JP2010007110A - 鋼板の冷却方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱した鋼板などの金属品を効率よく冷却する方法を提供する。
【解決手段】石鹸系の界面活性剤(脂肪酸アルカリ金属塩など)を含む水系冷媒を用いて、加熱した鋼板などの金属品を冷却する。水系冷媒は、前記界面活性剤と、水と、有機溶媒(アルカノール、アルキレングリコール及びグルコシドから選択された少なくとも一種など)と、キレート成分とを含有してもよい。界面活性剤1重量部に対して、キレート成分の割合は、0.1〜5重量部程度であってもよく、有機溶媒の割合は、0.0001〜5重量部程度であってもよい。水系冷媒は、鋼板に対して、例えば、1流体ノズルなどで、噴霧してもよい。
【選択図】なし
【解決手段】石鹸系の界面活性剤(脂肪酸アルカリ金属塩など)を含む水系冷媒を用いて、加熱した鋼板などの金属品を冷却する。水系冷媒は、前記界面活性剤と、水と、有機溶媒(アルカノール、アルキレングリコール及びグルコシドから選択された少なくとも一種など)と、キレート成分とを含有してもよい。界面活性剤1重量部に対して、キレート成分の割合は、0.1〜5重量部程度であってもよく、有機溶媒の割合は、0.0001〜5重量部程度であってもよい。水系冷媒は、鋼板に対して、例えば、1流体ノズルなどで、噴霧してもよい。
【選択図】なし
Description
本発明は、加熱した鋼板、鋳片などの高温の金属品を高効率で冷却する方法、及び冷却効率の改善方法に関する。
加熱した鋼板などの金属品の冷却には、多くの場合、水が冷媒として使用されている。水は、メタノールやエタノールなどのアルコールに比べて、潜熱が大きく、高温の金属品を比較的効率よく冷却することが可能である。しかし、冷媒による冷却では、金属品を均一に冷却するのが困難であり、金属品の特性、品質又は材質などにバラツキが生じる場合がある。
金属品を均一に冷却する観点から、いくつかの方法が提案されている。例えば、特許第259555号公報(特許文献1)には、金属帯の連続熱処理において、アルコールを含有する水を冷媒として用い、金属帯への冷媒の適用に伴う表面の沸騰状態を、膜沸騰状態に安定させ、冷却終点温度を制御することが開示されている。また、特開2000−334514号公報(特許文献2)には、鋼板の冷却に、界面活性剤を含む水を冷媒として用いることが開示されている。また、特許文献2には、界面活性剤の添加により、冷却に伴う冷媒の沸騰状態が変化し(具体的には、膜沸騰から遷移沸騰への移行が遅延し)、冷却速度の急激な増加が抑制されることが開示されている。しかし、これらの文献に記載の方法では、冷却速度の向上と、均一な冷却とを両立することが困難である。特に、上記文献に係る発明では、金属品の冷却を効率よく行うことは難しい。なお、特許文献2には、界面活性剤として、一般的な陰イオン性、非イオン性などの界面活性剤が例示され、実施例では、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル又はポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステル塩が使用されている。しかし、特許文献2には、石鹸系の界面活性剤と、鋼板の冷却効率との関係については開示されていない。
一方、特開2007−238651号公報(特許文献3)には、脂肪酸ナトリウム塩および/またはカリウム塩を主成分とする石鹸系界面活性剤を用いた水添加型の界面活性剤組成物が、安全性の高い洗浄剤や水添加型消火剤として利用できることが開示されている。しかし、石鹸系の界面活性剤の急冷効果については開示されていない。
特許第259555号公報
特開2000−334514号公報(請求項1、段落番号[0010]〜[0012])
特開2007−238651号公報(請求項1、段落番号[0001])
従って、本発明の目的は、高温の鋼板を安全に効率よく冷却できる方法、及び冷却効率の改善方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、石鹸系の界面活性剤(脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウムなどの脂肪酸金属塩など)を含む水系冷媒を用いて、高温の金属品(加熱した鋼板など)を冷却すると、予想外にも、高い速度で冷却(急冷)できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の方法では、石鹸系の界面活性剤を含む水系冷媒を用いて、加熱した鋼板などの高温の金属品を冷却する。また、界面活性剤は、脂肪酸アルカリ又はアルカリ土類金属塩(脂肪酸ナトリウム塩及び/又は脂肪酸カリウム塩など)であってもよい。冷媒全体に対する界面活性剤の濃度は、0.001〜5重量%程度であってもよい。水系冷媒は、界面活性剤と、水と、有機溶媒(アルカノール、アルキレングリコール及びグルコシドから選択された少なくとも一種など)と、キレート成分とを含有してもよい。界面活性剤1重量部に対して、キレート成分の割合は、0.1〜5重量部程度であってもよく、有機溶媒の割合は、0.0001〜5重量部程度であってもよい。水系冷媒は、鋼板に対して噴霧してもよい。例えば、鋼板に対して1流体ノズルで水系冷媒を噴霧してもよい。
本発明には、冷媒を用いて鋼板を冷却する方法において、石鹸系の界面活性剤を含む水系冷媒を用いて、鋼板の冷却効率を改善する方法も含まれる。
なお、本明細書では、鋼板とは、圧延鋼板、厚鋼板、中鋼板、薄鋼板などの各種鋼板の他、製造及び/又は加工工程などにおいて(若しくは使用に伴って)、冷却が必要とされる各種金属品、例えば、各種鋼(H型鋼、シームレス鋼管など)、連続鋳造設備の鋳片、熱間圧延機のロール、仕上げ圧延後のホットランテーブル(ランアウトテーブル)上の鋼板などの金属品を含む意味で用いる。
本発明では、石鹸系の界面活性剤を含む水系冷媒を用いて金属品を冷却するので、金属品の温度が高くても、効率よく冷却(急冷)することができる。また、高い冷却速度で冷却することが可能であるため、金属品の冷却効率を改善することができる。さらに、石鹸系の界面活性剤を利用するため、環境に対する負荷が小さく、安全性も高い。
本発明では、石鹸系の界面活性剤を含む水系冷媒を用いて、金属品を冷却する。石鹸系の界面活性剤としては、脂肪酸金属塩の他、ロジン石鹸、ナフテン酸石鹸などの樹脂酸石鹸などが例示できる。これらの石鹸系界面活性剤のうち、脂肪酸金属塩を用いる場合が多い。
前記脂肪酸金属塩は、コバルト塩、鉄塩などの遷移金属塩などであってもよいが、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩(特に、アルカリ金属塩)が好ましい。
脂肪酸金属塩を形成する脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸などの飽和脂肪酸;パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸(飽和又は不飽和C8−26脂肪酸など)などが例示できる。これらの脂肪酸のうち、C10−20脂肪酸、特にC12−18脂肪酸などが好ましい。
好ましい脂肪酸金属塩は、脂肪酸アルカリ金属塩、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムなどの脂肪酸ナトリウム塩(C10−20脂肪酸のナトリウム塩など);ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カリウムなどの脂肪酸カリウム塩(C10−20脂肪酸のカリウム塩など)などが挙げられる。特に、C12−18飽和脂肪酸のナトリウム塩及び/又はカリウム塩などが好ましい。
上記石鹸系の界面活性剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。石鹸系の界面活性剤は、ラウリン酸アルカリ金属塩(特に、カリウム塩)及び/又はオレイン酸アルカリ金属塩(特に、ナトリウム塩)を少なくとも10重量%以上(例えば、20〜100重量%)、好ましくは30〜80重量%、さらに好ましくは40〜70重量%程度含有するのが好ましい。また、石鹸系の界面活性剤は、パルミチン酸アルカリ金属塩(特に、カリウム塩)を0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%、さらに好ましくは0.5〜1重量%程度含有してもよい。
また、石鹸系の界面活性剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要により、他の界面活性剤、例えば、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性及び/又は両性界面活性剤(合成界面活性剤など)などを併用してもよい。他の界面活性剤の割合は、石鹸系の界面活性剤1重量部に対して、0〜1重量部、好ましくは0.0001〜0.5重量部、さらに好ましくは0.001〜0.1重量部程度であってもよい。
水系冷媒全体に対する石鹸系の界面活性剤の濃度は、取扱い性(泡立ち)及び冷却効率などの点から、例えば、0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%(例えば、0.01〜1重量%)、さらに好ましくは0.02〜0.5重量%(例えば、0.05〜0.3重量%)程度であってもよい。
水系冷媒は、水の他、水と有機溶媒(好ましくは水溶性有機溶媒など)との混合物が使用できる。有機溶媒としては、アルコール類[メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、ラウリルアルコールなどの一価の脂肪族アルコール(C1−14アルカノール、好ましくはC1−10アルカノールなど);エチレングリコール、プロピレングリコール(PG)、ヘキシレングリコール(HG)などのグリコール(C2−10アルキレングリコール、好ましくはC2−8アルキレングリコールなど);ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール(ポリC2−4アルキレングリコールなど)など];メチルグルコシド、エチルグルコシド、ブチルグルコシドなどのグルコシド(C1−6アルキルグルコシドなど);ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルジグリコールなどのモノ又はポリアルキレングリコールのモノアルキルエーテル(モノ又はポリC2−4アルキレングリコールのモノC1−4アルキルエーテルなど);メチルアミン、エチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミンなどのアミン(一級乃至三級アミン、例えば、C1−6アルキルアミンなどの脂肪族アミンなど);ピリジン、モルホリンなどの複素環化合物;アセトンなどの脂肪族ケトン(C3−6脂肪族ケトンなど);アセトニトリルなどの脂肪族ニトリル(C3−6脂肪族ニトリルなど)などが挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
好ましい水系冷媒は、水、もしくは水と、アルカノール(2−プロパノールなどのC1−6アルカノール、特にC1−4アルカノールなど)、グリコール(PG、HGなどのC2−6アルキレングリコールなど)及び/又はグルコシド(ブチルグルコシドなどのC1−4アルキルグルコシドなど)との混合物などである。
なお、上記有機溶媒の割合は、界面活性剤1重量部に対して、例えば、0.0001〜5重量部、好ましくは0.001〜3重量部、さらに好ましくは0.005〜1重量部(例えば、0.01〜0.5重量部)程度であってもよい。
水系冷媒は、さらに、キレート成分を含有してもよい。キレート成分を含む場合、冷媒は、水と、有機溶媒(上記アルカノール、グリコール及び/又はグルコシドなど)とを含有するのが好ましい。
キレート成分(又はキレート剤)としては、アミノカルボン酸系キレート剤[エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、L−グルタミン酸二酢酸四ナトリウム(GLDA・Na)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、1,3−プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸(DPTA−OH)など]、ホスホン酸系キレート剤[ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)(NTMP)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMP)など]、キレート金属塩[前記アミノカルボン酸系キレート剤の金属塩、例えば、EDTA・Fe・Na・3H2O、EDTA・Fe・NH4・2H2O、EDTA・Fe・NH4・NH4OHなどの鉄塩;EDTA・Ca・2Na・3H2Oなどのカルシウム塩;EDTA・Mg・2Na・4H2Oなどのマグネシウム塩;EDTA・Cu・2Na・4H2Oなどの銅塩;EDTA・Mn・2Na・4H2Oなどのマンガン塩など]などが挙げられる。キレート成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのキレート成分のうち、アミノカルボン酸系キレート剤、特に、生分解性の高いL−グルタミン酸二酢酸四ナトリウムなどが好ましい。
キレート成分の割合は、界面活性剤1重量部に対して、例えば、0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜8重量部(例えば、0.1〜5重量部)、さらに好ましくは0.2〜3重量部(例えば、0.3〜1重量部)程度であってもよい。
なお、上記石鹸系の界面活性剤を含む界面活性剤組成物は、例えば、シャボン玉石けん(株)から、「ミラクルフォーム」などとして入手可能である。なお、「ミラクルフォーム」は、脂肪酸Na、脂肪酸K、アルカノール(n−ブタノールなど)、グリコール(PG、HG)、グルコシド、生分解性キレート剤、水などを含有する。
水系冷媒には、必要により、他の添加剤、例えば、pH調整剤[酸(塩酸などの無機酸;酢酸、乳酸、リンゴ酸、フィチン酸などの有機酸など);塩基(水酸化カルシウムなどの金属水酸化物などの無機塩基;アミンなどの有機塩基など)など]などを添加してもよい。
金属品の冷却に供する水系冷媒の温度は、金属品の温度より低く、液状であればよく、例えば、0〜100℃、好ましくは10〜50℃、さらに好ましくは15〜30℃程度であってもよい。
また、上記の水系冷媒で冷却する金属品(鋼板)としては、特に制限されず、製造及び/又は加工工程などにおいて(若しくは使用に伴って)、冷却が必要とされる各種金属品、例えば、鋼板(圧延鋼板、厚鋼板、中鋼板、薄鋼板など)の他、各種鋼(H型鋼、シームレス鋼管など)、連続鋳造設備の鋳片、熱間圧延機のロール、仕上げ圧延後のホットランテーブル(ランアウトテーブル)上の鋼板、溶融亜鉛メッキ銅板などが挙げられる。金属品を構成する金属の種類は、特に制限されず、ステンレスなどの鉄又はその合金の他、アルミニウム、ニッケル、スズ、亜鉛、銅、又はこれらの合金(アルミニウム合金など)などの各種金属が例示できる。
冷媒による冷却に供する鋼板の温度は、特に制限されないが、例えば、300〜1400℃、好ましくは500〜1200℃、さらに好ましくは600〜1100℃程度であってもよい。
鋼板への冷媒の適用方法は、特に制限されず、例えば、浸漬などの方法であってもよいが、通常、噴霧により行う場合が多い。噴霧により冷媒を適用する場合、スプレーノズルの種類は特に制限されず、1流体ノズル、2流体ノズルのいずれであってもよいが、1流体ノズルを用いるのが好ましい。
界面活性剤を含む水系冷媒の鋼板に対する噴霧量は、例えば、0.1〜10m3/(m2・分)、好ましくは0.2〜5m3/(m2・分)、さらに好ましくは0.5〜3m3/(m2・分)程度であってもよい。
本発明では、石鹸系の界面活性剤を含む水系冷媒で金属品を処理することにより、金属品の温度が高温であっても、金属品を効率よく冷却することができる。特に、冷却速度が大きく、冷却効率を改善することができ、加熱した金属品の冷却に有効である。
本発明は、製造工程、加工工程や使用に伴って、冷却が必要とされる各種金属品の冷却、例えば、鋼板(厚鋼板、中鋼板など)、各種鋼(H型鋼、シームレス鋼管など)などの制御冷却(加速冷却)、連続鋳造設備の鋳片冷却、熱間圧延機のロール冷却、仕上げ圧延後のホットランテーブル(ランアウトテーブル)上の鋼板の冷却などに有効である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1〜4及び比較例1
1000℃に加熱したステンレス鋼板(SUS304板、縦300mm×横300mm×厚み30mm)の冷却過程において、鋼板の温度が約950℃になった時点で、1流体ノズルを用いて、噴射量20L/分で、楕円形状に、鋼板に対して水系冷媒を噴霧し、鋼板を冷却した。
1000℃に加熱したステンレス鋼板(SUS304板、縦300mm×横300mm×厚み30mm)の冷却過程において、鋼板の温度が約950℃になった時点で、1流体ノズルを用いて、噴射量20L/分で、楕円形状に、鋼板に対して水系冷媒を噴霧し、鋼板を冷却した。
水系冷媒による鋼板の冷却効率を、K熱電対を用いて、水系冷媒の噴霧による加熱鋼板からの抜熱量として求めた。なお、K熱電対は、鋼板の非冷却面(水系冷媒を噴霧する面の反対側の面)側から鋼板の厚み方向に挿入し、K熱電対の位置が、冷却面から深さ2mmの位置となるように埋め込み、溶接により固定した。
図1は、鋼板の抜熱量の測定方法を説明するための概略上面図である。鋼板1には、(1)〜(43)で示す43本のK熱電対3が、非冷却面側から埋め込まれており、鋼板1の非冷却面に水系冷媒が回り込むのを防ぐためのダミー板2が、端面を、鋼板1の端面と接触させた状態で、配設されている。そして、K熱電対(21)をスプレー中心4として、楕円形のスプレー範囲5に水系冷媒を噴霧し、領域6について、抜熱量を求めた。
なお、K熱電対(1)〜(4)と鋼板の端部との距離Aは65mmである。また、K熱電対(1)〜(4)と、隣接するK熱電対(5)〜(9)との距離Bは、20mmであり、同様に、K熱電対(41)〜(43)と、隣接するK熱電対(37)〜(40)との距離は、20mmである。K熱電対(5)〜(9)と、次列のK熱電対(10)〜(12)との距離Cは、10mmであり、同様に、K熱電対(13)〜(40)においては、前列と次列との間の距離は10mmである。
また、鋼板の端部と、K熱電対(4)(9)(17)(25)(36)との間の距離Dは、30mmであり、同様に、K熱電対(4)(9)(17)(25)(36)と、次列のK熱電対(8)(16)(24)(32)(40)との間の距離Dも30mmである。また、その他の列のK熱電対は、前列と次列との間の距離が60mmとなるように、鋼板に埋め込まれている。
そして、これらのK熱電対による測定値に基づいて、冷却曲線を作成し、この冷却曲線に基づいて、K熱電対を設置した鋼板の120mm×210mmの領域6における抜熱量を、水系冷媒の噴霧開始から0.5秒間について求めた。
なお、実施例では、水系冷媒として、石鹸系界面活性剤を含む組成物(シャボン玉石けん(株)製「ミラクルフォーム」)を表1に示す濃度となるように水に添加した混合物(温度:18℃)を用いた。なお、上記組成物は、石鹸系界面活性剤10〜20重量%及びキレート成分30〜40重量%を含有しており、残部は、水及びアルコールであった。また、比較例1では、水系冷媒として水(温度:18℃)を単独で用いた。
結果を表1に示す。なお、実施例の抜熱量は、比較例1における抜熱量を1とした比率で示した。
表1から明らかなように、比較例1に比べ、石鹸系界面活性剤を用いた実施例では、抜熱量が18〜30%も向上した。
1…鋼板
2…ダミー板
3…K熱電対
4…スプレー中心位置
5…噴霧範囲
6…抜熱量算出領域
2…ダミー板
3…K熱電対
4…スプレー中心位置
5…噴霧範囲
6…抜熱量算出領域
Claims (9)
- 石鹸系の界面活性剤を含む水系冷媒を用いて、加熱した鋼板を冷却する方法。
- 脂肪酸アルカリ又はアルカリ土類金属塩を含む界面活性剤を用いて冷却する請求項1記載の方法。
- 脂肪酸ナトリウム塩及び/又は脂肪酸カリウム塩を含む界面活性剤を用いる請求項1又は2記載の方法。
- 冷媒全体に対する界面活性剤の濃度が、0.001〜5重量%である請求項1〜3のいずれかの項に記載の方法。
- 水系冷媒が、界面活性剤と、水と、アルカノール、アルキレングリコール及びグルコシドから選択された少なくとも一種の有機溶媒と、キレート成分とを含む請求項1〜4の何れかの項に記載の方法。
- 界面活性剤1重量部に対して、キレート成分の割合が0.1〜5重量部であり、有機溶媒の割合が0.0001〜5重量部である請求項5記載の方法。
- 鋼板に対して水系冷媒を噴霧する請求項1〜6のいずれかの項に記載の方法。
- 鋼板に対して1流体ノズルで水系冷媒を噴霧する請求項1〜7のいずれかの項に記載の方法。
- 冷媒を用いて加熱した鋼板を冷却する方法において、石鹸系の界面活性剤を含む水系冷媒を用いて、鋼板の冷却効率を改善する方法。
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