JP2010013952A - エアフローメータの異常検出装置 - Google Patents

エアフローメータの異常検出装置 Download PDF

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誠司 吉村
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Abstract

【課題】機関回転速度の全ての回転領域で異常検出を行うものよりも検出の精度を高めることのできるエアフローメータの異常検出装置を提供する。
【解決手段】異常検出装置は、エアフローメータにより検出される吸入空気量を少なくとも制御パラメータとして制御されるエンジンに適用されるものであり、電子制御装置を備える。電子制御装置は、エアフローメータが正常作動時に採り得る出力範囲を設定し、エアフローメータの出力(補正後吸入空気量)が出力範囲から外れていると異常と判定する。また、電子制御装置は、エンジン回転速度NEによって規定されるエンジンの運転領域を複数の領域に分け、これらの領域のうち、異常検出の行われる領域を、エアフローメータの正常作動時における出力のばらつきが他の少なくとも1つの領域よりも小さい領域(例えば、NE5≦NE<NE6)に制限する。
【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関の吸気通路に配置されて吸入空気量を検出するエアフローメータについて、その異常の有無を検出する装置に関するものである。
内燃機関の吸気通路には、その吸気通路を経て燃焼室内に導入される空気の量(吸入空気量)を検出するエアフローメータが配置されている。このエアフローメータによって検出された吸入空気量は、燃料噴射制御等の機関制御用パラメータの1つとして用いられる。従って、エアフローメータが、断線、短絡等の原因により吸入空気量を正確に検出することができない場合には、機関制御を適切に実行することができない。そこで、エアフローメータの異常を検出するための技術が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、エアフローメータの正常動作範囲における出力範囲を設定し、取り込んだエアフローメータの出力がかかる出力範囲から外れると異常である旨の判定を行う技術が記載されている。この技術では、正常なエアフローメータの出力のばらつきを考慮して出力範囲が設定される。すなわち、エアフローメータが正常に作動しているときに採り得る出力のばらつきについて、最も大きくばらついたときを基準として、このときのエアフローメータの出力を含んだ形で出力範囲が設定される。
特開昭55−164312号公報
ところで、エアフローメータの出力のばらつきを測定すると、その大きさは機関回転速度に応じて異なることが判った。これは、1つにはエアフローメータが、機関回転速度と相関のある吸気脈動と共振することによるものと考えられる。すなわち、機関回転速度についての回転領域のうち、エアフローメータが吸気脈動と共振する領域では、共振しない領域に比べ、エアフローメータの出力のばらつきが大きくなる傾向にある。
従って、上記特許文献1では、機関回転速度については、エアフローメータの出力のばらつきが最も大きな回転領域を基準に上記出力範囲が設定されることとなる。そのため、基準とされた回転領域では、エアフローメータの異常検出を適切に行うことができる反面、出力のばらつきが小さい回転領域では不要に広い出力範囲が設定されることとなる。その結果、出力範囲が、エアフローメータが異常である場合の出力を含んでいる場合には、異常であるにも拘わらず正常と誤判定(誤検出)される懸念がある。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、機関回転速度の全ての回転領域で異常検出を行うものよりも検出の精度を高めることのできるエアフローメータの異常検出装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、エアフローメータにより検出される吸入空気量を少なくとも制御パラメータとして制御される内燃機関に適用されるものであり、前記エアフローメータが正常作動時に採り得る出力範囲を設定し、前記エアフローメータの出力が前記出力範囲から外れていると異常と判定する異常検出手段を備えるエアフローメータの異常検出装置において、少なくとも機関回転速度を含む機関運転状態により前記内燃機関の運転領域を複数の領域に分け、前記複数の領域のうち、前記異常検出手段により異常検出が行われる領域を、前記エアフローメータの正常作動時における出力のばらつきが他の少なくとも1つの領域よりも小さい領域に制限する制限手段を備えることを要旨とする。
上記の構成によれば、少なくとも機関回転速度を含む機関運転状態により内燃機関の運転領域が複数の領域に分けられる。そして、これらの領域のうち異常検出の行われる領域が、エアフローメータの正常作動時における出力のばらつきが他の少なくとも1つの領域よりも小さい領域に制限される。従って、この制限された領域のうち、ばらつきの最も大きな領域を基準として出力範囲が設定されると、全ての領域のうち、ばらつきの最も大きな領域を基準として出力範囲が設定される場合に比べ、出力範囲が狭くなる。これに応じて、上記制限された領域では出力範囲が、エアフローメータの正常作動時における出力のばらつきにより近い(即した)ものとなる。その結果、上記制限された領域ではエアフローメータの出力が、正常作動時に採り得る範囲からは外れているが、出力範囲からは外れないという事態が起こりにくくなり、検出の精度が高くなる。なお、上記「制限された領域」は、本明細書では、制限後に残って異常検出の対象となる領域を指す。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記異常検出手段は、異常検出の対象となる前記エアフローメータの出力として、同エアフローメータにより検出された実際の吸入空気量を、吸気温及び吸気圧について予め設定した標準状態での値に変換したものを用いることを要旨とする。
吸入空気量は、吸入空気の温度である吸気温や、吸入空気の圧力である吸気圧の影響を受けて変動する。従って、請求項2に記載の発明によるように、エアフローメータにより検出された実際の吸入空気量を、吸気温及び吸気圧について予め設定した標準状態での値に変換すると、その変換後の吸入空気量は、吸気温及び吸気圧の影響が排除されたものとなる。このため、上記のように標準状態での値に変換したものを、異常検出の対象となるエアフローメータの出力として用いれば、同出力の精度が高まり、それに伴って異常検出の精度が高くなる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記制限手段は、前記複数の領域のうち、異常検出の行われる領域を2つ以上の領域に制限するものであることを要旨とする。
制限手段による制限が行われることで、異常検出の精度が高まる反面、内燃機関の運転領域のうち異常検出手段による異常検出の行われる領域が少なくなり、それに伴って異常検出の機会が少なくなる。しかし、請求項3に記載の発明によるように、異常検出の行われる領域が2つ以上の領域に制限されることで、異常検出の行われる領域が1つのみの場合よりも異常検出の機会が増える。結果として、異常についての検出精度の向上と検出機会の確保とを両立させることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1つに記載の発明において、前記内燃機関は、タービンホイールに吹付けられる排気の経路に可変ノズルを備え、その可変ノズルの開度を変更して排気の流速を調整する可変ノズルターボチャージャを備え、前記制限手段は、前記機関回転速度及び前記可変ノズルの開度を前記機関運転状態として前記内燃機関の運転領域を複数の領域に分け、前記異常検出手段により異常検出が行われる領域を、前記エアフローメータの正常作動時における出力のばらつきが他の少なくとも1つの領域よりも小さい領域に制限することを要旨とする。
ここで、上記可変ノズルターボチャージャを備えた内燃機関にあっては、エアフローメータの正常作動時において、機関運転状態のうち上述した機関回転速度ほどではないにせよ、可変ノズルの開度がエアフローメータの出力のばらつきに影響を及ぼすことが判っている。
この点、請求項4に記載の発明では、機関回転速度及び可変ノズルの開度が機関運転状態とされて内燃機関の運転領域が複数の領域に分けられる。これらの領域のうち異常検出の行われる領域が、エアフローメータの正常作動時における出力のばらつきが他の少なくとも1つの領域よりも小さい領域に制限される。従って、この請求項4に記載の発明でも、上述した請求項1に記載の発明と同様の作用により出力範囲が狭くなり、上記制限された領域では、エアフローメータの正常作動時における出力のばらつきにより一層近い(即した)ものとなる。その結果、機関回転速度のみを運転状態として内燃機関の運転領域を複数の領域に分けて、異常検出の行われる領域を制限する場合に比べ、異常検出の精度が高くなる。
請求項5に記載の発明は、エアフローメータにより検出される吸入空気量を少なくとも制御パラメータとして制御される内燃機関に適用されるものであり、前記エアフローメータが正常作動時に採り得る出力範囲を設定し、前記エアフローメータの出力が前記出力範囲から外れていると異常と判定する異常検出手段を備えるエアフローメータの異常検出装置において、少なくとも機関回転速度を含む機関運転状態により前記内燃機関の運転領域を複数の領域に分け、前記複数の領域のうち、前記異常検出手段により異常検出が行われる領域を、前記エアフローメータが吸気脈動と共振する領域とは異なる領域に制限する制限手段を備えることを要旨とする。
ここで、エアフローメータの出力のばらつきの大きさが機関回転速度に応じて異なるところ、その理由の1つとして、エアフローメータが、機関回転速度と相関のある吸気脈動と共振することが考えられる。すなわち、機関回転速度についての回転領域のうち、エアフローメータが吸気脈動と共振する領域では、共振しない領域に比べ、エアフローメータの出力のばらつきが大きくなる傾向にある。
この点を考慮し、請求項5に記載の発明では、少なくとも機関回転速度を含む機関運転状態により内燃機関の運転領域が複数の領域に分けられる。そして、これらの領域のうち判定の行われる領域が、エアフローメータが吸気脈動と共振する領域とは異なる領域に制限される。従って、この制限された領域(出力のばらつきの小さな領域)を基準として出力範囲が設定されると、エアフローメータが吸気脈動と共振する領域(出力のばらつきの大きな領域)を基準として出力範囲が設定される場合に比べ、出力範囲が狭くなる。これに応じて、上記制限された領域では出力範囲が、エアフローメータの正常作動時における出力のばらつきにより近い(即した)ものとなる。その結果、上述した請求項1に記載の発明と同様にして、上記制限された領域ではエアフローメータの出力が、正常作動時に採り得る範囲からは外れているが、出力範囲からは外れないという事態が起こりにくくなり、検出の精度が高くなる。
以下、本発明を具体化した一実施形態について図1〜図4を参照して説明する。
車両には、図1に示すように、内燃機関として蓄圧式ディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)11が搭載されている。エンジン11は、シリンダヘッド12と、複数の気筒(シリンダ)13を有するシリンダブロック14とを備えている。各シリンダ13内にはピストン15が往復動可能に収容されている。各ピストン15はコネクティングロッド16を介し、エンジン11の出力軸であるクランク軸17に連結されている。各ピストン15の往復運動は、コネクティングロッド16によって回転運動に変換された後、クランク軸17に伝達される。クランク軸17の回転は図示しない変速機等を介して車輪に伝達される。
エンジン11には、シリンダ13毎に燃焼室18が設けられている。各燃焼室18には、吸気通路19及び排気通路20が接続されている。シリンダヘッド12には、シリンダ13毎に吸気弁21及び排気弁22が設けられている。これらの吸・排気弁21,22は、クランク軸17の回転に連動して往復動することにより、吸・排気通路19,20を開閉する。
吸気通路19には、エアクリーナ23、吸気絞り弁であるスロットル弁24等が配置されている。そして、基本的にはエンジン11の吸気行程において、排気弁22が閉じられ、吸気弁21が開かれた状態でピストン15が下降すると、シリンダ13内の気圧が外気より低い値(負圧)になり、同エンジン11の外部の空気が吸気通路19の各部を順に通過して燃焼室18に取込まれる。
スロットル弁24は、吸気通路19内に回動可能に支持されており、同スロットル弁24に連結されたステップモータ等のアクチュエータ25により駆動される。吸気通路19を流れる空気の量(吸入空気量)は、スロットル弁24の開き具合(スロットル開度)に応じて変化する。
シリンダヘッド12には、各燃焼室18に燃料を噴射する燃料噴射ノズル26が取付けられている。各燃料噴射ノズル26は電磁弁(図示略)を備えており、この電磁弁により、燃料噴射ノズル26から燃焼室18への燃料噴射が制御される。燃料噴射ノズル26は、蓄圧装置(共通の蓄圧配管)であるコモンレール27に接続されており、電磁弁が開いている間、コモンレール27内の燃料が燃料噴射ノズル26から対応する燃焼室18に噴射される。コモンレール27には、燃料噴射圧に相当する比較的高い圧力が蓄積されている。この蓄圧を実現するために、コモンレール27は、燃料ポンプであるサプライポンプ28に接続されている。
サプライポンプ28は燃料タンク(図示略)から燃料を吸入するとともに、エンジン11の回転に同期するカムによってプランジャを往復動させ、燃料を所定圧に高めてコモンレール27に供給する。
そして、吸気通路19を通ってシリンダ13内に導入され、かつピストン15により圧縮された高温かつ高圧の吸入空気に対し、燃料噴射ノズル26から燃料が噴射される。この噴射燃料は自己着火して燃焼する。このときに生じた燃焼ガスによりピストン15が往復動され、クランク軸17が回転されて、エンジン11の駆動力(出力トルク)が得られる。燃焼ガスは、排気通路20に設けられた触媒29等を通ってエンジン11の外部へ排出される。
エンジン11には、過給機の一形態である可変ノズルターボチャージャ30が設けられている。可変ノズルターボチャージャ30は、一般的なターボチャージャと同様、排気通路20を流れる排気によって回転するタービンホイール31と、吸気通路19に配置され、かつロータシャフト32を介してタービンホイール31に連結されたコンプレッサホイール33とを備えている。可変ノズルターボチャージャ30では、タービンホイール31に排気が吹付けられて同タービンホイール31が回転する。この回転は、ロータシャフト32を介してコンプレッサホイール33に伝達される。その結果、エンジン11では、ピストン15の移動に伴い燃焼室18内に発生する負圧によって空気が燃焼室18に送り込まれるだけでなく、その空気がコンプレッサホイール33の回転によって強制的に燃焼室18に送り込まれる(過給される)。このようにして、燃焼室18への空気の充填効率が高められる。
また、可変ノズルターボチャージャ30では、タービンホイール31の外周を囲うように、そのタービンホイール31の回転方向に沿って排気の経路が形成され、排気はその経路を通過し、タービンホイール31の軸線に向かって吹付けられる。排気の経路には、リング状のノズルバックプレート34に対して複数のノズルベーン(可変ノズル)35を回動可能に設けた可変ノズル機構Aが設けられている。可変ノズル機構Aは、DCモータ等のアクチュエータ36の作動により、全てのノズルベーン35を同期した状態で開閉動作させることで、排気の経路の流通面積を変更し、タービンホイール31に吹付けられる排気の流速を可変とする。このように排気の流速を可変とすることで、タービンホイール31の回転速度が調整され、ひいては燃焼室18への吸入空気が所定の過給圧にて供給される。
エンジン11には、排気通路20を流れる排気の一部を、吸気通路19に還流させる排気還流(以下「EGR」という)装置37が設けられている。EGR装置37は、還流に伴って吸入空気に混合される排気により、混合気中の不活性ガスの割合を増やして燃焼最高温度を下げ、大気汚染物質である窒素酸化物(NOx)の発生を低減させるためのものである。
EGR装置37は、EGR通路38及びEGR弁39を備えている。EGR通路38は、排気通路20と、吸気通路19においてスロットル弁24よりも下流側の箇所とをつないでいる。EGR弁39はEGR通路38の所定の箇所、例えば、EGR通路38の吸気通路19との接続箇所に取付けられている。EGR通路38を流れる排気の流量は、EGR弁39の開き具合(開度)に応じて変化する。
上記エンジン11の各種運転制御は電子制御装置40によって行われる。電子制御装置40は、エンジン11の制御に係る各種処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータが記憶されたROM、CPUの処理結果等が記憶されるRAM、外部との情報のやり取りを行うための入・出力ポート等を備えて構成されている。
電子制御装置40の入力ポートには、エンジン11の運転状態や運転環境を検出するための種々のセンサが接続されている。これらのセンサには、エアフローメータ41、吸気温センサ42、吸気圧センサ43、スロットルセンサ44、回転速度センサ45、ノズル開度センサ46、アクセルセンサ47、水温センサ48が含まれている。
エアフローメータ41は、吸気通路19においてエアクリーナ23とコンプレッサホイール33との間に配置されており、吸気通路19を流れ、かつスロットル弁24の開度制御を通じて調整される空気の量(吸入空気量)を検出する。ここでは、エアフローメータ41として、ホットワイヤ式と呼ばれるタイプが用いられている。このタイプのエアフローメータ41は、電気的発熱体(ホットワイヤ)を備えている。走行時においては、放熱されたホットワイヤが吸気通路19内を通過する吸入空気によって冷却され、この冷却によりホットワイヤの抵抗値が変化し、電流が変動する。すなわち、空気流速と、ホットワイヤの伝熱量との関係から定められる電圧値が電気信号となってエアフローメータ41から出力される。そして、電子制御装置40においては、エアフローメータ41から出力された電圧値に基づいて吸入空気量が算出される。
吸気温センサ42は、吸気通路19においてコンプレッサホイール33よりも下流側に配置されており、可変ノズルターボチャージャ30による過給後に同箇所を通過する空気の温度(吸気温)を検出する。吸気圧センサ43は、吸気通路19においてコンプレッサホイール33よりも下流側に配置されており、可変ノズルターボチャージャ30による過給後の吸気通路19内の圧力(吸気圧)を検出する。
スロットルセンサ44は、スロットル弁24の回動角度であるスロットル開度を検出する。回転速度センサ45は、クランク軸17の回転速度(エンジン回転速度NE)を検出する。このエンジン回転速度NEは、特許請求の範囲における「機関回転速度」に該当する。ノズル開度センサ46は、可変ノズルターボチャージャ30におけるノズルベーン35(可変ノズル)の回動角度であるノズル開度VNを検出する。このノズル開度VNは、特許請求の範囲における「可変ノズルの開度」に相当する。
アクセルセンサ47はアクセルペダル49の近傍に配置されており、運転者Dによるアクセルペダル49の踏込量(アクセル踏込量)を検出する。水温センサ48は、シリンダブロック14に取付けられ、ウォータジャケットを流れる冷却水の温度である冷却水温を検出する。
また、電子制御装置40の出力ポートには、上記アクチュエータ25,36、燃料噴射ノズル26、サプライポンプ28、EGR弁39等が接続されている。そして電子制御装置40は、上記各センサ41〜48の検出結果に基づき、それら出力ポートに接続された機器類を制御することで、エンジン11の各種運転制御を実施する。各種運転制御には、燃料噴射制御、スロットル制御、EGR制御、過給圧制御等に加え、エアフローメータ41の異常検出制御が含まれている。
例えば、燃料噴射制御では、電子制御装置40は、エンジン11の運転状態に最適な基本噴射量を、アクセルセンサ47によるアクセル踏込量、及び回転速度センサ45によるエンジン回転速度NEに基づき算出する。また、そのエンジン回転速度NEにより決定される基本最大噴射量(理論上噴射可能な最大量)に、各種センサからの信号による補正を加え最大噴射量を決定する。上記基本噴射量及び最大噴射量を比較し、噴射量の少ない方を目標噴射量として設定する。また、上記アクセル踏込量及びエンジン回転速度NEに基づき基本噴射時期を算出し、これを各種センサからの信号によって補正し、そのときのエンジン11の運転状態に最適な目標噴射時期を算出する。そして、これらの目標噴射量及び目標噴射時期に基づき燃料噴射ノズル26に対する通電を制御して、同燃料噴射ノズル26を開閉させる。
なお、電子制御装置40はスロットル弁24が全閉で、エンジン回転速度NEが設定値(燃料カット回転速度)以上のときには、燃料供給の必要がない減速状態であるとして、燃料噴射ノズル26に対する通電を停止する。この通電停止により燃料噴射ノズル26が閉弁して、燃料の供給が停止(燃料カット(F/C))される。
また、過給圧制御では、電子制御装置40は、エンジン11の運転状態に応じた目標過給圧を設定し、吸気圧センサ43によって検出される吸気通路19内の実際の過給圧(実過給圧)が上記目標過給圧に近づくようにアクチュエータ36に対する通電を制御することで、ノズルベーン35の開度(ノズル開度VN)をフィードバック制御する。
また、スロットル制御では電子制御装置40は、例えばエンジン回転速度NE及びアクセル踏込量に対応した目標スロットル開度を算出する。スロットルセンサ44によって検出される実際のスロットル開度が前記目標スロットル開度に近づくように、アクチュエータ25を駆動制御する。
EGR制御では電子制御装置40は、例えばエンジン回転速度NE、冷却水温、アクセル踏込量等に基づき、EGR制御の実行条件が成立しているか否かを判定する。EGR制御実行条件としては、例えば冷却水温が所定値以上であること、エンジン11が始動時から所定時間以上連続して運転されていること、アクセル踏込量の変化量が正値であること等が挙げられる。そして、このEGR制御実行条件が成立していない場合には、EGR弁39を全閉状態に保持する。同実行条件が成立している場合には、所定の制御マップを参照して、エンジン回転速度NE及びアクセル踏込量に対応するEGR弁39の目標開度を算出し、この値に基づきEGR弁39を駆動制御する。
次に、エアフローメータ41の異常検出制御について説明する。この制御では、基本的には、エアフローメータ41が正常作動時に採り得る出力範囲を設定し、エアフローメータ41の実際の出力が前記出力範囲から外れていると異常と判定するようにしている。この出力範囲の設定に際しては、次の点が考慮される。それは、エアフローメータ41の正常作動時において、エンジン回転速度NEに応じて、エアフローメータ41の出力のばらつきが異なることである。その理由の1つとして、エアフローメータ41が、エンジン回転速度NEと相関のある吸気脈動と共振することが考えられる。すなわち、エンジン回転速度NEについての回転領域のうち、エアフローメータ41が吸気脈動と共振する領域では、共振しない領域に比べ、エアフローメータ41の出力のばらつきが大きくなる傾向にある。
上記の傾向は、エアフローメータ41の実際の出力について見られるほか、吸気温や吸気圧が上記出力に及ぼす影響を排除した場合にも同様に見られる。ただし、上記のように影響を排除した場合には、排除しない場合に比べ、ばらつきの度合いが小さくなる。
ここで、図2は、補正後吸入空気量とエンジン回転速度NEとの関係を示している。補正後吸入空気量は、エアフローメータ41によって検出された吸入空気量を吸気温及び吸気圧によって補正した値である。より詳しくは、補正後吸入空気量は、吸気温及び吸気圧が標準状態での値、例えば、吸気温が25℃であり、吸気圧が1気圧となったならば、エアフローメータ41が検出したであろう吸入空気量である。表現を変えると、補正後吸入空気量は、エアフローメータ41によって検出された吸入空気量を、吸気温及び吸気圧について標準状態に換算した値であるともいえる。
この図2において、ハッチングの付された箇所は、エアフローメータ41が正常に作動しているときに、その補正後吸入空気量が採り得る領域を示している。この図2から、エンジン回転速度NEについて、例えばNE1≦NE<NE2の回転領域、NE2≦NE<NE3の回転領域等では、補正後吸入空気量のばらつきが大きいのに対し、例えば、NE5≦NE<NE6の回転領域では補正後吸入空気量があまりばらつかない。図2におけるエンジン回転速度NEの全ての回転領域で異常検出を行おうとすると、ばらつきの最も大きな回転領域を基準として、エンジン回転速度NEに拘わらず一定の出力範囲を設定することとなる。あるいは、図2において一点鎖線(特性線L1,L2参照)で示すように、出力範囲の大きさ(幅)は維持しつつ、同出力範囲をエンジン回転速度NEに応じてシフトすることとなる。なお、図2中の特性線L1は、出力範囲の上限値を示し、特性線L2は出力範囲の下限値を示している。
この出力範囲の設定の仕方には、エンジン回転速度NEに拘わらずどの回転領域でも常に異常検出を行うことができるメリットがある反面、次のデメリットがある。それは、補正後吸入空気量について、上記のように基準としたばらつきの最も大きな回転領域よりもばらつきの小さな領域では、補正後吸入空気量が、正常作動時に採り得る範囲からは外れているが、出力範囲からは外れないという事態が起こりやすくなることである。この場合には、エアフローメータ41が異常であっても出力が出力範囲から外れないこととなり、異常と判定されない。
そこで、本実施形態では、エンジン回転速度NEのみにより規定されるエンジン11の運転領域(回転領域)を複数の領域に分け、それらのうち、異常検出が行われる領域を、エアフローメータ41の正常作動時における出力のばらつきが他の少なくとも1つの領域よりも小さい領域に制限するようにしている。
例えば、エンジン回転速度NEが採り得る回転領域を、図2に示すように、NE<NE1、NE1≦NE<NE2、NE2≦NE<NE3、NE3≦NE<NE4、NE4≦NE<NE5、NE5≦NE<NE6、NE6≦NE<NE7、NE7≦NEというように8つの回転領域に分ける。この場合、例えば、NE5≦NE<NE6の回転領域では、他の多くの回転領域よりも上記補正後吸入空気量のばらつきが小さいことから、異常検出の行われる回転領域を、この回転領域(NE5≦NE<NE6)に制限する。表現を変えると、エンジン回転速度NEがこの回転領域の値となったときにのみ異常検出を行うようにする。この制限により、他の回転領域での補正後吸入空気量のばらつきを考慮して出力範囲の設定を行わなくてもよく、この回転領域での小さなばらつきのみを考慮して出力範囲の設定を行うことが可能となる。全ての回転領域のうち、ばらつきの最も大きな回転領域を基準として出力範囲が設定される場合よりも出力範囲を狭くすることが可能となる。このように出力範囲を狭く設定することで、この制限された回転領域では、出力範囲が、エアフローメータ41の正常作動時における出力のばらつきにより近い(即した)ものとなる。その結果、エアフローメータ41の補正後吸入空気量が、正常作動時に採り得る範囲からは外れているが、出力範囲からは外れないという事態が起こりにくくなる。
こうしたエアフローメータ41の異常検出制御は、電子制御装置40が、図3のフローチャートに示す「異常検出ルーチン」を実行することによって実現される。このルーチンは所定時間(例えば64ミリ秒)毎に繰り返し実行される。
電子制御装置40は、まずステップ110において、減速時燃料カット実行条件が成立しているかどうか、すなわち、車両が燃料供給の必要のない減速状態であるかどうかを判定する。ここで、減速時燃料カット実行条件としては、例えば、「スロットル弁24が全閉であり、かつエンジン回転速度NEが設定値(燃料カット回転速度)以上である」ことが挙げられる。そして、ステップ110の判定条件が満たされていないと異常検出ルーチンを終了し、満たされていると次のステップ120へ移行する。
こうしたステップ110の処理を行うのは、エンジン11の燃焼室18で燃焼が行われているときには吸気圧が不安定となり、吸入空気量がその影響を受ける傾向にあるからである。そして、車両の減速に際し燃料カットが行われるときに異常検出を行うことで、エアフローメータ41の出力、ひいては補正後吸入空気量を、燃焼に起因する吸気圧の変動の影響が排除されたものとしたいからである。こうした観点から、上記ステップ110の判定条件が満たされていないと、異常検出ルーチンを終了するようにしている。このようにして、本実施形態では、燃焼に起因して吸気圧が不安定となっている可能性があるとき(ステップ110:NO)には異常検出を行わないようにしている。
ステップ120では、異常検出の前提条件が満たされているかどうかを判定する。ここで、前提条件としては、例えば車速が所定値以上であること、他のセンサ等の異常検出が行われていないこと、吸気圧センサ43、ノズル開度センサ46等が正常に作動していること等が挙げられる。本実施形態では、さらに、「回転速度センサ45によるエンジン回転速度NEが、上述した補正後吸入空気量のばらつきの小さな回転領域(NE5≦NE<NE6)にあること」が前提条件に加えられている。このステップ120の判定条件が満たされていると次のステップ130へ移行し、満たされていないと異常検出ルーチンを終了する。従って、エンジン回転速度NEが、上記の領域(NE5≦NE<NE6)から外れているときには、前提条件が満たされず、異常検出が行われない。このように、本実施形態では、エンジン回転速度NEについての条件を前提条件に加えることで、エンジン回転速度NEについての複数の領域のうち、異常検出の行われる領域を、エアフローメータ41の正常作動時における補正後吸入空気量のばらつきが他の領域よりも小さい領域に制限している。
ステップ130では、上記ステップ120の判定条件が満たされた(前提条件が成立した)後、予め定められた時間T1(例えば2秒)が経過したかどうかを判定する。経過時間の計時には、例えば、前提条件が成立することを条件にカウントを開始し、一定時間毎にカウントアップする前提条件成立カウンタ(図4参照)のカウント値を用いる。
ステップ130の判定条件が満たされていないと異常検出ルーチンを終了し、満たされていると次のステップ140へ移行する。こうしたステップ130の処理を行うのは、仮に燃料カット(ステップ110)の開始直後に異常検出を行うと、燃料カット直前の燃焼サイクルでの燃焼が異常検出に及ぼす影響が未だ残っている可能性があるからであり、この可能性をできるだけ排除したいからである。そこで、ステップ130の判定条件が満たされるまでは異常検出を行わないようにしている。
ステップ140では、スロットル弁24、EGR弁39及びノズルベーン35を強制的に駆動する。この処理を行うのは、スロットル開度、EGR開度、ノズル開度VNが、エアフローメータ41の出力、ひいては補正後吸入空気量に影響を及ぼす可能性があると考えられるからである。スロットル弁24、EGR弁39、及びノズルベーン35を強制的に駆動することにより、異常検出期間中、スロットル開度、EGR開度、ノズル開度VNを予め定められた値に変更・保持するようにしている。例えば、EGR弁39については、これを全閉状態にし、その状態に保持する。スロットル弁24については、その開度(スロットル開度)を任意の値、例えば全開状態にし、その状態に保持する。また、ノズルベーン35については、その開度(ノズル開度VN)を任意の値に変更し、その状態に保持する。
続いて、ステップ150において、上記ステップ140での強制駆動開始から、予め定められた時間T2(例えば、0.5秒)が経過したかどうかを判定する。経過時間の計時には、例えば、強制駆動が開始されることを条件にカウントを開始し、一定時間毎にカウントアップする空気量安定カウンタ(図4参照)のカウント値を用いる。ステップ150の判定条件が満たされていないと異常検出ルーチンを終了し、満たされていると次のステップ160へ移行する。こうしたステップ150の処理を行うのは、強制駆動の直後には、吸入空気量がその強制駆動の影響を受けて不安定となるおそれがあるためであり、この影響が小さくなるのを待って吸入空気量が安定してから異常検出を行いたいからである。そこで、強制駆動開始直後(ステップ150:NOの場合)には異常検出を行わないようにしている。
ステップ160では、エアフローメータ41の出力(吸入空気量)を、そのときの吸気温及び吸気圧で補正することにより、吸入空気量を、吸気温及び吸気圧について予め設定した標準状態での値に変換した値(補正後吸入空気量)を求める。
また、ステップ160では、そのときのエンジン回転速度NEに対応する出力範囲を設定する。この設定に際しては、まず、出力範囲の中の基準となる値(以下「基準値」という)を決定する。この基準値は、出力範囲の概ね中央付近の値となるものであり、エンジン回転速度NEによって異なる。ここでは、そのときのエンジン回転速度NEに対応した基準値を決定する。次に、エアフローメータ41が正常に作動した場合に補正後吸入空気量が採り得るばらつきと上記基準値とに基づき、出力範囲の上限値(図2の特性線L1′参照)と下限値(図2の特性線L2′参照)とを求める。前述したように、NE5≦NE<NE6では補正後吸入空気量のばらつきが小さいことから、求められる上限値は、従来の上限値(特性線L1参照)よりも小さな値(基準値に近い値)となる。また、求められる下限値は、従来の下限値(特性線L2参照)よりも大きな値(基準値に近い値)となる。結果として、求められる出力範囲は従来の出力範囲よりも狭くなる。
さらに、ステップ160では、上記補正後吸入空気量が上記出力範囲にあるかどうかを判定する。そして、補正後吸入空気量が出力範囲内にある(下限値よりも大きく、かつ上限値よりも小さい)と、エアフローメータ41が正常である旨の判定を行う。補正後吸入空気量が出力範囲から外れている(上限値よりも大きい、又は下限値よりも小さい)と、エアフローメータ41が異常である旨の判定を行う。このようにして、エアフローメータ41の異常の有無を検出する。
次に、ステップ170において、上記異常の有無の検出を開始してから、予め定められた時間T3(例えば、0.5秒)が経過したかどうかを判定する。経過時間の計時には、例えば、異常の有無検出が開始されることを条件にカウントを開始し、一定時間毎にカウントアップする検出実施カウンタ(図4参照)のカウント値を用いる。ステップ170の判定条件が満たされていないと異常検出ルーチンを終了し、満たされていると次のステップ180へ移行する。こうしたステップ170の処理を行うのは、1回のみの検出結果に基づくのではなく、複数回の検出結果に基づいて異常の有無を判定することで、異常検出の精度を高めるためである。
そして、上記ステップ170から移行したステップ180では、複数回の検出結果に基づき、エアフローメータ41の異常の有無の判定を行う。例えば、異常と検出された回数(又は正常と検出された回数)と、予め定められた値とを比較し、異常と検出された回数が、予め定められた値以下であるときには、エアフローメータ41が正常であると判定し、同値よりも大きいときにはエアフローメータ41が異常であると判定する。このステップ180の処理を経た後に、異常検出ルーチンを終了する。
上述した異常検出ルーチンでは、電子制御装置40によるステップ160の処理が特許請求の範囲における「異常検出手段」に該当し、ステップ120の処理が「制限手段」に該当する。
上記異常検出ルーチンによれば、減速時燃料カット(F/C)実行条件、前提条件、前提条件成立カウンタ、強制駆動の実行・停止、空気量安定カウンタ及び検出実施カウンタは、例えば図4に示すように変化する。
この図4は、タイミングt1において、減速時燃料カット実行条件が成立し(ステップ110:YES)、タイミングt2で前提条件が成立(ステップ120:YES)した場合を示している。
前提条件の成立に伴い、タイミングt2で前提条件成立カウンタのカウント動作が開始され、そのカウント値に基づき時間T1が経過したかどうかが判定される(ステップ130)。タイミングt3において、前提条件成立カウンタのカウント値が時間T1に対応した値αとなり、時間T1が経過した旨の判定がなされると、強制駆動が開始される(ステップ140)とともに、空気量安定カウンタのカウント動作が開始される。その空気量安定カウンタのカウント値に基づき時間T2が経過したかどうかが判定される(ステップ150)。タイミングt4において、空気量安定カウンタのカウント値が時間T2に対応した値βとなり、時間T2が経過した旨の判定がなされると、異常の有無の検出(ステップ160)が開始されるとともに、検出実施カウンタのカウント動作が開始され、そのカウント値に基づき時間T3が経過したかどうかが判定される(ステップ170)。そして、タイミングt5において、検出実施カウンタのカウント値が時間T3に対応した値γとなり、時間T3が経過した旨の判定がなされると、異常の有無の判定(ステップ180)が行われる。
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)エンジン回転速度NEによりエンジン11の運転領域を複数の領域に分け、これらの領域のうち、異常検出が行われる領域を、エアフローメータ41の正常作動時における出力のばらつきが他の領域よりも小さい領域に制限するようにしている(図3のステップ120)。従って、この制限下で異常検出が行われる領域を基準として出力範囲を設定することが可能となり、全ての領域のうち、ばらつきの最も大きな領域を基準として出力範囲が設定される場合に比べ、出力範囲が狭くなる。これに応じて、上記制限された領域では出力範囲が、エアフローメータ41の正常作動時における出力のばらつきにより近い(即した)ものとなる。その結果、上記制限された領域ではエアフローメータ41の出力が、正常作動時に採り得る範囲からは外れているが、出力範囲からは外れないという事態を起こりにくくし、エンジン回転速度NEの全ての回転領域で異常検出を行うものよりも検出の精度を高めることができる。
なお、上記の制限から外れた領域では、エアフローメータ41の出力が上記出力範囲を越えてばらつくこととなるが、この領域では異常検出が行われないため、支障はない。
(2)吸入空気量は、吸気温や吸気圧の影響を受けて変動する。この点、本実施形態では、エアフローメータ41により検出された実際の吸入空気量を、吸気温及び吸気圧について標準状態での値に変換している。変換後の吸入空気量(補正後吸入空気量)は、吸気温及び吸気圧の影響が排除されたものとなる。さらに、本実施形態では、上記補正後吸入空気量を異常検出の対象となるエアフローメータ41の出力として用いている。そのため、エアフローメータ41の出力の精度を高くし、それに伴って異常検出の精度を高めることができる。
(3)エンジン11で燃焼が行われているときには吸気圧が不安定となり、吸入空気量がその影響を受ける傾向にあるが、本実施形態では、エンジン11の減速時燃料カット実行条件が満たされていることを条件に異常の検出を行うようにしている(図3のステップ110)。そのため、エアフローメータ41の出力が、燃焼に起因する吸気圧の変動の影響を排除したものとなる。異常検出に用いられるエアフローメータ41の出力の精度を高め、ひいては異常検出の精度を高めることができる。
(4)前提条件の成立後に時間T1が経過したかどうかを判定(図3のステップ130)し、経過するまでは異常検出を行わないようにしている。そのため、燃料カット直前の燃焼サイクルでの燃焼が異常検出に及ぼす影響をできるだけ小さくしたうえで異常検出を行うことができ、異常検出の精度を高めることができる。
(5)異常検出に先立ち、スロットル弁24、EGR弁39及びノズルベーン35を強制駆動することにより、吸入空気量(補正後吸入空気量)に影響を及ぼすパラメータであるスロットル開度、EGR開度及びノズル開度VNを適切な値に変更後、その値に保持している(図3のステップ140)。そのため、スロットル開度、EGR開度及びノズル開度VNが吸入空気量(補正後吸入空気量)に及ぼす影響を小さくしたうえで異常検出を行うことができる。
(6)強制駆動開始後に時間T2が経過したかどうかを判定(図3のステップ150)し、経過するまでは異常検出を行わないようにしている。そのため、強制駆動が吸入空気量に及ぼす影響が小さくなってから異常検出を行うことができ、異常検出の精度を高めることができる。
(7)異常の有無の検出処理(図3のステップ160)を時間T3にわたって複数回行い、それらの結果をもとに異常の有無の判定処理を行うようにしている(図3のステップ180)。そのため、異常の有無の検出処理を1回行い、その結果に基づいて異常の有無の判定を行う場合よりも、判定の精度を高めることができる。
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・異常検出の行われる領域が制限されることで、検出の精度が高まる反面、エンジン11の運転領域のうち異常検出の行われる領域が少なくなり、それに伴って異常検出の機会が少なくなる。
そこで、上記エンジン回転速度NEについての複数の領域のうち、異常検出の行われる領域を2つ以上の領域に制限するように変更してもよい。このようにすることで、異常検出の行われる領域が1つのみの場合よりも異常検出の機会が増える。異常について検出精度の向上と検出機会の確保との両立を図ることができるようになる。
・前記実施形態では、エンジン回転速度NEのみに基づきエンジン11の運転領域を複数の領域に分けた。
ここで、上記のように可変ノズルターボチャージャ30を備えたエンジン11にあっては、エアフローメータ41の正常作動時において、エンジン11の運転状態のうちエンジン回転速度NEほどではないにせよ、ノズルベーン35(可変ノズル)の開度(ノズル開度VN)がエアフローメータ41の出力のばらつきに影響を及ぼすことが判っている。
そこで、エンジン回転速度NEに加えノズル開度VNをエンジン11の運転状態として、エンジン11の運転領域を複数の領域に分けてもよい。図5はその一例を示す。この図5では、エンジン回転速度NEについては、その採り得る領域が、NE<NE1、NE1≦NE<NE2、NE2≦NE<NE3、NE3≦NE<NE4、NE4≦NEの5つの領域に分けられている。また、ノズル開度VNについては、その採り得る領域が、VN<VN1、VN1≦VN<VN2、VN2≦VN<VN3、VN3≦VNの4つの領域に分けられている。従って、エンジン回転速度NE及びノズル開度VNによって規定されるエンジン11の運転領域は、5×4=20の領域に分けられることとなる。
そして、上記のようにエンジン回転速度NE及びノズル開度VNによって規定される多数(図5では「20」)の領域のうち、異常検出を行う領域を、エアフローメータ41の正常作動時における出力のばらつきが他の少なくとも1つの領域よりも小さい領域に制限するようしてもよい。この場合、異常検出の行われる領域は、1つでもよいし、複数でもよい。図5中、「○」の付されている領域は、出力のばらつきが小さいために異常検出の行われる領域を示し、「×」の付されている領域は、出力のばらつきが大きいために異常検出の行われない領域を示している。
この場合にも、上記実施形態と同様の作用により出力範囲が狭くなる。上記制限された領域では、同出力範囲が、エアフローメータ41の正常作動時における出力のばらつきにより一層近い(即した)ものとなる。その結果、エンジン回転速度NEのみを運転状態としてエンジン11の運転領域を複数の領域に分けて、異常検出の行われる領域を制限する場合よりも、さらに異常検出の精度を高めることができる。
・エアフローメータ41の異常を検出する観点からは、エアフローメータ41によって検出された吸入空気量を吸気温及び吸気圧によって必ずしも補正する必要はなく、補正前の吸入空気量をエアフローメータ41の出力値としてそのまま用いて、異常検出を行うようにしてもよい。
・上述したように、エアフローメータ41の出力のばらつきの大きさがエンジン回転速度NEに応じて異なる理由の1つとして、エアフローメータ41がエンジン回転速度NEと相関のある吸気脈動と共振することが考えられる。すなわち、エンジン回転速度NEについての回転領域のうち、エアフローメータ41が吸気脈動と共振する領域では、共振しない領域に比べ、エアフローメータ41の出力のばらつきが大きくなる傾向にある。
このことから、少なくともエンジン回転速度NEを含むエンジン11の運転状態によりエンジン11の運転領域を複数の領域に分け、これらの領域のうち判定の行われる領域を、エアフローメータ41が吸気脈動と共振する領域とは異なる領域に制限するようにしてもよい。この制限された領域(出力のばらつきの小さな領域)を基準として出力範囲を設定すると、エアフローメータ41が吸気脈動と共振する領域(出力のばらつきの大きな領域)を基準として出力範囲を設定する場合に比べ、出力範囲が狭くなる。これに応じて、上記制限された領域では出力範囲が、エアフローメータ41の正常作動時における出力のばらつきにより近い(即した)ものとなる。その結果、上述した実施形態と同様にして、上記制限された領域ではエアフローメータ41の出力が、正常作動時に採り得る範囲からは外れているが、出力範囲からは外れないという事態が起こりにくくなり、検出の精度が高くなる。
・本発明は、可変ノズルターボチャージャを搭載していない内燃機関にも適用可能である。
本発明を具体化した一実施形態において、エアフローメータの異常検出装置が適用されるディーゼルエンジンの構成を示す略図。 エンジン回転速度、補正後吸入空気量及び出力範囲の関係を示す特性図。 電子制御装置によって実行される異常検出ルーチンを説明するフローチャート。 図3の異常検出ルーチンが実行された場合における各種カウンタ等の動作態様の一例を示すタイミングチャート。 エンジン回転速度NEとノズル開度VNとによって規定したエンジンの運転領域について、異常検出の実行が制限される領域と、制限されない領域との関係を×○で示す説明図。
符号の説明
11…ディーゼルエンジン(内燃機関)、30…可変ノズルターボチャージャ、31…タービンホイール、35…ノズルベーン(可変ノズル)、40…電子制御装置(異常検出手段、制限手段)、41…エアフローメータ、NE…エンジン回転速度(機関回転速度)、VN…ノズル開度(可変ノズルの開度)。

Claims (5)

  1. エアフローメータにより検出される吸入空気量を少なくとも制御パラメータとして制御される内燃機関に適用されるものであり、
    前記エアフローメータが正常作動時に採り得る出力範囲を設定し、前記エアフローメータの出力が前記出力範囲から外れていると異常と判定する異常検出手段を備えるエアフローメータの異常検出装置において、
    少なくとも機関回転速度を含む機関運転状態により前記内燃機関の運転領域を複数の領域に分け、前記複数の領域のうち、前記異常検出手段により異常検出が行われる領域を、前記エアフローメータの正常作動時における出力のばらつきが他の少なくとも1つの領域よりも小さい領域に制限する制限手段を備えることを特徴とするエアフローメータの異常検出装置。
  2. 前記異常検出手段は、異常検出の対象となる前記エアフローメータの出力として、同エアフローメータにより検出された実際の吸入空気量を、吸気温及び吸気圧について予め設定した標準状態での値に変換したものを用いる請求項1に記載のエアフローメータの異常検出装置。
  3. 前記制限手段は、前記複数の領域のうち、異常検出の行われる領域を2つ以上の領域に制限するものである請求項1又は2に記載のエアフローメータの異常検出装置。
  4. 前記内燃機関は、タービンホイールに吹付けられる排気の経路に可変ノズルを備え、その可変ノズルの開度を変更して排気の流速を調整する可変ノズルターボチャージャを備え、
    前記制限手段は、前記機関回転速度及び前記可変ノズルの開度を前記機関運転状態として前記内燃機関の運転領域を複数の領域に分け、前記異常検出手段により異常検出が行われる領域を、前記エアフローメータの正常作動時における出力のばらつきが他の少なくとも1つの領域よりも小さい領域に制限する請求項1〜3のいずれか1つに記載のエアフローメータの異常検出装置。
  5. エアフローメータにより検出される吸入空気量を少なくとも制御パラメータとして制御される内燃機関に適用されるものであり、
    前記エアフローメータが正常作動時に採り得る出力範囲を設定し、前記エアフローメータの出力が前記出力範囲から外れていると異常と判定する異常検出手段を備えるエアフローメータの異常検出装置において、
    少なくとも機関回転速度を含む機関運転状態により前記内燃機関の運転領域を複数の領域に分け、前記複数の領域のうち、前記異常検出手段により異常検出が行われる領域を、前記エアフローメータが吸気脈動と共振する領域とは異なる領域に制限する制限手段を備えることを特徴とするエアフローメータの異常検出装置。
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