JP2010006648A - 複合セラミックス粉体及びその製造方法並びに固体酸化物形燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数種の酸化物粒子の分布性、組成制御性に優れ、しかも三相界面が多く、電子伝導性に優れた複合セラミックス粉体及びその製造方法並びに固体酸化物形燃料電池を提供する。
【解決手段】複合セラミックス粉体は、酸化ニッケルと、イットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子と、を含有する粉体であり、イットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子と、ニッケルイオンと、を含有するジルコニア酸性分散液を、アルカリ溶液に添加して中和沈殿物を生成し、この中和沈殿物を200℃以上にて熱処理した。
【選択図】図2

Description

本発明は、複合セラミックス粉体及びその製造方法並びに固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)に関し、さらに詳しくは、ジルコニア粒子と酸化ニッケル粒子とを含み、粒子の分布性及び組成制御性に優れた複合セラミックス粉体及びその製造方法、この複合セラミックス粉体を電極用材料として用いた固体酸化物形燃料電池に関するものである。
従来、複数種の酸化物を含む複合セラミックス粉体を製造する方法としては、通常、複数種の酸化物粉体をボールミル、自動乳鉢等の解砕・粉砕機を用いて、それぞれの粉体を解砕・粉砕しながら攪拌混合して複合セラミックス粉体とする方法が一般的である。
また、複数種の金属イオンを含む溶液にアルカリ溶液を加えて中和沈殿物を生成させ、その後、この中和沈殿物を焼成して酸化物を生成させ、複合セラミック粉体を得る、いわゆる共沈焼成法も知られている。
ところで、従来の各種の方法で得られた複合セラミックス粉体は、複数種の酸化物1次粒子同士が凝集して不均一に混合された複合粉体であったり、あるいは、複数種の酸化物1次粒子それぞれが凝集して粗大な複合粉体になってしまう等の問題があった。したがって、このような複合粉体を触媒や燃料電池用電極として用いた場合には、特性を充分に発揮することができないという不具合があった。
これらの問題を解決するために、これまでにも様々な複合セラミック粉体の製造方法が提案されている。
これらの方法の1つに、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)またはサマリアドープセリアからなる酸素イオン導電性を有する酸化物粉体を、ニッケルイオンまたはコバルトイオンを含む溶液中に浸漬した後、乾燥し、次いで、加熱処理して酸素イオン導電性を有する酸化物粉体の表面にニッケル酸化物またはコバルト酸化物を保持し、この酸化物粉体にさらにニッケルまたはコバルトの酸化物粉体を混合して原料粉体とする方法が提案されている(特許文献1)。
一方、酸化物の均一性や組成の制御性に優れた方法としてミスト熱分解法が知られており、例えば、イットリア安定化ジルコニア粒子と酢酸ニッケルとを含む溶液をミスト化し、このミストを乾燥した後に酢酸ニッケルの熱分解温度以上に加熱し、イットリア安定化ジルコニア粒子群が酸化ニッケル粒子群の表面側に偏在した複合体粒子を得る方法が提案されている(特許文献2)。
特許第3565696号公報 特許第3193294号公報
ところで、従来の複数種の酸化物粉体を混合する方法では、混合方法を適宜選択することにより、これらの酸化物粉体を比較的均一に混ぜることができるために、これら複数種の酸化物粉体が均一に分布した複合セラミックス粉体を得ることができるが、これらの酸化物粉体そのものの組成を制御することが困難であるという問題点があった。
また、従来のミスト熱分解法では、確かに、複数種の酸化物の分布の均一性や組成の制御性は改善されるものの、得られた複合体粒子中の酸化物の1次粒子径が大きく、したがって、この粗粒の複合体粒子を触媒や燃料電池用電極として用いた場合、充分な特性が得られないという問題点があった。
特に、固体酸化物形燃料電池の分野では、燃料極は燃料ガスと酸化剤とを反応させるための触媒としての役割を有しており、このときの電極において反応場となるのは三相界面であるといわれている。すなわち、ニッケル−イットリア安定化ジルコニア(Ni−YSZ)(燃料極)/イットリア安定化ジルコニア(電解質)系では、ニッケル(Ni)、イットリア安定化ジルコニア及び燃料ガスが全て接する部分が三相界面である。したがって、固体酸化物形燃料電池の出力特性を向上させるには、燃料極の三相界面の増大による電子の発生量の増加、及び発生した電子の外部回路への効率的な供給が必要になる。
そこで、複数種の酸化物粒子それぞれの粒子径がより均一で、分布性や組成制御性に優れ、三相界面のより多い複合セラミックス粉体、すなわち1次粒子径のより小さい複合セラミックス粉体が求められているが、なかなか難しいのが現状である。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、複数種の酸化物粒子の分布性、組成制御性に優れ、しかも三相界面が多く、電子伝導性に優れた複合セラミックス粉体及びその製造方法並びに固体酸化物形燃料電池を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、イットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子と、ニッケルイオンと、を含有するジルコニア酸性分散液をアルカリ溶液に添加して中和沈殿物を生成させ、この中和沈殿物を熱処理すれば、粒子の分布性、組成制御性に優れ、しかも三相界面が多く、電子伝導性にも優れた複合セラミックス粉体を容易に得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の複合セラミックス粉体は、酸化ニッケルとジルコニアとを含有してなる複合セラミックス粉体であって、イットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子と、ニッケルイオンと、を含有するジルコニア酸性分散液をアルカリ溶液に添加して得られた中和沈殿物を熱処理してなることを特徴とする。
前記ジルコニア酸性分散液におけるジルコニア粒子の分散平均粒子径は20nm以下であることが好ましい。
本発明の複合セラミックス粉体の製造方法は、イットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子と、ニッケルイオンと、を含有するジルコニア酸性分散液を、アルカリ溶液に添加して中和沈殿物を生成させ、次いで、この中和沈殿物を200℃以上の温度にて熱処理し、酸化ニッケルとジルコニアとを含有する粉体を生成することを特徴とする。
前記ジルコニア酸性分散液におけるジルコニア粒子の分散平均粒子径は20nm以下であることが好ましい。
前記ジルコニア酸性分散液における前記ニッケルイオンのモル百分率(M)と前記ジルコニア粒子のモル百分率(Z)との比(M:Z)は、
M:Z=90:10〜10:90
の範囲にあることが好ましい。
本発明の固体酸化物形燃料電池は、本発明の複合セラミックス粉体を電極材料としたことを特徴とする。
本発明の複合セラミックス粉体によれば、イットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子と、ニッケルイオンと、を含有するジルコニア酸性分散液をアルカリ溶液に添加して得られた中和沈殿物を熱処理したので、複数種の酸化物粒子からなる粉体における粒子の分布性を向上させることができ、粒子の組成制御性を向上させることができる。したがって、複数種の酸化物粒子の分布性、組成制御性に優れ、しかも三相界面が多く、電子伝導性に優れた複合セラミックス粉体を提供することができる。
本発明の複合セラミックス粉体の製造方法によれば、イットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子と、ニッケルイオンと、を含有するジルコニア酸性分散液を、アルカリ溶液に添加して中和沈殿物を生成させ、次いで、この中和沈殿物を200℃以上の温度にて熱処理するので、酸化ニッケルとジルコニアとを含有する複合セラミックス粉体を、容易かつ安価に作製することができる。
本発明の固体酸化物形燃料電池によれば、本発明の複合セラミックス粉体を電極材料としたので、電子の発生量を増大させることができる。その結果、電子を外部回路へ効率的に供給することができ、出力特性を向上させることができる。
本発明の複合セラミックス粉体及びその製造方法並びに固体酸化物形燃料電池を実施するための最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[複合セラミックス粉体]
本実施形態の複合セラミックス粉体は、酸化ニッケルとジルコニアとを含有してなる複合セラミックス粉体であり、イットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子と、ニッケルイオンと、を含有するジルコニア酸性分散液をアルカリ溶液に添加して得られた中和沈殿物を熱処理してなる粉体である。
上記のジルコニア酸性分散液におけるジルコニア粒子の分散平均粒子径は、20nm以下であることが好ましい。
この複合セラミックス粉体は、イットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子と、ニッケルイオンと、を含有するジルコニア酸性分散液を、アルカリ溶液に添加して中和沈殿物を生成させ、次いで、この中和沈殿物を200℃以上の温度にて熱処理することにより作製される。
[複合セラミックス粉体の製造方法]
本実施形態の複合セラミックス粉体の製造方法について、以下、詳細に説明する。
「ジルコニア酸性分散液の作製」
ジルコニア分散液にニッケルイオンを添加し、ジルコニア酸性分散液を作製する。
このジルコニア分散液に含まれるジルコニア粒子は、イットリア安定化ジルコニア粒子である。
このイットリア安定化ジルコニア粒子は、水熱合成法や焼成法により作製することができ、例えば、次に挙げる方法が好適である(特開2006−16236号公報参照)。
この方法は、金属塩溶液を塩基性溶液にて中和させて金属酸化物前駆体を生成させ、この金属酸化物前駆体から金属酸化物ナノ粒子を製造する方法であり、この金属塩溶液中の金属イオンまたは金属酸化物イオンの価数をm、この塩基性溶液中の水酸基のモル比をnとするとき、これらm及びnが次式
0.5<n<m ……(1)
を満たすように、金属塩溶液に塩基性溶液を加えて金属塩溶液部分中和させ、次いで、この部分中和された溶液に無機塩を加えて混合溶液とし、この混合溶液を加熱する方法である。
この金属塩溶液としては、イットリウム(Y)塩及びジルコニウム(Zr)塩を含む水溶液が好適に用いられる。
このイットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子の分散平均粒子径は、20nm以下であることが好ましい。
その理由は、分散平均粒子径が20nmを超えると、後工程でアルカリ溶液に加えたときに、ジルコニア粒子とニッケルとの不均一な沈殿物が生成し易くなり、その結果、分布性が悪く、組成の不均一な複合セラミックス粉体が生じる虞があるからである。
ここで、分散平均粒子径とは、分散液中の粒子がブラウン運動により拡散する速度を動的光散乱法により光学的に測定することで、この分散液における粒度分布を測定し、この粒度分布の最大値に対応する粒子径のことである。
次いで、このジルコニア分散液に、塩酸、硝酸、酢酸等の酸を添加し、この分散液のpH(水素イオン濃度)を4以下に調製し、ジルコニア酸性分散液とする。
ここで、pHを4以下としたのは、後工程で、ニッケル(Ni)の塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩等を含む水溶液を混合させた際に、ニッケルの水酸化物等の沈殿物が生じないようにするためである。
次いで、このジルコニア酸性分散液に、ニッケルの塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の塩を含む水溶液を添加し、イットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子と、ニッケルイオンとが共存するジルコニア酸性分散液を作製する。
このジルコニア酸性分散液におけるニッケルイオンのモル百分率(M)とジルコニア粒子のモル百分率(Z)との比(M:Z)は、
M:Z=90:10〜10:90
の範囲にあることが好ましく、より好ましくは、
M:Z=80:20〜20:80
の範囲である。
比(M:Z)を上記の範囲内とすることにより、イットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子中に酸化ニッケル(NiO)粒子が複合化された複合セラミックス粒子、あるいは、酸化ニッケル粒子中にイットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子が複合化された複合セラミックス粒子、を自由に制御作製することができる。
この比(M:Z)が上記の範囲を外れた場合、複合セラミックス粒子の表面における少量成分の粒子の露出割合が著しく低下し、したがって、三相界面量が大幅に低下し、その結果、固体酸化物形燃料電池用電極としての電気的特性も大幅に低下するので好ましくない。
このジルコニア酸性分散液における、イットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子とニッケルイオンとの合計の濃度については、特に制限はないが、生産性及びハンドリング性の観点から、ジルコニア粒子とニッケルイオンとの合計が0.5質量%〜10質量%程度が好ましい。
「中和沈殿物の生成」
上記のジルコニア酸性分散液をアルカリ溶液に添加し、中和沈殿物を生成する。
アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、炭酸水素カリウム(KHCO)、炭酸水素アンモニウム(NHHCO)、炭酸アンモニウム((NHCO)、アンモニア水(NHOH)、水溶性有機アミン類の水溶液等を用いることができる。
このアルカリ溶液における濃度としては、特に制限を設けるものではないが、生産性やハンドリングの観点から0.1mol%〜5mol%の範囲が好ましい。
また、上記のジルコニア酸性分散液を添加するアルカリ溶液の量としては、ジルコニア酸性分散液を添加して中和沈殿物が生成した後の溶液のpHが6以上となるように、アルカリ溶液の量を調整する。その理由は、生成後の溶液のpHが6未満、すなわち酸性側になった場合、ニッケルイオンの中和が不十分になり、得られる複合セラミックス粉体の組成の均一性が低下するからである。
上記のジルコニア酸性分散液をアルカリ溶液に添加する際の、それぞれの溶液の温度については、常温で良く、より好ましくは1℃〜50℃の範囲である。
「中和沈殿物の熱処理」
上記の中和沈殿物から、通常の濾過洗浄装置等を用いて、アルカリイオンやハロゲンイオン等の不純物イオンを除去し、その後、乾燥機を用いて乾燥する。
次いで、得られた乾燥物を、例えば、電気炉等を用いて、大気雰囲気中、200℃以上、好ましくは500℃以上かつ1000℃以下の最高保持温度にて熱処理することにより、酸化ニッケル粒子と、イットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子とからなる複合セラミックス粉体を作製する。
ここで、熱処理の最高保持温度を200℃以上と限定した理由は、最高保持温度が200℃より低いと、酸化ニッケル粒子の生成が不十分になり、その結果、イットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子中に酸化ニッケル粒子が複合化された複合セラミックス粒子、あるいは、酸化ニッケル粒子中にイットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子が複合化された複合セラミックス粒子、を自由に制御作製することができないからである。
この方法では、熱処理前の乾燥物は、ナノメートルサイズの微細なイットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子と酸化ニッケルの前駆体粒子とが均一に混合された状態であり、しかも、その均一に分布するジルコニア粒子が熱処理時の酸化ニッケルの融着の防止及び粒成長の防止を行う。よって、熱処理により複合セラミックス粉体中に粗大な酸化ニッケル粒子を生成する虞がなく、イットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子及び酸化ニッケル粒子共に微細な粒径の複合セラミックス粉体を作製することができる。
[固体酸化物形燃料電池]
本実施形態の固体酸化物形燃料電池は、上記の複合セラミックス粉体を燃料極の電極材料としたものである。この電極材料は、電子の発生量を増大させることができるので、電子を外部回路へ効率的に供給することができ、出力特性を向上させることができる。
上記の複合セラミックス粉体を用いて、固体酸化物形燃料電池の燃料極を作製する方法としては、一般的に用いられる方法で良く、例えば、上記の複合セラミックス粉体と、ポリエチレングリコール、ポリビニルブチラール等のバインダーとを混合して得られたペーストを、イットリア安定化ジルコニアからなる固体電解質基板の表面に、印刷法等にて塗布して膜を形成した後、大気雰囲気下、1200℃〜1500℃の範囲内の温度で焼成する方法等である。
上記の複合セラミックス粉体は、この固体酸化物形燃料電池の発電時の還元雰囲気下にて酸化ニッケルの還元金属化処理を行った場合においても、ニッケルの融着や粒成長を抑制することができる。したがって、三相界面量が多く、電子伝導性にも優れた燃料極を備えた固体酸化物形燃料電池を提供することができる。
図1は電気化学特性評価装置を示す模式図であり、上記の固体酸化物形燃料電池の燃料極の電気特性を測定するための装置である。
図において、1はイットリア安定化ジルコニア等の電解質、2は白金(Pt)からなる参照極、3は電解質1の上面に形成されたLa0.8Sr0.2MnO(LSM)等からなる空気極、4は参照極2の下面に形成された酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニア等からなる燃料極、5は空気極3及び燃料極4それぞれの上に配置された白金網、6はガラスシール、7、8は同軸的に配設され互いに径の異なるアルミナ管、9は白金線、10は乾燥空気、11は3%HO−97%Hの組成の加湿水素ガスである。
ここで、上記の固体酸化物形燃料電池の燃料極4の電極反応抵抗を測定するには、電解質1の上面に空気極3及び白金網5を順次取り付け、参照極2の下面に燃料極4及び白金網5を順次取り付け、空気極3に乾燥空気10を、燃料極4に加湿水素ガス11を、それぞれ供給しつつ、600℃〜800℃の温度範囲における燃料極4と参照極2との間の交流インピーダンスを空気極3を対極として測定する。
以上説明したように、本実施形態の複合セラミックス粉体によれば、イットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子、酸化ニッケル粒子、共に微細な粒径の粒子とすることができ、したがって、これらの粒子の分布性を向上させることができ、粒子の組成制御性を向上させることができる。したがって、イットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子、酸化ニッケル粒子等の複数種の酸化物粒子の分布性、組成制御性に優れ、しかも三相界面が多く、電子伝導性に優れた複合セラミックス粉体を提供することができる。
本実施形態の複合セラミックス粉体の製造方法によれば、イットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子と、ニッケルイオンと、を含有するジルコニア酸性分散液を、アルカリ溶液に添加して中和沈殿物を生成させ、次いで、この中和沈殿物を200℃以上の温度にて熱処理するので、酸化ニッケル粒子と、イットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子と、を含有する微細な粒径の複合セラミックス粉体を、容易かつ安価に作製することができる。
本実施形態の固体酸化物形燃料電池によれば、本実施形態の複合セラミックス粉体を燃料極の電極材料としたので、燃料極における電子の発生量を増大させることができる。その結果、電子を外部回路へ効率的に供給することができ、出力特性を向上させることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
「実施例1」
分散平均粒子径が7.5nmの10mol%イットリア安定化ジルコニア(10YSZ)分散液(10YSZの固形分濃度:8.4質量%、pH:4.6)50gに、硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)30.82gをpH3.3の希硝酸650gに溶解した硝酸ニッケル水溶液を加えて攪拌し、ニッケルイオン含有10mol%イットリア安定化ジルコニア(Ni−10YSZ)酸性分散液(pH:3.95)を作製した(分散液A−1)。
次いで、炭酸水素アンモニウム(NHHCO)4.19gを蒸留水133gに溶解し、炭酸水素アンモニウム水溶液(塩基性の炭酸水溶液)を作製した(水溶液B−1)。
次いで、この分散液A−1を水溶液B−1に滴下し、中和沈殿物を得た。ここでは、25質量%のアンモニア水溶液を分散液A−1と同時に水溶液B−1に滴下し、水溶液B−1のpHを8に保持した。
次いで、得られた中和沈殿物を吸引濾過洗浄装置にて4回水洗して不純物イオンを除去し、次いでエタノールにて溶媒置換を行い、その後、乾燥機中、80℃にて24時間乾燥した。次いで、得られた乾燥物を乳鉢で粉砕し、電気炉にて熱処理し、酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニア(NiO−YSZ)の複合粉体A−1を得た。
この複合粉体A−1中のNi、Y及びZrの質量を蛍光X線分析により測定し、この測定結果に基づき酸化ニッケル(NiO)とイットリア安定化ジルコニア(YSZ)との質量比を算出した。その結果、質量比(NiO:YSZ)は65:35であった。
図2は、この複合粉体A−1を示す透過型電子顕微鏡(TEM)像である。
この図によれば、酸化ニッケル粒子中にイットリア安定化ジルコニア粒子が複合化されて一体化されていることが分かる。
また、この複合粉体A−1の複合化の均一性を評価するために、熱処理条件を600℃にて6時間、800℃にて6時間の2通りとし、それぞれの複合粉体の酸化ニッケル及びイットリア安定化ジルコニアの結晶子径を測定した。その結果を表1に示す。
次いで、上記の複合粉体A−1を1000℃にて6時間熱処理した混合粉体1.5gを、ポリエチレングリコール(分子量:400)0.5g及びエタノール10gと共にボールミルにて混合し、次いで、この混合溶液を80℃に加温してエタノールを蒸発除去し、酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニアペーストを作製した。次いで、このペーストを、厚み300μmの8mol%イットリア安定化ジルコニア(8YSZ)基板上にスクリーン印刷にて塗布し、その後、1300℃にて2時間焼成し、8YSZ基板上に燃料極を形成した。
次いで、La0.8Sr0.2MnO(LSM)粉体1.5gを、ポリエチレングリコール(分子量:400)0.5g及びエタノール10gと共にボールミルにて混合し、次いで、この混合溶液を80℃に加温してエタノールを蒸発除去し、LSMペーストを作製した。次いで、このLSMペーストを、厚み300μmの8mol%イットリア安定化ジルコニア(8YSZ)基板上にスクリーン印刷にて塗布し、その後、1100℃にて2時間焼成し、8YSZ基板上に空気極を形成した。さらに、この8YSZ基板の側面に白金線を巻き付け、参照極とした。
次いで、この燃料極の電極反応抵抗を、図1に示す電気化学特性評価装置を用いて測定した。ここでは、空気極と参照極に乾燥空気を、また燃料極に3%HO−97%Hの組成の加湿水素ガスを、それぞれ50mL/分の流量にて供給し、空気極を対極とし、参照極−燃料極間の交流インピーダンスを測定することにより、燃料極の電極反応抵抗を評価した。なお、測定温度は600℃、800℃の2通りとし、測定周波数は10kHz〜0.1Hzとした。測定結果を表1に示す。
また、この燃料極の表面をTEM−EDXにより分析したところ、NiとY及びZrとが高密度に均一に分布する複合粒子であることが確認された。
「実施例2」
分散平均粒子径が7.5nmの10mol%イットリア安定化ジルコニア(10YSZ)分散液(10YSZの固形分濃度:8.4質量%、pH:4.6)50gに、硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)13.50gをpH3.3の希硝酸650gに溶解した硝酸ニッケル水溶液を加えて攪拌し、ニッケルイオン含有10mol%イットリア安定化ジルコニア(Ni−10YSZ)酸性分散液(pH:3.95)を作製した(分散液A−2)。
次いで、実施例1に準じて、炭酸水素アンモニウム(NHHCO)4.19gを蒸留水133gに溶解し、炭酸水素アンモニウム水溶液(塩基性の炭酸水溶液)を作製した(水溶液B−1)。
次いで、この分散液A−2を水溶液B−1に滴下し、中和沈殿物を得た。ここでは、25質量%のアンモニア水溶液を分散液A−2と同時に水溶液B−1に滴下し、水溶液B−1のpHを8に保持した。
次いで、得られた中和沈殿物を吸引濾過洗浄装置にて4回水洗して不純物イオンを除去し、次いでエタノールにて溶媒置換を行い、その後、乾燥機中、80℃にて24時間乾燥した。次いで、得られた乾燥物を乳鉢で粉砕し、電気炉にて熱処理し、酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニアの複合粉体A−2を得た。
この複合粉体A−2中のNi、Y及びZrの質量を蛍光X線分析により測定し、この測定結果に基づき酸化ニッケル(NiO)とイットリア安定化ジルコニア(YSZ)との質量比を算出した。その結果、質量比(NiO:YSZ)は45:55であった。
また、この複合粉体A−2の複合化の均一性を評価するために、熱処理条件を600℃にて6時間、800℃にて6時間の2通りとし、それぞれの複合粉体の酸化ニッケル及びイットリア安定化ジルコニアの結晶子径を測定した。その結果を表1に示す。
次いで、上記の複合粉体A−2を1000℃にて6時間熱処理した混合粉体1.5gを、ポリエチレングリコール(分子量:400)0.5g及びエタノール10gと共にボールミルにて混合し、次いで、この混合溶液を80℃に加温してエタノールを蒸発除去し、酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニアペーストを作製した。次いで、このペーストを、厚み300μmの8mol%イットリア安定化ジルコニア(8YSZ)基板上にスクリーン印刷にて塗布し、その後、1300℃にて2時間焼成し、8YSZ基板上に燃料極を形成した。
次いで、La0.8Sr0.2MnO(LSM)粉体1.5gを、ポリエチレングリコール(分子量:400)0.5g及びエタノール10gと共にボールミルにて混合し、次いで、この混合溶液を80℃に加温してエタノールを蒸発除去し、LSMペーストを作製した。次いで、このLSMペーストを、厚み300μmの8mol%イットリア安定化ジルコニア(8YSZ)基板上にスクリーン印刷にて塗布し、その後、1100℃にて2時間焼成し、8YSZ基板上に空気極を形成した。さらに、この8YSZ基板の側面に白金線を巻き付け、参照極とした。
次いで、この燃料極の電極反応抵抗を、図1に示す電気化学特性評価装置を用いて測定した。ここでは、空気極と参照極に乾燥空気を、また燃料極に3%HO−97%Hの組成の加湿水素ガスを、それぞれ50mL/分の流量にて供給し、空気極を対極とし、参照極−燃料極間の交流インピーダンスを測定することにより、燃料極の電極反応抵抗を評価した。なお、測定温度は600℃、800℃の2通りとし、測定周波数は10kHz〜0.1Hzとした。測定結果を表1に示す。
また、この燃料極の表面をTEM−EDXにより分析したところ、NiとY及びZrとが高密度に均一に分布する複合粒子であることが確認された。
「実施例3」
分散平均粒子径が7.5nmの10mol%イットリア安定化ジルコニア(10YSZ)分散液(10YSZの固形分濃度:8.4質量%、pH:4.6)50gに、硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)75.00gをpH3.3の希硝酸650gに溶解した硝酸ニッケル水溶液を加えて攪拌し、ニッケルイオン含有10mol%イットリア安定化ジルコニア(Ni−10YSZ)酸性分散液(pH:3.95)を作製した(分散液A−3)。
次いで、実施例1に準じて、炭酸水素アンモニウム(NHHCO)4.19gを蒸留水133gに溶解し、炭酸水素アンモニウム水溶液(塩基性の炭酸水溶液)を作製した(水溶液B−1)。
次いで、この分散液A−3を水溶液B−1に滴下し、中和沈殿物を得た。ここでは、25質量%のアンモニア水溶液を分散液A−3と同時に水溶液B−1に滴下し、水溶液B−1のpHを8に保持した。
次いで、得られた中和沈殿物を吸引濾過洗浄装置にて4回水洗して不純物イオンを除去し、次いでエタノールにて溶媒置換を行い、その後、乾燥機中、80℃にて24時間乾燥した。次いで、得られた乾燥物を乳鉢で粉砕し、電気炉にて熱処理し、酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニア(NiO−YSZ)の複合粉体A−3を得た。
この複合粉体A−3中のNi、Y及びZrの質量を蛍光X線分析により測定し、この測定結果に基づき酸化ニッケル(NiO)とイットリア安定化ジルコニア(YSZ)との質量比を算出した。その結果、質量比(NiO:YSZ)は82:18であった。
また、この複合粉体A−3の複合化の均一性を評価するために、熱処理条件を600℃にて6時間、800℃にて6時間の2通りとし、それぞれの複合粉体の酸化ニッケル及びイットリア安定化ジルコニアの結晶子径を測定した。その結果を表1に示す。
次いで、上記の複合粉体A−3を1000℃にて6時間熱処理した混合粉体1.5gを、ポリエチレングリコール(分子量:400)0.5g及びエタノール10gと共にボールミルにて混合し、次いで、この混合溶液を80℃に加温してエタノールを蒸発除去し、酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニアペーストを作製した。次いで、このペーストを、厚み300μmの8mol%イットリア安定化ジルコニア(8YSZ)基板上にスクリーン印刷にて塗布し、その後、1300℃にて2時間焼成し、8YSZ基板上に燃料極を形成した。
次いで、La0.8Sr0.2MnO(LSM)粉体1.5gを、ポリエチレングリコール(分子量:400)0.5g及びエタノール10gと共にボールミルにて混合し、次いで、この混合溶液を80℃に加温してエタノールを蒸発除去し、LSMペーストを作製した。次いで、このLSMペーストを、厚み300μmの8mol%イットリア安定化ジルコニア(8YSZ)基板上にスクリーン印刷にて塗布し、その後、1100℃にて2時間焼成し、8YSZ基板上に空気極を形成した。さらに、この8YSZ基板の側面に白金線を巻き付け、参照極とした。
次いで、この燃料極の電極反応抵抗を、図1に示す電気化学特性評価装置を用いて測定した。ここでは、空気極と参照極に乾燥空気を、また燃料極に3%HO−97%Hの組成の加湿水素ガスを、それぞれ50mL/分の流量にて供給し、空気極を対極とし、参照極−燃料極間の交流インピーダンスを測定することにより、燃料極の電極反応抵抗を評価した。なお、測定温度は600℃、800℃の2通りとし、測定周波数は10kHz〜0.1Hzとした。測定結果を表1に示す。
また、この燃料極の表面をTEM−EDXにより分析したところ、NiとY及びZrとが高密度に均一に分布する複合粒子であることが確認された。
「比較例」
10mol%イットリア安定化ジルコニア粉末 TZ−10Y(東ソー(株)社製)8.4gをpH3.3の希硝酸41.6gに加え、超音波ホモジナイザを用いて分散させ、分散液を作製した。この分散液中のイットリア安定化ジルコニア粉末の分散平均粒子径は、120nmであった。
次いで、この分散液に、硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)30.82gをpH3.3の希硝酸650gに溶解した硝酸ニッケル水溶液を加えて攪拌し、ニッケルイオン含有10mol%イットリア安定化ジルコニア(Ni−10YSZ)酸性分散液(pH:3.95)を作製した(分散液A−4)。
次いで、実施例1に準じて、炭酸水素アンモニウム(NHHCO)4.19gを蒸留水133gに溶解し、炭酸水素アンモニウム水溶液(塩基性の炭酸水溶液)を作製した(水溶液B−1)。
次いで、この分散液A−4を水溶液B−1に滴下し、中和沈殿物を得た。ここでは、25質量%のアンモニア水溶液を分散液A−4と同時に水溶液B−1に滴下し、水溶液B−1のpHを8に保持した。
次いで、得られた中和沈殿物を吸引濾過洗浄装置にて4回水洗して不純物イオンを除去し、次いでエタノールにて溶媒置換を行い、その後、乾燥機中、80℃にて24時間乾燥した。次いで、得られた乾燥物を乳鉢で粉砕し、電気炉にて熱処理し、酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニア(NiO−YSZ)の複合粉体A−4を得た。
この複合粉体A−4中のNi、Y及びZrの質量を蛍光X線分析により測定し、この測定結果に基づき酸化ニッケル(NiO)とイットリア安定化ジルコニア(YSZ)との質量比を算出した。その結果、質量比(NiO:YSZ)は65:35であった。
また、この複合粉体A−4の複合化の均一性を評価するために、熱処理条件を600℃にて6時間、800℃にて6時間の2通りとし、それぞれの複合粉体の酸化ニッケル及びイットリア安定化ジルコニアの結晶子径を測定した。その結果を表1に示す。
次いで、上記の複合粉体A−4を1000℃にて6時間熱処理した混合粉体1.5gを、ポリエチレングリコール(分子量:400)0.5g及びエタノール10gと共にボールミルにて混合し、次いで、この混合溶液を80℃に加温してエタノールを蒸発除去し、酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニアペーストを作製した。次いで、このペーストを、厚み300μmの8mol%イットリア安定化ジルコニア(8YSZ)基板上にスクリーン印刷にて塗布し、その後、1300℃にて2時間焼成し、8YSZ基板上に燃料極を形成した。
次いで、La0.8Sr0.2MnO(LSM)粉体1.5gを、ポリエチレングリコール(分子量:400)0.5g及びエタノール10gと共にボールミルにて混合し、次いで、この混合溶液を80℃に加温してエタノールを蒸発除去し、LSMペーストを作製した。次いで、このLSMペーストを、厚み300μmの8mol%イットリア安定化ジルコニア(8YSZ)基板上にスクリーン印刷にて塗布し、その後、1100℃にて2時間焼成し、8YSZ基板上に空気極を形成した。さらに、この8YSZ基板の側面に白金線を巻き付け、参照極とした。
次いで、この燃料極の電極反応抵抗を、図1に示す電気化学特性評価装置を用いて測定した。ここでは、空気極と参照極に乾燥空気を、また燃料極に3%HO−97%Hの組成の加湿水素ガスを、それぞれ50mL/分の流量にて供給し、空気極を対極とし、参照極−燃料極間の交流インピーダンスを測定することにより、燃料極の電極反応抵抗を評価した。なお、測定温度は600℃、800℃の2通りとし、測定周波数は10kHz〜0.1Hzとした。測定結果を表1に示す。
本発明の複合セラミックス粉体は、イットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子と、ニッケルイオンと、を含有するジルコニア酸性分散液をアルカリ溶液に添加して中和沈殿物を生成し、この中和沈殿物を熱処理することにより、複数種の酸化物粒子の分布性、組成制御性に優れ、しかも三相界面が多く、電子伝導性に優れた、酸化ニッケルとジルコニアとを含有してなる複合セラミックス粉体としたものであるから、固体酸化物形燃料電池及びそれに関するさまざまな工業分野においてもその利用可能性は大である。
本発明の一実施形態の固体酸化物形燃料電池の燃料極を評価するための電気化学特性評価装置を示す模式図である。 本発明の一実施形態の酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニア複合粒子を示す透過型電子顕微鏡(TEM)像である。
符号の説明
1 電解質
2 参照極
3 空気極
4 燃料極
5 白金網
6 ガラスシール
7、8 アルミナ管
9 白金線
10 乾燥空気
11 加湿水素ガス

Claims (6)

  1. 酸化ニッケルとジルコニアとを含有してなる複合セラミックス粉体であって、
    イットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子と、ニッケルイオンと、を含有するジルコニア酸性分散液をアルカリ溶液に添加して得られた中和沈殿物を熱処理してなることを特徴とする複合セラミックス粉体。
  2. 前記ジルコニア酸性分散液におけるジルコニア粒子の分散平均粒子径は20nm以下であることを特徴とする請求項1記載の複合セラミックス粉体。
  3. イットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子と、ニッケルイオンと、を含有するジルコニア酸性分散液を、アルカリ溶液に添加して中和沈殿物を生成させ、次いで、この中和沈殿物を200℃以上の温度にて熱処理し、酸化ニッケルとジルコニアとを含有する粉体を生成することを特徴とする複合セラミックス粉体の製造方法。
  4. 前記ジルコニア酸性分散液におけるジルコニア粒子の分散平均粒子径は20nm以下であることを特徴とする請求項3記載の複合セラミックス粉体の製造方法。
  5. 前記ジルコニア酸性分散液における前記ニッケルイオンのモル百分率(M)と前記ジルコニア粒子のモル百分率(Z)との比(M:Z)は、
    M:Z=90:10〜10:90
    の範囲にあることを特徴とする請求項3または4記載の複合セラミックス粉体の製造方法。
  6. 請求項1または2記載の複合セラミックス粉体を電極材料としたことを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
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