JP2010002930A - 撮像レンズ,撮像ユニット及びこれを備える携帯端末 - Google Patents

撮像レンズ,撮像ユニット及びこれを備える携帯端末 Download PDF

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Abstract

【課題】従来より小型であること、また、プラスチックレンズでの温度変化時の像点位置変動を抑えることを課題とする。
【解決手段】物体側から順に配置される第1レンズ,第2レンズ,第3レンズ,第4レンズから構成し、第1レンズは正の屈折力を有すると共に物体側に向ける凸面を有し、第2〜4レンズの一又は二は正の屈折力を有し、少なくとも、第1〜4のレンズの内、正の屈折力を有する一つのレンズがガラス材料から形成され、正の屈折力を有するもう一つのレンズ及び負の屈折力を有する一つのレンズがプラスチック材料から形成され、非球面変位量Xと非球面の回転2次曲面成分変位量X0とが、最大有効半径hmax×0.5<h<hmaxとなる任意の光軸垂直方向の高さhの範囲で、X−X0<0となるという構成を採っている。
【選択図】図5

Description

本発明は、CCD型イメージセンサやCMOS型イメージセンサ等の固体撮像素子の光学系として好適な撮像レンズと当該撮像レンズを有する撮像ユニットとこれを備える携帯端末に関する。
近年、CCD(Charged Coupled Device)型イメージセンサあるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサ等の固体撮像素子を用いた撮像装置の高性能化,小型化に伴い、撮像装置を備えた携帯端末やパーソナルコンピューターが普及しつつある。
そして、これら携帯端末やパーソナルコンピューターの小型化或いは機能の増加による高密度化に伴い、これらの撮像装置の小型化を図るために当該撮像装置に搭載される撮像レンズへのさらなる小型化への要求が高まっている。
このような小型の撮像装置用の撮像レンズとして、1枚あるいは2枚構成のレンズに比べ高性能化が可能という理由から、近年では、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ,負の屈折力を有する第2レンズ,正の屈折力を有する第3レンズを配置した3枚構成のレンズを備えるいわゆるトリプレットタイプの撮像レンズが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−75006号公報(第1図)
しかしながら、特開2001-75006号公報に記載されているタイプのレンズは、広い画角を確保しながら諸収差が良好に補正されたタイプではあるが、その一方では、光軸方向に沿った全長(その開口絞りから像側焦点までの距離)の小型化には向いていなかった。
本発明はこのような問題点に鑑み、複数レンズで構成される撮像レンズの小型化を図ることを、その目的とする。また、本発明は、小型で諸収差を良好に補正され且つ温度変化時の像点位置変動を抑えた撮像レンズ,撮像ユニット及び携帯端末を提供することを、もう一つの目的とする。
請求項1記載の発明は、物体側から順に配置される第1レンズ,第2レンズ,第3レンズ,第4レンズから構成され、第1レンズは正の屈折力を有すると共に物体側に凸面を向ける配置とされ、第2,第3,第4レンズの内の一つ又は二つのレンズは正の屈折力を有し、少なくとも、第1から第4のレンズの内、正の屈折力を有する一つのレンズがガラス材料から形成され、正の屈折力を有するもう一つのレンズ及び負の屈折力を有する一つのレンズがプラスチック材料から形成され、第4レンズの像側面は、当該像側面の頂点を原点とし,光軸方向にX軸をとり,光軸に対して垂直な方向の高さをh、第4レンズの像側面のi次の非球面係数をAi、第4レンズの像側面の曲率半径をR8、第4レンズの像側面の円錐係数をK8とした場合に、次式(2)に表される非球面変位量Xと次式(3)に表される非球面の回転2次曲面成分変位量X0とが、最大有効半径hmaxに対してhmax×0.5<h<hmaxとなる任意の光軸垂直方向の高さhの範囲で、下記の(1)の条件式を満たす、という構成を採っている。
X−X0<0 (1)
Figure 2010002930
ここで、像側面の頂点とは像側面と光軸との交点のことをいうものとする。
上記構成にあっては、第1〜4の4つのレンズがその番号順に並んで配置されていると共に、その使用時にあっては、第1レンズが物体側に、第4レンズが像側に向けられる。かかる使用状態において、最も物体側に凸面を向けた正の第1レンズを配置することで、第1レンズを負レンズとした場合に比べ、レンズ全長の小型化に有利な構成となる。
さらに、本発明の構成は、第1〜4レンズの内の一部のレンズをプラスチック材料から形成している。前述したように、プラスチックレンズは、撮像レンズの小型軽量化と低コスト化に有利であるが、温度変化時の屈折率変化の大きさゆえにレンズの像点位置が変動してしまうという欠点を抱えている。
そこで、本発明の構成は、プラスチックレンズを多用しながら、撮像レンズ全系での温度変化時の像点位置変動を補償する構成を採っている。本発明では、1枚の正レンズを、温度変化時の屈折率変化がほとんど無いガラス材料から形成し、少なくとも1枚の正レンズ、少なくとも1枚の負レンズを含む2枚のレンズをプラスチック材料で形成している。従って、大きな正の屈折力をガラスレンズとプラスチックレンズとで分担することができ、かつ、プラスチックレンズの中に、比較的屈折力の大きい正レンズと負レンズを含む構成となることから、温度変化時の像点位置変動への寄与が相殺する方向に作用し、撮像レンズ全系での温度変化時の像点位置の変動を小さく抑えることができる。
さらに、本発明の構成では、第4レンズについて、請求項4記載の発明と同様に、その像側面を条件式(1),(2),(3)を満たす非球面形状とすることで、特に高画角の光束におけるテレセントリック特性の確保を図っている。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、正の屈折力を有すると共にガラス材料から形成されたレンズを除く他の全てのレンズはいずれもプラスチック材料から形成されている、という構成を採っている。
上記構成では、一枚の正の屈折力を有するレンズのみをガラス材料から形成し、残りの3枚のレンズを全てプラスチック材料から形成することで、プラスチックレンズをより多用することになる。従って、レンズをプラスチック材料で形成する利点をより効果的に実現する。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明と同様の構成を備えると共に、第1のレンズがガラス材料から形成されている、という構成を採っている。
上記構成では、請求項9記載の発明と同様の機能を有し、さらに、最も物体側に位置し、外的要因による損傷を受け易い第1レンズを、傷の付きやすいプラスチック材料ではなくガラス材料とし、傷の発生を低減すると共に傷の付きやすい他のプラスチック材料からなるレンズの保護を図っている。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明と同様の構成を備えると共に、第2,第3,第4レンズの合成焦点距離をf234、撮像レンズ全系の焦点距離をfとしたときに、下記の(4)の条件式を満たす、という構成を採っている。
| f/f234 | < 0.7 (4)
条件式(4)は、プラスチックから形成されたレンズの合成焦点距離を規定するものである。プラスチック材料によるレンズの温度変化時の像点位置変動は、その屈折力の大きさにより影響を受けるため、式(4)に従って、プラスチック材料による第2〜4レンズの合成焦点距離を大きく設定して合成屈折力の総和を低く抑えることにより、それに応じて温度変化時の像点位置変動も小さくなる。
請求項5記載の発明は、請求項1,2,3又は4記載の発明と同様の構成を備えると共に、プラスチック材料を飽和吸水率が0.7%以下の材料とする、という構成を採っている。
飽和吸水率が少ないプラスチックをレンズの材料と使用することにより、湿度変化による性能劣化の解消を図っている。
請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明と同様の構成を備えると共に、第2レンズは正の屈折力を有し、第3レンズは負の屈折力を有する、という構成を採っている。
上記構成では、比較的屈折力の大きい正レンズ群と負レンズを、物体側より順に配置するこのような構成は、レンズ全長(第1レンズの物体側面から撮像レンズ全系の像側焦点までの光軸上の距離)を小型化し易い構成である。
請求項7記載の発明は、光電変換部を有する固体撮像素子と、この固体撮像素子の光電変換部に被写体像を結像させる撮像レンズと、固体撮像素子を保持すると共にその電気信号の送受を行う外部接続用端子を有する基板と、物体側からの光入射用の開口部を有し遮光部材からなる筐体とが一体的に形成された撮像ユニットであって、撮像レンズの光軸方向における撮像ユニットの長さが15[mm]以下であり、撮像レンズとして請求項1から6のいずれか一項に記載の撮像レンズを備える、という構成を採っている。
上記「光入射用の開口部」とは、必ずしも孔等の空間を形成するものに限らず、物体側からの入射光を透過可能な領域が形成された部分を指すものとする。
上記構成は、例えば、可搬性を有する小型の電子機器への搭載等を目的として小型、軽量化の要求に対応するための撮像ユニットであり、上記構成では、最も物体側のレンズを正レンズとすることで、レンズ全長の小型化に有利な構成を採り、撮像ユニット全体の光軸方向長さの小型化を図りながら、撮像レンズを4枚のレンズから構成することを特徴とする。
上述の記載において、「撮像ユニットの長さが15[mm]以下」とあるのは、上記全ての構成を備えた撮像ユニットの光軸方向に沿った全長を意味するものとする。従って、例えば、基板の表の面上に筐体が設けられ、基板の背面に電子部品等が実装された場合にあっては、筐体の物体側となる先端部から背面上で突出する電子部品の先端部までの距離が15[mm]以下となることを想定する。
そして、上記構成では、前述した各請求項記載の撮像レンズを搭載することにより、前述した小型化、軽量化、高画質化等の利点を備える撮像ユニットを実現する。
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明と同様の構成を備えると共に、第1レンズの物体側面から撮像レンズ全系の像側焦点までの光軸上の距離をL、前記固体撮像素子の矩形受光面における対角線長を2Y、第1レンズと第2レンズの合成焦点距離をf12、撮像レンズ全系の焦点距離をf、最も正の屈折力の強いレンズのアッベ数をνP、最も負の屈折力の強いレンズのアッベ数をνNとしたときに、下記の(5),(6),(7)の条件式を満たす、という構成を採っている。
L/2Y < 1.60 (5)
0.40 < f12/f < 0.70 (6)
25 < νP−νN (7)
上記の条件式(5)〜(7)は、小型で収差が良好に補正された撮像レンズを得るための条件式である。
上記条件式(5)は、レンズ全長の小型化を達成するための条件式である。
さらに、条件式(6)は、第1,第2レンズの合成焦点距離を適切に設定する。即ち、その下限値を上回る設定とすることで、高次の球面収差やコマ収差の発生が抑えられ、その上限値を下回る設定とすることで、レンズ全長の小型化も図られる。
さらに、条件式(7)は、色収差を良好に補正するため、最も屈折力の強い正レンズのアッベ数と、最も負の屈折力の強い負レンズのアッベ数を規定するものである。下限を上回ることで、軸上色収差、倍率色収差をバランス良く補正される。
請求項9記載の発明は、請求項7又は8記載の撮像ユニットを備える、という構成を採っている。かかる構成では、前述した撮像ユニットを搭載することにより、小型化、軽量化及び高画質の撮像可能な携帯端末を実現する。
請求項1記載の発明では、最も物体側に凸面を向けた正の第1レンズを配置することで、第1レンズを負レンズとした場合に比べ、レンズ全長の小型化を図ることが可能である。
さらに、1枚の正レンズをガラスレンズ、もう1枚の正レンズと1枚の負レンズをプラスチックレンズとすることで、大きな正の屈折力をガラスレンズとプラスチックレンズとで分担することができ、かつ、正負の屈折力を有するプラスチックレンズ同士により温度変化時の像点位置変動への影響を相殺させ、撮像レンズ全系での温度変化時の像点位置の変動を小さく抑えることが可能である。従って、本発明により、温度変化の影響を排除しつつ、プラスチックレンズによる小型軽量化、量産化等の効果を得ることが可能である。
さらに、本発明は、第4レンズ像側面を所定の非球面形状とすることで、特に高画角の光束におけるテレセントリック特性の確保が実現することが可能となっている。
請求項2記載の発明によれば、第1〜4レンズの内の三つのレンズをプラスチック材料から形成することから、レンズがプラスチック材料であることの利点、レンズの小型軽量化,量産性による低コスト化,非球面形成の容易化等をより効果的に実現することが可能である。
請求項3記載の発明は、第1レンズをガラス材料とすることにより、最も損傷を受けやすい配置にあってその傷の発生を低減すると共に、他のブラスチック材料からなるレンズの保護を図り、保守性の向上を図っている。
請求項4記載の発明は、条件式(4)を満たすように設定することにより、プラスチックレンズの合成焦点距離を大きく設定して屈折力の総和を小さく抑え、温度変化時の像点位置変動を小さく抑えることが可能となる。
請求項5記載の発明では、プラスチック材料として飽和吸水率が0.7%以下のものを用いることにより、急激な湿度変化による屈折率の不均一化を抑制し、より良好な結像性能を維持しながら、プラスチックレンズの利点をも得ることが可能となる。
請求項6記載の発明では、比較的屈折力の大きい正レンズ群と負レンズを、物体側より順に配置したことにより、レンズ全長の小型化を図ることが可能である。
請求項7記載の発明によれば、上述した各効果を実現可能な撮像レンズを搭載することにより、小型化、軽量化、高画質化等の利点を備える撮像ユニットを提供することが可能である。
請求項8記載の発明は、条件式(5)によりレンズ全長を短くでき、撮像装置全体の小型軽量化が可能となる。
また、条件式(6)により、高次の球面収差やコマ収差の発生を小さく抑えつつも適度にレンズ全長の短縮が可能となる。
さらに、条件式(7)により、軸上色収差、倍率色収差をバランス良く補正することが可能となる。
請求項9記載の発明によれば、請求項7又は8記載の発明による各効果を実現可能な撮像ユニットを搭載することにより、小型化、軽量化及び高画質の撮像可能な携帯端末を提供することが可能である。
発明の実施形態たる撮像ユニットの斜視図である。 撮像レンズ部の各レンズの光軸を含む断面における断面図を示している。 図3(A)は撮像ユニットを適用した携帯電話機の正面図、図3(B)は撮像ユニットを適用した携帯電話機の背面図を示す。 図3の携帯電話機の制御ブロック図である。 本発明の実施例1にかかる小型の撮像レンズの代表的な断面図である。 実施例1の収差図(球面収差、非点収差、歪曲収差、メリディオナルコマ収差)である。 本発明の実施例2にかかる小型の撮像レンズの代表的な断面図である。 実施例2の収差図(球面収差、非点収差、歪曲収差、メリディオナルコマ収差)である。 実施例3にかかる小型の撮像レンズの断面図である。 実施例3の収差図(球面収差、非点収差、歪曲収差、メリディオナルコマ収差)である。 実施例4にかかる小型の撮像レンズの断面図である。 実施例4の収差図(球面収差、非点収差、歪曲収差、メリディオナルコマ収差)である。
本発明の実施形態を図1,2に基づいて説明する。図1は本実施形態たる撮像ユニット50の斜視図を示し、図2は撮像ユニット50の撮像光学系の光軸に沿った断面図である。
上記撮像ユニット50は、光電変換部51aを有する固体撮像素子としてのCMOS型イメージセンサ51と、このイメージセンサ51の光電変換部51a に被写体像を結像させる撮像光学系10と、イメージセンサ51を保持すると共にその電気信号の送受を行う外部接続用端子54を有する基板52と、物体側からの光入射用の開口部を有し遮光部材からなる鏡筒としての筐体53とを備え、これらが一体的に形成されている。
上記イメージセンサ51は、その受光側の平面の中央部に、画素(光電変換素子)が2次元的に配置された、受光部としての光電変換部51aが形成されており、その周囲には信号処理回路51bが形成されている。かかる信号処理回路は、各画素を順次駆動し信号電荷を得る駆動回路部と、各信号電荷をデジタル信号に変換するA/D変換部と、このデジタル信号を用いて画像信号出力を形成する信号処理部等から構成されている。また、イメージセンサ51の受光側の平面の外縁近傍には、多数のパッド(図示略)が配置されており、ワイヤWを介して基板52に接続されている。イメージセンサ51は、光電変換部51aからの信号電荷をデジタルYUV信号等の画像信号等に変換し、ワイヤWを介して基板52上の所定の回路に出力する。ここで、Yは輝度信号、U(=R−Y)は赤と輝度信号との色差信号、V(=B−Y)は青と輝度信号との色差信号である。
なお、固体撮像素子は上記CMOS型のイメージセンサに限定されるものではなく、CCD等の他のものを使用しても良い。
基板52は、その一平面上で上記イメージセンサ51及び筐体53を支持する支持平板52aと、支持平板52aの背面(イメージセンサ51と反対側の面)にその一端部が接続されたフレキシブル基板52bとを備えている。
支持平板52aは、表裏面に設けられた多数の信号伝達用パッドを有しており、その一平面側で前述したイメージセンサ51のワイヤWと接続され、背面側でフレキシブル基板52bと接続されている。
フレキシブル基板52bは、上記の如くその一端部が支持平板52aと接続され、その他端部に設けられた外部出力端子54を介して支持平板52aと外部回路(例えば、撮像ユニットを実装した上位装置が有する制御回路)とを接続し、外部回路からイメージセンサ51を駆動するための電圧やクロック信号の供給を受けたり、また、デジタルYUV信号を外部回路へ出力したりすることを可能とする。さらに、フレキシブル基板52bの長手方向の中間部が可撓性又は変形性を備え、その変形により、支持平板52aに対して外部出力端子の向きや配置に自由度を与えている。
次に、筐体53及び撮像光学系10について説明する。筐体53は、基板52の支持平板52aにおけるイメージセンサ51が設けられた平面上に当該イメージセンサ51をその内側に格納した状態で接着により固定装備されている。そして、撮像光学系10は筐体53の内部に格納保持されている。
図2に示すように、撮像光学系10は、物体側からの赤外線の入射を防ぐIR(赤外線)カットフィルタ24と、物体側から第1レンズL1,絞りS,第2レンズL2,第3レンズL3,第4レンズL4の順で筐体53内に支持配置された撮像レンズと、を有している。この撮像光学系10は、各レンズL1,L2,L3,L4を通して、イメージセンサ51の光電変換部51aに対して被写体像の結像を行うためのものである。なお、図2では左側を物体側,右側を像側としており、図2における一点鎖線を各レンズL1,L2,L3,L4の共通する光軸Lとする。
上記IRカットフィルタ24は、赤外線吸収特性を有する材料から形成され、筐体53の物体側面に接着されている。
また、絞りSは、撮像レンズ全系のFナンバーを決定する機能を有している。
筐体53は、基板52に直接固定されるベース体55と、第4レンズL4を保持するレンズホルダ56と、レンズホルダ56とにより全てのレンズL1,L2,L3,L4を狭持するレンズ抑え57とを備え、これらが一体的に連結されて全体的に略円筒状を形成する。また、レンズ押さえ57,レンズホルダ56,ベース体55は、一体的に連結された状態で、各々の中心線が同一軸上となるように、設定されている。
上記レンズ押さえ57,レンズホルダ56,ベース体55は、撮像時において、物体側からこの順番となるように配置され、いずれも略筒状を成す。ベース体55は、内径が最も大きく、その内側に、レンズホルダ56を格納する。ベース体55の内周面上には雌ネジが形成され、他方,レンズホルダ56の外周面上には雄ネジが形成され、これらは相互に螺合して連結される。また、レンズホルダ56は、レンズ抑え57よりもその内径が大きく、レンズホルダ56の内側に、レンズ抑え57を格納する。レンズホルダ56の内周面上には雌ネジが形成され、他方,レンズ抑え57の外周面上には雄ネジが形成され、これらは相互に螺合して連結される。
ここで、各レンズL1〜L4について一部説明する。
複数レンズ構成の撮像ユニットは、本出願と同一出願人による特願2002-083880号にも記載されている。かかる特開2002-083880号に記載されているタイプのレンズは、全てのレンズをプラスチックレンズとし、高性能化と大量生産性とを両立したタイプである。しかしながら、その一方で、プラスチックレンズは、温度変化に応じて屈折率変化を生じ、像点位置の変動が大きくなるという問題があった。また、小型の撮像レンズを有する小型の撮像装置においては、レンズの合焦機構を有しない,いわゆるパンフォーカス方式である場合が多く、より高画質な固体撮像素子を用いる際には、上記温度変化よる影響は無視できないものともなりうる。そこで、本実施形態の撮像ユニット50の光学系に使用される各レンズL1〜L4は、以下に示す構成により上記温度変化に対する影響の抑制を図っている。
上記各レンズL1〜L4は後述するが、L1がガラス材料から形成され、L2〜L4はプラスチック材料から形成されている。
近年では、撮像装置全体の小型化を目的とし、同じ画素数の固体撮像素子であっても、画素ピッチが小さく、結果として受光部(光電変換部)の画面サイズの小さいものが開発されている。このような画面サイズの小さい固体撮像素子向けの撮像レンズは、同じ画角を確保するためには、全系の焦点距離を短くする必要があるため、各レンズの曲率半径や外径がかなり小さくなってしまう。従って、研磨加工により製造されるガラスレンズでは加工が困難となる。従って、各レンズL2〜L4はいずれもプラスチックを素材として射出成形により形成されている。
そして、レンズL2〜L4は、射出成形により形成されることから、各レンズの外周にフランジ部を設けることが可能である。第4レンズL4は、他と比して外形が最も大きなフランジ部を有し、当該フランジ部の物体側の面には凹部が形成されている。そして、この凹部には、第3レンズL3がそのフランジ部と共に嵌め込まれる。この際、撮像レンズL3と第4レンズL4とは、その光軸が一致するように、凹部は形成されている。
第3レンズL3は、第2レンズL2と比して外形が大きなフランジ部を有し、当該フランジ部の物体側の面には凹部が形成されている。そして、この凹部には、第2レンズL2がそのフランジ部と共に嵌め込まれる。この際、第2レンズL2と第3レンズL3とは、その光軸が一致するように、凹部は形成されている。
第2レンズL2は、第1レンズL1と比して外形が大きなフランジ部を有し、当該フランジ部の物体側の面には凹部が形成されている。そして、この凹部には、第1レンズL1が嵌め込まれる。この際、第1レンズL1と第2レンズL2とは、その光軸が一致するように、凹部は形成されている。
従って、各レンズL1〜L4は、各々のフランジ部を介して、重ね合わせることにより、相互の光軸が全て同一直線上に一致させることが可能である。
そして、各レンズL2〜L4の各凹部及び各凸部の軸方向の精度も射出成形により可能な精度とすることができるので、各レンズL1,L2,L3,L4の光軸方向間隔も所定の精度を維持することが可能である。これらのため、光学系の組み立て精度の向上を図ることが可能となる。さらに、組み立てが容易となり、生産性の向上も図っている。
各レンズL1〜L4について、上記前提をふまえた上で、筐体53の説明を再開する。
筐体53のレンズホルダ56はその像側となる端部が閉塞された有底円筒状であり、その底面の中央部が大きく貫通され、外部光を通過させる。他方、レンズ抑え57は、その物体側となる端部が閉塞された有底円筒状であり、その底面の中央部が大きく貫通され、外部光を通過させる。そして、レンズホルダ56の内径は、第4レンズL4の外形と等しく設定され、当該第4レンズL4を格納することで、レンズホルダ56の中心線と第4レンズL4の光軸とを一致するように位置決めすることが可能である。そして、各レンズL1〜L4は前述したように、重ね合わせられた状態で、レンズホルダ56にレンズ抑え57を装着すると、各々の底面により、重ね合わせられた状態のレンズL1〜L4が狭持され、ベース体55,レンズホルダ56及びレンズ抑え57の中心線と各レンズL1〜L4の光軸を全て同一軸上に一致させるが可能である。なお、レンズホルダ56等の中心線がイメージセンサ51の光電変換面51aの中心と一致するように、筐体53は、基板52に対して固定装備される。なお、筐体53は、レンズホルダ56の内周面及び内底面のみで第4レンズL4を支持し、また、レンズ抑え57の内底面のみで第1レンズL1の外周のみを支持し、その他の内周部のいずれも各レンズL1,L2,L3,L4に接触しない構造となっている。
さらに、ベース体55とレンズホルダ56とは相互間のネジ部の中心線が各レンズL1〜L4の光軸と一致するので、レンズホルダ56の回転操作により合焦状態が最良になるようにイメージセンサ51に対する各レンズL1〜L4の位置を調整することが可能である。なお、上記レンズの位置調節後には、ベース体55とレンズホルダ56とは接着固定される。
また、筐体53の物体側端面,第2レンズL2と第3レンズL3との間及び第3レンズL3と第4レンズL4との間には、それぞれ第1の遮光マスク21,第2の遮光マスク22及び第3の遮光マスク23が配置されている。かかる遮光マスク21,22,23はそれぞれ円形の開口を有し、結像に寄与しない不要光のカットを目的として配置されている。
各マスク21,22,23は、いずれも光を遮断する円板状の部材の中心に所定の内径の貫通穴が設けられており、いずれのマスク21,22,23についても、当該貫通穴の中心線は各レンズL1〜L4の光軸と一致するように装備されている。
第1の遮光マスク21は、前述したように筐体53の物体側端面に配設装備されている。第2の遮光マスク22は、第3レンズL3の凹部内に配置され、第2レンズL2と第3レンズL3とに狭持される。第3の遮光マスク23は、第4レンズL4の凹部内に配置され、第3レンズL3と第4レンズL4とに狭持される。
なお、第3レンズL3と第4レンズL4とは、それぞれ凹部内に遮光マスク22,23の格納用の窪みが形成されており、各レンズL2〜L4の嵌合状態における相互間距離に影響を及ぼさない構造となっている。
前述した絞りSと各遮光マスク21,22,23との相互の作用により、物体側から入射した光が各レンズL1,L2,L3,L4のレンズ有効径の外側に入射することを防止し、ゴーストやフレアの発生を抑えることができる。
上述した撮像ユニット50の使用態様について説明する。図3は、撮像ユニット50を携帯端末としての携帯電話機100に装備した状態を示す。また、図4は携帯電話機100の制御ブロック図である。
撮像ユニット50は、例えば、撮像光学系における筐体53の物体側端面が携帯電話機100の背面(液晶表示部側を正面とする)に設けられ、液晶表示部の下方に相当する位置に配設される。
そして、撮像ユニット50の外部接続端子54は、携帯電話機100の制御部101と接続され、輝度信号や色差信号等の画像信号を制御部101側に出力する。
一方、携帯電話機100は、図4に示すように、各部を統括的に制御すると共に,各処理に応じたプログラムを実行する制御部(CPU)101と、番号等をキーにより支持入力するための入力部60と、所定のデータの他に撮像した映像等を表示する表示部70と、外部サーバとの間の各種情報通信を実現するための無線通信部80と、携帯電話機100のシステムプログラムや各種処理プログラム及び端末ID等の必要な諸データを記憶している記憶部(ROM)91と、制御部101によって実行される各種処理プログラムやデータ、若しくは処理データ、或いは撮像ユニット50により撮像データ等を一時的に格納する作業領域として用いられる及び一時記憶部(RAM)92とを備えている。
そして、撮像ユニット50から入力された画像信号は、上記携帯電話機100の制御系により、記憶部92に記憶されたり、或いは表示部70で表示され、さらには、無線通信部80を介して映像情報として外部に送信される。
次に、撮像レンズの仕様について、実施例1,2,3,4に基づいて説明するが、各仕様はこれに限定されるものではない。ここで、各実施例に使用する記号は下記の通りである。
f :撮像レンズ全系の焦点距離
fB :バックフォーカス
F :Fナンバー
2Y :有効画面対角線長(固体撮像素子の矩形受光面における対角線長)
R :屈折面の曲率半径
D :屈折面の軸上面間隔
Nd :レンズ材料のd線での屈折率
νd :レンズ材料のアッベ数
また、各実施例において、非球面の形状は、面の頂点を原点とし光軸方向をX軸とした直交座標系において、頂点曲率半径をR、円錐定数をK、非球面係数をA4、A6、A8、A10、A12として以下の「数2」で表す。
Figure 2010002930
(第1実施例)
図5は本発明の実施例1にかかる小型の撮像レンズの代表的な断面図である。
レンズデータを表1,2,3に示す。
Figure 2010002930
Figure 2010002930
Figure 2010002930
図中L1は第1レンズ、L2は第2レンズ、L3は第3レンズ、L4は第4レンズ、Sは絞りを示す。図6は実施例1の収差図(球面収差、非点収差、歪曲収差、メリディオナルコマ収差)である。
第1レンズL1はガラス材料から形成され、第2レンズL2および第4レンズL4は、ポリオレフィン系のプラスチックレンズで、飽和吸水率は0.01%以下である。また、第3レンズL3はポリカーボネイト系のプラスチックレンズで、飽和吸水率は0.4%である。
なお、プラスチック材料の温度による屈折率ndの変化は表4に示す通りである。これより、常温(20[℃])に対し+30[℃]上昇時のバックフォーカス変化量(ΔfB)は+0.001[mm]となる。
Figure 2010002930
(実施例2)
図7は本発明の実施例2にかかる小型の撮像レンズの代表的な断面図である。
レンズデータを表5,6,7に示す。
Figure 2010002930
Figure 2010002930
Figure 2010002930
図8は実施例2の収差図(球面収差、非点収差、歪曲収差、メリディオナルコマ収差)である。
第1レンズL1はガラス材料から形成され、第2レンズL2および第4レンズL4は、ポリオレフィン系のプラスチックレンズで、飽和吸水率は0.01%以下である。また、第3レンズL3はポリカーボネイト系のプラスチックレンズで、飽和吸水率は0.4%である。
なお、プラスチック材料の温度による屈折率ndの変化は表8に示す通りである。これより、常温(20[℃])に対し+30[℃]上昇時のバックフォーカス変化量(ΔfB)は+0.001[mm]となる。
Figure 2010002930
(第3実施例)
レンズデータを表9,10,11,12に示す。
Figure 2010002930
Figure 2010002930
Figure 2010002930
Figure 2010002930
図9は実施例3にかかる小型の撮像レンズの断面図である。図中L1は第1レンズ、L2は第2レンズ、L3は第3レンズ、L4は第4レンズ、Sは絞りを示す。図10は実施例3の収差図(球面収差、非点収差、歪曲収差、メリディオナルコマ収差)である。
本実施例は最も物体側に開口絞りSを配置し、また、最も像側には、赤外線カットフィルタ相当の平行平板Fを配置した設計例である。
第1レンズL1はガラス材料から形成され、第2レンズL2および第4レンズL4はポリオレフィン系のプラスチックレンズで、飽和吸水率は0.01%以下である。また、第3レンズL3はポリカーボネイト系のプラスチックレンズで、飽和吸水率は0.4%である。
なお、プラスチック材料の温度による屈折率ndの変化は表12に示す通りである。これより、常温(20[℃])に対し+30[℃]上昇時のバックフォーカス変化量(ΔfB)は−0.006[mm]となる。
(第4実施例)
レンズデータを表13,14,15,16に示す。
Figure 2010002930
Figure 2010002930
Figure 2010002930
Figure 2010002930
図11は実施例4にかかる小型の撮像レンズの断面図である。図中L1は第1レンズ、L2は第2レンズ、L3は第3レンズ、L4は第4レンズ、Sは絞りを示す。図12は実施例4の収差図(球面収差、非点収差、歪曲収差、メリディオナルコマ収差)である。
本実施例は最も物体側に開口絞りSを配置し、また、最も像側には、赤外線カットフィルタ及び固体撮像素子のシールガラス相当の平行平板F,Pを配置した設計例である。
第1レンズL1はガラス材料から形成され、第2レンズL2および第4レンズL4はポリオレフィン系のプラスチックレンズで、飽和吸水率は0.01%以下である。また、第3レンズL3はポリカーボネイト系のプラスチックレンズで、飽和吸水率は0.4%である。
なお、プラスチック材料の温度による屈折率ndの変化は表16に示す通りである。これより、常温(20[℃])に対し+30[℃]上昇時のバックフォーカス変化量(ΔfB)は+0.010[mm]となる。
(その他)
ここで、上記各実施例における温度上昇時のバックフォーカス変化量(ΔfB)であるが、計算上は温度上昇時のプラスチックレンズの熱膨張の影響は無視して求めた値である。なぜなら、温度変化時の像点位置変動は、プラスチックレンズの屈折率変化に主に起因するからである。
なお、上記各実施例は、像側光束のテレセントリック特性については必ずしも十分な設計にはなっていない。テレセントリック特性とは、各像点に対する光束の主光線が、レンズ最終面を射出した後、光軸とほぼ平行になることをいい、換言すれば光学系の射出瞳位置が像面から十分離れることである。テレセントリック特性が悪くなると、光束が固体撮像素子に対し斜めより入射し、画面周辺部において実質的な開口効率が減少する現象(シェーディング)が生じ、周辺光量不足となってしまう。しかし、最近の技術では、固体撮像素子の色フィルタやマイクロレンズアレイの配列の見直し等によって、前述のシェーディング現象を軽減することができる。従って、本実施例は、テレセントリック特性の要求が緩和された分について、より小型化を目指した設計例となっている。
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ
L4 第4レンズ
S 開口絞り
50 撮像ユニット
100 携帯電話機(携帯端末)

Claims (9)

  1. 物体側から順に配置される第1レンズ,第2レンズ,第3レンズ,第4レンズから構成され、
    前記第1レンズは正の屈折力を有すると共に物体側に凸面を向ける形状とされ、
    前記第2,第3,第4レンズの内の一つ又は二つのレンズは正の屈折力を有し、
    少なくとも、前記第1から第4のレンズの内、正の屈折力を有する一つのレンズがガラス材料から形成され、正の屈折力を有するもう一つのレンズ及び負の屈折力を有する一つのレンズがプラスチック材料から形成され、
    前記第4レンズの像側面は、当該像側面の頂点を原点とし,光軸方向にX軸をとり,光軸に対して垂直な方向の高さをh,前記第4レンズの像側面のi次の非球面係数をAi、前記第4レンズの像側面の曲率半径をR8、前記第4レンズの像側面の円錐係数をK8とした場合に、
    次式(2)に表される非球面変位量Xと次式(3)に表される非球面の回転2次曲面成分変位量X0とが、最大有効半径hmaxに対してhmax×0.5<h<hmaxとなる任意の光軸垂直方向の高さhの範囲で、下記の(1)の条件式を満たすことを特徴とする撮像レンズ。
    X−X0<0 (1)
    Figure 2010002930
  2. 前記正の屈折力を有すると共にガラス材料から形成されたレンズを除く他の全てのレンズはいずれもプラスチック材料から形成されていることを特徴とする請求項1記載の撮像レンズ。
  3. 前記第1のレンズが、ガラス材料から形成されていることを特徴とする請求項2記載の撮像レンズ。
  4. 前記第2,第3,第4レンズの合成焦点距離をf234、撮像レンズ全系の焦点距離をfとしたときに、下記の(4)の条件式を満たすことを特徴とする特徴とする請求項3記載の撮像レンズ。
    | f/f234 | < 0.7 (4)
  5. 前記プラスチック材料はいずれも飽和吸水率0.7%以下であることを特徴とする、請求項1,2,3又は4記載の撮像レンズ。
  6. 前記第2レンズは正の屈折力を有し、前記第3レンズは負の屈折力を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の撮像レンズ。
  7. 光電変換部を有する固体撮像素子と、この固体撮像素子の光電変換部に被写体像を結像させる撮像レンズと、前記固体撮像素子を保持すると共にその電気信号の送受を行う外部接続用端子を有する基板と、物体側からの光入射用の開口部を有し遮光部材からなる筐体とが一体的に形成された撮像ユニットであって、
    前記撮像レンズの光軸方向における前記撮像ユニットの長さが15[mm]以下であり、
    前記撮像レンズとして請求項1から6のいずれか一項に記載の撮像レンズを備えることを特徴とする撮像ユニット。
  8. 前記第1レンズの物体側面から撮像レンズ全系の像側焦点までの光軸上の距離をL、前記固体撮像素子の矩形受光面における対角線長を2Y、前記第1レンズと第2レンズの合成焦点距離をf12、撮像レンズ全系の焦点距離をf、最も正の屈折力の強いレンズのアッベ数をνP、最も負の屈折力の強いレンズのアッベ数をνNとしたときに、下記の(5),(6),(7)の条件式を満たすことを特徴とする請求項7記載の撮像ユニット。
    L/2Y < 1.60 (5)
    0.40 < f12/f < 0.70 (6)
    25 < νP−νN (7)
  9. 請求項7又は8記載の撮像ユニットを備えることを特徴とする携帯端末。
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