JP2010004603A - 車両用駆動モータユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】モータケースを大型化することなく、かつ、各回転部材の潤滑性能を確実に確保することができるとともに、レゾルバの検出精度を保持することができる車両用駆動モータユニットを提供する。
【解決手段】モータが収容されるモータハウジングと、モータハウジングに対して回転可能に支持されているロータシャフト31と、ロータシャフトの回転位置を検出するレゾルバ76と、潤滑油を供給する潤滑油ポンプと、潤滑油を循環させる潤滑油通路20c,20d,20f,22aと、レゾルバの収納空間90と外部空間とを連通するブリーザ通路と、を備える車両用駆動モータユニットにおいて、潤滑油通路が、レゾルバの収納空間を経由するように形成され、レゾルバステータ91における内周部91aに磁極が形成されるとともに、外周部91bに該レゾルバにより仕切られた収納空間の両側空間83,85を連通させる貫通孔93が形成されている。
【選択図】図6

Description

本発明は、車両用駆動モータユニットに関するものである。
従来から、軸線周りに回転自在に支持されるとともに、永久磁石が配設されたロータ部と、ロータ部の周囲に対向配置されるとともに、コイルが巻回されたステータ部とを有する永久磁石電動機を備えた車両用駆動モータユニットが知られている。ここで、永久磁石電動機が駆動するとステータ部(コイル)が発熱するため、ステータ部の冷却能力を向上させた回転電機(車両用駆動モータユニット)が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、ステータ部に冷却油を供給するためにケース(モータハウジング)の壁部内にオイル吐出路およびオイル吸込路(油路)を形成し、オイルポンプを用いて冷却油を循環させている。
特開2006−197774号公報
ここで、ロータ部とステータ部とを備えたモータの場合には、一般的にロータ部をロータシャフトに圧入するなどして取り付け、該ロータシャフトをベアリングを介してモータハウジングに取り付けてロータシャフトが回転可能に構成されている。そのため、ベアリングの潤滑性能を維持するために、ベアリングに対して潤滑油を継続的に供給する必要がある。
しかしながら、特許文献1の回転電機では、ボールベアリングに対して潤滑油(冷却油)を積極的に供給する構成にはなっていない。
また、ロータシャフトを備えた回転電機の場合には、ロータシャフトの回転角度を検出するためのレゾルバが設けられているが、モータの小型化を図るためにレゾルバの直近にベアリングが配置されることとなる。このように構成された場合には、レゾルバが潤滑油に油没する虞があり、それによってレゾルバの検出精度が低下してしまう虞があった。
そこで、本発明は上記事項を鑑みてなされたものであり、モータケースを大型化することなく、かつ、各回転部材の潤滑性能を確実に確保することができるとともに、レゾルバの検出精度を保持することができる車両用駆動モータユニットを提供するものである。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、モータ(例えば、実施形態におけるモータ11)のロータ部(例えば、実施形態におけるロータ26)およびステータ部(例えば、実施形態におけるステータ25)が収容される略円筒状の壁部(例えば、実施形態における壁部18f)を備えたモータハウジング(例えば、実施形態におけるモータセンターケース18)と、前記ロータ部に挿通して前記モータハウジングに対して回転可能に支持されているロータシャフト(例えば、実施形態におけるロータシャフト31)と、該ロータシャフトの回転位置を検出するレゾルバ(例えば、実施形態におけるレゾルバ76)と、前記モータに潤滑油を供給する潤滑油ポンプ(例えば、実施形態における潤滑油ポンプ61)と、該潤滑油ポンプからの潤滑油を循環させる潤滑油通路(例えば、実施形態における潤滑油連通路14a〜14f,16a〜16i,18a〜18c,20a〜20f)と、前記モータハウジングの内部空間(例えば、実施形態における電動モータ収納室74)およびレゾルバの収納空間(例えば、実施形態における収納空間90)と外部空間とを連通するブリーザ通路(例えば、実施形態におけるブリーザ通路20g)と、を備える車両用駆動モータユニット(例えば、実施形態における車両用駆動モータユニット10)において、前記潤滑油通路が、前記レゾルバの収納空間を経由するように形成され、前記レゾルバの環状のレゾルバステータ(例えば、実施形態におけるレゾルバステータ91)における内周部(例えば、実施形態における内周部91a)に磁極が形成されるとともに、該レゾルバステータにおける外周部(例えば、実施形態における外周部91b)に該レゾルバにより仕切られた前記収納空間の両側空間(例えば、実施形態における第1油室83,第2油室85)を連通させる貫通孔(例えば、実施形態における貫通孔93)が形成されていることを特徴としている。
請求項2に記載した発明は、前記貫通孔が複数形成されていることを特徴としている。
請求項3に記載した発明は、前記貫通孔が、前記レゾルバステータを前記モータハウジングに取り付けた際に前記ロータシャフトよりも下方に形成されるとともに、前記潤滑油通路に繋がる流入孔(例えば、実施形態における流入孔20k,22b)が、前記収納空間における前記ロータシャフトよりも上方に形成されるとともに、前記潤滑油通路に繋がる流出孔(例えば、実施形態における流出孔20l)が、前記収納空間における前記ロータシャフトよりも下方に形成されていることを特徴としている。
請求項4に記載した発明は、前記貫通孔が、前記レゾルバステータを前記モータハウジングに取り付けた際に前記ロータシャフトよりも上方に形成されていることを特徴としている。
請求項5に記載した発明は、前記レゾルバにおける前記モータが配された側にシールドプレート(例えば、実施形態における磁気シールド82)が設けられ、該シールドプレートに前記貫通孔と同位相の位置にプレート貫通孔(例えば、実施形態における貫通孔96,97)が形成されていることを特徴としている。
請求項6に記載した発明は、前記レゾルバステータが、前記ロータシャフトを挿通可能な外形略円形のリング状に形成されていることを特徴としている。
請求項1に記載した発明によれば、モータハウジングに潤滑油専用の潤滑油通路を形成したことにより潤滑油の循環効率を向上させることができる。また、潤滑油通路がモータハウジング内に形成されており、かつ、レゾルバの収納空間を潤滑油通路の一部として構成したため、従来のモータハウジングの外側に潤滑油の連通配管を設ける場合と比較して、車両用駆動モータユニットの大型化を抑制することができる。また、潤滑油通路は、モータハウジングの壁部に軸方向に沿った貫通孔を形成するだけでよいため、製造工程を複雑化させることなく、効率的に製造することができる。
また、ブリーザ通路を設けることにより、モータハウジングの内部空間およびレゾルバの収納空間のそれぞれの空間内の圧力を略均一にすることができるため、それぞれの空間内を連通している潤滑油の循環および油面高さ調整をスムーズに行うことができる。
さらに、レゾルバステータの内周部に磁極を形成することで、レゾルバの機能を確保することができる。また、レゾルバステータの外周部に貫通孔を設けることにより、車両用駆動モータユニットの軽量化に寄与することができるとともに、レゾルバの収納空間に潤滑油が滞留するのを抑制することができる。また、レゾルバの収納空間に潤滑油を供給することにより、レゾルバの収納空間に面するように配置されているベアリングの潤滑性能を確実に確保することができる。そして、レゾルバの収納空間から潤滑油を流出させるように潤滑油通路が形成されているため、レゾルバが油没することなく、レゾルバの検出精度を向上することができる。その結果、潤滑油ポンプの小型化、トルク指令値に対するモータの応答信頼性を向上することができる。
請求項2に記載した発明によれば、貫通孔を複数設けることにより、車両用駆動モータユニットをさらに軽量化することができる。
請求項3に記載した発明によれば、潤滑油の流入孔を収納空間の上方に設けるとともに、潤滑油の流出孔を収納空間の下方に設けることにより、潤滑油をスムーズに収納空間内を通過させることができ、レゾルバの収納空間に潤滑油が滞留するのを抑制することができる。
請求項4に記載した発明によれば、ロータシャフトよりも上方に形成された貫通孔はブリーザ用の貫通孔として機能させることができる。つまり、レゾルバにより仕切られた収納空間内のブリージングエアをスムーズにブリーザ通路へと導くことができる。その結果、油面高さが均一化され、オイルポンプの小型化を図ることができる。また、上方に形成された貫通孔は、潤滑油の通過経路としても利用され、ベアリングに対してより確実に潤滑油を供給することができる。
請求項5に記載した発明によれば、シールドプレートを設けることにより、レゾルバに対してモータ側からの電磁ノイズを除去することができ、レゾルバの検出精度を向上させることができる。また、シールドプレートにプレート貫通孔を形成することにより、油路やブリーザ通路として機能させることができる。
請求項6に記載した発明によれば、モータ側から生じる電磁ノイズに対するタフネスを向上させることができ、レゾルバの角度検出誤差を低減させることができる。その結果、トルク指令値に対するモータの応答信頼性を向上することができる。
次に、本発明の実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。なお、本実施形態における各装置の取付方向や位置を示す定義は、車両進行方向を前方とし、車両進行方向に向かって右方向及び左方向を定義するものとする。
図1、図3に示すように、車両用駆動モータユニット10は、モータ11と、減速機12と、ディファレンシャルギヤ13とを一体に備えており、その外郭は車幅方向左端に位置するミッションケース14と、ミッションケース14の右端にボルト15で結合されるモータ/ミッションケース16と、モータ/ミッションケース16の右端にボルト17で結合される略円筒形状のモータセンターケース18と、モータセンターケース18の右端にボルト19で結合されるモータサイドケース20と、モータサイドケース20の右端にボルト21で結合されるセンターシャフトベアリングサポート22と、ミッションケース14の内面にボルト23で結合されるインターミディエイトケース24とで構成されている。モータ11は、モータ/ミッションケース16、モータセンターケース18およびモータサイドケース20の内部に収納され、減速機12およびディファンレンシャルギヤ13は、ミッションケース14およびモータ/ミッションケース16の内部に収納される。
モータ11は、モータセンターケース18の内周面に焼き嵌めにより嵌合固定されたステータ25と、ステータ25の内部に軸方向を中心に回転自在に配置されたロータ26とで構成されている。ステータ25は、磁性板材が複数積層されて構成されており、円周方向に配置された複数のステータコア27と、ステータコア27に巻回された複数のコイル28とで構成されている。また、ロータ26は、モータ/ミッションケース16およびモータサイドケース20にそれぞれボールベアリング29,30で回転自在に支持されたロータシャフト31と、ロータシャフト31に固定された積層鋼板よりなるロータコア32と、ロータコア32の外周部に埋設された複数の永久磁石33とで構成されている。ロータコア32には、それを軸方向に貫通する複数の貫通孔32aが形成されている。
また、モータセンターケース18の壁部18fにはステータ25の周面に沿うようにウォータジャケット55が設けられている。ウォータジャケット55に冷媒を流すことにより、モータ11からの発熱を吸熱することができるとともに、潤滑油供給通路18aおよび潤滑油戻し通路18bを通過する潤滑油と熱交換して、潤滑油の温度を低くすることができるように構成されている。
減速機12は、ミッションケース14およびモータ/ミッションケース16内に配置されている。また、ディファレンシャルギヤ13は、ミッションケース14およびインターミディエイトケース24内に配置されている。ディファレンシャルギヤ13の左側には左ドライブシャフト48がミッションケース14を貫通して車幅方向左側に延出している。また、ディファレンシャルギヤ13の右側にはセンターシャフト49が中空のロータシャフト31の内部を貫通して車幅方向右側に延出している。また、センターシャフトベアリングサポート22にボールベアリング50を介して右端を支持されたセンターシャフト49に、右ドライブシャフト51がスプライン結合されている。
したがって、モータ11を駆動させると、そのロータシャフト31のトルクが各ギヤに伝達され、車両の旋回状態などに応じて、左ドライブシャフト48とセンターシャフト49および右ドライブシャフト51とに所定の比率で配分される。
次に、モータ11、減速機12およびディファレンシャルギヤ13の潤滑系を説明する。
図5に示すように、モータ11、減速機12およびディファレンシャルギヤ13に潤滑油を供給する潤滑油ポンプ61はトロコイドポンプで構成され、モータ/ミッションケース16の左側面に形成した円形のポンプ室16aに回転自在に支持されるアウターロータ62と、アウターロータ62の内歯に噛合する外歯を有するインナーロータ63と、インナーロータ63を回転自在に支持するポンプシャフト64と、モータ/ミッションケース16の左側面にボルト65で固定されてポンプ室16aを閉塞するポンプカバー66とを備えており、右端がモータ/ミッションケース16に支持されたポンプシャフト64はポンプカバー66に設けたボールベアリング67を貫通し、その左端に設けられたポンプ駆動ギヤ68が第1減速ギヤ40に噛合している。
潤滑油ポンプ61の吸入ポート16bは、モータ/ミッションケース16に設けた潤滑油吸入通路16cおよびストレーナ69を介して、モータ/ミッションケース16およびミッションケース14の底部の潤滑油貯留室71に連通している(図1参照)。潤滑油ポンプ61の吐出ポート16dは、モータ/ミッションケース16に設けた潤滑油吐出通路16eと、リリーフバルブ70とを介してモータ/ミッションケース16およびミッションケース14の底部の潤滑油貯留室71に連通するとともに、パイプ材よりなる潤滑油通路72およびインターミディエイトケース24に形成した潤滑油供給通路24aを介してディファレンシャルケース44の右端を支持するテーパローラベアリング43に連通している(図3参照)。
図1に戻り、潤滑油ポンプ61の吐出ポート16dからモータ/ミッションケース16の内部を上方に延びる高圧潤滑油供給通路16f(図4参照)は、中空の減速機シャフト36の内部に形成した潤滑油供給通路36aを通過して、ミッションケース14の潤滑油供給通路14a,14bに連通している。潤滑油供給通路14aに分岐した潤滑油は、潤滑油供給パイプ73から吐出され、各種ギヤの噛合部、各種ベアリングを潤滑して潤滑油貯留室71に戻される。また、潤滑油供給通路14bに分岐した潤滑油もベアリングおよびギヤを潤滑した後に潤滑油貯留室71に戻され、また潤滑油供給通路14bから潤滑油供給通路14cに分岐した潤滑油は、ベアリングを潤滑して潤滑油貯留室71に戻される。なお、高圧潤滑油供給通路16fは、途中で分岐してボールベアリング29へ潤滑油を供給する潤滑油供給通路16nが形成されている(図4参照)。
また、モータ/ミッションケース16の高圧潤滑油供給通路16fの上端から分岐する潤滑油供給通路16gは、モータセンターケース18の壁部18f内に形成された潤滑油供給通路18aから、モータサイドケース20の壁部内に形成された潤滑油供給通路20a、20b、20cを経て、ロータシャフト31の右端を支持するボールベアリング30を潤滑した後、モータサイドケース20の壁部内に形成された潤滑油戻し通路20d,20e、モータセンターケース18の壁部18f内に形成された潤滑油戻し通路18b、モータ/ミッションケース16の壁部内に形成された潤滑油戻し通路16i、ミッションケース14の壁部内に形成された潤滑油戻し通路14fおよび開口14gを介して潤滑油貯留室71に戻される。また、モータサイドケース20の潤滑油供給通路20cから分岐した潤滑油供給通路20fは、センターシャフトベアリングサポート22に形成された潤滑油供給通路22aを経てセンターシャフト49の右端を支持するボールベアリング50を潤滑した後、潤滑油戻し通路20dに合流して潤滑油貯留室71に戻される(図6参照)。
図3に戻り、モータ/ミッションケース16、モータセンターケース18およびモータサイドケース20で区画された電動モータ収納室74は、モータ11のステータ25およびロータ26により右室74aおよび左室74bに仕切られている。ロータコア32に形成された貫通孔32aにより右室74aおよび左室74bは相互に連通しているが、ロータ26が高速回転する運転中には貫通孔32aを潤滑油が実質的に通過できなくなる。そこで、モータセンターケース18の壁部18f内に形成した潤滑油連通孔18cにより、右室74aおよび左室74bが相互に連通している(図2参照)。また、モータセンターケース18の潤滑油連通孔18cの左端は、モータ/ミッションケース16およびミッションケース14で区画されたミッション収納室75の下部(潤滑油貯留室71)に、モータ/ミッションケース16およびミッションケース14に形成した潤滑油連通路16h,14dおよび開口14eを介して連通している。
図6に示すように、モータ11のレゾルバ76は、モータサイドケース20に形成された収納空間90内に配置されており、ロータシャフト31の右端に設けられた円板状のレゾルバロータ77と、その外周を囲むようにボルト78でモータサイドケース20に固定された複数のコイル79が巻回されたレゾルバステータ91とで構成されている。レゾルバロータ77の外周には複数の凹部および凸部(不図示)が交互に形成されており、それら凹凸部とレゾルバステータ91との間のエアギャップの大きさを磁気的に検出することで、モータ11(ロータシャフト31)の回転位置を検出することができる。
ロータシャフト31の外周に嵌合するレゾルバロータ77は、その軸方向両側に圧入された一対のストッパ80,81に挟まれて固定されており、その左側のストッパ80の外周に突設した円形のフランジ80aが、ボルト78でモータサイドケース20に共締めされた円環状の磁気シールド82の内周に僅かな隙間を存して対向配置されている。磁気シールド82は、モータ11が発生する磁気が、コイル79に作用して検出精度に影響を与えるのを防止するためのもので、モータ11とコイル79との間を遮るように配置されている。
ロータシャフト31の右端をモータサイドケース20に支持するボールベアリング30は、複数のボール30aを支持するインナーレース30bおよびアウターレース30cを備えており、インナーレース30bとアウターレース30cとの間に潤滑油の流通を阻止するシールド30dが設けられている。したがって、モータサイドケース20の潤滑油供給通路20cから収納空間90に形成された流入孔20kを介して供給された潤滑油は、ボールベアリング30のシールド30dと、ストッパ80のフランジ80aと、磁気シールド82とによって区画された第1油室83に供給されてボールベアリング30を効果的に潤滑することができる。そして、ボールベアリング30を潤滑した潤滑油は、モータサイドケース20に形成された連通孔20jを通過して、収納空間90に形成された流出孔20lを介して潤滑油戻し通路20dへ導かれる。
また、ボールベアリング30のシールド30dから漏れる微量の潤滑油は、電動モータ収納室74の右室74aに貯留されて、モータセンターケース18の潤滑油連通路18cを介して、ミッションケース14の下部にある潤滑油貯留室71まで循環している。さらに、センターシャフトベアリングサポート22の潤滑油供給通路22aから収納空間90に形成された流入孔22bを介して供給された潤滑油は、ストッパ80のフランジ80aと、磁気シールド82と、センターシャフト49およびセンターシャフトベアリングサポート22間に配置されたシール部材84とによって区画された第2油室85に供給され、ボールベアリング50を効果的に潤滑することができる。つまり、収納空間90は、レゾルバ76により第1油室83と第2油室85とに仕切られている。
次に、電動モータ収納室74およびミッション収納室75のブリージングについて説明する。
図3に示すように、第2油室85は、モータサイドケース20のブリーザ通路20g,20hに連通し、電動モータ収納室74の右室74aはブリーザ通路20iを介してブリーザ通路20hに連通し、さらにブリーザ通路20hはモータセンターケース18のブリーザ通路18dおよびモータ/ミッションケース16のブリーザ通路16jを介してミッション収納室75の上部である第1ブリーザ室86に連通している。第1ブリーザ室86の上方には小容積の第2ブリーザ室87が形成され、第1、第2ブリーザ室86,87は連通孔16mで連通し、第2ブリーザ室87はブリーザパイプ88を介して外気に連通している。また、電動モータ収納室74の左室74bとミッション収納室75とは、モータ/ミッションケース16に形成された連通孔16kを介して連通している。
また、潤滑油供給通路18a、潤滑油戻し通路18b、潤滑油連通孔18cおよびブリーザ通路18dは、モータセンターハウジング18の壁部18f内に円周方向に離間して形成されている(図2参照)。
次に、本実施形態におけるレゾルバステータ91および磁気シールド82について説明する。
図7、図9に示すように、レゾルバステータ91は、レゾルバロータ77の外周を囲むように配置されている。つまり、レゾルバステータ91は、レゾルバロータ77を挿通させるための略円形の開口部92が形成された外形略円形の環状の磁性板材が複数枚積層されたものである。また、レゾルバステータ91の環状の内周部91aには磁極が形成され、レゾルバとしての機能を果たすように構成されている。また、レゾルバステータ91の外周部91bには、周方向に沿って複数の貫通孔93が形成されており、軽量化を図っている。貫通孔93の内の数箇所(本実施形態では、3箇所)は、レゾルバステータ91をモータサイドケース20に固定するボルト78のボルト孔として利用している。
また、図8、図9に示すように、レゾルバステータ91のモータ11側に配置される磁気シールド82は、正面視においてレゾルバステータ91と略同一の外形略円形の環状の板材で形成されている。また、磁気シールド82には、ボルト78を挿通させるためのボルト孔95が複数(本実施形態では、3箇所)形成されている。また、磁気シールド82をモータサイドケース82に取り付けた際に、下方に位置する箇所に潤滑油通過用の貫通孔96が形成されている。さらに、磁気シールド82をモータサイドケース82に取り付けた際に、上方に位置する箇所にブリージングエア通過用の貫通孔97が形成されている。貫通孔96,97は、レゾルバステータ91に形成された貫通孔93のいずれかと同位相になる位置に形成されており、レゾルバステータ91および磁気シールド82をモータサイドケース20に取り付けると、第1油室83と第2油室85との間を貫通孔93,96,97により連通するように構成されている。なお、磁気シールド82は、側面視においてストッパ80のフランジ80aと対向配置するように、その内周側がモータ11側に延出されている(図6参照)。
次に、上記構成を備えた本実施形態の潤滑作用およびブリージング作用について説明する。
モータ11のロータシャフト31に設けた第1減速ギヤ40に噛合するポンプ駆動ギヤ68により潤滑油ポンプ61のポンプシャフト64が回転すると、アウターロータ62およびインナーロータ63間に形成した作動室の容積が連続的に変化し、潤滑油貯留室71の潤滑油が潤滑油吸入通路16cおよび吸入ポート16bを介して吸入され、吐出ポート16dからモータ/ミッションケース16の内部に形成された高圧潤滑油供給通路16fに向かって供給される。ここで、高圧潤滑油供給通路16fを上方に向かって略直線状に延ばしたため、その高圧潤滑油供給通路16fを短くかつ単純な形状にして潤滑油の流通抵抗を減少させ、潤滑油ポンプ61の駆動負荷を低減した。しかも、高圧潤滑油供給通路16fの上端近傍から二股に分岐させた潤滑油を電動モータ収納部74側およびミッション収納部75側の被潤滑部に重力で供給するため、貯留した潤滑油を撥ね上げて被潤滑部に供給する場合に比べてエネルギーロスを最小限に抑えることができるだけでなく、必要最小限の量の潤滑油で電動モータ収納部74側およびミッション収納部75側の被潤滑部を均等に潤滑することができる。
モータ11により駆動される潤滑油ポンプ61から吐出された潤滑油の一部は、ミッション収納室75に供給されて各ギヤや各ベアリングを潤滑・冷却した後、ミッションケース14およびモータ/ミッションケース16の底部の潤滑油貯留室71に戻される。また、潤滑油ポンプ61から吐出された潤滑油の他の一部は、電動モータ収納室74に供給されて各ベアリングやモータ11を潤滑・冷却した後、電動モータ収納室74の底部に戻される。このとき、電動モータ74の右室74aおよび左室74bは潤滑油連通孔18cを介して連通しているため、右室74aおよび左室74bの潤滑油レベル(高さ)L(図3参照)は略同一になる。また、電動モータ収納室74の底部とミッション収納室75の潤滑油貯留室71とは潤滑油連通路16h,14dおよび開口14eを介して連通しているため、電動モータ収納室74の潤滑油レベルとミッション収納室75の潤滑油貯留室71の潤滑油レベルとは略同一になる。
このように電動モータ収納室74およびミッション収納室75が潤滑油連通路16h,14dで相互に連通するため、潤滑油の行き来が可能になり、電動モータ収納室74を潤滑油サーバとして利用することで油面管理を安定させることができる。
また、第1油室83、第2油室85とミッション収納室75とが潤滑油戻し通路20d,20e,18b,16i,14fで連通しているため、第1油室83、第2油室85からミッション収納室75への潤滑油回収を安定させ、各部の潤滑油の配分を適正化することができる。
ここで、レゾルバステータ91および磁気シールド82をモータサイドケース20に取り付けた際に、下方に位置する箇所に潤滑油通過用の貫通孔93,96を形成した。したがって、ベアリング30,50を潤滑した潤滑油が収納空間90の下方に集まってきたときに、第1油室83と第2油室85との間が連通されているため、収納空間90の油面が略均一に保持されるとともに、その潤滑油を潤滑油戻し通路20dへとスムーズに導くことができる。
また、ボールベアリング30,50を潤滑した潤滑油が電動モータ収納室74に流入するとロータ26による潤滑油の攪拌抵抗が増加する問題があるが、第1油室83と電動モータ収納室74との間をボールベアリング30で仕切り、かつ、そのボールベアリング30に潤滑油の流通を低減するシールド30dを設けたため、第1油室83から電動モータ収納室74への潤滑油の流入を確実に低減することができる。つまり、ロータ26による潤滑油の攪拌抵抗を一層効果的に減少させることができる。
さらに、第2油室85の上部は、ブリーザ通路20gに連通しているため、第2油室85において潤滑油とエアとを効果的に分離することができる。
また、相互に連通する第1、第2油室83,85のブリージングエアは、ブリーザ通路20g→ブリーザ通路20h→ブリーザ通路18d→ブリーザ通路16jの経路でミッション収納室75の上部の第1ブリーザ室86に連通する。また、電動モータ収納室74の右室74aのブリージングエアは、ブリーザ通路20i→ブリーザ通路18d→ブリーザ通路16jの経路でミッション収納室75の上部の第1ブリーザ室86に連通する。また、電動モータ収納室74の左室74bのブリージングエアは、モータ/ミッションケース16を貫通する連通孔16kを通過してミッション収納室75の上部の第1ブリーザ室86に連通する。
ここで、レゾルバステータ91および磁気シールド82をモータサイドケース20に取り付けた際に、上方に位置する箇所にブリージングエア通過用の貫通孔93,97を形成した。したがって、第1油室83および第2油室85との間が連通されているため、各油室83,85で発生したブリージングエアをブリーザ通路20gへとスムーズに導くことができる。
また、上述のようにして電動モータ収納室74から第1ブリーザ室86に供給されたブリージングエアは、ミッション収納室75において発生したブリージングエアと合流し、そこから連通孔16mを通過して第2ブリーザ室87に供給され、そこでブリージングエアに含まれる潤滑油ミストが最終的に分離されて重力で潤滑油貯留室71に戻され、第2ブリーザ室87からエアだけブリーザパイプ88を介して大気に放出される。
以上のように、レゾルバ76の収納空間90をレゾルバ76を挟んで第1油室83と第2油室85に区画し、レゾルバステータ91に貫通孔93を形成するとともに、磁気シールド82に貫通孔97を形成して第1油室83と第2油室85とを連通させ、第1、第2油室83,85をモータサイドケース20、モータセンターケース18およびモータ/ミッションケース16の壁部内に形成したブリーザ通路20g,20h,20i,18d,16jを介してミッション収納室75の上部の第1ブリーザ室86に連通させ、第1ブリーザ室86を連通孔16mを介して第2ブリーザ室87に連通させ、さらに第2ブリーザ室87をブリーザパイプ88を介して大気に連通させたため、ミッション収納室75の一部である第1、第2ブリーザ室86,87でレゾルバ76の収納空間90において発生したブリージングエアから潤滑油ミストを分離することができる。また、電動モータ収納室74およびミッション収納室75も同様に第1、第2ブリーザ室86,87に連通させることにより、電動モータ収納室74、ミッション収納室75およびレゾルバ76の収納空間90にそれぞれブリーザ装置を設ける場合に比べて、ブリーザ装置の構造を簡素化することができる。
また、電動モータ収納室74およびレゾルバ76の収納空間90において発生したブリージングエアは、潤滑油がミスト化され易いが、ブリーザ通路18dをモータセンターケース18の壁部18f内でウォータジャケット55の径方向外側に形成したため、ブリージングエアをウォータジャケット55の冷媒と効率的に熱交換させることができ、ブリージングエアから潤滑油ミストを効果的に分離させてミスト化を抑制することができる。したがって、潤滑油の油量の最適化を図ることができ、モータセンターケース18(車両用駆動モータユニット10)の大型化を抑制することができる。
また、モータセンターケース18などに潤滑油専用の潤滑油通路を形成したことにより潤滑油の循環効率を向上させることができる。また、潤滑油通路がモータセンターケース18の壁部18f内に形成されており、かつ、レゾルバ76の収納空間90を潤滑油通路の一部として構成したため、従来のモータハウジングの外側に潤滑油の連通配管を設ける場合と比較して、車両用駆動モータユニット10の大型化を抑制することができる。
また、潤滑油通路は、モータセンターケース18の壁部18fに軸方向に沿った貫通孔を形成するだけでよいため、製造工程を複雑化させることなく、効率的に製造することができる。
さらに、レゾルバステータ91の内周部91aに磁極を形成することにより、レゾルバとしての機能を確実に果たすことができる。また、レゾルバステータ91の外周部91bに貫通孔93を設けることにより、車両用駆動モータユニット10の軽量化に寄与することができるとともに、レゾルバ76の収納空間90に潤滑油が滞留するのを抑制することができる。また、レゾルバ76の収納空間90に潤滑油を供給することにより、レゾルバ76の収納空間90に面するように配置されているベアリング30,50の潤滑性能を確実に確保することができる。そして、レゾルバ76の収納空間90から潤滑油を流出させるように潤滑油戻し通路20dが形成されているため、レゾルバ76が油没することなく、レゾルバ76の検出精度を向上することができる。その結果、潤滑油ポンプ61の小型化、トルク指令値に対するモータ11の応答信頼性を向上することができる。
さらに、モータセンターケース18内に収納されたモータ11の両側にそれぞれ右室74a,左室74bが形成されるとともに、収納空間90内に収納されたレゾルバ76の両側にそれぞれ第1油室83,第2油室85が形成されるが、それぞれの空間内を連通している潤滑油の循環および油面高さ調整をスムーズに行わせる必要があるが、ブリーザ通路を形成することにより、それぞれの空間内の圧力差を略均一にし易くなる。
また、レゾルバステータ91の貫通孔93を複数設けることにより、車両用駆動モータユニット10をさらに軽量化することができる。
また、潤滑油の流入孔20k,22bを収納空間90の上方に設けるとともに、潤滑油の流出孔20lを収納空間90の下方に設けることにより、潤滑油をスムーズに収納空間90内を通過させることができ、レゾルバ76の収納空間90に潤滑油が滞留するのを防ぐことができる。
また、ロータシャフト31よりも上方に形成された貫通孔93,97はブリーザ用の貫通孔として機能させることができる。つまり、レゾルバ76により仕切られた収納空間90(第1油室83および第2油室85)内のブリージングエアをスムーズにブリーザ通路20gへと導くことができる。また、上方に形成された貫通孔93,97は、潤滑油の通過経路としても利用され、ベアリング30,50に対してより確実に潤滑油を供給することができる。
また、磁気シールド82を設けることにより、レゾルバ76に対してモータ11側からの電磁ノイズを除去することができ、レゾルバ76の検出精度を向上させることができる。また、磁気シールド82に貫通孔96,97を形成することにより、油路やブリーザ通路として機能させることができる。
さらに、レゾルバステータ91の外形を略円形にすることで、モータ11側から生じる電磁ノイズに対するタフネスを向上させることができ、レゾルバ76の角度検出誤差を低減させることができる。
そして、上述のように構成することで潤滑油ポンプ61から離れた位置にある各回転部材(ボールベアリング30,50)に積極的に潤滑油を供給することができるため、ボールベアリング30,50を効率的に冷却させることができ、ボールベアリング30,50の潤滑性能を確実に確保することができる。
尚、本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な構造や形状などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、電動モータ収納室を車幅方向右側に配置し、ミッション収納室を車幅方向左側に配置しているが、その位置関係を逆にしてもよく、また、電動モータ収納室およびミッション収納室を車体前後方向に配置してもよい。
本発明の実施形態における車両用駆動モータユニットの縦断面図である。 図1のA−A線矢視図である。 図2のB−B線に沿う断面図である。 図1のC−C線矢視図である。 図1のD部拡大図である。 図1のE部拡大図である。 本発明の実施形態におけるレゾルバステータの正面図である。 本発明の実施形態における磁気シールドの正面図である。 本発明の実施形態におけるレゾルバステータと磁気シールドをモータサイドケースに取り付けたときの正面図である。
符号の説明
10…車両用駆動モータユニット 11…モータ 14a〜14f…潤滑油連通路(潤滑油通路) 16a〜16i…潤滑油連通路(潤滑油通路) 18…モータセンターケース(モータハウジング) 18a…潤滑油供給通路(潤滑油通路) 18b…潤滑油戻り通路(潤滑油通路) 18c…潤滑油連通孔(潤滑油通路) 18f…壁部 20a〜20f…潤滑油連通路(潤滑油通路) 20g…ブリーザ通路 20k…流入孔 20l…流出孔 22b…流入孔 25…ステータ(ステータ部) 26…ロータ(ロータ部) 31…ロータシャフト 61…潤滑油ポンプ 74…電動モータ収納室(内部空間) 76…レゾルバ 82…磁気シールド(シールドプレート) 83…第1油室 85…第2油室 90…収納空間 91…レゾルバステータ 91a…内周部 91b…外周部 93…貫通孔 96,97…貫通孔(プレート貫通孔)

Claims (6)

  1. モータのロータ部およびステータ部が収容される略円筒状の壁部を備えたモータハウジングと、
    前記ロータ部に挿通して前記モータハウジングに対して回転可能に支持されているロータシャフトと、
    該ロータシャフトの回転位置を検出するレゾルバと、
    前記モータに潤滑油を供給する潤滑油ポンプと、該潤滑油ポンプからの潤滑油を循環させる潤滑油通路と、
    前記モータハウジングの内部空間およびレゾルバの収納空間と外部空間とを連通するブリーザ通路と、を備える車両用駆動モータユニットにおいて、
    前記潤滑油通路が、前記レゾルバの収納空間を経由するように形成され、
    前記レゾルバの環状のレゾルバステータにおける内周部に磁極が形成されるとともに、該レゾルバステータにおける外周部に該レゾルバにより仕切られた前記収納空間の両側空間を連通させる貫通孔が形成されていることを特徴とする車両用駆動モータユニット。
  2. 前記貫通孔が複数形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用駆動モータユニット。
  3. 前記貫通孔が、前記レゾルバステータを前記モータハウジングに取り付けた際に前記ロータシャフトよりも下方に形成されるとともに、
    前記潤滑油通路に繋がる流入孔が、前記収納空間における前記ロータシャフトよりも上方に形成されるとともに、
    前記潤滑油通路に繋がる流出孔が、前記収納空間における前記ロータシャフトよりも下方に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用駆動モータユニット。
  4. 前記貫通孔が、前記レゾルバステータを前記モータハウジングに取り付けた際に前記ロータシャフトよりも上方に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用駆動モータユニット。
  5. 前記レゾルバにおける前記モータが配された側にシールドプレートが設けられ、該シールドプレートに前記貫通孔と同位相の位置にプレート貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用駆動モータユニット。
  6. 前記レゾルバステータが、前記ロータシャフトを挿通可能な外形略円形のリング状に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の車両用駆動モータユニット。
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