JP2010002792A - 共鳴音発生装置、電子楽器および共鳴音発生プログラム - Google Patents

共鳴音発生装置、電子楽器および共鳴音発生プログラム Download PDF

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Abstract


【課題】 小規模な回路で、かつ、少ないデータ量で、適切な共鳴音を発生する
【解決手段】 時系列順に供給され、順次遅延された楽音信号データとインパルス応答データメモリ33から読み出された、対応するインパルス応答係数とをそれぞれ乗算するとともに、各乗算結果を加算した積和演算結果を出力する積和演算手段は、所定のタップ数を有し、楽音信号データとインパルス応答係数データとの乗算結果を加算した積和演算結果を出力するとともに、遅延された楽音信号データを、直列に接続された次の段の積和演算ブロックに供給する楽音信号データとなるように出力する、複数の積和演算ブロック60−1〜60−28を有する。積和演算ブロックからの積和演算結果は、乗算回路62−1〜62−28により、所定の増幅率でそれぞれ増幅され、加算回路63において加算されて、共鳴音データとして出力される。
【選択図】 図6

Description

本発明は、楽音に付加すべき共鳴音を生成する共鳴音発生装置、当該共鳴音発生装置を備えた電子楽器、および、共鳴音発生プログラムに関する。
楽音に付加するための共鳴音を生成する共鳴音発生装置は、ディジタルの楽音信号データを受け入れて、楽音信号データにディジタルフィルタによるフィルタ処理を施して共鳴音データを生成するのが一般的である。フィルタ処理においては、FIR(有限インパルス応答:Finite Impulse Response)フィルタ或いはIIR(無限インパルス応答:Infinite Impulse
Response)フィルタが利用される。
FIRフィルタを利用する場合には、入力された楽音信号のデータX[n−k](k=0,1,2,・・・,n−1)と、音楽ホールの残響特性などから得たインパルス応答a[k]を畳み込み演算することで、共鳴音のデータS[n]=ΣX[n−k]×a[k]を得ることができる。
たとえば、特許文献1には、高音質を得るために、インパルス応答の直接音部の畳み込みを実行する信号処理系と、インパルス応答の反射音部の畳み込みを実行する信号処理系とを別個に並列して設け、反射音部の畳み込みを実行する信号処理系では、直接音部の畳み込みを実行する信号処理系よりも低いサンプリング信号にダウンサンプリングした信号を用いる技術が提案されている。
また、特許文献2には、遅延素子からの楽音信号データと乗算する共鳴係数のそれぞれを、発音すべき楽音の音高などにしたがって変化させて、楽音信号データと共鳴係数とを乗算し、かつ、乗算結果を加算するような共鳴装置が開示されている。
特開2007−202020号公報 特開2002−311957号公報
特許文献1のように、二つの信号処理系を並列させる構成では、2つのFIRフィルタを含む畳み込み演算回路が必要であるだけでなく、2系列のインパルス応答データが必要である。したがって、多くの回路要素やデータを必要とする。また、2つの信号処理系を並列に設けているため、インパルス応答係数が「0」となって何れか一方の信号処理系が実質的に演算を行わないような状況も起こりえるため、回路および演算に無駄が生じる場合がある。
また、特許文献2に記載された共鳴装置においては、楽音の状況にしたがって、全ての共鳴係数を変更する必要がある。フィルタのタップ数が多い(たとえば、数千〜数万タップ)場合には、共鳴係数の演算に著しく時間を要する。また、テーブルにより共鳴係数を保持する場合にも、テーブルのデータ量は膨大なものとなる。
本発明は、小規模な回路で、かつ、少ないデータ量で、適切な共鳴音を発生することができる共鳴音発生装置、電子楽器および共鳴音発生プログラムを提供することを目的とする。
本発明の目的は、複数個のインパルス応答係数を記憶したインパルス応答係数メモリと、
時系列順に供給される楽音信号データを遅延させ、当該遅延された楽音信号データと前記インパルス応答係数メモリから読み出された、対応するインパルス応答係数とをそれぞれ乗算するとともに、各乗算結果を加算した積和演算結果を出力する積和演算手段と、を備え、
前記積和演算手段は、所定のタップ数を有し、楽音信号データとインパルス応答係数データとの乗算結果を加算した積和演算結果を出力するとともに、遅延された楽音信号データを、直列に接続された次の段の積和演算ブロックに供給する楽音信号データとなるように出力する、複数の積和演算ブロックを有し、
さらに、前記積和演算手段の前記積和演算ブロックからの積和演算結果をそれぞれ受け入れ、前記積和演算出力を所定の増幅率でそれぞれ増幅する複数の乗算手段を有する出力制御手段と、
前記出力制御手段の前記複数の乗算手段からの出力を加算して、共鳴音データとして出力する加算手段と、を備えたことを特徴とする共鳴音発生装置により達成される。
好ましい実施態様においては、前記出力制御手段が、前記乗算手段のそれぞれに対して出力する増幅率を算出する増幅率算出手段を有し、
前記増幅率算出手段が、前記積和演算ブロックのうち、楽音信号データの遅延の度合いが大きくなるのにしたがって、当該積和演算ブロックに接続された乗算手段に対する増幅率が所定の初期値から小さくなるように、或いは、増幅率が所定の初期値から大きくなるように増幅率を算出する。
より好ましい実施態様においては、前記増幅率算出手段が、前記増幅率における減少或いは増加の開始時の値を変更し、或いは、前記遅延の度合いに応じた増幅率の減少或いは増加の度合いを変更することが可能である。
また、本発明の目的は、上述した共鳴音発生装置と、
波形データを格納した波形データメモリと、
前記波形データメモリに波形データを読み出して、波形データに基づき、指定された所定の音高の楽音信号データを生成する楽音発生手段と、
共鳴音の共鳴度合いを制御するダンパペダルとを備えた電子楽器であって、
前記出力制御手段の増幅率算出手段が、前記ダンパペダルの状態にしたがって、前記増幅率を算出することを特徴とする電子楽器により達成される。
好ましい実施態様においては、前記インパルス応答係数メモリが、ピアノのダンパペダルのオン状態のときに相当するインパルス応答係数を格納し、
前記出力制御手段の増幅率算出手段が、前記ダンパペダルがオフ状態のときに、前記積和演算ブロックのうち楽音信号データの遅延の度合いが大きくなるのにしたがって、当該積和演算ブロックに接続された乗算手段に対する増幅率が小さくなるような増幅率を算出して、算出された増幅率を、前記出力制御手段の乗算手段に出力する。
好ましい実施態様においては、前記ダンパペダルが、フルペダルの状態、ハーフペダルの状態およびオフの状態の何れかを示し、
前記出力制御手段の増幅率算出手段が、フルペダルの状態における第1の増幅率、ハーフペダルの状態における、対応する第2の増幅率、および、オフの状態における、対応する第3の増幅率について、
第1の増幅率≧第2の増幅率≧第3の増幅率
となるように増幅率を算出する。
また、本発明の目的は、複数個のインパルス応答係数を記憶したインパルス応答係数メモリを含む記憶装置を備えたコンピュータを、
時系列順に供給される楽音信号データを遅延させ、当該遅延された楽音信号データと前記インパルス応答係数メモリから読み出された、対応するインパルス応答係数とをそれぞれ乗算するとともに、各乗算結果を加算した積和演算結果を出力する積和演算手段であって、所定のタップ数を有し、楽音信号データとインパルス応答係数データとの乗算結果を加算した積和演算結果を出力するとともに、遅延された楽音信号データを、直列に接続された次の段の積和演算ブロックに供給する楽音信号データとなるように出力する、複数の積和演算ブロックを有する積和演算手段、
前記積和演算手段の前記積和演算ブロックからの積和演算結果をそれぞれ受け入れ、前記積和演算出力を所定の増幅率でそれぞれ増幅する複数の乗算手段を有する出力制御手段、並びに、
前記出力制御手段の前記複数の乗算手段からの出力を加算して、共鳴音データとして出力する加算手段、として機能させることを特徴とする共鳴音発生プログラムにより達成される。
本発明によれば、小規模な回路で、かつ、少ないデータ量で、適切な共鳴音を発生することができる共鳴音発生装置、電子楽器および共鳴音発生プログラムを提供することが可能となる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる電子楽器の構成を示すブロックダイヤグラムである。本実施の形態においては、電子楽器に共鳴音付加回路を設けている。
図1に示すように、本実施の形態にかかる電子楽器10は、鍵盤12、CPU14、ROM16、RAM18、楽音生成部20、ダンパペダル21および操作子群22を有する。鍵盤12、CPU14、ROM16、RAM18、楽音生成部20、ダンパペダル21および操作子群22は、バス30を介して接続される。楽音生成部20は、楽音発生回路24、共鳴音付加回路26および音響システム28を有する。
鍵盤12は、演奏者の押鍵操作に応じて、押鍵された鍵を特定する情報および押鍵された鍵のベロシティを示す情報をCPU14に伝達することができる。
CPU14は、システム制御、操作子群22を構成するスイッチの操作や鍵盤12を構成する鍵の操作の検出、押鍵された鍵に応じた音高の楽音データを生成させるため、楽音生成部20に与える種々の制御信号の生成、共鳴音付加回路26に与える制御信号の生成などを実行する。
ROM16は、スイッチや鍵の操作を検出するプログラム、楽音生成部20の楽音発生回路24に与える制御信号の生成プログラム、共鳴音付加回路26に出力する制御信号の生成プログラムなど、種々のプログラム、プログラムの実行の際に使用される定数、楽音生成部20の楽音発生回路24において生成される楽音信号データのもととなる波形データ、共鳴音付加回路26にて用いられる、インパルス応答係数を含むインパルス応答データなどを記憶する。RAM18は、プログラムの実行の過程で必要な変数、演算により得られた値、パラメータ、入力データ、出力データなどを一時的に記憶する。
本実施の形態において、ダンパペダル21は、オン・オフのみではなくその中間の段階を示す信号を出力することができる。たとえば、ダンパペダル21には縦方向(ペダルの回動軸と垂直方向)に2つのスイッチ(図示せず)が配置され、第1スイッチおよび第2スイッチの双方がオフの状態(ダンパペダル21が踏み込まれていない状態)、第1スイッチのみがオンされている状態(ダンパペダル21が途中まで踏み込まれている状態)、および、第1スイッチおよび第2スイッチの双方がオンされている状態(ダンパペダル21がフルに踏み込まれている状態)を作ることができる。このような構成により、2つのスイッチ双方がオンであるとフルペダル、第1スイッチのみがオンであるとハーフペダル、双方のスイッチがオフであると、ペダルのオフという3つの状態を作ることが可能となる。
或いは、ダンパペダル21の踏み込み量に応じて抵抗値が変更できる可変抵抗値を備え、抵抗値に応じた信号を出力するように構成しても良い。
図2は、本実施の形態にかかる楽音発生回路、共鳴音付加回路およびこれらに関連する構成部材の例を示すブロックダイヤグラムである。
図1および図2に示すように、楽音発生回路24は、CPU14から与えられた、発音すべき楽音の音色を示す音色情報、発音すべき音高を示す音高情報およびベロシティ情報に基づいて、所定の音色で、かつ、所定音高の楽音信号データを出力する。上記音色情報、音高情報およびベロシティ情報が第1の制御信号を構成する。
第1の制御信号に含まれる音高情報およびベロシティ情報は、鍵盤12からの信号に基づいて、CPU14により生成される。また、第1の制御信号に含まれる音色情報は、操作子群22に含まれるスイッチの操作情報に基づいて、CPU14により生成される。
共鳴音付加回路26は、複数の畳み込み演算回路を有する共鳴音発生回路30、出力レベルを調整する乗算回路31および加算回路32を備え、第2の制御信号にしたがって、楽音信号データに基づく共鳴音データを生成し、楽音信号データと共鳴音データとを合成した合成データを生成して出力する。
共鳴音発生回路30は、楽音発生回路24から出力された楽音信号データと、インパルス応答データメモリ33から読み出された対応するインパルス応答係数とを乗算し、乗算結果を加算して共鳴音データとして出力する。乗算回路31は、共鳴音データを所定の増幅率にて乗算する。本実施の形態においては、乗算回路31における増幅率は一定である。また、この乗算回路31は省略されていても良い。加算回路32は、楽音信号データと共鳴音データとを加算して、合成データを出力する。
図2に示すように、共鳴音発生回路30には第2の制御信号が与えられる。CPU12は、ダンパペダル21の状態にしたがった第2の制御信号を生成して共鳴音発生回路30に出力する。
音響システム28は、D/A変換器、増幅回路およびスピーカを有し、合成データをアナログ信号に変換して、アナログ信号を増幅し、スピーカから放音する。
図3は、本実施の形態にかかる楽音発生回路および波形メモリの構成例を示すブロックダイヤグラムである。図3に示すように、本実施の形態にかかる楽音発生回路24は、波形再生回路36、エンベロープ生成回路37および乗算回路38を有する。
波形メモリ35には、ピアノ音色データ、ギター系音色データ、ヴァイオリン系音色データなど、種々の音色の波形データが記憶されている。波形メモリ35は、たとえばROM16により実現される。波形再生回路36は、波形メモリ35に記憶された種々の音色のデータから、第1の制御信号に含まれる音色情報にしたがって所定の種別(たとえば、ピアノ音色)の波形データを、第1の制御信号に含まれる音高情報にしたがって読み出す。また、エンベロープ生成回路37は、第1の制御信号に含まれるベロシティ情報にしたがったエンベロープデータを出力する。波形データとエンベロープデータとは、乗算回路38において乗算され、楽音信号データX[n]が出力される。
また、本実施の形態においては、インパルス応答データメモリ33に、楽音信号データのそれぞれの値と乗算されるインパルス応答係数を含むインパルス応答データが格納される。インパルス応答データメモリには、音色ごとのインパルス応答データが格納される。図3に示す波形メモリを使用する場合には、ピアノ音色インパルス応答データ、フォークギター音色インパルス応答データ、ガットギター音色インパルス応答データ、チェロ音色インパルス応答データ、ヴァイオリン音色インパルスデータが、インパルス応答データメモリ33に格納される。たとえば、インパルス応答データメモリ33はROM16により実現される。また、第2の制御信号には、インパルス応答データを選択する情報、および、共鳴音発生回路30に含まれる乗算回路のそれぞれに与えられる増幅率が含まれる。
一般的な積和演算回路においては、以下の式にしたがった積和演算が実行される。
S[n]=ΣX[n−k]×a[k] (k=0,1,2,・・・,m)
S[n]は、積和演算結果である。また、X[n−k]は楽音信号データ、a[k]はインパルス応答係数である。
図4は、一般的な積和演算回路の概略を示すブロックダイヤグラムである。図4に示すように積和演算回路は、FIRフィルタであり、入力されたデータ(たとえば、楽音信号データX[n])を受け入れて、これを1クロック分だけ遅延して出力する複数の遅延回路40−1〜40−(n−1)、楽音信号データ、或いは、遅延回路から出力された遅延された楽音信号データを受け入れて、受け入れた楽音信号データと、インパルス応答係数a[k]とを乗算する乗算回路41−0〜41−(n−1)、および、乗算回路41−0〜41−(n−1)の出力を加算する加算回路42−1〜42−(n−1)とを有している。図4に示す例では、加算回路42−1は、第0番の乗算回路41−0の出力と第1番の乗算回路41−1の出力とを加算する。また、加算回路42−i(i≧2)は、前段の加算回路42−(i−1)の出力と、第i番の乗算回路41−iの出力とを加算する。
また、図4に示す例では、最後尾(第(n−1)番)の遅延回路40−(n−1)からの出力が、遅延された楽音信号データ(遅延楽音信号データ)Y(n)として出力できるようになっている。
FIRフィルタのタップ数は、たとえば1024など大きいものであるため、図4に示すような回路をそのまま実現しようとすると、多量の遅延回路および乗算回路が必要となる。たとえば、図4に示す例では、そのままでは、1023個の遅延回路および加算回路、1024個の乗算回路が必要となる。そこで、実際には、パイプラインを利用して、データ読み出し、乗算回路における乗算および加算回路における加算を並列的に実行することで、少数の乗算回路および加算回路によるFIRフィルタを実現している。
たとえば、FIRフィルタは、図示しないが、遅延された楽音信号データを記憶するとともに、クロックにしたがって楽音信号データをシフトするシフトレジスタと、シフトレジスタにより保持された所定の段の楽音信号データと、当該楽音信号データと乗算すべきインパルス応答係数とを乗算する乗算回路と、乗算回路からの出力と、自身の出力とを累算する加算回路と、を有し、楽音信号データの読み出しおよびインパルス応答係数の読み出し、乗算回路における乗算、並びに、加算回路における累算がパイプライン処理により並列的に実行される。
図5は、パイプラインを説明する図である。図5に示すように、FIRフィルタは、最初のクロックタイミング(クロック=0)で、楽音信号データX[n]およびインパルス応答係数a[0]を取得し(符号501参照)、次のクロックタイミング(クロック=1)で、楽音信号データX[n]とインパルス応答係数a[0]とを乗算して乗算値Z[0]を得る(符号511参照)。クロック=1のクロックタイミングでは、FIRフィルタは、上記乗算と並列して、次の楽音信号データX[n−1]およびインパルス応答係数a[1]を読み出す(符号502参照)。
さらに次のクロックタイミング(クロック=2)で、乗算値Z[0]と元の累算値(初期的には累算値=0)とが加算されて累算値S[0]が得られる(符号521参照)。クロック=2のクロックタイミングにおいても、FIRフィルタにおいては、並列的に、楽音信号データX[n−2]およびインパルス応答係数a[2]が取得されるとともに(符号503参照)、楽音信号データX[n−1]とインパルス応答係数a[1]とが乗算されて乗算値Z[1]が算出される(符号512参照)。
パイプライン処理によって、少数の乗算回路および加算回路によって高速な積和演算が実現される。しかしながら、楽音信号データのサンプリング周波数を44.1kHzと考えると、22.7μsで積和演算全てを終了させる必要がある。FIRフィルタの動作クロックを50MHzと高速動作を仮定しても、1クロックあたりの時間は20nsである。したがって、「22.7μs/20ns=1135」であり、FIRフィルタのタップ数は1100程度となる。実際に、1100タップ程度のFIRフィルタでは、共鳴音の生成には不十分である。
そこで、本実施の形態においては、共鳴音発生回路30において、複数タップ、たとえば、1024タップの積和演算が可能なFIRフィルタを複数設け、それぞれのFIRフィルタから積和演算結果を出力され、かつ、FIRフィルタを直列に接続して、上流側のFIRフィルタにより遅延され、出力された遅延楽音信号データを、下流側のFIRフィルタに入力するような構成とした。このような複数のFIRフィルタによれば、各FIRフィルタから出力された積和演算値を加算することにより、サンプリング周波数を小さくすることなく、より多くのタップ数のFIRフィルタを実現することができる。
図6は、本実施の形態にかかる共鳴音発生回路の例を示すブロックダイヤグラムである。図6に示すように、本実施の形態にかかる共鳴音発生回路30は、複数(本実施の形態では28個)のFIRフィルタ60−1〜60−28を有している。FIRフィルタ60−1〜60−28は、機能的には、図4に示す積和演算回路と同様に、積和演算データS(n)および遅延楽音信号データY(n)を出力することができる。また、実際には、これらFIRフィルタ60−1〜60−28は、それぞれ、パイプライン演算を用いることで、少数の乗算回路および加算回路によって積和演算を実現している。なお、本実施の形態では、複数のFIRフィルタ60−1〜60−28は、全体としてもFIRフィルタを構成する。したがって、以下の説明では、FIRフィルタ60−1〜60−28を、それぞれ積和演算ブロック60−1〜60−28とも称する。
本実施の形態にかかる共鳴音発生回路30においては、積和演算ブロック60−1〜60−27のそれぞれから出力される遅延楽音信号データY(n)が、下流側に隣接する積和演算ブロックの楽音信号データとして入力される。たとえば、最上流に位置する積和演算ブロック60−1の遅延楽音信号データY1(n)は、下流に隣接する積和演算ブロック60−2の楽音信号データX2(n)となる。
また、共鳴音発生回路30は、積和演算ブロック60−1〜60−28のそれぞれの積和演算出力(積和演算データ)S1(n)〜S28(n)を、所定の増幅率を用いて乗算する乗算回路62−1〜62−28を含む出力制御回路61を有している。乗算回路62−1〜62−28のそれぞれの増幅率は、ダンパペダル21の状態などにしたがって、CPU14により演算され、第2の制御信号としてCPU14から共鳴音発生回路30の出力制御回路61に与えられる。この増幅率の演算については後に詳述する。
共鳴音発生回路30は、乗算回路62−1〜62−8の出力を加算(累算)する加算(累算)回路63を有する。加算(累算)回路は、一方の入力を自身の出力(累算値)として、また、他方の入力を積和演算ブロック60−1〜60−28の何れか1つから出力された積和演算値として、累算値と、積和演算ブロック60−1〜60−28の何れかからの積和演算値とを累算していく。全ての積和演算ブロックの積和演算値を累算することで、共鳴音データS[n]を得ることができる。
本実施の形態においては、それぞれが1024タップのFIRフィルタ(積和演算ブロック)を28個用いることで、28672タップのFIRフィルタが実現される。また、加算(累算)回路63においては、28回の累算処理を要するが、1024タップのFIRフィルタ処理および累算処理により、1024+28=1076クロック程度しか要することはなく、上述した1135クロックの範囲内におさまる。
次に、上述したような構成の電子楽器10において実行される処理について説明する。図7は、本実施の形態にかかる電子楽器10において実行される処理の概略を示すフローチャートである。図7に示すように、CPU14は、RAM18に格納された種々のパラメータを初期化する処理(イニシャライズ)を実行する(ステップ701)。次いで、CPU14は、操作子群22のスイッチの操作、および、鍵盤12の鍵の操作を検出し、操作されたスイッチや鍵の情報をRAM18に格納する(ステップ702)。また、CPU14は、ダンパペダル21の踏み込み状態を検出する(ステップ703)。ステップ703のペダル処理において、CPU14は、ダンパペダル21の現在のペダル状態が、フルペダル、ハーフペダル或いはオフの何れかであるかを検出する。次いで、CPU14は、RAM15に格納されたペダル状態と、現在のペダル状態とを比較して、ペダル状態に変化があった場合には、ペダル状態に変化があったことを示す情報をRAM15に格納する(たとえば、フラグとオンにする)とともに、RAM15中のペダル状態を最新のものに変更する。
CPU14は、出力制御回路61の乗算回路の各々を制御するための、共鳴度目標値を算出する共鳴度目標値算出処理(ステップ704)、および、共鳴度の現在値を算出する共鳴度演算処理(ステップ705)を実行する。共鳴度目標値算出処理および共鳴度演算処理については後に詳述する。また、CPU14は、ステップ702でオンされたと判断された鍵について、その発音を開始させるべく、音色、音高およびベロシティを示す情報を含む第1の制御信号を、楽音発生回路24に出力する。これにより、押鍵された鍵の音高に相当する楽音信号データが、楽音発生回路24から出力される(ステップ706)。
図8は、本実施の形態にかかる共鳴度目標値算出処理を詳細に示すフローチャートである。図8に示すように、CPU14は、ペダル処理によりRAM15に格納された情報を参照して、ダンパペダル21の状態に変化があったか否かを判断する(ステップ801)。ステップ801でYesと判断された場合には、CPU14は、ダンパペダル21の最新の状態がペダルオフ状態であるか否かを判断する(ステップ802)。ステップ803でYesと判断された場合には、現在の鍵盤の押鍵数に応じた値「押鍵数×a+C」を算出する(ステップ803)。aは係数、Cは定数であり、たとえば、a=8、C=30と定められる。
次いで、CPU14は、ステップ803で算出された値が、ハーフペダルの状態に対応する共鳴度目標値83以上であるか否かを判断する(ステップ804)。ステップ804でNoと判断された場合には、上記ステップ803で算出された値がそのまま共鳴度目標値となる。その一方、ステップ803でYesと判断された場合には、CPU11は、共鳴度目標値を、「83」と決定する(ステップ807)。共鳴度目標値は、RAM15に記憶される。
ステップ802でNoと判断された場合には、CPU11は、RAM15を参照して、ダンパペダル21の最新の状態が、フルペダルの状態であるか否かを判断する(ステップ805)。ステップ805でNo、つまり、ダンパペダル21がハーフペダルの状態である場合には、CPU11は、共鳴度目標値を「83」とする(ステップ805)。その一方、ステップ802でYes、つまり、ダンパペダル21がフルペダルの状態である場合には、CPU11は、共鳴度目標値を「100」とする(ステップ806)。
図9は、本実施の形態にかかる共鳴度演算処理を詳細に示すフローチャートである。共鳴度演算処理は、共鳴度現在値を、徐々に共鳴度目標値に近づけていくことで、共鳴音中にノイズが生じることを防止している。また、本実施の形態においては、乗算回路62−nにおいて、共鳴度現在値に応じて、各積和演算ブロックの積和演算出力Si(n)と、増幅率A(i)とが乗算される。この増幅率A(i)も積和演算ブロックの番号iと共鳴度現在値とによって算出される。
複数の積和演算ブロック60−1〜60−28は、積和演算ブロック60−iのiが小さくなるほど、時間軸上、現在に近い楽音信号データとの積和演算が行なわれている。本実施の形態においては、基本的に、増幅率A(i)は、時間軸上の現在に近い位置が最大値を示し、その後、時間軸上で過去になるのにしたがって値が一定或いは減少するような値をとる。
図9に示すように、CPU11は、RAM15に格納されている共鳴度現在値および共鳴度目標値を取得して(ステップ901)、共鳴度現在値と共鳴度目標値とを比較する(ステップ902)。
共鳴度現在値が共鳴度目標値より小さい場合(現在値<目標値)には、CPU14は、共鳴度現在値をインクリメントする(ステップ903)。共鳴度現在値が共鳴度目標値より大きい場合(現在値>目標値)には、CPU14は、共鳴度現在値をデクリメントする(ステップ904)。得られた共鳴度現在値はRAM15に記憶される。なお、両者が等しい場合(現在値=目標値)にはCPU14は共鳴度現在値についての処理は行なわない。
次いで、CPU14は、積和演算ブロック60−1〜60−28を特定するためのパラメータiを「1」に初期化し(ステップ906)、iが「29」以上になるまで(ステップ906でYes)、ステップ907〜911を繰り返す。
CPU14は、パラメータiが4以下(つまり、1≦i≦4)であれば、当該パラメータiについての増幅率A(i)を「1」に設定する(ステップ908)。得られた増幅率A(i)はRAM15に記憶される。パラメータiが5以上(つまり、5≦i≦28)であれば、CPU14は、共鳴度現在値が100の場合には(ステップ909でYes)、当該パラメータiについての増幅率A(i)を「1」に設定する(ステップ908)。その一方、共鳴度現在値が100でない(つまり100未満)である場合には、CPU14は、当該パラメータについての増幅率A(i)を以下のように算出する(ステップ910)。
増幅率A(i)=(共鳴度現在値*(29−i)/2400
ステップ910における増幅率A(i)は、iが大きくなるのにしたがって減少し、iが「29」のときに値が「0」となる関数となっている。
CPU14は、パラメータiをインクリメントして(ステップ911)、ステップ906に戻る。
増幅率A(i)は、iについて以下の関数となる。共鳴度現在値が100であれば、増幅率A(i)は、定数「1」である。共鳴度現在値が100未満の場合には、増幅率A(i)は、iが1〜4のときには一定値「1」であり、i=5以上のときには、iが大きくなるのにしたがって減少し、iが「29」のときに値が「0」となる。また、この増幅率A(i)は、i=5、つまり、減少の開始時の値が、共鳴度現在値により変化する。図10(a)、(b)および(c)は、それぞれ、共鳴度現在値が「30」、「80」および「100」のときの増幅率を示すグラフである。図10(a)、(b)において、パラメータi(積和演算ブロックの番号)が1〜4の範囲では増幅率A(i)は「1」である。その後、パラメータi(積和演算ブロックの番号)が5〜28の範囲では、増幅率A(i)=(共鳴度現在値*(29−i)/2400という演算式にしたがって、パラメータiにしたがった所定の値から増幅率A(i)は単調減少する。また、パラメータi=5における増幅率A(5)、つまり、単調減少する増幅率における初期値(最大値)は、共鳴度現在値が大きくなるのにしたがって大きくなっている。
CPU14は、算出した増幅率A(i)(i=1〜28)を、積和演算ブロック60−iに接続された乗算回路62−iにそれぞれ出力する。以下、積和演算ブロック60−i、乗算回路62−iおよび増幅率A(i)について説明する。
図11(a)、(b)は、ピアノのインパルス応答係数の例を示すグラフである。図11(a)は、ダンパペダルがフルペダルの状態におけるインパルス応答係数、図11(b)は、ダンパペダルがオフの状態におけるインパルス応答係数である。図11(a)、(b)から理解できるように、フルペダルの状態では、ピアノの弦がダンパーから開放されるため、大きな弦共鳴が、フレームや板の共鳴に加わり、かつ、その共鳴が長時間にわたって継続する。それに比較して、ダンパペダルがオフ状態の場合には、ダンパーによって弦が押さえられているため、押鍵された鍵以外の鍵の弦共鳴はほとんどなく、その全体的なレベルが小さい。また、共鳴が継続される時間も、フルペダルの状態と比較すると短い。
そこで、ダンパペダルがフルペダルの状態におけるインパルス応答係数のみを、ROM16などのメモリに保持し、ダンパペダルがオフ状態のときには、インパルス応答係数に、所定の増幅率を乗じて、インパルス応答係数の値を重み付けすることが考えられる。しかしながら、多数のインパルス応答係数(たとえば、本実施の形態では1024×28=28672タップ)を重み付け演算するためには、乗算回数が非常に多くなる。
本実施の形態においては、所定のタップ数(1024タップ)の積和演算ブロック60−1〜60−28の積和演算出力のそれぞれに、増幅率に基づく重みを与え、乗算回路62−1〜62−28において、積和演算出力と、所定の増幅率とを乗算し、重み付けされた積和演算出力を、加算(累算)回路63により累算して、最終的な積和演算結果を共鳴音データとして出力している。このように、直列に接続された積和演算ブロックのそれぞれの積和演算出力と増幅率とを乗算することで、重み付け演算による乗算の回数を著しく小さくすることが可能となる。
特に、本実施の形態においては、ダンパペダルがフルペダルの状態におけるインパルス応答係数を、インパルス応答係数メモリ33に格納しておき、フルペダルのときには、増幅率を「1」として、積和演算結果がそのまま出力され、かつ、それ以外のときには、1以下の増幅率で重み付けをすることにより、ハーフペダルの状態や、ペダルのオフ状態における共鳴音を適切に生成することができる。
本実施の形態において、複数の積和演算ブロック60−1〜60−28は、積和演算ブロック60−iのiが小さくなるほど、時間軸上、現在に近い楽音信号データとの積和演算が行なわれている。したがって、増幅率は、時間軸上の現在に近い位置が最大値を示し、その後、時間軸上で過去になるのにしたがって値が減少している。
本実施の形態によれば、共鳴音発生回路30は、複数の積和演算ブロック60−1〜60−28を有し、積和演算ブロック60−1〜60−28は、それぞれ、所定のタップ数を有し、楽音信号データとインパルス応答係数データとの乗算結果を加算した積和演算結果を出力するとともに、遅延された楽音信号データを、直列に接続された次の段の積和演算ブロックに供給する楽音信号データとなるように出力する。積和演算ブロックのそれぞれの積和演算出力は、出力制御部61の乗算回路62−1〜62−28により、所定の増幅率A(i)(i=1〜28)と乗算され、さらに加算回路63において加算される。
したがって、積和演算によるインパルス応答係数のそれぞれを変更せず、一定のタップ数の積和演算ブロックからの積和演算出力の重みを変更することで、処理の負担を増大させることなく、所望の共鳴音を生成することが可能となる。また、一連のインパルス応答係数の組を多数有する必要なく、共鳴音を変化させることが可能となる。
また、本実施の形態においては、CPU14は、乗算手段のそれぞれに対して出力する増幅率を算出する。CPU14は、初期値が「1」であり、かつ、積和演算ブロックのうち、楽音信号データの遅延の度合いが大きくなるのにしたがって、積和演算ブロックに接続された乗算回路に対する増幅率が小さくなるように増幅率を算出する。たとえば、インパルス応答係数として、もっとも共鳴度合いの大きな楽音に対するインパルス応答係数を、インパルス応答データメモリ33に格納しておき、必要に応じて、楽音信号データの遅延の度合いが大きくなるのにしたがって該積和演算ブロックに接続された乗算回路に対する増幅率が小さくなるように重み付けすることで、共鳴の度合いが適切に小さくなった共鳴音データを生成することが可能となる。
また、本実施の形態においては、CPU14は、増幅率の減少の開始時の値を変更し、或いは、遅延の度合いに応じた増幅率の減少の度合いを変更することが可能である。これにより、共鳴の度合いを任意に変更することが可能となる。
さらに、本実施の形態においては、CPU14は、ダンパペダルの状態にしたがって、積和演算ブロックに接続された乗算回路に対する増幅率をそれぞれ変更することができる。これにより、電子楽器のダンパペダルの状態に基づいて適切に共鳴の度合いが異なる共鳴音データを生成することが可能となる。
特に、本実施の形態においては、CPU14は、ダンパペダル21がオフ状態のときに、積和演算ブロックのうち、楽音信号データの遅延の度合いが大きくなるのにしたがって、積和演算ブロックに接続された乗算回路の増幅率が小さくなるような増幅率を算出する。これにより、ダンパペダル21のオフ状態のときには、ダンパペダル21がオン状態のときと比較して、時間の経過にともなって共鳴の度合いが寄り小さくなるような共鳴音データを生成することができる。
また、本実施の形態においては、ダンパペダル21が、フルペダルの状態、ハーフペダルの状態およびオフの状態の何れかを示し、CPU14は、フルペダルの状態における第1の増幅率、ハーフペダルの状態における、対応する第2の増幅率、および、オフの状態における、対応する第3の増幅率について、第1の増幅率≧第2の増幅率≧第3の増幅率、となるように増幅率を算出している。これにより、ダンパペダル21の踏み込み状態に応じて、適切な共鳴の度合いの共鳴音データを生成することが可能となる。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
たとえば、前記実施の形態においては、1024タップのFIRフィルタを試用しているが、FIRのフィルタのタップ数はこれに限定されるものではなく楽音信号データのサンプリング周波数(第1のサンプリング周波数fs)およびFIRフィルタの処理速度に応じて決定すれば良い。
本実施の形態によれば、所定の番号以上の積和演算ブロック(たとえば、i=5)について、増幅率A(i)を、増幅率A(i)=(共鳴度現在値*(29−i)/2400という数式にて算出している。しかしながら、上述したような数式に限定されない。図12(a)〜(c)は、それぞれ、共鳴度現在値が「30」、「80」および「100」のときの増幅率の他の例を示すグラフである。この例においては、積和演算ブロックの番号(パラメータ)iが4以下(つまり、1≦i≦4)であれば、増幅率A(i)は「1」であり、積和演算ブロックの番号iが、5≦i≦28では、増幅率A(i)は下記の式により演算される。
A(i)=(−(100−共鳴度現在値)/a)*(i−5)
+((1−C)/100)*共鳴度現在値+C
aは減少の度合いを決定する定数、また、C(0<C<1)は、i=5のときの増幅率A(i)の初期値を示す定数である。この例では、共鳴度現在値が大きくなるのにしたがって、i=5のときの初期値が大きくなり、かつ、iの増加に伴う増幅率A(i)の減少の度合いが、共鳴度現在値が大きくなるのにしたがって小さくなる。
また、前記実施の形態においては、ダンパペダルがフルペダルの状態におけるインパルス応答係数のみを、ROMなどのメモリに保持し、ペダルの踏み込みが小さくなるのにしたがって共鳴度を小さくして、上記増幅率A(i)は、iが一定の範囲で単調減少するようにしている。しかしながら、これに限定されるものではない。たとえば、ダンパペダルがハーフペダル或いはペダルオフの状態におけるインパルス応答係数を、ROMなどのメモリに応答して、ペダルの踏み込みが大きくなるのにしたがって、共鳴度を大きくして、増幅率A(i)を、iが一定の範囲で増加するようにしても良い。
また、前記実施の形態においては、共鳴度現在値に対する増幅率A(i)を収容したテーブルをROMなどメモリに記憶し、CPU11は、共鳴度現在値に応じて、テーブルを読み出して、増幅率A(i)を取得しても良い。
また、上記実施の形態においては、鍵盤およびダンパペダルを有する電子楽器に本発明を適用したがこれに限定されるものではない。たとえば、通常のパーソナルコンピュータの記憶装置に、上記実施の形態にかかる共鳴音発生回路を実現する処理プログラムを格納し、当該パーソナルコンピュータを、図6〜図9にかかる処理を実現する種々の手段として機能させれば良い。
図1は、本発明の実施の形態にかかる電子楽器の構成を示すブロックダイヤグラムである。 図2は、本実施の形態にかかる楽音発生回路、共鳴音付加回路およびこれらに関連する構成部材の例を示すブロックダイヤグラムである。 図3は、本実施の形態にかかる楽音発生回路および波形メモリの構成例を示すブロックダイヤグラムである。 図4は、一般的な積和演算回路の概略を示すブロックダイヤグラムである。 図5は、パイプラインを説明する図である。 図6は、本実施の形態にかかる共鳴音発生回路の例を示すブロックダイヤグラムである。 図7は、本実施の形態にかかる電子楽器10において実行される処理の概略を示すフローチャートである。 図8は、本実施の形態にかかる共鳴度目標値算出処理を詳細に示すフローチャートである。 図9は、本実施の形態にかかる共鳴度演算処理を詳細に示すフローチャートである。 図10(a)、(b)および(c)は、それぞれ、共鳴度現在値が「30」、「80」および「100」のときの増幅率を示すグラフである。 図11(a)、(b)は、ピアノのインパルス応答係数の例を示すグラフである。 図12(a)〜(c)は、それぞれ、共鳴度現在値が「30」、「80」および「100」のときの増幅率の他の例を示すグラフである。
符号の説明
10 電子楽器
12 鍵盤
14 CPU
16 ROM
18 RAM
20 楽音生成部
21 ダンパペダル
22 操作子群
24 楽音発生回路
26 共鳴音付加回路
28 音響システム
30 共鳴音発生回路
31 乗算回路
32 加算回路

Claims (7)

  1. 複数個のインパルス応答係数を記憶したインパルス応答係数メモリと、
    時系列順に供給される楽音信号データを遅延させ、当該遅延された楽音信号データと前記インパルス応答係数メモリから読み出された、対応するインパルス応答係数とをそれぞれ乗算するとともに、各乗算結果を加算した積和演算結果を出力する積和演算手段と、を備え、
    前記積和演算手段は、所定のタップ数を有し、楽音信号データとインパルス応答係数データとの乗算結果を加算した積和演算結果を出力するとともに、遅延された楽音信号データを、直列に接続された次の段の積和演算ブロックに供給する楽音信号データとなるように出力する、複数の積和演算ブロックを有し、
    さらに、前記積和演算手段の前記積和演算ブロックからの積和演算結果をそれぞれ受け入れ、前記積和演算出力を所定の増幅率でそれぞれ増幅する複数の乗算手段を有する出力制御手段と、
    前記出力制御手段の前記複数の乗算手段からの出力を加算して、共鳴音データとして出力する加算手段と、を備えたことを特徴とする共鳴音発生装置。
  2. 前記出力制御手段が、前記乗算手段のそれぞれに対して出力する増幅率を算出する増幅率算出手段を有し、
    前記増幅率算出手段が、前記積和演算ブロックのうち、楽音信号データの遅延の度合いが大きくなるのにしたがって、当該積和演算ブロックに接続された乗算手段に対する増幅率が所定の初期値から小さくなるように、或いは、増幅率が所定の初期値から大きくなるように増幅率を算出することを特徴とする請求項1に記載の共鳴音発生装置。
  3. 前記増幅率算出手段が、前記増幅率における減少或いは増加の開始時の値を変更し、或いは、前記遅延の度合いに応じた増幅率の減少或いは増加の度合いを変更することが可能であることを特徴とする請求項2に記載の共鳴音発生装置。
  4. 請求項2または3に記載の共鳴音発生装置と、
    波形データを格納した波形データメモリと、
    前記波形データメモリに波形データを読み出して、波形データに基づき、指定された所定の音高の楽音信号データを生成する楽音発生手段と、
    共鳴音の共鳴度合いを制御するダンパペダルとを備えた電子楽器であって、
    前記出力制御手段の増幅率算出手段が、前記ダンパペダルの状態にしたがって、前記増幅率を算出することを特徴とする電子楽器。
  5. 前記インパルス応答係数メモリが、ピアノのダンパペダルのオン状態のときに相当するインパルス応答係数を格納し、
    前記出力制御手段の増幅率算出手段が、前記ダンパペダルがオフ状態のときに、前記積和演算ブロックのうち楽音信号データの遅延の度合いが大きくなるのにしたがって、当該積和演算ブロックに接続された乗算手段に対する増幅率が小さくなるような増幅率を算出して、算出された増幅率を、前記出力制御手段の乗算手段に出力することを特徴とする請求項4に記載の電子楽器。
  6. 前記ダンパペダルが、フルペダルの状態、ハーフペダルの状態およびオフの状態の何れかを示し、
    前記出力制御手段の増幅率算出手段が、フルペダルの状態における第1の増幅率、ハーフペダルの状態における、対応する第2の増幅率、および、オフの状態における、対応する第3の増幅率について、
    第1の増幅率≧第2の増幅率≧第3の増幅率
    となるように増幅率を算出することを特徴とする請求項5に記載の電子楽器。
  7. 複数個のインパルス応答係数を記憶したインパルス応答係数メモリを含む記憶装置を備えたコンピュータを、
    時系列順に供給される楽音信号データを遅延させ、当該遅延された楽音信号データと前記インパルス応答係数メモリから読み出された、対応するインパルス応答係数とをそれぞれ乗算するとともに、各乗算結果を加算した積和演算結果を出力する積和演算手段であって、所定のタップ数を有し、楽音信号データとインパルス応答係数データとの乗算結果を加算した積和演算結果を出力するとともに、遅延された楽音信号データを、直列に接続された次の段の積和演算ブロックに供給する楽音信号データとなるように出力する、複数の積和演算ブロックを有する積和演算手段、
    前記積和演算手段の前記積和演算ブロックからの積和演算結果をそれぞれ受け入れ、前記積和演算出力を所定の増幅率でそれぞれ増幅する複数の乗算手段を有する出力制御手段、並びに、
    前記出力制御手段の前記複数の乗算手段からの出力を加算して、共鳴音データとして出力する加算手段、として機能させることを特徴とする共鳴音発生プログラム。
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