JP2008240604A - 気体圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】油分離器の内部空間における気体の流れの形成に導入孔から吐出された圧縮気体の勢いを効率良く利用することができる気体圧縮機を提供する。
【解決手段】本発明の気体圧縮機10は、ハウジングの内部に圧縮機本体と圧縮気体Gから油分Rを遠心分離する油分離器60とを備える。油分離器60は、圧縮気体Gを旋回させる内周壁面61bおよび分離された油分Rが流れ落ちる底壁面61cで囲まれた内部空間62を画成する遠心分離本体部61を有する。遠心分離本体部61は、開放端61gの近傍で圧縮気体Gを内部空間63に導入する導入孔61aと、底壁面61cに流れ落ちた油分Rを貯油部36に排出する排油孔61dとを有し、底壁面61cには、開放端61gへ向けて突起する略錐体状を呈し、軸線が内部空間の軸線の近傍位置で当該軸線と略平行とされた誘導山状部64が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、気体圧縮機に関し、詳細には、圧縮機本体から吐出された圧縮気体から油分を遠心分離する油分離器の改良に関する。
従来、空気調和システム(以下、空調システムという。)には、冷媒ガスなどの気体を圧縮して、空調システムに気体を循環させるための気体圧縮機(コンプレッサ)が用いられている。
ここで、一般的なコンプレッサの1つとして例えばベーンロータリ形式のコンプレッサが知られている。このベーンロータリ形式のコンプレッサは、ハウジングの内部に、圧縮機本体が収容された構成となっている。
圧縮機本体は、回転軸と一体的に回転する略円柱状のロータと、ロータの外方を取り囲む断面輪郭形状が略楕円形の筒状のシリンダと、ロータに埋設され突出側の先端がシリンダの内周面に追従するようにロータの外周面からの突出量が可変とされた板状のベーンと、ロータの両端面側からシリンダの両開放端を覆う2つのサイドブロックとを備えている。この圧縮機本体では、ロータの回転方向で相前後する2つのベーン、シリンダの内周面、ロータの外周面および両サイドブロックの端面により、ロータの回転に伴ってその容積が変化し、吸入した気体を圧縮して吐出する複数の吸入圧縮室が画成されている。
また、ハウジングの内方には、ハウジングの内面と圧縮機本体の外面(両サイドブロックの外側端面)とにより、圧縮機本体を挟んで一方の側に圧縮機本体に吸入される気体が通過する低圧雰囲気の吸入室が形成されているとともに、圧縮機本体を挟んで他方の側に圧縮機本体から吐出された圧縮気体が通過する高圧雰囲気の吐出室(油分が分離された圧縮気体の通過する空間)が形成されている。この吐出室を画成するサイドブロックには、吸入圧縮室で圧縮された高圧の圧縮気体を吐出室に導くための吐出路が形成されているとともに、吐出された圧縮気体に混じった冷凍機油等の油分を遠心分離するための油分離器が取り付けられている。
油分離器は、圧縮気体が吐出されたときの勢いで油分を遠心分離する内周壁面および分離された前記油分が流れ落ちる底壁面で囲まれた内部空間を画成する有底円筒形状の遠心分離本体部と、その略同軸位置で内部空間内に配設された略円筒状の中空筒部とを有する。遠心分離本体部には、一方が吐出路に連通し、他方が底壁面と反対側の端面である開放端側の近傍で内部空間に連通する導入孔が形成されている。導入孔は、吸入圧縮室から吐出される圧縮気体の勢いを利用して当該圧縮気体が内周壁面に沿って旋回するように位置設定されている。この導入孔から内部空間に吐出された圧縮気体は、内周壁面に沿って旋回しつつ内部空間の底壁面に向かい、この旋回の過程で油分が遠心分離される。分離された油分は、底壁面に形成された排油孔から吐出室の下部(貯油部)に排出される。
また、内部空間で旋回して油分が分離された圧縮気体は、底壁面に到達した後、内部空間の軸線の近傍で上昇して中空筒部内に進入し、該中空筒部を通って内部空間の開放端側から遠心分離本体部の外部に導かれて油分離器から排気され、気体圧縮機の外部に吐出される(例えば、特許文献1参照)。
なお、スクロール形式等他の形式の気体圧縮機にあっても、同様の油分離器が備えられている。
特開2003−090286号公報
しかしながら、上述した気体圧縮機の油分離器では、内部空間で内周壁面に沿って旋回しつつ下降して底壁面に到達した圧縮気体が、底壁面に沿って内周壁面の近傍から軸線の近傍へと集まることから軸線の近傍に気体を押し上げようとする力が生じて当該押上力を受けた圧縮気体が軸線の近傍で上昇することにより、導入孔から吐出された圧縮気体が、内周壁面に沿って旋回しつつ下降して底壁面に到達した後、軸線の近傍で上昇して中空筒部内に進入する流れを形成している。このように、従来の気体圧縮機では、油分離器の内部空間における気体の流れの形成に導入孔から吐出された気体の勢いが効率良く利用されておらず、遠心力を利用して気体から油分を分離する観点から油分離性能の向上の阻害要因を有していることとなる。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、油分離器の内部空間における気体の流れの形成に導入孔から吐出された圧縮気体の勢いを効率良く利用することができる気体圧縮機を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するため、請求項1に記載の気体圧縮機は、ハウジングの内部に、気体を圧縮する圧縮機本体と、該圧縮機本体により圧縮されて吐出された圧縮気体を通過させて該圧縮気体から油分を遠心分離する油分離器とを備え、該油分離器は、前記圧縮機本体から吐出された前記圧縮気体を旋回させる内周壁面および分離された前記油分が流れ落ちる底壁面で囲まれた内部空間を画成する有底筒形状の遠心分離本体部を有し、該遠心分離本体部は、前記底壁面とは反対側の開放端の近傍で前記圧縮機本体から吐出された前記圧縮気体を前記内部空間に導入する導入孔と、前記底壁面に流れ落ちた前記油分を貯油部に排出する排油孔とを有し、前記底壁面には、前記開放端へ向けて突起する略錐体状を呈し、軸線が前記内部空間の軸線の近傍位置で当該軸線と略平行とされた誘導山状部が設けられていることを特徴とする。
ここで、誘導山状部は、内周壁面に沿って旋回しつつ下降して底壁面に到達した圧縮気体が、その旋回する勢いの低減を極力抑制しつつ内部空間の軸線の近傍で開放端へ向かうように誘導できるものであれば良いことから、底壁面から突起端へ至る軸線方向の全域に亘って、軸線に直交する断面が、連続的に変化するものであってもよいし、不連続に変化するものであってもよい。
上記した構成によれば、底壁面には内部空間の軸線と近傍位置で略平行な軸線を有しかつ開放端へ向けて突起する略錐体状の誘導山状部が設けられていることから、内周壁面に沿って旋回しつつ下降して底壁面に到達した圧縮気体を、その旋回の勢いを維持したまま誘導山状部の傾斜面に沿って旋回させつつ誘導山状部を登らせることができ、誘導山状部の突起端部分を経て遠心分離本体部の開放端側へと向わせることができる。
請求項2に記載の気体圧縮機は、請求項1に記載の気体圧縮機であって、前記油分離器は、略円筒状を呈し前記内部空間内に該内部空間と略同軸に配設され前記内周壁面を旋回した気体を前記内部空間の前記開放端側から前記遠心分離本体部の外部に導く中空筒部を有し、該中空筒部および前記誘導山状部は、該誘導山状部の軸線を延長すると前記底壁面に対向する前記中空筒部の下端における中空部分に進入するように互いに位置関係が設定されていることを特徴とする。
上記した構成によれば、誘導山状部の傾斜面に沿って旋回される圧縮気体は、誘導山状部の突起端部分に到達した後、誘導山状部の軸線方向に沿いつつ突起端部分から上方(離れる方向)へ進むことから、誘導山状部の軸線の延長上が中空筒部の下端における中空部分に進入する位置に設定されていることにより、旋回の勢いを維持した状態の圧縮気体を、確実に中空筒部の中空部分に導くことができる。
請求項3に記載の気体圧縮機は、請求項1または請求項2に記載の気体圧縮機であって、前記導入孔は、前記吸入圧縮室から前記内部空間に吐出される前記圧縮気体の勢いを利用して当該圧縮気体を前記内周壁面に沿って旋回させるように該内周壁面に対する配置関係が設定され、前記誘導山状部には、前記内部空間内での前記圧縮気体の旋回方向に等しい方向で渦を巻きつつ前記底壁面側から前記誘導山状部の突起端部分へ向かう螺旋状の誘導溝が形成されていることを特徴とする。
上記した構成によれば、内部空間内での圧縮気体の旋回方向に等しい方向で渦を巻きつつ前記誘導山状部の突起端部分へ向かう螺旋状の誘導溝が誘導山状部に形成されていることから、底壁面に到達した圧縮気体をより円滑に誘導山状部の傾斜面に沿って旋回させつつ誘導山状部を登らせることができ、誘導山状部の突起端部分を経て遠心分離本体部の開放端側へと向わせることができる。
請求項4に記載の気体圧縮機は、請求項3に記載の気体圧縮機であって、前記誘導溝は、前記底壁面から前記誘導山状部の傾斜面に渡り連続するように形成されていることを特徴とする。
上記した構成によれば、螺旋状の誘導溝が底壁面から誘導山状部の傾斜面へ連続する構成とされていることから、底壁面に到達した圧縮気体をより円滑に誘導山状部の傾斜面に沿って旋回させつつ誘導山状部を登らせることができる。
請求項5に記載の気体圧縮機は、請求項4に記載の気体圧縮機であって、前記誘導溝は、前記遠心分離本体部における前記開放端を上方とし、かつ前記底壁面を下方として、前記底壁面上に最下端位置が設定され、前記排油孔は、前記内部空間側の開口が前記誘導溝の前記最下端位置を開放していることを特徴とする。
上記した構成によれば、排油孔の内部空間側の開口が、底壁面に形成された誘導溝の最下端部分に設けられていることから、底壁面に流れ落ちた油分を円滑に貯油部へと排出することができる。
本発明に係る気体圧縮機によれば、油分離器の内部空間における気体の流れの形成に導入孔から吐出された圧縮気体の勢いを効率良く利用することができる。換言すると、内周壁面に沿って旋回しつつ下降して底壁面に到達した圧縮気体を、その旋回の勢いを維持したまま誘導山状部の傾斜面に沿って旋回させつつ誘導山状部を登らせることができ、誘導山状部の突起端部分を経て遠心分離本体部の開放端側へと向わせることができる。
このため、油分離器の内部空間では、導入孔から吐出された圧縮気体が、内周壁面に沿って旋回しつつ下降して底壁面に到達した後、軸線の近傍で上昇して中空筒部内に進入するという、気体の円滑な流れを形成することができることから、導入孔から吐出された際の勢いを効率良く利用して圧縮気体から油分を遠心分離することができるので、従来の気体圧縮機に比較して油分離性能を向上させることができる。
以下、本発明の気体圧縮機に係る最良の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る気体圧縮機の一例としてのベーンロータリ式コンプレッサ10(気体圧縮機)を示す縦断面図、図2は図1に示したコンプレッサ10におけるA−A線に沿った断面を示す図、図3は図1に示したB−B線に沿った断面を示す図面である。なお、図3では、誘導山状部64に形成された誘導溝65の外側部である溝縁部65aに相当する個所を、理解容易のために塗り潰して(ドットを入れて)示している。また、図4は図3に示したC−C線に沿った断面を示す図面であり、図5はサイクロンブロック60の要部(図4に示す2点鎖線で囲んだ個所)を拡大して示す断面図であり、図6はサイクロンブロック60の内部空間63における気体の流れを模式的に示す説明図である。
図示のコンプレッサ10は、例えば、冷却媒体の気化熱を利用して冷却を行なう図示を略す空気調和システム(以下、単に空調システムという。)の一部として用いられ、この空調システムの他の構成要素である凝縮器、膨張弁、蒸発器等(いずれも図示を省略する。)とともに、冷却媒体の循環経路を構成している。コンプレッサ10は、空調システムにおいて、蒸発器から取り入れた気体状の冷却媒体としての冷媒ガスGを圧縮し、この圧縮された冷媒ガスGを空調システムの凝縮器に供給する。凝縮器は、圧縮された冷媒ガスGを液化させ、高圧で液状の冷媒として膨張弁に送出する。高圧で液状の冷媒は、膨張弁で霧状化され、蒸発器に送出される。低圧の液状冷媒は、蒸発器において周囲の空気から吸熱して気化し、この気化熱との熱交換により蒸発器周囲の空気を冷却する。
コンプレッサ10は、ケース11とフロントヘッド12とからなるハウジングの内部に収容された圧縮機本体と、フロントヘッド12に取り付けられ動力源(図示せず)からの駆動力を圧縮機本体に伝える伝達機構13とを備える。そして、圧縮機本体は、複数のボルトによってフロントヘッド12に固定され、伝達機構13は、ラジアルボールベアリング14を介して、フロントヘッド12に回転自在に支持されている。
ケース11は、一端開放の筒状体を呈し、フロントヘッド12は、このケース11の開放された部分を覆うように組み付けられている。
フロントヘッド12には、蒸発器からの低圧の冷媒ガスGの吸入のための吸入ポート12aが形成され、この吸入ポート12aには、冷媒ガスGの逆流を防ぐ逆止弁12bが設けられている。一方、ケース11には、圧縮機本体で圧縮された高圧の冷媒ガスGを凝縮器に吐出するための吐出ポート11aが形成されている。
ケース11とフロントヘッド12とからなるハウジング内に収容された圧縮機本体は、伝達機構13を介して供給された駆動力によって軸回りに回転する回転軸51と、この回転軸51とともに回転する円柱状のロータ50と、両端が開放された筒状体のシリンダ40と、その両側開放端面の外側からそれぞれ当該開放端面を覆うようにシリンダ40に固定されたフロントサイドブロック30およびリヤサイドブロック20とを有する。
シリンダ40は、図2に示すように、同芯位置でロータ50を収容しており、ロータ50の外周面の外方を取り囲む断面輪郭が略楕円形状の内周面49aを有する。この内周面49aに当接される複数のベーン58(本実施例では5枚)がロータ50に設けられている。
各ベーン58は、全体に板状を呈し、回転軸51回りに等角度間隔な位置でロータ50の外方に向けて突出可能にロータ50に埋設され、その突出側の先端がシリンダ40の内周面49aに追従するように突出量が可変とされている。各ベーン58が埋設されたロータ50には、図1に示すように、その両端面50a、50bからそれぞれ突出するように回転軸51が挿着されている。
回転軸51においてロータ50の両端面50a、50bからそれぞれ突出した部分のうちの一方の側は、フロントサイドブロック30の軸受部32に軸支されるとともに、フロントヘッド12を貫通して外方まで延び、この貫通部分がフロントヘッド12により軸支され、外方に延びた部分が伝達機構13に連結されている。同様に回転軸51の突出部分のうちの他方の側は、リヤサイドブロック20の軸受部22により軸支されている。これらにより、回転軸51は、リヤサイドブロック20およびフロントサイドブロック30に対して回転自在とされ、伝達機構13からの駆動力により回転可能である。
回転軸51のうち、フロントサイドブロック30の軸受部32よりも外側部分であってフロントヘッド12よりも内側の部分にはリップシール15が配置され、冷凍機油Rが、回転軸51とフロントヘッド12との隙間からフロントヘッド12の外部に漏れることが阻止されている。
このように圧縮機本体がハウジングに収容されかつフロントヘッド12により回転軸51が支持された状態で、フロントサイドブロック30がボルト(図示せず)によりフロントヘッド12に固定され、両サイドブロック20、30の外周部がOリングを介在させてケース11およびフロントヘッド12の内周面に保持されることにより、圧縮機本体はハウジング内の所定位置に保持されている。
この圧縮機本体は、2つのサイドブロック20、30、シリンダ40、ロータ50、および回転軸51の回転方向(図2において時計回りの矢印方向)に相前後する2つのベーン58、58によって画成された各吸入圧縮室48の容積が、回転軸51の回転にしたがって増減を繰り返すことにより、各吸入圧縮室48に吸入された冷媒ガスGを圧縮して吐出するように構成されている。
圧縮機本体で圧縮された冷媒ガスGの吐出のために、コンプレッサ10では、圧縮機本体がケース11の内部に収容された状態で、リヤサイドブロック20とケース11とにより吐出室21が形成されている。吐出室21は、吐出ポート11aに連通し、圧縮機本体から吐出され冷凍機油Rが分離された冷媒ガスGの通過する空間であり、圧縮機本体から高圧の冷媒ガスGが吐出されて高圧雰囲気とされる。
また、圧縮機本体への冷媒ガスGの吸入のために、コンプレッサ10では、圧縮機本体がケース11の内部に収容された状態で、フロントサイドブロック30とフロントヘッド12とにより吸入室34が形成されている。吸入室34は、吸入ポート12aに連通し、吸入ポート12aを経て取り入れた低圧の冷媒ガスGを圧縮機本体に供給する空間であり、低圧の冷媒ガスGにより低圧雰囲気とされる。この吸入室34と吐出室21とは、前述したOリング等によって気密に隔絶されている。
吐出室21には、サイクロンブロック60(油分離器)が設けられている。サイクロンブロック60は、圧縮機本体から吐出された冷媒ガスGから冷凍機油Rを遠心分離するものであり、外面が吐出室21に露出するようにリヤサイドブロック20に取り付けられている。なお、リヤサイドブロック20とサイクロンブロック60との間には、短円柱状の軸背圧空間68が形成されている。
このサイクロンブロック60により冷媒ガスGから分離される冷凍機油Rは、後述するように吐出室21の下部(貯油部36)に溜められ、コンプレッサ10の摺動部等を潤滑、冷却、清浄するとともに、ベーン58をシリンダ40の内周面49aに向けて突出させてその先端を内周面49aに当接させた状態に付勢するようにベーン58に背圧を作用させるために、圧縮機本体内に供給される。具体的には、コンプレッサ10は、回転軸51と軸受部22、32との間の潤滑、ロータ50の各端面50a、50bと各サイドブロック20、30の内側端面29、39との間を潤滑等する目的と、ベーン58をシリンダ40の内周面49aに付勢すべく背圧空間(背圧室59、後述するサライ溝25および軸背圧空間68)に油圧(背圧)を供給等する目的とにより、吐出室21の下部に貯留した冷凍機油Rを各部位に導く構造を備えている。
コンプレッサ10では、図2に示すように、ロータ50にスリット状のベーン溝56が5つ設けられている。各ベーン溝56は、ロータ50の回転中心回りに等角度間隔で放射状に形成されており、それぞれがベーン58を出入自在に受け入れている。このベーン溝56およびベーン58の底面によって背圧室59(背圧空間の一部)が画成されている。各ベーン58は、ロータ50の回転によって生じる遠心力と、ベーン溝56およびベーン58の底面によって画成された背圧室59(背圧空間の一部)に加えられる冷凍機油Rの油圧(背圧)とにより、シリンダ40の内周面49aに向けて突出されて先端がシリンダ40の内周面49aに当接した状態に付勢され、この先端が回転軸51の回転に伴って内周面49aに追従するように内周面49a上を摺動する。これにより、上述したように、シリンダ40と、ロータ50と、回転軸51の回転方向について相前後する2つのベーン58、58と、フロントサイドブロック30と、リヤサイドブロック20とにより画成された各吸入圧縮室48は、ロータ50の回転にしたがって容積の変化を繰り返す。
この背圧室59への冷凍機油Rの供給のために、図1に示すように、リヤサイドブロック20に、軸受部22に至る油路23が形成され、また、リヤサイドブロック20の内側端面29(ロータ50の端面50aと対向する面)には、軸受部22における油路23の開口から、軸受部22と回転軸51との間の微小隙間(絞り)を通って、ロータ50の背圧室59に連通する凹部であるサライ溝25が形成されている。サライ溝25は、軸受部22の中心回りの所定角度範囲に亘って、略扇形状の輪郭(図2において破線で示す)を有する凹部である。
軸受部22まで延びた油路23は、軸受部22と回転軸51との間の微小隙間(絞り)を介して、リヤサイドブロック20とサイクロンブロック60との間に形成された空間である軸背圧空間68にも連通し、この軸背圧空間68は背圧連通路28を介してサライ溝25に、圧力損失なく連通している。
また、シリンダ40の底部側には、リヤサイドブロック20の油路23に接続する貫通孔46が設けられ、フロントサイドブロック30には、貫通孔46のフロントサイドブロック30側の開口と軸受部32とを連通させる油路33が形成されている。冷凍機油Rは、軸受部32と回転軸51との間の微小隙間を通過して中間圧Pvまで降圧され、フロントサイドブロック30の内側端面(ロータ50の端面50bに向いた面)39に形成された凹部であるサライ溝35等に導かれる。
これにより、背圧室59、サライ溝25、サライ溝35、背圧連通路28および軸背圧空間68は、略同一の圧力Pvとなり、ベーン58の背圧空間を構成している。この背圧空間に作用する圧力Pvは、具体的には、低圧雰囲気の吸入室34の圧力Psよりも高い圧力であって、軸受部22と回転軸51の周面部分との間の微小隙間(絞り)を通過した分だけ、高圧雰囲気の吐出室21の圧力Pdよりも低い中間圧(Ps<Pv<Pd)となる。
サライ溝25およびサライ溝35には、上述した微小隙間を通過して中間圧Pvまで低下した冷凍機油Rが供給される。このサライ溝25およびサライ溝35の中間圧Pvの冷凍機油Rは、図2に示すように、ロータ50の回転に伴って、ロータ50の端面50a、50bに露呈しているベーン溝56の背圧室59がリヤサイドブロック20のサライ溝25、サライ溝35を通過している間だけベーン溝56の背圧空間59とサライ溝25またはサライ溝35とが連通することにより、ベーン溝56の背圧空間59に供給される。前述したように、ベーン58は、背圧空間59に供給された冷凍機油Rの中間圧Pvを受けて、シリンダ40の内周面49aに向かって突出する。
また、リヤサイドブロック20には、圧縮行程の終期(吸入圧縮室48内の圧力が最も高圧の状態)において吸入圧縮室48内の高圧により、ベーン58がシリンダ40の内周面49aから離れるのを防止する目的で、一層高圧(≒Pd)の冷凍機油Rを背圧室59に供給するため、油路23から分岐して、絞りを通過しないまま直接リヤサイドブロック20の内側端面29まで延びる高圧油路27(図1参照)が形成されている。フロントサイドブロック30にも同様の高圧油路37(図1参照)が形成されている。
サライ溝25、35に供給された冷凍機油Rは、ロータ50のベーン溝58の背圧室59が連通したときに、この背圧室59にベーン58の突出力を作用させるが、背圧室59が連通しない角度範囲も含めて、ロータ50の端面50a、50bと各サイドブロック20、30の端面29、39との間などにそれぞれ浸透して、これらの端面50a、29間、端面50b、39間や、サイドブロック20、30の端面29、39とベーン58の側面との間、ベーン58の先端とシリンダ40の内周面49aとの間など、摺動部分における摺動摩擦力を低減させている。そして、各摺動部分に浸透した冷凍機油Rは、吸入圧縮室48内の冷媒ガスGに混入し、冷媒ガスGとともに吸入圧縮室48から吐出され、サイクロンブロック60を介して吐出室21に吐出される。
上記したように動作される圧縮機本体における各吸入圧縮室48への冷媒ガスGの吸入のために、フロントサイドブロック30にフロント側吸入口31(図1参照)が設けられている。フロント側吸入口31は、図1に示すように、吸入室34と吸入圧縮室48とを連通させるようにフロントサイドブロック30に設けられており、吸入ポート12aから吸入室34に導入された冷媒ガスGは、このフロント側吸入口31を介して吸入圧縮室48に吸入される。各吸入圧縮室48に吸入されて圧縮された冷媒ガスGは吐出チャンバ45(図2参照)に吐出される。
吐出チャンバ45は、図2に示すように、シリンダ40の外周の一部に対を為して形成された凹部と、ケース11の内周面と、両サイドブロック20、30(図1参照)の各内側端面とによって画成されている。この吐出チャンバ45を画成するシリンダ40の凹部には、冷媒ガスGの圧縮行程に対応した吸入圧縮室48に臨む部分に、吸入圧縮室48内の冷媒ガスGを吸入圧縮室48の外部に位置する吐出チャンバ45に吐出させる吐出口42が設けられているとともに、吸入圧縮室48の内部圧力に応じて吐出口42を開閉するリードバルブ43が配設されている。
リードバルブ43は、板ばね部材であり、吸入圧縮室48の冷媒ガスGから吐出口42を通じて作用する圧力(詳細には、この圧力と吐出チャンバ45の内部の圧力(さらに、リードバルブ43を吐出口42に付勢している場合には、その付勢力に応じた初期負荷圧力も加算した圧力)との差)に応じて吐出チャンバ45の側に撓むように弾性変形し、この弾性変形によって閉止していた吐出口42を開放する。このリードバルブ43には、バルブサポート44が重ね合わされるようにシリンダ40に共締め固定されて設けられている。このリードバルブ43は、バルブサポート44により変形量が規制されており、過大な撓みにより破損したり大きな撓みの持続によって永久変形が生じたりすることが防止されている。
そして、吸入圧縮室48から吐出口42、リードバルブ43を通って吐出チャンバ45に吐出された高圧の冷媒ガスGは、リヤサイドブロック20に形成された吐出路20aおよびサイクロンブロック60に形成された導入孔61a(図3および図6参照)を経て、サイクロンブロック60の内部に導入される。図示は略すが吐出路20aは、各吐出チャンバ45に対応して設けられており、この2つの通路がリヤサイドブロック20内で合流された後、サイクロンブロック60の導入孔61aに連通されている。導入孔61aは、吐出路20aとは他方の側でサイクロンブロック60の内部に連通するように(図3および図6参照)形成されている。この導入孔61aは、図3および図6に示すように、吐出される冷媒ガスGが後述するサイクロンブロック60の内部空間63で旋回するように、内部空間63に対する位置関係が設定されている。本実施例では、吐出される冷媒ガスGが、上方から見て(図3を正面視して)、時計回り方向で旋回するように位置関係が設定されている。
サイクロンブロック60は、図1に示すように、遠心分離本体部61と中空筒部62とを有する。遠心分離本体部61は、内周壁面61bおよび底壁面61cからなる一端開放の有底筒形状を呈し、この内周壁面61bおよび底壁面61cにより囲まれた内部空間63を有する。サイクロンブロック60では、圧縮機本体により圧縮され導入孔61aから吐出された冷媒ガスGを遠心分離本体部61の内部空間63に導入して内周壁面61bに沿って旋回しつつ降下させることにより、冷媒ガスGから冷凍機油Rが遠心分離され、分離された冷凍機油Rが底壁面61cに流れ落ちる。この内部空間63に中空筒部62が設けられている。
中空筒部62は、略円筒状を呈し、内部空間63内で内部空間63と略同軸となるように配設されている。中空筒部62は、本実施例では、上端の開口部が遠心分離本体部61に設けられた環状の切欠部に圧入されて内部空間63内に配設されている。中空筒部62は、内部空間63に導入されて内周壁面61bに沿って旋回されることにより冷凍機油Rが分離された冷媒ガスGを、内部空間63のうち底壁面61cとは反対側の端面側から遠心分離本体部61の外部に導く。サイクロンブロック60の中空筒部62の内部を通って遠心分離本体部61の外部に導かれた冷媒ガスGは、吐出室21を介して吐出ポート11aを通り、コンプレッサ10の外部(凝縮器)に供給される。
このとき分離された冷凍機油Rは底壁面61cに流れ落ちて、遠心分離本体部61が画成する内部空間63の底部63aに貯められる。遠心分離本体部61には、その底部63aの冷凍機油Rを吐出室21の下部である貯油部36に排出するために排油孔61dが形成されている。排油孔61dは、底壁面61cに流れ落ちて底部63aに貯められた冷凍機油Rを貯油部36に排出するものであり、本実施例では、遠心分離本体部61の底壁61h(底壁面61cを形成する底壁61h)を、下方へ向けて貫通して形成されている。また、排油孔61dは、本実施例では、貯油部36側における開口(図5において符号61fで表す。)が貯油部36に貯留された冷凍機油Rの油面Rsよりも下方に位置するように形成されている。
本発明に係るコンプレッサ10(気体圧縮機)では、遠心分離本体部61の底壁面61cの近傍が従来と異なる構成とされている。これについて以下で説明する。なお、以下の説明では、遠心分離本体部61において、開放端61g側を上方とし、かつ底壁面61c側を下方として説明する。
コンプレッサ10(気体圧縮機)では、図1、図3ないし図5に示すように、遠心分離本体部61の底壁面61cに誘導山状部64が設けられている。誘導山状部64は、遠心分離本体部61において、底壁面61cから上方(開放端61g)へ向けて突起する全体に円錐形状を呈し、その軸線が内部空間63の軸線と一致されている。
本実施例では、誘導山状部64の傾斜面64aに段部66が設けられている。段部66は、吐出される冷媒ガスGの旋回方向、すなわち上方から見て(図3を正面視して)時計回り方向で、傾斜面64aに沿って渦を巻きつつ突起端部分64bへ向かうように形成されている。この段部66に、誘導溝65が形成されている。
誘導溝65は、段部66を下方へ窪ませつつ段部66に沿って延在されており、吐出される冷媒ガスGの旋回方向、すなわち上方から見て(図3を正面視して)時計回り方向で、傾斜面64aに沿って渦を巻きつつ誘導山状部64の突起端部分64bへ向かうように形成されている。誘導溝65は、段部66を下方へ窪ませるものであることから、渦巻き方向で見た外側に窪みの縁である溝縁部65aを有している。
また、本実施例では、誘導溝65は、底壁面61c上でも渦を巻くように連続して延在されており(図1、図4および図5参照)、底壁面61c上に最下端位置65bが設定されている(図4および図5参照)。この誘導溝65における最下端位置65bに、排油孔61dの内部空間63側の開口61eが設けられている(図4および図5参照)。
このように構成された本実施例に係るコンプレッサ10によれば、図1に示すように、サイクロンブロック60の導入孔61aから、遠心分離本体部61の内部空間63に導入された高圧の冷媒ガスGは、内周壁面61bに沿って旋回しつつ降下し、この旋回の過程で、遠心力により、冷凍機油Rが遠心分離され、分離された冷凍機油Rは、内周壁面61bに沿って底壁面61cに流れ落ちて底部63aに貯められる。
冷媒ガスGから分離されて底壁面61cに流れ落ち底部63aに貯められた冷凍機油Rは、底壁面61cに設けられた誘導溝65の最下端位置65bを中心に集められ、内部空間63に存在する圧縮された冷媒ガスGからの押圧力を受けることにより、排油孔61dを通じて内部空間63から貯油部36(吐出室21の底部)に排出される。
一方、底壁面61cまで降下する間に冷凍機油Rが分離された冷媒ガスGは、降下から反転して、内部空間63の中心部を上昇し、中空筒部62の内部を通って、底壁面61cとは反対側の端面側から、遠心分離本体部61の外部(吐出室21)に排気され、吐出室21を通り、吐出ポート11aを介して、空調システムに吐出される。この内部空間63内での気体の流れが、本発明のコンプレッサ10(気体圧縮機)では従来の気体圧縮機と異なる。
コンプレッサ10(気体圧縮機)では、図6に示すように、サイクロンブロック60の導入孔61aから遠心分離本体部61の内部空間63に導入された高圧の冷媒ガスG(矢印A1参照)は、内周壁面61bに沿って旋回しつつ降下して底壁面61cに到達すると(矢印A2参照)、その旋回状態および勢いを維持したまま、底壁面61cに設けられた誘導溝65に進入する。すると、誘導溝65が冷媒ガスGの旋回方向に等しい方向の渦を巻きつつ誘導山状部64の傾斜面64aに沿って上方へと延在されていることから、冷媒ガスGは、誘導溝65に導かれて、誘導溝65に沿うように旋回しながら誘導山状部64の突起端部分64bへと傾斜面64aを登っていく(矢印A3参照)。この誘導山状部64の傾斜面64aに沿って旋回しつつ突起端部分64bに到達した冷媒ガスGは、その勢いを維持しつつ誘導山状部64の軸線方向に沿って上方へと進むこととなり、誘導山状部64と略同軸とされた中空筒部62の内部へと進むこととなる(矢印A4参照)。
このように、本発明のコンプレッサ10(気体圧縮機)では、サイクロンブロック60の導入孔61aから遠心分離本体部61の内部空間63に導入された高圧の冷媒ガスGを、その吐出される際の勢いを維持したまま内周壁面61bに沿って旋回しつつ降下させて底壁面61cに到達させ、その後、旋回している状態を維持したまま誘導山状部64の傾斜面64aを登らせることにより、底壁面61cで反転させて内部空間63の中心部へと導くものであることから、旋回している冷媒ガスGの勢いを利用して、内部空間63における気体の流れを形成することができる。このため、本発明のコンプレッサ10では、冷媒ガスGが導入孔61aから吐出される際の勢いを効率良く利用して、サイクロンブロック60の内部空間63での気体の流れを形成することができる、すなわち導入孔61aから吐出された冷媒ガスGが、内周壁面61bに沿って旋回しつつ下降して底壁面61cに到達した後、軸線の近傍で上昇して中空筒部62内に進入するという、気体の円滑な流れを形成することができる。このことから、本発明の構造コンプレッサ10では、遠心力を利用して冷媒ガスGから冷凍機油Rを分離する際の油分離性能の向上に大きく貢献することができる、換言すると、従来の気体圧縮機に比較して油分離性能を向上させることができる。これは次のことによる。
従来の気体圧縮機では、サイクロンブロック(油分離器)において、導入孔から吐出された冷媒ガスが、内周壁面に沿って旋回しつつ下降して底壁面に到達すると、内周壁面と底壁面との存在により行き場を無くしかつ内周壁面に沿って旋回しつつ下降する圧縮気体に押圧された圧縮気体が底壁面に沿って内周壁面近傍から軸線の近傍へと集まることから、軸線の近傍に気体を押し上げる力が生じる。この押上力を受けた軸線の近傍の圧縮気体が押し上げられることにより、導入孔から吐出された圧縮気体が、内周壁面に沿って旋回しつつ下降して底壁面に到達した後、軸線の近傍で上昇して中空筒部内に進入する流れが形成されることとなる。このように、従来の気体圧縮機では、内周壁面に沿って旋回しつつ下降して底壁面に到達した圧縮気体の旋回の勢いをそのまま利用して中空筒部内へと進入させるものではないことから、導入孔から吐出された圧縮気体が、内周壁面に沿って旋回しつつ下降して底壁面に到達した後、軸線の近傍で上昇して中空筒部内に進入するという、油分離器の内部空間に形成される圧縮気体の流れに乱れが生じることとなり、油分離性能の向上の阻害要因を有していることとなる。これに対し、本発明の構造コンプレッサ10では、導入孔61aから吐出された圧縮された冷媒ガスGの勢いを効率良く利用することができるので、従来の気体圧縮機に比較して油分離性能を向上させることができる。
また、コンプレッサ10(気体圧縮機)では、誘導山状部64の傾斜面64aに誘導溝65が設けられていることから、より円滑にかつ効率良く、旋回している状態を維持したまま誘導山状部64の傾斜面64aを登らせることができる。
さらに、コンプレッサ10(気体圧縮機)では、誘導溝65が、底壁面61cから連続して誘導山状部64の傾斜面64aに至る構成であることから、内周壁面61bに沿って旋回しつつ降下して底壁面61cに到達した冷媒ガスGを、より円滑にかつ効率良く、旋回している状態を維持したまま誘導山状部64の傾斜面64aへと導くことができる。
コンプレッサ10(気体圧縮機)では、排油孔61dの内部空間63側の開口61eが、底壁面61cを窪ませるように設けられた誘導溝65を最下端位置65bで開放するものであるから、冷媒ガスGから分離されて底壁面61cに流れ落ちて内部空間63の底部63aに貯められる冷凍機油Rを、吐出室21の下部の貯油部36へと円滑に排出することができる。
したがって、本発明に係るコンプレッサ10によれば、サイクロンブロック60(油分離器)の内部空間63における気体の流れの形成に導入孔61aから吐出された圧縮された冷媒ガスGの勢いを効率良く利用することができる。換言すると、内周壁面61dに沿って旋回しつつ下降して底壁面61cに到達した冷媒ガスGを、その旋回の勢いを維持したまま誘導山状部64の傾斜面64aに沿って旋回しつつ誘導山状部64を登らせることができ、誘導山状部64の突起端部分64bを経て遠心分離本体部61の上方(開放端61g側)へと向わせることができる。
なお、上記した実施例では、誘導山状部64の傾斜面64aおよび底壁面61cに誘導溝65が形成されていたが、誘導山状部は、内周壁面61dに沿って旋回しつつ下降して底壁面61cに到達した冷媒ガスGを、その旋回の勢いを維持したまま傾斜面に沿って旋回しつつ登らせるために、全体に錐体状を呈しかつその軸線が内部空間63の軸線の近傍位置で略平行となるように設定されているものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。例えば、図7に示すように、誘導山状部64´の傾斜面64a´を段部66´のみを形成して誘導溝を設けない構成であってもよく、図示は略すが段部も形成されていない略錐体状の構成であってもよい。
また、上記した実施例では、誘導溝65が、底壁面61cから誘導山状部64の傾斜面64aに連続して延在する構成とされていたが、誘導山状部64の傾斜面64aのみに設けられているものであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
さらに、上記した実施例では、排油孔61dが、その内部空間63側の開口61eが、誘導溝65を最下端位置65bで開放する構成とされていたが、冷媒ガスGから分離されて底壁面61cに流れ落ちて内部空間63の底部63aに貯められる冷凍機油Rを、吐出室21の下部の貯油部36へと排出することができるものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、誘導山状部64と中空筒部62とが略同軸とされていたが、誘導山状部の軸線を延長すると、底壁面に対向する中空筒部の下端における中空部分に進入するように、中空筒部および誘導山状部の互いの位置関係が設定されていればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、ベーンロータリ形式の気体圧縮機としてのコンプレッサ10を記載していたが、本発明に係る気体圧縮機は、ベーンロータリ形式のものに限定されるものではなく、他の形式の気体圧縮機、例えば、斜板往復動形式やスクロール形式の気体圧縮機にも適用することができる。
本発明に係る気体圧縮機の一実施形態であるベーンロータリ式コンプレッサを示す縦断面図である。 図1におけるA−A線に沿った面による断面図である。 図1におけるB−B線に沿った面による断面図である。 図3におけるC−C線に沿った面による断面図である。 サイクロンブロックの要部(図4に示す2点鎖線で囲んだ個所)を拡大して示す断面図である。 サイクロンブロックの内部空間における気体の流れを模式的に示す説明図である。 サイクロンブロックの誘導山状部の他の例を示す図5と同様の断面図である。
符号の説明
10 コンプレッサ(気体圧縮機)
11 (ハウジングとしての)ケース
12 (ハウジングとしての)フロントヘッド
20 (圧縮機本体としての)リヤサイドブロック
30 (圧縮機本体としての)フロントサイドブロック
36 貯油部
40 (圧縮機本体としての)シリンダ
50 (圧縮機本体としての)ロータ
51 (圧縮機本体としての)回転軸
58 (圧縮機本体としての)ベーン
60 サイクロンブロック(油分離器)
61 遠心分離本体部
61a 導入孔
61b 内周壁面
61c 底壁面
61d 排油孔
61e 内部空間側の開口
61g 開放端
62 中空筒部
63 内部空間
64 誘導山状部
64a 傾斜面
64b 突起端部分
65 誘導溝
65b 最下端位置
G 冷媒ガス
R 冷凍機油

Claims (5)

  1. ハウジングの内部に、気体を圧縮する圧縮機本体と、該圧縮機本体により圧縮されて吐出された圧縮気体を通過させて該圧縮気体から油分を遠心分離する油分離器とを備え、
    該油分離器は、前記圧縮機本体から吐出された前記圧縮気体を旋回させる内周壁面および分離された前記油分が流れ落ちる底壁面で囲まれた内部空間を画成する有底筒形状の遠心分離本体部を有し、
    該遠心分離本体部は、前記底壁面とは反対側の開放端の近傍で前記圧縮機本体から吐出された前記圧縮気体を前記内部空間に導入する導入孔と、前記底壁面に流れ落ちた前記油分を貯油部に排出する排油孔とを有し、
    前記底壁面には、前記開放端へ向けて突起する略錐体状を呈し、軸線が前記内部空間の軸線の近傍位置で当該軸線と略平行とされた誘導山状部が設けられていることを特徴とする気体圧縮機。
  2. 前記油分離器は、略円筒状を呈し前記内部空間内に該内部空間と略同軸に配設され前記内周壁面を旋回した気体を前記内部空間の前記開放端側から前記遠心分離本体部の外部に導く中空筒部を有し、
    該中空筒部および前記誘導山状部は、該誘導山状部の軸線を延長すると前記底壁面に対向する前記中空筒部の下端における中空部分に進入するように互いに位置関係が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の気体圧縮機。
  3. 前記導入孔は、前記吸入圧縮室から前記内部空間に吐出される前記圧縮気体の勢いを利用して当該圧縮気体を前記内周壁面に沿って旋回させるように該内周壁面に対する配置関係が設定され、
    前記誘導山状部には、前記内部空間内での前記圧縮気体の旋回方向に等しい方向で渦を巻きつつ前記底壁面側から前記誘導山状部の突起端部分へ向かう螺旋状の誘導溝が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の気体圧縮機。
  4. 前記誘導溝は、前記底壁面から前記誘導山状部の傾斜面に渡り連続するように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の気体圧縮機。
  5. 前記誘導溝は、前記遠心分離本体部における前記開放端を上方とし、かつ前記底壁面を下方として、前記底壁面上に最下端位置が設定され、
    前記排油孔は、前記内部空間側の開口が前記誘導溝の前記最下端位置を開放していることを特徴とする請求項4に記載の気体圧縮機。
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