JP2008157174A - 容量可変型気体圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】容量可変型気体圧縮機において、フィルタで補足されない異物が供給通路に侵入するのを防止または抑制する。
【解決手段】容量可変用の容量制御弁(80)に冷凍機油Rを供給する供給通路29の上流側に配設されたフィルタ70の内部に、フィルタ70を通過した冷凍機油Rが通過する第1の通過口72cを形成し、この第1の通過口72cを、供給通路29の入口29aの高さ位置h2よりも低い位置h1(<h2)とすることで、フィルタ70を通過するような微細なサイズ等の異物であっても、その通過した異物は、その自重によって、第1の通過口72cを通過しにくくなり、また、例え第1の通過口72cを通過したとしても、入口29aに到達しにくくなる。
【選択図】図2
【解決手段】容量可変用の容量制御弁(80)に冷凍機油Rを供給する供給通路29の上流側に配設されたフィルタ70の内部に、フィルタ70を通過した冷凍機油Rが通過する第1の通過口72cを形成し、この第1の通過口72cを、供給通路29の入口29aの高さ位置h2よりも低い位置h1(<h2)とすることで、フィルタ70を通過するような微細なサイズ等の異物であっても、その通過した異物は、その自重によって、第1の通過口72cを通過しにくくなり、また、例え第1の通過口72cを通過したとしても、入口29aに到達しにくくなる。
【選択図】図2
Description
本発明は、容量可変型気体圧縮機に関し、詳細には、容量制御弁を動作させる作動油のフィルタの改良に関する。
従来より、空気調和システム(以下、空調システムという。)には、冷媒ガスなどの気体を圧縮して、空調システムに気体を循環させるための気体圧縮機(コンプレッサ)が用いられている。
ここで、一般的なコンプレッサの1つとして例えばベーンロータリ形式のコンプレッサが知られている。このベーンロータリ形式のコンプレッサは、ハウジングの内部に、圧縮機本体が収容された構成となっている。
圧縮機本体は、回転軸と一体的に回転する略円柱形状のロータと、ロータの外周面の外方を取り囲むシリンダと、ロータに埋設されて、突出側の先端が、断面輪郭形状が略楕円形状のシリンダの内周面に追従するように該ロータの外周面からの突出量が可変とされた板状のベーンと、ロータおよびベーンを、ロータの両端面側から覆う2つのサイドブロックとを備えている。
そして、ロータの回転方向について相前後する2つのベーン、シリンダ、ロータおよび両サイドブロックにより画成された圧縮室が、回転軸回りに複数配置され、これら各圧縮室は、回転軸と一体的に回転するロータの当該回転に伴ってその容積が変化し、容積が増大する期間中に、圧縮室内部に気体を吸入し、容積が減少する期間中に、吸入した気体を圧縮し、圧縮機本体の外部に吐出するように構成されている。
ここで、ベーンをシリンダの内周面に追従させるのは、ベーンの埋設側端部に、ベーンを突出方向(シリンダの内周面に向かう方向)に付勢させる油圧の作用によって実現されているが、この油圧は、圧縮室から吐出された気体の高圧が作用した冷凍機油等の作動油によるものであり、この作動油は、圧縮機本体に形成された導油路、およびサイドブロックの軸受けと回転軸との隙間を通って、サイドブロックの、ロータの端面に向いた面に形成されたサライ溝に供給され、サライ溝から、ロータに形成されたベーン溝に供給されて、ベーンの埋設側端部にベーン背圧として供給されている。
また、この気体圧縮機には、圧縮機本体で圧縮された気体を外部に吐出するに際して、その吐出量を変化させることができる容量可変型のものもある。
例えば、上述したベーンロータリ形式の圧縮機本体を備えた容量可変型のコンプレッサは、冷媒ガスの圧縮行程に対応した圧縮室を画成する構成要素のうちサイドブロックの部分に、この圧縮行程に対応した圧縮室とこの圧縮室内の圧力よりも相対的に低圧の空間(例えば、気体が導入される吸入室)とを連通させるバイパス通路が形成されるとともに、このバイパス通路上に、圧縮室と低圧の空間との連通を許容する開位置と連通を阻止する閉位置との間で動作する容量制御弁を備え、この容量制御弁の動作状態に応じて、圧縮行程の開始時期を調整することで、圧縮された気体の吐出量を変化させている。
また、容量制御弁の動作は、圧縮機本体の外部、例えば高圧の吐出室等圧縮機本体の外部から所定の供給通路を通って供給された作動油(冷凍機油等)によって制御されており、例えば吐出室の圧力が高くなると、容量制御弁を開位置に動作させて、バイパス通路の連通を許容し、圧縮室での圧縮容量を低下させて吐出量を低下させ、これにより吐出室の圧力の上昇を抑制し、一方、吐出室の圧力が低くなると、容量制御弁を閉位置に戻して、バイパス通路を不連通として圧縮室の容量低下を阻止して吐出室の圧力上昇を促している(特許文献1)。
ここで、容量制御弁を動作させる作動油は、気体圧縮機内部を潤滑・冷却・清浄等する潤滑油等の働きもあるため、微小な摩耗粉や塵埃など異物が混入することがあり、そのような異物が混入した作動油は容量制御弁の動作を不安定にする虞がある。
そこで、容量制御弁に至る供給通路の入り口部分に、作動油を濾過するフィルタを設置して、このフィルタにより異物を除去することが提案されている(特許文献2)。
実開昭57−123991号公報(実願昭56−10017号)
特開2006−214326号公報
しかし、上述のフィルタは、濾過性能を増強しすぎると作動油の通過抵抗が増大するため、濾過性能の増強にはある程度の限度がある。
そのため、微細なサイズの異物が作動油に混入したままフィルタを通過する虞がある。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、フィルタで補足されない異物が供給通路に侵入するのを防止または抑制することができる容量可変型気体圧縮機を提供することを目的とする。
本発明に係る容量可変型気体圧縮機は、フィルタ内に、作動油の通過を許す第1の通過口を設け、さらに第1の通過口よりも下流側でフィルタ内に設けられた第2の通過口、またはこのフィルタの下流側の供給通路の入口よりも、この第1の通過口を、低い位置に形成して、第1の通過口を通った異物が、この第1の通過口よりも高い位置にある第2の通過口または供給通路の入口に侵入するのを防止または抑制したものである。
すなわち、本発明に係る第1の容量可変型気体圧縮機は、吸入した気体をシリンダで囲まれた内部空間において圧縮し、この圧縮された気体を外部に吐出する圧縮機本体を有し、この圧縮機本体には、前記内部空間のうち圧縮行程に対応した圧縮室と所定の低圧空間とを連通させるバイパス通路が形成されるとともに、このバイパス通路上に、前記圧縮機本体の外部から所定の供給通路を通って供給された作動油により動作する容量制御弁が配設され、前記供給通路が開口する前記圧縮機本体の外壁部に、該供給通路に流入する作動油を濾過するフィルタが取り付けられた、前記容量制御弁の動作に応じて前記圧縮機本体からの圧縮気体の吐出量を可変とした容量可変型気体圧縮機において、前記フィルタの内部に、該フィルタを通過した前記作動油の通過を許す第1の通過口が形成されているとともに、前記第1の通過口は、前記供給通路の、前記外壁部における開口よりも低い位置に形成されていることを特徴とする。
このように構成された本発明に係る第1の容量可変型気体圧縮機によれば、フィルタを通過した異物の一部は、フィルタの内部の第1の通過口を通過しても、重力の影響を受けて、この第1の通過口よりも高い位置にある、供給通路の、外壁部における開口に到達しにくくなるため、フィルタで補足されない異物が供給通路に侵入するのを防止または抑制することができる。
また、本発明に係る第2の容量可変型気体圧縮機は、吸入した気体をシリンダで囲まれた内部において圧縮し、この圧縮された気体を外部に吐出する圧縮機本体を有し、この圧縮機本体には、前記内部空間のうち圧縮行程に対応した圧縮室と所定の低圧空間とを連通させるバイパス通路が形成されるとともに、このバイパス通路上に、前記圧縮機本体の外部から所定の供給通路を通って供給された作動油により動作する容量制御弁が配設され、前記供給通路が開口する前記圧縮機本体の外壁部に、該供給通路に流入する作動油を濾過するフィルタが取り付けられた、前記容量制御弁の動作に応じて前記圧縮機本体からの圧縮気体の吐出量を可変とした容量可変型気体圧縮機において、前記フィルタの内部空間に、該フィルタを通過した前記作動油の通過を許す第1の通過口と、該第1の通過口よりも下流側の部分に、該第1の通過口を通過した前記作動油の通過を許す第2の通過口とが形成されているとともに、前記第1の通過口は前記第2の通過口よりも低い位置に形成されていることを特徴とする。
このように構成された本発明に係る第2の容量可変型気体圧縮機によれば、フィルタを通過した異物の一部は、フィルタの内部の第1の通過口を通過しても、重力の影響を受けて、この第1の通過口よりも高い位置にある第2の通過口に到達しにくくなるため、フィルタで補足されない異物が供給通路に侵入するのを防止または抑制することができる。
本発明に係る容量可変型気体圧縮機によれば、フィルタで補足されない異物が供給通路に侵入するのを防止または抑制することができる。
以下、本発明の容量可変型気体圧縮機に係る最良の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る容量可変型気体圧縮機の一実施形態であるベーンロータリ式コンプレッサ100を示す概略縦断面図、図2は図1に示したコンプレッサ100のうちフィルタ70の部分を拡大した拡大図である。
図示のコンプレッサ100は、例えば、冷却媒体の気化熱を利用して冷却を行なう空調システムの一部として構成され、この空調システムの他の構成要素である凝縮器、膨張弁、蒸発器等(いずれも図示を省略する。)とともに、冷却媒体の循環経路上に設けられている。
そして、コンプレッサ100は、空調システムの蒸発器から取り入れられた気体状の冷却媒体、すなわち冷媒ガスGを圧縮し、この圧縮された冷媒ガスGを空調システムの凝縮器に吐出する。凝縮器は、圧縮された冷媒ガスG(気体)を冷却して液化させ、液状の冷媒(液)として膨張弁に送出する。
液状の冷媒は、膨張弁で膨張することで低圧化され、蒸発器に送出される。低圧の液状冷媒は、蒸発器において周囲の空気から吸熱して気化し、蒸発器周囲の空気から気化熱を奪うことで、蒸発器周囲の空気を冷やし、この冷やされた空気を送風機で送風することで、冷却空気を送出する。
また、コンプレッサ100は、外装であるハウジングと、このハウジングの内部に収容された圧縮機本体と、ハウジングに取り付けられ、駆動源からの駆動力を圧縮機本体に伝える、図示を略した伝達機構とを備えている。
ハウジングは、一端開放の筒状体からなるケース11と、このケース11の開放部を覆うように取り付けられたフロントヘッド12とを有し、これらによって、圧縮機本体が収容される内部空間が形成されている。
また、フロントヘッド12には、蒸発器から低圧の冷媒ガスGが吸入される吸入ポート12aが形成され、ケース11には、圧縮機本体で圧縮された高圧の冷媒ガスGを凝縮器に吐出する吐出ポート11aが形成されており、伝達機構は、ラジアルボールベアリングを介して、このフロントヘッド12に回転自在に支持される。
ハウジング内に収容された圧縮機本体は、伝達機構によって軸回りに回転駆動される回転軸51と、回転軸51と一体的に回転するロータ50と、ロータ50の外周面の外方を取り囲む断面輪郭略楕円形状の内周面49aを有するとともに両端が開放されたシリンダ40と、ロータ50の外周面から突出自在にロータ50に埋設され、この突出した先端がシリンダ40の内周面49aに当接する、回転軸51回りに等角度間隔でロータ50に設けられた5枚の板状のベーン58と、シリンダ40の両開放端面の外側からそれぞれ、当該開放端面を覆うようにシリンダに固定されたリヤサイドブロック20およびフロントサイドブロック30とを備えている。
そして、2つのサイドブロック20,30、ロータ50、シリンダ40、およびロータ50の回転方向に沿って相前後する2つのベーン58,58により1つの圧縮室が画成され、ロータ50の外周面に沿って全体で5つの圧縮室が備えられている。これらの各圧縮室は、回転軸51の回転にしたがって、その容積が増減を繰り返し、この容積変化によって、各圧縮室に吸入された冷媒ガスGを圧縮する作用を実現している。
伝達機構から伝達された回転駆動力によって回転する回転軸51のうち、ロータ50の両端面側からそれぞれ突出した部分は、リヤサイドブロック20の軸受け22とフロントサイドブロック30の軸受け32とにそれぞれ軸支されている。
そして、フロントサイドブロック30を貫通した回転軸51の部分は、フロントヘッド12にも軸支され、このフロントヘッドをさらに貫通して外方まで延びて、上記伝達機構に連結されている。
また、フロントヘッド12は、フロントサイドブロック30とシリンダ40とに、締結部材で締結され、これにより圧縮機本体は、フロントヘッド12による軸支および締結部材を用いた支持と、両サイドブロック15,16の外周部がOリング等によりケース11およびフロントヘッド12の内周面に当接されることによる支持とによって、ハウジング内の所定位置に保持されている。
圧縮機本体がケース11の内部に収容された状態で、リヤサイドブロック20とケース11とによって、圧縮機本体の圧縮室から高温高圧の冷媒ガスGが吐出される吐出室21が画成され、この吐出室21には、外部の凝縮器に通じる吐出ポート11aが形成されている。
一方、フロントサイドブロック30とフロントヘッド12とによって、圧縮室に吸入される低温低圧の冷媒ガスGが流れ込む吸入室24が画成され、この吸入室24には、外部の蒸発器に通じる吸入ポート12aが形成されている。なお、吸入室24と吐出室21とは、前述したOリングによって気密に隔絶されている。
圧縮室から吐出室に吐出される冷媒ガスGには、冷凍機油Rが混入するため、圧縮室から吐出室21に吐出される冷媒ガスGが通過する通路上に、冷媒ガスGから冷凍機油Rを分離する油分離器60が設けられ、この油分離器60は例えばリヤサイドブロック20に固定されている。
ここで、冷凍機油Rは、圧縮室の摺動部や軸受け22,32等の摩擦を低減する潤滑油としての機能と、ベーン58をロータ50から突出させる作動油としての機能とを有するものであり、油分離器60によって冷媒ガスGから分離された冷凍機油Rは、自重で下方に落下し、吐出室21の底部に溜められる。
吐出室21の底部に溜められている冷凍機油Rは、サイドブロック20,30およびシリンダ40に形成された油路、および各軸受け22,32と回転軸51との間の微小な隙間(絞りとして機能)を通って、各サイドブロック20,30の、ロータ50の各端面に向い合う面にそれぞれ形成されたサライ溝(油溜まり)25,35に供給され、サライ溝25,35の油圧は、ロータ50の両端面に露呈した、各ベーン58の埋設側端部に背圧を作用させるベーン溝背圧室に供給され、このベーン溝背圧室に供給された油圧(背圧)によって、各ベーン58の突出側先端をシリンダ40の内周面49aに当接し続ける(当接した状態に付勢する)ことができる。
さらに、このコンプレッサ100は、外部への冷媒ガスGの吐出量を可変とする容量可変型のコンプレッサであるため、フロントサイドブロック30のうち冷媒ガスGの圧縮行程にある圧縮室を画成する部分に、この圧縮行程の圧縮室と、この圧縮室の内圧よりも相対的に低圧の空間(低圧空間)である吸入室24とを連通して、圧縮室内部の冷媒ガスGを吸入室24に流出させるバイパス通路85(86および87)が形成されているとともに、このバイパス通路85には、圧縮室と吸入室24との連通を許容する開位置と連通を阻止する閉位置との間を移動可能とされたバイパス弁82が設けられている。
これにより、バイパス弁82を閉位置に維持したときは、通常の気体圧縮機と同じ圧縮動作をなして、最大の吐出量を得ることができる。
一方、容積が減少し始める圧縮行程にある圧縮室に対して、バイパス弁82を開位置に切り替えることで、圧縮されるべき圧縮室内部の冷媒ガスGは、開位置のバイパス弁82およびバイパス通路86、87を通って吸入室24に逃げ、その後の適当なタイミングでバイパス弁82を閉位置に切り替えると、その時点から実質的な圧縮が開始されるため、圧縮室内部への冷媒ガスGの閉込め開始タイミングを遅延させることができ、吐出量を減少させることができる。
ここで、フロントサイドブロック30には、バイパス弁82の開閉を制御するバイパスチェック弁81(バイパスチェック弁81およびバイパス弁82を容量制御弁80とする)が設けられ、リヤサイドブロック20とシリンダ40とには、このバイパスチェック弁81に油圧を供給する供給通路29,48がそれぞれ形成されている。
吐出室21の冷凍機油Rは、供給通路29,48を通ってバイパスチェック弁81に到達し、さらに、このバイパスチェック弁81を通ってバイパス弁82を閉状態に維持する背圧としてバイパス弁82に作用している。
吐出室21の内圧が高くなるにしたがって、供給通路29,48を通ってバイパスチェック弁81に作用する油圧も高くなる。バイパスチェック弁81の弁体(詳細図示省略)は、作用する油圧に応じた量だけ変位するため、作用する油圧が徐々に高くなると、バイパスチェック弁81の弁体も徐々に変位し、この作用する油圧が所定の値に到達すると、バイパスチェック弁81の弁体が、冷凍機油Rがバイパス弁82に流入するのを遮断する位置まで変位し、これによって、バイパス弁82に作用する背圧が低下し、バイパス弁81は開位置に変位し、圧縮室と吸入室24とがバイパス通路86,87を介して連通される。
これにより、圧縮行程中の圧縮室内からは、冷媒ガスGがバイパス通路86,87を通って吸入室24に流出し、圧縮室を画成する2つのベーン58,58のうち回転軸51の回転方向について後側のベーン58が、バイパス弁82の配設位置に対応した角度位置を通過してから実質的な圧縮行程が開始される。
したがって、圧縮室から吐出される冷媒ガスGの量が減少し、これに伴い吐出室21内の圧力が低下する。この結果、バイパスチェック弁81に作用する冷凍機油Rの圧力も低下し、バイパスチェック弁81の弁体も元の位置まで戻り始め、冷凍機油Rがバイパス弁82に流入するのを阻止していた状態が解除され、これによって、バイパス弁82に作用する背圧が高められ、バイパス弁81は開位置に変位し、圧縮室と吸入室24とのバイパス通路86,87を介した連通が阻止される。
この結果、圧縮室内の冷媒ガスGが吸入室24に流出しなくなり、圧縮室から吐出される冷媒ガスGの量は増加し、吐出室21内の圧力は上昇する。
このように、容量制御弁80は、吐出する冷媒ガスGの量を調整するとともに、このコンプレッサ100から吐出される冷媒ガスGの吐出圧力を自動的に一定に範囲に保つ機能も発揮する。
また、この供給通路29への入口部分であるリヤサイドブロック20には、吐出室21から供給通路29に流入する冷凍機油R(作動油)を濾過するフィルタ70が取り付けられている。
このフィルタ70は、詳しくは図2の拡大図に示すように、多数の孔71aが形成された円周壁とこの円周壁を周面とする円筒の一端面側を塞ぐ端壁とを有する骨格部71と、この骨格部71の円周壁に外面側から密接した、所定の大きさ以上の異物を濾過する濾過部73と、濾過部73を通過した冷凍機油Rの通過を許容する、骨格部71の径よりも小さな径の第1の通過口72cが形成された端壁72aを有する絞り部72とを備え、この絞り部72は、その端壁72aの外周面72bが骨格部71の内周面71cに嵌合されて骨格部71と一体化している。
また、絞り部72は、その周壁部がリヤサイドブロック20の、供給通路29よりも上流側部分に取り付けられている。この取付構造は、嵌合であってもよいし、ねじ込み式の螺合であってもよいし、接着剤等による接合であってもよい。
ここで、供給通路29のうち入口29a(リヤサイドブロック20の外壁部29gにおける開口)は、供給通路48よりも、鉛直(高さ)方向の高い位置h2(入口29aの高さ方向中心位置)に位置しており、上述したフィルタ70の絞り部72の第1の通過口72cは、この供給通路29の入口29a(位置h2)よりも低い位置h1(通過口72cの高さ方向中心位置;h1<h2)となるように形成されている。
しかも、第1の通過口72cは、その上縁部72eが供給通路29の入口29aの下縁部29hよりも低い位置となるように形成されている。
このように構成された容量可変型のコンプレッサ100によれば、吐出室21に溜まっている冷凍機油Rに、摩耗粉やその他の異物が混入していても、この異物の多くは、フィルタ70の濾過部73で補足される。
しかし、サイズが微細な異物は、濾過部73を通過する虞があり、従来のコンプレッサであれば、濾過部73を通過した異物は、冷凍機油Rとともに供給通路29,48を流れて容量制御弁80に到達し、容量制御弁80に噛み込まれて容量制御弁80の動作に障害を与える虞があった。
これに対して、本実施形態のコンプレッサ100は、フィルタ70の濾過部73を通過するような微細なサイズ等の異物であっても、その通過した異物は、その自重によって、フィルタ70の内部空間内に形成された、フィルタ70の径よりも小さな径の第1の通過口72cを通過しにくくなり、また、例え第1の通過口72cを通過したとしても、第1の通過口72cよりも下流の、供給通路29の入口29aは、第1の通過口72cよりも高い位置(第1の通過口72cは当該入口29aよりも低い位置)にあるため、重力が作用する異物は当該入口29aに到達しにくくなる。
したがって、フィルタ70で補足できない異物であっても、その異物が供給通路29,48に侵入するのを防止または抑制することができる。
なお、第1の通過口72cを通過した異物は、外壁部29gに当たって下方に沈殿する。このような沈殿した異物は、必要に応じて、フィルタ70の交換等の際に、除去される。
また、本実施形態のコンプレッサ100によれば、第1の通過口72cの上縁部72eが供給通路29の入口29aの下縁部29hよりも低い位置となるように形成されているため、第1の通過口72cの上縁部72e近傍を通過した異物であっても、重力の作用によって、第1の通過口72cの上縁部72eよりも高い位置にある当該下縁部29hに到達しにくくなり、異物が供給通路29,48に侵入するのを、より一層防止または抑制することができる。
さらに、フィルタ70は、全体として略円筒形状を呈し、この略円筒形状のうち周壁部が濾過作用を行う濾過部73として形成され、フィルタ70は、その略円筒形状の中心軸が略水平方向に沿う倒伏状態で圧縮機本体に取り付けられているため、冷凍機油Rの液位が低い場合であっても、濾過部73である周壁部の一部を冷凍機油Rに浸漬した状態とすることができ、フィルタ70による濾過機能を確保することができる。
(変形例)
上述した実施形態の容量可変型コンプレッサ100は、フィルタ70の第1の通過口72cを、供給通路29の入口29aよりも低い位置に形成するために、供給通路29の入口29aを、供給通路48の接続部側開口よりも高い位置として、供給通路29自体を水平方向に対して傾斜して形成したものであるが、このように供給通路29を傾斜して形成するのは加工作業が難しかったり、コスト面で不利となる場合もある。
(変形例)
上述した実施形態の容量可変型コンプレッサ100は、フィルタ70の第1の通過口72cを、供給通路29の入口29aよりも低い位置に形成するために、供給通路29の入口29aを、供給通路48の接続部側開口よりも高い位置として、供給通路29自体を水平方向に対して傾斜して形成したものであるが、このように供給通路29を傾斜して形成するのは加工作業が難しかったり、コスト面で不利となる場合もある。
そこで、図3および図3のフィルタ70を拡大した図4に示すように、供給通路29が供給通路48と同じ高さ位置で、水平に延びて形成された容量可変型コンプレッサに本発明を適用する場合について、以下、上記実施形態の変形例として説明する。
図3,4に示した容量可変型コンプレッサ100は、上述したように、例えば肉厚Wが小さい等の理由で、その供給通路29を水平方向に対して傾斜して加工することが困難であり、供給通路29は、供給通路48と同じ高さ位置で水平に延びて形成され、したがって、第1の通過口72cは供給通路29の入口29aよりも高い位置となる。
そこで、この変形例のコンプレッサ100においては、フィルタ70の内部に、フィルタ70を通過した冷凍機油Rの通過を許す第1の通過口72cと、この第1の通過口72cよりも下流側の部分に、第1の通過口72cを通過した冷凍機油Rの通過を許す第2の通過口74cとが形成され、第1の通過口72cが第2の通過口74cよりも低い位置に形成されている。
このフィルタ70は、前述の実施形態におけるフィルタ70の最下流側に、第2の絞り部74が追加され、この第2の絞り部74の端壁74aに、第2の通過口74cが形成されたものである。
第2の絞り部74は、絞り部72(以下、第1の絞り部72という。)最下流側の内周面72dに、端壁74aの外周面74bが嵌合されて、骨格部71および第1の絞り部72と一体的に構成されている。
そして、第2の絞り部74の端壁74aに形成された第2の通過口74cは、第1の絞り部72の端壁72aに形成された第1の通過口72c(高さ位置h1)よりも高い位置h3(>h1)に形成されている。これはすなわち、第1の通過口72cは、第2の通過口74cよりも低い位置に形成されていることと同義である。
この第2の通過口74cは、実施形態における供給通路29の入口29aに相当する機能を果たし、フィルタ70の濾過部73を通過するような微細なサイズ等の異物であっても、その通過した異物は、その自重によって、フィルタ70の内部空間内に形成された、フィルタ70の径よりも小さな径の第1の通過口72cを通過しにくくなり、また、例え第1の通過口72cを通過したとしても、第1の通過口72cよりも下流の、第2の通過口74cは、第1の通過口72cよりも高い位置(第1の通過口72cは第2の通過口74cよりも低い位置)にあるため、重力が作用する異物は第2の通過口74cを通過しにくくなり、この結果、供給通路29の入口29aが第1の通過口72cよりも低い位置に形成されていても、異物は第2の通過口74cの下流側である供給通路29の入口29aに到達しにくくなる。
したがって、フィルタ70で補足できない異物であっても、その異物が供給通路29,48に侵入するのを防止または抑制することができる。
なお、第1の通過口72cを通過した異物は、第2の絞り部74の端壁74aに当たって下方に沈殿する。このような沈殿した異物は、必要に応じて、フィルタ70の交換等の際に、除去される。
また、本変形例のコンプレッサ100においても、第1の通過口72cは、その上縁部72eが第2の通過口74cの下縁74fよりも低い位置となるように形成されているのが好ましく、そのように構成されたコンプレッサ100によれば、第1の通過口72cの上縁部72e近傍を通過した異物であっても、重力の作用によって、第1の通過口72cの上縁部72eよりも高い位置にある第2の通過口74cの下縁部74fに到達しにくくなり、異物が供給通路29,48に侵入するのを、より一層防止または抑制することができる。
さらに、フィルタ70は、全体として略円筒形状を呈し、この略円筒形状のうち周壁部が濾過作用を行う濾過部73として形成され、フィルタ70は、その略円筒形状の中心軸が略水平方向に沿う倒伏状態で圧縮機本体に取り付けられているため、冷凍機油Rの液位が低い場合であっても、濾過部73である周壁部の一部を冷凍機油Rに浸漬した状態とすることができ、フィルタ70による濾過機能を確保することができる。
29 供給通路
29a 入口(外壁部における開口)
29g 外壁部
70 フィルタ
72c 第1の通過口
80 容量制御弁
81 バイパスチェック弁(容量制御弁)
82 バイパス弁(容量制御弁)
85,86,87 バイパス通路
100 コンプレッサ(容量可変型気体圧縮機)
h1,h2 (高さ方向の)位置
R 冷凍機油(作動油)
29a 入口(外壁部における開口)
29g 外壁部
70 フィルタ
72c 第1の通過口
80 容量制御弁
81 バイパスチェック弁(容量制御弁)
82 バイパス弁(容量制御弁)
85,86,87 バイパス通路
100 コンプレッサ(容量可変型気体圧縮機)
h1,h2 (高さ方向の)位置
R 冷凍機油(作動油)
Claims (5)
- 吸入した気体を圧縮室において圧縮し、この圧縮された気体を外部に吐出する圧縮機本体を有し、この圧縮機本体には、圧縮行程に対応した圧縮室と所定の低圧空間とを連通させるバイパス通路が形成されるとともに、このバイパス通路上に、前記圧縮機本体の外部から所定の供給通路を通って供給された作動油により動作する容量制御弁が配設され、前記供給通路が開口する前記圧縮機本体の外壁部に、該供給通路に流入する作動油を濾過するフィルタが取り付けられた、前記容量制御弁の動作に応じて前記圧縮機本体からの圧縮気体の吐出量を可変とした容量可変型気体圧縮機において、
前記フィルタの内部に、該フィルタを通過した前記作動油の通過を許す第1の通過口が形成されているとともに、前記第1の通過口は、前記供給通路の、前記外壁部における開口よりも低い位置に形成されていることを特徴とする容量可変型気体圧縮機。 - 前記第1の通過口は、その上縁部が、前記供給通路の、前記外壁部における開口の下縁部よりも低い位置となるように、形成されていることを特徴とする請求項1に記載の容量可変型気体圧縮機。
- 吸入した気体を圧縮室において圧縮し、この圧縮された気体を外部に吐出する圧縮機本体を有し、この圧縮機本体には、圧縮行程に対応した圧縮室と所定の低圧空間とを連通させるバイパス通路が形成されるとともに、このバイパス通路上に、前記圧縮機本体の外部から所定の供給通路を通って供給された作動油により動作する容量制御弁が配設され、前記供給通路が開口する前記圧縮機本体の外壁部に、該供給通路に流入する作動油を濾過するフィルタが取り付けられた、前記容量制御弁の動作に応じて前記圧縮機本体からの圧縮気体の吐出量を可変とした容量可変型気体圧縮機において、
前記フィルタの内部に、該フィルタを通過した前記作動油の通過を許す第1の通過口と、該第1の通過口よりも下流側の部分に、該第1の通過口を通過した前記作動油の通過を許す第2の通過口とが形成されているとともに、前記第1の通過口は前記第2の通過口よりも低い位置に形成されていることを特徴とする容量可変型気体圧縮機。 - 前記第1の通過口は、その上縁部が前記第2の通過口の下縁部よりも低い位置となるように、形成されていることを特徴とする請求項3に記載の容量可変型気体圧縮機。
- 前記フィルタは、全体として略円筒形状を呈し、該略円筒形状のうち少なくとも周壁部が濾過作用を行う濾過部として形成され、該フィルタは、その該略円筒形状の中心軸が略水平方向に沿う倒伏状態で、前記本体部に取り付けられていることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載の容量可変型気体圧縮機。
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JP2006349289A JP2008157174A (ja) | 2006-12-26 | 2006-12-26 | 容量可変型気体圧縮機 |
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JP2008157174A true JP2008157174A (ja) | 2008-07-10 |
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Family Applications (1)
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Country Status (1)
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JP (1) | JP2008157174A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010044995A3 (en) * | 2008-10-14 | 2010-07-01 | Bitzer Kuhlmaschinenbau Gmbh | Inlet screen and scroll compressor incorporating same |
WO2017217523A1 (ja) * | 2016-06-17 | 2017-12-21 | 株式会社ヴァレオジャパン | 圧縮機 |
-
2006
- 2006-12-26 JP JP2006349289A patent/JP2008157174A/ja active Pending
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