WO2019202682A1

WO2019202682A1 - 油分離器、スクリュー圧縮機及び冷凍サイクル装置

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Publication number: WO2019202682A1
Application number: PCT/JP2018/015991
Authority: WO
Inventors: 雅浩神田; 雅章上川
Original assignee: 三菱電機株式会社
Priority date: 2018-04-18
Filing date: 2018-04-18
Publication date: 2019-10-24

Abstract

油分離器は、筒状の外筒部と、外筒部の内部に設けられた筒状の内筒部と、外筒部の下方に設けられ、油を貯留する油貯留部と、外筒部と油貯留部とを区切る仕切板と、外筒部の側面に形成され、油貯留部に連通する返油孔と、を備え、返油孔と油貯留部との間に整波板を設ける。

Description

油分離器、スクリュー圧縮機及び冷凍サイクル装置

　本発明は、冷媒から分離された油を油貯留部に戻す油分離器、スクリュー圧縮機及び冷凍サイクル装置に関する。

　スクリュー圧縮機では、軸受の潤滑、圧縮熱の冷却、又は隙間のシールを目的として、軸受あるいは圧縮室に多量の冷凍機油が供給されている。供給された冷凍機油は、圧縮された冷媒ガスと共に圧縮室から吐出部に吐き出される。このため、油分離器にて冷凍機油と冷媒ガスとを分離し、再度軸受あるいは圧縮室に供給する必要がある。

　また、吐出部に吐き出された冷凍機油が外部の冷凍サイクル回路側へ流入した場合には、凝縮器又は蒸発器での熱交換に悪影響を及ぼし、性能低下の要因となる。このため、冷凍機油が冷凍サイクル回路側へ流入する前に油分離器にて、冷媒ガスと冷凍機油とを分離し、冷凍機油を回収する必要がある。

　特許文献１に開示されるように、従来のスクリュー圧縮機において、冷凍機油と冷媒ガスとを分離する油分離器を圧縮機と一体化したスクリュー圧縮機が知られている。冷凍機油と冷媒ガスとを分離する方式としては、サイクロン方式と呼ばれる気液の密度差を利用して遠心力によって冷凍機油と冷媒ガスとを分離させる方式がある。

　サイクロン方式の油分離器は、油分離部と、油貯留部と、で構成される。油分離部は、遠心分離部分と、通路部分と、を備える。遠心分離部分は、二重の円筒で形成され、外筒部と内筒部との間にて油分離を行うための遠心力を発生させる。通路部分は、遠心力によって冷凍機油と分離されて旋回しながら下降する冷媒ガスを内筒部の内側にて旋回上昇させて外部の冷凍サイクル回路側に流出させる。油貯留部は、分離された冷凍機油を貯留する。

特許第４１０２８９１号公報

　サイクロン方式の油分離器の油貯留部が油分離器の下部に設けられた場合には、油貯留部の油面高さが高いときに旋回流が油貯留部へ侵入すると、油面が荒れ易い。そして、油面が荒れることにより、油貯留部の油が油分離空間に戻されてしまい、旋回流に巻き上げられて外部の冷凍サイクル回路に流出されてしまう。このような、油分離性能が悪化してしまう課題があった。

　本発明は、上記課題を解決するためのものであり、安価でかつ容易な構造にて油貯留部への旋回流侵入による油面荒れが抑制され、油貯留部の油面高さが高くなっても高い油分離効率が実現できる油分離器、スクリュー圧縮機及び冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。

　本発明に係る油分離器は、筒状の外筒部と、前記外筒部の内部に設けられた筒状の内筒部と、前記外筒部の下方に設けられ、油を貯留する油貯留部と、前記外筒部と前記油貯留部とを区切る仕切板と、前記外筒部の側面に形成され、前記油貯留部に連通する返油孔と、を備え、前記返油孔と前記油貯留部との間に整波板を設けるものである。

　本発明に係るスクリュー圧縮機は、上記の油分離器を備えるものである。

　本発明に係る冷凍サイクル装置は、上記のスクリュー圧縮機を備えるものである。

　本発明に係る油分離器、スクリュー圧縮機及び冷凍サイクル装置によれば、返油孔と油貯留部との間に整波板が設けられる。これにより、返油孔から油貯留部へ侵入する旋回流が油面に直接当たり難くなる。したがって、安価でかつ容易な構造にて油貯留部への旋回流侵入による油面荒れが抑制され、油貯留部の油面高さが高くなっても高い油分離効率が実現できる。

本発明の実施の形態１に係るスクリュー圧縮機を示す縦断面図である。本発明の実施の形態１に係るスクリュー圧縮機の油分離器を図１のＡ－Ａ断面で示す横断面図である。本発明の実施の形態１の変形例１に係るスクリュー圧縮機の油分離器を図１のＡ－Ａ断面で示す横断面図である。本発明の実施の形態１の変形例２に係るスクリュー圧縮機の油分離器を示す縦断面図である。本発明の実施の形態１の変形例３に係るスクリュー圧縮機の油分離器を示す縦断面図である。本発明の実施の形態２に係るスクリュー圧縮機を適用した冷凍サイクル装置を示す冷媒回路図である。

　以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。また、断面図の図面においては、視認性に鑑みて適宜ハッチングを省略している。さらに、明細書全文に示す構成要素の形態は、あくまで例示であってこれらの記載に限定されるものではない。

実施の形態１．
＜スクリュー圧縮機１＞
　図１は、本発明の実施の形態１に係るスクリュー圧縮機１を示す縦断面図である。図１に示すように、スクリュー圧縮機１は、二点鎖線Ｓより右側のＣ側に、圧縮機本体２を備える。スクリュー圧縮機１は、二点鎖線Ｓより左側のＯ側に、油分離器３を備える。

　スクリュー圧縮機１は、油分離器３を備えたシングルスクリュー圧縮機である。スクリュー圧縮機１は、圧縮機本体２と、油分離器３と、を圧縮機本体２の外郭を構成したケーシング４にてボルトによって締結された構成である。

＜圧縮機本体２＞
　圧縮機本体２は、ケーシング４と、モーター５と、スクリュー軸６と、スクリューローター７と、軸受８と、を備える。ケーシング４は、圧縮機本体２の外郭を構成した筒状である。モーター５は、ケーシング４内に収容されている。スクリュー軸６は、モーター５に固定され、モーター５によって回転駆動される。スクリューローター７は、スクリュー軸６に固定されている。軸受８は、スクリュー軸６におけるモーター５に固定されていない側の端部を回転自在に支持している。

　圧縮機本体２は、スクリューローター７の側面に、スクリュー軸６に対して軸対象となるように配置された一対のゲートローター９を備える。圧縮機本体２は、ケーシング４の側面とスクリューローター７との間に、スクリューローター７の外周面に沿って吸入圧力側と吐出圧力側とに摺動可能なスライドバルブ１０を備える。スライドバルブ１０は、中央部に開口部１０ａを有する。

　モーター５は、ケーシング４内に内接して固定されたステーター５ａと、ステーター５ａの内側に配置されたモーターローター５ｂと、から構成されている。モーターローター５ｂは、スクリュー軸６に固定され、スクリューローター７と同一線上に配置されている。

　スクリューローター７は、円柱状である。スクリューローター７の外周面には、スクリューローター７の一端から他端に向かって複数の螺旋状に延びるスクリュー溝７ａが複数形成されている。ここで、ケーシング４は、低圧の冷媒ガスで満たされる吸入圧力側と、高圧の冷媒ガスで満たされる吐出圧力側と、に隔てられている。スクリューローター７の一端側は、冷媒ガスの吸入側となって吸入圧力側と連通する。スクリューローター７の他端側は、冷媒ガスの吐出側となってスクリュー溝７ａを吐出圧力側と連通させる。

　ゲートローター９は、円板状である。ゲートローター９の外周面には、周方向に沿って複数の歯部９ａが設けられている。ゲートローター９の歯部９ａは、スクリューローター７のスクリュー溝７ａに噛み合うように配置されている。スクリュー溝７ａとゲートローター９の歯部９ａとケーシング４の内周面とスライドバルブ１０とによって囲まれた空間は、圧縮される冷媒ガスが満たされる圧縮室１１として形成される。圧縮室１１には、軸受８の潤滑及び圧縮室１１のシールを行う冷凍機油が注入されている。

　ケーシング４の吐出圧力側の内周面には、吐出室１２へ繋がる図示しない吐出口が開口している。圧縮室１１内に満たされた高圧の冷媒ガス及び冷凍機油は、スライドバルブ１０の開口部１０ａ及び吐出口を介して吐出室１２に吐出される。

　吐出室１２は、圧縮室１１内の高圧の冷媒ガス及び冷凍機油が吐出される空間である。吐出室１２内に満たされた高圧の冷媒ガス及び冷凍機油は、油分離器３に導出される。

＜油分離器３＞
　油分離器３は、冷媒ガスと冷凍機油とを分離するためのサイクロン方式の油分離器である。油分離器３は、圧縮機本体２のケーシング４にボルトによって締結されている。

　油分離器３は、筒状の外筒部１３及び筒状の内筒部１４からなる二重円筒で形成されている。外筒部１３は、上部側面に圧縮機本体２から導出される冷媒ガス及び冷凍機油を内側に流入させる流入口２０を有する。内筒部１４は、外筒部１３の内部に設けられている。外筒部１３と内筒部１４とは、同じ中心軸の同心円筒である。内筒部１４の下部開口部と外筒部１３の下端との間には、外筒部１３と内筒部１４との間で旋回する冷媒ガスが内筒部１４の内側に折り返す油分離空間１６が形成されている。油分離器３は、外筒部１３及び内筒部１４の上部開口部を覆う蓋部１５を備える。内筒部１４は、蓋部１５に固定されている。外筒部１３、内筒部１４及び蓋部１５は、油分離器３の油分離部１７を構成している。

　油分離器３は、外筒部１３の下方に設けられ、冷媒ガスと分離された冷凍機油を貯留する油貯留部１９を備える。油貯留部１９は、油分離部１７の下方投影領域よりも広く、かつ、圧縮機本体２に連通するように圧縮機本体２側に長く形成されている。

　油分離器３は、外筒部１３と油貯留部１９とを区切る仕切板５１を備える。仕切板５１は、油分離部１７と油貯留部１９とを仕切る。仕切板５１は、外筒部１３の下部開口部を覆って封止している。仕切板５１は、外筒部１３と一体化して設けられている。仕切板５１は、内筒部１４の下部開口部の円環状の端縁と平行に配置されている。

　油分離部１７の蓋部１５は、円板状に設けられている。蓋部１５の中央には、蓋部１５を上下に貫通して内筒部１４の内径よりも小径な貫通孔が形成されている。貫通孔は、油分離器３において冷凍機油を分離させた後の冷媒ガスをスクリュー圧縮機１から冷凍サイクル回路側に排出する出口部１５ａである。出口部１５ａの冷媒ガス流れの下流側には、逆止弁１８が設けられている。なお、逆止弁１８は、蓋部１５に内蔵されてもよい。

＜返油孔５０＞
　油分離器３は、外筒部１３の側面に形成され、油貯留部１９に連通する返油孔５０を備える。返油孔５０は、外筒部１３の圧縮機本体２側の側面に、外筒部１３の半周領域内の大きさで形成されている。返油孔５０は、少なくとも外筒部１３の側面の下端に至って形成され、油分離部１７で分離された冷凍機油を仕切板５１上に流して油貯留部１９に流出させる。返油孔５０の高さ寸法は、内筒部１４の下部開口部に至らない油分離空間１６の範囲内に形成されている。好ましくは、返油孔５０の高さ寸法は、油分離空間１６の下半分の範囲内に形成されているとよい。

＜整波板５２＞
　図２は、本発明の実施の形態１に係るスクリュー圧縮機１の油分離器３を図１のＡ－Ａ断面で示す横断面図である。図１、図２に示すように、油分離器３は、返油孔５０と油貯留部１９との間に整波板５２を設けている。整波板５２は、仕切板５１を延長して形成されている。整波板５２は、仕切板５１と同一の厚みを有する。整波板５２は、仕切板５１と同一の板状部材で構成されている。整波板５２は、外筒部１３及び仕切板５１と一体化して構成されている。整波板５２は、外筒部１３と油貯留部１９と仕切板５１と鋳造によって一体成形されている。

　図２に示すように、整波板５２は、返油孔５０の横幅寸法と同一の横幅寸法に形成されている。整波板５２は、矩形形状に形成されている。整波板５２は、返油孔５０の横幅寸法と同一の横幅寸法を維持した一定幅で圧縮機本体２側に延びている。整波板５２の圧縮機本体２側に延びた先端は、整波板５２の横幅に直交する直線状に形成されている。なお、整波板５２は、矩形形状以外に、たとえば、台形形状、先端を円弧凸部に形成した凸Ｕ字形状、先端を円弧凹部に形成した凹Ｕ字形状、先端を尖らせた５角形形状、あるいは、先端を尖らせた三角形形状などでもよい。

＜スクリュー圧縮機１における冷媒ガス及び冷凍機油の流れの過程＞
　スクリューローター７と同一軸線上に固定されたモーター５が回転する。これにより、スクリュー軸６が回転する。スクリュー軸６の回転によってスクリュー軸６に固定されたスクリューローター７が回転する。回転するスクリューローター７は、スクリュー溝７ａに噛み合う歯部９ａを有するゲートローター９を回転させる。

　このとき、スクリューローター７の吸入圧力側から吸い込まれた低圧の冷媒ガスは、圧縮室１１に流入する。圧縮室１１に流入した冷媒ガスは、圧縮室１１にて圧縮されつつ、スクリューローター７の吐出圧力側へ送られる。高圧に圧縮された冷媒ガスは、圧縮室１１に注入されている冷凍機油と一緒にスライドバルブ１０の開口部１０ａから吐出室１２へ吐出される。吐出された冷媒ガス及び冷凍機油は、吐出室１２から油分離器３に導出される。

　油分離器３に到達した冷媒ガス及び冷凍機油は、外筒部１３の上部側面に内外に貫通した流入口２０から外筒部１３の内部に流入する。流入口２０から流入した冷媒ガス及び冷凍機油は、外筒部１３と内筒部１４との間の隙間を旋回しながら下降する。この際、旋回下降する冷媒ガス及び冷凍機油のうち、冷媒ガスよりも密度の高い冷凍機油は遠心力によって外筒部１３の内周面へ飛ばされ、冷凍機油と冷媒ガスとが分離される。

　旋回流により分離された冷凍機油は、外筒部１３の内周面を自重によって落下し、仕切板５１上を返油孔５０に向かって流れる。返油孔５０に到達した冷凍機油は、返油孔５０を外筒部１３の内側から外側に向けて流出する一部の冷媒ガスに押し出されて返油孔５０から外筒部１３の外側に流出し、油貯留部１９に溜められる。油貯留部１９へ溜められた冷凍機油は、ケーシング４内に設けられた図示しない経路を通って圧縮機本体２に戻され、圧縮室１１あるいは軸受８に供給される。

　このとき、冷凍機油と分離した冷媒ガスは、旋回しながら下降して油分離空間１６内にて仕切板５１で内側に折り返される。折り返された冷媒ガスは、油分離空間１６の折り返される前の冷媒ガスの内側にて旋回を継続しながら上昇流となって内筒部１４の内部に流入する。内筒部１４の内部に流入した冷媒ガスは、内筒部１４の内側を経由し、蓋部１５の出口部１５ａから逆止弁１８を通過して冷凍サイクル回路側に流出する。

＜整波板５２の効果＞
　図１、図２に示すように、油貯留部１９の油面上部に仕切板５１が設けられた場合でも、返油孔５０から冷媒ガスが油貯留部１９へ侵入して油面が乱されるおそれがある。この場合には、油貯留部１９の冷凍機油が跳ね上がって油分離空間１６に侵入し、冷媒ガスの上昇流に乗って外部の冷凍サイクル回路側に冷凍機油が流出するおそれがある。

　そこで、実施の形態１では、整波板５２が設けられている。これにより、返油孔５０から油貯留部１９へ侵入する冷媒ガスが整波板５２によって油面に直接当たり難くなり、油面が乱され難くなる。また、油貯留部１９の冷凍機油が跳ね上がっても、整波板５２に遮られ、返油孔５０から油分離空間１６に侵入し難い。この結果、実施の形態１では、外部の冷凍サイクル回路側への冷凍機油の流出が抑制される。

　以上のように、実施の形態１によれば、図１、図２に示すような整波板５２が設けられていることにより、油貯留部１９から返油孔５０を通って外部の冷凍サイクル回路側への冷凍機油の流出が抑制できる。

　また、整波板５２は、油貯留部１９及び仕切板５１と一体化されている。これにより、部品点数及び組立工程が増えることなく、油分離性能の高い油分離器３を有するスクリュー圧縮機１が得られる。

＜変形例１＞
　図３は、本発明の実施の形態１の変形例１に係るスクリュー圧縮機１の油分離器３を図１のＡ－Ａ断面で示す横断面図である。なお、変形例１では、実施の形態１との差異点を説明する。その他の実施の形態１と同様な事項は、説明を省略する。

　図３に示すように、整波板５２は、返油孔５０の横幅寸法よりも大きな横幅寸法に形成されている。整波板５２は、矩形形状に形成されている。整波板５２は、返油孔５０の横幅寸法よりも大きな横幅寸法を維持した一定幅で圧縮機本体２側に延びている。整波板５２の圧縮機本体２側に延びた先端は、整波板５２の横幅に直交する直線状に形成されている。

　変形例１によると、整波板５２が大きく、旋回する冷媒ガスが油貯留部１９へ侵入した際に実施の形態１よりも油面に直接当たり難く、油貯留部１９の油面が乱され難い。そのため、油貯留部１９から返油孔５０を通って外部の冷凍サイクル回路側への冷凍機油の流出が実施の形態１よりも抑制できる。すなわち、実施の形態１よりも油分離性能の高い油分離器３を有するスクリュー圧縮機１が得られる。

＜変形例２＞
　図４は、本発明の実施の形態１の変形例２に係るスクリュー圧縮機１の油分離器３を示す縦断面図である。なお、変形例２では、実施の形態１及び変形例１との差異点を説明する。その他の実施の形態１及び変形例１と同様な事項は、説明を省略する。

　図４に示すように、整波板５２は、返油孔５０近傍の根元部５２ａから突出した先端部５２ｂを水平方向に対して屈曲させている。具体的には、整波板５２は、根元部５２ａと先端部５２ｂとの間から先端部５２ｂ側を上方向に向けた傾斜面に屈曲させている。

　なお、整波板５２の形成方法は、限定されない。また、整波板５２は、根元部５２ａと先端部５２ｂとの間から先端部５２ｂ側を上方向に向けた曲面又は鉛直面に屈曲させてもよい。さらに、整波板５２は、返油孔５０近傍の根元部５２ａから先端部５２ｂ側を水平方向に対して上方向に傾斜面又は曲面に屈曲させてもよい。

＜変形例３＞
　図５は、本発明の実施の形態１の変形例３に係るスクリュー圧縮機１の油分離器３を示す縦断面図である。なお、変形例３では、実施の形態１及び変形例１、２との差異点を説明する。その他の実施の形態１及び変形例１、２と同様な事項は、説明を省略する。

　図５に示すように、整波板５２は、返油孔５０近傍の根元部５２ａから突出した先端部５２ｂを水平方向に対して屈曲させている。具体的には、整波板５２は、根元部５２ａと先端部５２ｂとの間から先端部５２ｂ側を下方向に向けた傾斜面に屈曲させている。

　なお、整波板５２の形成方法は、限定されない。また、整波板５２は、根元部５２ａと先端部５２ｂとの間から先端部５２ｂ側を下方向に向けた曲面又は鉛直面に屈曲させてもよい。さらに、整波板５２は、返油孔５０近傍の根元部５２ａから先端部５２ｂ側を水平方向に対して下方向に傾斜面又は曲面に屈曲させてもよい。

＜その他＞
　上述の実施の形態１では、シングルスクリュー圧縮機について説明した。しかし、本発明は、これに限定されない。たとえば、本発明は、ツインスクリュー圧縮機、あるいは、圧縮機と一体となっていない油分離器３についても適用できる。

　また、スクリュー圧縮機１の運転は、一定の回転数で運転する定速駆動、あるいは、モーター５の回転数を制御するインバーター駆動のどちらでもよい。

　加えて、スクリュー圧縮機１に適用される冷媒は、特定の冷媒に限定されるものではない。たとえば、環境への影響等を考慮して、ＧＷＰが低いものが選択されるとよい。ＧＷＰが低い冷媒は、たとえば、Ｒ３２、ＨＦＯ－１１２３、ＨＦＯ－１２３４ｙｆ、ＨＦＯ－１２３４ｚｅ、又は、これらのうちの少なくとも１つを含む混合冷媒である。なお、スクリュー圧縮機１に適用される冷媒は、二酸化炭素等の自然冷媒でもよい。

＜実施の形態１の効果＞
　実施の形態１によれば、油分離器３は、筒状の外筒部１３を備える。油分離器３は、外筒部１３の内部に設けられた筒状の内筒部１４を備える。油分離器３は、外筒部１３の下方に設けられ、油を貯留する油貯留部１９を備える。油分離器３は、外筒部１３と油貯留部１９とを区切る仕切板５１を備える。外筒部１３の側面に形成され、油貯留部１９に連通する返油孔５０を備える。返油孔５０と油貯留部１９との間に整波板５２を設けている。

　この構成によれば、返油孔５０から油貯留部１９へ侵入する旋回流が整波板５２に遮られ、油面に直接当たり難くなる。また、油貯留部１９の冷凍機油が跳ね上がっても、整波板５２に遮られ、返油孔５０から油分離空間１６に侵入し難い。このように、油貯留部１９の油面荒れが抑制され、油貯留部１９の油面が高くなった場合でも油分離空間１６に冷凍機油が逆流することが抑制され、外部の冷凍サイクル回路への冷凍機油の流出が抑制できる。したがって、安価でかつ容易な構造にて油貯留部１９への旋回流侵入による油面荒れが抑制され、油貯留部１９の油面高さが高くなっても高い油分離効率が実現できる。

　実施の形態１によれば、整波板５２は、返油孔５０の横幅寸法と同一の横幅寸法に形成されている。

　この構成によれば、返油孔５０から油貯留部１９へ侵入する旋回流が油面に直接当たり難くなる整波板５２が必要最小限の大きさで形成できる。これにより、安価でかつ容易な構造が達成できる。

　実施の形態１によれば、整波板５２は、返油孔５０の横幅寸法よりも大きな横幅寸法に形成されている。

　この構成によれば、整波板５２がより広い面積で形成でき、返油孔５０から油貯留部１９へ侵入する旋回流が油面に直接当たり難くなる。また、油貯留部１９の冷凍機油が跳ね上がっても、整波板５２に遮られ、返油孔５０から油分離空間１６に侵入し難い。

　実施の形態１によれば、整波板５２は、矩形形状に形成されている。

　この構成によれば、整波板５２が単純な構成である。これにより、安価でかつ容易な構造が達成できる。

　実施の形態１によれば、整波板５２は、仕切板５１を延長して形成されている。

　この構成によれば、部品点数及び組立工程が増えることなく、整波板５２が形成できる。これにより、安価でかつ容易な構造が達成できる。

　実施の形態１によれば、整波板５２は、仕切板５１と同一の厚みを有する。

　この構成によれば、整波板５２が製造し易い。これにより、安価でかつ容易な構造が達成できる。

　実施の形態１によれば、整波板５２は、仕切板５１と平行に形成されている。

　実施の形態１によれば、整波板５２は、返油孔５０近傍の根元部５２ａから突出した先端部５２ｂを水平方向に対して屈曲させている。

　この構成によれば、たとえば、返油孔５０からの旋回流が先端部５２ｂを水平方向に対して上方向に屈曲させた整波板５２に沿って油面から離れる方向に誘導できる。あるいは、返油孔５０からの旋回流によって冷凍機油が先端部５２ｂを水平方向に対して下方向に屈曲させた整波板５２に沿って油貯留部１９に押し流され易く、冷凍機油が整波板５２上に溜まらないようにできる。

　実施の形態１によれば、整波板５２は、根元部５２ａと先端部５２ｂとの間から先端部５２ｂ側を屈曲させている。

　この構成によれば、整波板５２の返油孔５０近傍の根元部５２ａと突出した先端部５２ｂとの間までにて、返油孔５０から油貯留部１９へ侵入する勢いの強い旋回流が油面に直接当たり難くなる。それに加え、返油孔５０から離れた先端部５２ｂ側にて、返油孔５０からの勢いのそがれた旋回流が水平方向に対して上方向に屈曲された先端部５２ｂ側に沿って油面から離れる方向に誘導できる。あるいは、返油孔５０からの勢いのそがれた旋回流によって冷凍機油が水平方向に対して下方向に屈曲された先端部５２ｂ側に沿って油貯留部１９に押し流され易く、冷凍機油が整波板５２上に溜まらないようにできる。

　実施の形態１によれば、整波板５２は、先端部５２ｂ側を上方向に向けて屈曲させている。

　この構成によれば、先端部５２ｂ側を上方向に向けて屈曲させた整波板５２にて、返油孔５０からの旋回流が整波板５２に沿って油面から離れる方向に誘導できる。なお、返油孔５０から送り出された冷凍機油は、返油孔５０と整波板５２との左右両側の境界から油貯留部１９に流れ込む。また、整波板５２の返油孔５０近傍の根元部５２ａと突出した先端部５２ｂとの間までが返油孔５０の底位置と平行な場合であれば、返油孔５０から送り出された冷凍機油は、整波板５２の根元部５２ａ側にて左右両側の長さのある縁部から油貯留部１９に流れ込める。加えて、先端部５２ｂが鉛直面であると、整波板５２の先端部５２ｂが返油孔５０の水平投影領域に存在し、返油孔５０からの旋回流が先端部５２ｂに衝突して上方向及び左右方向に拡散できる。

　実施の形態１によれば、整波板５２は、先端部５２ｂ側を下方向に向けて屈曲させている。

　この構成によれば、先端部５２ｂ側を下方向に向けて屈曲させた整波板５２にて、返油孔５０からの旋回流によって冷凍機油が整波板５２に沿って油貯留部１９に押し流され易く、冷凍機油が整波板５２上に溜まらないようにできる。

　実施の形態１によれば、整波板５２は、外筒部１３及び仕切板５１と一体化して構成されている。

　実施の形態１によれば、整波板５２は、外筒部１３と油貯留部１９と仕切板５１と鋳造によって一体成形されている。

　実施の形態１によれば、スクリュー圧縮機１は、上記の油分離器３を備える。

　この構成によれば、油分離器３を備えるスクリュー圧縮機１では、安価でかつ容易な構造にて油貯留部１９への旋回流侵入による油面荒れが抑制され、油貯留部１９の油面高さが高くなっても高い油分離効率が実現できる。

実施の形態２．
＜冷凍サイクル装置２００＞
　図６は、本発明の実施の形態２に係るスクリュー圧縮機１を適用した冷凍サイクル装置２００を示す冷媒回路図である。

　図６に示すように、冷凍サイクル装置２００は、スクリュー圧縮機１、凝縮器２０１、膨張弁２０２及び蒸発器２０３を備える。これらスクリュー圧縮機１、凝縮器２０１、膨張弁２０２及び蒸発器２０３が冷媒配管で接続されて冷凍サイクル回路を形成している。そして、蒸発器２０３から流出した冷媒は、スクリュー圧縮機１に吸入されて高温高圧となる。高温高圧となった冷媒は、凝縮器２０１において凝縮されて液体になる。液体となった冷媒は、膨張弁２０２で減圧膨張されて低温低圧の気液二相となり、気液二相の冷媒が蒸発器２０３において熱交換される。

　実施の形態１のスクリュー圧縮機１は、このような冷凍サイクル装置２００に適用できる。なお、冷凍サイクル装置２００としては、たとえば空気調和装置、冷凍装置又は給湯器などが挙げられる。

＜実施の形態２の効果＞
　実施の形態２によれば、冷凍サイクル装置２００は、実施の形態１に記載のスクリュー圧縮機１を備える。

　この構成によれば、スクリュー圧縮機１を備える冷凍サイクル装置２００では、安価でかつ容易な構造にて油貯留部１９への旋回流侵入による油面荒れが抑制され、油貯留部１９の油面高さが高くなっても高い油分離効率が実現できる。

　１　スクリュー圧縮機、２　圧縮機本体、３　油分離器、４　ケーシング、５　モーター、５ａ　ステーター、５ｂ　モーターローター、６　スクリュー軸、７　スクリューローター、７ａ　スクリュー溝、８　軸受、９　ゲートローター、９ａ　歯部、１０　スライドバルブ、１０ａ　開口部、１１　圧縮室、１２　吐出室、１３　外筒部、１４　内筒部、１５　蓋部、１５ａ　出口部、１６　油分離空間、１７　油分離部、１８　逆止弁、１９　油貯留部、２０　流入口、５０　返油孔、５１　仕切板、５２　整波板、５２ａ　根元部、５２ｂ　先端部、２００　冷凍サイクル装置、２０１　凝縮器、２０２　膨張弁、２０３　蒸発器。

Claims

　筒状の外筒部と、
　前記外筒部の内部に設けられた筒状の内筒部と、
　前記外筒部の下方に設けられ、油を貯留する油貯留部と、
　前記外筒部と前記油貯留部とを区切る仕切板と、
　前記外筒部の側面に形成され、前記油貯留部に連通する返油孔と、
を備え、
　前記返油孔と前記油貯留部との間に整波板を設ける油分離器。
　前記整波板は、前記返油孔の横幅寸法と同一の横幅寸法に形成される請求項１に記載の油分離器。
　前記整波板は、前記返油孔の横幅寸法よりも大きな横幅寸法に形成される請求項１に記載の油分離器。
　前記整波板は、矩形形状に形成される請求項１～３のいずれか１項に記載の油分離器。
　前記整波板は、前記仕切板を延長して形成される請求項１～４のいずれか１項に記載の油分離器。
　前記整波板は、前記仕切板と同一の厚みを有する請求項１～５のいずれか１項に記載の油分離器。
　前記整波板は、前記仕切板と平行に形成される請求項１～６のいずれか１項に記載の油分離器。
　前記整波板は、前記返油孔近傍の根元部から突出した先端部を水平方向に対して屈曲させる請求項１～６のいずれか１項に記載の油分離器。
　前記整波板は、前記根元部と前記先端部との間から前記先端部側を屈曲させる請求項８に記載の油分離器。
　前記整波板は、前記先端部側を上方向に向けて屈曲させる請求項８又は９に記載の油分離器。
　前記整波板は、前記先端部側を下方向に向けて屈曲させる請求項８又は９に記載の油分離器。
　前記整波板は、前記外筒部及び前記仕切板と一体化して構成される請求項１～１１のいずれか１項に記載の油分離器。
　前記整波板は、前記外筒部と前記油貯留部と前記仕切板と鋳造によって一体成形される請求項１２に記載の油分離器。
　請求項１～１３のいずれか１項に記載の油分離器を備えるスクリュー圧縮機。
　請求項１４に記載のスクリュー圧縮機を備える冷凍サイクル装置。