JP2010014509A - 回転角度検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】レゾルバの励磁コイルと励磁信号生成回路との間で地絡等の異常が発生しても、素子の破壊やコイルの断線を防止することができる回転角度検出装置を提供する。
【解決手段】ロータ11の周囲に励磁コイルL1および出力コイルL2、L3が設けられたレゾルバ1と、正弦波信号にオフセット電圧を加えた励磁信号を励磁コイルL1に与える励磁信号生成回路24と、出力コイルL2、L3の各出力信号の振幅を所定周期で検出し、当該検出値に基づいて軸の回転角度を算出する演算処理装置21とを備えた回転角度検出装置100において、励磁コイルL1と励磁信号生成回路24との間に地絡が発生すると、正弦波信号にオフセット電圧を加えることを禁止して、励磁信号生成回路24からオフセット電圧を含まない励磁信号を出力する。
【選択図】図1

Description

本発明は、レゾルバを用いてモータ等の回転角度を検出する装置に関し、特に、地絡等の異常が発生した場合の対策に関する。
レゾルバは、軸に連結されたロータの周囲に、励磁コイルと2つの出力コイルとを備えた回転角度センサである。回転角度センサには、レゾルバの他にロータリエンコーダがあるが、ロータリエンコーダは、光学素子や磁気抵抗素子を用いているため、温度、ノイズ、塵埃等の影響を受けやすく、耐環境性の点で劣る。これに対して、レゾルバは、基本的にコイルと鉄心だけで構成されていて、上記のような素子を用いないため、厳しい環境条件下でも使用することができ、例えば、自動車におけるモータやステアリングの回転角度の検出に用いられている。
レゾルバの原理を簡単に説明する。一次側の励磁コイルに正弦波信号を印加すると、二次側の各出力コイルには、軸の回転角度に応じて、正弦波状に振幅変調された2相の電圧が誘起される。すなわち、一方の出力コイルからは、振幅のピーク値がsin関数で変化する信号が出力され、他方の出力コイルからは、振幅のピーク値がcos関数で変化する信号が出力される。したがって、各出力信号の振幅を所定周期で検出し、そのtan−1を求めることにより、軸の回転角度を算出することができる。
下記の特許文献1には、上述したようなレゾルバが開示されている。また、特許文献2、3には、レゾルバを用いた回転角度検出装置において短絡が発生した場合に、これを検出する技術が開示されている。特許文献2では、一方の出力コイルにバイアス電圧を印加し、他方の出力コイルの対地直流電位が所定値以上であるか否かを検出する比較器を用いて、コイル間の短絡(相間短絡)を検出している。特許文献3では、2つのレゾルバを用いた回転角度検出装置において、各レゾルバが180°の位相差を有するように配置され、一方のレゾルバの出力信号と他方のレゾルバの出力信号とが所定の関係を満たすか否かを判別することによって、各レゾルバの同相同士の短絡を検出している。
特開2007−114074号公報 特開2000−166205号公報 特開2005−147791号公報
レゾルバにおいては、二次側の出力コイルに誘起される電圧を一定レベル以上確保して検出精度(SN比)を上げるために、オフセット電圧が加えられた正弦波信号を生成し、これを励磁信号として一次側の励磁コイルに印加することが行われている。一方、レゾルバと励磁信号生成回路とを接続しているワイヤハーネスが、自動車の車体や内装品のような接地部位に電気的に接触した場合、励磁コイルと励磁信号生成回路との間で地絡が発生する。このような地絡が発生すると、上記オフセット電圧に起因して、励磁信号生成回路やレゾルバの励磁コイルに電流が流れ続ける状態となるため、熱によって回路素子が破壊したりコイルが断線したりするおそれがある。
本発明は、上述した問題点に鑑み、レゾルバの励磁コイルと励磁信号生成回路との間で地絡等の異常が発生しても、素子の破壊やコイルの断線を防止することができる回転角度検出装置を提供することを目的としている。
本発明に係る回転角度検出装置は、軸に連結されたロータの周囲に励磁コイル、第1出力コイル、および第2出力コイルが設けられたレゾルバと、正弦波信号に所定のオフセット電圧を加えた励磁信号を励磁コイルに与える励磁信号生成回路と、第1出力コイルおよび第2出力コイルの各出力信号の振幅を所定周期で検出し、当該検出値に基づいて軸の回転角度を算出する回転角度算出手段とを備えた回転角度検出装置であって、励磁コイルと励磁信号生成回路との間に異常が発生したことを検出する異常検出手段を更に備え、この異常検出手段が異常を検出した場合に、正弦波信号にオフセット電圧を加えることを禁止して、励磁信号生成回路からオフセット電圧を含まない励磁信号を出力するようにしている。
このようにすると、地絡が発生した場合に、励磁信号生成回路から出力される励磁信号にオフセット電圧が含まれないので、励磁信号のレベルを低く抑えることができる。したがって、地絡により励磁信号生成回路や励磁コイルに電流が流れ続けても、電流値が小さいため、励磁信号生成回路の回路素子が熱により破壊したり、励磁コイルが熱により断線したりするおそれはない。
本発明の好ましい実施形態においては、異常検出手段が異常を検出した後も、回転角度算出手段は、第1出力コイルおよび第2出力コイルの各出力信号の振幅を所定周期で検出する。
地絡発生時にオフセット電圧がゼロとなっても、レゾルバの出力コイルには電圧が誘起されるので、上記のように各コイルの出力信号の振幅を所定周期で検出することにより、地絡が発生している状態下においても、回転角度の検出を継続することができる。
また、本発明の好ましい実施形態においては、正弦波信号の位相を180°反転した正弦波信号にオフセット電圧を加えた反転励磁信号を励磁コイルに与える反転励磁信号生成回路が更に設けられる。そして、励磁信号生成回路から出力される励磁信号が励磁コイルの一方の端子に与えられ、反転励磁信号生成回路から出力される反転励磁信号が励磁コイルの他方の端子に与えられる。
これによると、オフセット電圧により嵩上げされた互いに逆相の正弦波信号に基づいて、レゾルバの励磁コイルに大きな振幅の励磁信号を印加することができるので、出力コイルから出力される信号の振幅も大きくなり、ノイズの影響が少なくなって検出精度を上げることができる。
また、本発明の好ましい実施形態においては、異常検出時に励磁信号生成回路から出力されるオフセット電圧を含まない励磁信号は、半波の信号である。
これによると、全波の場合に比べて励磁信号の電気エネルギーが半分となるので、発熱を一層抑制して、素子の破壊やコイルの断線をより効果的に防止することができる。
本発明によれば、レゾルバの励磁コイルと励磁信号生成回路との間に異常が検出された場合は、オフセット電圧を含まない励磁信号が出力されるため、オフセット電圧に起因する素子の破壊やコイルの断線を未然に防止することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る回転角度検出装置のブロック図である。回転角度検出装置100は、レゾルバ1と制御部2とから構成される。
レゾルバ1は、一次側の励磁コイルL1と、二次側の出力コイルL2、L3とを備えている。これらのコイルL1〜L3は、ロータ(回転子)11の周囲に配置されている。図2は、レゾルバ1の概略構造を示した図である。ロータ11は、軸13に連結されていて、軸13と共に回転する。軸13は、モータ等の回転軸またはそれに連結された軸である。ロータ11の周囲には、ステータ(固定子)12が設けられている。ステータ12には、円周方向にわたって等間隔に磁極(図示省略)が形成されており、この磁極にコイルL(L1〜L3をまとめて符号Lで示す)が巻回されている。
ここに示したレゾルバ1は、可変リラクタンス型のレゾルバである。ロータ11とステータ12との間隙のリラクタンス(磁気抵抗)がロータ11の回転角度に応じて周期的に変化して、出力コイルL2、L3に正弦波状に振幅変調された電圧が誘起されるように、ロータ11の形状が設計されている。ロータ11を、図のような120°間隔で形成された3つの突部を有する形状にした場合は、ロータ11が1回転する間に、正弦波状に振幅変調された3周期分の電圧が出力コイルL2、L3から取り出される。但し、本発明では、ロータ11の形状は図2のものに限定されない。例えば、ロータ11の1回転により2周期分の電圧が出力される楕円形や、ロータ11の1回転により4周期分の電圧が出力される十字形など、任意の形状のロータを採用することができる。
図1に戻り、制御部2の構成について述べる。演算処理装置21は、CPUやメモリから構成される。正弦波信号生成回路22は、演算処理装置21から出力されるPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)信号を積分して、正弦波信号を生成する。オフセット電圧生成回路23は、上記正弦波信号のレベルを嵩上げするためのオフセット電圧を生成する。励磁信号生成回路24は、正弦波信号生成回路22から出力される正弦波信号に、オフセット電圧生成回路23から出力されるオフセット電圧を加えて、励磁信号を生成する。反転励磁信号生成回路25は、正弦波信号生成回路22から出力される正弦波信号の位相を180°反転した正弦波信号に、オフセット電圧生成回路23から出力されるオフセット電圧を加えて、反転励磁信号を生成する。励磁信号生成回路24で生成された励磁信号は、レゾルバ1の励磁コイルL1の一方の端子U1に与えられ、反転励磁信号生成回路25で生成された反転励磁信号は、励磁コイルL1の他方の端子U2に与えられる。
励磁信号監視回路26は、端子U1、U2間の電圧、すなわちレゾルバ1の励磁コイルL1の両端電圧を監視する。sin出力処理回路27は、出力コイルL2から出力されるsin相の信号、すなわち軸13の回転角度とともに振幅がsin関数で変化する出力信号に対して、増幅等の処理を行う。cos出力処理回路28は、出力コイルL3から出力されるcos相の信号、すなわち軸13の回転角度とともに振幅がcos関数で変化する出力信号に対して、増幅等の処理を行う。励磁信号監視回路26、sin出力処理回路27、cos出力処理回路28の各出力は、演算処理装置21へ入力される。なお、S1およびS3は出力コイルL3の端子、S2およびS4は出力コイルL2の端子である。
図3は、励磁信号生成回路24および反転励磁信号生成回路25の具体的な回路の一例を示している。励磁信号生成回路24は、演算増幅器OP1と、この演算増幅器OP1の反転入力端子(−端子)に接続されたコンデンサC1および抵抗R1と、演算増幅器OP1の非反転入力端子(+端子)に接続された抵抗R2と、演算増幅器OP1の出力端子と反転入力端子との間に接続された抵抗R3とを備えている。Vdは演算増幅器OP1の直流電源である。演算増幅器OP1の反転入力端子には、コンデンサC1および抵抗R1の直列回路を介して、正弦波信号生成回路22で生成された正弦波信号が入力される。演算増幅器OP1の非反転入力端子には、抵抗R2を介して、オフセット電圧生成回路23で生成されたオフセット電圧が入力される。演算増幅器OP1は、正弦波信号にオフセット電圧を加えた励磁信号を出力する。この励磁信号は、レゾルバ1の励磁コイルL1の一方の端子U1へ与えられる。
励磁信号生成回路25は、演算増幅器OP2と、この演算増幅器OP2の反転入力端子(−端子)に接続されたインバータ回路INV、コンデンサC2、および抵抗R4と、演算増幅器OP2の非反転入力端子(+端子)に接続された抵抗R6と、演算増幅器OP2の出力端子と反転入力端子との間に接続された抵抗R5とを備えている。Vdは演算増幅器OP2の直流電源である。正弦波信号生成回路22で生成された正弦波信号は、インバータ回路INVにより位相が180°反転され、コンデンサC2および抵抗R4の直列回路を介して、演算増幅器OP2の反転入力端子に入力される。演算増幅器OP2の非反転入力端子には、抵抗R6を介して、オフセット電圧生成回路23で生成されたオフセット電圧が入力される。演算増幅器OP2は、位相の反転した正弦波信号にオフセット電圧を加えた反転励磁信号を出力する。この反転励磁信号は、レゾルバ1の励磁コイルL1の他方の端子U2へ与えられる。
図4は、オフセット電圧生成回路23の具体的な回路の一例を示している。オフセット電圧生成回路23は、演算増幅器OP3と、分圧回路を構成する2つの抵抗R7、R8と、スイッチング用のトランジスタQとを備えている。演算増幅器OP3の非反転入力端子(+端子)には、バッテリ電圧Bを抵抗R7、R8で分圧した電圧が入力される。演算増幅器OP3の反転入力端子(−端子)は出力端子に接続されている。トランジスタQのコレクタは抵抗R7、R8の接続点nに接続されており、エミッタは接地されている。また、トランジスタQのベースには、演算処理装置21(図1)から「H(High)」または「L(Low)」の制御信号が与えられる。トランジスタQのベースに「H」の制御信号が与えられると、トランジスタQはオン状態となり、トランジスタQのベースに「L」の制御信号が与えられると、トランジスタQはオフ状態となる。通常時においては、トランジスタQはオフ状態となっている。
以上の構成において、レゾルバ1の出力コイルL2は、本発明における第1出力コイルの一実施形態であり、レゾルバ1の出力コイルL3は、本発明における第2出力コイルの一実施形態である。また、演算処理装置21、sin出力処理回路27、cos出力処理回路28は、本発明における回転角度算出手段の一実施形態であり、演算処理装置21、励磁信号監視回路26は、本発明における異常検出手段の一実施形態である。
次に、上述した回転角度検出装置100の動作について説明する。
最初に、異常が発生していない正常状態での動作について述べる。図5(a)は、励磁信号生成回路24で生成された励磁信号VU1、および反転励磁信号生成回路25で生成された反転励磁信号VU2の各波形を示している。励磁信号VU1は、正弦波信号生成回路22で生成された正弦波信号にオフセット電圧Voが加えられた信号であり、反転励磁信号VU2は、上記正弦波信号と逆相の正弦波信号にオフセット電圧Voが加えられた信号である。
前述のように、励磁信号VU1は、レゾルバ1の励磁コイルL1の一方の端子U1に与えられ、反転励磁信号VU2は、レゾルバ1の励磁コイルL1の他方の端子U2に与えられる。したがって、レゾルバ1の励磁コイルL1の両端には、図5(b)に示すような電圧VL1(=VU1−VU2)が印加される。VL1の振幅は、VU1、VU2の振幅の2倍となっている。図5(a)のように、信号VU1、VU2を、オフセット電圧Vo分だけ嵩上げした信号とすることにより、励磁コイルL1に図5(b)のような振幅の大きい励磁信号を印加することができる。この結果、出力コイルL2、L3から出力される信号の振幅も大きくなるので、ノイズの影響が少なくなって検出精度を上げることができる。
励磁コイルL1に図5(b)の電圧VL1が印加された状態で、軸13(図2)が回転すると、出力コイルL2には、図6(a)のように、振幅のピーク値がsin関数で変化する振幅変調された電圧VL2が誘起される。この電圧VL2は、端子S2、S4を介してsin出力処理回路27に入力され、増幅等の処理が行われた後、演算処理装置21に入力される。一方、出力コイルL3には、図6(b)のように、振幅のピーク値がcos関数で変化する振幅変調された電圧VL3が誘起される。この電圧VL3は、端子S1、S3を介してcos出力処理回路28に入力され、増幅等の処理が行われた後、演算処理装置21に入力される。演算処理装置21では、sin出力処理回路27から入力されたsin相の信号、およびcos出力処理回路28から入力されたcos相の信号に対して、所定周期でサンプリングを行い、各信号の振幅値(ピーク値)を検出する。そして、検出した振幅値に基づいて、軸13の回転角度を算出する。すなわち、各サンプリング時点におけるsin相の振幅値Aとcos相の振幅値Bとから、振幅比A/Bを演算してtan−1(A/B)を求め、その値に対応する回転角度θをメモリのテーブルから読み出すことにより、回転角度を検出する。
次に、図1において、励磁コイルL1と、励磁信号生成回路24および反転励磁信号生成回路25との間に異常が発生した場合の動作について述べる。以下では、端子U2が地絡した場合を例に挙げる。
端子U2が地絡した場合、すなわち、励磁信号生成回路のうち一方の反転励磁信号生成回路25に異常が発生した場合、反転励磁信号生成回路25から出力される反転励磁信号VU2は、VU2=0となる。したがって、励磁コイルL1に印加される電圧VL1(=VU1−VU2)は、励磁信号生成回路24から出力される励磁信号VU1のみとなる。よって、電圧VL1の振幅は、正常時(図5(b))の1/2になる。ここで、図7(a)に示すように、励磁信号VU1がオフセット電圧Voを含んだままであると、図7(b)に示すように、励磁コイルL1の電圧VL1は、高いレベルを維持する。そして、端子U2が地絡状態にあることから、励磁信号生成回路24と励磁コイルL1には、電圧VL1に基づく大きな電流が流れ続ける。このため、励磁信号生成回路24の回路素子が熱により破壊したり、励磁コイルL1が熱により断線したりするおそれがある。
なお、上記のような地絡が発生した状態下においても、レゾルバ1の出力コイルL2、L3には、それぞれ図8(a)、(b)に示したようなsin相の電圧VL2、cos相のVL3が誘起されるので、これらの電圧VL2、VL3に基づいて、軸13の回転角度を検出することは可能である。但し、素子の破壊やコイルの断線が生じると、この検出は不可能となる。
本発明においては、端子U2が地絡した場合、正弦波信号生成回路22から出力される正弦波信号にオフセット電圧Voを加えることを禁止することにより、励磁信号生成回路24の素子の破壊や、励磁コイルL1の断線を防止する。以下、この詳細について説明する。
端子U2に地絡が発生すると、上述したように、励磁コイルL1の電圧VL1が正常時に比べて小さくなる。電圧VL1(端子U1、U2間の電圧)は、励磁信号監視回路26によって常時監視されており、電圧VL1が小さくなると、励磁信号監視回路26から演算処理装置21へ異常検出信号が出力される。演算処理装置21は、励磁信号監視回路26から異常検出信号を受け取ると、地絡が発生したと判断し、オフセット電圧生成回路23へ「H」の制御信号を出力する。
この「H」の制御信号は、図4のオフセット電圧生成回路23におけるトランジスタQのベースに与えられ、トランジスタQがオン状態になる。トランジスタQがオン状態になると、分圧抵抗R7、R8の接続点n、すなわち演算増幅器OP3の非反転入力端子が接地されるため、演算増幅器OP3には、分圧抵抗R7、R8によるバッテリBの分圧電圧が与えられなくなる。したがって、演算増幅器OP3からオフセット電圧は出力されない。
こうして、オフセット電圧生成回路23からオフセット電圧が出力されなくなる結果、図3の励磁信号生成回路24の演算増幅器OP1にオフセット電圧が入力されなくなる。このため、励磁信号生成回路24は、正弦波信号生成回路22からの正弦波信号にオフセット電圧を加えることを禁止して、オフセット電圧を含まない励磁信号を出力する。
図9(a)は、地絡発生時に、励磁信号生成回路24および反転励磁信号生成回路25から出力される励磁信号VU1、反転励磁信号VU2の各波形を示している。反転励磁信号VU2は、前述したようにVU2=0となる。また、励磁信号VU1は、オフセット電圧を含まないため、正弦波信号の正の半波のみの信号となる。図9(b)は、このときのレゾルバ1の励磁コイルL1に印加される電圧VL1(=VU1−VU2)の波形を示している。VU2=0であるため、電圧VL1の波形は、図9(a)のVU1の波形と同じになる。
このように、地絡が発生した場合に、励磁信号生成回路24から出力される励磁信号にオフセット電圧が含まれないようにすることで、励磁コイルL1に印加される励磁信号のレベルを低く抑えることができる。したがって、地絡により励磁信号生成回路24や励磁コイルL1に電流が流れ続けても、電流値が小さいため、励磁信号生成回路24の回路素子が熱により破壊したり、励磁コイルL1が熱により断線したりするおそれはない。また、本実施形態では、地絡発生時の励磁信号が、図9(b)のような半波信号であるため、全波信号の場合に比べて励磁信号の電気エネルギーが半分となり、これによって発熱を一層抑制して、素子の破壊やコイルの断線をより効果的に防止することができる。
地絡が発生した場合にオフセット電圧がゼロとなっても、レゾルバ1の出力コイルL2、L3には、それぞれ図10(a)、(b)に示したようなsin相の電圧VL2、cos相の電圧VL3が誘起される。そこで、本実施形態では、地絡が発生した後も、出力コイルL2、L3の各出力信号をそれぞれsin出力処理回路27およびcos出力処理回路28を介して演算処理装置21に取り込む。そして、各出力信号を所定周期でサンプリングして振幅を検出し、先に述べた原理に従って、軸13の回転角度を算出する。これにより、地絡が発生している状態下においても、回転角度の検出を継続することができる。
本発明では、以上述べた以外にも種々の実施形態を採用することができる。例えば、上記実施形態では、反転励磁信号を生成する反転励磁信号生成回路25を設けた例を挙げたが、反転励磁信号生成回路25は本発明にとって必須のものではなく、励磁信号生成回路24のみを設けてもよい。
また、上記実施形態では、地絡発生時に図4のトランジスタQをオンさせることによって、オフセット電圧生成回路23からオフセット電圧が出力されないようにしたが、オフセット電圧を停止させる手段は、これに限られない。例えば、図4において、演算増幅器OP3の出力側にトランジスタを設け、地絡発生時にこのトランジスタをオン状態にして、演算増幅器OP3の出力を接地することにより、オフセット電圧生成回路23からオフセット電圧が出力されないようにしてもよい。あるいは、図4において、バッテリBと分圧抵抗R7、R8との間にトランジスタを設け、地絡発生時にこのトランジスタをオフ状態にして、分圧抵抗R7、R8をバッテリBから切り離すことにより、オフセット電圧生成回路23からオフセット電圧が出力されないようにしてもよい。
また、上記実施形態では、端子U2が地絡した場合について説明したが、端子U1が地絡した場合も、同様の原理によりオフセット電圧の出力を停止させることができる。
本発明の実施形態に係る回転角度検出装置のブロック図である。 レゾルバの概略構造を示した図である。 励磁信号生成回路および反転励磁信号生成回路の具体的な回路の一例を示す図である。 オフセット電圧生成回路の具体的な回路の一例を示す図である。 正常状態における励磁信号と反転励磁信号の各波形、および励磁コイルに印加される電圧の波形を示す図である。 正常状態における出力コイルの誘起電圧の波形を示す図である。 地絡発生時にオフセット電圧を停止しなかった場合の励磁信号と反転励磁信号の各波形、および励磁コイルに印加される電圧の波形を示す図である。 図7の場合における出力コイルの誘起電圧の波形を示す図である。 地絡発生時にオフセット電圧を停止した場合の励磁信号と反転励磁信号の各波形、および励磁コイルに印加される電圧の波形を示す図である。 図9の場合における出力コイルの誘起電圧の波形を示す図である。
符号の説明
1 レゾルバ
2 制御部
11 ロータ
12 ステータ
13 軸
21 演算処理装置
22 正弦波信号生成回路
23 オフセット電圧生成回路
24 励磁信号生成回路
25 反転励磁信号生成回路
26 励磁信号監視回路
27 sin出力処理回路
28 cos出力処理回路
100 回転角度検出装置
L1 励磁コイル
L2、L3 出力コイル
U1 励磁コイルの一方の端子
U2 励磁コイルの他方の端子

Claims (4)

  1. 軸に連結されたロータの周囲に励磁コイル、第1出力コイル、および第2出力コイルが設けられたレゾルバと、
    正弦波信号に所定のオフセット電圧を加えた励磁信号を前記励磁コイルに与える励磁信号生成回路と、
    前記第1出力コイルおよび第2出力コイルの各出力信号の振幅を所定周期で検出し、当該検出値に基づいて前記軸の回転角度を算出する回転角度算出手段と、を備えた回転角度検出装置において、
    前記励磁コイルと前記励磁信号生成回路との間に異常が発生したことを検出する異常検出手段を更に備え、
    前記異常検出手段が異常を検出した場合に、前記正弦波信号に前記オフセット電圧を加えることを禁止して、前記励磁信号生成回路からオフセット電圧を含まない励磁信号を出力することを特徴とする回転角度検出装置。
  2. 請求項1に記載の回転角度検出装置において、
    前記回転角度算出手段は、前記異常検出手段が異常を検出した後も、前記第1出力コイルおよび第2出力コイルの各出力信号の振幅を所定周期で検出することを特徴とする回転角度検出装置。
  3. 請求項1に記載の回転角度検出装置において、
    前記正弦波信号の位相を180°反転した正弦波信号に前記オフセット電圧を加えた反転励磁信号を前記励磁コイルに与える反転励磁信号生成回路を更に備え、
    前記励磁信号生成回路から出力される励磁信号を、前記励磁コイルの一方の端子に与え、前記反転励磁信号生成回路から出力される反転励磁信号を、前記励磁コイルの他方の端子に与えることを特徴とする回転角度検出装置。
  4. 請求項1に記載の回転角度検出装置において、
    前記励磁信号生成回路は、前記オフセット電圧を含まない励磁信号として、半波の信号を出力することを特徴とする回転角度検出装置。
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