JP2010013387A - 血管新生阻害剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】制癌剤等として望ましい特性を有する血管新生阻害剤の提供。
【解決手段】
リマカリブまたはその薬学上許容される塩を有効成分として含有する、血管新生促進因子産生阻害剤、血管新生阻害剤、血管新生を伴う疾患の治療剤など(血管新生を伴う疾患としては、癌疾患、糖尿病網膜症、未熟児網膜症、加齢黄斑変性症、血管新生緑内障、慢性気管支炎、粥状動脈硬化症、心筋梗塞等があげられる)。
【選択図】 なし

Description

本発明は、血管新生を伴う疾患等の治療剤として有用な化合物に関する。
血管新生とは、血管が新たに形成される現象をいう。血管は、組織又は器官においてタンパク質分解酵素の働きにより血管の基底膜が分解されることで血管内皮細胞が遊走し、成長因子や生理活性物質または物理的損傷などの刺激により増殖して細胞外マトリックスに接着し、その血管内皮細胞が分化して血管腔を形成することにより新たに形成される。血管新生は、創傷治癒過程のような正常反応の他に、癌の増殖や転移、糖尿病性網膜症、血管新生緑内障、炎症性皮膚疾患、リウマチ様関節炎、変形性関節炎、加齢性黄斑変性症、慢性気管支炎、粥状動脈硬化症、心筋梗塞等の様々な疾患の病因、又は病態の悪化に関与していることでも知られる。また、皮膚の血管系における内皮細胞も皮膚の老化に関与していることが報告されている。
特に、癌組織は活発な血管新生を促す因子(腫瘍血管新生因子)を分泌し、腫瘍組織内に血管網を作ることにより、この血管を介して癌細胞に酸素と栄養分が供給され、癌の急激な増大をもたらす。そこで、血管新生を抑制することができれば、薬剤で癌の増大を抑制することが可能となる。
直接または間接的に血管内皮細胞の増殖を刺激する成長因子はいくつか知られているが、血管内皮細胞に極めて特異的に作用する点で他の成長因子と区別される因子として、血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor;VEGF)が知られている。即ち、VEGFのレセプターは、血管内皮細胞以外ではごく限られた細胞でしか発現しておらず、血管内皮選択的であることが報告されている(J. Clin. Invest., 89, 244-253 (1992))。VEGFは、血管内皮細胞の増殖誘導と生存維持、血管透過性の亢進、血圧の調節、血小板による遊走、マクロファージに対する走化性などをはじめとして、血管新生のみならず、血管・血液・凝固系など多彩に機能している。血管内皮細胞のVEGFの発現を阻害する化合物は血管新生阻害剤として、上記癌、糖尿病性網膜症、各種関節炎をはじめとする様々な疾患の治癒や予防、あるいは皮膚老化の予防、改善のための薬剤として期待される。
特にVEGFと癌との関係を示唆する以下のような報告がある。多くの癌細胞はVEGFを分泌する(Biochem. Biophys. Res. Commun., 194, 1234 (1993))。癌組織切片を抗VEGF抗体で染色すると癌組織およびその周辺の新生血管が強く染色される(J. Exp. Med., 174, 1275(1991)、Cancer Res., 53, 4727 (1993))。VEGFレセプターの一つが遺伝的に不活化されたマウスでは移植された癌の増殖が抑制される(Nature, 367, 576 (1994))。抗VEGF中和抗体が担癌マウスに対して抗腫瘍活性を示す(Nature, 362, 841 (1993)、Biochem. Biophys. Res. Commun., 194, 1234 (1993))。以上の事実から、癌細胞が分泌するVEGFは腫瘍血管新生に中心的な役割を果たすと考えられる。また、VEGFは血管透過性の亢進にも関与していることが知られており、癌性腹水・胸水貯留を引き起こす要因のひとつと考えられている。
インターロイキン8(interleukin-8; IL-8)も血管新生促進因子として知られており、子宮頸癌においては、腫瘍内に浸潤してくる腫瘍関連マクロファージ(tumor associated macrophage)から分泌され、腫瘍細胞の増殖促進に関与することが報告されている。腫瘍内で新生血管を構築する過程には、血管を裏打ちしている基底膜の分解が必要だが、この基底膜を構成しているVI型コラーゲンを分解する酵素がマトリクスメタロプロテアーゼ(matrix metalloproteinase; MMP)ファミリーの中でゼラチナーゼ群に属するMMP-2およびMMP-9であり、これらも血管新生促進因子として知られている。
下記式1で表される3-[(1S)-1-(2-フルオロビフェニル-4-イル)エチル]-5-{[アミノ(モルフォリン-4-イル)メチレン]アミノ}イソキサゾール(以下、「化合物1」、または「リマカリブ」(rimacalib)とも称する)は、関節リウマチに代表される自己免疫疾患の予防剤および/または治療剤として有用であることが知られている(例えば、特許文献1〜2参照)。また、リマカリブにはCaMKII阻害作用があることも知られている(例えば、特許文献2参照)。
Figure 2010013387
しかしながら、これら文献には、リマカリブの血管新生阻害作用については記載されていない。
また、CaMKII阻害作用のある化合物として、下記式2で表されるKN-93(N-(2-[N-[4-クロロシンナミル]-N-メチルアミノメチル]フェニル)-N-(2-ヒドロキシエチル)-4-メトキシベンゼンスルホンアミド)(以下、「化合物2」とも称する)が知られている。(特許文献3、非特許文献1)
Figure 2010013387
特許第3237608号明細書 国際公開第2006/049215号パンフレット 特開平6−293730号公報 Biochem Biophys Res Commun 1991; 181(3):p.968-75
本発明の課題は、抗癌剤等として望ましい特性を有する、新たな血管新生阻害剤を提供することにある。
本発明者らは、CaMKII阻害剤であるリマカリブおよびKN-93について、その作用を詳細に研究する中で、思いがけず、これら化合物がVEGF、IL-8およびMMP-9等の血管新生促進因子の産生を阻害することを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下を提供する。
[1]リマカリブまたはその薬学上許容される塩を有効成分として含有する、血管新生促進因子産生阻害剤。
[2]血管新生促進因子が、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、IL−8およびMMP−9からなる群より選ばれる因子である、上記[1]記載の阻害剤。
[3]リマカリブまたはその薬学上許容される塩を有効成分として含有する、血管新生阻害剤。
[4]リマカリブまたはその薬学上許容される塩を有効成分として含有する、血管新生を伴う疾患の治療剤。
[5]血管新生を伴う疾患が下記から選ばれるいずれかの疾患である上記[4]記載の治療剤:
癌疾患、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、加齢黄斑変性症、血管新生緑内障、慢性気管支炎、粥状動脈硬化症、および心筋梗塞。
[6]血管新生を伴う疾患が癌疾患である上記[5]記載の治療剤。
[7]癌疾患が固形腫瘍又は血管腫である上記[6]記載の治療剤。
[8]血管新生を伴う疾患が眼科疾患である上記[5]記載の治療剤。
[9]血管新生を伴う疾患が糖尿病性網膜症である上記[5]記載の治療剤。
[10]リマカリブまたはその薬学上許容される塩を有効成分として含有する、血管透過性の亢進を伴う疾患の治療剤。
[11]血管透過性の亢進を伴う疾患が癌性腹水または胸水貯留である上記[10]記載の治療剤。
[12]血管新生を伴う疾患の治療剤の製造のための、リマカリブまたはその薬学上許容される塩の使用。
[13]哺乳動物に対して、有効量のリマカリブまたはその薬学上許容される塩を投与することを含む、血管新生を伴う疾患の治療方法。
[14]CaMKII阻害剤を有効成分として含有する、血管新生阻害剤。
本発明の血管新生促進因子産生阻害剤は、癌に代表される血管新生を伴う疾患等の治療薬として有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明では、その有効成分として、式1で表されるリマカリブまたはその薬学上許容される塩、および式2で表されるKN-93のいずれも用いることができる(以下、これらを合わせて「本発明の有効成分」と称する)。これら本発明の有効成分は、いずれもCaMKII阻害作用を有する。
リマカリブの薬学上許容される塩としては、酸付加塩および塩基付加塩が挙げられる。酸付加塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、カンファー−スルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。塩基付加塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等の無機塩基塩、トリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、ジイソプロピルアンモニウム塩等の有機塩基塩等が挙げられる。
これらの物質(本発明の有効成分)について通常用いられる一般的な医薬組成物(医薬製剤)の形態に調製することができ、その形態に応じて経口または非経口的に投与することができる。なお、リマカリブまたはその薬学上許容される塩を用いる場合には、経口的投与および非経口投与のいずれも可能であり、患者の負担の観点からは経口的投与が好ましい。一方、KN-93を用いる場合には、注射や点滴等の非経口投与が好ましい。具体的には以下のような投与形態、及び投与方法が挙げられる。
本発明の血管新生促進因子産生阻害剤、血管新生阻害剤、血管新生を伴う疾患の治療剤、および血管透過性の亢進を伴う疾患の治療剤の投与形態としては、その代表的なものとして錠剤、丸剤、散剤、粉末剤、顆粒剤及びカプセル剤等の固形製剤や、溶液、懸濁液、乳液、シロップ及びエリキシルなどの液剤などの形態を挙げることができる。これらの各種形態は、投与経路に応じて経口投与剤の他、経鼻剤、経皮剤、直腸投与剤(坐剤)、舌下剤、経膣剤、注射剤(経静脈、経動脈、経筋肉、皮下、皮内)や点滴剤等の非経口投与剤に分類することができる。例えば、経口投与剤としては、例えば錠剤、丸剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、カプセル剤、溶液、懸濁液、乳液、及びシロップ等が、又は直腸投与剤や経膣剤としては、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤などの形態を採ることができる。経皮剤としては、例えばローション等の液剤の他、クリームや軟膏等の半固形剤の形態を採ることもできる。
注射剤としては、例えば溶液、懸濁液または乳剤等の形態を採ることができ、具体的には無菌処理した水、水−プロピレングリコール溶液、緩衝化液、0.4重量%濃度の生理食塩水等を例示することができる。さらに注射剤は、液剤に調製した後、凍結処理又は凍結乾燥処理されていてもよく、これにより保存することができる。後者の凍結乾燥処理で調製される凍結乾燥製剤は、用時に注射用蒸留水などを加え、再溶解して使用される。
上記の医薬組成物(医薬製剤)の形態には、当該分野で行われている通常の手法により、本発明の有効成分と薬学的に許容される担体とを配合することによって調製される。薬学的に許容される担体としては、賦形剤、希釈剤、充填剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤、滑沢剤及び分散剤などを例示することができる。また、さらに当該分野において通常用いられる添加剤を配合することもできる。かかる添加剤は、調製する医薬組成物の形態に応じて、例えば安定化剤、殺菌剤、緩衝剤、増粘剤、pH調整剤、乳化剤、懸濁化剤、防腐剤、香料、着色料、張度調節剤、キレート剤、界面活性剤などの中から適宜選択して用いることができる。
このような形態を有する医薬組成物は、目的とする疾患、標的臓器等に応じた適当な投与経路により投与され得る。例えば、経口投与、あるいは静脈、動脈、皮下、皮内または筋肉内に投与するか、又は病変の認められる組織そのものに直接局所投与してもよいし、また経皮投与や直腸投与も可能である。
これらの医薬組成物における本発明の有効成分の投与量や投与回数は、投与形態、患者の疾患やその病状の程度、患者の年令、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ等、あるいはその他の要因を考慮して決められる。典型的には、リマカリブまたはその薬学上許容される塩における一日投与量は、例えば成人に対し1日あたり有効成分の量として約1〜約1000mgの範囲、好ましくは約30〜約500mgの範囲、さらに好ましくは約40〜約300mgの範囲を1日1回または数回に分けて投与することができる。また、投与サイクルを1週間として1週間毎に1回、または2〜3回に分けて投与することもできる。また、KN-93における一日投与量は、例えば成人に対し1日あたり有効成分の量として約1〜約1000mgの範囲、好ましくは約10〜約500mgの範囲、さらに好ましくは約20〜約300mgの範囲を1日1回または数回に分けて投与することができる。
本発明の治療対象となる血管新生を伴う疾患としては、固形腫瘍、血管腫、腫瘍の増殖または転移等の癌疾患;糖尿病性網膜症(特に増殖性糖尿病性網膜症)、未熟児網膜症、加齢黄斑変性症(特に滲出型加齢黄斑変性症)、血管新生緑内障などの眼科疾患;慢性気管支炎などの呼吸器系疾患;粥状動脈硬化症、心筋梗塞などの心血管系疾患などがあげられる。好ましくは癌疾患または糖尿病性網膜症があげられる。
なお、本発明において血管新生を伴う疾患の「治療剤」という場合には、発症後その症状を軽減若しくは改善する作用(症状緩和作用、症状改善作用)、病態の進行または進展を抑制する作用(進行抑制作用、進展抑制作用)、または疾患を治癒する作用(治癒作用)のいずれかの作用があればよい。その意味で、本発明の「血管新生を伴う疾患の治療剤」には、血管新生を伴う疾患の症状緩和剤、症状改善剤、進行抑制剤および進展抑制剤などが含まれる。
本発明の「血管新生を伴う疾患の治療剤」については、以下に例示する種々のin vivo試験、その他公知の疾患モデル動物を用いた試験等により、さらにその治療効果を確認することができる。
・高酸素負荷誘発網膜血管新生法による血管新生阻害試験(例えば、特開2002-255800に記載の方法)
・担癌ヌードマウスを用いた腫瘍増殖抑制試験(例えば、WO02/060453、WO2003/077932などに記載の方法)
また、本発明の治療対象となる血管透過性の亢進を伴う疾患としては、癌性腹水または胸水貯留などがあげられる。これら疾患においては、VEGFに起因する血管透過性の亢進を伴っているため、本発明のVEGF産生阻害剤を用いた改善効果、および治療効果が期待できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例において、下記の化合物を使用した。
リマカリブ(rimacalib、化合物1):3-[(1S)-1-(2-フルオロビフェニル-4-イル)エチル]-5-{[アミノ(モルフォリン-4-イル)メチレン]アミノ}イソキサゾール(例えば、特許第3237608号明細書に記載の方法に従って合成できる)
式1:
Figure 2010013387

KN-93(化合物2):N-(2-[N-[4-クロロシンナミル]-N-メチルアミノメチル]フェニル)-N-(2-ヒドロキシエチル)-4-メトキシベンゼンスルホンアミド(特開平6−293730号公報に記載の方法に従って合成できる)
式2:
Figure 2010013387
実施例1
マクロファージ細胞へ分化させたヒト単球細胞株THP−1細胞を用いた、血管新生促進因子VEGF、IL−8およびMMP−9産生に及ぼす影響の検討
ヒト単球細胞株THP−1細胞は、25 mM HEPES、200 nMグルタミン、100 mMピルビン酸ナトリウム、10 mg/mlゲンタマイシン、0.05 M β-メルカプトエタノール、2.2 μg/mlファンギゾン、10% Fetal Calf Serum (FCS)を含むRPMI1640培地(例えばSIGMA社より購入できる)(以下、増殖培地)を用いて培養した。細胞は5 x 106 cells/ml/wellに調製し12-well plateへ播種し、20nM ホルボール-12-ミリステート-13-アセテート(PMA)(例えばSIGMA社より購入できる)を添加し3日間培養することによりマクロファージ細胞へ分化させた。試験化合物は最終添加濃度の1000倍になるようにDMSOに溶解した後、1% FCSを含むRPMI1640培地で希釈した。様々な濃度に段階希釈した試験化合物溶液または無刺激および刺激対照の細胞にはDMSOのみを希釈した1% FCSを含むRPMI1640培地へ培地を交換したが、どの細胞へも最終添加DMSO濃度は0.1%になるように調整した。30分間前処理した後、最終濃度1μg/mlとなるように1% FCSを含むRPMI1640培地で希釈したリポ多糖(LPS)(例えばSIGMA社より購入できる)を添加し更に48時間培養した。培養上清中に産生されたVEGF、IL−8およびMMP−9をELISA法により検出した。
その結果、化合物1および化合物2は活性化したヒトマクロファージTHP−1細胞からの血管新生促進因子VEGFおよびIL−8の産生を用量依存的に抑制した。また、血管周囲の基底膜を分解することにより血管新生を促進するMMP−9の産生も用量依存的に抑制した。
実施例2
関節リウマチ患者の滑液から単離したマクロファージ細胞を用いた、血管新生促進因子VEGFおよびMMP−9産生に及ぼす影響の検討
滑液はインフォームド・コンセントを得た6人の活動性関節リウマチ患者の関節から採取した。患者から採取した滑液は等量の10 mg/mlゲンタマイシンを含むRPMI1640培地で希釈し、リンパ球分離液Lymphoprep(登録商標、例えば第一化学薬品株式会社より購入できる)を用いて密度勾配法により単球細胞画分を分取した。単球細胞は、2% human serumを含むRPMI1640培地を用いて、5 x 106 cells/ml/wellに調製し12-well plateへ播種し2時間培養した。プレートへ付着した細胞をマクロファージ細胞として実験に使用した。実施例1と同様に調製した試験化合物溶液へ培地を交換し30分間前処理した。その後、VEGFの産生は最終濃度1μg/mlとなるように1% FCSを含むRPMI1640培地で希釈したリポ多糖(LPS)を添加し更に48時間培養した。MMP−9の産生はLPSを添加せず、無刺激のまま48時間培養した。それぞれ培養上清中に産生されたVEGFおよびMMP−9をELISA法により検出した。
その結果、化合物1および化合物2は活性化した活動性関節リウマチ患者の滑液中マクロファージ細胞からの血管新生促進因子VEGF産生を用量依存的に抑制した。また、血管新生の促進に関与するMMP−9の産生も用量依存的に抑制した。
以上、実施例1および2から明らかなように、CaMKII阻害という同一の作用を有し、全く異なる構造を有する2つの化合物(リマカリブおよびKN-93)が、いずれも血管新生促進因子の産生を抑制した。これらの知見より、CaMKII阻害剤は、血管新生促進因子産生阻害剤、血管新生阻害剤、血管新生を伴う疾患の治療剤、および血管透過性の亢進を伴う疾患の治療剤として有用であることがわかった。
本発明により、癌疾患に代表される血管新生を伴う疾患の治療剤等として有用な医薬品を提供することができる。
図1は、マクロファージ細胞へ分化させたヒト単球細胞株THP−1細胞をLPS刺激した際に産生される血管新生因子の産生量を示すグラフである。縦軸に各VEGFの産生量、横軸に試験化合物処理細胞群を示す。グラフは4実験の平均値および標準誤差を示す。図中、BLはDMSOのみで処理した無刺激細胞群、LPSは刺激細胞群を表す。 図2は、図1同様の実験において、縦軸にIL−8の産生量を示すグラフである。4実験の平均値および標準誤差を示す。図中の記号の意味は図1と同様である。 図3は、図1同様の実験において、縦軸にMMP−9の産生量を示すグラフである。4実験の平均値および標準誤差を示す。図中の記号の意味は図1と同様である。 図4は、活動性関節リウマチ患者滑液から単離したマクロファージ細胞をLPS刺激した際あるいは無刺激時に産生される血管新生因子の産生量を示すグラフである。縦軸にVEGFの産生量、横軸に試験化合物処理細胞群を示す。6実験の平均値および標準誤差を示す。図中、BLはDMSOのみで処理した無刺激細胞群、LPSは刺激細胞群を表す。 図5は、図4同様の実験において、縦軸にMMP−9の産生量を示すグラフである。3実験の平均値および標準誤差を示す。図中の記号の意味は図4と同様である。

Claims (14)

  1. リマカリブまたはその薬学上許容される塩を有効成分として含有する、血管新生促進因子産生阻害剤。
  2. 血管新生促進因子が、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、IL−8およびMMP−9からなる群より選ばれる因子である、請求項1記載の阻害剤。
  3. リマカリブまたはその薬学上許容される塩を有効成分として含有する、血管新生阻害剤。
  4. リマカリブまたはその薬学上許容される塩を有効成分として含有する、血管新生を伴う疾患の治療剤。
  5. 血管新生を伴う疾患が下記から選ばれるいずれかの疾患である請求項4記載の治療剤:
    癌疾患、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、加齢黄斑変性症、血管新生緑内障、慢性気管支炎、粥状動脈硬化症、および心筋梗塞。
  6. 血管新生を伴う疾患が癌疾患である請求項5記載の治療剤。
  7. 癌疾患が固形腫瘍又は血管腫である請求項6記載の治療剤。
  8. 血管新生を伴う疾患が眼科疾患である請求項5記載の治療剤。
  9. 血管新生を伴う疾患が糖尿病性網膜症である請求項5記載の治療剤。
  10. リマカリブまたはその薬学上許容される塩を有効成分として含有する、血管透過性の亢進を伴う疾患の治療剤。
  11. 血管透過性の亢進を伴う疾患が癌性腹水または胸水貯留である請求項10記載の治療剤。
  12. 血管新生を伴う疾患の治療剤の製造のための、リマカリブまたはその薬学上許容される塩の使用。
  13. 哺乳動物に対して、有効量のリマカリブまたはその薬学上許容される塩を投与することを含む、血管新生を伴う疾患の治療方法。
  14. CaMKII阻害剤を有効成分として含有する、血管新生阻害剤。
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