JP2010005269A - 医療用スコープ、および医療用スコープにおける先端部連結方法 - Google Patents

医療用スコープ、および医療用スコープにおける先端部連結方法 Download PDF

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Abstract

【課題】保護用樹脂による先端部の大径化を避けるのに好適な医療用スコープを提供する。
【解決手段】ユーザによる操作にしたがって湾曲する湾曲部、および該湾曲部に連結され、略円筒状の本体ケース内部に対象物を観察するための所定の光学系を収容した先端部を有し、該湾曲部の外皮部材の先端が該本体ケースの全周に被せられた構成を有する医療用スコープであって、本体ケースの側面の少なくとも一部に開口部が形成され、外皮部材の先端が開口部を覆うように本体ケースの全周に被せられ、開口部を覆う箇所を含む外皮部材の先端の全周が糸状部材により緊縛されて本体ケースに固定され、糸状部材を保護する保護用樹脂が該糸状部材全体を覆うように塗布されている医療用スコープを提供する。
【選択図】図4

Description

この発明は、患者の体腔内を観察するための医療用スコープに関連し、詳しくは、ユーザによる操作にしたがって湾曲する湾曲部、および該湾曲部に連結され、略円筒状の本体ケース内部に対象物を観察するための所定の光学系を収容した先端部を有し、該湾曲部の外皮部材の先端が該本体ケースに被せられた構成を有する医療用スコープに関する。また、該先端部を該湾曲部に連結する医療用スコープにおける先端部連結方法に関する。
医師が患者の体腔内を観察するときに使用するシステムとして電子スコープシステムが一般的に知られている。電子スコープシステムは、体腔内を撮像する固体撮像素子を有する電子スコープ、固体撮像素子により生成された撮像信号を処理してモニタに出力するビデオプロセッサ、および自然光の届かない体腔内を照明する光源装置を有する。
電子スコープシステムが有する電子スコープの具体的構造は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に示されるように、電子スコープは、体腔内に挿入される可撓管を有している。可撓管の先端には、電子スコープの操作部に設けられた操作ノブに連動して湾曲する湾曲部が連結されている。湾曲部の先端には、体腔内を観察するための対物光学系やCCD(Charge Coupled Device)等の固体撮像素子を本体ケースに収容した先端部が連結されている。湾曲部は、操作ノブの操作にしたがって湾曲して先端部の方向を自在に変える。
先端部の本体ケースの中段から後端に至る外面には、該外面全周に亘り、湾曲部の外皮部材の先端が被せられている。そして、外皮部材の先端は、緊縛糸により緊縛されている。これは、外皮部材の先端が捲れて本体ケースと外皮部材との隙間から先端部内部等に体液や洗浄用薬品等が浸水することを防止するためである。また、このとき使用される緊縛糸は、極細径であるため洗浄用薬品等により損傷して切れる虞がある。このため、緊縛糸には損傷して切れることが無いように保護用樹脂が塗布されている。
特開2006−75341号公報
このように本体ケース上に外皮部材の先端を被せて緊縛する構成を採用することにより、先端部内部等に対する体液等の浸水が防止される。ところが、かかる構成を採用したことにより、以下の不都合が生じる。すなわち、保護用樹脂は、外皮部材上に緊縛された緊縛糸を覆うように塗布されている。そのため、保護用樹脂は、外皮部材に対して盛り上がった形状で硬化する。この結果、保護用樹脂が塗布された箇所において先端部の外径が大径化することとなる。先端部の大径化は、患者の負担を考えると望ましくない。
そこで、本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、保護用樹脂による先端部の大径化を避けるのに好適な医療用スコープ、および該医療用スコープにおいて先端部を湾曲部に連結させるのに好適な先端部連結方法を提供することである。
上記の課題を解決する本発明の一形態に係る医療用スコープは、ユーザによる操作にしたがって湾曲する湾曲部、および該湾曲部に連結され、略円筒状の本体ケース内部に対象物を観察するための所定の光学系を収容した先端部を有し、該湾曲部の外皮部材の先端が該本体ケースの全周に被せられた構成を有するスコープであって、本体ケースの側面の少なくとも一部に開口部が形成され、外皮部材の先端が開口部を覆うように本体ケースの全周に被せられ、開口部を覆う箇所を含む外皮部材の先端の全周が糸状部材により緊縛されて本体ケースに固定され、糸状部材を保護する保護用樹脂が該糸状部材全体を覆うように塗布されていることを特徴としている。
すなわち、本発明に係る医療用スコープにおいては、開口部を覆う外皮部材が緊縛糸の締め付け力により開口部内に凹むように変形する。そのため、緊縛糸の巻径自体が小径化し、それに伴い保護用樹脂の盛り形状自体も小径化する。このように保護用樹脂の盛り形状を小径化することにより、先端部が細径化する。
ここで、緊縛糸の巻径をより小径化させるためには、本体ケースに形成された開口部を本体ケースの略全周に亘って開口した形状とすることが望ましい。
本発明に係る医療用スコープは、対象物を照明する照明光を導光する光ファイバ束を本体ケースにさらに収容した構成としてもよい。この場合、外皮部材の先端は、本体ケースに収容されて開口部から露出する光ファイバ束上に糸状部材による締め付けにより密着している。
開口部から露出する光ファイバ束上には、該光ファイバ束を糸状部材の締め付け力から保護するため、所定の硬化性樹脂が塗布されていることが望ましい。
また、光ファイバ束は、外的負荷がかかる場合にも変形しないように外皮部材の先端が密着する箇所と反対側の箇所が本体ケースの壁面に当て付くように配置されていることが望ましい。
また、上記の課題を解決する本発明の一形態に係る医療用スコープにおける先端部連結方法は、略円筒状の本体ケース内部に対象物を観察するための所定の光学系を収容した先端部をユーザによる操作にしたがって湾曲する湾曲部に連結する方法であり、以下の各ステップを含む。すなわち該先端部連結方法は、外皮部材の先端を本体ケースの側面の少なくとも一部に形成された開口部を覆うように該本体ケースの全周に被せる外皮部材被覆ステップと、開口部を覆う箇所を含む外皮部材の先端の全周を糸状部材により緊縛して本体ケースに固定する緊縛ステップと、外皮部材の先端を緊縛した糸状部材を保護する保護用樹脂を該糸状部材全体を覆うように塗布する保護用樹脂塗布ステップとを含む方法である。
このような先端部連結方法は、対象物を照明する照明光を導光する光ファイバ束を本体ケースに収容する光ファイバ収容ステップをさらに含む方法としてもよい。この場合、緊縛ステップにおいて、外皮部材の先端は、本体ケースに収容されて開口部から露出する光ファイバ束上に糸状部材による締め付けにより密着される。
また、該先端部連結方法は、開口部から露出する光ファイバ束上に所定の硬化性樹脂を塗布する硬化性樹脂塗布ステップをさらに含む方法としてもよい。
光ファイバ収容ステップにおいて、ファイバ束は、好ましくは、外皮部材の先端が密着する箇所と反対側の箇所が本体ケースの壁面に当て付くように配置される。
本発明によれば、保護用樹脂による先端部の大径化を避けるのに好適な医療用スコープ、および該医療用スコープにおいて先端部を湾曲部に連結させるのに好適な先端部連結方法が提供される。本発明を実施することにより、体腔内に対する先端部の挿入容易性が向上する。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の電子スコープシステムについて説明する。
図1は、本実施形態の電子スコープシステム1の外観図である。図1に示されるように、電子スコープシステム1は、電子スコープ100およびプロセッサ200を有する。また、図面省略されたモニタを有する。
プロセッサ200は、電子スコープ100からの信号を処理する信号処理装置と、自然光の届かない体腔内を電子スコープ100を通じて照明する光源装置とを内蔵した一体型のプロセッサである。なお、別の実施形態では信号処理装置と光源装置とを別体で構成してもよい。
図1に示されるように、電子スコープ100の基端部にはコネクタユニット10が備えられている。コネクタユニット10にはLCB接続プラグ12と信号接続プラグ14の二本のプラグが設けられている。LCB接続プラグ12がプロセッサ200のLCB接続ジャック22に差し込まれることにより、電子スコープ100とプロセッサ200が光学的に接続される。また、信号接続プラグ14がプロセッサ200の信号接続ジャック24に差し込まれることにより、電子スコープ100とプロセッサ200が電気的に接続される。プロセッサ200とモニタは所定のケーブルを介して電気的に接続される。
このように電子スコープ100、プロセッサ200、モニタがそれぞれ接続されて電源が投入されると、術者は、電子スコープシステム1を使用して患者の体腔内を検査、施術等できるようになる。具体的には、術者は、可撓性を有する電子スコープ100の可撓部16を体腔内に挿入して先端部18を観察対象近傍に導く。そして、電子スコープ100が直視鏡であると仮定すると、観察対象近傍に導かれた先端部18の正面を観察対象に向けるため、例えば操作部20のアングルノブ等を操作して湾曲部22を湾曲させて、先端部18の方向を適宜変える。また、術者は、このような電子スコープ100の操作に加えて、プロセッサ200のフロントパネルに設けられた操作部も必要に応じて操作する。術者は、これらの操作を行った結果得られる体腔内の映像をモニタ上で観察して検査や施術等を行う。
ところで、本実施形態の電子スコープ100は、耳鼻咽喉観察用の電子スコープを想定する。このため、先端部18等の体腔内に挿入される部分が消化器観察等の他用途向けの電子スコープに比べて細径に構成されている。以下、耳鼻咽喉観察向けに細径化された細径構造を有する先端部18の構成について詳細に説明する。
先端部18の構成を図2〜4の各図に示す。図2は、先端部18の正面外観図である。図3は、先端部18の断面(図2のA−A断面)を示す断面図である。図4は、先端部18の断面(図2のB−B断面)を示す断面図である。なお、以降の各図においては、電子スコープ100の内部構造を説明するにあたり、便宜上、先端部18の左右方向(図2において紙面に平行な横方向)をX方向、先端部18の上下方向(図2において紙面に平行な縦方向)をY方向、先端部18の長手方向(図2において紙面に直交する方向)をZ方向と定義する。かかる定義によれば、図3は、電子スコープ100の中心軸AX(電子スコープ100が有する光学系の光軸と一致する軸)を含むY−Z平面での先端部18の断面図となっている。また、図4は、中心軸AXを含むX−Z平面での先端部18の断面図となっている。
先端部18は、各種内蔵部品を収容する略円筒形状で金属製(例えばステンレス鋼)の先端部本体ケース30を有している。先端部本体ケース30には同じく金属製であり、該先端部本体ケース30の内径と略等しい外径を有する先端部本体ケース32が嵌め込まれる。先端部本体ケース32は、両側面がHカット加工されている。このため、先端部本体ケース32を先端部本体ケース30に嵌め込むと、先端部本体ケース30の内壁と先端部本体ケース32のHカット加工面とにより規定される略三日月状の二つのスペースが生じる。各三日月状スペースには、LCB70R、70Lを構成する無数の光ファイバの先端が接着剤とともに充填され接着固定されている。各三日月状のスペースから延びて出た二本のLCB70R、70Lは、先端部18、湾曲部22等の内部を電子スコープ100の基端部に向けて挿入し通されている。LCB70R、70Lの末端は、コネクタユニット10の内部に収容されつつLCB接続プラグ12に接続されている。なお、先端部本体ケース30や32を金属製とした場合には、樹脂成型品とした場合と比較して薄肉にすることができる。そのため、先端部18の外径を細径化させられるメリットがある。
先端部本体ケース32は、電気絶縁性を有する樹脂製の絶縁枠34を介してレンズ保持枠36を保持している。レンズ保持枠36は、対物レンズ群38を保持している。レンズ保持枠36は金属製であり、収縮変形等が発生しないため、対物レンズ群38を高精度に保持することができる。
先端部本体ケース30の後端には、長方形状のシールドパイプ40(角パイプ)が該長方形の長辺が上下方向に向くように接着固定されている。シールドパイプ40内部には、図示省略されたCCDチップおよびその周辺回路が配置されている。そして、シールドパイプ40の後端からは、周辺回路から引き出された各種信号線を絶縁性被覆材により被覆して束ねた信号ケーブル束(不図示)が延び出ている。シールドパイプ40から延び出た信号ケーブル束は、湾曲部22、可撓部16等の内部を電子スコープ100の基端部に向けて配線されている。信号ケーブル束の末端は、コネクタユニット10の内部に収容されつつ信号接続プラグ14に接続されている。
シールドパイプ40は金属製であり、CCDチップを高精度に保持するとともにCCDチップや周辺回路の輻射ノイズ等を遮断する役割を有する。シールドパイプ40の全周、および絶縁枠34で覆いきれないレンズ保持枠36の一部には、電気絶縁性を有する絶縁テープ48が巻き付けられている。CCDチップおよび周辺回路等が有する金属部材は、絶縁枠34および絶縁テープ48によりシールドパイプ40外に配置された他の部品と電気的に絶縁されている。
先端部本体ケース30の後端には湾曲部22を構成する各種部品が連結されている。湾曲部22は、略円筒状の節輪50を多数有している。各節輪50は、隣接する節輪50とリベット52により回動自在に連結されている。なお、図2および図3において図面の複雑化を避けるため、節輪50とリベット52の具体的形状を図示省略する。
節輪50の内側で且つシールドパイプ40の上方、下方のそれぞれには、操作部20のアングルノブと連動して湾曲部22を上下に湾曲させるための一対のアングルワイヤ54が配置されている。アングルワイヤ54の先端は、先端部本体ケース30に接着固定されたワイヤ止めリング56にロウ付け加工されている。
節輪50およびワイヤ止めリング56の全周は、極細径の金属線からなる網状チューブ58により覆われている。網状チューブ58の先端は、先端部本体ケース30の外壁に達して被せられ、樹脂製の緊縛糸60により緊縛されて先端部本体ケース30に固定されている。
さらに、網状チューブ58の全周は、湾曲部22の外皮であるアングルゴム62により覆われている。アングルゴム62の先端も先端部本体ケース30の外壁に達して被せられ、樹脂製または生糸製の緊縛糸64により緊縛されて先端部本体ケース30に固定されている。ここで、緊縛糸64のような極細径の樹脂が露出した状態にあると、先端部18等の洗浄に使用する洗浄用薬品等により緊縛糸64が劣化、損傷して切れる虞がある。このような緊縛糸64の切断を避けるため、緊縛糸64上には洗浄用薬品等に対する保護処理として接着剤66が塗布されている。
接着剤66は、緊縛糸64を完全に覆った状態で硬化している。緊縛糸64上に塗布される接着剤66としては、例えば寸法安定性や耐水性、耐薬品性等に優れたエポキシ系接着剤が適している。なお、緊縛糸60はアングルゴム62により完全に覆われているため、接着剤による保護処理は不要である。
このように緊縛糸64上に接着剤66を塗布した場合、従来の先端部の構成においては、接着剤66がアングルゴム62に対して盛り上がった形状で硬化して先端部の最大外径を規定することとなる。すなわち、接着剤66により先端部が大型化するという不利な点が生じることとなっていた。
そこで、例えば接着剤66の塗布量を減らして接着剤66の盛高さを抑制することにより先端部18を細径化させる方法が考えられる。しかし、接着剤66の塗布量を減らした場合には、緊縛糸64を接着剤66で十分に覆えないことがある。つまりこの場合には、緊縛糸64を洗浄用薬品等から十分に保護することができず、緊縛糸64を塗布する趣旨が没却してしまう。
これらの事情を踏まえて先端部18は設計されている。すなわち、先端部18は、接着剤66の塗布量を減らすこと無く最大外径が小さくなるように構成されている。具体的には、先端部本体ケース30が、接着剤66の盛り形状がなす外径自体を小さくして先端部18を細径化させるための特徴的構成を有している。
図5は、先端部本体ケース30の外観斜視図である。図5に示されるように、先端部本体ケース30は、略円筒状に形成された第一円筒状ケース30aおよび第二円筒状ケース30bを有している。第一円筒状ケース30aと第二円筒状ケース30bは互いに離隔するものの、二つの接続部30cを介して一体に形成されている。また、各ケース30a、30bは、接続部30cにより同心となるように保持されている。かかる配置構成により、先端部本体ケース30には、第一円筒状ケース30a、第二円筒状ケース30b、および接続部30cにより規定される二つの開口部30dが形成されることになる。各開口部30dは、先端部本体ケース30の周方向に長くかつ幅(先端部本体ケース30の長手方向)が一定の開口となっている。
なお、接続部30cの幅(先端部本体ケース30の周方向)は、開口部30dの周方向の長さと比較すると非常に短い。したがって、第一円筒状ケース30aと第二円筒状ケース30bとの間は、先端部本体ケース30の略全周に亘って開口していると表現することもできる。
また、第二円筒状ケース30bは幅(先端部本体ケース30の長手方向)が狭いため、接着しろを十分に確保することができない。そのため、第二円筒状ケース30bを単独で他の部品に接着することは製造上困難である。このような理由から、第二円筒状ケース30bは、第一円筒状ケース30aと一体に形成されており、接着不良等により外れることの無いように構成されている。
図6および図7は、先端部18の組立を説明するための図である。先端部18の組立は、例えば以下のようにして行なわれる。まず、無数の光ファイバの素線を束ねたLCB70Rが、第一円筒状ケース30aの後端(湾曲部22側端部)側から第一円筒状ケース30a内部における一方の側(便宜上、先端部18を正面視した場合における右側)に寄せられた状態で第二円筒状ケース30bまで挿入し通される。同様に、LCB70Lが、第一円筒状ケース30aの後端側から第一円筒状ケース30a内部における他方の側(上記同様、便宜上、左側)に寄せられた状態で第二円筒状ケース30bまで挿入し通される。次いで、先端部本体ケース32が、第二円筒状ケース30bの先端側から先端部本体ケース30に嵌め込まれる。先端部本体ケース32には、挿入位置規定面32aが形成されている。先端部本体ケース32は、挿入位置規定面32aが第二円筒状ケース30bに形成された当て付け面30eに当て付くまで嵌め込まれる。これにより、LCB70R、70Lの先端は、先端部本体ケース30と32とにより規定される略三日月状のスペースに挟み込まれる。
このとき、LCB70R、70Lの先端は、先端部18の正面に形成された上記三日月状スペースの開口から僅かに突出している。そのため、LCB70R、70Lは、図7に示されるように、先端面が第二円筒状ケース30bの前面と略同一面となるように該開口からの突出部分が研磨される。
次に、研磨されたLCB70R、70Lの先端面C、および開口部30dから露出したLCB70R、70Lの側面Dに接着剤(例えばエポキシ系接着剤)が塗布される。各面に塗布された接着剤は、各本体ケースと各LCBとの隙間や、各光ファイバ素線間に浸透する。浸透した接着剤が硬化することにより、LCB70R、70Lは、先端部本体ケース30および32に接着固定される。なお、側面Dには、該側面D全体を覆う接着層が形成されるまで接着剤が塗布される。接着剤は、該接着層の厚みが均一となるように塗布される。該接着層の厚みは、他の部品の厚みと比較しても非常に薄いことを言い添えておく。
各面に塗布された接着剤が硬化すると、次は、アングルゴム62の先端が開口部30dを塞ぐように第一円筒状ケース30aの全周に被せられる。このとき、アングルゴム62の先端は、開口部30dから露出したLCB70R、70L上を覆う。この状態で、開口部30dを塞ぐ箇所を含むアングルゴム62の先端の全周が緊縛糸64により緊縛される。緊縛されたアングルゴム62の先端は、緊縛糸64の締め付け力により開口部30d内に凹むように変形する。変形されたアングルゴム62の先端は、接着層を介してLCB70R、70L上に密着して先端部本体ケース30に固定される。
すなわち、緊縛糸64は、アングルゴム62の先端を先端部本体ケース30(より正確には第一円筒状ケース30a)の外壁面よりも小径をなすLCB70R、70Lの側面D上に緊縛する。このため、緊縛糸64の巻径は、アングルゴム62の先端を第一円筒状ケース30aの外壁面に緊縛する場合と比べて小径となる。
なお、アングルゴム62の先端を緊縛した際には、該先端の内側に配置されている部品が締め付けられる。ここでは、LCB70R、70Lの側面Dが締め付けられる。そのため、LCB70R、70Lを構成する光ファイバが該締め付け力によって欠損することが懸念される。しかし、LCB70R、70Lの側面Dは、硬質な接着層により保護された状態にある。したがって、該締め付け力により光ファイバが欠損することはない。
また、LCB70R、70Lは、緊縛時に締め付けられて中心軸AX側に屈曲し変形することが懸念される。このようなLCB70R、70Lの変形は、光量損失等の原因となるため望ましくない。しかし、LCB70R、70Lは、締め付け力がかかる側の箇所と反対側の箇所が先端部本体ケース32の外壁面に当て付き、該外壁面によって受けられている。したがって、LCB70R、70Lは、緊縛時に締め付けられても先端部本体ケース32の外壁面に沿った形状、すなわち直線的な形状を維持する。
アングルゴム62の先端が緊縛されると、次は、緊縛糸64を保護するために接着剤66が緊縛糸64全体を覆うように塗布される。
接着剤66は、巻径が小径化された緊縛糸64を覆うように塗布される。そのため、接着剤66の盛り形状により増加する径方向の厚み自体も薄くなる。すなわち、従来、接着剤の盛り形状に起因する先端部の最大外径が小径化する。その結果、先端部が細径化して、例えば先端部の挿入容易性が向上する。
なお、図3や図4において、接着剤66の盛り高さは、第一円筒状ケース30a上に被さったアングルゴム62と略同じ高さである。しかし、各種部品の相対的寸法差等によっては、接着剤66の盛高さを該アングルゴム62によりも低く抑えることが可能である。
以上が本発明の実施形態の説明である。本発明は、上記の構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。
本発明の実施形態の電子スコープシステムの外観図である。 本発明の実施形態の電子スコープの先端部の正面外観図である。 図2のA−A断面を示す図である。 図2のB−B断面を示す図である。 本発明の実施形態の先端部本体ケースの外観斜視図である。 本発明の実施形態の先端部の組立を説明するための図である。 本発明の実施形態の先端部の組立を説明するための図である。
符号の説明
16 可撓部
18 先端部
20 操作部
22 湾曲部
30、32 先端部本体ケース
30a 第一円筒状ケース
30b 第二円筒状ケース
30c 接続部
30d 開口部
62 アングルゴム
64 緊縛糸
66 接着剤
70R、70L LCB
100 電子スコープ

Claims (9)

  1. ユーザによる操作にしたがって湾曲する湾曲部、および該湾曲部に連結され、略円筒状の本体ケース内部に対象物を観察するための所定の光学系を収容した先端部を有し、該湾曲部の外皮部材の先端が該本体ケースの全周に被せられた構成を有する医療用スコープにおいて、
    前記本体ケースの側面の少なくとも一部に開口部が形成され、
    前記外皮部材の先端が前記開口部を覆うように前記本体ケースの全周に被せられ、
    前記開口部を覆う箇所を含む前記外皮部材の先端の全周が糸状部材により緊縛されて前記本体ケースに固定され、
    前記糸状部材を保護する保護用樹脂が該糸状部材全体を覆うように塗布されていることを特徴とする医療用スコープ。
  2. 前記開口部は、前記本体ケースの略全周に亘って開口した形状を有していることを特徴とする、請求項1に記載の医療用スコープ。
  3. 前記対象物を照明する照明光を導光する光ファイバ束が前記本体ケースに収容され、
    前記外皮部材の先端は、前記本体ケースに収容されて前記開口部から露出する光ファイバ束上に、前記糸状部材による締め付けにより密着していることを特徴とする、請求項1または請求項2の何れかに記載の医療用スコープ。
  4. 前記開口部から露出する光ファイバ束上に所定の硬化性樹脂が塗布されていることを特徴とする、請求項3に記載の医療用スコープ。
  5. 前記光ファイバ束は、前記外皮部材の先端が密着する箇所と反対側の箇所が前記本体ケースの壁面に当て付くように配置されていることを特徴とする、請求項3または請求項4の何れかに記載の医療用スコープ。
  6. 略円筒状の本体ケース内部に対象物を観察するための所定の光学系を収容した先端部をユーザによる操作にしたがって湾曲する湾曲部に連結する医療用スコープにおける先端部連結方法において、
    前記外皮部材の先端を前記本体ケースの側面の少なくとも一部に形成された開口部を覆うように該本体ケースの全周に被せる外皮部材被覆ステップと、
    前記開口部を覆う箇所を含む前記外皮部材の先端の全周を糸状部材により緊縛して前記本体ケースに固定する緊縛ステップと、
    前記外皮部材の先端を緊縛した糸状部材を保護する保護用樹脂を該糸状部材全体を覆うように塗布する保護用樹脂塗布ステップと、
    を含むことを特徴とする医療用スコープにおける先端部連結方法。
  7. 前記対象物を照明する照明光を導光する光ファイバ束を前記本体ケースに収容する光ファイバ収容ステップをさらに含み、
    前記緊縛ステップにおいて、前記外皮部材の先端は、前記本体ケースに収容されて前記開口部から露出する光ファイバ束上に前記糸状部材による締め付けにより密着されることを特徴とする、請求項6に記載の医療用スコープにおける先端部連結方法。
  8. 前記開口部から露出する光ファイバ束上に所定の硬化性樹脂を塗布する硬化性樹脂塗布ステップをさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の医療用スコープにおける先端部連結方法。
  9. 前記光ファイバ収容ステップにおいて、前記光ファイバ束は、前記外皮部材の先端が密着する箇所と反対側の箇所が前記本体ケースの壁面に当て付くように配置されることを特徴とする、請求項7または請求項8の何れかに記載の医療用スコープにおける先端部連結方法。
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