JP2010013962A - 気体圧縮機 - Google Patents

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Tetsuya Toyokata
哲也 豊方
Ryoichi Osato
良一 大里
Naoyuki Shioda
直之 塩田
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【課題】油分が低減してその油面が排油孔内に形成されてしまった場合であっても、排油孔の貯油部側の開口から排出される油分に作用する押出力を、油分離器内で内部空間の底部に貯められている油分が内部空間で旋回する気体からの押圧力よりも小さくすることができる気体圧縮機を提供する。
【解決手段】ハウジングの内部に、圧縮機本体と、圧縮気体Gから油分Rを遠心分離する油分離器60とを備え、油分離器60には、底壁面61cに流れ落ちた油分Rを貯油部36に排出する排油孔61dが形成された気体圧縮機10である。排油孔61dは、貯油部36側の開口61fが内部空間63側の開口61eよりも小さく形成され、開口61fがそこよりも内部空間63側の位置での排出方向に直交する断面の面積と同等以下の面積に設定されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、気体圧縮機に関し、詳細には、圧縮機本体から吐出された圧縮気体から油分を遠心分離する油分離器の改良に関する。
従来、空気調和システム(以下、空調システムという。)には、冷媒ガスなどの気体を圧縮して、空調システムに気体を循環させるための気体圧縮機(コンプレッサ)が用いられている。
ここで、一般的なコンプレッサの1つとして例えばベーンロータリ形式のコンプレッサが知られている。このベーンロータリ形式のコンプレッサは、ハウジングの内部に、圧縮機本体が収容された構成となっている。
圧縮機本体は、回転軸と一体的に回転する略円柱状のロータと、ロータの外方を取り囲む断面輪郭形状が略楕円形のシリンダと、ロータに埋設され突出側の先端がシリンダの内周面に追従するようにロータの外周面からの突出量が可変とされた板状のベーンと、ロータの両端面側からロータおよびベーンを覆う2つのサイドブロックとを備えている。この圧縮機本体では、ロータの回転方向で相前後する2つのベーン、シリンダの内周面、ロータの外周面および両サイドブロックの端面により、ロータの回転に伴ってその容積が変化し、吸入した気体を圧縮して吐出する複数の吸入圧縮室が画成されている。
また、ハウジングの内方には、ハウジングの内面と圧縮機本体の外面(両サイドブロック)とにより、圧縮機本体を挟んで一方の側に圧縮機本体に吸入される気体が通過する低圧雰囲気の吸入室が形成されているとともに、圧縮機本体を挟んで他方の側に圧縮機本体から吐出された気体が通過する高圧雰囲気の吐出室(油分が分離された気体の通過する空間)が形成されている。この吐出室を画成するサイドブロックには、吸入圧縮室で圧縮された高圧の気体を吐出室に導くための吐出路が形成されているとともに、吐出された気体に混じった冷凍機油等の油分を遠心分離するための油分離器が取り付けられている。
油分離器は、圧縮された気体が吐出されたときの勢いで油分を遠心分離する内周壁面および分離された前記油分が流れ落ちる底壁面で囲まれた内部空間を有し、内部空間内で分離された油分は、底壁面に形成され内部空間よりも小さな径の柱状を呈する排油孔から吐出室の下部(貯油部)に排出される。
一方、内部空間で旋回して油分が分離された後の気体は、吐出室内で油分離器から排気されて気体圧縮機の外部に吐出される(例えば、特許文献1参照)。
なお、スクロール形式等他の形式の気体圧縮機にあっても、同様の油分離器が備えられている。
ところで、上述した気体圧縮機では、油分離器で分離された油分は、油分離器内で底壁面の上方に油面を形成するように内部空間の底部に貯められており、内部空間で旋回する気体からの押圧力を油面で受けることにより排油孔から押し出されるように内部空間から貯油部へと排出される。この際、油分は、受けた押圧力を油面の面積(受圧面積)で割った分の圧力を有しており、この圧力を内部空間の底部を画成する壁面、排油孔を画成する壁面および排油孔の貯油部側の開口に均一に作用させる(押圧する)こととなる。このため、排油孔の貯油部側の開口から排出される油分は、圧力に貯油部側の開口の面積を掛けた押出力が作用することとなる。このことから、この押出力は、受けた押圧力に、排油孔の貯油部側の開口の面積に対する油面の面積の比を掛けた値となる。ここで、排油孔が内部空間よりも小さな径とされていることから、内部空間の底部に貯められた油分は、内部空間で旋回する気体からの押圧力よりも小さな押出力を受けて排油孔の貯油部側の開口から排出されることとなる。
特開2003−090286号公報
しかしながら、上述した気体圧縮機では、例えば、空調システムの運転状態の変化により、油分離器内で内部空間の底部に貯められている油分の量が低減してその油面が排油孔内に位置すると、受圧面積である油面の面積と排出個所である排油孔の貯油部側の開口の面積とが略等しくなってしまうことから、排油孔の貯油部側の開口から排出される油分に作用する押出力が、内部空間で旋回する気体からの押圧力に略等しくなる、すなわち内部空間の底部に貯められた油分量が低減する前と比較して増加してしまうこととなる。
すると、排油孔の貯油部側の開口から排出された油分が貯油部に溜まった油分に衝突する際の衝突エネルギが増加することとなってしまう。すると、例えば排油孔の貯油部側の開口が貯油部に溜まった油分の油面より上方に位置する場合、開口から排出された油分と貯油部に溜まった油分との衝突によって油分がミスト(微小液滴)化し、このミスト化された油分は気体によって運ばれやすいことから、分離された気体とともに気体圧縮機の外部に吐出される油分の量が増加してしまう。
また、排油孔の貯油部側の開口が、貯油部に溜まった油分の油面より上方に位置していても貯油部に溜まった油分の油面より下方に位置するすなわち貯油部に溜まった油分に排油孔が浸かっていても、貯油部側の開口から油分が排出されることに伴って貯油部に溜まった油分に伝達される力が増加することから、貯油部に溜まった油分が、適切な状態、すなわち吐出室における所定の位置で大きく波立つことなく貯留されている状態を保つことを阻害してしまう。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、油分が低減してその油面が排油孔内に形成されてしまった場合であっても、排油孔の貯油部側の開口から排出される油分に作用する押出力を、油分離器内で内部空間の底部に貯められている油分が内部空間で旋回する気体からの押圧力よりも小さくすることができる気体圧縮機を提供することを目的とする。
本発明に係る気体圧縮機は、油分離器の排油孔の外部側(貯油部側)の開口を、内部空間側の開口よりも小さく形成したことにより、排油孔から外部(貯油部)に排出されるときに油分に作用する押出力を低下させて、貯油部に溜まった油分に伝達される力を抑制し、油分のミスト化を抑制したものである。
すなわち、請求項1に記載の気体圧縮機は、ハウジングの内部に、気体を圧縮する圧縮機本体と、該圧縮機本体により圧縮されて吐出された圧縮気体を通過させて該圧縮気体から油分を遠心分離する内周壁面および分離された前記油分が流れ落ちる底壁面で囲まれた内部空間を有する油分離器とを備え、前記油分離器には、前記底壁面に流れ落ちた前記油分を貯油部に排出する排油孔が形成された気体圧縮機において、前記排油孔は、前記貯油部側における開口が前記内部空間側における開口よりも小さく形成され、前記貯油部側における開口が当該開口よりも前記内部空間側の位置での排出方向に直交する断面の面積と同等以下の面積に設定されていることを特徴とする。
ここで、排油孔は、その貯油部側における開口が内部空間側における開口よりも小さく形成され、かつ貯油部側における開口が当該開口よりも内部空間側の位置での排出方向に直交する断面の面積と同等以下の面積に設定されていればよいため、内部空間側から貯油部側に至る排油孔の長さ方向の全域に亘って、断面積が連続的に変化するものであってもよいし、断面積が不連続に変化するものであってもよい。
また、排油孔は、貯油部に溜められた油分に浸かって(油分の油面よりも下方に位置して)いてもよいし、油分の油面よりも上方に位置していてもよい。
上記した構成によれば、油分離器の排油孔において外部側の開口が内部空間側の開口よりも小さく形成され、かつ貯油部側における開口が当該開口よりも内部空間側の位置での排出方向に直交する断面の面積と同等以下の面積に設定されているため、油分離器内で内部空間の底部に貯められている油分の量が低減してその油面が排油孔内に位置するような場合であっても、当該油面の面積が貯油部側における開口の面積よりも大きくなるので、排油孔の貯油部側の開口から排出される油分に作用する押出力を内部空間で旋回する気体から受ける押圧力よりも小さくすることができる。なお、排油孔から排出された油分による衝突エネルギが低下することは、排油孔の外部側(貯油部側)の開口が、貯油部に溜められた油分の油面より高い位置にあるか、または低い位置にあるか、に拘わらず発揮される。
請求項2に記載の気体圧縮機は、請求項1に記載の気体圧縮機であって、前記排油孔は、前記貯油部側における開口を下端面とする略柱形状の空間と、該柱形状の空間に連続するように当該空間の上端面を下底面としかつ前記内部空間側における開口を上底面とする略逆円錐台状の空間とを有することを特徴とする。
上記した構成によれば、排油孔を貯油部側からその開口に沿う柱形状と、その上端面を下底面とし内部空間側の開口を上底面とする略逆円錐台状とを複合させるだけで容易に実現することができる。
請求項3に記載の気体圧縮機は、請求項1に記載の気体圧縮機であって、前記排油孔は、前記内部空間側における開口を上端面とする略柱形状の空間と、前記貯油部側における開口を下端面とする略柱形状の空間とを有することを特徴とする。
上記した構成によれば、貯油部側からその開口に沿う柱形状とし、かつ内部空間側からその開口に沿う柱形状とするだけで容易に実現することができる。
請求項4に記載の気体圧縮機は、請求項1に記載の気体圧縮機であって、前記排油孔は、前記貯油部側における開口を下底面とし、かつ前記内部空間側における開口を上底面とする略逆円錐台状の空間を有することを特徴とする。
上記した構成によれば、排油孔を略逆円錐台状とするだけで容易に実現することができる。
請求項5に記載の気体圧縮機は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の気体圧縮機であって、前記内周壁面は、前記圧縮気体が沿って旋回する面であり、前記油分離器は、前記内周壁面および前記底壁面からなる有底筒形状の遠心分離本体部と、前記内部空間内に該内部空間と略同軸に配設され前記内周壁面を旋回した気体を前記内部空間のうち前記底壁面とは反対側の端面側から前記遠心分離本体部の外部に導く略円筒状の中空筒部と、を有することを特徴とする。
上記した構成によれば、遠心分離本体部の内方の内方空間に導かれて旋回する気体が、底壁面側に向かって当該底壁面またはその上に形成された油面に衝突した後、中空筒部内で反対側の端面側から遠心分離本体部の外部に導かれることとなるため、内方空間で旋回する気体による油面への押圧力が大きくなることから、排油孔の貯油部側の開口から排出される油分に作用する押出力を押圧力よりも小さくすることがより求められ、押出力を低減することがより効果的となる。
請求項6に記載の気体圧縮機は、請求項5に記載の気体圧縮機であって、前記排油孔は、前記遠心分離本体部の底壁を下方へ向けて貫通して前記底壁面を開口していることを特徴とする。
上記した構成によれば、排油孔が遠心分離本体部の底壁を下方へ向けて貫通する貫通孔とされていることから、圧縮気体から分離され油分離器内で内部空間の底部に貯められている油分を、内部空間から吐出室の貯油部へと排出することをより円滑なものとしつつ、当該油分が内部空間で旋回する気体から受ける押圧力よりも排油孔の貯油部側の開口から排出される油分に作用する押出力を小さくすることができる。
本発明に係る気体圧縮機によれば、油分が低減してその油面が排油孔内に形成されてしまった場合であっても、排油孔の貯油部側の開口から排出される油分に作用する押出力を、油分離器内で内部空間の底部に貯められている油分が内部空間で旋回する気体からの押圧力よりも小さくすることができる。
このため、排油孔の貯油部側の開口から排出された油分が貯油部に溜まった油分に衝突する際の衝突エネルギが増加することを抑制することができ、例えば排油孔の貯油部側の開口が貯油部に溜まった油分の油面より上方に位置する場合に、開口からの油分と貯油部に溜まった油分との衝突による油分のミスト(微小液滴)化を抑制することができる。これにより、油分が気体によって気体圧縮機の外部に持ち出されることを抑制することができる。
また、排油孔の貯油部側の開口が、貯油部に溜まった油分の油面より上方に位置していても、あるいは貯油部に溜まった油分の油面より下方に位置するすなわち貯油部に溜まった油分に排油孔が浸かっていても、貯油部側の開口から油分が排出されることに起因して貯油部に溜まった油分が適切な状態の維持を阻害することを抑制することができる。
以下、本発明の気体圧縮機に係る最良の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る気体圧縮機の一例としてのベーンロータリ式コンプレッサ10(気体圧縮機)を示す縦断面図、図2は図1に示したコンプレッサ10におけるA−A線に沿った断面を示す図、図3は遠心分離方式のサイクロンブロック60を拡大して示す断面図である。
図示のコンプレッサ10は、例えば、冷却媒体の気化熱を利用して冷却を行なう図示を略す空気調和システム(以下、単に空調システムという。)の一部として用いられ、この空調システムの他の構成要素である凝縮器、膨張弁、蒸発器等(いずれも図示を省略する。)とともに、冷却媒体の循環経路を構成している。コンプレッサ10は、空調システムにおいて、蒸発器から取り入れた気体状の冷却媒体としての冷媒ガスGを圧縮し、この圧縮された冷媒ガスGを空調システムの凝縮器に供給する。凝縮器は、圧縮された冷媒ガスGを液化させ、高圧で液状の冷媒として膨張弁に送出する。高圧で液状の冷媒は、膨張弁で霧状化され、蒸発器に送出される。低圧の液状冷媒は、蒸発器において周囲の空気から吸熱して気化し、この気化熱との熱交換により蒸発器周囲の空気を冷却する。
コンプレッサ10は、ケース11とフロントヘッド12とからなるハウジングの内部に収容された圧縮機本体と、フロントヘッド12に取り付けられ動力源(図示せず)からの駆動力を圧縮機本体に伝える伝達機構13とを備える。そして、圧縮機本体は、複数のボルトによってフロントヘッド12に固定され、伝達機構13は、ラジアルボールベアリング14を介して、フロントヘッド12に回転自在に支持されている。
ケース11は、一端開放の筒状体を呈し、フロントヘッド12は、このケース11の開放された部分を覆うように組み付けられている。
フロントヘッド12には、蒸発器からの低圧の冷媒ガスGの吸入のための吸入ポート12aが形成され、この吸入ポート12aには、冷媒ガスGの逆流を防ぐ逆止弁12bが設けられている。一方、ケース11には、圧縮機本体で圧縮された高圧の冷媒ガスGを凝縮器に吐出するための吐出ポート11aが形成されている。
ケース11とフロントヘッド12とからなるハウジング内に収容された圧縮機本体は、伝達機構13を介して供給された駆動力によって軸回りに回転する回転軸51と、この回転軸51とともに回転する円柱状のロータ50と、両端が開放された筒状体のシリンダ40と、その両側開放端面の外側からそれぞれ当該開放端面を覆うようにシリンダ40に固定されたフロントサイドブロック30およびリヤサイドブロック20とを有する。
シリンダ40は、図2に示すように、同芯位置でロータ50を収容しており、ロータ50の外周面の外方を取り囲む断面輪郭が略楕円形状の内周面49aを有する。この内周面49aに当接される複数のベーン58(本実施例では5枚)がロータ50に設けられている。
各ベーン58は、全体に板状を呈し、回転軸51回りに等角度間隔な位置でロータ50の外方に向けて突出可能にロータ50に埋設され、その突出側の先端がシリンダ40の内周面49aに追従するように突出量が可変とされている。各ベーン58が埋設されたロータ50には、図1に示すように、その両端面50a、50bからそれぞれ突出するように回転軸51が挿着されている。
回転軸51においてロータ50の両端面50a、50bからそれぞれ突出した部分のうちの一方の側は、フロントサイドブロック30の軸受部32に軸支されるとともに、フロントヘッド12を貫通して外方まで延び、外方に延びた部分が伝達機構13に連結されている。同様に回転軸51の突出部分のうちの他方の側は、リヤサイドブロック20の軸受部22により軸支されている。これらにより、回転軸51は、リヤサイドブロック20およびフロントサイドブロック30に対して回転自在とされ、伝達機構13からの駆動力により回転可能である。
回転軸51のうち、フロントサイドブロック30の軸受部32よりも外側部分であってフロントヘッド12よりも内側の部分にはリップシール15が配置され、冷凍機油Rが、回転軸51とフロントヘッド12との隙間からフロントヘッド12の外部に漏れることが阻止されている。
このように圧縮機構本体がハウジングに収容されかつフロントヘッド12により回転軸51が支持された状態で、フロントサイドブロック30がボルト(図示せず)によりフロントヘッド12に固定され、両サイドブロック20、30の外周部がOリングを介在させてケース11およびフロントヘッド12の内周面に保持されることにより、圧縮機本体はハウジング内の所定位置に保持されている。
この圧縮機本体は、2つのサイドブロック20、30、シリンダ40、ロータ50、および回転軸51の回転方向(図2において時計回りの矢印方向)に相前後する2つのベーン58、58によって画成された各吸入圧縮室48の容積が、回転軸51の回転にしたがって増減を繰り返すことにより、各吸入圧縮室48に吸入された冷媒ガスGを圧縮して吐出するように構成されている。
圧縮機本体で圧縮された冷媒ガスGの吐出のために、コンプレッサ10では、圧縮機本体がケース11の内部に収容された状態で、リヤサイドブロック20とケース11とにより吐出室21が形成されている。吐出室21は、吐出ポート11aに連通し、圧縮機本体から吐出され冷凍機油Rが分離された冷媒ガスGの通過する空間であり、圧縮機本体から高圧の冷媒ガスGが吐出されて高圧雰囲気とされる。
また、圧縮機本体への冷媒ガスGの吸入のために、コンプレッサ10では、圧縮機本体がケース11の内部に収容された状態で、フロントサイドブロック30とフロントヘッド12とにより吸入室34が形成されている。吸入室34は、吸入ポート12aに連通し、吸入ポート12aを経て取り入れた低圧の冷媒ガスGを圧縮機本体に供給する空間であり、低圧の冷媒ガスGにより低圧雰囲気とされる。この吸入室34と吐出室21とは、前述したOリング等によって気密に隔絶されている。
吐出室21には、サイクロンブロック60(油分離器)が設けられている。サイクロンブロック60は、圧縮機本体から吐出された冷媒ガスGから冷凍機油Rを遠心分離するものであり、外面が吐出室21に露出するようにリヤサイドブロック20に取り付けられている。なお、リヤサイドブロック20とサイクロンブロック60との間には、短円柱状の軸背圧空間68が形成されている。
このサイクロンブロック60により冷媒ガスGから分離される冷凍機油Rは、後述するように吐出室21の下部(貯油部36)に溜められ、コンプレッサ10の摺動部等を潤滑、冷却、清浄するとともに、ベーン58をシリンダ40の内周面49aに向けて突出させてその先端を内周面49aに当接させた状態に付勢するようにベーン58に背圧を作用させるために、圧縮機本体内に供給される。具体的には、コンプレッサ10は、回転軸51と軸受部22、32との間の潤滑、ロータ50の各端面50a、50bと各サイドブロック20、30の内側端面29、39との間を潤滑等する目的と、ベーン58をシリンダ40の内周面49aに付勢すべく背圧空間(背圧室59、後述するサライ溝25および軸背圧空間68)に油圧(背圧)を供給等する目的とにより、吐出室21の下部に貯留した冷凍機油Rを各部位に導く構造を備えている。
コンプレッサ10では、図2に示すように、ロータ50にスリット状のベーン溝56が5つ設けられている。各ベーン溝56は、ロータ50の回転中心回りに等角度間隔で放射状に形成されており、それぞれがベーン58を出入自在に受け入れている。このベーン溝56およびベーン58の底面によって背圧室59(背圧空間の一部)が画成されている。各ベーン58は、ロータ50の回転によって生じる遠心力と、ベーン溝56およびベーン58の底面によって画成された背圧室59(背圧空間の一部)に加えられる冷凍機油Rの油圧(背圧)とにより、シリンダ40の内周面49aに向けて突出されて先端がシリンダ40の内周面49aに当接した状態に付勢され、この先端が回転軸51の回転に伴って内周面49aに追従するように内周面49a上を摺動する。これにより、上述したように、シリンダ40と、ロータ50と、回転軸51の回転方向について相前後する2つのベーン58、58と、フロントサイドブロック30と、リヤサイドブロック20とにより画成された各吸入圧縮室48は、ロータ50の回転にしたがって容積の変化を繰り返す。
この背圧室59への冷凍機油Rの供給のために、図1に示すように、リヤサイドブロック20に、軸受部22に至る油路23が形成され、また、リヤサイドブロック20の内側端面29(ロータ50の端面50aと対向する面)には、軸受部22における油路23の開口から、軸受部22と回転軸51との間の微小隙間(絞り)を通って、ロータ50の背圧室59に連通する凹部であるサライ溝25が形成されている。サライ溝25は、軸受部22の中心回りの所定角度範囲に亘って、略扇形状の輪郭(図2において破線で示す)を有する凹部である。
軸受部22まで延びた油路23は、軸受部22と回転軸51との間の微小隙間(絞り)を介して、リヤサイドブロック20とサイクロンブロック60との間に形成された空間である軸背圧空間68にも連通し、この軸背圧空間68は背圧連通路28を介してサライ溝25に、圧力損失なく連通している。
また、シリンダ40の底部側には、リヤサイドブロック20の油路23に接続する貫通孔46が設けられ、フロントサイドブロック30には、貫通孔46のフロントサイドブロック30側の開口と軸受部32とを連通させる油路33が形成されている。冷凍機油Rは、軸受部32と回転軸51との間の微小隙間を通過して中間圧Pvまで降圧され、フロントサイドブロック30の内側端面(ロータ50の端面50bに向いた面)39に形成された凹部であるサライ溝35等に導かれる。
これにより、背圧室59、サライ溝25、サライ溝35、背圧連通路28および軸背圧空間68は、略同一の圧力Pvとなり、ベーン58の背圧空間を構成している。この背圧空間に作用する圧力Pvは、具体的には、低圧雰囲気の吸入室34の圧力Psよりも高い圧力であって、軸受部22と回転軸51の周面部分との間の微小隙間(絞り)を通過した分だけ、高圧雰囲気の吐出室21の圧力Pdよりも低い中間圧(Ps<Pv<Pd)となる。
サライ溝25およびサライ溝35には、上述した微小隙間を通過して中間圧Pvまで低下した冷凍機油Rが供給される。このサライ溝25およびサライ溝35の中間圧Pvの冷凍機油Rは、図2に示すように、ロータ50の回転に伴って、ロータ50の端面50a、50bに露呈しているベーン溝56の背圧室59がリヤサイドブロック20のサライ溝25、サライ溝35を通過している間だけベーン溝56の背圧空間59とサライ溝25またはサライ溝35とが連通することにより、ベーン溝56の背圧空間59に供給される。前述したように、ベーン58は、背圧空間59に供給された冷凍機油Rの中間圧Pvを受けて、シリンダ40の内周面49aに向かって突出する。
また、リヤサイドブロック20には、圧縮行程の終期(吸入圧縮室48内の圧力が最も高圧の状態)において吸入圧縮室48内の高圧により、ベーン58がシリンダ40の内周面49aから離れるのを防止する目的で、一層高圧(≒Pd)の冷凍機油Rを背圧室59に供給するため、油路23から分岐して、絞りを通過しないまま直接リヤサイドブロック20の内側端面29まで延びる高圧油路27(図1参照)が形成されている。フロントサイドブロック30にも同様の高圧油路37(図1参照)が形成されている。
サライ溝25、35に供給された冷凍機油Rは、ロータ50のベーン溝58の背圧室59が連通したときに、この背圧室59にベーン58の突出力を作用させるが、背圧室59が連通しない角度範囲も含めて、ロータ50の端面50a、50bと各サイドブロック20、30の端面29、39との間などにそれぞれ浸透して、これらの端面50a、29間、端面50b、39間や、サイドブロック20、30の端面29、39とベーン58の側面との間、ベーン58の先端とシリンダ40の内周面49aとの間など、摺動部分における摺動摩擦力を低減させている。そして、各摺動部分に浸透した冷凍機油Rは、吸入圧縮室48内の冷媒ガスGに混入し、冷媒ガスGとともに吸入圧縮室48から吐出され、サイクロンブロック60を介して吐出室21に吐出される。
上記したように動作される圧縮機本体における各吸入圧縮室48への冷媒ガスGの吸入のために、フロントサイドブロック30にフロント側吸入口31(図1参照)が設けられている。フロント側吸入口31は、図1に示すように、吸入室34と吸入圧縮室48とを連通させるようにフロントサイドブロック30に設けられており、吸入ポート12aから吸入室34に導入された冷媒ガスGは、このフロント側吸入口31を介して吸入圧縮室48に吸入される。各吸入圧縮室48に吸入されて圧縮された冷媒ガスGは吐出チャンバ45(図2参照)に吐出される。
吐出チャンバ45は、図2に示すように、シリンダ40の外周の一部に対を為して形成された凹部と、ケース11の内周面と、両サイドブロック20、30(図1参照)の各内側端面とによって画成されている。この吐出チャンバ45を画成するシリンダ40の凹部には、冷媒ガスGの圧縮行程に対応した吸入圧縮室48に臨む部分に、吸入圧縮室48内の冷媒ガスGを吸入圧縮室48の外部に位置する吐出チャンバ45に吐出させる吐出口42が設けられているとともに、吸入圧縮室48の内部圧力に応じて吐出口42を開閉するリードバルブ43が配設されている。
リードバルブ43は、板ばね部材であり、吸入圧縮室48の冷媒ガスGから吐出口42を通じて作用する圧力(詳細には、この圧力と吐出チャンバ45の内部の圧力(さらに、リードバルブ43を吐出口42に付勢している場合には、その付勢力に応じた初期負荷圧力も加算した圧力)との差)に応じて吐出チャンバ45の側に撓むように弾性変形し、この弾性変形によって閉止していた吐出口42を開放する。このリードバルブ43には、バルブサポート44が重ね合わされるようにシリンダ40に共締め固定されて設けられている。このリードバルブ43は、バルブサポート44により変形量が規制されており、過大な撓みにより破損したり大きな撓みの持続によって永久変形が生じたりすることが防止されている。
そして、吸入圧縮室48から吐出口42、リードバルブ43を通って吐出チャンバ45に吐出された高圧の冷媒ガスGは、リヤサイドブロック20に形成された導入孔61aを経て、サイクロンブロック60の内部に導入される。導入孔61aは、各吐出チャンバ45に対応して設けられており、この2つの通路がリヤサイドブロック20内で合流(図示せず)された後、サイクロンブロック60の内部に連通するように(図1参照)形成されている。この導入孔61aは、図1および図3に示すように、吐出する冷媒ガスGが後述するサイクロンブロック60の内部空間63で旋回するように、内部空間63に対する位置関係が設定されている。
サイクロンブロック60は、遠心分離本体部61と中空筒部62とを有する。遠心分離本体部61は、内周壁面61bおよび底壁面61cからなる有底筒形状を呈し、この内周壁面61bおよび底壁面61cにより囲まれた内部空間63を有する。サイクロンブロック60では、圧縮機本体により圧縮され導入孔61aから吐出された冷媒ガスGを遠心分離本体部61の内部空間63に導入して内周壁面61bに沿って旋回しつつ降下させることにより、冷媒ガスGから冷凍機油Rを遠心分離し、分離された冷凍機油Rを底壁面61cに流れ落ちる。この内部空間63に中空筒部62が設けられている。
中空筒部62は、略円筒状を呈し、内部空間63内で内部空間63と略同軸となるように配設されている。中空筒部62は、本実施例では、上端の開口部が遠心分離本体部61に設けられた略円形状の溝部に嵌入されて内部空間63内に配設されている。中空筒部62は、内部空間63に導入されて内周壁面61bに沿って旋回されることにより冷凍機油Rが分離された冷媒ガスGを、内部空間63のうち底壁面61cとは反対側の端面側から遠心分離本体部61の外部に導く。サイクロンブロック60の中空筒部62を通って遠心分離本体部61の外部に導かれた冷媒ガスGは、吐出室21を介して吐出ポート11aを通り、コンプレッサ10の外部に供給される。
このとき分離された冷凍機油Rは底壁面61cに流れ落ちて、遠心分離本体部61が画成する内部空間63の底部63aに貯められる。遠心分離本体部61には、その底部63aの冷凍機油Rを吐出室21の下部である貯油部36に排出するために排油孔61dが形成されている。排油孔61dは、底壁面61cに流れ落ちて底部63aに貯められた冷凍機油Rを貯油部36に排出するものであり、本実施例では、遠心分離本体部61の底壁61h(底壁面61cを形成する底壁61h)を、下方へ向けて貫通して形成されている。また、排油孔61dは、本実施例では、貯油部36側における開口(図3において符号61fで表す。)が貯油部36に貯留された冷凍機油Rの油面Rsよりも下方に位置するように形成されている。
本発明に係るコンプレッサ10(気体圧縮機)では、この排油孔61dが従来と異なる構成とされている。これについて以下で説明する。
排油孔61dは、図3に示すように、貯油部36側における開口61fが内部空間63側における開口61eよりも小さい直径φd2(<φd1(ただし、φd1は、内部空間63側における開口61eの直径を表す。))で形成されている。また、排油孔61dは、貯油部36側における開口61fが、排出方向に直交する断面で見て、開口61fを除く排油孔61dのいずれの位置の面積と同等以下の面積になるように形成されている。排油孔61dは、本実施例では、貯油部36側における開口61fを下端面とする略柱形状の空間61daと、その空間61daに連続すべくその上端面61gを下底面としかつ内部空間63側における開口61eを上底面とする略逆円錐台状の空間61dbとを有する。
このように構成された本実施例に係るコンプレッサ10によれば、図1に示すように、サイクロンブロック60の導入孔61aから、遠心分離本体部61の内部空間63に導入された高圧の冷媒ガスGは、内周壁面61bに沿って旋回しつつ降下し、この旋回の過程で、遠心力により、冷凍機油Rが遠心分離され、分離された冷凍機油Rは、内周壁面61bに沿って底壁面61cに流れ落ちて底部63aに貯められる。コンプレッサ10では、通常の動作状態の際、分離された冷凍機油Rが底部63aに貯まるように(図3に示すRs1参照)、冷凍機油Rの量および遠心分離本体部61の大きさ寸法等が設定されている。
底壁面61cまで降下する間に冷凍機油Rが分離された冷媒ガスGは、降下から反転して、内部空間63の中心部を上昇し、中空筒部62の内部を通って、底壁面61cとは反対側の端面側から、遠心分離本体部61の外部(吐出室21)に排気され、吐出室21を通り、吐出ポート11aを介して、空調システムに吐出される。
一方、冷媒ガスGから分離されて底壁面61cに流れ落ち底部63aに貯められた冷凍機油Rは、排油孔61dを通じて、内部空間63から貯油部36(吐出室21の底部)に排出されることとなる。
このとき、底部63aに貯められた冷凍機油Rは、内周壁面61bに沿って内部空間63を旋回する冷媒ガスGからの押圧力Fpを受けており、この押圧力Fpに応じた押出力Foにより排油孔61dを通じて内部空間63から貯油部36に排出されることとなる。この押圧力Fpと押出力Foとの関係を、図4を用いて説明する。図4は、内部空間63(遠心分離本体部61)の底部63aに貯められた冷凍機油Rを模式的に示す説明図である。ここで、図4に示すように、底部63aに貯められた冷凍機油Rが形成する油面Rs1の面積をS1とし、排油孔61dの貯油部36側における開口61fの面積をSoとする。また、後述する冷凍機油Rの低減により排油孔61d内に形成された油面をRs2とし、その面積をS2とする。
底部63aに貯められた冷凍機油Rは、旋回する冷媒ガスGからの押圧力Fpを油面Rs1全体で受けることとなることから、押圧力Fpを油面Rs1の面積をS1で割った値の圧力P(=Fp/S1)を有する。この冷凍機油Rは、遠心分離本体部61の底部63aを画成する壁面、排油孔61dを画成する壁面および排油孔61dの開口61fを圧力Pで均等に押圧する。このため、排油孔61dの開口61fから排出される冷凍機油Rには、圧力Pに開口61fの面積Soを掛けた値の押出力Fo(=P×So)が作用することとなる。ここで、圧力P=Fp/S1であることから、押出力Foは次式で表すことができる。
Fo=Fp×(So/S1)
換言すると、押出力Foは、押圧力Fpに、開口61fの面積Soに対する油面Rs1の面積S1の比を掛けた値となる。このことから、排油孔61dの開口61fから排出される冷凍機油Rには、油面Rs1の面積S1に対する開口61fの面積Soの縮小率に等しい割合で、油面Rs1で受けた押圧力Fpが低減された押出力Foが作用することとなる。
ところが、一般にコンプレッサ(気体圧縮機)では、例えば空調システム(図示せず)の運転状態の変化により、遠心分離本体部61の底部63aに貯められている冷凍機油Rの量が低減し、その油面が排油孔61d内に位置してしまう(Rs2参照)虞がある。このような場合であっても、本発明に係るコンプレッサ10では、低減された冷凍機油Rの油面Rs2の面積S2が、排油孔61dの開口61fの面積Soよりも大きく設定されていることから、押出力Fo´が、押圧力Fp´に、開口61fの面積Soに対する油面Rs2の面積S2の比を掛けた値(=Fp´×(So/S2))となることにより、押出力Fo´を押圧力Fp´よりも小さくすることができる。これに対し、従来のコンプレッサ(気体圧縮機)では、排油孔が円筒形状の空間として形成されていることから、冷凍機油が低減してその油面が排油孔内に形成されてしまうと、受けた押圧力がそのまま排油孔からの押出力として冷凍機油に作用してしまうこととなる。
このように、本発明に係るコンプレッサ10では、冷凍機油Rが低減してその油面が排油孔61f内に形成されてしまった場合であっても、サイクロンブロック60の遠心分離本体部61により画成された内部空間63の底部63aに貯められている冷凍機油Rが内部空間63で旋回する冷媒ガスGから受ける押圧力Fp´よりも、排油孔61dの貯油部36側の開口61fから排出される冷凍機油Rに作用する押出力Fo´を小さくすることができる。
このことから、コンプレッサ10では、冷凍機油Rが低減してその油面が排油孔61f内に形成されてしまった場合であっても、従来のコンプレッサ(気体圧縮機)に比較して、排油孔61dの貯油部36側の開口61fから排出された冷凍機油Rが、貯油部36に溜まった冷凍機油Rに衝突する際の衝突エネルギを抑制することができるため、分離された冷媒ガスGとともに気体圧縮機の外部に吐出される冷凍機油Rの量を低減することができる、すなわち、サイクロンブロック60による油分離性能を向上させることができる。これは、従来のコンプレッサ(気体圧縮機)では、冷凍機油が低減してその油面が排油孔内に形成されてしまった場合、受けた押圧力がそのまま排油孔からの押出力として冷凍機油に作用してしまうことから、排油孔の貯油部側の開口から排出された冷凍機油が、貯油部に溜まった冷凍機油に衝突する際の衝突エネルギが大きなものとなってしまう。すると、例えば、排油孔の貯油部側の開口が貯油部に溜まった冷凍機油の油面より上方に位置する場合、開口から排出された冷凍機油と貯油部に溜まった冷凍機油との衝突によって冷凍機油がミスト(微小液滴)化し、このミスト化された冷凍機油は冷媒ガスによって運ばれやすいことから、分離された冷媒ガスとともにコンプレッサ(気体圧縮機)の外部に吐出される冷凍機油の量が増加してしまうことによる。
また、コンプレッサ10では、冷凍機油Rが低減してその油面が排油孔61f内に形成されてしまった場合であっても、従来のコンプレッサ(気体圧縮機)に比較して、排油孔61dの貯油部36側の開口61fから冷凍機油Rが排出されることに伴って貯油部36に溜まった冷凍機油Rに伝達される力を低減することができる。このため、貯油部36に溜まった冷凍機油Rを、適切な状態、すなわち吐出室21における所定の位置で大きく波立つことなく貯留されている状態を維持させることができる。これは、従来のコンプレッサ(気体圧縮機)では、冷凍機油が低減してその油面が排油孔内に形成されてしまった場合、受けた押圧力がそのまま排油孔からの押出力として冷凍機油に作用してしまうことから、排油孔の貯油部側の開口から冷凍機油が排出されることに伴って貯油部に溜まった冷凍機油に伝達される力が大きくなってしまう。すると、貯油部に溜まった冷凍機油は、適切な状態、すなわち吐出室における所定の位置で大きく波立つことなく貯留されている状態を保つことが阻害されてしまうことによる。
さらに、コンプレッサ10では、冷凍機油Rが低減してその油面が排油孔61f内に形成されてしまった場合であっても、貯油部36に溜まった冷凍機油Rを、適切な状態、すなわち吐出室21における所定の位置で大きく波立つことなく貯留されている状態を維持させることができることから、油路23における貯油部36側の開口から、油路23内に気体(冷媒ガスG)が侵入することを防止することができるので、背圧室59の油圧により各ベーン58を適切に付勢することができ、各ベーン58の先端をシリンダ40の内周面49aに適切に当接させることができる。
コンプレッサ10では、排油孔61dが遠心分離本体部61の底壁61hを下方に向けて貫通するように形成されていることから、遠心分離本体部61により画成された内部空間63の底部63aに貯められている冷凍機油Rを、より円滑に内部空間63から吐出室21の貯油部36へと排出することができる。
なお、本発明に係るコンプレッサ10の一例として、図5に示すように、排油孔61dの空間61dbの高さ寸法hを10mmとし、かつ空間61dbを略逆円錐台状とする傾斜面が形成する角度θ(頂角に相当する角度)を30°とする排油孔61dが形成された遠心分離本体部61を有するサイクロンブロック60を搭載したコンプレッサを製作して動作させたところ、冷凍機油Rが低減してその油面が排油孔61f内に形成されてしまった場合であっても、従来のコンプレッサ(気体圧縮機)に比較して、分離された冷媒ガスGとともに気体圧縮機の外部に吐出される冷凍機油Rの量を低減することができ、かつ貯油部36に溜まった冷凍機油Rの適切な状態を維持させることができた。このことからも、コンプレッサ10では、冷凍機油Rが低減してその油面が排油孔61f内に形成されてしまった場合であっても、サイクロンブロック60の遠心分離本体部61により画成された内部空間63の底部63aに貯められている冷凍機油Rが内部空間63で旋回する冷媒ガスGから受ける押圧力Fpよりも、排油孔61dの貯油部36側の開口61fから排出される冷凍機油Rに作用する押出力Foを小さくすることができることがいえる。
また、上記した実施例では、排油孔61dが円筒形状の空間61daと略逆円錐台状の空間61dbを有する構成とされていたが、貯油部側における開口が内部空間側における開口よりも小さく形成され、貯油部側における開口が当該開口よりも内部空間側の位置での排出方向に直交する断面の面積と同等以下の面積に設定されていればよく、上記した実施例に限定されるものではない。例えば、図6に示すように、排油孔61d´を、貯油部36側の開口61f´を下端面とする円筒形状の空間61dcと、その上端面に連続しかつ内部空間63側における開口61e´を上端面とする円筒形状の空間61ddとを有する構成としてもよく、図示は略すが貯油部36側の開口を下底面としかつ内部空間63側における開口を上底面とする略逆円錐台状の空間のみの構成としてもよい。
さらに、上記した実施例では、排油孔61dが遠心分離本体部61の底壁61hを下方に向けて貫通するように形成されていたが、排油孔は遠心分離本体部61の底部63aに貯められた冷凍機油Rを内部空間63から吐出室21の貯油部36へと排出することができるものであれば、例えば、遠心分離本体部61の側壁を貫通するものであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
本実施例に係るコンプレッサ10は、サイクロンブロック60の排油孔61dの外部側の開口61fが、貯油部36に溜められた冷凍機油Rの油面Rsよりも下方に位置するものであるが、本発明に係る気体圧縮機は、この形態に限定されるものではない。すなわち、サイクロンブロック60の排油孔61dから排出された冷凍機油61dの衝突エネルギが低下することは、排油孔61dの外部側の開口61fが、貯油部36に溜められた冷凍機油Rの油面Rsより高い位置にあるか、または低い位置にあるか、に拘わらず発揮される作用、効果であるため、サイクロンブロック60の排油孔61dの外部側の開口61fが、貯油部36に溜められた冷凍機油Rの油面Rsよりも上方に位置するものであっても、貯油部36に溜められた冷凍機油Rとの衝突エネルギを低下させて、冷凍機油Rのミスト化を低減することができる。
上記した実施例では、ベーンロータリ形式の気体圧縮機としてのコンプレッサ10を記載していたが、本発明に係る気体圧縮機は、ベーンロータリ形式のものに限定されるものではなく、他の形式の気体圧縮機、例えば、斜板往復動形式やスクロール形式の気体圧縮機にも適用することができる。
本発明に係る気体圧縮機の一実施形態であるベーンロータリ式コンプレッサを示す縦断面図である。 図1におけるA−A線に沿った面による断面図である。 図1に示したコンプレッサにおけるサイクロンブロックを示す拡大断面図である。 内部空間(遠心分離本体部)の底部に貯められた冷凍機油が旋回される冷媒ガスから受ける押圧力と、排油孔における貯油側の開口から排出される冷凍機油に作用する押出力との関係を説明するための図面であり、内部空間(遠心分離本体部)の底部に貯められた冷凍機油を模式的に示す説明図である。 図3と同様の図面であり、排油孔の近傍を拡大して示す断面図である。 実施例とは異なる形状の排油孔が形成されたサイクロンブロックを示す図3と同様の断面図である。
符号の説明
10 コンプレッサ(気体圧縮機)
11 (ハウジングとしての)ケース
12 (ハウジングとしての)フロントヘッド
20 (圧縮機本体としての)リヤサイドブロック
30 (圧縮機本体としての)フロントサイドブロック
36 貯油部
40 (圧縮機本体としての)シリンダ
50 (圧縮機本体としての)ロータ
51 (圧縮機本体としての)回転軸
58 (圧縮機本体としての)ベーン
60 サイクロンブロック(油分離器)
61 遠心分離本体部
61b 内周壁面
61c 底壁面
61d 排油孔
61e 内部空間側の開口
61f 外部側の開口
61h 底壁
62 中空筒部
63 内部空間
G 冷媒ガス
R 冷凍機油

Claims (6)

  1. ハウジングの内部に、気体を圧縮する圧縮機本体と、該圧縮機本体により圧縮されて吐出された圧縮気体を通過させて該圧縮気体から油分を遠心分離する内周壁面および分離された前記油分が流れ落ちる底壁面で囲まれた内部空間を有する油分離器とを備え、前記油分離器には、前記底壁面に流れ落ちた前記油分を貯油部に排出する排油孔が形成された気体圧縮機において、
    前記排油孔は、前記貯油部側における開口が前記内部空間側における開口よりも小さく形成され、前記貯油部側における開口が当該開口よりも前記内部空間側の位置での排出方向に直交する断面の面積と同等以下の面積に設定されていることを特徴とする気体圧縮機。
  2. 前記排油孔は、前記貯油部側における開口を下端面とする略柱形状の空間と、該柱形状の空間に連続するように当該空間の上端面を下底面としかつ前記内部空間側における開口を上底面とする略逆円錐台状の空間とを有することを特徴とする請求項1に記載の気体圧縮機。
  3. 前記排油孔は、前記内部空間側における開口を上端面とする略柱形状の空間と、前記貯油部側における開口を下端面とする略柱形状の空間とを有することを特徴とする請求項1に記載の気体圧縮機。
  4. 前記排油孔は、前記貯油部側における開口を下底面とし、かつ前記内部空間側における開口を上底面とする略逆円錐台状の空間を有することを特徴とする請求項1に記載の気体圧縮機。
  5. 前記内周壁面は、前記圧縮気体が沿って旋回する面であり、
    前記油分離器は、前記内周壁面および前記底壁面からなる有底筒形状の遠心分離本体部と、前記内部空間内に該内部空間と略同軸に配設され前記内周壁面を旋回した気体を前記内部空間のうち前記底壁面とは反対側の端面側から前記遠心分離本体部の外部に導く略円筒状の中空筒部と、を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の気体圧縮機。
  6. 前記排油孔は、前記遠心分離本体部の底壁を下方へ向けて貫通して前記底壁面を開口していることを特徴とする請求項5に記載の気体圧縮機。
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