JP4333238B2 - 圧縮機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体の圧縮、吐出を行う圧縮機に関するもので、特に自動車用空調装置などに用いられる圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車輌用空調装置として搭載されるこの種の圧縮機においては、圧縮機構によって圧縮された流体(冷媒)と共に圧縮機潤滑油の一部が空調装置の冷凍サイクル部品中へ吐出されるものである。
【0003】
したがって、流体(ガス冷媒)と共に吐出される圧縮機の潤滑油がサイクル中に多く吐出されるほど、冷凍サイクル部品の熱交換器の熱伝達効率を低下させ、さらに冷凍サイクル部品中の配管の圧力損失が大きくなり冷凍サイクルの効率が低下する。
【0004】
その対策として、この種の圧縮機においては、圧縮機構部から側板により隔設される油溜め室と、この油溜め室上部に収納される遠心分離式の油分離手段と、上記側板の油溜め室側の面に密接して蓋板を取り付け、上記側板の油溜め室側の表面を覆う構成とし、前記油分離手段にて流体(ガス冷媒)と潤滑油の分離を行い、冷空調装置の冷凍サイクル部品中への潤滑油の吐出を抑制することが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
また、ベーンロータリ型圧縮機においては、ロータの回転に伴ってベーンがその先端をシリンダ内壁に接して回転摺動運転をするようにベーン背部に高圧の潤滑油を圧力差により供給する構成が広く用いられている(例えば特許文献2参照)。
この特許文献2に記載の圧縮機は、圧縮機の高低圧差がないか、または小さい場合に圧縮機を始動した場合でも、始動直後に生じるベーン背圧室内の圧力低下を
ガス供給通路からのガス状流体の供給によって防止し、また定常運転時においてはガス供給通路を遮断することによって適量の潤滑油をベーン背圧室へ供給するよう選択できるベーン背圧制御装置を備えている。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−153596号公報(図1)
【0007】
【特許文献2】
特公平7−45877号公報(第1図、第4図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特許文献1に記載の圧縮機においては、空調装置の冷凍サイクル部品中への潤滑油の吐出を抑制するため、圧縮機構部から側板により隔設される油溜め室と、該油溜め室上部に収納される遠心分離式の油分離手段と、上記側板の油溜め室側の面に密接して取り付けられて上記側板の油溜め室側の表面を覆う蓋とを備えているものである。
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載の構成は、吐出弁から油分離手段までの空間が狭いため、圧縮機構から吐出された吐出ガスの圧力変動(脈動圧)が減衰され難く、圧縮機のガス排出口に接続されている高圧配管を振動させ、結合されている冷凍サイクル部品(例えば熱交換器)などと締結されている車両部品を共振させて起こる異音(いわゆる脈動音)が発生しやすくなるものであった。
また、上記特許文献2に記載のベーン背圧制御装置は、特に圧縮機の始動時においては、ガス供給通路へは確実にガス状流体を供給する必要があり、このガス通路に誤って潤滑油が供給されると機能しないものである。
【0010】
特に、この種のベーン背圧制御装置を具備した圧縮機においては、潤滑油が貯留されている空間内に設置されている関係から、例えば、市場サービスにおいて圧縮機を交換する際、誤って潤滑油を規定量以上入れてしまい、油面が規定値より上昇する等が原因で、圧縮機の始動時においてベーン背圧制御装置のガス供給通路入口部から、潤滑油が入り込む可能性が高い構造となっている。
【0011】
そこで、本発明は上述の従来の課題に鑑み、高圧ケース内の限られた容積の中で高圧室の容積を貯油室の容積よりも大きくし、冷凍サイクル部品(例えば熱交換器)などと締結されている車両部品を共振させて起こる異音(いわゆる脈動音)の発生を合理的に防止するものである。
【0012】
また、本発明は、上記ベーン背圧制御装置を具備した圧縮機においても、上記異音の発生が防止でき、あわせてベーン背圧制御装置の作動を確実にするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載のものは、ベーンがロータに設けられたベーン溝内を出没し、前記ロータと共にシリンダ内を回転して流体を吸入し、圧縮し、吐出するベーンロータリ型圧縮機構と、前記圧縮機構より圧縮された高圧流体が吐出される高圧室と、前記高圧流体から分離された潤滑油を貯える貯油室を備え、前記潤滑油が分離された高圧流体を所定経路へ導く流出手段を具備したベーンロータリ型圧縮機であって、前記高圧室に吐出された高圧流体をガス供給通路入口部から前記ベーン溝内へ供給するベーン背圧制御装置を具備し、このベーン背圧制御装置の一部乃至全部を前記高圧室内に設け、前記ガス供給通路入口部を前記高圧室内に開口し、前記高圧室の容積を前記貯油室の容積よりも大きくしたものである。
【0014】
かかる構成により、圧縮機構より吐出された高圧流体の脈動を高圧室内で緩和することができ、脈動音の発生が防止できるとともに、高圧室の大容量化を活かしてベーン背圧制御装置の設置スペースが確保でき、圧縮機の大型化が抑制できる上に、ベーン背圧制御装置によるベーン溝へのガス供給が確実なものとなる。
【0015】
また、本発明は、前記高圧室及び貯油室を、隔壁によって区画された高圧ケース内に区画形成し、さらに前記高圧室と貯油室を、前記高圧室からの高圧流体に含まれる潤滑油を分離する油分離手段にて連通し、さらに前記高圧ケースを前記圧縮機構に併設したものである。
【0016】
かかる構成によって、前記貯油室内の潤滑油が前記高圧室を流れる高圧流体に含まれて圧縮機外に流出することもなく、確実に潤滑油が貯油室内に貯められる。
【0017】
また、本発明は、ベーンがロータに設けられたベーン溝内を出没し、前記ロータと共にシリンダ内を回転して流体を吸入し、圧縮し、吐出するベーンロータリ型圧縮機構と、前記圧縮機構より圧縮された高圧流体が吐出される高圧室と、前記高圧流体から分離された潤滑油を貯える貯油室と、前記圧縮機構の始動時は前記高圧室の流体を、始動後は前記貯油室に貯えられた潤滑油を選択的に切り替えて前記ベーン溝内へ供給するベーン背圧制御装置とを備えたベーンロータリ型圧縮機であって、前記ベーン背圧制御装置は前記高圧室に設けられ、前記高圧室と前記貯油室は隔壁により前記高圧室の容積が前記貯油室の容積よりも大きくなるように仕切られ、さらに前記ベーン溝に供給する高圧流体を取り入れるガス供給通路入口部を前記高圧室に連通し、前記ベーン溝に供給する潤滑油を取り入れる潤滑油供給通路入口部を前記貯油室の潤滑油中に連通したものである。
【0018】
かかる構成により、圧縮機構より吐出された高圧流体の脈動を緩和する高圧室の容積が確保でき、前記高圧流体の脈動に伴う脈動音の発生が防止でき、また、始動時は高圧室からのガス成分の多い高圧流体をベーン溝へ供給し、始動後は前記貯油室の潤滑油をベーン溝へ供給するため、始動直後に生じるベーンの飛び出しに伴うベーン溝内の圧力低下に起因したベーンの飛び出し不調が防止でき、圧縮機の始動を確実なものとすることができると共に、始動後は潤滑油をベーン溝に供給し、ベーンとシリンダ内壁面との接触を確実なものとして、圧縮機の効率を確保することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を所謂ベーンロータリ型圧縮機に適用した実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1乃至図4において、1は圧縮機で、円筒内壁を有するシリンダ2と、前記シリンダ2の前後の開口を閉塞する前部側板3、後部側板4および前記後部側板4と併設された高圧ケース(以下高圧室カバーという)5より構成されている。
【0021】
前記シリンダ2の内部には、略円柱状のロータ6が、その外周の一部をシリンダ2の内壁と微少隙間を形成するようにシリンダ2の軸芯から偏芯して回転自在に収容されている。前記ロータ6には、一体的に形成された駆動軸7が設けられ、この駆動軸7は、前記前部側板3及び後部側板4に軸支されている。8は前記ロータ6に設けられたベーン溝で、前記ロータ6の接線方向に掘り下げられており、等間隔(所定角度毎)に複数設けられている。9は前記ベーン溝8内に出没自在に設けられたベーンである。
【0022】
ここで、前記ロータ6が回転すると、前記ベーン9は前記シリンダ2内壁を摺動し、シリンダ2内空間に、吸入空間2a、圧縮空間2b、吐出空間2cを形成する。10は前記シリンダ2に設けられた吸入孔で、一端は前記吸入空間2aに開口し、他端は前記圧縮機1の吸入口11に連通している。12は前記シリンダ2に設けられた吐出孔で、前記吐出空間2cに開口し、吐出バルブ13が設けられている。この吐出孔12と吐出バルブ13は、前記シリンダ2に2対並設されている。14は前記シリンダ2の上部に設けられた高圧通路カバーで、前記吐出空間2cは、前記吐出孔12を介してこの高圧通路カバー14の高圧通路15に連通している。16は前記後部側板4に設けられた連通路で、これにより前記高圧通路15と前記高圧室カバー5の内部に形成された高圧室17が連通している。また、前記後部側板4には、前記シリンダ2内空間に面して前記吐出空間2c、吸入空間2a、圧縮空間2bに延びるベーン背圧溝18が設けられ、またこのベーン背圧溝18に連通する給油路19が貫通して設けられている。
【0023】
次に、前記高圧室カバー5の構成について説明する。この高圧室カバー5は、隔壁20により、内部が前記高圧室17と、連通穴21を介して前記高圧室17と連通した先細り筒状の油分離室22と、前記高圧室17の下部に位置し、かつ前記油分離室22の先細り開口23を介して前記油分離室22に連通した貯油室24より構成されている。
【0024】
前記油分離室22は、いわゆる遠心分離式オイルセパレータと称される構造を有している。すなわち、所定の直径からなる円筒空間22aが設けられ、この円筒空間22aに高圧流体(ガス冷媒)を導く連通穴21は、この円筒空間22aの接線方向に高圧流体(ガス冷媒)を導くようにその向き、角度等が設定されている。すなわち、高圧流体(ガス冷媒)をより円滑に旋回させるために円筒空間22aの内周面22bに沿って高圧流体(ガス冷媒)が吐出されるように形成されていることが望ましい。また、前記油分離室22の先細り先端側には、徐々に径が小さくなる導油路26が設けられ、その先端に前記開口23が設けられている。
【0025】
25は前記油分離室22の上端に設けられたガス排出口で、冷凍サイクル部品(図示せず)が接続される。27は前記円筒空間22aにおける隔壁20近傍に設けられた連通路で、前記貯油室24と前記円筒空間22aの下部(導油路26との境界近く)を連通しており、適宜貯油室24と油分離室22の圧力をバランスさせる。
【0026】
28は前記高圧室17に配置され、前記後部側板4に設けられたベーン背圧制御装置で、前記高圧室17の高圧流体(ガス冷媒)と前記貯油室24に溜まった潤滑油29を適宜切り替えて前記給油路19より前記ベーン背圧溝18へ供給する。
【0027】
このベーン背圧制御装置28は、図4に示すように、ガス通路開閉手段28Aと、油路開閉手段28Bを具備している。
【0028】
前記ガス通路開閉手段28Aは、一端が前記高圧室内17に開口したガス供給通路入口部28aと、一端が前記ガス供給通路入口部28aに連通した第1ガス供給通路28bと、上下動する第1プランジャ28c、第1プランジャ28cの上下動により開閉する第1球弁28d及び第1弁座28e、前記第1プランジャ28cの上下動作を調節する第1バイアスばね28f、前記第1プランジャ28cを収納した第1プランジャ室28gとからなる弁機構と、前記弁機構の開動作により前記第1ガス供給通路28bと連通する第2ガス供給通路28hと、前記第2ガス供給通路28hと前記給油路19との連通を制御する第2球弁28i、第2弁座28jからなる弁機構と、一端が前記第1プランジャ室28gに開口し、他端が後部側板4に形成され、前記シリンダ2内に開口したガス導入路28kより構成されている。ここで、前記ガス導入路28kは、前記シリンダ2内において、図2に示す如くロータ6の矢印X方向の回転に伴い、前部側板3と後部側板4およびベーン9で形成される空間であって、吸入圧力と同等若しくは吸入圧力よりより若干高い圧力となる部位に開口している。また、前記第2球弁28iは前記第2ガス供給通路28hと前記給油路19の差圧によって連通・遮断を行う。
【0029】
また、前記油路開閉手段28Bは、前記シリンダ2内吐出空間2cの圧力を取り入れる回路と、貯油室24内の圧力を取り入れる回路と、これら両回路からの圧力の差圧によって作動する弁機構より構成され、具体的には、一端が図2に示す如く前記シリンダ2内空間の吐出空間2cに極小面積で開口し、他端が第2プランジャ室28lに連通した高圧導入路28mと、第2プランジャ室28l内を上下動するように収納された第2プランジャ28nと、第2プランジャ室28lに収納され、第2プランジャ28nの上下動作を調節する第2バイアスばね28oと、前記第2プランジャ28nの上下動により開閉動作を行う第3弁球28p、第3弁座28qからなる弁機構と、前記第2プランジャ28nにおける動作調節用の第2バイアスばね28oの付勢力を考慮して前記第3球弁28pを常時第3弁座28qへ押圧する如く付勢する第3バイアスばね28rと、一端が前記貯油室24に開口し、他端が前記第3弁球28p、第3弁座28qに連通した第1導入路28sと、前記第3弁球28p、第3弁座28qを介して前記第1導入路28sを前記給油路19に連通する第2導入路28tより構成されている。
【0030】
したがって、前記第3弁球28p、第3弁座28qが開状態であれば、前記貯油室24の潤滑油は、導入路28tおよび給油路19を介して前記ベーン背圧溝18内へ供給される。
【0031】
ここで、前記高圧室カバー5における高圧室17の容積は、前記貯油室24の容積よりも大きく設定されている。具体的には、前記高圧室17の容積は約157ccで、前記貯油室24の容積は約97ccに設定されている。また、前記高圧室17内には、ベーン背圧制御装置28が内蔵されているが、このベーン背圧制御装置28の体積(約28cc)を除く高圧室の容積(約129cc)も、前記貯油室の容積より大きい状態にある。
【0032】
次に、上記構成からなる圧縮機1の動作について説明する。ここでは、説明の便宜上、運転されている圧縮機1の状態から圧縮機が停止し、再度起動される様子について説明する。
【0033】
上記構成において、エンジン(図示せず)等の駆動源より駆動軸7に動力が伝達されると、ロータ6が回転し、これに伴ってベーン9も移動する。その結果、吸入孔10から吸入された流体(冷媒)は、ベーン9、前部側板3、後部側板4によって形成される吸入空間2aへ流入し、圧縮空間2bから吐出空間2cへ移動し、圧縮された高圧流体となって吐出孔12から吐出される。
【0034】
一方、ベーン9は、シリンダ2の内壁を摺動している間ベーン溝8内を出没しているが、前記ベーン溝8内に充満している潤滑油によって絶えず突出する方向に付勢されている。
【0035】
つまり、油路開閉手段28Bにおいて、プランジャ28nは、高圧導入路28mを介して供給されたシリンダ2内吐出空間2cの圧力と、第1導入路28sを介して供給された貯油室24の圧力の差圧に委ねて動作している。この場合は、吐出空間2cの圧力が貯油室24の圧力より上回っているため、第3弁球28p、第3弁座28qは開放状態にある。したがって、前記ベーン溝8へは、貯油室の潤滑油が28j、給油路19、ベーン背圧溝18を介して供給され続け、これによって前記ベーン9は、前記ベーン溝8より絶えず突出する方向に付勢されている。
【0036】
また、ベーン背圧溝18の圧力は、給油路19を介して第2弁座28j、第2弁球28iにも作用し、この第2弁座28j、第2弁球28iを閉塞状態に付勢する。そのため、前記第2ガス供給通路28hと油路19の連通は遮断されている。
【0037】
前記吐出孔12から吐出された高圧流体は、高圧通路15、連通路16を通過し、高圧室17へ流入する。ここで流体は、前記高圧室17の容積が十分確保されているため、吐出時に発生している脈動も緩和されつつ、連通穴21から油分離室22へ勢いよく噴出する。
【0038】
したがって、前記高圧室17から流入した高圧流体(ガス冷媒)は、前記円筒空間22aを旋回しつつ円筒空間22aの上方に形成されたガス排出口25より圧縮機1の外部に接続された冷凍サイクル部品(図示せず)へ吐出される。
【0039】
一方、高圧流体(ガス冷媒)に含まれる潤滑油は、円筒空間22aを旋回する中で遠心力により、円筒空間22aの内周面22bに接触して張り付き、前記高圧流体(ガス冷媒)から分離される。そして、分離された潤滑油は、前記高圧流体の圧力も作用する関係から円筒空間22aの内周面に沿って下方に移動し、先細り開口23から貯油室24へ流入する。
【0040】
このように、圧縮機が運転されている間は、上述の状態が継続されている。
【0041】
そして、温度調節等の関係から圧縮機1が停止すると、シリンダ2内では、その内部における圧力差から、ロータ6と前部側板3および後部側板4の微小隙間から流体の移動が生じ、その結果、吐出孔12に近い高圧部の圧力は下降し、吸入孔10に近い低圧部の圧力は上昇する。
【0042】
これに伴って、ベーン背圧溝18内の圧力も下降する。このベーン背圧溝18の圧力下降に伴い、油路開閉手段28Bにおいても、第1導入路28sを介しての貯油室24からの圧力および第3バイアスばね28r及び第2バイアスばね28oの付勢力が作用し、第3弁球28p、第3弁座28qは閉塞方向に動作し、その結果、給油路19、第2導入路28tと貯油室24の連通を遮断する。
【0043】
一方、ガス通路開閉手段28Aにおいても、圧縮機停止後、ある時間放置されて高圧側と低圧側の圧力差が小さくなると、第1バイアスばね28fの作用によって第1プランジャ28cが第1弁座28e側に移動し、第1球弁28dを開放する状態となる。
【0044】
これにともない、第2球弁28i、第2弁座28jも開放状態となり、その結果、ガス供給通路入口部28a、第1ガス供給通路28b、第2ガス供給通路28hと、給油路19は、それぞれ連通する。
【0045】
そして、上記の状態から圧縮機が始動すると、ガス通路開閉手段28Aが開放されていること、およびロータ6の回転に伴いベーン9が突出することに起因するベーン溝8内の負圧現象に起因した給油路19、第2ガス供給通路28hに生じる吸引作用によって、シリンダ2から吐出された高圧流体(ガス冷媒)は、瞬時に高圧室17からガス供給通路入口部28aと流れる。さらに、第1ガス供給通路28bから第2ガス供給通路28h、第2球弁28i、第2弁座28jからなる弁機構、さらに給油通路19を介してベーン背圧溝18に供給される。
【0046】
このように、圧縮機1の起動時は、ベーン背圧溝18に高圧のガス流体(冷媒)が供給されるため、ベーン溝8におけるベーン9の摺動は円滑なものとなり、ベーン9は確実に突出することができる。
【0047】
さらに、上記動作とほぼ同時に、前記シリンダ2内の吸入圧力より若干高い圧力となる部位の容積拡大に起因したガス導入路28kからの吸引作用により、第1プランジャ28cが下方へ移動し、加えてロータ6の回転にともなって吐出される高圧流体の加圧作用も相乗し、第1ガス供給通路28bの圧力が第1バイアスばね28fに抗して第1球弁28dを第1弁座28eへ押しつけ、第1ガス供給通路28bと第2ガス供給通路28hの連通を遮断する。
【0048】
ほぼ同時に高圧室17の圧力は、貯油室24にも作用し、またこの時、既に第2プランジャ室28lには、シリンダ2内で最も高い圧力に相当する吐出空間2cからの圧力が導入されているため、第2プランジャ28nは下方に押され、第3弁球28p、第3弁座29qが開放されている。また、この状態においては、第2球弁28iは先の給油路19からの潤滑油圧力によって第2弁座28jへ押圧されており、第2ガス供給通路28hと給油路19も遮断されている。つまり、図4の状態になっている。
【0049】
そのため、貯油室24の潤滑油は、第1導入路28sを介して第2導入路28tから給油路19を介してベーン背圧溝18に供給され、前述の圧縮機1の運転状態が再び維持される。
【0050】
図5は、本実施の形態による圧縮機と本実施の形態を満足していない従来構造による圧縮機の運転状態における吐出高圧流体の脈動を高圧室カバー5内で測定した結果を示す特性図である。
【0051】
すなわち、従来構造の圧縮機は、高圧室と貯油室が隔壁によって区画されているものの、ベーン背圧制御装置が前記貯油室内に配置されており、前記高圧室の容積と貯油室の容積の関係は、高圧室の容積が貯油室の容積よりも小さく形成されたものである。ちなみに、測定に使用した従来構造の高圧室容積は、30ccであり、貯油室の容積は、160ccである。さらに、前記ベーン背圧制御装置の体積(約40cc)を除く貯油室の容積(約120cc)も、前記高圧室の容積より大きい状態にある。そして、圧縮機構の構成は、同じベーンロータリ型機構を使用しての比較結果である。
【0052】
図5からも明らかなように、高圧室17の容積を貯油室24より大きくすることは、圧縮機回転数における幅広い範囲において圧縮機から吐出される高圧流体(冷媒)の脈動が低いレベルで安定したものとなり、その結果、エンジン等の取付体への振動伝達が小さなものとなる。
【0053】
したがって、圧縮機の吐出高圧流体(冷媒ガス)の脈動に伴う振動によって空気調和装置の高圧配管等が大きく振動することも抑制でき、これに起因する異常音の発生が防止できる。
【0054】
上記圧縮機の吐出高圧流体(冷媒ガス)の脈動に伴う振動減衰効果は、ベーンロータリ型圧縮機に限らず、他の回転式圧縮機、往復動式圧縮機においても同様の効果が期待できるものである。
【0055】
また、容積を大きくした高圧室17を、ベーン背圧制御装置28の取付空間とすることができるため、圧縮機1をコンパクトに構成することができ、特に、前記ベーン背圧制御装置28のガス供給通路入口部28aへの潤滑油の流入に伴う誤動作もなく、ベーンロータリ型圧縮機における信頼性の向上が図れるものである。
なお、本実施の形態においては、潤滑油の分離機構として、所謂旋回式の構造を例に説明したが、潤滑油の分離機構として衝突式や濾過式等の他の分離機構を採用することも可能である。
【0056】
また、ベーン背圧制御装置28全体を高圧室17に収納した構成としたが、その一部(例えばベーン背圧制御装置28の底部)を、隔壁20から貯油室24に面するように取り付けることも可能である。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の圧縮機は、ベーンがロータに設けられたベーン溝内を出没し、前記ロータと共にシリンダ内を回転して流体を吸入し、圧縮し、吐出するベーンロータリ型圧縮機構と、前記圧縮機構より圧縮された高圧流体が吐出される高圧室と、前記高圧流体から分離された潤滑油を貯える貯油室を備え、前記潤滑油が分離された高圧流体を所定経路へ導く流出手段を具備したベーンロータリ型圧縮機であって、前記高圧室に吐出された高圧流体をガス供給通路入口部から前記ベーン溝内へ供給するベーン背圧制御装置を具備し、このベーン背圧制御装置の一部乃至全部を前記高圧室内に設け、前記ガス供給通路入口部を前記高圧室内に開口し、前記高圧室の容積を前記貯油室の容積よりも大きくしたもので、圧縮機構より吐出された高圧流体の脈動を高圧室内で緩和することができ、脈動音の発生が防止できるものである。
【0058】
また、本発明は、前記高圧室及び貯油室を、隔壁によって区画された高圧ケース内に区画形成し、さらに前記高圧室と貯油室を、前記高圧室からの高圧流体に含まれる潤滑油を分離する油分離手段にて連通し、さらに前記高圧ケースを前記圧縮機構に併設したもので、前記貯油室内の潤滑油が前記高圧室を流れる高圧流体に含まれて圧縮機外に流出することもなく、確実に潤滑油が貯油室内に貯められるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態を示すベーンロータリ型圧縮機におけるガス供給経路および潤滑油供給経路を示す横断面図
【図2】 同圧縮機におけるシリンダの内部構造を示す断面図
【図3】 同圧縮機における高圧室カバー(高圧ケース)をシリンダ側から見た一部切り欠き正面図
【図4】 同圧縮機におけるベーン背圧制御装置部分の要部拡大断面図
【図5】 同圧縮機と従来構造による圧縮機の運転状態における吐出高圧流体の圧力脈動状態を示す特性図
【符号の説明】
1 圧縮機
2 シリンダ
2a 吸入空間
2b 圧縮空間
2c 吐出空間
3 前部側板
4 後部側板
5 高圧室カバー
6 ロータ
7 駆動軸
8 ベーン溝
9 ベーン
10 吸入孔
11 吸入口
12 吐出孔
13 吐出バルブ
14 高圧通路カバー
15 高圧通路
16 連通路
17 高圧室
18 ベーン背圧溝
19 給油路
20 隔壁
21 連通穴
22 油分離室
23 開口
24 貯油室
25 ガス排出口
26 導油路
27 連通路
28 ベーン背圧制御装置
28A ガス通路開閉手段
28B 油路開閉手段
29 潤滑油

Claims (3)

  1. ベーンがロータに設けられたベーン溝内を出没し、前記ロータと共にシリンダ内を回転して流体を吸入し、圧縮し、吐出するベーンロータリ型圧縮機構と、前記圧縮機構より圧縮された高圧流体が吐出される高圧室と、前記高圧流体から分離された潤滑油を貯える貯油室を備え、前記潤滑油が分離された高圧流体を所定経路へ導く流出手段を具備したベーンロータリ型圧縮機であって、前記高圧室に吐出された高圧流体をガス供給通路入口部から前記ベーン溝内へ供給するベーン背圧制御装置を具備し、このベーン背圧制御装置の一部乃至全部を前記高圧室内に設け、前記ガス供給通路入口部を前記高圧室内に開口し、前記高圧室の容積を前記貯油室の容積よりも大きくしたことを特徴とする圧縮機。
  2. 前記高圧室及び貯油室は、隔壁によって区画された高圧ケース内に区画形成され、前記高圧室と貯油室は、前記高圧室からの高圧流体に含まれる潤滑油を分離する油分離手段にて連通され、さらに前記高圧ケースを圧縮機構に併設した請求項1記載の圧縮機。
  3. ベーンがロータに設けられたベーン溝内を出没し、前記ロータと共にシリンダ内を回転して流体を吸入し、圧縮し、吐出するベーンロータリ型圧縮機構と、前記圧縮機構より圧縮された高圧流体が吐出される高圧室と、前記高圧流体から分離された潤滑油を貯える貯油室と、前記圧縮機構の始動時は前記高圧室の流体を、始動後は前記貯油室に貯えられた潤滑油を選択的に切り替えて前記ベーン溝内へ供給するベーン背圧制御装置とを備えたベーンロータリ型圧縮機であって、前記ベーン背圧制御装置は前記高圧室に設けられ、前記高圧室と前記貯油室は隔壁により前記高圧室の容積が前記貯油室の容積よりも大きくなるように仕切られ、さらに前記ベーン溝に供給する高圧流体を取り入れるガス供給通路入口部を前記高圧室に連通し、前記ベーン溝に供給する潤滑油を取り入れる潤滑油供給通路入口部を前記貯油室の潤滑油中に連通した圧縮機。
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