JP2010001368A - 液晶組成物、光吸収異方性膜、偏光素子、液晶表示装置 - Google Patents
液晶組成物、光吸収異方性膜、偏光素子、液晶表示装置 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 配向かつ重合可能な棒状液晶単量体を主成分とし、下記式(1)を満足する二色性色素の少なくとも一種を含有することを特徴とする液晶組成物。
式(1)
Ld/Ll>1
[式中Llは液晶単量体の分子長軸の分子長を表し、Ldは二色性色素の分子長を表す。]
【選択図】なし
Description
例えば、LCD(液晶素子)では表示における旋光性や複屈折性を制御するために直線偏光板や円偏光板が用いられている。OLED(有機エレクトロルミネッセンス素子)においても外光の反射防止のために円偏光板が使用されている。従来、これらの偏光板(偏光素子)にはヨウ素が二色性物質として広く使用されてきた。しかしながら、ヨウ素は昇華性が大きいために偏光素子に使用した場合、その耐熱性や耐光性が十分ではなかった。また、その消光色が深い青になり、全可視スペクトル領域にわたって理想的な無彩色偏光素子とは言えなかった。
そこで、最近では他の方法が着目されるようになってきた。この方法として、非特許文献1では、ガラスや透明フィルムなどの基板上に有機色素分子の分子間相互作用などを利用して二色性色素を配向させ、偏光膜(異方性色素膜)を形成する方法がある。しかしながら、該文献に記載の方法では、耐熱性について問題があることが知られていた。
<1>配向かつ重合可能な棒状液晶単量体を主成分とし、下記式(1)を満足する二色性色素の少なくとも一種を含有することを特徴とする液晶組成物、
式(1)
Ld/Ll>1
[式中Llは液晶単量体の分子長軸の分子長を表し、Ldは二色性色素の分子長を表す。]
<2>前記棒状液晶単量体が下記一般式(2)で表されることを特徴とする<1>項記載の液晶組成物、
<3>前記液晶組成物がネマチック相およびスメクチック相のいずれも形成可能なことを特徴とする<1>または<2>項に記載の液晶組成物、
<4>前記スメクチック相がスメクチックB相であることを特徴とした<3>項に記載の液晶組成物、
<5>前記二色性色素がアゾ色素であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載の液晶組成物、
<6>前記アゾ色素が下記一般式(3)で表されることを特徴とする<5>項に記載の液晶組成物、
<7><1>〜<6>のいずれか1項に記載の液晶組成物を用いて形成された光吸収異方性膜。
<8><7>項に記載の光吸収異方性薄膜を用いて形成された偏光素子、
<9><7>項に記載の光吸収異方性薄膜、またはは<7>項に記載の偏光素子を備えてなることを特徴とする液晶表示装置、
を提供するものである。
式(1)
Ld/Ll>1
[式中Llは液晶単量体の分子長軸の分子長を表し、Ldは二色性色素の分子長を表す。]
まず、棒状液晶単量体について説明する。棒状液晶は、液晶性化合物の分子構造において、よく知られている概念であり、(液晶便覧編集委員会編、「液晶便覧」、丸善(株)、2000年発行;および岩柳茂夫著、「液晶」、共立出版、1984年発行)に記載されている。
本発明では、棒状液晶をネマチック相からスメクチック相に転移させたのち、重合することが好ましいため、ネマチック相とスメクチック相、特にスメクチックB相の双方を発現できる棒状液晶が好適に用いられる。
同一のメソゲン基を有する場合には、その炭化水素鎖が長いものほどスメクチック相を示すことが一般的である。
スメクチック相を示すメソゲン基は、ビフェニル、安息香酸エステル、フェニルピリミジンが好ましく、三環以上のフェニル基を有する安息香酸エステル(特開平11−322678号公報記載)がさらに好ましい。
特に好ましい棒状液晶は、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類である。低分子液晶に代えて、または加えて、高分子液晶を用いてもよい。
重合性基は、ラジカル重合性基(例、エチレン性不飽和基)または開環重合性基(例、エポキシ基、オキセタン基)が好ましく、ラジカル重合性基がさらに好ましい。
エチレン性不飽和基は、CqH2q−1−L0−で表されることが好ましい。qは2または3である。L0は−O−、−CO−、−NR−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であって、Rは水素原子またはアルキル基である。
CqH2q−1−はビニル、アリル、1−プロペニルまたはイソプロペニルが好ましく、ビニルまたはイソプロペニルがさらに好ましい。
L0は−O−、−O−CO−、−CO−O−、−NR−CO−または−CO−NR−であることが好ましく、−O−CO−または−CO−O−がさらに好ましく、−CO−O−が最も好ましい。
エチレン性不飽和基はアクリロイルオキシ(CqH2q−1がビニルで、L0が−CO−O−)またはメタクリロイルオキシ(CqH2q−1がイソプロペニルで、L0が−CO−O−)であることが特に好ましい。
アルキレン基および置換アルキレン基は、分岐を有していてもよい。
アルキレン基および置換アルキレン基の炭素原子数は、1乃至30が好ましく、1乃至20がさらに好ましく、1乃至11が最も好ましい。
置換アルキレン基の置換基は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノおよびアルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ)からなる群より選ばれる一価の基であることが好ましい。アルコキシ基の炭素原子数は、1乃至12が好ましく、1乃至8がさらに好ましく、1乃至6が最も好ましい。
X1およびX2は、(無置換の)アルキレン基であることが好ましい。
Rは、水素原子またはアルキル基である。アルキル基の炭素原子数は、1乃至6が好ましく、1乃至3がさらに好ましい。
置換アルキレン基の置換基は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノおよびアルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ)からなる群より選ばれる一価の基であることが好ましい。
L1およびL4は、それぞれ独立に、単結合または−O−、−CO−、−NR−、アルキレン基、置換アルキレン基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。
L1は、−O−、アルキレン基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。
Rは水素原子またはアルキル基である。アルキル基の炭素原子数は、1乃至6が好ましく、1乃至3がさらに好ましい。
L2およびL3は、それぞれ独立に、単結合、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−NR−CO−、−CO−NR−または−O−CO−O−であることが好ましい。L2およびL3は、−CO−O−であることが特に好ましい。
式(2)において、n1、n2およびn3は、それぞれ独立に、0乃至4の整数である。n1、n2およびn3は、0、1または2であることが好ましく、0または1であることがさらに好ましく、0であることが最も好ましい。
式(2)において、mは0乃至4の整数である。mは、0、1、2または3であることが好ましく、1、2または3であることがさらに好ましく、1または2であることが最も好ましい。
mが2、3または4である場合、複数存在するY2、n2およびL3は、互いに異なっていてもよい。
前記一般式(2)で表される棒状液晶単量体を他の液晶分子と混合して用いる場合、液晶性分子全体に対する式(2)で表される棒状液晶単量体の割合は、1〜99質量%が好ましく、10〜98質量%がさらに好ましく、30〜95質量%が最も好ましい。
ネマチック相を形成する温度領域は、スメクチック相を形成する温度領域よりも高温であることが好ましい。
ネマチック相を形成する温度領域は、20℃〜300℃が好ましく、30℃〜250℃がさらに好ましく、40℃〜200℃が最も好ましい。
スメクチック相を形成する温度領域は、0℃〜200℃が好ましく、10℃〜180℃がさらに好ましく、20℃〜160℃が最も好ましい。
本発明の二色性色素は下記式(1)の関係を満たす限り特に限定されないが、好ましくは、アゾ系色素、シアニン系色素、アゾ金属錯体、フタロシアニン系色素、ピリリウム系色素、チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、キノン系色素、トリフェニルメタン系色素、およびトリアリルメタン系色素などを挙げることができる。
式(1)
Ld/Ll>1
[式中Llは液晶単量体の分子長軸の分子長を表し、Ldは二色性色素の分子長を表す。]
本発明の二色性色素として、より好ましくはアゾ色素またはキノン系色素があげられる。アゾ色素及びキノン系色素としてさらに好ましくは特開2003−96461号公報及び特開2007−41260号公報で挙げられたアゾ色素及びキノン系色素を挙げることができる。
Ld/Ll>1
であることが好ましい。また、
Ld/Ll>1.5
であることがさらに好ましく、
Ld/Ll>1.8
であることが最も好ましい。
前記関係式を満たす二色性色素を含有する液晶組成物を光吸収異方性薄膜として利用すれば、偏光特性の高い偏光素子を作成することができる。
また、Ld/Llの上限は特に限定されるものではないが、例えば、Ld/Ll<10程度とすればよい。
また、本発明の液晶組成物における二色性色素の含有量は、前記棒状液晶単量体の20質量%以下が好ましく、1〜10質量%が特に好ましい。
本発明の液晶組成物には、前記の棒状液晶単量体及び二色性色素の他に、任意の添加剤を併用することができる。本発明の液晶組成物を用いて光吸収異方性膜を形成する場合の添加剤の例としては、風ムラ防止剤、ハジキ防止剤、配向膜のチルト角(光吸収異方性膜/配向膜界面での棒状液晶単量体及び二色性色素の傾斜角)を制御するための添加剤、空気界面のチルト角(光吸収異方性膜/空気界面での棒状液晶単量体及び二色性色素の傾斜角)を制御するための添加剤、重合開始剤、配向温度を低下させる添加剤(可塑剤)、重合性モノマー、糖類、防黴、抗菌及び殺菌の少なくともいずれかの機能を有する薬剤等が挙げられる。以下、各添加剤について説明する。
棒状液晶単量体及び二色性色素とともに使用して、塗布時の風ムラを防止するための材料としては、一般にフッ素系ポリマーを好適に用いることができる。使用するフッ素系ポリマーとしては、棒状液晶単量体及び二色性色素のチルト角変化や配向を著しく阻害しない限り、特に制限はない。風ムラ防止剤として使用可能なフッ素ポリマーの例としては、特願2002−364034号公報、特願2003−129354号公報、特願2003−394998号公報、特願2004−12139号公報に記載がある。棒状液晶単量体及び二色性色素とフッ素系ポリマーとを併用することによって、ムラを生じることなく表示品位の高い画像を表示することができる。さらに、ハジキなどの塗布性も改善される。棒状液晶単量体及び二色性色素の配向を阻害しないように、風ムラ防止目的で使用されるフッ素系ポリマーの添加量は、棒状液晶単量体及び二色性色素に対して一般に0.1〜2質量%の範囲であるのが好ましく、0.1〜1質量%の範囲にあるのがより好ましく、0.4〜1質量%の範囲にあるのがさらに好ましい。
棒状液晶単量体及び二色性色素の塗布時のハジキを防止するための材料としては、一般に高分子化合物を好適に用いることができる。使用するポリマーとしては、棒状液晶単量体及び二色性色素と相溶性を有し、チルト角変化や配向を著しく阻害しない限り、特に制限はない。ハジキ防止剤として使用可能なポリマーの例としては、特開平8−95030号公報に記載があり、特に好ましい具体的ポリマー例としてはセルロースエステル類を挙げることができる。セルロースエステルの例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロースおよびセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。棒状液晶単量体及び二色性色素の配向を阻害しないように、ハジキ防止目的で使用されるポリマーの添加量は、棒状液晶単量体及び二色性色素に対して一般に0.1〜10質量%の範囲であるのが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあるのがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあるのがさらに好ましい。
配向膜のチルト角を制御する添加剤として、分子内に極性基と非極性基の両方を有する化合物を添加することができる。分子内に極性基と非極性基の両方を有する化合物としては、PO−OH、PO−COOH、PO−O−PO、PO−NH2、PO−NH−PO、PO−SH、PO−S−PO、PO−CO−PO、PO−COO−PO、PO−CONH−PO、PO−CONHCO−PO、PO−SO3H、PO−SO3−PO、PO−SO2NH−PO、PO−SO2NHSO2−PO、PO−C=N−PO、HO−P(−OPO)2、(HO−)2PO−OPO、P(−OPO)3、HO−PO(−OPO)2、(HO−)2PO−OPO、PO(−OPO)3、PO−NO2およびPO−CNならびにこれらの有機塩が好ましい例として挙げられる。ここで、有機塩としては、上記化合物の有機塩(例えば、アンモニウム塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等)の他、ピリジニウム塩等も好ましく採用することができる。前記分子内に極性基と非極性基の両方を有する化合物の中でも、PO−OH、PO−COOH、PO−O−PO、PO−NH2、PO−SO3H、HO−PO(−OPO)2、(HO−)2PO−OPO、PO(−OPO)3もしくはこれらの有機塩が好ましい。ここで、上記各POは非極性基を表し、POが複数ある場合は、それぞれのRは同一でも異なっていてもよい。
棒状液晶単量体及び二色性色素の配向状態を固定して光吸収異方性膜を形成するのが好ましく、重合反応を利用して棒状液晶単量体及び二色性色素を固定するのが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれるが、熱により支持体等が変形、変質するのを防ぐためにも、光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例、光重合開始剤の使用量、および重合のための光照射エネルギーの値の各々は特開2001−91741号公報の段落[0050]〜[0051]の記載が本発明に適用できる。
棒状液晶単量体及び二色性色素とともに重合性モノマーを使用してもよい。本発明に使用可能な重合性モノマーとしては、棒状液晶単量体及び二色性色素と相溶性を有し、棒状液晶単量体及び二色性色素のチルト角変化や配向阻害を著しく引き起こさない限り、特に限定はない。これらの中では重合活性なエチレン性不飽和基、例えばビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基およびメタクリロイル基などを有する化合物が好ましく用いられる。上記重合性モノマーの添加量は、棒状液晶単量体及び二色性色素に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。また反応性官能基数が2以上のモノマーを用いると、配向膜と光学異方性層間の密着性を高める効果が期待できるため、特に好ましい。
本発明の組成物に糖類を添加してもよい。糖類を添加することで色素会合体の会合度を向上させ、その結果として色素の分子配向を高めることができる。
本発明の組成物に防黴、抗菌及び殺菌の少なくともいずれかの機能を有する薬剤を添加してもよい。これらの添加剤を添加することにより、組成物の保存安定性を向上させることができる。
商品名)等も挙げられる。
また、下記式(11)で表される化合物も有効であり、特に極微量で抗菌効果を示すことから特に好ましい。
Xで示されるアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、該アルキル基は置換基を有するアルキル基であるのが好ましい。該アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、フェニルアミノ基、ハロフェニルアミノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、モルフォリノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、カルバモイルオキシ基、もしくはイソチアゾロニル基が挙げられる。又、該ハロゲン原子及び該ハロフェニル基におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子が、該アルコキシ基及び該アルコキシカルボニル基におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜6の直鎖状あるいは分岐鎖状のアルコキシ基が、アリールオキシ基のアリール基としては、フェニル基あるいはメチル基、エチル基等の低級アルキル基で置換されたフェニル基が、夫々好ましい。
Xで示されるシクロアルキル基としては、炭素数5〜7のシクロアルキル基が挙げられ、中でも、シクロヘキシル基が好ましい。又、シクロアルキル基の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
Xで示される芳香族炭化水素環基としては、フェニル基が好ましく、芳香族炭化水素環基は置換基を有するのが好ましい。芳香族炭化水素環基の置換基としては、ニトロ基、アルキル基またはアルコキシカルボニル基が好ましい。該アルキル基としては、低級アルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基が特に好ましい。又、該アルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基が好ましい。
前記式(11)で表される化合物の代表的具体例を以下に示す。
1. 2−クロロメチル−5−クロロ−3−イソチアゾロン
2. 2−シアノメチル−5−クロロ−3−イソチアゾロン
3. 2−ヒドロキシメチル−5−クロロ−3−イソチアゾロン
4. 2−(3−メチルシクロヘキシル)−3−イソチアゾロン
5. 2−(4−クロロフェニル)−4,5−ジクロロ−3−イソチアゾロン
6. 2−(4−エチルフェニル)−3−イソチアゾロン
7. 2−(4−ニトロフェニル)−5−クロロ−3−イソチアゾロン
8. 2−クロロメチル−3−イソチアゾロン
9. 2−メトキシフェニル−4−メチル−5−クロロ−3−イソチアゾロン
10. 2−モルフォリノメチル−5−クロロ−3−イソチアゾロン
これらの化合物は、例えば特開平2−278号公報等を参考に合成することが可能であるが、商品名:トリバクトラン(ヘキスト社製)等の市販品を利用することも可能である。
防黴、抗菌及び殺菌の少なくともいずれかの機能を有する薬剤の棒状液晶単量体及び二色性色素含有液晶組成物中の含有量は特に限定されないが、通常0.01質量%以上、好ましくは0.001質量%以上であり、一方、通常0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下である。防黴、抗菌及び殺菌の少なくともいずれかの機能を有する薬剤の含有量が少なすぎると、棒状液晶単量体及び二色性色素含有液晶組成物が充分な防黴、抗菌または殺菌効果を有さず、含有量が多すぎると棒状液晶単量体及び二色性色素含有液晶組成物中で薬剤が析出したり、異方性色素膜を成膜した際に相分離が生じる恐れがあるため、点欠陥や光散乱などの光学的欠陥を生じさせる恐れがある。
本発明の光吸収異方性膜は、上記の本発明の液晶組成物を用いて形成されたものである。
本発明の光吸収異方性膜は、本発明の棒状液晶単量体及び二色性色素を含有する液晶組成物の塗布液を用いて形成するのが好ましい。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましい。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
棒状液晶単量体及び二色性色素含有液晶組成物塗布液の配向膜表面への塗布は、通常の方法(例えば、ワイヤバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、インクジェット法)により実施できる。また、棒状液晶単量体及び二色性色素含有液晶組成物塗布液における棒状液晶単量体及び二色性色素含有液晶組成物の含有量は1〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%がさらに好ましい。
具体的に、湿式成膜法としては、原崎勇次著「コーティング工学」株式会社朝倉書店、1971年3月20日発行、253頁から277頁や市村國宏監修「分子協調材料の創製と応用」株式会社シーエムシー出版、1998年3月3日発行、118頁から149頁などに記載の公知の方法や、例えば、あらかじめ配向処理を施した基材上に、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ロールコート法、ブレードコート法、フリースパンコート法、ダイコート法、インクジェット法などで塗布することが挙げられる。
前記の、本発明の棒状液晶単量体及び二色性色素含有液晶組成物の好ましい塗布方法については、例えば、特開2007−127897号公報等に記載の方法を用いることができる。
塗布後、光吸収異方性膜の減圧処理を始めるまでの時間は、短ければ短いほどよく、好ましくは1秒以上30秒以内である。
減圧処理の方法としては、例えば以下の様な方法が挙げられる。塗布液を基材上に塗布し得られた光吸収異方性膜を、減圧処理装置に入れて減圧処理する。例えば特開2006−201759の図9や図10のような減圧処理装置を使用することができる。減圧処理装置の詳細については、特開2004−169975号公報に記載されている。
また、減圧処理時間は、好ましくは5秒以上180秒以内である。上限を上回ると配向緩和前に急速に色素膜を乾燥できず配向が乱れる恐れがあり、下限を下回ると乾燥できず配向が乱れる恐れがある。
また、湿式製膜法で棒状液晶単量体及び二色性色素を含む膜を塗布するときには、基材を加温してもよいし冷却してもよい。このときの基材の温度は、好ましくは10℃以上60℃以下である。上限を上回ると減圧乾燥を行う前に配向が乱れて乾燥する恐れがあり、下限を下回ると基材表面に水滴が付き塗布の障害になる恐れがある。湿式製膜法により塗布した棒状液晶単量体及び二色性色素を含む膜を減圧乾燥するときに基材の加温を行ってもよい。このときの基材の温度は、好ましくは60℃以下である。上限を上回ると減圧乾燥を行う前に配向が乱れて乾燥する恐れがある。
光吸収異方性膜の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.1〜5μmであることがさらに好ましく、1〜5μmであることが最も好ましい。
棒状液晶単量体及び二色性色素を水平配向させ、且つその配向状態に固定することによって形成された光吸収異方性膜は、偏光素子として利用することができる。
また、配向膜側の棒状液晶単量体及び二色性色素のチルト角は、前記した方法(配向膜チルト角制御剤等)により制御することができる。
本発明では、チルト角とは、棒状液晶単量体及び二色性色素の分子の長軸方向と界面(配向膜界面あるいは空気界面)のなす角度を指す。配向膜側のチルト角を有る程度小さくし水平配向させることにより偏光素子として好ましい光学性能がより効果的に得られる。したがって、偏光性能の観点から、好ましい配向膜側のチルト角は0°〜10°、さらに好ましくは0°〜5°、特に好ましいのは0°〜2°、最も好ましくは0°〜1°である。また、好ましい空気界面側のチルト角は0°〜10°、さらに好ましくは0〜5°、特に好ましいのは0〜2°である。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。配向膜上に設けられる光吸収異方性膜の棒状液晶単量体及び二色性色素に所望の配向を付与できるのであれば、配向膜としてはどのような層でもよいが、本発明においては、配向膜のプレチルト角の制御し易さの点から、特にポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理は、一般にはポリマー層の表面を、紙や布で一定方向に数回擦ることにより実施することができるが、特に本発明では液晶便覧編集委員会編、「液晶便覧」(丸善(株)、2000年発行)に記載されている方法により行うことが好ましい。
配向膜の厚さは、0.01〜10μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることがさらに好ましい。
配向膜に用いられるポリマーは、多数の文献に記載があり、多数の市販品を入手することができる。光学補償フィルム用の配向膜ではポリビニルアルコール及びその誘導体が好ましく用いられる。特に好ましくは、疎水性基が結合している変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。配向膜についてはWO01/88574A1号公報の43頁24行〜49頁8行の記載を参照することができる。
配向膜のラビング密度を変える方法としては、「液晶便覧」(丸善(株)、2000年発行)に記載されている方法を用いることができる。ラビング密度(L)は、下記式(A)で定量化されている。
ラビング密度を高くするためには、ラビング回数を増やす、ラビングローラーの接触長を長く、ローラーの半径を大きく、ローラーの回転数を大きく、ステージ移動速度を遅くすればよく、一方、ラビング密度を低くするためには、この逆にすればよい。
ラビング密度と配向膜のプレチルト角との間には、ラビング密度を高くするとプレチルト角は小さくなり、ラビング密度を低くするとプレチルト角は大きくなる関係がある。
本発明に使用する支持体は透明であっても、着色等により不透明化した支持体であってもよいが、透明な支持体(透明支持体)であるのが好ましく、光透過率が80%以上であるのが好ましい。光学的等方性のポリマーフィルムを用いるのが好ましい。ポリマーの具体例および好ましい態様は、特開2002−22942号公報の段落番号[0013]の記載を適用できる。また、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであっても国際公開WO00/26705号公報に記載の分子を修飾することで該発現性を低下させたものを用いることもできる。
本発明の光吸収異方性膜は、光吸収の異方性を利用し直線偏光、円偏光、楕円偏光等を得る偏光膜として機能する他、膜形成プロセスと基材や色素を含有する組成物の選択により、屈折異方性や伝導異方性などの各種異方性膜として機能化が可能となり、様々な種類の、多様な用途に使用可能な偏光素子とすることができる。
本発明の偏光素子は、例えば、(1)支持体、または該支持体上に形成された配向膜をラビングする工程、(2)ラビング処理した支持体または配向膜上に、有機溶媒に溶解した本発明の棒状液晶単量体及び二色性色素含有液晶組成物を塗布する工程、(3)前記有機溶媒を蒸発させる工程、(4)ネマチック相温度以上に加熱した後スメクチック相温度まで降温する工程、により製造することができる。前記(1)〜(4)の工程の詳細については、前述の通りである。
これら光学機能を有する層は、例えば以下の様な方法により形成することが出来る。
拡散フィルムとしての機能を有する層は、上記の保護層に微粒子を含む樹脂溶液をコーティングすることにより、形成することができる。
また、位相差フィルムや光学補償フィルムとしての機能を有する層は、ディスコティック液晶性化合物などの液晶性化合物をコーティングして配向させることにより形成することができる。
本発明の棒状液晶単量体及び二色性色素含有液晶組成物の電気伝導度を低減させる手法としては、例えば、特開2006−309185に記載されており、本発明に適用することができる。
本発明の液晶表示装置は上記の本発明の光吸収異方性膜または偏光素子を備えてなるものである。
本発明の液晶表示装置の製造方法の一例として、前記光吸収異方性膜または偏光素子からなる光学異方性層を、転写材料から転写して形成することを含む方法が挙げられる。転写材料を用いて光学異方性層を形成することにより、工程数を軽減して、簡易な方法で良好な表示特性の液晶表示装置を作製することができる。
本発明に使用可能な転写材料は、例えば、特開2007−279705公報の図3(a)に示されるように、支持体と、光学異方性層とを少なくとも有する。前記公報の図3(b)に示されるように、さらに、少なくとも一層の感光性樹脂層を有しているのが好ましい。感光性樹脂層は、パターニング等の工程を経ない場合であっても、光学異方性層の転写を容易にし、有用である。また、例えば、前記公報の図3(c)に示す様に、支持体と光学異方性層との間には、転写時に相手基板側の凹凸を吸収するためのクッション性のような力学特性コントロールあるいは凹凸追従性付与のための層を有していてもよいし、また、前記公報の図3(d)に示す様に、光学異方性層中の二色性色素の配向を制御するための配向層として機能する層が配置されてもよいし、さらに前記公報の図3(e)に示す様に双方の層を有していてもよい。また、前記公報の図3(f)に示す様に、感光性樹脂層の表面保護などの目的から、最表面に剥離可能な保護層を設けてもよい。
上記の転写材料に用いられる支持体は、透明でも不透明でもよく特に限定はない。支持体を構成するポリマーの例には、セルロースエステル(例、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート)、ポリオレフィン(例、ノルボルネン系ポリマー)、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例、ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエステル及びポリスルホン、ノルボルネン系ポリマーが含まれる。製造工程において光学特性を検査する目的には、透明支持体は透明で低複屈折の材料が好ましく、低複屈折性の観点からはセルロースエステル及びノルボルネン系が好ましい。市販のノルボルネン系ポリマーとしては、アートン(JSR(株)製)、ゼオネックス、ゼオノア(以上、日本ゼオン(株)製)などを用いることができる。また安価なポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート等も好ましく用いられる。
転写材料が有する光学異方性層は、偏光性能に充分な光学特性を満足している必要はなく、例えば、転写される過程において実施される露光工程を通じて、偏光性能が発現又は変化して、最終的に偏光フィルムに必要な偏光性能を示すものであってもよい。
前記転写材料は、感光性樹脂層を有しているのが好ましい。前記感光性樹脂層は、感光性樹脂組成物よりなり、前記感光性樹脂層は、少なくとも(1)アルカリ可溶性樹脂と、(2)モノマー又はオリゴマーと、(3)光重合開始剤又は光重合開始剤系と、を含む樹脂組成物から形成するのが好ましい。
前記アルカリ可溶性樹脂(以下、単に「バインダ」ということがある。)としては、側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーが好ましい。その例としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報及び特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げることができ、またこの他にも、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく使用することができる。また、特に好ましい例として、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体や、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。これらの極性基を有するバインダポリマーは、単独で用いてもよく、或いは通常の膜形成性のポリマーと併用する組成物の状態で使用してもよく、着色樹脂組成物の全固形分に対する含有量は20〜50質量%が一般的であり、25〜45質量%が好ましい。
前記感光性樹脂層に使用されるモノマー又はオリゴマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有し、光の照射によって付加重合するモノマー又はオリゴマーであることが好ましい。そのようなモノマー及びオリゴマーとしては、分子中に少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上の化合物を挙げることができる。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンやグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加した後(メタ)アクリレート化したもの等の多官能アクリレートや多官能メタクリレートを挙げることができる。
これらの中で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合性化合物B」も好適なものとして挙げることができる。
これらのモノマー又はオリゴマーは、単独でも、2種類以上を混合して用いてもよく、着色樹脂組成物の全固形分に対する含有量は5〜50質量%が一般的であり、10〜40質量%が好ましい。
前記感光性樹脂層に使用される光重合開始剤又は光重合開始剤系としては、米国特許第2367660号明細書に開示されているビシナルポリケタルドニル化合物、米国特許第2448828号明細書に記載されているアシロインエーテル化合物、米国特許第2722512号明細書に記載のα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3046127号明細書及び同第2951758号明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3549367号明細書に記載のトリアリールイミダゾール2量体とp−アミノケトンの組み合わせ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール化合物とトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4239850号明細書に記載されているトリハロメチル−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されているトリハロメチルオキサジアゾール化合物等を挙げることができる。特に、トリハロメチル−s−トリアジン、トリハロメチルオキサジアゾール及びトリアリールイミダゾール2量体が好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合開始剤C」も好適なものとしてあげることができる。
これらの光重合開始剤又は光重合開始剤系は、単独でも、2種類以上を混合して用いてもよいが、特に2種類以上を用いることが好ましい。少なくとも2種の光重合開始剤を用いると、表示特性、特に表示のムラが少なくできる。
着色樹脂組成物の全固形分に対する光重合開始剤又は光重合開始剤系の含有量は、0.5〜20質量%が一般的であり、1〜15質量%が好ましい。
転写材料の、支持体と光学異方性層の間には、力学特性や凹凸追従性をコントロールするために熱可塑性樹脂層を形成することが好ましい。熱可塑性樹脂層に用いる成分としては、特開平5−72724号公報に記載されている有機高分子物質が好ましく、ヴイカーVicat法(具体的にはアメリカ材料試験法エーエステーエムデーASTMD1235によるポリマー軟化点測定法)による軟化点が約80℃以下の有機高分子物質より選ばれることが特に好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンと酢酸ビニル或いはそのケン化物の様なエチレン共重合体、エチレンとアクリル酸エステル或いはそのケン化物、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニル及びそのケン化物の様な塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物の様なスチレン共重合体、ポリビニルトルエン、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物の様なビニルトルエン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル共重合体ナイロン、共重合ナイロン、N−アルコキシメチル化ナイロン、N−ジメチルアミノ化ナイロンの様なポリアミド樹脂等の有機高分子が挙げられる。
本発明でいう転写材料を基板上に転写する方法については特に制限されず、基板上に上記光学異方性層及び感光性樹脂層を同時に転写できれば特に方法は限定されない。例えば、フィルム状に形成した本発明でいう転写材料を、感光性樹脂層面を基板表面側にして、ラミネータを用いて加熱及び/又は加圧したローラー又は平板で圧着又は加熱圧着して、貼り付けることができる。具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネータ及びラミネート方法が挙げられるが、低異物の観点で、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。その後、支持体は剥離してもよく、剥離によって露出した光学異方性層表面に、他の層、例えば電極層等を形成してもよい。
光学異方性層の上に粘着層を設けるのではなく、被転写材料の上に粘着層を設けておいてもよい。
なお、以下の実施例中、光吸収異方性膜の光学特性に関する測定は下記の通り実施した。
二色比は、ヨウ素系偏光素子を入射光学系に配した分光光度計で光吸収異方性膜の吸光度を測定した後、次式により計算した。
二色比(D)=Az/Ay
Az:光吸収異方性膜の吸収軸方向の偏光に対する吸光度
Ay:光吸収異方性膜の偏光軸方向の偏光に対する吸光度
用いた棒状液晶単量体の分子長(Ll)と二色性色素の分子長(Ld)を表1に示す。
クロロホルム80質量部に棒状液晶単量体No.(11)を19.6質量部及び二色性アゾ色素No.(18)を0.4質量部加え、撹拌溶解後濾過して液晶組成物の塗布液を得た。次に、ガラス基板上に形成しラビングした配向膜上に、前記塗布液を塗布し、室温でクロロホルムを自然乾燥した後、155℃で1分間加熱熟成し、ネマチック相で配向させた。この後、80℃まで降温してスメクチックB相で光吸収異方性膜を作製した。配向膜としては、ポリイミド(日産化学社製SE−150)を使用した。
アゾ色素をNo.(19)に変更した以外、実施例1と同様に光吸収異方性膜を作製した。
得られた光吸収異方性膜の二色比(D)、分子長比(Ld/Ll)、極大吸収波長(λmax)、および相転移温度を表2に示す。組成物は、ネマチック液晶性及びスメクチック液晶性、特に、スメクチックB液晶性を有しており、且つ偏光膜として充分機能し得る高い二色比(光吸収異方性)を有していた。
クロロホルム80質量部に棒状液晶単量体No.(11)を18.8質量部及び二色性アゾ色素No.(19)を0.4質量部及び重合開始剤としてIragacure OXE−01(Ciba Speciality Chemicals 社製)を0.8質量部加え、撹拌溶解後濾過して液晶組成物の塗布液を得た。このものを実施例2と同様の条件で塗布し、155℃で1分間加熱熟成してネマチック相で配向させた後、80℃まで降温してスメクチックB相で2Jの紫外線を照射して配向状態を固定化した。得られた光吸収異方性膜の二色比(D)、分子長比(Ld/Ll)、極大吸収波長(λmax)、および相転移温度を表2に示す。組成物は、ネマチック液晶性及びスメクチック液晶性、特に、スメクチックB液晶性を有しており、得られた異方性色素膜は偏光膜として充分機能し得る高い二色比を有する異方性色素膜であった。
アゾ色素をWO2007/000705記載の下記アゾ色素(A)に変更した以外、実施例1と同様に光吸収異方性膜を作製した。
得られた光吸収異方性膜の二色比(D)、分子長比(Ld/Ll)、極大吸収波長(λmax)、および相転移温度を表2に示す。組成物は、ネマチック液晶性及びスメクチック液晶性、特に、スメクチックB液晶性を有していたが、スメクチックB相への降温により全面に配向欠陥が発生し、二色比が著しく低下した。
SB:スメクチックB相
SC:スメクチックC相
SA:スメクチックA相
N:ネマチック相
I:アイソトロピック相
Claims (9)
- 配向かつ重合可能な棒状液晶単量体を主成分とし、下記式(1)を満足する二色性色素の少なくとも一種を含有することを特徴とする液晶組成物。
式(1)
Ld/Ll>1
[式中Llは液晶単量体の分子長軸の分子長を表し、Ldは二色性色素の分子長を表す。] - 前記棒状液晶単量体が下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項1記載の液晶組成物。
- ネマチック相およびスメクチック相のいずれも形成可能なことを特徴とする請求項1または2記載の液晶組成物。
- 前記スメクチック相がスメクチックB相であることを特徴とする請求項3記載の液晶組成物。
- 前記二色性色素がアゾ色素であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶組成物を用いて形成された光吸収異方性膜。
- 請求項7記載の光吸収異方性膜を用いて形成された偏光素子。
- 請求項7記載の光吸収異方性膜、または請求項8に記載の偏光素子を備えてなることを特徴とする液晶表示装置。
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