JP2010013955A - 可変作用角機構の異常判定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 可変作用角機構の異常を高精度に検出できるとともにノッキングの発生を抑制できる可変作用角機構の異常判定装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係る可変作用角機構の異常判定装置(70)は、エンジン負荷に基づいて、制御シャフト(13)の移動速度が通常時の移動速度に比較して遅い速度に切替えられた場合のノッキング発生の難易をあらかじめ判定するノッキング判定手段と、ノッキングが発生し難いと判定された場合に、制御シャフトの移動速度を遅い速度に切替える移動速度切替手段と、移動速度が切替えられた場合に、可変作用角機構(10)の異常判定の基準となる基準作用角を更新する学習処理を行う学習手段と、OBDセンサ(40)の出力と制御センサ(30)の出力と更新後の基準作用角とに基づいて可変作用角機構の異常の有無を判定する異常判定手段と、を備えることを特徴とするものである。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明に係る可変作用角機構の異常判定装置(70)は、エンジン負荷に基づいて、制御シャフト(13)の移動速度が通常時の移動速度に比較して遅い速度に切替えられた場合のノッキング発生の難易をあらかじめ判定するノッキング判定手段と、ノッキングが発生し難いと判定された場合に、制御シャフトの移動速度を遅い速度に切替える移動速度切替手段と、移動速度が切替えられた場合に、可変作用角機構(10)の異常判定の基準となる基準作用角を更新する学習処理を行う学習手段と、OBDセンサ(40)の出力と制御センサ(30)の出力と更新後の基準作用角とに基づいて可変作用角機構の異常の有無を判定する異常判定手段と、を備えることを特徴とするものである。
【選択図】 図1
Description
本発明は可変作用角機構の異常判定装置に関する。
従来、エンジンの吸気弁の作用角を変更する可変作用角機構が知られている。可変作用角機構は、ECUによって制御されたアクチュエータの制御量に応じて制御シャフトが軸方向に移動することによって吸気弁の作用角を変更している(例えば特許文献1参照)。
可変作用角機構に用いられるECUは、アクチュエータの制御量を検出する制御センサの出力によって吸気弁の作用角を認識している。ここで、実際の作用角がECUの指令値に一致しない場合には、エミッション等が悪化するおそれがある。近年のOBD(On−Board Diagnostic)規制においては、僅かなエミッション悪化を生じるに過ぎない異常であっても、その異常を自動的に診断することが要求されている。一方で、ECUが異常を自動的に診断する場合に、ノッキングが発生するおそれもある。
本発明は、可変作用角機構の異常を高精度に検出できるとともにノッキングの発生を抑制できる可変作用角機構の異常判定装置を提供することを目的とする。
本発明に係る第1の可変作用角機構の異常判定装置は、アクチュエータの制御量に応じて制御シャフトが軸方向に移動することによって吸気弁の作用角を変更する可変作用角機構の異常判定装置であって、エンジン負荷に基づいて、制御シャフトの移動速度が通常時の移動速度に比較して遅い速度に切替えられた場合のノッキング発生の難易をあらかじめ判定するノッキング判定手段と、ノッキングが発生し難いと判定された場合に、制御シャフトの移動速度を遅い速度に切替える移動速度切替手段と、移動速度が切替えられた場合に、アクチュエータの制御量を検出する制御センサの出力と制御シャフトの軸方向の位置を検出するOBDセンサの出力とに基づいて可変作用角機構の異常判定の基準となる基準作用角を更新する学習処理を行う学習手段と、OBDセンサの出力と制御センサの出力と更新後の基準作用角とに基づいて可変作用角機構の異常の有無を判定する異常判定手段と、を備えることを特徴とするものである。
OBDセンサの出力と実作用角(実際の作用角)との関係には、可変作用角機構の構成部品やOBDセンサが取り付けられる部品の設計公差等の影響により、可変作用角機構の個体毎にばらつきが生じ得る。そこで、本発明に係る第1の可変作用角機構の異常判定装置によれば、制御センサの出力とOBDセンサの出力とに基づいて、基準作用角を更新する学習処理を行い、この更新後の基準作用角を用いて異常判定することができる。それにより、あらかじめ記憶しておいた基準作用角に基づいて異常判定をする場合に比較して、可変作用角機構の個体毎のばらつきを吸収することができる。このため、吸気弁の実作用角がECUからの作用角指令値に追従しているかどうかを正確に検出することができる。したがって、可変作用角機構の異常判定を高精度に行うことができる。
また、第1の可変作用角機構の異常判定装置は、制御シャフトの移動速度が通常時の移動速度に比較して遅い速度に切替えられた場合に学習処理を行うことから、制御センサのサンプリング周期の影響による学習処理の誤差を低減することができる。それにより、学習精度を向上させることができる。その結果、異常判定を高精度に行うことができる。
さらに、制御シャフトの移動速度が遅い速度に切替えられた場合、ノッキングが発生し易くなるおそれがある。その点、第1の可変作用角機構の異常判定装置によれば、ノッキング判定手段によってノッキングが発生し難いと判定された場合に限って制御シャフトの移動速度を遅い速度に切替える。それにより、制御シャフトの移動速度低下に伴うノッキングの発生を抑制することができる。
上記構成において、移動速度切替手段が移動速度を切替える場合にはスロットル弁の開度を変化させることによって吸入空気量を制御し、移動速度切替手段が移動速度を切替えない場合には吸気弁の作用角を変化させることによって吸入空気量を制御する吸入空気量制御手段をさらに備えていてもよい。この構成によれば、吸気弁1の作用角の変更領域を拡大することができる。
上記構成において、学習手段は、ノッキングが発生し易いと判定された場合には、さらに基準作用角の更新量を変更した後に学習処理を行ってもよい。ノッキングが発生し易いと判定された場合に制御シャフトの移動速度を遅い速度に切替えないで学習処理を行うと、制御センサのサンプリング周期の影響によって学習手段の学習処理に誤差が生じるおそれがある。すなわち、学習精度が悪化するおそれがある。その点、この構成によれば、基準作用角の更新量を減少させてから学習処理を行うことができる。それにより、学習処理の誤差を低減させることができることから、学習精度を向上させることができる。
上記構成において、ノッキング判定手段は、さらに燃料中のアルコールの濃度に基づいてノッキング発生の難易を判定してもよい。ここで、燃料に含まれるアルコール濃度によってノッキングが発生し難いエンジン負荷域は変化する。したがって、この構成によれば、さらに燃料中のアルコールの濃度に基づいてノッキング判定を行うことから、ノッキング判定の精度を向上させることができる。
本発明に係る第2の可変作用角機構の異常判定装置は、アクチュエータの制御量に応じて制御シャフトが軸方向に移動することによって吸気弁の作用角を変更する可変作用角機構の異常判定装置であって、ノッキングが発生し難い目標VVT変位角を算出し、目標VVT変位角になるように吸気弁の閉じタイミングを制御するVVT制御手段と、目標VVT変位角の制御が行われた後に、アクチュエータの制御量を検出する制御センサの出力と制御シャフトの軸方向の位置を検出するOBDセンサの出力とに基づいて可変作用角機構の異常判定の判定基準となる基準作用角を更新する学習処理を行う学習手段と、OBDセンサの出力と制御センサの出力と更新後の基準作用角とに基づいて可変作用角機構の異常の有無を判定する異常判定手段と、を備えることを特徴とするものである。
本発明に係る第2の可変作用角機構の異常判定装置によれば、制御センサの出力とOBDセンサの出力とに基づいて、基準作用角を更新する学習処理を行い、この更新後の基準作用角を用いて異常判定することができる。それにより、あらかじめ記憶しておいた基準作用角に基づいて異常判定をする場合に比較して、可変作用角機構の個体毎のばらつきを吸収することができる。その結果、吸気弁の実作用角がECUからの作用角指令値に追従しているかどうかを正確に検出することができる。したがって、可変作用角機構の異常判定を高精度に行うことができる。
また、作用角が変化していく中で吸気弁の閉じタイミングが下死点付近になるとノッキングが発生し易くなる。その点、第2の可変作用角機構の異常判定装置によれば、ノッキングが発生し難い目標VVT変位角になるように吸気弁の閉じタイミングが制御された上で、学習処理が行われる。それにより、ノッキングの発生を抑制することができる。
本発明によれば、可変作用角機構の異常を高精度に検出できるとともにノッキングの発生を抑制できる可変作用角機構の異常判定装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明の実施例1に係る可変作用角機構10の異常判定装置(ECU70)について説明する。図1は、実施例1に係るECU70を含むシステム1の模式図である。可変作用角機構10は、エンジン(図示せず)の吸気弁20の作用角を変更する可変作用角機構である。ここで、作用角とは、吸気弁20の開き〜閉じまでの期間をクランク角(CA)で表したものをいう。
可変作用角機構10は、主としてアクチュエータ11と、制御シャフト13と、を備える。アクチュエータ11は、モータ(図示せず)と、このモータの回転運動を直進運動に変換する図示しない運動変換機構(例えば螺旋カム等)と、を備える。モータはECU70に電気的に接続されている。モータの回転運動は、ECU70によって制御される。アクチュエータ11の出力軸12と制御シャフト13とは、締結部材14によって連結されている。
制御シャフト13には、ローラアーム15と、一対の揺動カム16と、が配置されている。一対の揺動カム16は、ローラアーム15を挟むように配置されている。ローラアーム15のローラには、吸気カム軸(図示せず)のカムが当接している。吸気カム軸が回転すると、ローラアーム15が揺動する。ローラアーム15が揺動すると、揺動カム16も揺動する。
揺動カム16と吸気弁20との間には、ロッカーアーム17が配置されている。揺動カム16が揺動すると、ロッカーアーム17が揺動する。ロッカーアーム17が揺動しながら吸気弁20を押圧することによって、吸気弁20はリフトを行う。
ローラアーム15および揺動カム16の内周部には、ヘリカルスプライン(図示せず)が形成されている。ヘリカルスプラインは、互いに逆方向の螺旋状をなしている。また、ローラアーム15および揺動カム16の内側には、ヘリカルスプラインと噛み合うスライダギア(図示せず)が配置されている。スライダギアは、制御シャフト13と共に軸方向に移動する。制御シャフト13が軸方向に移動すると、ヘリカルスプラインとスライダギアとの作用により、ローラアーム15と揺動カム16との相対角度が変化する。その結果、吸気カム軸の回転に伴う揺動カム16の揺動範囲が変化することにより、吸気弁20のリフト量および作用角が変化する。
可変作用角機構10においては、ECU70の指示に従ってアクチュエータ11のモータが回転し、それにより制御シャフト13が軸方向の一方向(例えば図1の左方向)に移動する。この場合、吸気弁20の作用角を連続的に縮小することができる。一方、制御シャフト13が逆方向(図1の右方向)に移動することにより、吸気弁20の作用角を連続的に拡大することができる。つまり、可変作用角機構10は、ECU70によるアクチュエータ11の制御量に応じて制御シャフト13が軸方向に移動することによって吸気弁20のバルブリフト量を変化させて吸気弁20の作用角を変更する機構である。なお、バルブリフト量が大きい程、作用角の変化量も大きくなる。
アクチュエータ11には、アクチュエータ11の制御量を検出する制御センサ30が配置されている。本実施例において、アクチュエータ11の制御量とは、アクチュエータ11のモータの回転量のことをいう。したがって、制御センサ30は、アクチュエータ11のモータの回転量を検出するセンサである。制御センサ30は、ECU70に電気的に接続され、検出結果をECU70に伝える。
制御シャフト13の近傍には、OBDセンサ40が配置されている。OBDセンサ40は、制御シャフト13の軸方向の位置を検出する。本実施例において、OBDセンサ40は、制御シャフト13に配置されたターゲット18の位置を非接触で検出するように構成されている。OBDセンサ40は、ECU70に電気的に接続され、検出結果をECU70に伝える。
エンジンの吸気経路(図示せず)には、スロットル弁50が配置されている。スロットル弁50の作動は、ECU70によって制御される。スロットル弁50には、スロットル開度センサ60が配置されている。スロットル開度センサ60は、ECU70に電気的に接続されている。スロットル開度センサ60は、スロットル開度を検出して、検出結果をECU70に伝える。なお、スロットル開度はエンジンの負荷に比例することから、スロットル開度センサ60は、エンジンの負荷を検出する負荷検出手段としての機能も有している。
ECU70は、中央演算処理装置としてのCPU71と、記憶装置としてのROM72およびRAM73と、を備えるマイクロコンピュータである。ECU70は、アクチュエータ11およびスロットル弁50の作動を制御するとともに、異常判定装置としての機能も有している。ECU70の処理の詳細については後述する。
図2(a)は、制御センサ30の出力値と吸気弁20の実作用角との関係を示す模式図である。縦軸は制御センサ30の出力値(電圧値)を示し、横軸は吸気弁20の実作用角(クランク角;CA)を示している。本実施例において、制御センサ30は、アクチュエータ11のモータの回転量に比例した連続的な出力(リニア出力)を発する。また、吸気弁20の実作用角の変化は、アクチュエータ11のモータの回転量に比例する。したがって、図2(a)に示すように、制御センサ30の出力値は、吸気弁20の実作用角の変化に伴って、リニアに変化する。つまり、制御センサ30の出力値と吸気弁20の実作用角の値とは、1対1に対応する。
なお、可変作用角機構10を備えたエンジンにおいては、スロットル弁50を制御することなく、吸気弁20の作用角を変化させることによって吸入空気量を制御する吸入空気量制御が可能である。本実施例において、ECU70は、通常運転時においては吸入空気量制御を行うものとする。吸入空気量制御を行う場合、ECU70は、エンジンの運転状態に応じて、吸気弁20の目標作用角を設定する。そして、ECU70は、制御センサ30の出力に基づいて吸気弁20の実作用角を取得し、その実作用角が目標作用角に一致するように、アクチュエータ11を制御する。
図2(b)は、OBDセンサ40の出力値と吸気弁20の実作用角との関係を示す模式図である。縦軸は、OBDセンサ40の出力値(電圧値)を示し、横軸は吸気弁20の実作用角(CA)を示している。OBDセンサ40は、ターゲット18の位置、すなわち制御シャフト13の軸方向の位置に応じて、間欠的に複数本の出力(以下、このOBDセンサ40の出力のことをエッジ出力と称する)を発生する。したがって、図2(b)に示すように、OBDセンサ40は、吸気弁20の実作用角の変化に伴って、エッジ出力を発生する。
ここで、異常判定の基本的な原理について説明する。まず、OBDセンサ40は、制御シャフト13と共に移動するターゲット18が特定の位置に来たときにエッジ出力を発する。よって、OBDセンサ40がエッジ出力を発するときの吸気弁20の作用角は一義的に定まる。そこで、ECU70は、異常判定の基準となる吸気弁20の作用角(以下、基準作用角と称する)を、あらかじめ設計段階において記憶しておく。そして、エッジ出力が発生したときの作用角(すなわち実作用角)を制御センサ30から読込み、あらかじめ記憶しておいた基準作用角と比較する。その両者の偏差が、あらかじめ設定された所定値以下である場合には、制御シャフト13はECU70の指示通りに動いていると判定することができる。すなわち、この場合、ECU70は、可変作用角機構10が正常であると判定する。一方、上記偏差が上記所定値より大きい場合には、制御シャフト13の実際の位置とECU70の指令値との間に差異が生じていると判定することができる。すなわち、この場合、ECU70は、可変作用角機構10に異常が生じていると判定する。
基準作用角として、例えば可変作用角機構10の各構成部品の設計値に基づいて一律に算出した基準作用角を用いることも考えられる。しかしながら、現実には、可変作用角機構10の部品やOBDセンサ40が取り付けられる部品(例えば、シリンダヘッドカバー等)の設計公差、各部品の組み付け公差、OBDセンサ40内のセンサ素子の取り付け公差等の影響によって、OBDセンサ40から実際にエッジ出力が発せられるときの作用角には、可変作用角機構10の個体毎にばらつきが生じ得る。したがって、設計値から求めた一律の基準作用角を用いて異常判定を行うと、異常判定において誤判定が生じるおそれがある。
そこで、本実施例に係るECU70は、異常判定処理を行う前に、基準作用角を更新する学習処理を行う。具体的には、ECU70は、異常判定処理を行う前に、制御センサ30の出力とOBDセンサ40の出力とに基づいて基準作用角を更新する学習処理を行う。そして、この更新後の基準作用角(単に、「学習値」という場合もある)を用いて異常判定処理を行う。
より詳しくは、学習処理においてECU70は、実際に制御シャフト13を動かして作用角を変化させる。そして、ECU70は、OBDセンサ40からのエッジ出力を検出し、エッジ出力が発生したときの制御センサ30からの出力(つまり実作用角)を読み込む。そして、前回学習しておいた基準作用角の値(前回学習していない場合には、設計段階においてあらかじめ記憶しておいた基準作用角の値)を実作用角を用いて更新する。そして、異常判定処理においてECU70は、更新後の基準作用角(つまり、学習値)を用いて異常判定を行う。この構成によれば、上述したような可変作用角機構10の個体毎のばらつきを吸収することができる。その結果、高精度な異常判定を行うことができる。
ところで、制御センサ30の出力は、所定のサンプリング周期毎にA−D変換されて、ECU70に読み込まれる。このため、エッジ出力が発せられたときの制御センサ30の出力値としてECU70が読み込む値は、厳密には、エッジ出力が発せられた瞬間の制御センサ30の出力と一致しない。両者の間には、最大で、A−D変換周期(サンプリング周期)の分だけのタイミングのずれがある。このため、学習処理で更新された更新後の基準作用角には、最大でA−D変換周期の期間における制御センサ30の出力の変化量に相当する誤差が生じ得る(以下、この誤差を「制御センサ30の出力のサンプリング周期の影響による学習処理の誤差」と称する)。
なお、上記誤差を少なくするために、A−D変換周期を短くすることも考えられる。しかし、この場合、ECU70の処理負荷が増大してしまう。そこで、本実施例に係るECU70は、制御シャフト13の移動速度を通常時の移動速度に比較して遅い速度に切替えてから学習処理を行う。この場合、A−D変換周期を短くすることなく、制御センサ30のサンプリング周期の影響による学習処理の誤差を低減することができる。それにより、学習精度を向上させることができることから、異常判定を高精度に行うことができる。
また、吸気弁20の作用角が変化して行く中で吸気弁20の閉じタイミングが下死点付近になると、実圧縮比は高くなる。そして、制御シャフト13の移動速度を通常時の移動速度に比較して遅い速度に切替えると、実圧縮比が高くなる期間が長くなる結果、エンジンにノッキンが発生し易くなる。そこで、本実施例に係るECU70は、エンジン負荷に基づいて制御シャフト13の移動速度を遅い速度に切替えた場合にノッキングが発生し難いか否かをあらかじめ判定し、ノッキングが発生し難いと判定された場合に制御シャフト13の移動速度を遅い速度に切替えてから学習処理を行う。一方、ノッキングが発生し易いと判定された場合は、制御シャフト13の移動速度の切替えは行わず、学習処理も行わない。この構成によれば、制御シャフト13の移動速度低下に伴うノッキングの発生を抑制することができる。
続いて、ECU70が異常判定を行う際の処理の具体例を説明する。ECU70は、学習処理を行うか否かの学習実行許否決定処理および最終目標作用角を算出する目標作用角算出処理を行う(以下、この処理を「学習実行許否決定および目標作用角算出処理」と称する)。また、ECU70は、「学習処理」および「異常判定処理」を行う。これらの処理の具体例について、順に説明する。
まず、「学習実行許否決定および目標作用角算出処理」について説明する。図3は、ECU70が学習実行許否決定および目標作用角算出処理を行う際のフローチャートの一例を示す図である。まず、ECU70は、あらかじめ記憶しておいた吸気弁20の目標作用角(A)を読み込む(ステップS11)。
次いで、ECU70は、吸気弁20の実作用角(B)を読み込む(ステップS12)。具体的には、ECU70は、制御センサ30の出力に基づいて実作用角(B)を読み込む。
次いで、ECU70は、吸気弁20の作用角速度(C)を読み込む(ステップS13)。作用角速度(C)は、本ルーチンの1実行周期当たりの作用角変化量を表す値である。作用角速度(C)は、通常時の吸気弁20の作用角変化速度を規定する値としてECU70にあらかじめ設定されている。
次いで、ECU70は、学習処理が未だ完了していないか否かを判定する(ステップS14)。具体的にはECU70は、後述する図4のフローチャートのステップS107の処理が実行されていないか否かを判定する。ステップS14において学習処理が未完了であると判定された場合には、ECU70は、エンジン負荷に基づいて制御シャフト13の移動速度を通常時に比較して遅い速度に切替えた場合にノッキングが発生し難いか否かを判定する(ステップS15)。
ここで、エンジンが低負荷域の場合には制御シャフト13の移動速度を遅い速度に切替えてもノッキングは発生し難い。一方、エンジンが中高負荷域の場合にはノッキングが発生し易い。したがって、エンジン負荷とノッキング発生の難易度とは相関関係がある。そこで、ECU70は、ノッキング発生の難易を判定するための基準となる所定負荷(閾値)に関するマップをあらかじめ記憶しておく。そして、ECU70は、そのマップを参照してエンジン負荷が所定負荷以下であるか否かを判断する。エンジン負荷が所定負荷以下であると判断された場合、ECU70は制御シャフト13の移動速度を遅い速度に切替えてもノッキングが発生し難いと判定することができる。一方、エンジン負荷が所定負荷以下であると判断されなかった場合、ECU70は制御シャフト13の移動速度を遅い速度に切り替えるとノッキングが発生し易いと判定する。
ステップS15において、ノッキングが発生し難いと判定された場合、ECU70は、制御シャフト13の移動速度を遅い速度に切替える(ステップS16)。具体的には、ECU70はステップS13で読み込んだ作用角速度(C)が所定の値(本実施例においては4分の1)になるように、アクチュエータ11のモータの回転速度を低下させることによって制御シャフト13の移動速度を低下させる。ステップS16の処理によって変更された変更後の作用角速度を作用角速度(D)とする。
次いで、ECU70は、学習処理の実行を許可する(ステップS17)。一方、ステップS14において学習処理が未完了であると判定されなかった場合には、ECU70は学習処理の実行を禁止とする(ステップS18)。また、ステップS15において、ノッキングが発生し難いと判定されなかった場合、ECU70は、ステップS18を実行する。つまり、本実施例において、ノッキングが発生し易い場合には移動速度切替えおよび学習処理は行わず、ノッキンが発生し難い場合に限って移動速度切替えおよび学習処理を行う。それにより、制御シャフト13の移動速度低下に伴うノッキングの発生を抑制することができる。
ステップS17またはステップS18の後、ECU70は、ステップS11で読み込んだ目標作用角(A)が、ステップS12で読み込んだ実作用角(B)より小さいか否かを判定する(ステップS19)。
ステップS19において、目標作用角(A)が実作用角(B)より小さいと判定された場合、ECU70は、最終目標作用角(E)を算出する(ステップS20)。具体的には、ステップS16が実行された場合には、ECU70は、実作用角(B)からステップS16実行後の作用角速度(D)を差し引くことによって、最終目標作用角(E)を算出する。また、ステップS16が実行されなかった場合には、ECU70は、実作用角(B)からステップS13で読み込んだ作用角速度(C)を差し引くことによって、最終目標作用角(E)を算出する。なお、最終目標作用角(E)が目標作用角(A)を越えないようにする(この最終目標作用角(E)が目標作用角(A)を越えないようにすることを「AでMinガード」と称する)。次いで、ECU70はフローチャートの実行を終了する。
ステップS20の処理の具体例は以下のとおりである。例えば算出周期が100msであり、目標作用角(A)が152°CAであり、実作用角(B)が230°CAであり、作用角速度(C)が5°CA/100msであるとする。このとき、ステップS16が実行されなかった場合の最終目標作用角(E)は、230°CA−5°CA=225°CAとなる。なお、AでMinガードとは、以下のことをいう。すなわち、上記計算を繰り返して最終目標作用角(E)が155°CAに達した場合、次の算出では、150°CAに至ってしまう。この場合目標作用角(A)を越えてしまう。そこで、152°CAで計算を止める。AでMinガードとは、この目標作用角(A)で計算を止めるガードのことをいう。
ステップS19において目標作用角(A)が実作用角(B)より小さいと判定されなかった場合には、ECU70は、最終目標作用角(F)を算出する(ステップS21)。具体的には、ステップS16が実行された場合には、ECU70は、実作用角(B)にステップS16実行後の作用角速度(D)を足すことによって、最終目標作用角(F)を算出する。また、ステップS16が実行されなかった場合には、ECU70は、実作用角(B)にステップS13で読み込んだ作用角速度(C)を足すことによって、最終目標作用角(F)を算出する。なお、最終目標作用角(E)が目標作用角(A)を越えないようにする(この最終目標作用角(E)が目標作用角(A)を越えないようにすることを「AでMaxガード」と称する)。なお、Maxガードとは、Minガードの逆で、作用角が大きくなる方へ変化していくときのガードのことをいう。次いで、ECU70はフローチャートの実行を終了する。
続いて、「学習処理」について説明する。図4は、ECU70が学習処理を行う際のフローチャートの一例を示す図である。まず、ECU70は、エッジ出力が発生したか否かを判定する(ステップS101)。
ステップS101でエッジ出力が発生したと判定された場合、ECU70は、実作用角(B)を読み込む(ステップS102)。次いで、ECU70は、学習処理が許可されているか否かを判定する(ステップS103)。具体的には、ECU70は図3のステップS17が実行されているか否かを判定する。
ステップS103で学習処理が許可されていると判定された場合、ECU70は、学習値(G)を読み込む(ステップS104)。具体的には、ECU70は前回学習処理を行った結果、更新された基準作用角を読み込む。なお、学習処理を一度も行っていない場合には、ECU70は設計時に設定された基準作用角を読み込む。
次いで、ECU70は学習の更新量(H)を算出する(ステップS105)。具体的には、ECU70は、ステップS102で読み込んだ実作用角(B)からステップS104で読み込んだ学習値(G)との差を求め、その差を2で除する。
次いで、ECU70は、学習値(G)を更新して新たな学習値(I)(つまり、新たな基準作用角)を算出する(ステップS106)。具体的には、、ECU70は、ステップS104で読み込んだ学習値(G)とステップS105で算出した更新量(H)との和を算出する。なお、学習値(G)と更新量(H)との和は、学習値(G)と実作用角(B)との平均値を意味する。次いで、ECU70は、学習処理を完了する(ステップS107)。次いで、ECU70は、フローチャートの実行を終了する。
ステップS101でエッジ出力が発生したと判定されなかった場合には、ECU70はフローチャートの実行を終了する。ステップS103で学習処理が許可されていると判定されなかった場合には、ECU70はフローチャートの実行を終了する。
続いて、「異常判定処理」について説明する。図5は、ECU70が異常判定処理を行う際のフローチャートの一例を示す図である。まず、ECU70は、エッジ出力が発生したか否かを判定する(ステップS201)。
ステップS201でエッジ出力が発生したと判定された場合、ECU70は学習処理が完了しているか否かを判定する(ステップS202)。具体的には、ECU70は図4のフローチャートのステップS107が実行されたか否かを判定する。
ステップS202で学習処理が完了していると判定された場合、ECU70は実作用角(B)を読み込む(ステップS203)。次いで、ECU70は、学習値(I)を読み込む(ステップS204)。具体的には、ECU70は、図4のフローチャートのステップS106で更新された基準作用角を読み込む。
次いで、ECU70は、偏差(J)を算出する(ステップS205)。具体的には、ECU70は、ステップS203で読み込んだ実作用角(B)とステップS204で読み込んだ学習値(I)との差を算出する。
次いで、ECU70は、偏差の大きさが判定値より小さいか否かを判定する(ステップS206)。ステップS206で偏差の大きさが判定値より小さいと判定された場合、可変作用角機構10が正常であると判断する(ステップS207)。この場合、吸気弁20の実作用角とECU70の指令値(制御目標値)との間に有意なずれが生じていないことになる。次いで、ECU70はフローチャートの実行を終了する。なお、判定値は、あらかじめECU70が記憶しておく。
一方、ステップS206で偏差の大きさが判定値より小さいと判定されなかった場合、ECU70は、可変作用角機構10が異常であると判断する(ステップS208)。この場合、吸気弁20の実作用角とECU70の指令値との間に有意なずれが生じていることになる。次いで、ECU70はフローチャートの実行を終了する。
ステップS201でエッジ出力が発生したと判定されなかった場合、ECU70はフローチャートの実行を終了する。ステップS202で学習処理が完了していると判定されなかった場合、ECU70はフローチャートの実行を終了する。
以上のように、本実施例に係るECU70によれば、制御センサ30の出力とOBDセンサ40の出力とに基づいて、基準作用角を更新する学習処理を行い、学習処理で更新された更新後の基準作用角(学習値)を用いて異常判定を行う。それにより、学習処理を行わずに事前に記憶しておいた基準作用角に基づいて異常判定をする場合に比較して、可変作用角機構10の個体間のばらつきを吸収することができる。このため、吸気弁20の実作用角がECU70からの作用角指令値に追従しているかどうかを正確に検出することができる。したがって、可変作用角機構10の異常判定を高精度に行うことができる。
また、図3に示すように、ECU70は、制御シャフト13の移動速度が通常時よりも遅い速度に切替えられた場合に学習処理を許可する。つまり、ECU70は、制御シャフト13の移動速度を通常時よりも遅い速度に切替えてから、学習処理を行う。これにより、制御センサ30のサンプリング周期の影響による学習処理の誤差を低減することができる。それにより、学習精度を向上させることができることから、異常判定を高精度に行うことができる。
さらに、制御シャフト13の移動速度を通常時の移動速度に比較して遅い速度に切替えると、ノッキンが発生し易くなるおそれがある。この点、本実施例に係るECU70によれば、図3に示すように、ノッキングが発生し難い場合(ステップS15)に限って、制御シャフト13の移動速度を遅い速度に切替える(ステップS16)。それにより、制御シャフト13の移動速度低下に伴うノッキングの発生を抑制することができる。
実施例1と請求項1との対応関係において、ECU70は、異常判定装置に相当する。また、ECU70は、ノッキング判定手段、移動速度切替手段、学習手段および異常判定手段に相当する。
(変形例1)
なお、実施例1において、ECU70は吸入空気量制御を行っているがこれに限られない。ECU70は、制御シャフト13の移動速度を遅い速度に切替える場合には、スロットル弁50の開度を変化させることによって吸入空気量を制御するスロットル制御に変更してもよい。具体的には、図3のステップS15で、ノッキングが発生し難いと判定された場合、ECU70は、制御方法を吸入空気量制御からスロットル制御に変更してから、ステップS16を実行してもよい。また、この場合、ECU70は、制御シャフト13の移動速度が通常の移動速度に戻された場合には、吸入空気量制御に戻す。
なお、実施例1において、ECU70は吸入空気量制御を行っているがこれに限られない。ECU70は、制御シャフト13の移動速度を遅い速度に切替える場合には、スロットル弁50の開度を変化させることによって吸入空気量を制御するスロットル制御に変更してもよい。具体的には、図3のステップS15で、ノッキングが発生し難いと判定された場合、ECU70は、制御方法を吸入空気量制御からスロットル制御に変更してから、ステップS16を実行してもよい。また、この場合、ECU70は、制御シャフト13の移動速度が通常の移動速度に戻された場合には、吸入空気量制御に戻す。
ここで、移動速度を低下させると、運転者の要求するトルクを迅速に発生させることが困難になるおそれがある。この点、吸入空気量制御がスロットル制御に変更された場合には、吸気弁20の作用角を動かしてもトルク応答性の悪化は生じ難くなる。したがって、制御シャフト13の移動速度を遅い速度に切替える場合に吸入空気量制御をスロットル制御に変更することによって、吸気弁20の作用角の変更領域を拡大することができる。
実施例1の変形例1と請求項1および請求項2との対応関係において、ECU70は、異常判定装置に相当する。また、ECU70は、ノッキング判定手段、移動速度切替手段、学習手段、異常判定手段および吸入空気量制御手段に相当する。
本発明の実施例2に係るECU70a(図示せず)について説明する。ECU70aは、図3の代わりに後述する図6のフローチャートを実行する点と、図4の代わりに後述する図7のフローチャートを実行する点と、において、実施例1に係るECU70と異なる。その他の構成は実施例1に係るECU70と同様のため、説明を省略する。
図6は、実施例2に係るECU70aが学習実行許否決定および目標作用角算出処理を行う際のフローチャートの一例を示す図である。図6は、ステップS15においてノッキングが発生し難いと判定されなかった場合に、ステップS17を実行する点で図3と異なる。つまり、ECU70aは、ノッキングが発生し易い場合にも学習処理を許可する点で、図3と異なる。その他の構成は図3と同様のため、説明を省略する。
図7は、実施例2に係るECU70aが学習処理を行う際のフローチャートの一例を示す図である。図7は、ステップS105の後にステップS105−1およびステップS105−2をさらに備える点と、ステップS106の代わりにステップS106aを備える点と、において図4と異なる。その他の構成は図4と同様のため、説明を省略する。
ステップS105−1において、ECU70aは、エンジンの負荷が所定負荷以上であるか否かを判定する。
ここで、本実施例に係るECU70aにおいては、ノッキングが発生し易い場合には、制御シャフト13の移動速度は通常のままで学習処理が許可される(図6のステップS15)。その結果、制御シャフト13の移動速度が、制御センサ30のサンプリング周期の影響による学習処理の誤差が生じ得る程、速くなる場合がある。この場合、学習処理の学習精度が悪化する。そこで、ECU70aは、ステップS105−1を実行することにした。
ステップS105−1で負荷が所定負荷以上であると判定された場合には、ECU70aは、更新量(H)を変更する(ステップS105−2)。例えば、ECU70aは、ステップS105で算出した更新量(H)を低減させる。低減度合いとしては特に限定されないが、本実施例においてECU70aは、ステップS105で算出した更新量(H)を4分の1に低減させる。それにより、制御センサ30のサンプリング周期の影響による学習処理の誤差を4分の1に低減させることができる。その結果、学習精度を向上させることができる。ステップS105−2で変更された更新量を更新量(K)とする。次いで、ECU70aは、ステップS106aを実行する。
一方、ステップS105−1で負荷が所定負荷以上であると判定されなかった場合には、ECU70aは、ステップS106aを実行する。
ステップS106aにおいてECU70aは、学習値(G)を更新して新たな学習値(L)を算出する。具体的には、ECU70aは、ステップS105−2を行った場合には、ステップS104で読み込んだ学習値(G)にステップS105−2で変更した更新量(K)を加える。一方、ステップS105−2を行わなかった場合には、ECU70aは、ステップS104で読み込んだ学習値(G)にステップS105で算出した更新量(H)を加える。次いで、ECU70aは、ステップS107を実行する。
本実施例に係るECU70aによれば、ノッキングが発生し易いと判定された場合、学習値(基準作用角)の更新の更新量を低減させる。それにより、学習処理の誤差を低減させることができることから、学習精度を向上させることができる。
なお、本実施例において、ECU70aは、実施例1の変形例1に係るECU70のように、制御シャフト13の移動速度を変更する場合には、スロットル制御に変更してもよい。
実施例2と請求項1、請求項2および請求項3との対応関係において、ECU70aは、異常判定装置に相当する。また、ECU70aは、ノッキング判定手段、移動速度切替手段、学習手段、異常判定手段および吸入空気量制御手段に相当する。
本発明の実施例3に係るECU70b(図示せず)について説明する。ECU70bは、図3の代わりに後述する図9のフローチャートを実行する点において、実施例1に係るECU70と異なる。その他の構成は実施例1に係るECU70と同様のため、説明を省略する。
ここで、制御シャフト13の移動速度を遅い速度に切替えた場合にノッキングが発生し難いと判定されるエンジン負荷域は、燃料中のアルコールの濃度によって変化する。例えば、FFV(Flex Fuel Vehicle;ガソリンおよびアルコールを混合した燃料が使用可能な自動車)の場合には、燃料中にアルコールが多く含まれる。この場合、燃料中に含まれるアルコール濃度によって制御シャフト13の移動速度を遅い速度に切替えた場合のノッキングが発生し難いエンジン負荷域は変化する。
図8は、制御シャフト13の移動速度が遅い速度に切替えられた場合にノッキングが発生し難いエンジン負荷域と燃料中のアルコールの濃度との関係を示す図である。縦軸はエンジン負荷(%)を示し、横軸は燃料中のアルコールの濃度(%)を示している。境界ライン100は、制御シャフト13の移動速度が遅い速度に切替えられた場合にノッキングが発生し難いか否かの境界を示すラインである。境界ライン100よりも上側の領域は、制御シャフト13の移動速度を遅い速度に切替えた場合にノッキングが発生し易いエンジン負荷域に相当し、境界ライン100以下の領域は、制御シャフト13の移動速度を遅い速度に切替えた場合にノッキングが発生し難いエンジン負荷域に相当する。図8から判るように、燃料中のアルコール濃度が高い程、制御シャフト13の移動速度を遅い速度に切替えた場合にノッキンが発生し難いエンジン負荷域は拡大する。つまり、燃料中のアルコール濃度が高い程、制御シャフト13の移動速度を遅くして学習処理を行えるエンジン負荷域が拡大される。
そこで、本実施例に係るECU70bは、さらに燃料中のアルコールの濃度に基づいてノッキン発生の難易を判定する点で、実施例1に係るECU70と異なる。具体的には、ECU70bは、さらに燃料中のアルコールの濃度に基づいて、制御シャフト13の移動速度を遅い速度に切替えた場合にノッキングが発生し難いエンジン負荷域を算出し、その算出したエンジン負荷域を用いて移動速度を遅い速度に切替えるか否かを判断する点で、実施例1に係るECU70と異なる。
図9は、実施例3に係るECU70bが学習実行許否決定および目標作用角算出処理を行う際のフローチャートの一例を示す図である。図9は、ステップS13−1およびステップS14−1をさらに備える点と、ステップS15の代わりにステップS15aを備える点と、において図3と異なる。その他の構成は図3と同様のため、説明を省略する。
ステップS13が行われた後、ECU70bはステップS13−1において、燃料中のアルコールの濃度(M)を読み込む。本実施例において、図1に示すシステム1は、燃料中のアルコールの濃度を検出するための濃度センサ(図示せず)をさらに備える。濃度センサは燃料中のアルコールの濃度を検出してECU70bに伝える。ECU70bは、ステップS13−1において濃度センサの検出結果を読み込むことによって燃料中のアルコールの濃度を読み込むことができる。ステップS13−1の実行後は、ECU70bはステップS14を実行する。
ステップS14において学習処理が完了していると判定された場合、ECU70bはステップS14−1において、エンジン負荷域(N)を算出する。具体的には、ECU70bは、ステップS13−1で読み込んだ燃料中のアルコールの濃度(M)を用いて、図8に示すようなマップからノッキングが発生し難いエンジン負荷域(N)を求める。次いで、ECU70bはステップS15aを実行する。
ステップS15aにおいてECU70bは、エンジン負荷がステップS14−1で算出したエンジン負荷域(N)以下であるか否かを判定する。エンジン負荷がエンジン負荷域(N)以下であると判定された場合、ノッキングが発生し難いことから、ECU70bはステップS16を行う。エンジン負荷がエンジン負荷域(N)以下であると判定されなかった場合、ノッキングが発生し易いことから、ECU70bはステップS18を行う。
本実施例に係るECU70bによれば、さらに燃料中のアルコールの濃度に基づいてノッキングが発生し難いエンジン負荷域を算出することができる。それにより、ノッキング判定の精度を向上させることができる。その結果、異常判定を高精度に行うことができる。
なお、本実施例において、ECU70bは、実施例1の変形例1に係るECU70のように、制御シャフト13の移動速度を遅い速度に切替える場合には、スロットル制御に変更してもよい。
また、ECU70bは、実施例2に係るECU70aのように、ノッキングが発生し難いエンジン負荷域でない場合には、制御シャフト13の移動速度は低下させずに、学習値(基準作用角)の更新の更新量を低減させてから学習処理を行ってもよい。
実施例3と請求項1、請求項2、請求項3および請求項4との対応関係において、ECU70bは、異常判定装置に相当する。また、ECU70bは、ノッキング判定手段、移動速度切替手段、学習手段、異常判定手段および吸入空気量制御手段に相当する。
本発明の実施例4に係るECU70c(図示せず)について説明する。ECU70cは、図3の代わりに後述する図11のフローチャートを実行する点において、実施例1に係るECU70と異なる。その他の構成は実施例1に係るECU70と同様のため、説明を省略する。
ここで、吸気弁20の作用角が変化していく中で、吸気弁20の閉じタイミングが下死点付近になる場合がある。この場合、実圧縮比が高くなり、ノッキングが発生し易くなる。そこで、本実施例に係るECU70cは、吸気弁20の作用角を変化させた場合にノッキングが発生し難いVVT変位角、すなわち吸気弁20の閉じタイミングが下死点付近にならないようなVVT変位角(以下、このVVT変位角を目標VVT変位角と称する)を算出し、目標VVT変位角になるように吸気弁20の閉じタイミングを制御した後に、学習処理を許可する点において、実施例1に係るECU70と異なる。なお、VVT変位角とは、設計的に最も遅角側(遅い側)を0°CAとして、どれだけ開閉時期を進角(早く)したかをクランク角で表現したものをいう。
図10は、実施例4に係るECU70cがVVT変位角を算出する際に参照するマップの一例を示す模式図である。縦軸は目標VVT変位角を示し、横軸は最終目標作用角を示す。曲線110は、吸気弁20の閉じタイミングが下死点付近にならないような目標VVT変位角を示している。
図11は、実施例4に係るECU70cが学習実行許否決定および目標作用角算出処理を行う際のフローチャートの一例を示す図である。図11は、ステップS13−2、ステップS13−3、ステップS13−4、ステップS14−1およびステップS14−2をさらに備える点と、ステップS15、ステップS16、ステップS19、ステップS20およびステップS21を備えない点と、において図3と異なる。その他の構成は図3と同様のため、説明を省略する。
ステップS13の後に、ECU70cはステップS13−2において、目標作用角(A)が実作用角(B)より小さいか否かを判定する。ステップS13−2において目標作用角(A)が実作用角(B)より小さいと判定された場合、ECU70cは、ステップS13−3において最終目標作用角(O)を算出する。具体的には、ECU70cは、実作用角(B)と作用角速度(C)との差に基づいて最終目標作用角(O)を算出する。次いで、ECU70cは、ステップS14を行う。
一方、ステップS13−2において目標作用角(A)が実作用角(B)より小さいと判定されなかった場合、ECU70cは、ステップS13−4において最終目標作用角(P)を算出する。具体的には、ECU70cは、実作用角(B)と作用角速度(C)との和に基づいて最終目標作用角(P)を算出する。次いで、ECU70cは、ステップS14を行う。
ステップS14において学習処理が完了していないと判定された場合、ECU70cはステップS14−1において、目標VVT変位角(Q)を算出して、その目標VVT変位角(Q)になるように吸気弁20の閉じタイミングを制御する。目標VVT変位角(Q)の算出は図10に示すようなマップを用いて行う。次いで、ECU70cはステップS17を行う。
一方、ステップS14において学習処理が完了していないと判定されなかった場合、ECU70cはステップS14−2において、通常時の目標VVT変位角(R)を算出する。そしてECU70cは、その目標VVT変位角(R)になるように吸気弁20の閉じタイミングを制御する。次いで、ECU70cは、ステップS18を行う。
本実施例に係るECU70cによれば、ノッキングが発生し難い目標VVT変位角になるように吸気弁20の閉じタイミングが制御された上で、学習処理が許可される。それにより、ノッキングの発生を抑制しつつ学習処理が行われることから、可変作用角機構10の異常を高精度に検出できるとともにノッキングの発生を抑制できる。
実施例4と請求項5との対応関係において、ECU70cは、異常判定装置に相当する。また、ECU70cは、VVT制御手段、学習手段および異常判定手段に相当する。
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
1 システム
10 可変作用角機構
11 アクチュエータ
12 出力軸
13 制御シャフト
14 締結部材
15 ローラアーム
16 揺動カム
17 ロッカーアーム
18 ターゲット
20 吸気弁
30 制御センサ
40 OBDセンサ
50 スロットル弁
60 スロットル開度センサ
70 ECU
100 境界ライン
110 曲線
10 可変作用角機構
11 アクチュエータ
12 出力軸
13 制御シャフト
14 締結部材
15 ローラアーム
16 揺動カム
17 ロッカーアーム
18 ターゲット
20 吸気弁
30 制御センサ
40 OBDセンサ
50 スロットル弁
60 スロットル開度センサ
70 ECU
100 境界ライン
110 曲線
Claims (5)
- アクチュエータの制御量に応じて制御シャフトが軸方向に移動することによって吸気弁の作用角を変更する可変作用角機構の異常判定装置であって、
エンジン負荷に基づいて、前記制御シャフトの移動速度が通常時の移動速度に比較して遅い速度に切替えられた場合のノッキング発生の難易をあらかじめ判定するノッキング判定手段と、
前記ノッキングが発生し難いと判定された場合に、前記制御シャフトの移動速度を前記遅い速度に切替える移動速度切替手段と、
前記移動速度が切替えられた場合に、前記アクチュエータの制御量を検出する制御センサの出力と前記制御シャフトの軸方向の位置を検出するOBDセンサの出力とに基づいて前記可変作用角機構の異常判定の基準となる基準作用角を更新する学習処理を行う学習手段と、
前記OBDセンサの出力と前記制御センサの出力と前記更新後の基準作用角とに基づいて前記可変作用角機構の異常の有無を判定する異常判定手段と、を備えることを特徴とする可変作用角機構の異常判定装置。 - 前記移動速度切替手段が前記移動速度を切替える場合にはスロットル弁の開度を変化させることによって吸入空気量を制御し、前記移動速度切替手段が前記移動速度を切替えない場合には前記吸気弁の作用角を変化させることによって前記吸入空気量を制御する吸入空気量制御手段をさらに備える請求項1記載の可変作用角機構の異常判定装置。
- 前記学習手段は、前記ノッキングが発生し易いと判定された場合には、さらに前記基準作用角の更新量を変更した後に前記学習処理を行う請求項1または2に記載の可変作用角機構の異常判定装置。
- 前記ノッキング判定手段は、さらに燃料中のアルコールの濃度に基づいて前記ノッキング発生の難易を判定する請求項1〜3のいずれか1項に記載の可変作用角機構の異常判定装置。
- アクチュエータの制御量に応じて制御シャフトが軸方向に移動することによって吸気弁の作用角を変更する可変作用角機構の異常判定装置であって、
ノッキングが発生し難い目標VVT変位角を算出し、前記目標VVT変位角になるように前記吸気弁の閉じタイミングを制御するVVT制御手段と、
前記目標VVT変位角の制御が行われた後に、前記アクチュエータの制御量を検出する制御センサの出力と前記制御シャフトの軸方向の位置を検出するOBDセンサの出力とに基づいて前記可変作用角機構の異常判定の判定基準となる基準作用角を更新する学習処理を行う学習手段と、
前記OBDセンサの出力と前記制御センサの出力と前記更新後の基準作用角とに基づいて前記可変作用角機構の異常の有無を判定する異常判定手段と、を備えることを特徴とする可変作用角機構の異常判定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008172677A JP2010013955A (ja) | 2008-07-01 | 2008-07-01 | 可変作用角機構の異常判定装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011208799A (ja) * | 2010-03-26 | 2011-10-20 | Ind Technol Res Inst | 蒸気トラップの異常放出警報装置 |
-
2008
- 2008-07-01 JP JP2008172677A patent/JP2010013955A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011208799A (ja) * | 2010-03-26 | 2011-10-20 | Ind Technol Res Inst | 蒸気トラップの異常放出警報装置 |
US8686867B2 (en) | 2010-03-26 | 2014-04-01 | Industrial Technology Research Institute | Abnormal discharge alarm device for steam trap |
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