JPWO2012008090A1 - 電池パック - Google Patents
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Abstract
Description
また、1個またはそれ以上の電池を、回路などとともに、筐体内に収容したり、束ねたりした、高容量および高出力の電池パックもしくは組電池の開発が進んでいる。
そのため、これらの電池を収容する電池パックについても、その安全性の確保が重要である。
冷却容器は、100℃以上の第1温度で冷却剤を放出する放出口を形成可能である。そして、冷却部は、容器の放出口から放出された冷却剤が電池の主表面に広がるように配置されている。
図1および図2に示すように、電池パック1は、円筒型非水電解質二次電池である電池3aおよび電池3bと、電池3aおよび3bの側面に軸方向に沿って接して、かつ電池3aおよび3bの上方に配されたシート状の冷却部5aおよび5bと、電池3aおよび3b、ならびに冷却部5aおよび5bを収納する筐体2と、を備える。図示しないが、電池パック1は、電池3aと電池3bとの間を電気的に接続する部材、および電池パック1の外部へ電気を取り出すための端子部を備える。
筐体2は、底の浅い有底角筒状のケース本体2a、およびケース本体の開口を覆う四角板状の蓋体2bを有する。ケース本体2aの開口端部には段部が設けられ、その段部に蓋体2bの周縁部を接合し、その接合部を熱溶着することによりケース本体2aおよび蓋体2bが一体化されている。ケース本体2aの内底面には、電池を安定して配置し、かつ電池の側面が冷却部と接するように、電池の形状に対応する凹部を有する樹脂製の部材7が配されている。蓋体2bの下面には、冷却部5aおよび5bを配置するための凹部6aおよび6bが設けられている。
電池3aが異常に発熱すると、その熱が冷却部5aに伝わり、冷却部5aが熱せられる。冷却部5aが加熱されるにつれて、冷却部5a内の水の一部が水蒸気となり、冷却部5aが膨張するとともに冷却部5a内で泡が発生し始める。冷却部5が100℃以上の第1温度に達すると、冷却部5aは電池3aとの接触部分から溶融し、開裂し始める。このとき、冷却部5aは電池3aと筐体2との間に挟まれているため、冷却部5aの膨張時に冷却部5aと電池3aとの間の接触面積が増大する。よって、冷却部5aに異常に発熱した電池の熱が十分に伝わり、冷却部5aを広範囲に開裂させることができる。また、冷却部5aの膨張を伴う開裂であるため、冷却部5aの開裂時に勢いよく電池に向かって冷却剤が放出される。よって、冷却剤は電池3aの表面を速やかに覆い、水膜を形成する。電池3aの表面の熱で水が蒸発し、そのときの潜熱により電池3aから熱を奪う。冷却剤は、水の他に界面活性剤および金属石鹸を含むため、水膜が安定して形成される。また、界面活性剤により、水の気化に伴い水膜の表面で泡が次々に発生する。このため、電池3aの表面に付着した水が蒸発しても、泡の表面の水が電池3aの表面へ供給される。よって、水膜が途切れることがなく、安定して水膜を保持することができる。
以上のことから、異常に発熱した電池3aを効率よく速やかに冷却することができる。また、異常に発熱した電池3aの熱が電池3bへ伝播するのを抑制することができる。電池3bが異常に発熱する場合は、冷却部5bにより電池3bを効率よく速やかに冷却することができる。
また、複数の電池を側面同士が向かいあうように並べた電池や組電池では、図5に示すように、並べたり束ねたりした電池群において最も大きな一対の表面31aおよび31bを、電池の主表面とする。
冷却部は、電池の主表面を冷却剤で広く覆うことができる程度に、電池の主表面に近い位置に配置すれば、直接電池主表面に接していなくてもよい。しかし、電池の異常発熱を効率よく感知して、放出口を速やかに形成するためには、冷却部は、電池の主表面に接するのが好ましい。冷却部の主表面、すなわち、冷却容器の主表面と、電池の主表面とが、平行かつ互いに接するように、冷却部を配置するのが好ましい。この場合、冷却容器の主表面に垂直で、かつ電池の重心を通る直線が、冷却容器の主表面と交わるようにすることで、冷却剤の膜で電池の大部分を覆うことが容易となる。
冷却容器の主表面と、鉛直方向との成す角度は、例えば、80〜110°、好ましくは85〜100°である。
電池群においては、隣り合う電池間に冷却部を配置してもよい。この場合、1つの冷却部で隣り合う電池の両方を冷却することができ、冷却部が電池間を隔離する隔離板としての役割を兼ねることもできる。
冷却容器は、電池が異常に発熱する温度である100℃以上の第1温度で放出口を形成可能となるような材料で形成できる。このような材料としては、100℃以上の第1温度で、冷却容器が少なくとも一部において形状を維持できなくなる材料、例えば、このような温度で、溶融または熱収縮する材料もしくは伸縮性が低く破裂しやすい材料などが使用できる。
冷却容器は、このような性質を有する樹脂材料のフィルムで形成するのが好ましい。このようなフィルムを構成する樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;ポリアミド;ポリイミドなどが好ましい。これらの中でも、耐久性およびコストの観点から、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートがより好ましい。容器としての強度と放出口の形成性に対する信頼性とのバランスの観点から、樹脂フィルムの厚みは、0.02〜1mmが好ましい。
界面活性剤は、分子内に親水性基および疎水性基を有する。疎水性基は、例えば、炭素数が8〜20、好ましくは8〜16の長鎖脂肪族炭化水素基、または芳香族炭化水素基を含む。長鎖脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基などの飽和または不飽和鎖状炭化水素基などが例示できる。鎖状炭化水素基は、直鎖状であるのが好ましい。また、芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基などのC6-12アリール基;トリル基、オクチルフェニル基などの直鎖C1-10アルキルC6-12アリール基などが例示できる。
これらのうち、特に、アニオン型界面活性剤が好ましい。
水膜の安定性の観点から、これらの中でも、ステアリン酸塩またはラウリン酸塩がより好ましい。
水膜の安定性を大幅に向上させるためには、冷却剤中の金属石鹸の含有量は、より好ましくは水100重量部あたり0.02〜5重量部、さらに好ましくは水100重量部あたり0.5〜5重量部である。
発泡促進剤としては、100℃以上200℃未満の第2温度で冷却剤を発泡可能な第1の発泡促進剤、200℃以上の第3温度で冷却剤を発泡可能な第2の発泡促進剤などが例示できる。
(A)冷却剤を冷却容器に封入し、冷却部を作製する工程と、
(B)電池および前記冷却部を、前記冷却容器に形成された放出口から放出された冷却剤が電池の主表面に広がるように配置する工程と、を含む。
界面活性剤や金属石鹸を含む冷却剤では、工程(A)に先立って、冷却剤を作製してもよい。例えば、水に、界面活性剤、または界面活性剤および金属石鹸を加え、冷却剤を得ることができる。必要に応じて、冷却剤に、さらに発泡促進剤や他の成分を加えてもよい。
界面活性剤および発泡促進剤に水を加えた水溶液が強アルカリ性を示す場合は、作業上の観点から、界面活性剤および発泡促進剤は、ポリエチレンなどの樹脂フィルムの袋に封入した状態で取り扱うのが好ましい。この場合、この袋を、水および金属石鹸とともに、冷却容器に収納すればよい。
そして、例えば、有底角筒状のケース本体2aの開口端部の段部に、四角板状の蓋体2bの周縁部を載置し、その接合部を熱溶着して、ケース本体2aと蓋体2bとを一体化し、筐体2を得る。
本発明の電池パックの安全性を評価するため、電池の代わりに金属製の円柱体を用いた以外は図1および2に示す電池パックと同じである評価用パックを以下の手順で作製した。
(1)冷却部の作製
界面活性剤0.04g、金属石鹸0.004g、および水4gを混合し、冷却剤Aを得た。界面活性剤には、オレイン酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)を用いた。金属石鹸には、ステアリン酸カルシウム(和光純薬工業(株)製)を用いた。冷却剤Aの2gを、厚み0.04mmのポリプロピレンフィルムで形成された袋体の形状を有する冷却容器(2枚のフィルムの周縁部を接合したもの)に封入し、冷却部A(長さ65mm、幅20mm、厚み1.4mm)を得た。
内部空間の長さ67mm、幅41mm、および深さ40mm、ならびに厚み1mmのポリカーボネート製の筐体内に、電池3aおよび3bの代わりに、2個の鉄製の円柱体(長さ65mm、径18mm)をそれぞれ軸方向に平行に配置して収納した。2個の円柱体の間隔は1.1mmとした。このようにして、評価用パックAを作製した。
具体的には、冷却部Aの2個を蓋体の凹部に装着し、ケース本体内に電池の2個を収納した後、ケース本体の開口に蓋体を取り付けた。なお、後述の評価のために、ケース本体と蓋体との接合部は熱溶着しなかった。
界面活性剤0.04g、金属石鹸0.01g、および水4gを混合し、冷却剤Bを得た。界面活性剤には、直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)を用いた。金属石鹸には、ステアリン酸カルシウム(和光純薬工業(株)製)を用いた。
冷却剤Aの代わりに冷却剤Bを用いた以外、実施例1と同様の方法により冷却部Bを作製した。冷却部Aの代わりに冷却部Bを用いた以外、実施例1と同様の方法により評価用パックBを作製した。
界面活性剤0.08g、金属石鹸0.004g、水4g、および発泡促進剤0.08gを混合し、冷却剤Cを得た。界面活性剤には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(花王(株)製、エマール 20CM)を用いた。金属石鹸には、ステアリン酸カルシウム(和光純薬工業(株)製)を用いた。発泡促進剤には、珪酸ナトリウム(大阪硅曹(株)製、3号珪酸ソーダ)を用いた。
冷却剤Aの代わりに冷却剤Cを用いた以外、実施例1と同様の方法により冷却部Cを作製した。冷却部Aの代わりに冷却部Cを用いた以外、実施例1と同様の方法により評価用パックCを作製した。
冷却剤Aのかわりに冷却剤Dとして水2gを用いた以外、実施例1と同様の方法により冷却部Dを作製した。
冷却部Aの代わりに冷却部Dを用いた以外、実施例1と同様の方法により評価用パックDを作製した。
600℃に熱せられた円柱体をケース本体内に戻すと同時に、冷却部を装着した蓋体を取り付けた。このとき、冷却部の膨張時に蓋体が外れないように、便宜的に、電池パックの周囲に拘束部材を取り付けた。冷却部を加熱した円柱体に接触させてから100秒経過した時点の一方の円柱体の温度および300秒経過した時点の他方の円柱体(第2の円柱体)の温度を熱電対で測定した。その結果を表1に示す。
実施例1では、界面活性剤として、オレイン酸ナトリウムを用いたが、他のカルボン酸型界面活性剤、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムを用いる場合でも実施例1と同様の効果が得られる。
2 筐体
2a ケース本体
2b 蓋体
3a、3b 電池
4a、4b 凹部
5a、5b、15 冷却部
6a、6b 凹部
7 樹脂製部材
8 冷却容器
8a、8b、18a、18b 冷却容器の主表面
10 冷却剤
11a、21a、21b、31a、31b、41a、41b 電池の主表面
冷却剤Aのかわりに冷却剤Dとして水2gを用いた以外、実施例1と同様の方法により冷却部Dを作製した。
冷却部Aの代わりに冷却部Dを用いた以外、実施例1と同様の方法により評価用パックDを作製した。
600℃に熱せられた円柱体をケース本体内に戻すと同時に、冷却部を装着した蓋体を取り付けた。このとき、冷却部の膨張時に蓋体が外れないように、便宜的に、電池パックの周囲に拘束部材を取り付けた。冷却部を加熱した円柱体に接触させてから100秒経過した時点の一方の円柱体の温度および300秒経過した時点の他方の円柱体(第2の円柱体)の温度を熱電対で測定した。その結果を表1に示す。
実施例1では、界面活性剤として、オレイン酸ナトリウムを用いたが、他のカルボン酸型界面活性剤、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムを用いる場合でも実施例1と同様の効果が得られる。
Claims (12)
- 電池および前記電池を冷却するための冷却部を含む電池パックであって、
前記冷却部が、冷却剤および前記冷却剤を封入した容器を含み、
前記容器が、100℃以上の第1温度で前記冷却剤を放出する放出口を形成可能であり、
前記冷却部が、前記容器の放出口から放出された前記冷却剤が前記電池の主表面に広がるように、配置されている電池パック。 - 前記冷却剤が、水、界面活性剤および金属石鹸を含む、請求項1に記載の電池パック。
- 前記界面活性剤は、分子内に、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、燐酸エステル基、およびこれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種の親水基を有する請求項2に記載の電池パック。
- 前記金属石鹸が、難水溶性であり、高級脂肪酸のアルカリ土類金属塩または亜鉛塩である請求項2に記載の電池パック。
- 前記冷却剤中の前記界面活性剤の含有量が、水100重量部あたり0.1〜20重量部である請求項2〜4のいずれか1項に記載の電池パック。
- 前記冷却剤中の前記金属石鹸の含有量が、水100重量部あたり0.01〜5重量部である請求項2〜5のいずれか1項に記載の電池パック。
- 前記冷却剤が、さらに、100℃以上200℃未満の第2温度で発泡可能な第1の発泡促進剤および200℃以上の第3温度で発泡可能な第2の発泡促進剤からなる群より選択される少なくとも一種の発泡促進剤を含む請求項2〜6のいずれか1項に記載の電池パック。
- 前記第1の発泡促進剤が、結晶水を有する珪酸塩であり、前記珪酸塩が、珪酸ナトリウムおよび珪酸カリウムからなる群より選択される少なくとも一種である請求項7に記載の電池パック。
- 前記第2の発泡促進剤が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、および明礬からなる群より選択される少なくとも一種である請求項7に記載の電池パック。
- 前記容器の主表面と、前記電池の主表面とが、平行かつ互いに接している請求項1〜8のいずれか1項に記載の電池パック。
- 通常の使用状態において、前記冷却部が、前記電池の鉛直上方に位置し、
前記容器の主表面が、鉛直方向と成す角度が80〜110°である請求項10に記載の電池パック。 - 前記電池が円筒型であり、
前記電池の主表面が、前記電池の側面である請求項10または11に記載の電池パック。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140213 |
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A02 | Decision of refusal |
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