JP2010001834A - 気体圧縮機 - Google Patents

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Naoyuki Shioda
直之 塩田
Masaru Tamamoto
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Abstract

【課題】気体圧縮機において、油分離器からの排油によって油分がミスト化するのを抑制して油分離性能を向上させる
【解決手段】内周壁面61bおよび底壁面61cによって囲まれた内部空間63から、遠心分離された冷凍機油Rを外部(吐出室21の底部である貯油部)に排出する排油孔61dの、貯油部側における開口61fが内部空間63側における開口61eよりも大きく形成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は気体圧縮機に関し、詳細には、圧縮機本体から吐出された圧縮気体から油分を遠心分離する油分離器の改良に関する。
従来より、空気調和システム(以下、空調システムという。)には、冷媒ガスなどの気体を圧縮して、空調システムに気体を循環させるための気体圧縮機(コンプレッサ)が用いられている。
ここで、一般的なコンプレッサの1つとして例えばベーンロータリ形式のコンプレッサが知られている。このベーンロータリ形式のコンプレッサは、ハウジングの内部に、圧縮機本体が収容された構成となっている。
圧縮機本体は、回転軸と一体的に回転する略円柱状のロータと、ロータの外方を取り囲むシリンダと、ロータに埋設されて、突出側の先端が、断面輪郭形状が略楕円形のシリンダの内周面に追従するように該ロータの外周面からの突出量が可変とされた板状のベーンと、ロータやベーンを、ロータの両端面側から覆う2つのサイドブロックとを備えている。
そして、ロータの回転方向について相前後する2つのベーン、シリンダの内周面、ロータの外周面および両サイドブロックの端面により、ロータの回転に伴ってその容積が変化し、吸入された気体を圧縮して吐出する複数の圧縮室が画成されている。
また、ハウジングの内面と圧縮機本体の外面とにより、圧縮機本体を挟んで一方の側に、圧縮機本体に吸入される気体が通過する低圧雰囲気の吸入室が形成されているとともに、圧縮機本体を挟んで他方の側に、圧縮機本体から吐出された気体が通過する高圧雰囲気の吐出室(油分が分離された気体の通過する空間)が形成されている。
ここで、吐出室を画成するサイドブロックには、圧縮室で圧縮された高圧の気体を、吐出室に導くための吐出路が形成されているとともに、吐出された気体に混じった冷凍機油等の油分を遠心分離するための油分離器が取り付けられている。
この油分離器は、圧縮された気体が吐出されたときの勢いで油分を遠心分離する内周壁面および分離された前記油分が流れ落ちる底壁面で囲まれた内部空間を有し、内部空間内で分離された油分は、底壁面に形成された排油孔から吐出室の下部(貯油部)に排出される。
一方、内部空間で旋回して油分が分離された後の気体は、油分離器から排気され、吐出室を通って気体圧縮機の外部に吐出される(特許文献1)。
なお、スクロール形式等他の形式の気体圧縮機にあっても、同様の油分離器が備えられている。
ところで、上述した気体圧縮機の油分離器で分離された油分は、排油孔から勢いよく排出されるため、貯油部に溜まった油分との衝突によって油分がミスト(微小液滴)化し、このミスト化された油分は、分離された気体によって運ばれやすくなり、気体とともに気体圧縮機の外部に吐出されやすくなる。
そこで、上記特許文献1に開示されているように、排油孔が、貯油部に溜まった油分の油面より上方に位置するものでは、排油孔から排油された油分が貯油部の油面に直接衝突しないように、排油孔の形成向きを工夫している。
特開2003−090286号公報
しかし、排油孔が、貯油部に溜まった油分の油面より下方に位置するもの、すなわち、貯油部に溜まった油分に排油孔が浸かっている場合には、排油孔の形成向きの工夫だけで、油分のミスト化を十分に防止することはできない。
もちろん、排油孔が、貯油部に溜まった油分の油面より上方に位置するものであっても、一層のミスト化防止を推進することが求められている。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、油分離器からの排油によって油分がミスト化するのを抑制して油分離性能を向上させることができる気体圧縮機を提供することを目的とする。
本発明に係る気体圧縮機は、油分離器の排油孔の外部側の開口を、内部空間側の開口よりも大きく形成したことにより、排油孔から外部に排出されるときの油分の排出圧力を低下させて、貯油部に溜まっている油分と排油された油分との衝突圧力を低下させ、油分のミスト化を抑制したものである。
すなわち、本発明に係る気体圧縮機は、ハウジングの内部に、気体を圧縮する圧縮機本体と、前記圧縮機本体により圧縮して吐出された圧縮気体を通過させて該圧縮気体から油分を遠心分離する内周壁面および分離された前記油分が流れ落ちる底壁面で囲まれた内部空間を有する油分離器とを備え、前記油分離器には、前記底壁面に流れ落ちた前記油分を貯油部に排出する排油孔が形成された気体圧縮機において、前記排油孔は、前記貯油部側における開口が前記内部空間側における開口よりも大きく形成されていることを特徴とする。
ここで、排油孔は、その貯油部側における開口が、その内部空間側における開口よりも大きく形成されていればよいため、内部空間側から貯油部側に至る排油孔の長さ方向の全域に亘って、断面積が連続的に変化するものであってもよいし、断面積が不連続に変化するものであってもよい。
また、排油孔は、貯油部に溜められた油分に浸かって(油分の油面よりも下方に位置して)いてもよいし、油分の油面よりも上方に位置していてもよい。
このように構成された本発明に係る気体圧縮機によれば、油分離器の排油孔の外部側の開口が、内部空間側の開口よりも大きく形成されているため、排油孔は、内部空間側の開口から外部側の開口に至るまでの間に、容積が拡がり、これにより、内部空間側の開口から外部側の開口に向かって排油孔の内部を進行する油分の圧力は、外部側の開口に近付くにしたがって低下する。
したがって、排油孔から排出された油分が、外部側の開口において、貯油部に溜められた油分と衝突するときのエネルギを低下させることができ、溜められている油分との衝突による油分のミスト化を低減することができる。
なお、排油孔から排出された油分による衝突エネルギが低下することは、排油孔の外部側(貯油部側)の開口が、貯油部に溜められた油分の油面より高い位置にあるか、または低い位置にあるか、に拘わらず発揮される。
また、本発明に係る気体圧縮機によれば、油分離器の排油孔の外部側(貯油部側)の開口が、内部空間側の開口よりも大きく形成されているため、排油孔の外部側の開口が、貯油部に溜められた油分の油面より低い位置にあるものでは特に、外部側の開口から排出される油分は乱流よりも層流になりやすく、乱流よりも層流の方がミスト化を発生しにくく、この点からも、油分のミスト化を低減することができる。
本発明に係る気体圧縮機によれば、油分離器からの排油によって油分がミスト化するのを抑制し、油分離性能を向上させることができる。
以下、本発明の気体圧縮機に係る最良の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る気体圧縮機の一実施形態であるベーンロータリ式コンプレッサ100(気体圧縮機)を示す縦断面図、図2は図1に示したコンプレッサ100におけるA−A線に沿った断面を示す図、図3は図1に示したコンプレッサ100におけるサイクロンブロック60の詳細を示す図である。
図示のコンプレッサ100は、例えば、冷却媒体の気化熱を利用して冷却を行なう空気調和システム(以下、単に空調システムという。)の一部として構成され、この空調システムの他の構成要素である凝縮器、膨張弁、蒸発器等(いずれも図示を省略する。)とともに、冷却媒体の循環経路上に設けられている。
そして、コンプレッサ100は、空調システムの蒸発器から取り入れた気体状の冷却媒体としての冷媒ガスGを圧縮し、この圧縮された冷媒ガスGを空調システムの凝縮器に供給する。凝縮器は、圧縮された冷媒ガスGを液化させ、高圧で液状の冷媒として膨張弁に送出する。
高圧で液状の冷媒は、膨張弁で低圧化され、蒸発器に送出される。低圧の液状冷媒は、蒸発器において周囲の空気から吸熱して気化し、この気化熱との熱交換により蒸発器周囲の空気を冷却する。
また、コンプレッサ100は、ケース11とフロントヘッド12とからなるハウジングの内部に収容された圧縮機本体と、フロントヘッド12に取り付けられ、図示しない動力源からの駆動力を圧縮機本体に伝える伝達機構13とを備える。そして、圧縮機本体は、複数のボルトによってフロントヘッド12に固定され、伝達機構13は、ラジアルボールベアリング14を介して、フロントヘッド12に回転自在に支持されている。
ケース11は、一端開放の筒状体を呈し、フロントヘッド12は、このケース11の開放された部分を覆うように組み付けられている。
フロントヘッド12には、蒸発器から低圧の冷媒ガスGが吸入される吸入ポート12aが形成され、この吸入ポート12aには、冷媒ガスGの逆流を防ぐ逆止弁12bが設けられている。一方、ケース11には、圧縮機本体で圧縮された高圧の冷媒ガスGを凝縮器に吐出する吐出ポート11aが形成されている。
ハウジング内に収容された圧縮機本体は、伝達機構13を介して供給された駆動力によって軸回りに回転する回転軸51と、この回転軸51とともに回転する円柱状のロータ50と、ロータ50の外周面の外方を取り囲む断面輪郭略楕円形状の内周面49aを有するとともに、両端が開放されたシリンダ40と、図2に示すように、ロータ50の外方に向けて突出可能にロータ50に埋設され、その突出側の先端がシリンダ40の内周面49aに追従するように突出量が可変とされ、回転軸51回りに等角度間隔で配置された5枚の板状のベーン58と、シリンダ40の両側開放端面の外側からそれぞれ開放端面を覆うように固定されたフロントサイドブロック30およびリヤサイドブロック20とからなる。
そして、2つのサイドブロック20,30、ロータ50、シリンダ40、および回転軸51の回転方向(図2において時計回りの矢印方向)に相前後する2つのベーン58,58によって画成された各圧縮室48の容積が、回転軸51の回転にしたがって増減を繰り返すことにより、各圧縮室48に吸入された冷媒ガスGを圧縮して吐出するように構成されている。
なお、ロータ50の両端面50a,50bからそれぞれ突出した回転軸51の部分のうち一方の部分は、フロントサイドブロック30の軸受部32に軸支されるとともに、フロントヘッド12を貫通して外方まで延び、この外方に延びた部分が伝達機構13に連結されている。同様に回転軸51の突出部分のうち他方の側は、リヤサイドブロック20の軸受部22により軸支されており、これらによって、回転軸51は、リヤサイドブロック20およびフロントサイドブロック30に対して回転自在とされている。
また、回転軸51のうち、フロントサイドブロック30の軸受部32よりも外側部分であってフロントヘッド12よりも内側の部分には、リップシール15が配置されて、冷凍機油Rが、回転軸51とフロントヘッド12との隙間からフロントヘッド12の外部に漏れるのを阻止している。
そして、ボルトによるフロントヘッド12へのフロントサイドブロック30とシリンダとの固定と、両サイドブロック20,30の外周部がOリングによりケース11,フロントヘッド12の内周面に保持されることとによって、圧縮機本体はハウジング内の所定位置に保持されている。
また、圧縮機本体がケース11の内部に収容された状態で、リヤサイドブロック20とケース11とにより、圧縮機本体から高圧の冷媒ガスGが吐出される高圧雰囲気の吐出室21(冷凍機油Rが分離された冷媒ガスGの通過する空間)が形成され、一方、フロントサイドブロック30とフロントヘッド12とにより、圧縮機本体に低圧の冷媒ガスGを供給する低圧雰囲気の吸入室34が形成され、吐出室21は吐出ポート11aに連通し、吸入室34は吸入ポート12aに連通している。そして、吸入室34と吐出室21とは、前述したOリング等によって気密に隔絶されている。
また、リヤサイドブロック20には、冷凍機油Rを冷媒ガスGから遠心分離するサイクロンブロック60(油分離器)が取り付けられており、このサイクロンブロック60は吐出室21内に、その外面が露出して配置されている。なお、リヤサイドブロック20とサイクロンブロック60との間には、短円柱状の軸背圧空間68が形成されている。
吐出室21の下部には、このコンプレッサ100の摺動部等を潤滑、冷却、清浄するとともに、ベーン58をシリンダ40の内周面49aに向けて突出させて、その先端を内周面49aに当接させた状態に付勢するように、ベーン58に背圧を作用させる冷凍機油Rが溜められている。
すなわち、ロータ50には、図2に示すように、スリット状のベーン溝56が放射状に、かつロータ50の回転中心回りに等角度間隔で5つ形成され、これらのベーン溝56に、前述のベーン58が挿入され、各ベーン58は、ロータ50の回転によって生じる遠心力と、ベーン溝56およびベーン58の底面によって画成された背圧室59(背圧空間の一部)に加えられる冷凍機油Rの油圧(背圧)とにより、シリンダ40の内周面49aに向けて突出し、このベーン58の突出した先端がシリンダ40の内周面49aに当接した状態に付勢され、回転軸51の回転に伴って、この先端は内周面49aに追従する。
これにより、シリンダ40と、ロータ50と、回転軸51の回転方向について相前後する2つのベーン58,58と、フロントサイドブロック30と、リヤサイドブロック20とにより画成された各圧縮室48は、ロータ50の回転にしたがって容積の変化を繰り返す。
また、フロントサイドブロック30には、吸入室34と圧縮室48とを連通させるフロント側吸入口31が開口しており、吸入ポート12aから吸入室34に導入された冷媒ガスGは、このフロント側吸入口31を介して圧縮室48に吸入される。
一方、シリンダ40の外周の一部には凹部が形成され、この凹部は、両サイドブロック20,30の各内側端面とケース11の内周面とによって囲まれた吐出チャンバ45を形成している。
そして、この吐出チャンバ45が形成されて薄肉化されたシリンダ40のうち、冷媒ガスGの圧縮行程に対応した圧縮室48に臨む部分に、圧縮室48内の冷媒ガスGを圧縮室48の外部、すなわち吐出チャンバ45に吐出させる吐出口42が設けられているとともに、圧縮室48の内部圧力に応じて吐出口42を開閉するリードバルブ43が配設されている。
リードバルブ43は板ばね状であって、圧縮室48の冷媒ガスGから吐出口42を通じて作用する圧力(詳細には、この圧力と吐出チャンバ45の内部の圧力(さらに、リードバルブ43を吐出口42に付勢している場合には、その付勢力に応じた初期負荷圧力も加算した圧力)との差)に応じて吐出チャンバ45の側に撓むように弾性変形し、この弾性変形によって、閉止していた吐出口42を開放する。
また、このリードバルブ43が、過大な撓みにより破損したり、大きな撓みの持続によって永久変形が生じるのを防止するために、リードバルブ43の変形量を規制するバルブサポート44が、リードバルブ43に重ね合わされて、シリンダ40に共締め固定されている。
そして、圧縮室48から吐出口42、リードバルブ43を通って吐出チャンバ45に吐出された高圧の冷媒ガスGは、リヤサイドブロック20を介して、サイクロンブロック60の内部に導入される。
サイクロンブロック60は、圧縮機本体により圧縮され、導入孔61aを介して吐出された冷媒ガスGを通過させてこの冷媒ガスGから冷凍機油Rを遠心分離する内周壁面61bおよび分離された冷凍機油Rが流れ落ちる底壁面61cで囲まれた内部空間63を有し、底壁面61cに流れ落ちた冷凍機油Rを貯油部(吐出室21の底部)に向けて矢印F方向に排出する排油孔61dが形成されている。
ここで、排油孔61dは、貯油部側における開口(図3において符号61fで表す。)が貯油部に貯留された冷凍機油Rの油面Rsよりも下方に位置するように形成されている。
内周壁面61bは、冷媒ガスGが沿って旋回しつつ降下する面であり、サイクロンブロック60は、内周壁面61bおよび底壁面61cからなる遠心分離本体部61と、内部空間63内に、内部空間63と略同軸に配設され、内周壁面61bを旋回した冷媒ガスGを、内部空間63のうち底壁面61cとは反対側の端面側から遠心分離本体部61の外部に導く略円筒状の中空筒部62と、を有している。
この中空筒部62を通って遠心分離本体部61の外部に導かれた冷媒ガスGは、吐出室21を介して吐出ポート11aを通り、コンプレッサ100の外部に供給される。
そして、排油孔61dは、図3に示すように、貯油部側における開口61fが内部空間63側における開口61eよりも大きい直径φd2(>φd1(ただし、φd1は、内部空間63側における開口61eの直径を表す。))で形成されている。
この実施形態においては、排油孔61dは、貯油部側における開口61fを下底面、内部空間側における開口61eを上底面、とする略円錐台状の空間として形成されている。
なお、本実施形態に係るコンプレッサ100には、回転軸51と軸受部22,32との間の潤滑、ロータ50の各端面50a,50bと各サイドブロック20,30の内側端面29,39との間を潤滑等する目的と、ベーン58をシリンダ40の内周面49aに付勢すべく背圧空間(背圧室59、後述するサライ溝25および軸背圧空間68)に油圧(背圧)を供給等する目的とにより、吐出室21の下部に貯留した冷凍機油Rを各部位に導く構造を備えている。
すなわち、リヤサイドブロック20に、軸受部22に至る油路23が形成され、また、リヤサイドブロック20の内側端面(ロータ50の端面50aに向いた面)29には、軸受部22における油路23の開口から、軸受部22と回転軸51との間の微小隙間(絞り)を通って、ロータ50の背圧室59に連通する凹部であるサライ溝25が形成されている。
また、軸受部22まで延びた油路23は、軸受部22と回転軸51との間の微小隙間(絞り)を介して、リヤサイドブロック20とサイクロンブロック60との間に形成された空間である軸背圧空間68にも連通し、この軸背圧空間68は背圧連通路28を介してサライ溝25に、圧力損失なく連通している。
これにより、背圧室59、サライ溝25、背圧連通路28および軸背圧空間68は、略同一の圧力Pvとなり、ベーン58の背圧空間を構成している。
この背圧空間に作用する圧力Pvは、具体的には、低圧雰囲気の吸入室34の圧力Psよりも高い圧力であって、軸受部22と回転軸51の周面部分との間の微小隙間(絞り)を通過した分だけ、高圧雰囲気の吐出室21の圧力Pdよりも低い中間圧(Ps<Pv<Pd)となる。
サライ溝25は、軸受部22の中心回りの所定角度範囲に亘って、略扇形状の輪郭(図2において破線で示す)を有する凹部であり、上述した微小隙間を通過して中間圧Pvまで低下した冷凍機油Rが供給される。
そして、ロータ50の回転に伴って、ロータ50の端面50aに露呈しているベーン溝56の背圧室59がリヤサイドブロック20のサライ溝25を通過している間だけ、ベーン溝56の背圧空間59とサライ溝25とが連通して、ベーン溝56の背圧空間59にサライ溝25の中間圧Pvの冷凍機油Rが供給され、ベーン58はこの供給された冷凍機油Rの中間圧Pvを受けて、シリンダ40の内周面49aに向かって突出する。
また、シリンダ40の底部側には、リヤサイドブロック20の油路23に接続する貫通孔46が設けられ、フロントサイドブロック30に、この貫通孔46のフロントサイドブロック30側の開口と軸受部32とを連通させる油路33が形成され、冷凍機油Rは、軸受部32と回転軸51との間の微小隙間を通過して中間圧Pvまで降圧され、フロントサイドブロック30の内側端面(ロータ50の端面50bに向いた面)39に形成された凹部であるサライ溝35等に導かれる。
なお、フロントサイドブロック30のサライ溝35も、リヤサイドブロック20のサライ溝25と同様、ロータ50の背圧室59に連通して、ベーン溝56の背圧空間59にサライ溝25の中間圧Pvの冷凍機油Rを供給し、ベーン58はこの供給された冷凍機油Rの中間圧Pvを受けて、シリンダ40の内周面49aに向かって突出する。
また、リヤサイドブロック20には、圧縮行程の終期(圧縮室48内の圧力が最も高圧の状態)において圧縮室48内の高圧により、ベーン58がシリンダ40の内周面49aから離れるのを防止する目的で、一層高圧(≒Pd)の冷凍機油Rを背圧室59に供給するため、油路23から分岐して、絞りを通過しないまま直接リヤサイドブロック20の内側端面29まで延びる高圧油路27が形成されている。フロントサイドブロック30にも同様の高圧油路37が形成されている。
サライ溝25,35に供給された冷凍機油Rは、ロータ50のベーン溝58の背圧室59が連通したときに、この背圧室59にベーン58の突出力を作用させるが、背圧室59が連通しない角度範囲も含めて、ロータ50の端面50a,50bと各サイドブロック20,30の端面29,39との間などにそれぞれ浸透して、これらの端面50a,29間、端面50b,39間や、サイドブロック20,30の端面29,39とベーン58の側面との間、ベーン58の先端とシリンダ40の内周面49aとの間など、摺動部分における摺動摩擦力を低減させている。
そして、各摺動部分に浸透した冷凍機油Rは、圧縮室48内の冷媒ガスGに混入し、冷媒ガスGとともに圧縮室48から吐出され、サイクロンブロック60を介して吐出室21に吐出される。
このように構成された本実施形態に係るコンプレッサ100によれば、サイクロンブロック60の導入孔61aから、遠心分離本体部61の内部空間63に導入された高圧の冷媒ガスGは、内周壁面61bに沿って旋回しつつ降下し、この旋回の過程で、遠心力により、冷凍機油Rが遠心分離され、分離された冷凍機油Rは、内周壁面61bに沿って底壁面61cに流れ落ちる。
底壁面61cまで降下する間に冷凍機油Rが分離された冷媒ガスGは、降下から反転して、内部空間63の中心部を上昇し、中空筒部62の内部を通って、底壁面61cとは反対側の端面側から、遠心分離本体部61の外部(吐出室21)に排気され、吐出室21を通り、吐出ポート11aを介して、空調システムに吐出される。
一方、冷媒ガスGから分離されて底壁面61cに流れ落ちた冷凍機油Rは、排油孔61dを通じて、内部空間63から貯油部(吐出室21の底部)に排出される。
ここで、排油孔61dの外部側の開口61fの直径φd2は、内部空間63側の開口61eの直径φd1よりも大きいため、排油孔61dは、内部空間63側の開口61eから外部側の開口61fに至るまでの間に、容積が拡がり、これにより、内部空間63側の開口61eから外部側の開口61fに向かって排油孔61dの内部を進行する冷凍機油Rの圧力は、外部側の開口61fに近付くにしたがって低下する。
したがって、排油孔61dから排出された冷凍機油Rが、外部側の開口61fにおいて、貯油部に溜められた冷凍機油Rと衝突するときのエネルギを低下させることができ、溜められている冷凍機油Rとの衝突による冷凍機油Rのミスト化を低減することができる。よって、サイクロンブロック60による油分離性能を向上させることができる。
また、排油孔61dの外部側の開口61fが、内部空間63側の開口61eよりも大きく形成されているため、外部側の開口61fから排出される冷凍機油Rは乱流よりも層流になりやすく、乱流よりも層流の方がミスト化を発生しにくいため、この点からも、冷凍機油Rのミスト化を低減することができる。
なお、本実施形態に係るコンプレッサ100は、サイクロンブロック60の排油孔61dの外部側の開口61fが、貯油部に溜められた冷凍機油Rの油面Rsよりも下方に位置するものであるが、本発明に係る気体圧縮機は、この形態に限定されるものではない。
すなわち、サイクロンブロック60の排油孔61dから排出された冷凍機油61dの衝突エネルギが低下することは、排油孔61dの外部側の開口61fが、貯油部に溜められた冷凍機油Rの油面Rsより高い位置にあるか、または低い位置にあるか、に拘わらず発揮される作用、効果であるため、サイクロンブロック60の排油孔61dの外部側の開口61fが、貯油部に溜められた冷凍機油Rの油面Rsよりも上方に位置するものであっても、貯油部に溜められた冷凍機油Rとの衝突エネルギを低下させて、冷凍機油Rのミスト化を低減することができる。
また、本実施形態のコンプレッサ100におけるサイクロンブロック60の排油孔61dは、貯油部側における開口61fを下底面、内部空間63側における開口61eを上底面とする略円錐台状の空間であるため、内部空間63側から貯油部側に至る排油孔61dの長さ方向の全域に亘って、断面積が連続的に変化する。したがって、断面積が不連続に変化するものよりも、冷凍機油Rが外部側の開口61fにおいて乱流になりにくくすることができる。
本実施形態のコンプレッサ100のサイクロンブロック60は、内周壁面61bが、圧縮された冷媒ガスGが沿って旋回する面であり、サイクロンブロック60は、内周壁面61bおよび底壁面61cからなる遠心分離本体部61と、内部空間63内に、内部空間63と略同軸に配設され、内周壁面61bを旋回した冷媒ガスGを、内部空間63のうち底壁面61cとは反対側の端面側から遠心分離本体部61の外部に導く略円筒状の中空筒部62とを有する構成により、冷凍機油Rが分離された後の冷媒ガスGを、円滑にサイクロンブロック60の外部に排気することができる。
なお、上述した実施形態のコンプレッサ100は、ベーンロータリ形式の気体圧縮機であるが、本発明に係る気体圧縮機は、実施形態のベーンロータリ形式のものに限定されるものではなく、他の形式の気体圧縮機、例えば、斜板往復動形式やスクロール形式の気体圧縮機にも適用することができる。
本発明に係る気体圧縮機の一実施形態であるベーンロータリ式コンプレッサを示す縦断面図である。 図1におけるA−A線に沿った面による断面図である。 図1に示したコンプレッサにおけるサイクロンブロックを示す拡大断面図である。
符号の説明
60 サイクロンブロック(油分離器)
61 遠心分離本体部
61b 内周壁面
61c 底壁面
61d 排油孔
61e 内部空間側の開口
61f 外部側の開口
62 中空筒部
63 内部空間
100 コンプレッサ(気体圧縮機)
G 冷媒ガス
R 冷凍機油

Claims (4)

  1. ハウジングの内部に、気体を圧縮する圧縮機本体と、前記圧縮機本体により圧縮して吐出された圧縮気体を通過させて該圧縮気体から油分を遠心分離する内周壁面および分離された前記油分が流れ落ちる底壁面で囲まれた内部空間を有する油分離器とを備え、前記油分離器には、前記底壁面に流れ落ちた前記油分を貯油部に排出する排油孔が形成された気体圧縮機において、
    前記排油孔は、前記貯油部側における開口が前記内部空間側における開口よりも大きく形成されていることを特徴とする気体圧縮機。
  2. 前記排油孔は、前記貯油部側における開口を下底面、前記内部空間側における開口を上底面とする略円錐台状の空間であることを特徴とする請求項1に記載の気体圧縮機。
  3. 前記内周壁面は、前記圧縮気体が沿って旋回する面であり、
    前記油分離器は、前記内周壁面および前記底壁面からなる遠心分離本体部と、前記内部空間内に、該内部空間と略同軸に配設され、前記内周壁面を旋回した気体を、前記内部空間のうち前記底壁面とは反対側の端面側から前記遠心分離本体部の外部に導く略円筒状の中空筒部と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の気体圧縮機。
  4. 前記排油孔は、前記貯油部側における開口が該貯油部に貯留された油分の油面よりも下方に位置するように形成されていることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載の気体圧縮機。
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