JP2010010632A - 超電導コイル - Google Patents

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Abstract

【課題】コイル異常による電圧の発生を早期に、かつ確実に検出することができ、また、低コストかつ簡素な構造でコイル異常の検出が可能な超電導コイルを提供する。
【解決手段】超電導線材20を巻回して形成された超電導コイル1において、超電導線材20には、所定長さ以上の長さを有する少なくとも一以上の低臨界電流領域20bが形成され、低臨界電流領域20bは、超電導線材20における低臨界電流領域20b以外の領域20aよりも臨界電流値が低く設定された。
【選択図】 図3

Description

本発明は、超電導コイルに係り、特に、コイル異常の検出が可能な超電導コイルに関する。
従来の超電導コイル装置では、超電導コイルに発生するクエンチを代表とするコイル異常時において、超電導コイルを保護する機構を一般的に有している。その際のコイル異常を検出する手段として、超電導コイル内の電圧の測定が用いられることが一般的である。
超電導コイル装置は、測定された超電導コイル内の電圧がある閾値を超えたときに異常と判断するための異常検出器を有している。超電導コイル装置は、この異常検出器から供給された信号に従って、超電導コイルに蓄積された電磁エネルギを放出するための保護動作を行っている。
従来の金属系超電導コイルでは、クエンチ伝播速度が速いため、クエンチが発生すると瞬時に数ボルトのオーダー以上の電圧が発生し、電圧の測定によるコイル異常の検出感度は十分であった。
一方、高温超電導コイルのクエンチ伝播速度は、金属系超電導コイルの数100分の1未満であることが一般的である。このため、クエンチなどのコイル異常が発生しても大きな電圧発生には至らず、電圧の測定によるコイル異常の検出は困難である。
例えば、超電導磁気エネルギ貯蔵装置(SMES;Supercinduction Magnetic Energy Storage System)や核融合を用途とする大型の超電導コイルでは種々のノイズによる影響を受けることにより、また限流器や変圧器など交流用コイルでは誘導電圧による影響を受けることにより、電圧の測定によるコイル異常を検出することが困難である。
これに対処するため、高温超電導コイルのコイル異常検出手段として、超電導コイルの誘導電圧成分を除去することにより、クエンチによって発生する抵抗性の電圧成分を極力高S/N比で取り出す方策が講じられてきた(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−21624号公報
特許文献1に開示された技術は、誘導電圧成分によるノイズは除去できるが、不規則に入ってくるノイズを除去することはできなかった。また、超電導コイルの大型化に伴い、電圧の測定によるコイル異常を高感度に検出することが困難であるという課題があった。
また、特許文献1に開示された技術は、クエンチを検出する検出回路系が複雑であり、製作コストが高くなるという課題もあった。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、電圧の測定によるコイル異常の検出を早期に、かつ確実に行うことができる高温超電導コイルを提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、低コストかつ簡素な構造でコイル異常の検出が可能な超電導コイルを提供するにある。
本発明に係る超電導コイルは、上述した課題を解決するために、超電導線材を巻回して形成された超電導コイルにおいて、前記超電導線材には、所定長さ以上の長さを有する少なくとも一以上の低臨界電流領域が形成され、前記低臨界電流領域は、前記超電導線材における前記低臨界電流領域以外の領域よりも臨界電流値が低く設定されたことを特徴とする。
本発明に係る超電導コイルは、コイル異常による電圧の発生を早期に、かつ確実に検出することができる。また、本発明に係る超電導コイルは、低コストかつ簡素な構造で好適にコイル異常の検出を行うことができる。
本発明に係る超電導コイルの実施形態を添付図面に基づいて説明する。実施形態においては、本発明に係る超電導コイルを、高温超電導コイルに適用して説明する。また、本実施形態における超電導コイルの説明中に示された数値は、一例であって、本発明はこれに限定されるものではない。
[第一実施形態]
本発明に係る超電導コイルの第一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における高温超電導コイルが設けられた高温超電導コイル装置を示す概略的な構成図である。
この高温超電導コイル装置は、高温超電導コイル1と、真空容器2と、冷凍機3と、電源4と、電圧計測部5と、電流制御部6とを備える。
高温超電導コイル1は、たとえば酸化物系の高温超電導線材20が巻回されることにより形成される。高温超電導線材20は、例えばビスマス系(例えば、Bi2223相型、Bi2212相型)、イットリウム系(例えば、YBCO系)、タリウム(Tl)系、水銀(Hg)系が用いられる。本実施形態においては、イットリウム系の高温超電導線材を適用して説明する。なお、金属系超電導線材を適用してもよい。
高温超電導線材の詳細は、後述する。
真空容器2は、高温超電導コイル1を収容し、高温超電導コイル1を取り巻く環境を真空状態に保持する。
冷凍機3は、多段式に構成された冷却構造を有しており、冷却板7を介して高温超電導コイル1と熱的に接続される。冷凍機3の1段ステージ3aと2段ステージ3bとは、真空容器2内に設けられた熱シールド8により断熱される。冷凍機3の2段ステージ3bは、高温超電導コイル1と接続された冷却板7と接続される。
電源4は、高温超電導コイル1を励磁させるために設けられる。高温超電導コイル1の両端の電極部分に接続された電流リード10を介して高温超電導コイル1と電気的に接続される。この際、電流リード10と真空容器2とは電気的に絶縁される。なお、電源4は高温超電導コイル1を励磁できるものであれば、どのようなものであってもよい。
電圧計測部5は、電流リード10を介して高温超電導コイル1の両端に接続され、この両端の電圧の計測を行う。また、電圧計測部5は、このコイル両端電圧がある閾値を超えた場合に、コイル異常を検出する。高温超電導コイル1の両端電圧の閾値は、高温超電導コイル1の高温超電導線材20の種類(材質)、臨界温度や、高温超電導コイル装置の運転温度などに応じて決定される。
電流制御部6は、電圧計測部5より供給された高温超電導コイル1の両端電圧の計測値を受け取り、その計測値に基づいて高温超電導コイル1に流れる電流を制御する。例えば、電流制御部6は、電圧計測部5より供給されたコイル両端電圧の計測値が所定の閾値を超えている場合、急激に電源4の出力電流を低下若しくは電流の供給を遮断させる。
図2は、本実施形態における高温超電導線材を示す図であり、(A)は高温超電導線材の内部の構成例を示す図であり、(B)は高温超電導線材の外観の構成例を示す図である。
高温超電導線材20は、図2(A)に示すように、安定化銅21、基板22、中間層23、超電導層24および安定化銅21が順次積層された構造を有する。
安定化銅21は、低抵抗層として設けられ、熱伝達効率のよい銅、銀などの物質で構成される。安定化銅21は、外部電極と接触する箇所であり、超電導層を保護し、高温超電導線材20における熱の伝達を行う。また、イットリウム系の高温超電導体で構成された超電導層24は、中間層23を介して基板22に支持される。基板22は、超電導層24を支え、高温超電導線材20の機械強度を担う機能を有する。高温超電導線材20は、テープ線状形状であっても、丸線形状、楕円形状、複数の素線から形成されたより線形状などいかなる形状であってもよい。
このように構成された高温超電導線材20は、長尺な一条の線材として構成され、その一部に相対的に低い臨界電流値を有する高温超電導線材20bで形成された低臨界電流領域が設けられる。以下、高温超電導コイル1における高温超電導線材20bにより形成される領域、すなわち臨界電流値が相対的に低い領域を、「低臨界電流領域」という。なお、本実施形態における臨界電流値は、高温超電導線材1cmあたり1μVの電圧が発生したときの電流値とする。
一例として、図2(B)に示す高温超電導線材20は、一条の全長が約460mであって、このうち高温超電導線材20aよりも低い臨界電流値を有する高温超電導線材20bが約3m設けられる。
高温超電導線材20の大部分を占める高温超電導線材20aは、長手方向の平均的な臨界電流値(77K、0T)が270Aであり、図示右側に位置する高温超電導線材20aは長さ452m、図示左側に位置する他の高温超電導線材20aは長さ5mで構成される。
なお、高温超電導線材20aは、高温超電導線材20aの製造過程などにおいて発生した劣化を模擬するため、臨界電流値(77K、0T)が243Aの領域50mmを形成した。また、高温超電導線材20aにおける臨界電流値が243Aの領域50mm以外の領域においては、臨界電流値の分布が平均的な臨界電流値270Aに対して±5%未満とした。
低臨界電流領域として高温超電導線材20の一部を構成する高温超電導線材20bは、長手方向の平均的な臨界電流値(77K、0T)が243Aであり、長さ3mで構成される。高温超電導線材20bの長さは、高温超電導線材20aとの両端の接続部位の長さを除いた長さとする。
高温超電導線材20bは、臨界電流値を意図的に低減させるために高温超電導線材20aと同様のコイル特性を有する高温超電導線材に加工が施されている。例えば、高温超電導線材20bは、高温超電導線材20aと同等のコイル特性を有する高温超電導線材を直径10mmのボビンに巻き付けてこの高温超電導線材に意図的に歪を加え、臨界電流値を10%程度劣化させることにより生成した。
高温超電導線材20bは、5mの高温超電導線材20aと452mの高温超電導線材20aとの間に電気的に接続される。接続手段としては、例えば、半田付けなどが用いられる。
図3は、本実施形態における高温超電導コイルの構成を示す図である。
高温超電導コイル1は、高温超電導線材が渦巻状に巻かれることにより形成されたシングルパンケーキコイル25a、25bで形成される。この高温超電導コイル1は、例えば高温超電導線材が121ターン巻かれたシングルパンケーキコイル25a、25bを積層し、それぞれのシングルパンケーキコイル25a、25bの最内周部を電気的に直列に接続して形成される。シングルパンケーキコイル25aは、図4に示すシングルパンケーキコイルであり、図2(b)に示す高温超電導線材20bで形成された低臨界電流領域を含む高温超電導線材20で構成されている。シングルパンケーキコイル25bは、高温超電導線材20aと同等のコイル特性を有する、臨界電流値(77K、0T)が270Aである460mの高温超電導線材のみで構成されている。
図3においては、高温超電導線材20bで形成された低臨界電流領域は、例えば高温超電導コイル1の内径側に位置するように配置されている。
なお、高温超電導コイル1は、この巻数、層数、配置に限られず、高温超電導線材20bを含む低臨界電流領域を含む高温超電導線材20により形成された高温超電導コイルであればよい。
次に、本実施形態における高温超電導コイルの作用について説明する。
高温超電導コイル装置は、真空中における伝導冷却により高温超電導コイル1を20Kに冷却し、さらに高温超電導コイル1に1500Aの直流電流を通電して運転を行う。このとき、高温超電導コイル装置の冷凍手段の異常や、急激な真空劣化に伴う熱侵入の増加などにより、高温超電導コイル1の温度が上昇する事態が発生する場合がある。
このとき、高温超電導コイル1内部に存在する臨界電流分布などによる影響で、電圧発生の起点が劣化などにより生じた短い領域(例えば、高温超電導線材20において劣化を模擬して設けられた50mmの領域)であった場合、高温超電導コイル1の電圧は、コイル異常と判定するコイル両端電圧の閾値(例えば100mV)に達するのに時間がかかってしまう。このため、コイル両端電圧が閾値に達してコイル異常であると検出されたときには、すでに高温超電導コイル1内部の温度が高温超電導コイル1の許容温度を超えており、高温超電導コイル1に溶断などの損傷が発生する可能性がある。
これに対し、本実施形態における高温超電導コイル1には、高温超電導コイル1に他の高温超電導線材20aよりも臨界電流値が低い高温超電導線材20bで形成された低臨界電流領域が設けられている。このため、冷凍手段の異常などによりコイル温度が上昇した場合、臨界電流値が相対的に低い低臨界電流領域を起点に電圧が発生する。すなわち、高温超電導線材20における高温超電導線材20bは、高温超電導コイル1の温度上昇などに伴いコイル異常が発生したと判定を行う閾値の電圧を意図的に発生させ、コイル異常を早期に検出することができるセンサとして作用する。
高温超電導コイル装置の通電時において、100mV以上の電圧が100ms以上発生したときにコイル異常が発生したと想定し、直流電流を1500Aから0Aまで1秒で線形的に減衰させる電源制御を行った。なお、高温超電導コイル1の許容温度は200Kとする。
図5は、本実施形態における高温超電導コイルのコイル異常検出後における高温超電導コイル内部の最高温度の時間履歴を示す図である。
図5に示すように、コイル異常の発生後、電源制御を行った際の高温超電導コイル1の最高温度は64Kであり、コイル異常発生後の高温超電導コイル1の最高温度は許容温度200Kを大きく下回った。すなわち、高温超電導コイル1の温度が許容温度に達する前に、低臨界電流領域を形成する高温超電導線材20bで発生した電圧が早期に検出され、その後の電源制御などのコイル異常に対する対処を行うことができた。
次に、高温超電導線材20に設けられた高温超電導線材20bの必要長について検討する。
1条の全長が約460mである高温超電導線材20における低臨界電流領域を形成する高温超電導線材20bの長さを、1.5m、0.38m、0.19m、0.094m、0.047mとしてそれぞれ高温超電導線材20を形成した。高温超電導線材20bの長さは、高温超電導線材20aとの接続部位の長さを除いた長さとする。なお、高温超電導線材20の全長が460mとなるように、適宜、高温超電導線材20aの長さが調整される。また、高温超電導コイル1の許容温度は200Kとする。
図6は、本実施形態における高温超電導コイルに形成された低臨界電流領域の長さとコイル異常発生後の高温超電導コイルの最高温度との関係を示す図である。
低臨界電流領域を形成した高温超電導線材20bの長さを1.5m、0.38m、0.19m、0.094m、0.047mとした場合、コイル異常の発生後、電源制御を行った際の高温超電導コイル1の最高温度は、それぞれ65K、87K、131K、160K、210Kとなった。
この結果より、図6に示すように、高温超電導コイル1の最高温度が高温超電導コイル1の許容温度に達する前に、コイル異常の検出およびその後の対処が可能である高温超電導線材20bの長さは、約60mmとなることがわかった。
すなわち、低臨界電流領域を形成した高温超電導線材20bにおいて、早期に検出可能な電圧を発生させるためには、所定長さ以上の長さが必須であることがわかった。この高温超電導線材20bの所定長さは、高温超電導線材20bの臨界電流値、許容温度を始め、高温超電導コイル1を形成する高温超電導線材20の種類(材質)、臨界温度や、高温超電導コイル1の巻数、層数、寸法や、高温超電導コイル装置の運転温度など、種々の設計条件に応じて決定される。なお、高温超電導線材20bの所定長さは、高温超電導線材20aの合計の長さよりも短い長さで構成されるのが、高温超電導コイル1の性能上好ましい。
次に、比較のために、高温超電導線材20bを含まない比較用の高温超電導コイルに対しコイル異常が発生した場合の電源制御を行った。比較用の高温超電導コイルは、本実施形態における高温超電導コイル1と同様に、所定の高温超電導線材が121ターン巻回されたシングルパンケーキコイルを二層積層し、それぞれのシングルパンケーキコイルの最内周部を電気的に直列に接続して形成した。
一のシングルパンケーキコイルは、長手方向の平均的な臨界電流値(77K、0T)が270Aである460mの高温超電導線材で形成される。また、この高温超電導線材の一部には、本実施形態における高温超電導線材20aと同様に、劣化を模擬するため臨界電流値(77K、0T)が243Aの領域50mmを形成した。他のシングルパンケーキコイルは、高温超電導コイル1のシングルパンケーキコイル25bと同様に、長手方向の平均的な臨界電流値(77K、0T)が270Aである460mの高温超電導線材で形成した。
すなわち、比較用の高温超電導コイルと本実施形態における高温超電導コイル1との相違点は、一のシングルパンケーキコイルに低臨界電流領域を形成する高温超電導線材20bが設けられたか否かの点である。
この比較用の高温超電導コイルを備えた高温超電導コイル装置において、本実施形態における高温超電導コイル装置と同様に、上述したコイル異常の発生後の電源制御を行った。
図7は、比較用の高温超電導コイルの異常検出後における高温超電導コイル内部の最高温度の時間履歴を示す図である。
図7に示すように、コイル異常の発生後、電源制御を行った際の比較用の高温超電導コイルの最高温度は、230Kに達し、許容温度200Kを大きく上回る結果となった。また、比較用の高温超電導コイルは、急激な温度上昇に伴う熱歪による影響により臨界電流値がコイル異常発生前後で約5%低下した。
この高温超電導コイル1および高温超電導コイル装置によれば、高温超電導コイル1を形成する高温超電導線材20に、電圧発生の起点となる低臨界電流領域を意図的に設けたことにより、コイル異常による電圧の発生を早期に、かつ確実に検出することができる。このため、高温超電導コイル1が許容温度に達する前に電源制御などの保護動作を早期に実行することがでる。これに伴い、高温超電導コイル1内部の温度上昇に基づく高温超電導コイル1の損傷を回避することができる。
また、電圧を検出するための複雑な構造を必要としないため、簡素で、かつ低コストな構造を有する高温超電導コイルを用いて、好適にコイル異常の検出を行うことができる。
なお、高温超電導線材20のうち、低臨界電流領域を形成した高温超電導線材20bは意図的に歪を加える加工を施すことにより生成したが、高温超電導線材20bを切り出したり削ったりして幅を低減させて超電導層の断面積を低減させることにより、歪による特性劣化(臨界電流密度を変化)させることなく生成してもよい。また、高温超電導線材20aと同等のコイル特性を有する高温超電導コイルに加工を施すことにより高温超電導線材20bを生成したが、臨界電流値が相対的に低いコイル特性を有する高温超電導線材を高温超電導線材20bとして用いてもよい。
また、高温超電導線材20は、高温超電導線材20aと高温超電導線材20bとを電気的に接続して形成したが、図8に示すように、一条の高温超電導線材26の一部に低臨界電流領域を生成してもよい。図8は、説明の便宜上、高温超電導線材26における低臨界電流領域とそれ以外の領域との境界を点線により示した。
高温超電導線材26に高温超電導線材20aと高温超電導線材20bとの接続箇所が存在しないため、接続抵抗による発熱、接続箇所の応力集中などが発生しない点で有効である。また、高温超電導線材20aと高温超電導線材20bとを接続して高温超電導線材20を形成する場合に比べて構造が簡素であるため、生産性をも向上させることができる。
さらに、高温超電導コイル1は、高温超電導線材20における低臨界電流領域を一箇所のみ設け、かつ、低臨界電流領域が内径側に位置するように形成されたが、低臨界電流領域の個数および位置はこれに限られない。
図9は、本実施形態における高温超電導コイルの変形例を示す図である。
この高温超電導コイル1aは、高温超電導線材20bが離散的に三箇所設けられた高温超電導線材27により形成される。高温超電導コイルの大型化などに伴い、冷却手段の異常や急激な真空劣化に伴う熱侵入の増加などの異常時においては、高温超電導コイルは内部に温度分布を持ちながら全体の温度が上昇していくことが考えられる。
これに対し、図9に示すように、低臨界電流領域を形成する高温超電導線材20bを、コイル異常検出のセンサとして離散的に配置することにより、高温超電導コイル1内部の温度分布がどのように生じたとしても、コイル異常の検知に対してロバスト性を維持することが可能である。
なお、本発明に係る超電導コイルは、本実施形態において説明した構成を適宜組み合わせて構成してもよい。
[第二実施形態]
本発明に係る高温超電導コイルの第二実施形態を図10に基づいて説明する。
図10は、第二実施形態における高温超電導線材の内部の構成を示す図である。
第1実施形態と対応する構成および部分については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態における高温超電導コイルが、第一実施形態における高温超電導コイル1と相違する点は、低臨界電流領域を形成する高温超電導線材20c(第一実施形態における高温超電導線材20bに対応)を形成する安定化銅21aの厚みが、他の高温超電導線材(第一実施形態における高温超電導線材20aに対応)を形成する厚みと比較して大きい点である。
低臨界電流領域としての高温超電導線材は、コイル異常の発生時において最初に発熱する領域であるため、他の領域を形成する高温超電導線材と比較して、熱を受けやすい領域である。このため、低臨界電流領域を形成する高温超電導線材については、発熱密度が小さく、かつその発熱に伴う温度上昇を抑制できることがより望ましい。
本実施形態においては、低臨界電流領域としての高温超電導線材20cを形成する安定化銅21aの厚みを大きく形成することにより、安定化銅21aの抵抗値を小さくした。この安定化銅21aの厚みは、例えば高温超電導線材20cにさらに銅を貼り付けることなどにより構成される。
このように安定化銅21aの厚みを大きく形成して断面積を増加させると、高温超電導線材20cの単位長さあたりの抵抗値を小さくすることができる。このため、高温超電導コイルが温度上昇した際に発生する発熱を低く抑えることができ、また安定化銅21aの熱容量が増えることで発熱に対する温度上昇もより低く抑えることができる。
また、低臨界電流領域を形成する高温超電導線材20cの発熱や温度上昇に対する影響を抑制して高温超電導コイル安定性を高めることで、高温超電導コイル装置全体のシステムの安全性や信頼性をも向上させることができる。
なお、安定化銅の幅方向の長さを大きく形成して断面積を増加させることにより抵抗値を小さくしたり、安定化銅の抵抗率を下げるなど、他の手段により安定化銅21の抵抗値を小さくしたりしてもよい。
本実施形態における高温超電導コイル1は、第一実施形態において説明した高温超電導コイルと適宜組み合わせて構成してもよい。
本実施形態における超電導コイル装置を示す概略的な構成図。 本実施形態における高温超電導線材を示す図であり、(A)は高温超電導線材の内部の構成例を示す図、(B)は高温超電導線材の外観の構成例を示す図。 本実施形態における高温超電導コイルの構成を示す図。 本実施形態における高温超電導コイルを構成する一のシングルパンケーキコイルの構成を示す図。 本実施形態における高温超電導コイルの異常検出後における高温超電導コイル内部の最高温度の時間履歴を示す図。 本実施形態における高温超電導コイルに設けられた低臨界電流領域の長さとコイル異常発生後の高温超電導コイルの最高温度との関係を示す図。 比較用の高温超電導コイルの異常検出後における高温超電導コイル内部の最高温度の時間履歴を示す図。 本実施形態における高温超電導線材の変形例を示す図。 本実施形態における高温超電導コイルの変形例を示す図。 第二実施形態における高温超電導線材の内部の構成を示す図。
符号の説明
1、1a 高温超電導コイル
2 真空容器
3 冷凍機
4 電源
5 電圧計測部
6 電流制御部
7 冷却板
8 熱シールド
10 電流リード
20、20a、20b、20c、26、27 高温超電導線材
21、21a 安定化銅
22 基板
23 中間層
24 超電導層
25a、25b シングルパンケーキコイル

Claims (8)

  1. 超電導線材を巻回して形成された超電導コイルにおいて、
    前記超電導線材には、所定長さ以上の長さを有する少なくとも一以上の低臨界電流領域が形成され、
    前記低臨界電流領域は、前記超電導線材における前記低臨界電流領域以外の領域よりも臨界電流値が低く設定されたことを特徴とする超電導コイル。
  2. 前記超電導線材は、高温超電導線材であることを特徴とする請求項1記載の超電導コイル。
  3. 前記低臨界電流領域の所定長さは、前記低臨界電流領域を形成する前記超電導線材の臨界電流値と許容温度とを少なくとも含む条件に基づき決定されることを特徴とする請求項1記載の超電導コイル。
  4. 前記超電導線材は、一条または複数条の第1の超電導線材と、前記第1の超電導線材のいかなる部分における臨界電流値よりも臨界電流値が低く設定された所定長さ以上の第2の超電導線材とが直列かつ電気的に接続された超電導線材であって、
    前記第2の超電導線材は前記超電導線材における前記臨界電流領域として形成されたことを特徴とする請求項1記載の超電導コイル。
  5. 前記第2の超電導線材は、前記超電導線材の複数個所に設けられたことを特徴とする請求項4記載の超電導コイル。
  6. 前記超電導線材は、一条の超電導線材であって、
    前記低臨界電流領域は、前記低臨界電流領域以外の領域よりも前記低臨界電流が低く設定された部位を、前記一条の超電導線材の少なくとも一部に設けることにより形成されたことを特徴とする請求項1記載の超電導コイル。
  7. 前記超電導線材には、低抵抗層が設けられ、
    前記低臨界電流領域の超電導線材に設けられた前記低抵抗層は、前記超電導線材の長手方向の単位長さあたりの抵抗値が、前記低臨界電流領域以外の領域の超電導線材に設けられた前記低抵抗層よりも小さく設定されたことを特徴とする請求項1記載の超電導コイル。
  8. 前記低臨界電流領域の超電導線材に設けられた前記低抵抗層は、前記低抵抗層の断面積が、前記低臨界電流領域以外の領域の前記低抵抗層の断面積よりも大きく形成されたことを特徴とする請求項7記載の超電導コイル。
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