JP2010010425A - インダクタの製造方法 - Google Patents

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亮司 桑野
Natsuki Takehara
奈津紀 竹原
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Abstract

【課題】耐久性の高いインダクタを提供する。
【解決手段】熱硬化性樹脂と粉末状の磁性体とを含む磁性粉末22を加圧成型した磁性成型体32にコイル21が内蔵されたインダクタ36の製造方法であって、磁性成型体32を加圧成型する工程を有する製造方法を提供する。加圧成型する工程は、磁性粉末22を、コイル21を内蔵した状態で、コイル21の中心軸21sに沿って周囲より盛り上がった部分を含む第1の形状の成型体に加圧成型する第1の工程と、第1の形状の成型体を加圧し、盛り上がった部分が平面または凹面に成型された部分28を含む第2の形状の成型体32を形成する第2の工程とを含む。
【選択図】図5

Description

本発明は、インダクタの製造方法に関し、特に、コイルと磁性体とを一体成型するインダクタの製造方法に関するものである。
特許文献1には、空芯を有したコイル部と、このコイル部を内包した磁性体からなる外装部と、コイル部に接続するとともに、外装部から突出した端子とを備え、外装部は、熱硬化性樹脂を含有した結合剤と磁性粉末とを熱硬化性樹脂が完全硬化しない非加熱状態で混合するとともに加圧して成形した2個の圧粉体を、その形状をくずしながらコイル部を被覆するように再加圧成形するとともに熱硬化性樹脂が完全硬化するように加熱して成形することが記載されている。
特許文献2には、インダクタの形成において、溶接法によらないでインダクタコイルにインダクタ端子を結合させるインダクタの成形に用いるモールド及びそのモールドを用いたインダクタの形成方法が記載されている。モールドは、中空部が設けられたモールド本体部と、該モールド本体部の底部に着脱可能に固定されたモールドベース部と、コイルを挿入する挿入穴が設けられ、中空部内に挿入設置された受圧支持部とを含んで構成されている。このモールドは、インダクタ本体とインダクタ端子とを一体成型することで、インダクタ本体の内部コイルとインダクタ端子との接触面を広く設けることができる。
特開2002−252120号公報 特開2007−13176号公報
コイルと磁性体とが一体になったインダクタは、典型的には表面実装型のデバイス(SMD)として多種多様な用途に使用されつつある。そのため、種々の使用環境における耐久性のさらなる向上を含めた性能の向上が求められている。
コイルを内蔵した状態で、粉末状磁性体と熱硬化性樹脂とを含む磁性粉末を加圧成型した圧粉体(磁性成型体)を有するデバイス、典型的にはインダクタにおいて、コイルの空芯部を充填することにより、コアコイル化している部分の粉体の状態が耐久性を含めた性能の向上に影響を与える可能性があることを本願の発明者らは見出した。典型的には、加圧成型後にコイルの空芯部(中空部)を充填している部分にクラックの発生が見られる。この現象は、コイルに起因する反発力が作用していることが想定される。反発力の具体的な要因は、コイル自身の弾性、コイルの線を被覆している被覆材の弾性などが想定される。
本発明の一態様は、熱硬化性樹脂と粉末状の磁性体とを含む磁性粉末を加圧成型した磁性成型体と、その磁性成型体に内蔵されたコイルとを有するデバイスの製造方法であって、磁性成型体を加圧成型する工程を有する。典型的なデバイスはインダクタである。この加圧成型する工程は、以下の工程を含む。
(1)磁性粉末を、コイルを内蔵した状態で、コイルの中心軸に沿って盛り上がった部分を含む第1の形状の成型体に加圧成型する第1の工程。
(2)第1の形状の成型体を加圧し、盛り上がった部分が平面または凹面に成型された部分を含む第2の形状の成型体を形成する第2の工程。
この製造方法では、磁性成型体を加圧成型する工程を少なくとも2段階に分ける。第1の工程では、コイルの中心軸に沿って周囲より盛り上がった部分を含む第1の形状の成型体に加圧成型する。第2の工程では、第1の形状の成型体が、いったんプレス圧力が解放された後に、第2の工程において再度加圧される。第2の工程では、盛り上がった部分が平面または凹面に成型される。この工程において、成型体のコイルの空芯部を充填している部分に、再度十分な圧力が加えられる。したがって、コイルの空芯部を充填してコアコイル化している磁性粉末の充填状態を改善できる。例えば、第1の工程と第2の工程との間で、プレス圧力を解放することにより、コイルに起因する反発力が解放される。この際、成型体のコイルの空芯部の充填している状態が不十分になったとしても、第2の工程により改善できる。
第1の形状は、中心軸の一方の側に盛り上がった部分を含んでも良い。中心軸の両側に、盛り上がった部分を含む第1の形状は、第2の工程において、コイルの空芯部に充填された磁性粉末に対して圧力を加えやすいので好ましい。
さらに、加圧成型する工程は、以下の工程を含んでいても良い。
(3)第2の形状の成型体または第2の形状の成型体を加工した成型体を仮成型体とし、仮成型体と仮成型体に積層された金属粉末層とを、仮成型体から突き出たコイルの端末が金属粉末層に含まれた状態で加圧し、第3の形状の成型体を形成する第3の工程。
第1の形状の成型体を含む生成物(成型物、中間生成物)を中間体として提供することが可能である。また、第2の形状の成型体を磁性成型体として含む生成物を、デバイス、たとえば、インダクタとして提供することが可能である。また、第2の形状の成型体または第2の形状の成型体を加工した成型体を仮成型段階の仮成型体とし、さらに加圧成型を行った第3の成型体を磁性成型体として含む生成物を、デバイス、たとえば、インダクタとして提供することが可能である。第3の成型体にさらに加工を施した成型体を磁性成型体とし、その磁性成型体を含む生成物をデバイスとして提供することも可能である。さらに、この製造方法により製造される製品は、磁性成型体を含むインダクタ部を搭載したデバイス、インダクタ部に他の回路要素を搭載したデバイスなどであっても良い。
第1の工程および第2の工程は、典型的には、プレス金型を用いたプレス装置で実行される。第1の工程は、磁性粉末を、コイルの中心軸に沿った部分が凹んだプレス面を備えたプレス板により加圧することを含む。第2の工程は、コイルの中心軸に沿った部分も含めて平坦なプレス面またはコイルの中心軸に沿った部分が凸状のプレス面を備えたプレス板により加圧することを含む。
以下に図面を参照して、さらに詳細に説明する。コイルを内蔵した磁性体を含むインダクタが市場に流通している。これらのインダクタを切断すると、内部にクラックが発生しているものが多いことが分かった。
図1は、内部クラックが発生するメカニズムとして想定されるものの1つを示している。コイルを内蔵したインダクタは、圧縮成型法を用いて以下のように形成される。まず、図1(a)に示すように、圧縮成型(モールドプレス)用の金型19に、コイル21をセットし、被圧縮材である磁性粉末22を充填する。典型的な金型19は、磁性粉末22を充填する中空部11を形成するためのベース(モールドベース、コア)12aおよび12bと、中空部11内の磁性粉末22に圧力を加えるためのプレス板15aおよび15bとを備えている。この例では、中空部11は、両端が開放された円筒形または角筒形であり、中空部11の上下に配置されたプレス板15aおよび15bが押型となり、磁性粉末22に対して上下から圧力を加えて磁性粉末22を加圧成型する。
典型的なコイル(インダクタコイル)21は、ポリアミドイミドなどの絶縁層により被覆された銅線あるいは銅体を所定の巻数だけ巻いたものである。コイル21の端末21tは、コイル21に対して水平または垂直な方向に伸ばされている。この例では、コイル21の端末21tは水平(左右)方向に伸ばされている。端末21tを、モールドベース12aおよび12bに挿入する、または挟み込むことにより、中空部11の所定の位置にコイル21を保持できる。
磁性粉末22がインダクタを内蔵した状態で金型19により加圧成型されることにより磁性成型体が形成される。磁性粉末22は、熱硬化性樹脂と粉末状の磁性体とを含む。磁性粉末の一例は、特開2006−283190号公報に記載されているものである。特開2006−238190号公報には、磁性粉末22の製造方法の例として、磁性導電性の金属粉末(粉末状の磁性体)の表面をPHPS(ペルヒドロポリシラザン)溶液で被覆した後、有機系のバインダ溶液(熱硬化性樹脂)と、エポキシ機能性シラン又はアミノ機能性シランの単独又はそれらを混合したカップリング剤とを混合し、溶液を蒸発させて除去することが記載されている。この製造方法では、溶液が除去される際に酸化を招き、もって金属粉末の表面にシリカ膜が形成され、シリカ膜によって絶縁性を有する磁性粉末(絶縁磁性粉末)が形成される。
この磁性粉末22に用いられる粉末状の磁性体(磁性導電体金属粉末)の典型的なものは平均粒度が0.5〜10μmの乾式カルボニル鉄粉末である。熱硬化性樹脂である有機バインダの典型的なものはフェノール樹脂及びエポキシ樹脂の混合バインダである。熱硬化性樹脂は、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂あるいはこれらの混合物などであっても良い。また、粉末状の磁性体は、鉄系アモルファス合金などの他の磁性体であっても良い。さらに、磁性粉末は、上記の絶縁磁性粉末の代わりに、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂を含む結合剤と、粉末状の磁性体とを含む混合物(混和物)であっても良い。
図1(b)に示すように、金型19の中空部11に充填された磁性粉末22に対して上下のプレス板(押型)15aおよび15bにより0.5GPa〜2.0GPa程度の圧力(プレス圧力)Fを加える。さらに、図1(c)に示すように、上下のプレス板15aおよび15bを離して、磁性粉末22が所定の形状に成型されて、成型体(圧粉体、磁性成型体)25となった生成物をインダクタ90として取り出す。このインダクタ90をコイル21の空芯部21cを含む面で切断すると、成型体25のコイル21の空芯部21cを充填し、コアコイル化している部分(中心部分)26に亀裂(クラック)29が発生しているケースがある。
クラック29の発生の要因の1つは、加圧成型した後に発生する、コイル21に起因する反発力である。この反発力により、成型体25のコイル21の空芯部21cを充填した中心部分26に、上下方向の引っ張り力(張力、内部応力)が作用する。コイル21に起因する反発力の主な要因は、コイル21の銅線を被覆する絶縁層の弾性であると考えられている。すなわち、加圧成型時に1.0GPa程度のプレス圧力により絶縁層が圧縮されて縮む。ポリアミドイミドなどの絶縁層は弾性係数の比較的大きな樹脂系の素材であることが多く、プレス圧力から解放されると絶縁層が元の状態(厚さ)に戻ろうとする。その復元力(弾性力)が内部応力となって、成型体25の中心部分26に作用する。
[第1の実施形態]
図2および図3に、本発明の第1の実施形態のインダクタの製造方法を示している。この製造方法は、磁性粉末22を所定の形状に加圧成型して磁性成型体を形成する工程を、図2に示す第1の工程と、図3に示す第2の工程に分けている。図2(a)〜(c)に示す第1の工程は、磁性粉末22を、コイル21を内蔵した状態で、コイル21の中心軸21sに沿って周囲より盛り上がった部分27を含む第1の形状の成型体31に加圧成型し、その成型体31を含む第1の生成物35を形成することを含む。図4に第1の生成物35の概要を示している。
図3(a)〜(c)に示す第2の工程は、第1の形状の成型体31を再加圧し、盛り上がった部分27が平面に成型された部分28を含む第2の形状の成型体32に形成する。そして、第2の形状の成型体32を備えた第2の生成物であるインダクタ36を製造する。図5に第2の生成物であるインダクタ36の概要を示している。このインダクタ36は、第2の形状の成型体32を成型後、成型体32を加熱して磁性成型体として固め、さらに成型体32から水平方向に突き出たコイル端子21tを表面実装のために下側に折り曲げて製品化している。
図2(a)〜(c)に示した第1の工程においては、まず、図2(a)に示すように、圧縮成型(モールドプレス)用の金型10aに、コイル21をセットし、被圧縮材である磁性粉末22を充填する。金型10aは、金型19と同様に開放型であり、磁性粉末22を充填する角筒形の中空部11を形成するためのベース12aおよび12bと、中空部11内を上下に動いて磁性粉末22に上下方向から圧力を加えるためのプレス板(押型)16aおよび16bとを備えている。中空部11の上下に配置されたプレス板16aおよび16bは、コイル21の中心軸21sに沿った部分16cが、上下方向にそれぞれ凹んだ(窪んだまたは後退した)プレス面16sをそれぞれ備えている。
コイル21は、ベース12aおよび12bに端末21tをセットすることにより、中空部11の所定の位置および高さに固定される。磁性粉末22は、中空部11の内部の、下側のプレス板16bのプレス面16sの上に、コイル21が埋没する所定の高さ(厚み)となるまで充填される。
図2(b)に示すように、上下のプレス板16aおよび16bに圧力F1を印加し、磁性粉末22を加圧成型する。第1の工程で加えられるプレス圧力F1は、0.5GPa〜2.0GPa程度であり、第2の工程で加えられるプレス圧力F2より小さいことが望ましい。さらに、図2(c)に示すようにて、上下のプレス板16aおよび16bを離す。これにより、磁性粉末22が第1の形状に成型された成型体(圧粉体)31を含む第1の生成物35を形成できる。成型体31には、コイル21が内蔵(内包)されている。
この製造方法において、第1の生成物35を金型10aから取り出す必要はない。参考に、図4に、第1の生成物35を中間生成物(中間体)として取り出した概要を示している。第1の形状に成型された成型体31は、全体はほぼ直方体である。内蔵したコイル21の中心軸21sに垂直な上下の面31aおよび31bの輪郭は一辺が数mm〜数cm程度の正方形である。それら上下の面31aおよび31bの、コイル21の中心軸21sに沿った中央部分27が周囲より上下方向にそれぞれ盛り上がっている。
図3(a)〜(c)に示す第2の工程においては、図3(a)に示すように、金型10bにより、第1の形状に成型された成型体31をさらに加圧する。金型10bは、金型10aの上下のプレス板16aおよび16bを異なる形状のプレス板(押型)17aおよび17bに替えたものであり、第1の工程において形成した生成物35をベース12aおよび12bに保持した状態で、第2の工程に移行できる。プレス板17aおよび17bは、コイル21の中心軸21sに沿った部分17cも含めて平坦なプレス面17sをそれぞれ備えている。
図3(b)に示すように、上下のプレス板17aおよび17bに圧力F2を印加し、第1の形状の成型体31を加圧する。第2の工程で加えられるプレス圧力F2は、0.5GPa〜2.0GPa程度であり、第1の工程で加えられるプレス圧力F1より大きいことが望ましい。さらに、図3(c)に示すように、上下のプレス板17aおよび17bを離す。この例では、磁性粉末22が最終的に第2の形状に成型された成型体(圧粉体)が磁性成型体32であり、第2の工程により、磁性成型体32を含むインダクタ(デバイス)36を製造できる。
図5に、第2の生成物36を、インダクタとして取り出した概要を示している。インダクタ36は、金型10bから取り出された後、あるいは金型10bとともに、120℃〜180℃で20分〜1時間、好適には130℃〜140℃で1時間程度加熱することにより、磁性成型体32を硬化させる。磁性粉末22が最終的に第2の形状に成型された磁性成型体32は、全体はほぼ直方体である。内蔵したコイル21の中心軸21sに垂直となる磁性成型体32の上下の面32aおよび32bの輪郭は正方形であり、それら上下の面32aおよび32bは、コイル21の中心軸21sに沿った中央部分28も含めてほぼ平坦になっている。このインダクタ36は、第1の工程および第2の工程を経ることにより、磁性成型体32の中心部分26は強く加圧されている。このため、中心部分26におけるクラックの発生を抑制でき、高湿度、高温といった使用条件下における耐久性も含めた性能が向上されたインダクタ(デバイス)を提供できる。
図2および図3に示した製造方法では、第1の工程において、第1の形状の成型体31を形成した段階(図2(c)参照)において、成型体31がプレス圧力から解放される。このため、成型体31の内部に含まれるコイル21に起因する反発力により、成型体31の中心部分26の密度(磁性粉末22の充填密度)が低下し、場合によっては、コイル21の空芯部21cに対応する成型体31の中心部分26にクラックが発生する。
しかしながら、第2の工程において、中心軸21sに沿った両側の部分27が凸になるように成型された成型体31を、平坦なプレス板17aおよび17bにより再加圧して第2の形状の成型体32にする。この工程により、成型体31では凸になった部分27を中心に加圧することにより、成型体の中心部分26に集中的に圧力を加えることができる。このため、成型体32の中心部分26の充填密度が高くなる。したがって、コイル21に起因する反発力により成型体の中心部分26の密度が低下しても、それを補償できる。あるいは、成型体32の中心部分26の密度をさらに高めることができる。この過程で、加圧成型された磁性粉末22の結合力を十分に高めることが可能となり、内部応力によるクラックが成型体32の内部に発生することを抑制できる。
また、図3に示した第2の工程においては、いったん圧力が加えられた後に反発力が解放され、伸びた状態のコイル21を内蔵した状態で、磁性粉末22に対してさらに圧力が加えられる。したがって、第2の工程では、伸びた状態のコイル21の隙間(銅線の間)に磁性粉末22を侵入させることが可能であり、その状態で再度加圧(加圧成型)される。このため、第2の工程では、磁性粉末22とコイル21との密着性が改善される。また、第2の工程で加圧した際には、コイル21の隙間により多くの磁性粉末22が侵入していることによりコイル21の収縮が抑制され、プレス圧力を解放した際に生ずる内部応力が減少する可能性がある。この点でも、磁性成型体32を形成後に、内部応力によりクラックが発生するのを抑制できる。
なお、図3に示した第2の工程において、プレス板17aおよび17bのプレス面17sは、コイル21の中心軸21sに沿った部分17cが凸状に突き出たものであっても良い。このようなプレス板17aおよび17bを用いることにより、さらに、成型体の中心部分26に集中して圧力を加えることができる。このようなプレス板17aおよび17bを用いて加圧された磁性成型体32は、上下の面32aおよび32bの、コイル21の中心軸21sに沿った中央部分28が凹面となるように成型される。上下の面32aおよび32bが平面または凹面にすることにより、表面実装型のインダクタ36を提供できる。さらに、図2に示した第1の工程において、コイル21の中心軸21sに沿って周囲より盛り上がった形状に成型するのは、中心軸21sに沿った両側ではなく、一方の側であっても良い。すなわち、図4に示した第1の形状の成型体31は、上面31aおよび下面31bのうち、いずれか一方に凸状に盛り上がった部分27を備えていても良い。
[第2の実施形態]
図6および図7に、本発明の第2の実施形態のインダクタの製造方法を示している。この製造方法は、磁性粉末を、コイルを内蔵した状態で所定の形状に仮成型する工程と、仮成型した成型物に表面実装用の端子となる金属粉末層を積層したのち、インダクタを一体成型する本成型する工程とを含む。
図6は、磁性粉末22を所定の形状に仮成型する工程を示している。仮成型する工程は、磁性粉末22を、コイル21を内蔵した状態で、コイル21の中心軸21sに沿って周囲より盛り上がった部分を含む第1の形状の成型体61に加圧成型する第1の工程と、成型体61を加圧し、盛り上がった部分を平坦にした第2の形状の成型体62を形成する第2の工程とを含む。
図6(a)および図6(b)は仮成型の工程における第1の工程(以降、仮成型の第1の工程)を示している。図6(a)に示すように、圧縮成型(モールドプレス)用の金型50aに、コイル21をセットし、被圧縮材である磁性粉末22を充填する。金型50aは、開放型であり、磁性粉末22を充填する角筒形の中空部51を形成するためのベース52と、中空部51内の磁性粉末22に上下方向から圧力を加えるためのプレス板(押型)56aおよび56bとを備えている。中空部51の上下に配置されたプレス板56aおよび56bは、コイル21の中心軸21sに沿った部分56cが、上下方向にそれぞれ凹んだ(窪んだまたは後退した)プレス面56sをそれぞれ備えている。
下側のプレス板56bには、コイル21の端末(端子)21tを挿入するための設定穴56hが設けられている。コイル21は端末21tを下側のプレス板56bの設定穴56hに入れることにより、中空部51の内部の所定の位置および高さにセットされる。磁性粉末22は、中空部51の内部の、下側のプレス板56bのプレス面56sの上に、コイル21が埋没する所定の高さ(厚み)となるまで充填される。
図6(b)に示すように、上下のプレス板56aおよび56bに圧力F11を印加し、磁性粉末22を加圧成型する。この仮成型の第1の工程で加えられるプレス圧力F11は、0.01GPa〜0.05GPa程度であり、以下の仮成型の第2の工程で加えられるプレス圧力F12より小さいことが望ましい。上下のプレス板56aおよび56bを離す。これにより、磁性粉末22が第1の形状に成型された成型体(圧粉体)61を含む第1の生成物(中間体)65を形成できる。成型体61には、コイル21が内蔵(内包)されている。中間の生成物65は、コイルの端子21tが水平方向に延びていない点を除き、図4に示した中間の生成物35とほぼ同様の形状となる。すなわち、第1の形状に仮成型された成型体61は、全体はほぼ直方体であり、内蔵したコイル21の中心軸21sに垂直となる上下の面61aおよび61bの輪郭は一辺が数mm〜数cm程度の正方形である。それら上下の面61aおよび61bの、コイル21の中心軸21sに沿った中央部分67が周囲より上下方向にそれぞれ盛り上がっている。
図6(c)は、仮成型の工程の第2の工程(以降、仮成型の第2の工程)を示している。仮成型の第2の工程では、金型50bにより、第1の形状に成型された成型体61をさらに加圧する。金型50bは、金型50aの上下のプレス板56aおよび56bを異なる形状のプレス板(押型)57aおよび57bに替えたものである。下側のプレス板57bには、コイル21の端子21tを挿入するための設定穴57hが設けられている。プレス板57aおよび57bは、コイル21の中心軸21sに沿った部分57cも含めて平坦なプレス面57sをそれぞれ備えている。
図6(c)に示す仮成型の第2の工程においては、上下のプレス板57aおよび57bに圧力F12を印加し、第1の形状の成型体61を加圧する。仮成型の第2の工程で加えられるプレス圧力F12は、0.01GPa〜0.05GPa程度であり、仮成型の第1の工程で加えられるプレス圧力F11より大きいことが望ましい。上下のプレス板57aおよび57bを離すことにより、磁性粉末22が第2の形状に成型された成型体(圧粉体)62を含む第2の生成物66を形成できる。磁性粉末22が第2の形状に仮成型された成型体62は、全体はほぼ直方体となる。すなわち、内蔵したコイル21の中心軸21sに垂直となる上下の面62aおよび62bの輪郭は正方形であり、それら上下の面62aおよび62bは、コイル21の中心軸21sに沿った中央部分68も含めてほぼ平坦になる。
この仮成型の工程において形成された成型体62は、仮成型の第1の工程および第2の工程を経ることにより、第1の実施形態と同様に、成型体62の中央部分(コイル21の空芯部分を充填した部分)62cに充填された磁性粉末22は再加圧されている。このため、中心部分62cにおけるクラックの発生を抑制できる。たとえば、仮成型の第1の工程において、成型体61の内部に含まれるコイル21に起因する反発力により、成型体61の中央部分の密度(磁性粉末22の充填密度)が低下してクラックが発生しても、第2の工程において再加圧することにより、中心部分62cの密度を高くでき、クラックの発生し難い成型体62を形成できる。
図7(a)および(b)は、本成型の工程(第3の工程)を示している。本成型の工程では、金型50cにより、第2の形状の成型体62を仮成型体63としてさらに加圧する。実際には、第2の形状の成型体62を、金属粉末層を積層する部分(凹部)が形成されるように加工した成型体を仮成型体63として加圧する。金型50cは、金型50aの上下のプレス板56aおよび56bを異なる形状のプレス板(押型)58aおよび58bに替えたものである。プレス板58aおよび58bは、コイル21の中心軸21sに沿った部分58cも含めて平坦なプレス面58sをそれぞれ備えている。
図7(a)に示すように、本成型の工程では、成型体62を反転させ、コイル21の端子21tが突き出た下面62bに、型押し、機械加工、エッチングなどの方法により凹みを設けて仮成型体63とする。次に、その凹みに金属粉末を充填して金属粉末層71を形成する。典型的な金属粉末は銅粉末である。仮成型体63から突き出たコイル21の端子21tを曲げて金属粉末層71に埋没させ、端末21tを金属粉末層71に含ませる。さらに、図7(b)に示すように、仮成型体63に対し、仮成型体63に積層された金属粉末層71とともに、0.65GPa〜1.0GPaの圧力F13を加える。これにより、磁性粉末22が圧縮および固化された第3の形状の成型体64を磁性成型体として形成する。その後、磁性成型体64を120℃〜180℃で20分〜1時間、好適には130℃〜140℃で1時間加熱する。これにより、磁性成型体64の硬化が図られる。
図8に、第2の実施形態の製造方法により製造されたインダクタ75の概要を示している。このインダクタ75は表面実装型のデバイスであり、全体が直方体で電極と一体成型された第3の形状の磁性成型体64を有し、磁性成型体64にコイル21が内蔵(内包)されている。磁性成型体64の上下の一方の面(本図では上面)64aの四隅に金属粉末が加圧成型された電極76が形成されている。これらの電極76のうち2か所の電極に、内蔵されたコイル21の端末21tが接続されている。このインダクタ75は、他の回路素子と共に、プリント基板(プリント配線板)に搭載することにより、電源用チップなどのデバイスを製造できる。また、インダクタ75の一方の面に、他の回路素子を含めた回路を形成することも可能であり、インダクタを含む回路を備えた表面実装型のデバイスを提供することも可能である。
なお、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、仮成型の第1の工程においては、磁性粉末22を、コイル21の中心軸21sに沿った一方の側だけが盛り上がった形状に成型しても良い。また、仮成型の第2の工程においては、コイル21の中心軸21sに沿った部分が凹んだ形状の成型体62を形成しても良い。この場合、本成型の工程においても、仮成型体を、コイル21の中心軸21sに沿った部分が凹んだ形状になるように本成型することが望ましい。また、上記の製造方法では、金属圧縮法を用いた場合を説明しているが、たとえば、第1の工程では、金属粉末射出成型法により、盛り上がった部分を含む第1の形状の成型体を形成することも可能である。
磁性成型体の内部にクラックが発生する様子を示す図である。 第1の実施形態の製造方法の第1の工程を示す図である。 第1の実施形態の製造方法の第2の工程を示す図である。 第1の工程により製造される中間の生成物の概要を示す斜視図である。 第2の工程により製造されるインダクタの概要を示す斜視図である。 第2の実施形態の仮成型する工程を示す図である。 第2の実施形態の本成型する工程を示す図である。 インダクタの異なる例を示す斜視図である。
符号の説明
10a,10b,19,50a,50b,50c…金型、11,51…中空部、12a,12b,52…ベース、15a,15b,16a,16b,17a,17b,56a,56b,57a,57b,58a,58b…プレス板、16c,17c,56c,57c,58c…中央部分、16s,17s,56s,57s,58s…プレス面、21…コイル、21t…コイルの端末、21c…空芯部、21s…中心軸、22…磁性粉末、25,31,32,61,62,63,64…成型体、26,62c…中心部分、27,67…盛り上がった中央部分、28,68…平坦な中央部分、29…クラック、31a,31b,32a,32b,61a,61b,62a,62b…成型体の面、35,36,65,66…生成物、36,75,90…インダクタ、71…金属粉末層、76…電極

Claims (5)

  1. 熱硬化性樹脂と粉末状の磁性体とを含む磁性粉末を加圧成型した磁性成型体と、前記磁性成型体に内蔵されたコイルとを有するデバイスの製造方法であって、
    前記磁性成型体を加圧成型する工程を有し、
    前記加圧成型する工程は、
    前記磁性粉末を、前記コイルを内蔵した状態で、前記コイルの中心軸に沿って盛り上がった部分を含む第1の形状の成型体に加圧成型する第1の工程と、
    前記第1の形状の成型体を加圧し、前記盛り上がった部分が平面または凹面に成型された部分を含む第2の形状の成型体を形成する第2の工程とを含む、製造方法。
  2. 請求項1において、前記第1の形状は、前記中心軸の両側に、前記盛り上がった部分を含む、製造方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記加圧成型する工程は、さらに、
    前記第2の形状の成型体または前記第2の形状の成型体を加工した成型体を仮成型体とし、前記仮成型体と前記仮成型体に積層された金属粉末層とを、前記仮成型体から突き出た前記コイルの端末が前記金属粉末層に含まれた状態で加圧し、第3の形状の成型体を形成する第3の工程を含む、製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
    前記第1の工程は、前記磁性粉末を、前記コイルの中心軸に沿った部分が凹んだプレス面を備えたプレス板により加圧することを含み、
    前記第2の工程は、前記第1の形状の成型体を、前記コイルの中心軸に沿った部分も含めて平坦なプレス面または前記コイルの中心軸に沿った部分が凸状のプレス面を備えたプレス板により加圧することを含む、製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記デバイスはインダクタである、製造方法。
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