EL1を第2反射ミラー16へ導く。第2反射ミラー16は、偏光ビームスプリッタ19の上方に配置されている。第2反射ミラー16は、第1反射ミラー15からの第1露光光EL1を偏光ビームスプリッタ19へ導く。
第2結像光学系17は、第2マスクステージ2に対応して、第2マスクステージ2の下方に配置されている。第2結像光学系17は、第2パターンPA2を介した第2露光光EL2の形状を補正する。第3反射ミラー18は、第2結像光学系17の下方に配置されている。第3反射ミラー18は、第2結像光学系17からの第2露光光EL2を偏光ビームスプリッタ19へ導く。
偏光ビームスプリッタ19は、偏光分離面19Sを有し、第2反射ミラー16からの第1露光光EL1を透過し、第3反射ミラー18からの第2露光光EL2の向きを変える。
偏光ビームスプリッタ19を介した第1、第2露光光EL1、EL2は、終端光学素子10に導かれる。終端光学素子10に入射した第1、第2露光光EL1、EL2は、その終端光学素子10の射出面10Uより、第1、第2露光領域PR1、PR2に照射される。
このように、本実施形態においては、第1パターンPA1からの第1露光光EL1は、第1個別光学システム11及び共通光学システム13を介して第1露光領域PR1に照射され、その第1個別光学システム11及び共通光学システム13によって、第1パターンPA1の像が第1露光領域PR1に形成される。また、第2パターンPA2からの第2露光光EL2は、第2個別光学システム12及び共通光学システム13を介して第2露光領域PR2に照射され、その第2個別光学システム12及び共通光学システム13によって、第2パターンPA2の像が第2露光領域PR2に形成される。本実施形態においては、第1光学システムPL1と第2光学システムPL2とは、終端光学素子10を含む共通光学システム13を共有する。
本実施形態において、第1露光領域PR1は、第1光学システムPL1の投影領域であり、第2露光領域PR2は、第2光学システムPL2の投影領域である。
本実施形態において、第1照明領域IR1と第1露光領域PR1とは光学的に共役な位置関係にある。また、第2照明領域IR2と第2露光領域PR2とは光学的に共役な位置関係にある。また、本実施形態の投影光学システムPLには、投影光学システムPLによる第1パターンPA1の像及び第2パターンPA2の像の結像特性(結像状態)をそれぞれ独立に調整可能な第1結像特性調整装置LC1及び第2結像特性調整装置LC2が設けられている。第1、第2結像特性調整装置LC1、LC2は、制御装置8によって制御される。第1、第2結像特性調整装置LC1、LC2は、投影光学システムPLの複数の光学素子の少なくとも1つを移動可能な光学素子駆動機構を含む。本実施形態において、第1結像特性調整装置LC1は、第1結像光学系14の少なくとも一つの特定の光学素子を移動可能であり、その特定の光学素子を駆動することによって、第1露光領域PR1に照射される第1露光光EL1で形成される第1パターンPA1の像の結像特性を調整可能である。また、第2結像特性調整装置LC2は、第2結像光学系17の少なくとも一つの特定の光学素子を移動可能であり、その特定の光学素子を駆動することによって、第2露光領域PR2に照射される第2露光光EL2で形成される第2パターンPA2の像の結像特性を調整可能である。なお、投影光学システムPLによるパターンの像の結像特性を調整可能な結像特性調整装置を備えた露光装置については、例えば米国特許第4666273号明細書、米国特許第6235438号明細書、及び米国特許出願公開第2005/0206850号明細書等に開示されている。
次に、基板ステージ3について説明する。基板ステージ3は、第1露光領域PR1及び第2露光領域PR2を含む所定領域内で基板Pを保持して移動可能である。第1露光領域PR1に照射される第1露光光EL1で基板P上のショット領域を露光するとき、基板ステージ3は、第1露光領域PR1に対して、基板P上のショット領域を走査方向(Y軸方向)に移動する。また、第2露光領域PR2に照射される第2露光光EL2で基板P上のショット領域を露光するとき、基板ステージ3は、第2露光領域PR2に対して、基板P上のショット領域を走査方向(Y軸方向)に移動する。
基板ステージ3は、ベース部材20のガイド面21上を移動可能である。本実施形態においては、ガイド面21は、XY平面とほぼ平行である。基板ステージ3は、基板Pを保持して、ガイド面21に沿って、XY平面内を移動可能である。
基板ステージ3は、基板Pを保持する基板保持部3Hを有する。基板保持部3Hは、基板Pを着脱可能である。本実施形態において、基板保持部3Hは、基板Pの表面(露光面)とXY平面とがほぼ平行となるように、基板Pを保持する。基板ステージ3は、基板ステージ駆動システム3Dによって駆動される。基板ステージ駆動システム3Dは、リニアモータ等のアクチュエータを含む。基板ステージ3は、基板ステージ駆動システム3Dの作動により、基板Pを保持してXY平面内を移動可能である。本実施形態においては、基板ステージ3は、基板保持部3Hで基板Pを保持した状態で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
基板ステージ3は、基板保持部3Hの周囲に配置された上面3Tを有する。本実施形態において、基板ステージ3の上面3Tは、平坦であり、XY平面とほぼ平行である。基板ステージ3は、凹部3Cを有する。基板保持部3Hは、凹部3Cの内側に配置される。本実施形態において、基板ステージ3の上面3Tと、基板保持部3Hに保持された基板Pの表面とが、ほぼ同一平面内に配置される(面一となる)。すなわち、基板ステージ3は、その上面3Tと、基板Pの表面とがほぼ同一平面内に配置されるように(面一になるように)、基板保持部3Hで基板Pを保持する。
次に、干渉計システム6について説明する。干渉計システム6は、XY平面内における第1マスクステージ1、第2マスクステージ2、及び基板ステージ3のそれぞれの位置情報を計測する。干渉計システム6は、XY平面内における第1、第2マスクステージ1、2の位置情報を計測する第1干渉計ユニット6Aと、XY平面内における基板ステージ3の位置情報を計測する第2干渉計ユニット6Bとを備えている。
第1干渉計ユニット6Aは、レーザ干渉計22、23を備えている。第1干渉計ユニット6Aは、レーザ干渉計22により、第1マスクステージ1に配置された反射面1Rに計測光を照射し、その反射面1Rを介した計測光を用いて、X軸、Y軸、及びθZ方向に関する第1マスクステージ1(第1マスクM1)の位置情報を計測する。また、第1干渉計ユニット6Aは、レーザ干渉計23により、第2マスクステージ2に配置された反射面2Rに計測光を照射し、その反射面2Rを介した計測光を用いて、X軸、Y軸、及びθZ方向に関する第2マスクステージ2(第2マスクM2)の位置情報を計測する。
第2干渉計ユニット6Bは、レーザ干渉計24を備えている。第2干渉計ユニット6Bは、レーザ干渉計24により、基板ステージ3に配置された反射面3Rに計測光を照射し、その反射面3Rを介した計測光を用いて、X軸、Y軸、及びθZ方向に関する基板ステージ3(基板P)の位置情報を計測する。
次に、フォーカス・レベリング検出システム7について説明する。フォーカス・レベリング検出システム7は、基板ステージ3に保持された基板Pの表面の位置情報を検出する。フォーカス・レベリング検出システム7は、Z軸、θX、及びθY方向に関する基板Pの表面の位置情報を検出する。フォーカス・レベリング検出システム7は、例えば米国特許第5448332号明細書等に開示されているような、所謂、斜入射方式の多点フォーカス・レベリング検出システムを含む。フォーカス・レベリング検出システム7は、XY平面内の複数の検出点のそれぞれに対して、Z軸方向と傾斜した方向から検出光を照射する照射装置7Aと、検出点を介した検出光を受光可能な受光装置7Bとを備えている。
基板Pを露光するとき、第1マスクステージ1の位置情報が、第1干渉計ユニット6Aで計測される。制御装置8は、第1干渉計ユニット6Aの計測結果に基づいて、第1マスクステージ駆動システム1Dを作動し、第1マスクステージ1に保持されている第1マスクM1の位置制御を実行する。
また、基板Pを露光するとき、第2マスクステージ2の位置情報が、第1干渉計ユニット6Aで計測される。制御装置8は、第1干渉計ユニット6Aの計測結果に基づいて、第2マスクステージ駆動システム2Dを作動し、第2マスクステージ2に保持されている第2マスクM2の位置制御を実行する。
また、基板Pを露光するとき、基板ステージ3の位置情報が、第2干渉計ユニット6Bで計測され、基板Pの表面の位置情報が、フォーカス・レベリング検出システム7で検出される。制御装置8は、第2干渉計ユニット6Bの計測結果及びフォーカス・レベリング検出システム7の検出結果に基づいて、基板ステージ駆動システム3Dを作動し、基板ステージ3に保持されている基板Pの位置制御を実行する。
次に、液浸部材9について説明する。液浸部材9は、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液体LQで液浸空間LSを形成可能である。本実施形態において、液浸部材9は、終端光学素子10の近傍に配置されている。液浸部材9は、第1、第2露光領域PR1、PR2に配置される基板Pと対向可能な下面9Uを有する。本実施形態において、液浸部材9は、終端光学素子10と基板Pとの間の露光光ELの光路を液体LQで満たすように液浸空間LSを形成する。液浸空間LSは、終端光学素子10の射出面10Uと基板Pとの間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように形成される。本実施形態において、液浸空間LSは、終端光学素子10及び液浸部材9と、その終端光学素子10及び液浸部材9と対向する基板Pとの間に形成される。なお、液浸空間LSは、終端光学素子10及び液浸部材9と、その終端光学素子10及び液浸部材9と対向する基板ステージ3との間に形成することもできる。
基板Pの露光時には、基板ステージ3に保持された基板Pが、終端光学素子10及び液浸部材9と対向する位置に配置される。液浸部材9は、少なくとも基板Pの露光時に、終端光学素子10と基板Pとの間の露光光ELの光路を液体LQで満たして液浸空間LSを形成する。少なくとも基板Pの露光時には、終端光学素子10の射出面10Uから射出される露光光ELの光路が液体LQで満たされるように、終端光学素子10及び液浸部材9と基板Pとの間に液体LQが保持され、液浸空間LSが形成される。
本実施形態においては、第1、第2露光領域PR1、PR2を含む基板Pの表面の一部の領域が液体LQで覆われるように液浸空間LSが形成される。液体LQの界面(メニスカス、エッジ)は、液浸部材9の下面9Uと基板Pの表面との間に形成される。すなわち、本実施形態の露光装置EXは、局所液浸方式を採用する。
なお、詳細な説明は省略するが、液浸部材9は、露光光ELの光路に液体LQを供給する供給口と、基板P上の液体LQを回収する回収口とを備えている。供給口は、例えば終端光学素子10と基板Pとの間の光路に面する液浸部材9の内周面の所定位置に配置されている。供給口は、液浸空間LSを形成するために、清浄で温度調整された液体LQを供給可能である。回収口は、基板Pの表面と対向する液浸部材9の下面9Uの所定位置に配置されている。本実施形態においては、制御装置8は、供給口を用いる液体供給動作と並行して、回収口を用いる液体回収動作を実行することによって、終端光学素子10及び液浸部材9と基板Pとの間に液体LQで液浸空間LSを形成可能である。
図2は、基板Pを保持する基板ステージ3の一例を示す平面図である。図2に示すように、基板P上には、露光対象領域である複数のショット領域Sがマトリクス状に設けられている。なお、図2において、ショット領域Sの配置は一例にすぎない。
本実施形態においては、第1露光領域PR1と第2露光領域PR2とは、投影光学システムPLの視野内で、ほぼ重複する(一致する)。換言すれば、第1露光領域PR1と第2露光領域PR2とは、投影光学システムPLの視野内に配置された基板P上でほぼ重複する。また、本実施形態においては、第1、第2露光領域PR1、PR2は、X軸方向に長い矩形状(スリット状)である。本実施形態において、第1、第2露光領域PR1、PR2のX軸方向の大きさと、ショット領域SのX軸方向の大きさとは、ほぼ同じである。
次に、上述の構成を有する露光装置EXを用いる露光方法の一例について説明する。上述のように、本実施形態においては、制御装置8は、シングルパターニング処理を含む第1露光モードと、ダブルパターニング処理を含む第2露光モードとを切り替え可能である。
第1露光モードについて、図3A〜図6Bの模式図を参照して説明する。図2に示したように、基板P上には複数のショット領域Sがマトリクス状に設けられており、第1露光モードでは、それら複数のショット領域Sを、第1パターンPA1からの第1露光光EL1と第2パターンPA2からの第2露光光EL2とを交互に用いて露光する。以下の説明においては、簡単のため、互いに隣接する4つのショット領域S1〜S4を、第1露光モードに基づいて露光する場合について説明する。図3A及び3Bに示すように、本実施形態においては、第1ショット領域S1と第2ショット領域S2とがY軸方向に関して隣接し、第3ショット領域S3と第4ショット領域S4とがY軸方向に関して隣接する。本実施形態においては、第1ショット領域S1が第2ショット領域S2の−Y側に配置され、第4ショット領域S4が第3ショット領域S3の−Y側に配置されている。また、第1ショット領域S1と第4ショット領域S4とがX軸方向に関して隣接し、第2ショット領域S2と第3ショット領域S3とがX軸方向に関して隣接する。本実施形態においては、第1ショット領域S1及び第2ショット領域S2が、第3ショット領域S3及び第4ショット領域S4の+X側に配置されている。
また、図3A及び3Bに示すように、本実施形態においては、第1パターンPA1(第1マスクM1)と第2パターンPA2(第2マスクM2)とが、Y軸方向に配置され、第1パターンPA1が第2パターンPA2に対して+Y側に配置される。
本実施形態においては、第1パターンPA1上での第1照明領域IR1は、X軸方向に長い矩形状(スリット状)である。また、第2パターンPA2上での第2照明領域IR2も、X軸方向に長い矩形状(スリット状)である。本実施形態において、第1照明領域IR1のX軸方向の大きさと、第1パターンPA1が形成された第1マスクM1の第1パターン形成領域SA1のX軸方向の大きさとは、ほぼ同じである。また、第2照明領域IR2のX軸方向の大きさと、第2パターンPA2が形成された第2マスクM2の第2パターン形成領域SA2のX軸方向の大きさとは、ほぼ同じである。
図3A及び3Bに示すように、本実施形態の第1露光モードでは、同じパターンである場合を説明するが、第1パターンPA1と第2パターンPA2とが異なるパターンであっても構わない。一例として、本実施形態においては、第1パターンPA1及び第2パターンPA2は、文字「A」の形状を有するパターンである。
すなわち、第1露光モードでは、第1マスクステージ1には、文字「A」からなる第1パターンPA1が形成された第1マスクM1が保持され、第2マスクステージ2には、第1パターンPA1と同じ文字「A」からなる第2パターンPA2が形成された第2マスクM2が保持される。
また、本実施形態の投影光学システムPLは、倒立像を形成し、制御装置8は、基板P上の各ショット領域S1〜S4の露光中に、第1マスクM1及び第2マスクM2と基板Pとを互いに逆向きの走査方向(Y軸方向)に移動する。例えば、制御装置8は、第1、第2マスクステージ1、2を用いて第1、第2マスクM1、M2を+Y方向に移動(順移動)する場合、基板ステージ3を用いて基板Pを−Y方向に移動(順移動)し、第1、第2マスクM1、M2を−Y方向に移動(逆移動)する場合、基板Pを+Y方向に移動(逆移動)する。
ただし、これは投影光学システムPLが第1パターンPA1、第2パターンPA2のいずれについても倒立像を形成する場合であり、例えば第1結像光学系14、第2結像光学系17のいずれか一方のみに反転光学系が含まれ、例えば第1パターンPA1については投影光学システムPL1は倒立像を形成し、第2パターンPA2については投影光学システムPL1は正立像を形成するような場合、制御装置8は、基板P上の各ショット領域S1〜S4の露光中に、第1マスクM1及び第2マスクM2と基板Pとを同じ向きの走査方向(Y軸方向)に移動することになることに気付くべきである。
本実施形態において、制御装置8は、第1ショット領域S1、第2ショット領域S2、第3ショット領域S3、及び第4ショット領域S4の順に、それら各ショット領域S1〜S4を露光する。
第1露光モードにおいては、制御装置8は、基板Pが走査方向(Y軸方向)に関して一方向(例えば−Y方向)に移動しているときに、第1照明領域IR1に対して第1パターンPA1を走査方向(Y軸方向)に関して所定方向(例えば+Y方向)に移動して、第1露光領域PR1に照射される第1パターンPA1からの第1露光光EL1で、基板P上の第1ショット領域S1を露光した後、その基板Pの一方向(−Y方向)への移動を継続しつつ、第2パターンPA2を走査方向(Y軸方向)に関して特定方向(例えば+Y方向)に移動して、基板P上の第2ショット領域S2を露光し、その後、基板Pの移動方向を一方向と逆方向(+Y方向)にし、第2パターンPA2の移動方向を特定方向と逆方向(−Y方向)にして、第2露光領域PR2に照射される第2露光光EL2で、基板P上の第3ショット領域S3を露光した後、その基板Pの逆方向(+Y方向)への移動を継続しつつ、第1パターンPA1を、所定方向と逆方向(例えば−Y方向)に移動して、第1露光領域PR1に照射される第1露光光EL1で、基板P上の第4ショット領域S4を露光する。
以下、第1〜第4ショット領域S1〜S4を露光する手順の一例について説明する。まず、制御装置8は、第1マスクステージ1を用いて、第1パターンPA1からの第1露光光EL1で第1ショット領域S1を露光するための第1パターンPA1の準備動作を実行する。
準備動作は、加速動作、減速動作、及び停止動作の少なくとも一つを含む。本実施形態において、第1パターンPA1の準備動作は、第1パターンPA1を露光開始位置(走査開始位置)に配置するための第1パターンPA1(第1マスクステージ1)の移動動作を含み、制御装置8は、第1パターンPA1を露光開始位置に配置するために、第1マスクM1を保持した第1マスクステージ1を移動する。制御装置8は、第1パターンPA1を露光開始位置へ移動するために、第1マスクステージ1の加速動作を実行して、第1パターンPA1が第1照明領域IR1に進入するまでに所定の速度(走査露光中の等速運動のための速度)に到達するための加速動作を実行する。
制御装置8は、第1パターンPA1からの第1露光光EL1で第1ショット領域S1を露光するために、基板P上の第1ショット領域S1を露光開始位置へ移動する。
第1パターンPA1及び第1ショット領域S1のそれぞれを露光開始位置に移動した後、制御装置8は、第1マスクステージ1及び基板ステージ3を制御して、第1パターンPA1の+Y方向への移動、及び第1ショット領域S1の−Y方向への移動を開始する。そして、第1パターン形成領域SA1の+Y側のエッジが第1照明領域IR1の−Y側のエッジに到達した時点で、第1露光光EL1による第1パターンPA1の照明が開始されるように第1光源装置4を制御してもよい。また、第1パターン形成領域SA1の+Y側のエッジが第1照明領域IR1に到達した時点で、第1ショット領域S1の−Y側のエッジが第1露光領域PR1の+Y側のエッジに到達するように設定されており、第1露光領域PR1に対する第1露光光EL1の照射が開始されるように、前述の第1光学機構BR1の可動ブラインドが制御される。また、第1パターン形成領域SA1の+Y側のエッジが第1照明領域IR1の−Y側のエッジに到達した時点で、第1パターンPA1の移動速度が一定になり、第1ショット領域S1の−Y側のエッジが第1露光領域PR1の+Y側のエッジに到達した時点で、第1ショット領域S1の移動速度が一定になるように設定されている。図3Aは、第1パターン形成領域SA1及び第1ショット領域S1が露光開始位置から移動した直後の状態を示す。
そして、制御装置8は、第1ショット領域S1の走査露光のために、第1マスクステージ1を用いて、第1パターンPA1を第1照明領域IR1に対して所定の走査速度で+Y方向へ移動する。制御装置8は、第1ショット領域S1を露光するときの露光終了位置まで第1パターンPA1を移動する。制御装置8は、第1パターンPA1の+Y方向への移動を継続して、第1露光光EL1による第1パターンPA1の照明を連続的に行う。第1パターンPA1の+Y方向への移動を継続することによって、第1パターンPA1は第1照明領域IR1を通過する。
また、制御装置8は、第1パターンPA1の+Y方向への移動と同期して、第1ショット領域S1の−Y方向への移動を継続することによって、第1露光領域PR1に対する第1露光光EL1の照射、すなわち第1ショット領域S1に対する第1露光光EL1による第1パターンPA1の像の投影を連続的に行う。第1ショット領域S1の−Y方向への移動を継続することによって、第1ショット領域S1は第1露光領域PR1を通過する。
そして、第1パターン形成領域SA1の−Y側のエッジが第1照明領域IR1の+Y側のエッジに到達した時点で、第1露光光EL1による第1パターンPA1の照明が終了する。また、第1パターン形成領域SA1の−Y側のエッジが第1照明領域IR1の+Y側のエッジに到達した時点で、第1ショット領域S1の+Y側のエッジが第1露光領域PR1の−Y側のエッジに到達し、第1ショット領域S1の+Y側のエッジが第1露光領域PR1の−Y側のエッジに到達した時点で、第1露光領域PR1に対する第1露光光EL1の照射が停止される。これにより、第1露光領域PR1に照射される第1露光光EL1による第1ショット領域S1の露光、すなわち第1ショット領域S1に対する第1露光光EL1による第1パターンPA1の像の投影が終了する。また、第1ショット領域S1が露光終了位置に配置される。図3Bは、第1パターン形成領域SA1及び第1ショット領域S1のそれぞれが露光終了位置へ移動する直前の状態を示す。
このように、制御装置8は、基板Pの−Y方向への移動と同期して、第1露光光EL1が照射される第1照明領域IR1に対して第1パターンPA1を+Y方向へ移動して、第1パターンPA1からの第1露光光EL1で基板P上の第1ショット領域S1を露光する。また、第1露光モードでは、第1パターンPA1に対する第1露光光EL1の照明中、第2パターンPA2は第2露光光EL2で照明されない。すなわち、第1照明システムIL1は、走査露光のための移動中の第1パターンPA1を第1露光光EL1で照明する。
換言すれば、第1露光モードでは、第1パターンPA1が第1照明領域IR1を通過中、第2パターンPA2は第2照明領域IR2を通過しない。
制御装置8は、第1ショット領域S1の露光を終了した後、第2ショット領域S2の露光を開始する。本実施形態においては、第1ショット領域S1の露光が終了した後、第1パターンPA1は、減速及び停止し、次回の第1パターンPA1を用いた露光のために待機する。本実施形態においては、制御装置8は、第1パターンPA1が第1照明領域IR1を通過し終わって第1ショット領域S1の露光が完全に終了する前から、第2マスクステージ2を用いて、第2パターンPA2からの第2露光光EL2で第2ショット領域S2を露光するための第2パターンPA2の準備動作を開始している。
本実施形態において、第2パターンPA2の準備動作は、第2パターンPA2を露光開始位置に配置するための第2パターンPA2(第2マスクステージ2)の移動動作を含み、制御装置8は、第2パターンPA2を露光開始位置に配置するために、第2マスクM2を保持した第2マスクステージ2を移動する。制御装置8は、第2パターンPA2を露光開始位置へ移動するために、第2マスクステージ2の加速動作を実行して、第2パターンPA2が第1照明領域IR2に進入するまでに所定の速度(走査露光中の等速運動のための速度)に到達するための加速動作を実行する。
制御装置8は、第2パターンPA2からの第2露光光EL2で第2ショット領域S2を露光するために、第2パターンPA2及び第2ショット領域S2のそれぞれを露光開始位置へ移動する。
第2パターンPA2及び第2ショット領域S2のそれぞれを露光開始位置に移動した後、制御装置8は、第2マスクステージ2及び基板ステージ3を制御して、第2パターンPA2の+Y方向への移動、及び第2ショット領域S2の−Y方向への移動を開始する。本実施形態においては、制御装置8は、第1ショット領域S1の露光終了後、基板Pの−Y方向への移動を停止することなく、第2ショット領域S2の露光を開始する。換言すれば、制御装置8は、基板Pの−Y方向への移動を継続しつつ、第1ショット領域S1に対する露光動作から第2ショット領域S2に対する露光動作へ移行する。厳密には、制御装置8は、第1パターンPA1の−Y側エッジと第1照明領域IR1の+Y側エッジとが重なった時点に続いて、第2パターンPA2の+Y側エッジが第2照明領域IR2の−Y側エッジに進入するとともに、これに同期して、第1ショット領域S1の露光動作以降も継続的に+Y方向への等速運動を続ける基板P上の第2ショット領域S2の−Y側エッジが第2露光領域PR2の+Y側エッジに進入するように、制御を行う。このようにして、第2パターン形成領域SA2の+Y側のエッジが第2照明領域IR2の−Y側のエッジに到達した時点で、第2露光光EL2による第2パターンPA2の照明が開始される。また、第2パターン形成領域SA2の+Y側のエッジが第2照明領域IR2に到達した時点で、第2露光領域PR2に対する第2露光光EL2の照射が開始されるように、第2光学機構BR2の可動ブラインドは制御される。また、第2パターン形成領域SA2の+Y側のエッジが第2照明領域IR2の−Y側のエッジに到達した時点で、第2パターンPA2の移動速度が一定になり、基板P上の第2ショット領域S2の−Y側のエッジが第2露光領域PR2の+Y側のエッジに到達した時点で、第2ショット領域S2の移動速度が一定になるように設定されている。図4Aは、第2パターン形成領域SA2及び第2ショット領域S2が露光開始位置から移動した直後の状態を示す。
そして、制御装置8は、第2ショット領域S2の走査露光のために、第2マスクステージ2を用いて、第2パターンPA2を第2照明領域IR2に対して所定の走査速度で+Y方向へ移動する。制御装置8は、第2ショット領域S2を露光するときの露光終了位置まで第2パターンPA2を移動する。制御装置8は、第2パターンPA2の+Y方向への移動を継続することによって、第1露光光EL1による第1パターンPA1の照明(露光)と第2露光光EL2による第2パターンPA2の照明(露光)とを連続的に行う。第2パターンPA2の+Y方向への移動を継続することによって、第2パターンPA2は第2照明領域IR2を通過する。
また、制御装置8は、第2パターンPA2の+Y方向への移動と同期して、第2ショット領域S2の−Y方向への移動を継続することによって、第2露光領域PR2に対する第2露光光EL2の照射、すなわち第2ショット領域S2に対する第2露光光EL2による第2パターンPA2の像の投影を連続的に行う。第2ショット領域S2の−Y方向への移動を継続することによって、第2ショット領域S2は第2露光領域PR2を通過する。
そして、第2パターン形成領域SA2の−Y側のエッジが第2照明領域IR2の+Y側のエッジに到達した時点で、第2露光光EL2による第2パターンPA2の照明が終了する。またこの時点で、第2ショット領域S2の+Y側のエッジが第2露光領域PR2の−Y側のエッジに到達し、第2露光領域PR2に対する第2露光光EL2の照射が停止される。これにより、第2露光領域PR2に照射される第2露光光EL2による第2ショット領域S2の露光、すなわち第2ショット領域S2に対する第2露光光EL2による第2パターンPA2の像の投影が終了する。また、第2ショット領域S2が露光終了位置に配置される。図4Bは、第2パターン形成領域SA2及び第2ショット領域S2のそれぞれが露光終了位置へ移動する直前の状態を示す。
このように、制御装置8は、第1ショット領域S1の露光後においても、基板Pの+Y方向への移動を継続し、その基板Pの+Y方向への移動と同期して、第2露光光EL2が照射される第2照明領域IR2に対して第2パターンPA2を+Y方向へ移動して、第2パターンPA2からの第2露光光EL2で基板P上の第2ショット領域S2を露光する。
本実施形態においては、第2ショット領域S2の露光が終了した後、第2パターンPA2は減速および停止し、次回の第2パターンPA2を用いた露光のために待機する。
本実施形態において、第1ショット領域S1の露光終了位置と第2ショット領域S2の露光開始位置とは近接しており、第1ショット領域S1が露光終了位置に移動した後、基板Pの−Y方向への移動を継続することによって、第2ショット領域S2を露光開始位置に直ちに配置することができ、制御装置8は、第1ショット領域S1の露光を終了した後、第2ショット領域S2の露光を直ちに開始することができる。すなわち、本実施形態においては、第1ショット領域S1の露光と第2ショット領域S2の露光とを連続的に実行することができる。本実施形態においては、制御装置8は、基板Pを−Y方向へ移動して、第1パターンPA1からの第1露光光EL1で第1ショット領域S1を露光した後、その基板Pの−Y方向への移動を継続しつつ、第2パターンPA2からの第2露光光EL2で第2ショット領域S2を露光する。すなわち、第1露光モードにおいては、第1ショット領域S1の露光が終了しても、基板Pの移動方向は反転されず、基板Pの−Y方向への移動が継続され、第2ショット領域S2の露光が開始される。
また、本実施形態においては、第1パターンPA1が第1ショット領域S1を露光するときの露光終了位置に配置される前に、第2パターンPA2の準備動作が完了し、第2パターンPA2が第2ショット領域S2を露光するときの露光開始位置に配置される。これにより、制御装置8は、第1ショット領域S1の露光が終了した後、第2ショット領域S2の露光を直ちに開始することができる。
また、第1露光モードでは、第2パターンPA2に対する第2露光光EL2の照明中、第1パターンPA1は第1露光光EL1で照明されない。すなわち、第2照明システムIL2は、走査露光のための移動中の第2パターンPA2を第2露光光EL2で照明する。
換言すれば、第1露光モードでは、第2パターンPA2が第2照明領域IR2を通過中、第1パターンPA1は第1照明領域IR1を通過しない。
第2ショット領域S2の露光が終了した後、制御装置8は、基板P及び第2パターンPA2の移動方向を逆方向に設定し、第2パターンPA2からの第2露光光EL2で第3ショット領域S3を露光するための第2パターンPA2の準備動作を実行する。
本実施形態において、第2ショット領域S2と第3ショット領域S3とはX軸方向に配置されており、制御装置8は、基板Pを第3ショット領域S3を露光するときの露光開始位置に配置するために、基板ステージ3を制御して、基板Pをステッピング移動する。
本実施形態においては、基板Pのステッピング動作中、第2パターンPA2は、第3ショット領域S3の露光動作のための準備動作を行う。すなわち、制御装置8は、基板Pのステッピング動作中、第2マスクステージ2を用いて、第3ショット領域S3の露光動作のための第2パターンPA2の準備動作を実行する。
本実施形態において、第2パターンPA2の準備動作は、第2パターンPA2を露光開始位置に配置するための第2パターンPA2(第2マスクステージ2)の移動動作を含み、制御装置8は、基板Pのステッピング動作の少なくとも一部と並行して、第2パターンPA2を露光開始位置に配置するために、第2マスクM2を保持した第2マスクステージ2を移動する。制御装置8は、第2パターンPA2を露光開始位置へ移動するために、第2マスクステージ2の加速動作を実行して、第2パターンPA2が第2照明領域IR2に進入するまでに所定の速度(走査露光中の等速運動のための速度)に到達するための加速動作を実行する。
制御装置8は、第2パターンPA2からの第2露光光EL2で、第3ショット領域S3を露光するために、第2パターンPA2及び第3ショット領域S3のそれぞれを露光開始位置へ移動する。
第2パターンPA2及び第3ショット領域S3のそれぞれを露光開始位置に移動した後、制御装置8は、第2マスクステージ2及び基板ステージ3を制御して、第2パターンPA2の−Y方向への移動、及び第3ショット領域S3の+Y方向への移動を開始する。そして、第2パターン形成領域SA2の−Y側のエッジが第2照明領域IR2の+Y側のエッジに到達した時点で、第2露光光EL2による第2パターンPA2の照明が開始されるように第2光源装置5を制御してもよい。また、第2パターン形成領域SA2の−Y側のエッジが第2照明領域IR2に到達した時点で、第3ショット領域S3の+Y側のエッジが第2露光領域PR2の−Y側のエッジに到達するように設定されており、第2露光領域PR2に対する第2露光光EL2の照射が開始されるように、前述の第2光学機構BR2の可動ブラインドが制御される。また、第2パターン形成領域SA2の−Y側のエッジが第2照明領域IR2の+Y側のエッジに到達した時点で、第2パターンPA2の移動速度が一定になり、第3ショット領域S3の+Y側のエッジが第2露光領域PR2の−Y側のエッジに到達した時点で、第3ショット領域S3の移動速度が一定になるように設定されている。図5Aは、第2パターン形成領域SA2及び第3ショット領域S3が露光開始位置から移動した直後の状態を示す。
そして、制御装置8は、第3ショット領域S3の走査露光のために、第2マスクステージ2を用いて、第2パターンPA2を第2照明領域IR2に対して所定の走査速度で−Y方向へ移動する。制御装置8は、第3ショット領域S3をろこうするときの露光終了位置まで第2パターンPA2を移動する。制御装置8は、第2パターンPA2の−Y方向への移動を継続することによって、第2露光光EL2による第2パターンPA2の照明を連続的に行う。第2パターンPA2の−Y方向への移動を継続することによって、第2パターンPA2は第2照明領域IR2を通過する。
また、制御装置8は、第2パターンPA2の−Y方向への移動と同期して、第3ショット領域S3の+Y方向への移動を継続することによって、第2露光領域PR2に対する第2露光光EL2の照射、すなわち第3ショット領域S3に対する第2露光光EL2による第2パターンPA2の像の投影を連続的に行う。第3ショット領域S3の+Y方向への移動を継続することによって、第3ショット領域S3は第2露光領域PR2を通過する。
そして、第2パターン形成領域SA2の+Y側のエッジが第2照明領域IR2の−Y側のエッジに到達した時点で、第2露光光EL2による第2パターンPA2の照明が終了する。また、第2パターン形成領域SA2の+Y側のエッジが第2照明領域IR2の−Y側のエッジに到達した時点で、第3ショット領域S3の−Y側のエッジが第2露光領域PR2の+Y側のエッジに到達し、第3ショット領域S3の−Y側のエッジが第2露光領域PR2の+Y側のエッジに到達した時点で、第2露光領域PR2に対する第2露光光EL2の照射が停止される。これにより、第2露光領域PR2に照射される第2露光光EL2による第3ショット領域S3の露光、すなわち第3ショット領域S3に対する第2露光光EL2による第2パターンPA2の像の投影が終了する。また、第3ショット領域S3が露光終了位置に配置される。図5Bは、第2パターン形成領域SA2及び第3ショット領域S3のそれぞれが露光終了位置へ移動する直前の状態を示す。
このように、制御装置8は、第2露光光EL2で第2ショット領域S2を露光した後に、基板P及び第2パターンPA2のそれぞれの移動方向を逆方向にして、その基板Pの逆方向への移動と同期して、第2パターンPA2を逆方向に移動して、第2パターンPA2からの第2露光光EL2で、基板P上の第3ショット領域S3を露光する。第3ショット領域S3を露光するときにおいても、第2パターンPA2に対する第2露光光EL2の照明中、第1パターンPA1は第1露光光EL1で照明されない。
制御装置8は、第3ショット領域S3の露光を終了した後、第4ショット領域S4の露光を開始する。本実施形態においては、第3ショット領域S3の露光が終了した後、第2パターンPA2は減速および停止し、次回の第2パターンPA2を用いた露光のために待機する。本実施形態においては、制御装置8は、第2パターンが第2照明領域IR2を通過し終わって第3ショット領域S3の露光が完全に終了する前から、第1マスクステージ1を用いて、第1パターンPA1からの第1露光光EL1で第4ショット領域S4を露光するための第1パターンPA1の準備動作を開始している。この第1パターンは、先の第1ショット領域S1の露光が終了した後、減速及び停止して、待機状態にあったものである。
本実施形態において、第1パターンPA1の準備動作は、第1パターンPA1を露光開始位置に配置するための第1パターンPA1(第1マスクステージ1)の移動動作を含み、制御装置8は、第1パターンPA1を露光開始位置に配置するために、第1マスクM1を保持した第1マスクステージ1を移動する。制御装置8は、第1パターンPA1を露光開始位置へ移動するために、第1マスクステージ1の加速動作を実行して、第1パターンPA1が第1照明領域IR1に進入するまでに所定の速度(走査露光中の等速運動のための速度)に到達するための加速動作を実行する。
制御装置8は、第1パターンPA1からの第1露光光EL1で第4ショット領域S4を露光するために、第1パターンPA1及び第4ショット領域S4のそれぞれを露光開始位置へ移動する。
第1パターンPA1及び第4ショット領域S4のそれぞれを露光開始位置に移動した後、制御装置8は、第1マスクステージ1及び基板ステージ3を制御して、第1パターンPA1の−Y方向への移動、及び第4ショット領域S4の+Y方向への移動を開始する。本実施形態においては、制御装置8は、第3ショット領域S3の露光終了後、基板Pの+Y方向への移動を停止することなく、第4ショット領域S4の露光を開始する。換言すれば、制御装置8は、基板Pの+Y方向への移動を継続しつつ、第3ショット領域S3に対する露光動作から第4ショット領域S4に対する露光動作へ移行する。厳密には、制御装置8は、第1パターンPA1の−Y側エッジと第1照明領域IR1の+Y側エッジとが重なった時点に続いて、第2パターンPA2の+Y側エッジが第2照明領域IR2の−Y側エッジに進入するとともに、これに同期して、第1ショット領域S1の露光動作以降も継続的に+Y方向への等速運動を続ける基板P上の第2ショット領域S2の−Y側エッジが第2露光領域PR2の+Y側エッジに進入するように、制御を行う。このようにして、第1パターン形成領域SA1の−Y側のエッジが第1照明領域IR1の+Y側のエッジに到達した時点で、第1露光光EL1による第1パターンPA1の照明が開始される。また、第1パターン形成領域SA1の−Y側のエッジが第1照明領域IR1に到達した時点で、第4ショット領域S4の+Y側のエッジが第1露光領域PR1の−Y側のエッジに到達するように設定されており、第1露光領域PR1に対する第1露光光EL1の照射が開始されるように、第1光学機構BR1の可動ブラインドは制御される。また、第1パターン形成領域SA1の−Y側のエッジが第1照明領域IR1の+Y側のエッジに到達した時点で、第1パターンPA1の移動速度が一定になり、第4ショット領域S4の+Y側のエッジが第1露光領域PR1の−Y側のエッジに到達した時点で、第4ショット領域S4の移動速度が一定になるように設定されている。図6Aは、第1パターン形成領域SA1及び第4ショット領域S4が露光開始位置から移動した直後の状態を示す。
そして、制御装置8は、第4ショット領域S4の走査露光のために、第1マスクステージ1を用いて、第1パターンPA1を第1照明領域IR1に対して所定の走査速度で−Y方向へ移動する。制御装置8は、第1ショット領域S1を露光するときの露光終了位置まで第1パターンPA1を移動する。制御装置8は、第1パターンPA1の−Y方向への移動を継続することによって、第3ショット領域S3の露光と第4ショット領域S4との間にステッピング動作を挟むことなく、第2露光光EL2による第2パターンPA2の照明(露光)と第1露光光EL1による第1パターンPA1の照明(露光)とを連続的に行う。第1パターンPA1の−Y方向への移動を継続することによって、第1パターンPA1は第1照明領域IR1を通過する。
また、制御装置8は、第1パターンPA1の−Y方向への移動と同期して、第4ショット領域S4の+Y方向への移動を継続することによって、第1露光領域PR1に対する第1露光光EL1の照射、すなわち第4ショット領域S4に対する第1露光光EL1による第1パターンPA1の像の投影を連続的に行う。第4ショット領域S4の+Y方向への移動を継続することによって、第4ショット領域S4は第1露光領域PR1を通過する。
そして、第1パターン形成領域SA1の+Y側のエッジが第1照明領域IR1の−Y側のエッジに到達した時点で、第1露光光EL1による第1パターンPA1の照明が終了する。またこの時点で、第4ショット領域S4の−Y側のエッジが第1露光領域PR1の+Y側のエッジに到達し、第1露光領域PR1に対する第1露光光EL1の照射が停止される。これにより、第1露光領域PR1に照射される第1露光光EL1による第4ショット領域S4の露光、すなわち第4ショット領域S4に対する第1露光光EL1による第1パターンPA1の像の投影が終了する。また、第4ショット領域S4が露光終了位置に配置される。図6Bは、第1パターン形成領域SA1及び第4ショット領域S4のそれぞれが露光終了位置へ移動する直前の状態を示す。
このように、制御装置8は、第3ショット領域S3の露光後においても、基板Pの+Y方向への移動を継続し、その基板Pの+Y方向への移動と同期して、第1露光光EL1が照射される第1照明領域IR1に対して第1パターンPA1を−Y方向へ移動して、第1パターンPA1からの第1露光光EL1で基板P上の第4ショット領域S4を露光する。
なお、本実施形態においては、第4ショット領域S4の露光が終了した後、第1パターンPA1は減速および停止し、次回の第1パターンPA1を用いた露光のために待機する。
本実施形態において、第3ショット領域S3の露光終了位置と第4ショット領域S4の露光開始位置とは近接しており、第3ショット領域S3が露光終了位置に移動した後、基板Pの+Y方向への移動を継続することによって、第4ショット領域S4を露光開始位置に直ちに配置することができ、制御装置8は、第3ショット領域S3の露光を終了した後、第4ショット領域S4の露光を直ちに開始することができる。すなわち、本実施形態において、第3ショット領域S3の露光と第4ショット領域S4の露光とを連続的に実行することができる。本実施形態においては、制御装置8は、基板Pを+Y方向へ移動して、第2パターンPA2からの第2露光光EL2で第3ショット領域S3を露光した後、その基板Pの+Y方向への移動を継続しつつ、第1パターンPA1からの第1露光光EL1で第4ショット領域S4を露光する。すなわち、第1露光モードにおいては、第3ショット領域S3の露光が終了しても、基板Pの移動方向は反転されず、基板Pの+Y方向への移動が継続され、第4ショット領域S4の露光が開始される。言い換えると、第1モードにおいては第3ショット領域S3の露光と第4ショット領域S4の露光との間にステッピング動作を挟むことなく、第3ショット領域S3と第4ショット領域S4とを連続的に露光できるため、スループットを向上することができる。
また、本実施形態においては、第1パターンPA1は第1ショット領域S1の露光に使用された後に減速および停止して待機状態に入っており、次に第1パターンPA1が使用される4ショット領域S4の露光の際の第1パターンPA1の走査方向は、第2パターンPA2が第3ショット領域S3を露光するときの走査方向と同じとなるため、第2パターンPA2が第3ショット領域S3を露光するときの露光終了位置に配置される前に、第1パターンPA1の準備動作が完了し、第1パターンPA1が第4ショット領域S4を露光するときの露光開始位置に配置される。これにより、制御装置8は、第3ショット領域S3の露光が終了した後、第4ショット領域S4の露光を直ちに開始することができる。
以上、第1〜第4ショット領域S1〜S4を露光する手順の一例について説明した。基板P上には、複数のショット領域Sが設けられており、制御装置8は、上述した手順に基づいて、各ショット領域Sを順次露光する。第1露光モードでは、第1、第2マスクM1、M2の一方向への移動と逆方向への移動とのそれぞれで、第1、第2パターンPA1、PA2の投影が行われる。
次に、第2露光モードについて、図7A〜図8Bの模式図を参照して説明する。以下の説明においては、簡単のため、互いに隣接する2つのショット領域S5、S6を、第2露光モードに基づいて露光する場合について説明する。図7A及び7Bにおいて、第5ショット領域S5と第6ショット領域S6とが、X軸方向に関して隣接している。本実施形態においては、第5ショット領域S5が第6ショット領域S6の−X側に配置されている。
また、図7A及び7Bに示すように、第1パターンPA1(第1マスクM1)と第2パターンPA2(第2マスクM2)とが、Y軸方向に配置され、第1パターンPA1が第2パターンPA2に対して+Y側に配置される。
図7A及び7Bに示すように、第2露光モードでは、第1パターンPA1と第2パターンPA2とは異なるパターンである。一例として、第1パターンPA1が文字「A」の形状を有するパターンとし、第2パターンPA2が文字「B」の形状を有するパターンとする。
すなわち、第2露光モードでは、第1マスクステージ1には、文字「A」からなる第1パターンPA1が形成された第1マスクM1が保持され、第2マスクステージ2には、第1パターンPA1と異なる文字「B」からなる第2パターンPA2が形成された第2マスクM2が保持される。
本実施形態において、制御装置8は、第5ショット領域S5を露光(多重露光)した後、第6ショット領域S6を露光(多重露光)する。
第2露光モードにおいては、制御装置8は、基板Pが走査方向(Y軸方向)に関して一方向(例えば−Y方向)に移動(順移動)しているときに、第1照明領域IR1及び第2照明領域IR2に対して、第1パターンPA1及び第2パターンPA2のそれぞれを走査方向(Y軸方向)に関して特定方向(例えば+Y方向)に移動(順移動)して、第1露光領域PR1に照射される第1パターンPA1からの第1露光光EL1と第2露光領域PR2に照射される第2パターンPA2からの第2露光光EL2とで、第5ショット領域S5を多重露光した後、基板P、第1パターンPA1、及び第2パターンPA2のそれぞれの移動方向を逆方向にして、基板Pが逆方向(+Y方向)に移動(逆移動)しているときに、第1露光領域PR1に照射される第1露光光EL1と第2露光領域PR2に照射される第2露光光EL2とで、第6ショット領域S6を多重露光する。
以下、第5、第6ショット領域S5、S6を露光する手順の一例について説明する。まず、制御装置8は、第1パターンPA1からの第1露光光EL1と第2パターンPA2からの第2露光光EL2とで第5ショット領域S5を多重露光するために、第1パターンPA1、第2パターンPA2、及び第5ショット領域S5のそれぞれを露光開始位置(走査開始位置)へ移動する。
第1パターンPA1、第2パターンPA2、及び第5ショット領域S5のそれぞれを露光開始位置(走査開始位置)に移動した後、制御装置8は、第1マスクステージ1、第2マスクステージ2、及び基板ステージ3を制御して、第1パターンPA1の+Y方向への移動(順移動)、第2パターンPA2の+Y方向への移動(順移動)、及び第5ショット領域S5の−Y方向への移動(順移動)を開始する。そして、第1パターン形成領域SA1の+Y側のエッジが第1照明領域IR1の−Y側のエッジに到達した時点で、第1露光光EL1による第1パターンPA1の照明が開始され、第2パターン形成領域SA2の+Y側のエッジが第2照明領域IR2の−Y側のエッジに到達した時点で、第2露光光EL2による第2パターンPA2の照明が開始されるように、第1光学機構BR1および第2光学機構BR2それぞれの可動ブラインドが制御される。またこのときに光源を制御してもよい。また、本実施形態においては、第1露光領域PR1と第2露光領域PR2とがほぼ重複しており、第1、第2パターン形成領域SA1、SA2の+Y側のエッジが第1、第2照明領域IR1、IR2に到達した時点で、第5ショット領域S5の−Y側のエッジが第1、第2露光領域PR1、PR2の+Y側のエッジに到達するように設定されている。
そして、制御装置8は、第5ショット領域S5の多重露光のために、第1マスクステージ1及び第2マスクステージ2を用いて、第1パターンPA1を第1照明領域IR1に対して所定の走査速度で+Y方向へ移動し、第2パターンPA2を第2照明領域IR2に対して所定の走査速度で+Y方向へ移動する。制御装置8は、第1パターンPA1及び第2パターンPA2のそれぞれを、第5ショット領域S5を露光するときの露光終了位置(走査終了位置)まで移動する。第1パターンPA1の+Y方向への移動を続けることによって、第1パターンPA1は第1照明領域IR1を通過し、第2パターンPA2の+Y方向への移動を続けることによって、第2パターンPA2は第2照明領域IR2を通過する。
また、制御装置8は、第1パターンPA1及び第2パターンPA2の+Y方向への移動と同期して、第5ショット領域S5の−Y方向への移動を続けることによって、第1露光領域PR1に対する第1露光光EL1の照射、すなわち第5ショット領域S5に対する第1露光光EL1による第1パターンPA1の像の投影を連続的に行うとともに、第2露光領域PR2に対する第2露光光EL2の照射、すなわち第5ショット領域S5に対する第2露光光EL2による第2パターンPA2の像の投影を同時に行う。第5ショット領域S5の−Y方向への移動を続けることによって、第5ショット領域S5は、第1露光領域PR1及び第2露光領域PR2を通過する。
そして、第1パターン形成領域SA1の−Y側のエッジが第1照明領域IR1の+Y側のエッジに到達した時点で、第1露光光EL1による第1パターンPA1の照明が終了し、第2パターン形成領域SA2の−Y側のエッジが第2照明領域IR2の+Y側のエッジに到達した時点で、第2露光光EL2による第2パターンPA2の照明が終了するように、第1光学機構BR1および第2光学機構BR2それぞれの可動ブラインドが制御される。このとき、第1光源装置4、第2光源装置5それぞれのオン/オフを制御してもよい。また、第1パターン形成領域SA1の−Y側のエッジが第1照明領域IR1の+Y側のエッジに到達し、第2パターン形成領域SA2の−Y側のエッジが第2照明領域IR2の−Y側のエッジに到達した時点で、第5ショット領域S5の+Y側のエッジが第1、第2露光領域PR1、PR2の−Y側のエッジに到達する。また、第5ショット領域S5の+Y側のエッジが第1、第2露光領域PR1、PR2の−Y側のエッジに到達した時点で、第1、第2露光領域PR1、PR2に対する第1、第2露光光EL1、EL2の照射が停止される。これにより、第1、第2露光領域PR1、PR2に照射される第1、第2露光光EL1、EL2による第5ショット領域S5の露光、すなわち第5ショット領域S5に対する第1、第2露光光EL1、EL2による第1、第2パターンPA1、PA2の像の投影が終了する。また、第5ショット領域S5が露光終了位置に配置される。図7Bは、第1パターン形成領域SA1、第2パターン形成領域SA2、及び第5ショット領域S5のそれぞれが露光終了位置へ移動する直前の状態を示す。
第5ショット領域S5の露光が終了した後、制御装置8は、基板P、第1パターンPA1、及び第2パターンPA2のそれぞれのそれまでの移動動作に減速を加え、次の、それぞれの移動方向を逆方向とした第6ショット領域S6の露光動作に入る。まず、制御装置8は、第1、第2パターンPA1、PA2からの第1、第2露光光EL1、EL2で、第6ショット領域S6を多重露光をするために、第1パターンPA1、及び第2パターンPA2を露光開始位置(走査開始位置)へ移動するための動作を行う。
本実施形態において、第5ショット領域S5と第6ショット領域S6とはX軸方向に配置されており、制御装置8は、基板ステージ3を制御して、基板Pをステッピング移動する。これにより、第6ショット領域S6が露光開始位置に配置される。
第1パターンPA1、第2パターンPA2、及び第6ショット領域S6のそれぞれを露光開始位置(走査開始位置)に移動した後、制御装置8は、第1マスクステージ1、第2マスクステージ2、及び基板ステージ3を制御して、第5ショット領域S5を露光した際とは逆に、第1パターンPA1の−Y方向への移動(逆移動)、第2パターンPA2の−Y方向への移動(逆移動)、及び第6ショット領域S6の+Y方向への移動(逆移動)を開始する。そして、第1パターン形成領域SA1の−Y側のエッジが第1照明領域IR1の+Y側のエッジに到達した時点で、第1露光光EL1による第1パターンPA1の照明が開始され、第2パターン形成領域SA2の−Y側のエッジが第2照明領域IR2の+Y側のエッジに到達した時点で、第2露光光EL2による第2パターンPA2の照明が開始されるように第2光源装置5を制御してもよい。また、第1パターン形成領域SA1の−Y側のエッジが第1照明領域IR1に到達し、第2パターン形成領域SA2の−Y側のエッジが第2照明領域IR2に到達した時点で、第6ショット領域S6の+Y側のエッジが第1,第2露光領域PR1、PR2の−Y側のエッジに到達するように設定されており、第1、第2露光領域PR1、PR2に対する第1、第2露光光EL1、EL2の照射が開始されるように、第1光学機構BR1および第2光学機構BR2それぞれの可動ブラインドが制御される。また、第1,第2パターン形成領域SA1、SA2の−Y側のエッジが第1、第2照明領域IR1、IR2の+Y側のエッジに到達した時点で、第1、第2パターンPA1、PA2の移動速度が一定になり、第6ショット領域S6の+Y側のエッジが第1、第2露光領域PR1、PR2の−Y側のエッジに到達した時点で、第6ショット領域S6の移動速度が一定になるように設定されている。図8Aは、第1パターン形成領域SA1、第2パターン形成領域SA2、及び第3ショット領域S3が露光開始位置から移動した直後の状態を示す。
そして、制御装置8は、第6ショット領域S6の走査露光のために、第1マスクステージ1を用いて、第1パターンPA1を第1照明領域IR1に対して所定の走査速度で−Y方向へ移動し、第2マスクステージ2を用いて、第2パターンPA2を第2照明領域IR2に対して所定の走査速度で−Y方向へ移動する。制御装置8は、第1,第2パターンPA1、PA2を、第6ショット領域S6を露光するときの露光終了位置(走査終了位置)まで移動する。
また、制御装置8は、第1パターンPA1及び第2パターンPA2の−Y方向への移動と同期して、第6ショット領域S6の+Y方向への移動を続けることによって、第1露光領域PR1に対する第1露光光EL1の照射、すなわち第6ショット領域S6に対する第1露光光EL1による第1パターンPA1の像の投影と、第2露光領域PR2に対する第2露光光EL2の照射、すなわち第6ショット領域S6に対する第2露光光EL2による第2パターンPA2の像の投影とを同時に行う。第6ショット領域S6の+Y方向への移動を続けることによって、第6ショット領域S6は第1、第2露光領域PR1、PR2を通過する。
そして、第1パターン形成領域SA1の+Y側のエッジが第1照明領域IR1の−Y側のエッジに到達し、第2パターン形成領域SA2の+Y側のエッジが第2照明領域IR2の−Y側のエッジに到達した時点で、第1露光光EL1による第1パターンPA1の照明、及び第2露光光EL2による第2パターンPA2の照明が終了する。また、第1パターン形成領域SA1の+Y側のエッジが第1照明領域IR1の−Y側のエッジに到達し、第2パターン形成領域SA2の+Y側のエッジが第2照明領域IR2の−Y側のエッジに到達した時点で、第6ショット領域S6の−Y側のエッジが第1、第2露光領域PR1、PR2の+Y側のエッジに到達し、第1、第2露光領域PR1、PR2に対する第1、第2露光光EL1、EL2の照射が停止されるように、第1光学機構BR1および第2光学機構BR2それぞれの可動ブラインドが制御される。これにより、第1、第2露光領域PR1、PR2に照射される第1、第2露光光EL1、EL2による第6ショット領域S6の露光、すなわち第6ショット領域S6に対する第1、第2露光光EL1、EL2による第1、第2パターンPA1、PA2の像の投影が終了する。また、第6ショット領域S6が露光終了位置に配置される。図8Bは、第1パターン形成領域SA1、第2パターン形成領域SA2、及び第6ショット領域S6のそれぞれが露光終了位置へ移動する直前の状態を示す。
以上、第5、第6ショット領域S5、S6を多重露光する手順の一例について説明した。基板P上には、複数のショット領域Sが設けられており、制御装置8は、上述した手順に基づいて、各ショット領域Sを順次多重露光する。
以上のように、本実施形態においては、1回のスキャン動作で、基板P上の1つのショット領域Sを第1パターンPA1の像と第2パターンPA2の像とで多重露光(二重露光)することができる。
以上、第5、第6ショット領域S5、S6を多重露光する手順の一例について説明した。制御装置8は、第1露光光EL1及び第2露光光EL2でショット領域のそれぞれを露光する毎に、基板Pの移動方向を反転させて、各ショット領域を露光する。第2露光モードでは、第1、第2マスクM1、M2の一方向への移動と逆方向への移動とのそれぞれで、第1、第2パターンPA1、PA2の投影が行われる。
以上説明したように、本実施形態の第1露光モードにおいては、例えば第1パターンPA1が走査露光のための移動を終了してから、第2パターンPA2が走査露光のための移動を開始するまでの時間を短くすることができ、基板上の全てのショット領域を露光し終えるまでに要する時間で考えると、1ショット露光する度に基板の移動方向を反転させる露光方法に比べて、格段に時間を短縮することができる。本実施形態においては、例えば第1パターンPA1が露光動作中(走査露光のための移動中)、第2パターンPA2が次の露光動作のための準備動作を行う。例えば第1パターンPA1を用いた露光動作が終了し、その第1パターンPA1が露光終了位置に配置される前に、第2パターンPA2の準備動作(第2パターンPA2を露光開始位置に配置する動作)を完了させることができる。そのため、第1パターンPA1を用いる露光動作が終了した後、第2パターンを用いる露光動作を直ちに開始することができる。したがって、スループットの低下を抑制できる。しかも、この例えば第2パターンPAを用いる次の露光動作のための準備動作は、前回に第2パターンPA2を用いて露光動作を行った後に第2パターンPA2をそのままの位置に待機させる動作である。つまり、前述の特許文献1に開示された発明のように、前回に第2パターンPA2を用いて露光動作を行った後、第2パターンPA2を減速→停止→反転して反対方向へ移動開始→減速→停止→反転して次の第2パターンPA2を用いる露光動作のために照明領域IR2へ向けて加速、という時間のかかる動作が必要ない。
なお、本実施形態においては、投影光学システムPLが倒立像を形成し、基板P上のショット領域Sを露光する際、基板Pの一方向(例えば+Y方向)への移動と同期して、第1パターンPA1及び第2パターンPA2を基板Pの移動方向とは逆方向(−Y方向)へ移動する場合を例にして説明した。投影光学システムPLが正立像を形成する場合には、基板Pの一方向(例えば+Y方向)への移動と同期して、第1パターンPA1及び第2パターンPA2を基板Pの移動方向と同じ方向(+Y方向)へ移動することによって、基板P上のショット領域Sに第1、第2パターンPA1、PA2の像を投影することができる。このように、ショット領域Sを露光するときの第1、第2パターンPA1、PA2の移動方向と基板Pの移動方向とは同じでもよいし、異なってもよい。
また、本実施形態においては、第1光学システムPL1が第1パターンPA1の倒立像を形成し、第2光学システムPL2が第2パターンPA2の倒立像を形成する場合を例にして説明した。その場合、例えば第1露光モードにおいては、第1パターンPA1が一方向(例えば+Y方向)に移動した後、第2パターンPA2も、第1パターンPA1と同じ方向(+Y方向))に移動することとなる。また、第2露光モードにおいては、第1パターンPA1と第2パターンPA2とを同じ方向に移動しながら、ショット領域Sを多重露光することとなる。一方、例えば第1光学システムPL1が正立像を形成し、第2光学システムPL2が倒立像を形成する場合には、第1露光モードにおいては、第1パターンPA1が一方向(例えば+Y方向)に移動した後、第2パターンPA2は、第1パターンPA1と逆方向(−Y方向)に移動することとなる。また、第2露光モードにおいては、第1パターンPA1と第2パターンPA2とを逆方向に移動しながら、ショット領域を多重露光することとなる。
なお、本実施形態においては、第1露光領域PR1と第2露光領域PR2とがほぼ重複(一致)しているが、第1露光領域PR1と第2露光領域PR2の一部とが重複してもよい。また、第1露光領域PR1と第2露光領域PR2とが走査方向(Y軸方向)に関して離れていてもよい。その場合、第1露光領域PR1と第2露光領域PR2とが、1つのショット領域Sに同時に配置可能となるように、第1露光領域PR1(第1露光領域PR1の中心)と第2露光領域PR2(第2露光領域PR2の中心)とのY軸方向の距離が、基板P上の1つのショット領域SのY軸方向の幅よりも小さくなるようにしてもよい。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図9は、第2実施形態に係る露光装置EXの一例を示す模式図である。図9に示すように、露光装置EXは、第1パターンPA1が形成された第1マスクM1を所定の走査方向に移動可能な第1マスクステージ1と、第2パターンPA2が形成された第2マスクM2を所定の走査方向に移動可能な第2マスクステージ2と、第3パターンPA3が形成された第3マスクM3を所定の走査方向に移動可能な第3マスクステージ(第3移動装置)2Sとを備えている。本実施形態において、第1、第2、第3パターンPA1、PA2、PA3の走査方向は、すべてY軸方向である。また、本実施形態では第1パターンPA1と第2パターンPA2と第3パターンPA3とは、同じパターンである。但し、第1パターンPA1と第2パターンPA2と第3パターンPA3との少なくとも1つが異なるパターンであってもよく、3つともが異なるパターンであってもよい。また、不図示であるが、露光装置EXは、第1パターンPA1を第1露光光EL1で照明する第1照明システムと、第2パターンPA2を第2露光光EL2で照明する第2照明システムと、第3パターンPA3を第3露光光EL3で照明する第3照明システムとを備えている。第1照明システムは、第1照明領域IR1を第1露光光EL1で照明し、第2照明システムは、第2照明領域IR2を第2露光光EL2で照明し、第3照明システムIL3は、第3照明領域IR3を第3露光光EL3で照明する。第1、第2、第3照明領域IR1、IR2、IR3のそれぞれは、X軸方向に長い矩形状である。
また、図9に示すように、露光装置EXは、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ3を備えている。基板ステージ3は、第1パターンPA1からの第1露光光EL1が照射される第1露光領域PR1、第2パターンPA2からの第2露光光EL2が照射される第2露光領域PR2、及び第3パターンPA3からの第3露光光EL3が照射される第3露光領域PR3に対して、基板P上の複数のショット領域Sを所定の走査方向に移動可能である。本実施形態において、ショット領域Sの走査方向は、Y軸方向である。また、第1、第2、第3露光領域PR1、PR2、PR3のそれぞれは、X軸方向に長い矩形状であり、基板P上で重複する。
制御装置8は、基板Pが一方向(例えば+Y方向)に移動しているときに、第1パターンPA1を所定方向に移動して、第1露光領域PR1に照射される第1露光光EL1で基板P上の第1ショット領域S1を露光する間に、第2パターンPA2を所定方向に移動して、第2露光領域PR2に照射される第2露光光EL2で基板P上の第2ショット領域S2を露光するための準備動作を行う。また、第1ショット領域S1の露光が完了した後、基板Pを継続的に一方向(例えば+Y方向)に移動させたまま、それと同期して第2パターンPA2を所定方向に移動し、第2露光領域PR2に照射される第2露光光EL2で基板P上の第2ショット領域S2を露光する間に、第3パターンPA3を所定方向に移動して、第3露光領域PR3に照射される第3露光光EL3で基板P上の第3ショット領域S3を露光するための準備動作を行うとともに、第1パターンPA1を所定方向とは逆方向へ移動して、次に第1パターンPA1を所定方向に移動して第1露光領域PR1に照射される第1露光光EL1で基板P上の第4ショット領域S4を露光するための準備動作を行うように、第1マスクステージ1と第2マスクステージ2と第3マスクステージ2Sと基板ステージ3とを制御する。図9に示すように、本実施形態において、第1ショット領域S1と第2ショット領域S2と第3ショット領域S3と第4ショット領域S4とは、基板P上でY軸方向に関して隣接している。
以下、第1〜第4ショット領域S1〜S4を露光する手順の一例について、図10A〜図13Bの模式図を参照して説明する。図10A及び10Bは、第1ショット領域S1を露光する動作を説明するための模式図である。まず、制御装置8は、第1マスクステージ1を用いて、第1パターンPA1からの第1露光光EL1で第1ショット領域S1を露光するための第1パターンPA1の準備動作を実行する。
本実施形態において、第1パターンPA1の最初の準備動作は、第1パターンPA1を露光開始位置(走査開始位置)に配置するための第1パターンPA1(第1マスクステージ1)の移動動作を含み、制御装置8は、第1パターンPA1を露光開始位置に配置するために、第1マスクM1を保持した第1マスクステージ1を移動する。制御装置8は、第1パターンPA1を露光開始位置へ移動する。
制御装置8は、第1パターンPA1からの第1露光光EL1で第1ショット領域S1を露光するために、第1パターンPA1及び第1ショット領域S1のそれぞれを露光開始位置へ移動する。
第1パターンPA1及び第1ショット領域S1のそれぞれを露光開始位置に移動した後、制御装置8は、第1マスクステージ1及び基板ステージ3を制御して、第1パターンPA1の+Y方向への移動、及び第1ショット領域S1の−Y方向への移動を開始する。図10Aは、第1パターン形成領域SA1及び第1ショット領域S1が露光開始位置から移動した直後の状態を示す。
そして、制御装置8は、第1ショット領域S1の走査露光のために、第1マスクステージ1を用いて、第1パターンPA1を第1照明領域IR1に対して所定の走査速度で+Y方向へ移動する。制御装置8は、第1ショット領域S1を露光するときの露光終了位置まで第1パターンPA1を移動する。また、制御装置8は、第1パターンPA1の+Y方向への移動と同期して、第1ショット領域S1の−Y方向への移動を継続する。制御装置8は、第1ショット領域S1を露光終了位置まで移動する。これにより、第1ショット領域S1に対する第1露光光EL1による第1パターンPA1の像の投影が終了する。図10Bは、第1パターン形成領域SA1及び第1ショット領域S1のそれぞれが露光終了位置へ移動する直前の状態を示す。
制御装置8は、第1ショット領域S1の露光を終了した後、第2ショット領域S2の露光を開始する。ここで、本実施形態においては、制御装置8は、第1ショット領域S1の露光が終了する前に、第2マスクステージ2を用いて、第2パターンPA2からの第2露光光EL2で第2ショット領域S2を露光するための第2パターンPA2の準備動作を完了させている。本実施形態においては、第1露光領域PR1に照射される第1パターンPA1からの第1露光光EL1で第1ショット領域S1を露光する間に、第2パターンPA2からの第2露光光EL2で第2ショット領域S2を露光するための準備動作を実行する。
本実施形態において、第2ショット領域S2を露光するための準備動作は、第2パターンPA2を露光開始位置に配置するための第2パターンPA2(第2マスクステージ2)の移動動作を含み、制御装置8は、第2パターンPA2を露光開始位置に配置するために、第2マスクM2を保持した第2マスクステージ2を移動する。
制御装置8は、第2パターンPA2からの第2露光光EL2で第2ショット領域S2を露光するために、第2パターンPA2及び第2ショット領域S2のそれぞれを露光開始位置へ移動する。
第2パターンPA2及び第2ショット領域S2のそれぞれを露光開始位置に移動した後、制御装置8は、第2マスクステージ2及び基板ステージ3を制御して、第2パターンPA2の+Y方向への移動、及び第2ショット領域S2の−Y方向への移動を開始する。図11Aは、第2パターン形成領域SA2及び第2ショット領域S2が露光開始位置から移動した直後の状態を示す。
そして、制御装置8は、第2ショット領域S2の走査露光のために、第2マスクステージ2を用いて、第2パターンPA2を第2照明領域IR2に対して所定の走査速度で+Y方向へ移動する。制御装置8は、第2ショット領域S2を露光するときの露光終了位置まで第2パターンPA2を移動する。また、制御装置8は、第2パターンPA2の+Y方向への移動と同期して、第2ショット領域S2の−Y方向への移動を継続する。制御装置8は、第2ショット領域S2を露光終了位置まで移動する。これにより、第2ショット領域S2に対する第2露光光EL2による第2パターンPA2の像の投影が終了する。図11Bは、第2パターン形成領域SA2及び第2ショット領域S2のそれぞれが露光終了位置へ移動する直前の状態を示す。
また、本実施形態においては、第2露光領域PR2に照射される第2パターンPA2からの第2露光光EL2で第1ショット領域S2を露光する間に、第3パターンPA3からの第3露光光EL3で第3ショット領域S3を露光するための準備動作を実行する。第3ショット領域S3を露光するための準備動作は、第3パターンPA3を露光開始位置に配置するための第3パターンPA3(第3マスクステージ2S)の移動動作を含み、制御装置8は、第3パターンPA3を露光開始位置に配置するために、第3マスクM3を保持した第3マスクステージ2Sを移動する。
また、図11A及び11Bに示すように、基板Pを−Y方向へ移動しながら、第2パターンPA2からの第2露光光EL2で第2ショット領域S2を露光する動作の少なくとも一部と並行して、制御装置8は、第1マスクステージ1を制御して、第1ショット領域S1を露光するときの移動方向(+Y方向)とは逆方向(−Y方向)へ第1パターンPA1を移動する。
制御装置8は、第2ショット領域S2の露光を終了した後、第3ショット領域S3の露光を開始する。本実施形態においては、第2ショット領域S2の露光が終了する前に、第3パターンPA3からの第3露光光EL3で第3ショット領域S3を露光するための第3パターンPA3の準備動作が既に終了されており、第3パターンPA3は、露光開始位置に配置されている。
制御装置8は、第3パターンPA3からの第3露光光EL3で第3ショット領域S3を露光するために、第3パターンPA3及び第3ショット領域S3のそれぞれを露光開始位置へ移動する。
第3パターンPA3及び第3ショット領域S3のそれぞれを露光開始位置に移動した後、制御装置8は、第3マスクステージ2S及び基板ステージ3を制御して、第3パターンPA3の+Y方向への移動、及び第3ショット領域S3の−Y方向への移動を開始する。
図12Aは、第3パターン形成領域SA3及び第3ショット領域S3が露光開始位置から移動した直後の状態を示す。
そして、制御装置8は、第3ショット領域S3の走査露光のために、第3マスクステージ2Sを用いて、第3パターンPA3を第3照明領域IR3に対して所定の走査速度で+Y方向へ移動する。制御装置8は、第3ショット領域S3を露光するときの露光終了位置まで第3パターンPA3を移動する。また、制御装置8は、第3パターンPA3の+Y方向への移動と同期して、第3ショット領域S3の−Y方向への移動を継続する。制御装置8は、第3ショット領域S3を露光終了位置まで移動する。これにより、第3ショット領域S3に対する第3露光光EL3による第3パターンPA3の像の投影が終了する。図12Bは、第3パターン形成領域SA3及び第3ショット領域S3のそれぞれが露光終了位置へ移動する直前の状態を示す。
また、図12A及び12Bに示すように、基板Pを−Y方向へ移動しながら、第3パターンPA3からの第3露光光EL3で第3ショット領域S3を露光する動作の少なくとも一部と並行して、制御装置8は、第2マスクステージ2を制御して、第2ショット領域S2を露光するときの移動方向(+Y方向)とは逆方向(−Y方向)へ第2パターンPA2を移動する。
また、本実施形態においては、第3露光領域PR3に照射される第3パターンPA3からの第3露光光EL3で第3ショット領域S3を露光する間に、第1パターンPA1からの第1露光光EL1で第4ショット領域S4を露光するための準備動作を完了させる。第4ショット領域S4を露光するための準備動作は、第1パターンPA1を露光開始位置に配置するための第1パターンPA1(第1マスクステージ1)の移動動作を含み、制御装置8は、第1パターンPA1を露光開始位置に配置するために、第1マスクM1を保持した第1マスクステージ1を移動する。
制御装置8は、第3ショット領域S3の露光を終了した後、第4ショット領域S4の露光を開始する。本実施形態においては、第3ショット領域S3の露光が終了する前に、第1パターンPA1からの第1露光光EL1で第4ショット領域S4を露光するための第1パターンPA1の準備動作が既に終了されており、第1パターンPA1は、露光開始位置に配置されている。
制御装置8は、第1パターンPA1からの第1露光光EL1で第4ショット領域S4を露光するために、第1パターンPA1及び第4ショット領域S4のそれぞれを露光開始位置へ移動する。
第1パターンPA1及び第4ショット領域S4のそれぞれを露光開始位置に移動した後、制御装置8は、第1マスクステージ1及び基板ステージ3を制御して、第1パターンPA1の+Y方向への移動、及び第4ショット領域S4の−Y方向への移動を開始する。図13Aは、第1パターン形成領域SA1及び第4ショット領域S4が露光開始位置から移動した直後の状態を示す。
そして、制御装置8は、第4ショット領域S4の走査露光のために、第1マスクステージ1を用いて、第1パターンPA1を第1照明領域IR1に対して所定の走査速度で+Y方向へ移動する。制御装置8は、第1ショット領域S1を露光するときの露光終了位置まで第1パターンPA1を移動する。また、制御装置8は、第1パターンPA1の+Y方向への移動と同期して、第4ショット領域S4の−Y方向への移動を継続する。制御装置8は、第4ショット領域S4を露光終了位置まで移動する。これにより、第4ショット領域S4に対する第1露光光EL1による第1パターンPA1の像の投影が終了する。図13Bは、第1パターン形成領域SA1及び第4ショット領域S4のそれぞれが露光終了位置へ移動する直前の状態を示す。
また、図13A及び13Bに示すように、基板Pを−Y方向へ移動しながら、第1パターンPA1からの第1露光光EL1で第4ショット領域S4を露光する動作の少なくとも一部と並行して、制御装置8は、第3マスクステージ2Sを制御して、第3ショット領域S3を露光するときの移動方向(+Y方向)とは逆方向(−Y方向)へ第3パターンPA3を移動する。
以下、同様の処理が繰り返される。本実施形態においても、スループットの低下を抑制できる。
以上の第2実施形態によれば、マスクステージを3つ備えているので、1つのマスクステージが走査終了した後、減速→停止→反転して移動→停止→次回の露光への加速という準備動作を、基板上の2ショットの露光が完了するまでの時間中に済ませればよいことになる。このため、前述の特許文献1に開示されているようなマスクステージが2つしかない構成では現実的には困難であった、基板を一方向に移動させながら、この一方向に並ぶ基板上のショット領域を連続的に露光するということが、現実的に可能となる。もちろん、この実施形態においてマスクステージの数は3つに限るものではなく、4つ以上であっても構わない。
なお、上述の各実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6778257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。可変成形マスクは、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)等を含む。また、可変成形マスクとしては、DMDに限られるものでなく、DMDに代えて、以下に説明する非発光型画像表示素子を用いても良い。ここで、非発光型画像表示素子は、所定方向へ進行する光の振幅(強度)、位相あるいは偏光の状態を空間的に変調する素子であり、透過型空間光変調器としては、透過型液晶表示素子(LCD:Liquid Crystal Display)以外に、エレクトロクロミックディスプレイ(ECD)等が例として挙げられる。また、反射型空間光変調器としては、上述のDMDの他に、反射ミラーアレイ、反射型液晶表示素子、電気泳動ディスプレイ(EPD:Electro Phonetic Display)、電子ペーパー(または電子インク)、光回折型ライトバルブ(Grating Light Valve)等が例として挙げられる。
また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしても良い。この場合、照明システムは不要となる。ここで自発光型画像表示素子としては、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、無機ELディスプレイ、有機ELディスプレイ(OLED:Organic Light Emitting Diode)、LEDディスプレイ、LDディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)等が挙げられる。また、パターン形成装置が備える自発光型画像表示素子として、複数の発光点を有する固体光源チップ、チップを複数個アレイ状に配列した固体光源チップアレイ、または複数の発光点を1枚の基板に作り込んだタイプのもの等を用い、該固体光源チップを電気的に制御してパターンを形成しても良い。なお、固体光源素子は、無機、有機を問わない。
なお、上述の各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
また、本発明は、米国特許第6341007号明細書、米国特許第6400441号明細書、米国特許第6549269号明細書、米国特許第6590634号明細書、米国特許第6208407号明細書、及び米国特許第6262796号明細書等に開示されているような、複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
更に、例えば米国特許第6897963号明細書等に開示されているような、基板を保持する基板ステージと基準マークが形成された基準部材及び/又は各種の光電センサを搭載した計測ステージとを備えた露光装置にも本発明を適用することができる。また、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
なお、上述の各実施形態においては、レーザ干渉計を含む干渉計システムを用いて、マスクステージ及び基板ステージの各位置情報を計測するものとしたが、これに限らず、例えば各ステージに設けられるスケール(回折格子)を検出するエンコーダシステムを用いてもよい。
また、上述の各実施形態では、露光光ELとしてArFエキシマレーザ光を発生する光源装置として、ArFエキシマレーザを用いてもよいが、例えば、米国特許第7023610号明細書に開示されているように、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザなどの固体レーザ光源、ファイバーアンプなどを有する光増幅部、及び波長変換部などを含み、波長193nmのパルス光を出力する高調波発生装置を用いてもよい。さらに、上述の実施形態においては、上述の各照明領域及び投影領域(露光領域)がそれぞれ矩形状であるものとしたが、他の形状、例えば円弧状でもよい。
上述の各実施形態においては、投影光学システムを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学システムを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。このように投影光学システムを用いない場合であっても、露光光はレンズ等の光学部材を介して基板に照射される。また、その光学部材と基板との間の所定空間に液浸空間が形成される。
以上のように、露光装置EXは、各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図14に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、上述の実施形態に従って、マスクのパターンを用いて露光光で基板を露光すること、及び露光された基板を現像することを含む基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての文献及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。