JP2010001551A - プラズマcvd成膜方法およびプラズマcvd装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板を配置する第1電極にHF〜VHF帯の周波数を有する高周波電力を供給し、対向電極となる第2電極に、前記第1電極に供給する電力よりも低周波数で、かつ、13.56MHz以下である周波数を有する電力もしくはパルス周波数のDCパルス電力を供給することにより、前記課題を解決する。
【選択図】図1
Description
また、目的とする性能を発現する製品を得るために、光学素子、ガラス板やプラスチック板、半導体装置等の各種のデバイスなど、各種の物品の表面に、ガスバリア膜、反射防止膜、防曇膜、透明導電膜等の目的とする機能を発現する膜を成膜することも行なわれている。
周知のように、CCP−CVDとは、第1電極と、この第1電極の対向電極となる(電極対を成す)第2電極とを用い、両電極間に、反応ガスを供給し、かつ、電圧を印加することにより、プラズマを生成して反応ガスを解離・電離させてラジカルやイオンを生成し、第1電極と第2電極との間に配置した被処理物の表面にプラズマCVDによる成膜を行なうものである。
また、イオンの引き込みによって起こるエッチング現象や再スパッタリング現象、さらには、表面マイグレーションの促進などにより、膜質向上や被覆性の向上効果が期待できるが、膜質向上も被覆性向上も、対象とする被処理物(凹凸が有ってもよい)によって、最適なイオン利用度が異なる。此処で、特許文献1や特許文献2に示されるようなプラズマCVDでは、高エネルギーなイオンほど、早くバイアス電位に反応し、成膜に利用され易い。そのため、高エネルギーイオンのみを制御することは、困難である。
また、本発明のプラズマCVD成膜方法の第2の態様は、容量結合型プラズマCVDによって、被処理物の表面に成膜を行なうに際し、第1電極と、この第1電極の対向電極となる第2電極とを設け、前記第1電極に被処理物を配置すると共に、前記第1電極にHF〜VHF帯の周波数の電力を供給し、かつ、前記第2電極に、前記第1電極に供給する電力よりも低周波数で、かつ、13.56MHz以下であるパルス周波数を有するDCパルス電力を供給しつつ、前記被処理物の表面に成膜を行なうことを特徴とするプラズマCVD成膜方法を提供する。
また、本発明の成膜方法およびCVD装置共に、前記第2電極に供給するのは負のバイアス電位であるのが好ましく、また、第1の態様においては、前記第2電極に供給する電力の周波数は50kHz〜3MHzであるのが好ましく、他方、第2の態様においては、前記第2電極に供給するDCパルス電力のパルス周波数は50kHz〜3MHzであるのが好ましい。
このような構成を有する本発明では、プラズマによって生成される反応ガス由来のイオンのうち、基板の昇温や損傷や、成膜した膜自身の損傷等を起こし易い高エネルギーイオンを被処理物の表面に引き込むことを大幅に抑制しつつ、膜質や段差被覆性の向上に有効な低エネルギーイオンは、被処理物表面への成膜に有効に利用して、成膜を行なうことができる。
そのため、本発明によれば、高エネルギーイオンによる被処理物の温度上昇や、被処理物表面の損傷/破壊を大幅に抑制して、かつ、膜質の良好な膜を、高い段差被覆性で成膜することができる。
このようなCVD装置10は、基本的に、真空チャンバ12、基板ホルダ14、シャワー電極16、シールド18、第1電源20、第2電源24、マッチングボックス26および27、真空排気手段28、ならびに、ガス供給手段30を有して構成される。
また、図1に示されるように、基板ホルダ14、シャワー電極16、およびシールド18は、真空チャンバ12内に配置される。
すなわち、本発明は、CCP−CVDによる成膜において電極対を成す電極に供給する電力の周波数が異なる以外には、基本的に、通常のCCP−CVDによる成膜を行なう。
具体的には、基板Zとしては、フィルム状物(シート状物)、ガラス板やプラスチック板等の各種の板状物、レンズや光学フィルタなどの光学素子、有機ELや太陽電池などの光電変換素子、液晶ディスプレイや電子ペーパーなどのディスプレイパネル等、各種の物品(部材)が、基材として利用可能である。中でも特に、フィルム状物は、基板Zとして好適である。
また、本発明において、基板は、上記各種の物品を本体(基材)として、その表面(少なくとも成膜面)に、保護層、接着層、光反射層、遮光層、平坦化層、緩衝層、応力緩和層等の、各種の機能を得るための有機物や無機物からなる層(膜)が形成されているものであってもよい。さらに、半導体基板やディスプレイ基板のように、凹凸が意図して形成されている基板であってもよい。
また、真空排気手段68も、ターボポンプ、メカニカルブースターポンプ、ロータリーポンプなどの真空ポンプ、さらには、クライオコイル等の補助手段、到達真空度や排気量の調整手段等を利用する、真空成膜装置に用いられている公知の(真空)排気手段が、各種、利用可能である。
なお、基板ホルダ14における基板Zの保持手段には、特に限定はなく、公知の基板Zの形状に応じた各種の方法が利用可能である。あるいは、基板ホルダ14は、基板Zを保持(固定)するのではなく、単に基板Zを載置するのみであってもよい。なお、基板ホルダ14には、基板Zの位置決め手段を有するのが好ましい。
また、図示例においては、好ましい態様として、基板ホルダ14は、基板Zを加熱するための、加熱手段を内蔵する。また、加熱手段に代えて、基板Zを加熱および冷却可能な加熱/冷却手段を内蔵するのも好ましい。
しかしながら、本発明は、これに限定はされず、第1電極には電極としての作用のみを持たせ、基板Zは、別途、設けられる基板保持手段によって、第1電極から離間して、第1電極の近傍に配置するようにしてもよい。
このシャワー電極16は、第1電極である基板ホルダ14の対向電極となる第2電極であり(すなわち、第1電極と電極対を成す第2電極)、反応ガスの導入管30aに挿通された導線(図示省略)によって後述する第2電源24に接続される。このシャワー電極16には、後述する基板ホルダ14(第1電極)に供給する電力よりも低い周波数を有し、かつ、周波数が13.56MHz以下である電力が、第2電源24から供給される。
シャワー電極16は、天井から垂下されるシールド18に収容されて、所定位置に保持される。シールド18は、基板ホルダ14と対向する面が開放する、シャワー電極16の外形と略同形状の内壁面を有する直方体状の筐体である。また、このシールド18は、電磁波を遮蔽する電磁波シールドとしても作用する。
すなわち、シャワー電極16は、第2電極のみならず、反応ガスの導入手段としても作用するものであり、ガス導入手段30からシャワー電極16内に供給された反応ガスは、基板ホルダ14との対向面に形成された貫通穴から、第1電極である基板ホルダ14と、第2電極であるシャワー電極16との間に供給される。
本発明で成膜する膜には、特に限定はない。従って、ガス供給手段30が供給する反応ガスは、成膜する膜に応じた、公知のものを利用すればよい。例えば、窒化シリコン膜を成膜する際であれば、シランガスと、アンモニアガスおよび/または窒素ガスとを、酸化シリコン膜を成膜する際であれば、シランガスと酸素ガスとを、酸窒化シリコン膜を成膜する際であれば、シランガスと、アンモニアガスおよび/または窒素ガスと、酸素とを、それぞれ、シャワー電極16に供給すればよい。本発明は、このような窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸窒化シリコン膜の成膜に好適である。
また、ガス供給手段30は、このような成膜に直接寄与する反応ガス以外にも、アルゴンガス等の不活性ガスを、補助的なガスとしてシャワー電極16に供給してもよい。
また、第1電源20と基板ホルダ14との間には、マッチングボックス26が配置される。マッチングボックス26は、第1電源20からの電力のインピーダンスを整合する、高周波電源を用いる装置に用いられる、公知の整合器である。
第2電源24も、基板ホルダ14に供給する高周波電力よりも低い周波数で、かつ、13.56MHz以下の周波数を有する電力を供給できるものであれば、公知の電源(高周波電源)が、各種、利用可能である。また、第2電源24とシャワー電極16との間にも、マッチングボックス26と同様のマッチングボックス27が配置される。
ところが、このような従来のCCP−CVDによる成膜では、基板に高エネルギーのイオンが引き込まれるために、温度上昇に起因する基板のダメージや、高エネルギーイオンによる基板表面の損傷等が生じてしまう。また、このような従来のCCP−CVDによる成膜では、イオンの引き込みによって起こるエッチング現象や再スパッタリング現象、表面マイグレーションの促進などにより、膜質向上や被覆性の向上効果が期待できるが、高エネルギーなイオンほど、早くバイアス電位に反応して成膜に利用され易いため、高エネルギーイオンのみを制御することは、困難である。
そのため、本発明によれば、基板Zの加熱や損傷の原因となる高エネルギーイオンを、低周波数のシャワー電極16側に優先的に引き込むことが出来るので、基板Zへの高エネルギーイオンの入射を、大幅に抑制することができる。その結果、本発明によれば、加熱による基板Zのダメージや、高エネルギーイオンの入射に起因する基板Zの表面の損傷や破壊、および、成膜した膜の損傷や破壊を好適に防止することができる。
つまり、本発明では、第1電極(基板ホルダ14)により真空チャンバ12内に放電を起こして、反応ガスを解離・電離させてラジカルやイオンを生成し、第1電極によるバイアス効果によりイオンを成膜に利用するが、その際に、第2電極(シャワー電極16)に低周波電力を供給することによって、成膜に利用するイオンのエネルギーを制御することができ、特に高エネルギーイオンの基板Z(被処理物)への引き込みを抑制できる。これにより基板Zの表面に引き込むイオンのエネルギー選択という新たな制御機能を追加できるため、イオンを利用したプラズマCVD法において、従来以上に膜質や被覆性などの制御性を向上でき、様々なアプリケーションに最適な膜を提供できる。
そのため、本発明は、高分子材料からなる基板Zなど、熱によるダメージを受け易く、また、表面の硬度が低くて高エネルギーイオンよる損傷も受け易い、表面(成膜面)が有機物からなる基板Zへの成膜には好適である。また、本発明によれば、基板Zの表面の損傷を大幅に低減して、緻密な膜を成膜できるので、成膜面に高い表面平滑性が求められ、かつ、膜が緻密であることが要求される、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸窒化シリコン膜などのガスバリア膜の成膜には、好適であり、基板Zとしてプラスチックフィルム等が用いられることが多いガスバリアフィルムの製造には、特に好適である。
高周波電力を、この範囲とすることにより、高速成膜が可能である、大面積化が容易である、低周波電力によるイオンの制御効果が高い等の点で好ましい結果を得ることができる。
他方、低周波電力は、50kHz〜13.56MHzが好ましく、特に、100kHz〜3MHzが好ましい。
低周波電力を、この範囲とすることにより、高周波電力による放電への干渉を少なくできる、低周波電力によるイオンの制御効果が高い等の点で好ましい結果を得ることができる。
一般的に、CVDによる成膜に利用されるイオンは、正のイオンが多いので、シャワー電極16に負のバイアスを掛けることにより、効率の良い成膜を行なうことができる、高周波電力による放電への干渉を少なくできる、低周波電力によるイオンの制御効果が高い等の点で好ましい結果を得ることができる。
従って、電極に供給する電力量、成膜圧力、反応ガスなどのガスの供給量、基板温度等の各種の成膜条件は、成膜する膜の種類や、要求される成膜レート等に応じて、適宜、設定すればよい。
すなわち、まず、基板ホルダ14の所定位置に基板Zを配置して真空チャンバ12を閉塞する。次いで、真空排気手段28によって真空チャンバ12内を排気して、また、ガス導入手段30からシャワー電極16に反応ガスを供給して、真空チャンバ12内を所定の成膜圧に調整する。さらに、第1電源20から基板ホルダ14に高周波電力を、第2電源24からシャワー電極16に低周波電力を、それぞれ供給して、基板Zの表面にCCD−CVDによる成膜を行なえばよい。
前述の本発明の成膜方法およびCVD装置の第1の態様(以下、両者をまとめて第1の態様ともいう)は、第1電極にHF〜VHF帯の高周波電力を供給し、第2電極に第1電極に供給する電力の周波数よりも低い周波数を有し、かつ、13.56MH以下である低周波電力を供給しつつ、基板Zに成膜を行なうものである。これに対し、本発明の第2の態様は、前記第1の態様における低周波電力に代えて、第2電極に、第1電極に供給する電力の周波数よりも低い周波数で、かつ、13.56MH以下であるパスル周波数を有するDCパルス電力を供給する。
従って、図2に示すプラズマCVD装置40(以下、CVD装置40とする)は、前記CVD装置10において、シャワー電極16に低周波電力を供給する第2電源24に代えて、第2電極であるシャワー電極16に、第1電極に供給する電力の周波数よりも低い周波数で、かつ、13.56MH以下であるパスル周波数を有するDCパルス電力を出力するDCパルス電源42が接続される以外には、全く同じ構成を有する。
そのため、図2に示すCVD装置40においては、同じ部材は図1に示すCVD装置10と同じ符号を付し、説明は異なる部位を主に行なう。
DCパルス電源42は、第1電極に供給する電力の周波数よりも低周波数で、かつ、13.56MH以下であるパルス周波数を有するDCパルス電力を供給できるものであれば、公知のDCパルス電源が、各種、利用可能である。
すなわち、本発明の第2の態様においても、高エネルギーイオンが基板Zに入射するのを抑制して、高エネルギーイオンに起因する基板の昇温ダメージや損傷、成膜した膜の損傷等を抑制し、かつ、緻密で膜質の良好な膜を成膜することができる。
シャワー電極16に供給するDCパルス電力のパルス周波数低周波電力を、この範囲とすることにより、高周波電力による放電への干渉を少なくできる、低周波電力によるイオンの制御効果が高い等の点で好ましい結果を得ることができる。
図3に示す成膜装置50は、長尺な基板Z(フィルム原反)を長手方向に搬送しつつ、この基板Zの表面に、CCP−CVDによって成膜を行なって、ガスバリアフィルムなどの機能性フィルムを製造するものである。
この成膜装置50は、長尺な基板Zをロール状に巻回してなる基板ロール58から基板Zを送り出し、長手方向に搬送しつつガスバリア膜等の目的とする膜を成膜して、成膜した基板Zをロール状に巻き取る、前述のいわゆるロール・ツー・ロール(Roll to Roll)による成膜を行なう装置である。
なお、成膜装置50は、図示した部材以外にも、搬送ローラ対や、基板Zの幅方向の位置を規制するガイド部材など、基板Zを所定の経路で搬送するための各種の部材(搬送手段)を有してもよい。
長尺な基板Z巻回した基板ロール58は、供給室52の回転軸62に装填される。
回転軸62に基板ロール58が装填されると、基板Zは、供給室52から、成膜室54を通り、巻取り室56の巻取り軸60に至る所定の搬送経路を通される(送通される)。
成膜装置50においては、基板ロール58からの基板Zの送り出しと、巻取り室56の巻取り軸60における基板Z(成膜済の基板Z)の巻き取りとを同期して行なって、長尺な基板Zを所定の搬送経路で長手方向に搬送しつつ、成膜室54において、基板Zに、CCP−CVDによる成膜を連続的に行なう。
なお、真空排気手段68は、先の図1に示すCVD装置10の真空排気手段28と同様、真空成膜装置に用いられている公知の(真空)排気手段が、各種、利用可能である。この点に関しては、後述する他の真空排気手段も同様である。
成膜室54は、基板Zの表面に、図1に示すCVD装置10と同様に、基板を保持する第1電極にHF〜VHF帯の周波数を有する高周波電力を供給し、第2電極に、第1電極に供給する電力よりも低周波数で、かつ、13.56MHz以下である周波数を有する低周波電力を供給しつつ、CCP−CVDによって目的とする膜を成膜するものである。
また、マッチングボックス90も、先のマッチングボックス26と同様、高周波電源を用いる装置に用いられる、公知の整合器である。
図示例において、シャワー電極74a〜74dは、貫通穴が多数形成された1つの最大面をドラム72の周面に対面して、この最大面の中心からの垂線がドラム72の法線と一致するように配置される。
また、本発明は、シャワー電極を用いて成膜するのにも限定はされず、通常の板状の電極と、ガス供給ノズルとを用いるものであってもよいのも、成膜装置10と同様である。
前述のように、シャワー電極74a〜74dのドラム72との対向面には、多数の貫通穴が供給されている。従って、シャワー電極74a〜74dに供給された反応ガスは、この貫通穴から、シャワー電極74a〜74dとドラム72との間に導入される。
第2電源82は、先の図1に示すCVD装置10の第2電源24と同様のものであり、マッチングボックス92を介して、第2電極であるシャワー電極74a〜74dに、第1電源84がドラム72(第1電極)に供給する電力よりも周波数が低く、かつ、13.56MHz以下(例えばLF〜MF帯(30kHz〜3MHz))の周波数を有する低周波電力を供給する。なお、マッチングボックス92は、先のマッチングボックス88と同様のものである。
成膜室54内は、真空排気手段86によって所定の真空度に減圧されている。また、シャワー電極74a〜74dには、ガス供給手段80から反応ガスが供給されて、シャワー電極74a〜74dと基板Z(ドラム72)との間に、反応ガスが供給される。さらに、シャワー電極74a〜74dには、第2電源82から、ドラム72に供給される電力よりも低周波数で、かつ、13.56MHz以下の周波数を有する低周波電力が供給され、また、ドラム72には第1電源84からHF〜VHF帯の周波数を有する高周波電力が供給される。
これにより、ドラム72によって支持されつつ搬送される基板Zの表面に、CCP−CVDによってガスバリア膜が成膜される。
巻取り室56に搬送された基板Z(ガスバリアフィルム)は、ガイドローラ96に案内されて巻取り軸60に搬送され、巻取り軸60によってロール状に巻回されて、次の工程に供される。
また、先の供給室52と同様、巻取り室56にも真空排気手段88が配置され、成膜中は、巻取り室56も、成膜室54における成膜圧力に応じた真空度に減圧される。
図1に示すCVD装置10を用いて、基板Zの表面に厚さ300nmの窒化シリコン膜を成膜した。
この基板Zを、基板ホルダ14の所定位置に配置し、真空チャンバ12を閉塞した。なお、この時点での基板ホルダ14の温度は25℃(室温)であった。
なお、シランガス、アンモニアガスおよび窒素ガスの流量は、流量比をシランガス:アンモニアガス:窒素ガス=1:3:10とし、成膜速度が150nm/minとなる流量に調整した。成膜速度と反応ガス流量との関係は、予め、実験で調べておいた。
なお、基板ホルダ14に供給した電力量は1.5W/cm2、シャワー電極16に供給した電力量は0.4にW/cm2(電極面積に対する電力量)とした。
この時点での基板Zの温度(基板到達温度)は、65℃であった。
なお、熱負けの評価は、
成膜前と外観の変化が無い場合を◎;
変形が認められるがガスバリアフィルムとしての使用可能である場合を○;
基板Zが溶融して再凝固した形跡は認められないが、ガスバリアフィルムとしての使用が不可能な変形が認められる場合を△;
基板Zが溶融して再凝固した形跡が認められる場合を×; と評価した。
その結果、ガスバリア性は、0.002[g/(m2・day)]であった。
得られた窒化シリコン膜の屈折率を測定した結果、1.77〜1.79であった。
以上の結果は、下記表1に記す。
シャワー電極16に電力を供給せずに接地(アース)した以外は、前記実施例1と同様にして基板Zの表面に窒化シリコン膜を成膜した。さらに、基板Zをシリコンウエハに代えて、同様にして窒化シリコン膜を成膜した。
成膜終了時の基板Zの温度は70℃であった。
また、実施例1と同様にして、基板の熱負け、ガスバリア性、窒化シリコン膜の表面粗さ、および、シリコンウエハ上に成膜した膜の屈折率を測定した。
その結果、基板の熱負けは○; 、水蒸気透過率は0.012[g/(m2・day)];、 表面粗さは1.88[nm]; 、屈折率は1.78〜1.81; 、であった。
結果を下記表1に併記する。
シャワー電極16に供給する電力を13.56MHzにし、基板ホルダ14に供給する電力を600kHzとした以外は、前記実施例1と同様にして基板Zの表面に窒化シリコン膜を成膜した。さらに、基板Zをシリコンウエハに代えて、同様にして窒化シリコン膜を成膜した。
成膜終了時の基板Zの温度は115℃であった。
また、実施例1と同様にして、基板の熱負け、ガスバリア性、窒化シリコン膜の表面粗さ、および、シリコンウエハ上にに成膜した膜の屈折率を測定した。
その結果、基板の熱負けは×;、 表面粗さは1.88[nm]; 、屈折率は1.78〜1.81; 、であった。なお、水蒸気透過率は、基板Zが水蒸気透過測定が不可能なほど変形してしまい、測定することができなかった。
結果を下記表1に併記する。
成膜時間を5秒として成膜する窒化シリコン膜の膜厚を約10nmとし、また、基板Zを基板ホルダに配置する際における基板ホルダ14の温度を70℃とした以外には、実施例1と同様にして、基板Zの表面に窒化シリコン膜を成膜した。
この厚さ約10nmの窒化シリコン膜の表面粗さRaを、実施例1と同様に測定したところ、0.85nmであった。
シャワー電極16に電力を供給せずに接地(アース)した以外は、前記実施例2と同様にして、基板Zの表面に窒化シリコン膜を成膜した。
得られた厚さ約10nmの窒化シリコン膜の表面粗さRaを同様に測定したところ、1.38nmであった。
シャワー電極16に供給する電力を13.56MHzにし、基板ホルダ14に供給する電力を600kHzとした以外は、前記実施例2と同様にして基板Zの表面に窒化シリコン膜を成膜した。
得られた厚さ約10nmの窒化シリコン膜の表面粗さRaを同様に測定したところ、1.64であった。
実施例2、比較例3および4で測定された厚さ約10nmの窒化シリコン膜の表面粗さRaを、下記表2に示す。
さらに、窒化シリコン膜の表面粗さ、特に、膜厚約10nmの表面粗さから、プラズマや反応ガスイオン等による基板Zの損傷度合いが好適に知見できるが、本発明によれば、従来の方法である比較例に比して、反応ガスイオン等によるPETフィルムの表面の損傷が少ないことも分かる。
以上の結果より、本発明の効果がは、明らかである。
12 真空チャンバ
14 基板ホルダ
16,74a,74b,74c,74d シャワー電極
18 シールド
20,84 第1電源
24,82 第2電源
26,27,90,92 マッチングボックス
28,68,86,88 真空排気手段
30,80 ガス供給手段
42 DCパルス電源
50 成膜装置
52 供給室
54 成膜室
56 巻取り室
58 基板ロール
60 巻取り軸
62 回転軸
64,76,78,96 ガイドローラ
70,94 隔壁
72 ドラム
Claims (4)
- 容量結合型プラズマCVDによって、被処理物の表面に成膜を行なうに際し、
第1電極と、この第1電極の対向電極となる第2電極とを設け、前記第1電極に被処理物を配置すると共に、前記第1電極にHF〜VHF帯の周波数の電力を供給し、かつ、前記第2電極に、前記第1電極に供給する電力よりも低周波数で、かつ、13.56MHz以下である周波数の電力を供給しつつ、前記被処理物の表面に成膜を行なうことを特徴とするプラズマCVD成膜方法。 - 容量結合型プラズマCVDによって、被処理物の表面に成膜を行なうに際し、
第1電極と、この第1電極の対向電極となる第2電極とを設け、前記第1電極に被処理物を配置すると共に、前記第1電極にHF〜VHF帯の周波数の電力を供給し、かつ、前記第2電極に、前記第1電極に供給する電力よりも低周波数で、かつ、13.56MHz以下であるパルス周波数を有するDCパルス電力を供給しつつ、前記被処理物の表面に成膜を行なうことを特徴とするプラズマCVD成膜方法。 - 被処理物を配置される第1電極と、前記第1電極の対向電極となる第2電極と、前記第1電極に接続される、HF〜VHF帯の周波数の電力を出力する第1電源と、前記第2電極に接続される、前記第1電極に供給する電力よりも低周波数で、かつ、13.56MHz以下である周波数の電力を出力する第2電源と、前記第1電極と第2電極との間に反応ガスを導入するガス導入手段とを有することを特徴とするプラズマCVD装置。
- 被処理物を配置される第1電極と、前記第1電極の対向電極となる第2電極と、前記第1電極に接続される、HF〜VHF帯の周波数の電力を出力する第1電源と、前記第2電極に接続される、前記第1電極に供給する電力よりも低周波数で、かつ、13.56MHz以下であるパルス周波数を有するDCパルス電力を出力するDCパルス電源と、前記第1電極と第2電極との間に反応ガスを導入するガス導入手段とを有することを特徴とするプラズマCVD装置。
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