JP2010230924A - 光吸収異方性膜の製造方法及び光吸収異方性膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】配向工程を含まない簡略化された製造工程で、高い二色性を有する光吸収異方性膜を提供する。
【解決手段】(1)支持体上に有機溶媒に溶解した、下記一般式(I)で表される二色性アゾ色素の少なくとも一種を含有する、液晶性を有する二色性色素組成物を塗布する工程と、(2)前記有機溶媒を蒸発させる工程と、(3)直線偏光照射することにより前記二色性色素を配向させる工程を含む光吸収異方性膜の製造方法。
Figure 2010230924

(式中、R〜R、X、およびXは、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Aは、フェニル基、ナフチル基、または芳香族複素環基を表し、Bは、2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基を表し、nは1〜5の整数を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、光吸収異方性膜の製造方法及び光吸収異方性膜に関する。
レーザー光や自然光を含む照射光の減衰機能、偏光機能、散乱機能、遮光機能等が必要となった際には、従来は、それぞれの機能毎に異なった原理によって作動する装置を充当していた。それ故に、それら機能に対応する製品も、それぞれの機能別に異なった製造工程によって製造されていた。
例えば、LCD(液晶素子)では表示における旋光性や複屈折性を制御するために直線偏光板や円偏光板が用いられている。OLED(有機エレクトロルミネッセンス素子)においても外光の反射防止のために円偏光板が使用されている。従来、これらの偏光板(偏光素子)にはヨウ素が二色性物質として広く使用されてきた。しかしながら、ヨウ素は昇華性が大きいために偏光素子に使用した場合、その耐熱性や耐光性が十分ではなかった。また、その消光色が深い青になり、全可視スペクトル領域にわたって理想的な無彩色偏光素子とは言えなかった。
そのため、有機系の色素を二色性物質に使用する偏光素子が検討されている。しかし、これら有機系の色素においてはヨウ素に比べると二色性がかなり劣る程度の偏光素子しか得られないなどの問題点があった。特に、光の旋光性や複屈折性を表示原理に用いているLCDにおいて偏光素子は重要な構成要素であり、近年、表示性能などの向上を目的に新たな偏光素子の開発が進められている。
その一つの方法として、ヨウ素を含む偏光素子と同様に、二色性を有する有機色素(二色性色素)をポリビニルアルコールのような高分子材料に溶解または吸着させ、その膜を一方向にフィルム状に延伸して二色性色素を配向させる方法が挙げられている。しかしながら、該方法では延伸処理等のプロセスに手間がかかる等の問題点があった。
そこで、最近では他の方法が着目されるようになってきた。この方法として、非特許文献1では、ガラスや透明フィルムなどの基板上に有機色素分子の分子間相互作用などを利用して二色性色素を配向させ、偏光膜(異方性色素膜)を形成している。しかしながら、該文献に記載の方法では、耐熱性の問題があることが知られていた。
また、上記ガラスや透明フィルムなどの基板上に有機色素分子の分子間相互作用などを利用して二色性色素を配向させることは湿式成膜法により達成される。このような湿式成膜法で異方性色素膜が作製される場合、この色素膜に使用される色素には、色素分子の高い二色性の他に、湿式成膜法のプロセスに適した色素であることが要求される。湿式成膜法におけるプロセスとしては、色素を基板上に堆積、配向させる方法やその配向を制御する方法などが挙げられる。従って、従来の上記延伸処理を経る偏光素子に使用され得る色素であっても、湿式成膜法には適していないことが多くある。特許文献1〜6では、上記プロセスに適した材料が提案されているが、これらの材料では該プロセスに適してはいても、高い二色性を示すことができず、また、製造上、プロセス自体が煩雑であるという問題点があった。例えば特許文献5及び6に記載されている技術では、ラビング配向工程が必要である。
特開2002−180052号公報 特表2002−528758号公報 特開2002−338838号公報 特表平8−511109号公報 特開平8−278409号公報 特開平11−305036号公報
Dreyer,J.F.,Journal de Physique,1969,4,114.,"Light Polarization From Films of Lyotropic Nematic Liquid Crystals"
本発明は、配向工程を含まない簡略化された製造工程で、高い二色性を有する光吸収異方性膜を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、上記課題の解決は下記の手段により達成された。
<1>(1)支持体上に有機溶媒に溶解した、下記一般式(I)で表される二色性アゾ色素の少なくとも一種を含有する、液晶性を有する二色性色素組成物を塗布する工程と、(2)前記有機溶媒を蒸発させる工程と、(3)直線偏光照射することにより前記二色性色素を配向させる工程を含む光吸収異方性膜の製造方法。
Figure 2010230924
(式中、R〜R、X、およびXは、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Aは、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、Bは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基を表し、nは1〜5の整数を表す。)
<2>下記一般式(I)で表される二色性アゾ色素の少なくとも一種を含有する二色性色素組成物から形成された光吸収異方性膜であって、該膜が直線偏光照射によって二色性を発現又は変化させて得られることを特徴とする光吸収異方性膜。
Figure 2010230924
(式中、R〜R、X、およびXは、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Aは、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、Bは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基を表し、nは1〜5の整数を表す。)
なお、本発明における「液晶性」は、ガラス基板上に試料を置き、ガラス基板を加熱しながら偏光顕微鏡で相状態を観察することによって確認できる。
本発明では、液晶性を有する二色性アゾ色素に偏光照射することにより二色性を発現又は変化させて制御又は調整する。したがって、従来の製造方法のような液晶の配向工程を行う必要がなく、工程が簡略化され、コスト削減の効果がある。また、本発明によれば、二色性の高い光吸収異方性膜を提供することができる。
本発明の光吸収性異方性膜の製造方法は、
(1)支持体上に有機溶媒に溶解した、上記一般式(I)で表される二色性アゾ色素の少なくとも一種を含有する二色性色素組成物を塗布する工程と、
(2)前記有機溶媒を蒸発させる工程と、
(3)直線偏光照射することにより前記二色性色素を配向させる工程
を含む。これらについて、順次説明する。
(二色性色素組成物)
[アゾ色素]
本発明における光吸収異方性膜は、二色性色素を主成分とする組成物から形成された光吸収異方性膜であって、下記一般式(I)で表されるアゾ色素の少なくとも一種を含有することを特徴とする。
Figure 2010230924
(式中、R〜R、X、およびXは、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Aは、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、Bは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基を表し、nは1〜5の整数を表す。)
以下、一般式(I)で表されるアゾ色素について詳細に説明する。
上記一般式(I)において、R〜R4、X1、およびXで表される置換基としては以下の基を挙げることができる。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリール基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、3,5−ジトリフルオロメチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは2〜6であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは2〜6であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数2〜6であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数2〜6であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。
これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基が二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
1〜R4で表される基としては、好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子であり、特に好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、最も好ましくは水素原子である。XおよびXで表される基としては、特に好ましくは水素原子、アルキル基であり、最も好ましくはアルキル基である。
は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
該フェニル基または該ナフチル基が有していてもよい置換基としては、アゾ化合物の溶解性を高めるために導入される基、色素としての色調を調節するために導入される電子供与性や電子吸引性を有する基、または配向を固定化するために導入される重合性基を有する基が好ましく、具体的には、前記R〜R4、X1、およびXで表される置換基と同義である。好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルホニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルファモイル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいスルホニル基、置換基を有していてもよいウレイド基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12である。該アルキル基に置換していてもよい基としては、アルコキシ基、アシルオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子などが挙げられる。
該アルキル基に置換していてもよい基としては、重合性基であることも好ましい。重合性基としては特に限定されないが、重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。換言すれば、重合性基は付加重合反応または縮合重合反応が可能な重合性基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。式中のEtはエチル基、Prはプロピル基を表す。
Figure 2010230924
重合性基としては、ラジカル重合またはカチオン重合する重合性基が好ましい。ラジカル重合性基としては、一般に知られているラジカル重合性基を用いることができ、好適なものとして、(メタ)アクリレート基を挙げることができる。カチオン重合性基としては、一般に知られているカチオン重合性を用いることができ、具体的には、脂環式エーテル基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル基、ビニルオキシ基などを挙げることができる。なかでも脂環式エーテル基、ビニルオキシ基が好適であり、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルオキシ基が特に好ましい。
アルケニル基は、好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12である。該アルケニル基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
アルキニル基は、好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12である。該アルキニル基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
アリール基は、好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12である。該アリール基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
アルコキシ基は、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12である。該アルコキシ基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
アルコキシカルボニル基は、好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12である。該アルコキシカルボニル基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
アシルオキシ基は、好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12である。該アシルオキシ基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
アシルアミノ基は、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは1〜12である。該アシルアミノ基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
アルコキシカルボニルアミノ基は、好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12である。該アルコキシカルボニルアミノ基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
アミノ基は、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは1〜12である。該アミノ基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
スルホニルアミノ基は、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12である。該スルホニルアミノ基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
スルファモイル基は、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12である。該スルファモイル基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
カルバモイル基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
アルキルチオ基は、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12である。該アルキルチオ基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
スルホニル基は、好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12である。該スルホニル基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
ウレイド基は、好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12である。該ウレイド基に置換していてもよい基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
該フェニル基または該ナフチル基は、これら置換基を1〜5個有していてもよく、好ましくは0〜1個有していることである。
芳香族複素環基としては、単環または二環性の複素環由来の基が好ましい。芳香族複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。芳香族複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。芳香族複素環基として具体的には、ピリジル基、キノリル基、チオフェニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、チアジアゾリル基、キノロニル基、ナフタルイミドイル基、チエノチアゾリル基、下式の複素環由来の基などが挙げられる。
Figure 2010230924
式中R12〜R16は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基を表す。該置換基としては、前記アルキル基に置換していてもよい基としてあげた基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
芳香族複素環基としては、ピリジル基、キノリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、チアジアゾリル基、またはチエノチアゾリル基が好ましく、ピリジル基、ベンゾチアゾリル基、チアジアゾリル基、またはチエノチアゾリル基が特に好ましい。
A1は、特に好ましくは、置換基を有していてもよいフェニル基、ピリジル基、ベンゾチアゾリル基、チアジアゾリル基、またはチエノチアゾリル基である。
は、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、または2価の芳香族複素環基を表す。
該芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ナフチレン基が好ましい。該芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、およびシアノ基等が挙げられる。尚、該置換基を有していてもよいアルキル基、該置換基を有していてもよいアルコキシ基、該置換基を有していてもよいアミノ基、および該置換基を有していてもよいアシルアミノ基の好ましい炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記Aがフェニル基またはナフチル基の場合に記載したものと同義であり、その好ましい範囲も同一である。該芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子が好ましく、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子が特に好ましい。
該芳香族複素環基としては、単環または二環性の複素環由来の基が好ましい。芳香族複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられるが、窒素原子が特に好ましい。芳香族複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。芳香族複素環基として具体的には、ピリジンジイル基、キノリンジイル基、イソキノリンジイル基、ベンゾチアジアゾールジイル基、フタルイミドジイル基等が挙げられる。中でも、キノリンジイル基、イソキノリンジイル基が好ましい。
該芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、無置換あるいはメチルアミノ基等のアミノ基、アセチルアミノ基、アシルアミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
1は、特に好ましくは、置換基を有していてもよい2価のフェニレン基、置換基を有していてもよい2価のナフチレン基である。
nは、1〜5の整数を表し、好ましくは1〜2の整数を表す。nが2以上のとき、複数のBは同じでも異なっていてもよい。
前記一般式(I)で表されるアゾ色素のうち、特に好ましいものは、下記一般式(II)で表されるアゾ色素である。
以下、一般式(II)で表されるアゾ色素について説明する。
Figure 2010230924
式中、RおよびRは、それぞれ独立にアルキル基を表し、Bは、置換基を有していてもよいフェニル基、またはナフチル基を表し、Yは置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、またはアシルオキシ基を表し、mは0または1を表す。
およびRで表されるアルキル基は、前記一般式(I)におけるX1およびX2として説明したアルキル基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。RおよびRで表されるアルキル基は、特に好ましくはメチル基、エチル基である。
1で表される置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、またはアシルオキシ基は、前記一般式(I)におけるA1で表される基の置換基であるアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、またはアシルオキシ基に同義であり、その好ましい範囲も同一である。
以下に一般式(I)で表わされる化合物の具体例を挙げるが、本発明は以下の具体例に限定されるものではない。
Figure 2010230924
Figure 2010230924
Figure 2010230924
Figure 2010230924
Figure 2010230924
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本発明に用いる前記一般式(I)で表されるアゾ色素を含有する二色性色素組成物は、会合形成により可視の広い波長領域において高い吸光度を表すということだけでなく、この色素を含有した組成物がネマチック液晶性を有し、かつ、光照射、例えば、直線偏光照射により光異性化反応を起こすため、ラビング等の配向制御プロセスを経ることなく、高次の分子配向状態を実現できる。したがって、本発明に係る前記一般式(I)で表されるアゾ色素を含有する二色性色素組成物を光吸収異方性膜として使用すれば、ラビング等の煩雑な配向プロセス不要で偏光特性の高い偏光素子を作製することができる。
本発明において、前記一般式(I)で表されるアゾ色素は単独で用いても良いし、或いは二種以上を併用しても良い。或いはまた本発明に係わるアゾ色素とこれら以外の色素化合物と併用しても良い。これらの例としては、本発明で使用される以外のアゾ系色素、シアニン系色素、アゾ金属錯体、フタロシアニン系色素、ピリリウム系色素、チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、ナフトキノン系色素、トリフェニルメタン系色素、及びトリアリルメタン系色素等を挙げることが出来る。
本発明の光吸収異方性膜は、二色性色素を主成分として形成されている。本発明方法で光吸収異方性膜を製造するための二色性色素組成物における、二色性色素の含有量は70質量%以上であり、80質量%以上が特に好ましく、90質量%以上が最も好ましい。
また、前記一般式(I)で表されるアゾ色素の含有量は、前記二色性色素の50質量%以上が好ましく、70質量%以上が特に好ましい。
さらに、二色性色素組成物における前記一般式(I)で表されるアゾ色素の含有量は特に制限されないが、70質量%以上が好ましく、80質量%以上が特に好ましい。
[光吸収異方性膜の添加剤]
本発明における二色性色素組成物には、前記の二色性色素の他に、任意の添加剤を併用することができる。添加剤の例としては、風ムラ防止剤、ハジキ防止剤、配向膜のチルト角(光吸収異方性膜/配向膜界面での二色性色素の傾斜角)を制御するための添加剤、空気界面のチルト角(光吸収異方性膜/空気界面での二色性色素の傾斜角)を制御するための添加剤、重合開始剤、配向温度を低下させる添加剤(可塑剤)、重合性モノマー、糖類、防黴、抗菌及び殺菌の少なくともいずれかの機能を有する薬剤等である。以下、各添加剤について説明する。
[風ムラ防止剤]
二色性色素とともに使用して、塗布時の風ムラを防止するための材料としては、一般にフッ素系ポリマーを好適に用いることができる。使用するフッ素系ポリマーとしては、二色性色素のチルト角変化や配向を著しく阻害しない限り、特に制限はない。風ムラ防止剤として使用可能なフッ素ポリマーの例としては、特開2004−198511号公報、特開2004−333852号公報、特開2005−179636号公報、特開2005−206638号公報に記載がある。二色性色素とフッ素系ポリマーとを併用することによって、ムラを生じることなく表示品位の高い画像を表示することができる。さらに、ハジキなどの塗布性も改善される。二色性色素の配向を阻害しないように、風ムラ防止目的で使用されるフッ素系ポリマーの添加量は、二色性色素に対して一般に0.1〜2質量%の範囲であるのが好ましく、0.1〜1質量%の範囲にあるのがより好ましく、0.4〜1質量%の範囲にあるのがさらに好ましい。
[ハジキ防止剤]
二色性色素の塗布時のハジキを防止するための材料としては、一般に高分子化合物を好適に用いることができる。使用するポリマーとしては、二色性色素と相溶性を有し、二色性色素のチルト角変化や配向を著しく阻害しない限り、特に制限はない。ハジキ防止剤として使用可能なポリマーの例としては、特開平8−95030号公報に記載があり、特に好ましい具体的ポリマー例としてはセルロースエステル類を挙げることができる。セルロースエステルの例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロースおよびセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。二色性色素の配向を阻害しないように、ハジキ防止目的で使用されるポリマーの添加量は、液晶性化合物に対して一般に0.1〜10質量%の範囲であるのが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあるのがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあるのがさらに好ましい。
[配向膜チルト角制御剤]
配向膜のチルト角を制御する添加剤として、分子内に極性基と非極性基の両方を有する化合物を添加することができる。分子内に極性基と非極性基の両方を有する化合物としては、PO−OH、PO−COOH、PO−O−PO、PO−NH、PO−NH−PO、PO−SH、PO−S−PO、PO−CO−PO、PO−COO−PO、PO−CONH−PO、PO−CONHCO−PO、PO−SOH、PO−SO−PO、PO−SONH−PO、PO−SONHSO−PO、PO−C=N−PO、HO−P(−OPO、(HO−)PO−OPO、P(−OPO、HO−PO(−OPO、(HO−)PO−OPO、PO(−OPO、PO−NOおよびPO−CNならびにこれらの有機塩が好ましい例として挙げられる。ここで、有機塩としては、上記化合物の有機塩(例えば、アンモニウム塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等)の他、ピリジニウム塩等も好ましく採用することができる。前記分子内に極性基と非極性基の両方を有する化合物の中でも、PO−OH、PO−COOH、PO−O−PO、PO−NH、PO−SOH、HO−PO(−OPO、(HO−)PO−OPO、PO(−OPOもしくはこれらの有機塩が好ましい。ここで、上記各POは非極性基を表し、POが複数ある場合は、それぞれのPOは同一でも異なっていてもよい。
Oとしては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30の直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数1〜30の直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基)、アルキニル基(好ましくは炭素数1〜30の直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基)、アリール基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基)が例として挙げられる。これらの非極性基はさらに置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールアゾ基、ヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が好ましい例として挙げられる。
[重合開始剤]
二色性色素の配向状態を固定して光吸収異方性膜を形成するのが好ましく、重合反応を利用して二色性色素を固定するのが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれるが、熱により支持体等が変形、変質するのを防ぐためにも、光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例、光重合開始剤の使用量、および重合のための光照射エネルギーの値の各々は特開2001−91741号公報の段落[0050]〜[0051]の記載が本発明に適用できる。
[重合性モノマー]
二色性色素とともに重合性モノマーを使用してもよい。本発明に使用可能な重合性モノマーとしては、二色性色素と相溶性を有し、二色性色素のチルト角変化や配向阻害を著しく引き起こさない限り、特に限定はない。これらの中では重合活性なエチレン性不飽和基、例えばビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基およびメタクリロイル基などを有する化合物が好ましく用いられる。上記重合性モノマーの添加量は、二色性色素に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。また反応性官能基数が2以上のモノマーを用いると、配向膜と光学異方性層間の密着性を高める効果が期待できるため、特に好ましい。
[糖類]
本発明の組成物に糖類を添加してもよい。糖類を添加することで色素会合体の会合度を向上させ、その結果として色素の分子配向を高めることができる。
糖類としては、単糖、二糖、多糖、及び糖アルコール類などの糖の誘導体が挙げられる。糖類の中でも、本発明の効果を奏するにあたり、分子会合性の点から、水酸基が通常2以上、好ましくは3以上で、好ましくは18以下、更に好ましくは12以下であるものが良い。水酸基が多過ぎると色素との相互作用が強すぎて析出して色素膜の配向性を損ねてしまうので好ましくなく、少な過ぎると色素との相互作用が不十分であり配向性を向上させることができないので好ましくない。
糖類の分子量としては、1,000以下が好ましく、更に好ましくは700以下である。糖類の分子量が大きすぎると色素と相分離してしまい、色素膜の配向性を損ねてしまうおそれがあり好ましくない。
糖類の炭素数としては、通常36以下、好ましくは24以下である。糖類の炭素数が多過ぎると、糖類の分子量が大きくなることにより、色素と相分離してしまい、色素膜の配向性を損ねてしまうおそれがあり好ましくない。
本発明において用いる糖類は、中でも、単糖、オリゴ糖、単糖アルコールが、前述の最適な水酸基数、分子量範囲を満たすので好ましい。
単糖としては、例えばキシロース、リボース、グルコース、フルクトース、マンノース、ソルボース、ガラクトースなどが挙げられる。
オリゴ糖としては、例えばトレハロース、コウジビオース、ニゲロース、マルトース、マルトトリオース、イソマルトトリオース、マルトテトラオース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、スクロース、メリビオース、ルチノース、プリメベロース、ツラノース、パノース、イソパノース、セロトリオース、マンニノトリオース、ソラトリオース、メレジトース、プランテオース、ゲンチアノース、ウンベリフェロース、ラフィノース、スタキオースなどが挙げられる。
糖アルコールとしては、例えばトレイトール、キシリトール、リビトール、アラビトール、ソルビトール、マンニトールなど前述の単糖及びオリゴ糖を還元した化合物が挙げられる。
糖類としては、特に好ましくはキシロース、マンノース、マルトース、マルトトリオース、アラビトールが挙げられる。
なお、これらの糖類、糖アルコール類は各々光学異性体が存在するが、本発明の組成物中にはそれぞれを単独で用いても良く、両方を含んでいても良い。また、糖類は、本発明の組成物中に、1種が単独で用いられていても良く、2種以上が組み合せて用いられていても良い。
本発明における二色性色素組成物中における、色素に対する糖類の含有量は、質量比で0.1以上、1以下の範囲であることが好ましい。更に好ましくは0.2以上、特に好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.7以下、特に好ましくは0.6以下である。糖類の含有量がこの上限を超えると、会合体の配向度が低下するおそれがあり好ましくなく、下限を下回ると、色素会合体の会合度を上げるには不十分であるおそれがあり好ましくない。
[防黴剤、抗菌剤及び殺菌剤]
本発明の組成物に防黴、抗菌及び殺菌の少なくともいずれかの機能を有する薬剤を添加してもよい。これらの添加剤を添加することにより、組成物の保存安定性を向上させることができる。
本発明で言う防黴、抗菌及び殺菌の少なくともいずれかの機能を有する薬剤とは、カビの発生・生育・増殖を抑制する防黴能、微生物を死滅される殺菌能、微生物の発生・生育・増殖を抑制する抗菌能の少なくともいずれかの機能を有する薬剤であればいずれでもよく、公知の防黴剤、殺菌剤、抗菌剤が使用できる。ただし、本発明で得られる光吸収異方性膜の光学特性を低下させないものであることが好ましい。本発明に用いられる防黴、抗菌及び殺菌の少なくともいずれかの機能を有する薬剤としては、例えば、従来の2,4,4′−トリクロロ−2′−ヒドロキシジフェニルなどのフェノール系、二酸化塩素などの塩素系、ヨウ素などのヨウ素系、塩化ベンザルコニウムなどの第4級アンモニウム塩系等が挙げられる。
また、1,2−benzisothiazoline−3−oneを有効成分とするものとして、Proxel BDN、Proxel BD20、Proxel GXL、Proxel LV、Proxel XL、Proxel XL2、Proxel Ultra10(以上、Avecia社製、商品名)、polyhexametylene biguanide hydrochlorideを有効成分とするものとして、Proxel IB、(Avecia社製、商品名)、Dithio−2,2’−bis(benzmethylamide)を有効成分とするものとしてDensil P(Avecia社製、商品名)等も挙げられる。
また、下記式(11)で表される化合物も有効であり、特に極微量で抗菌効果を示すことから特に好ましい。
Figure 2010230924
(式中、Xは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基を表す。R21およびR22は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。)
Xで示されるアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、該アルキル基は置換基を有するアルキル基であるのが好ましい。該アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、フェニルアミノ基、ハロフェニルアミノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、モルフォリノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、カルバモイルオキシ基、もしくはイソチアゾロニル基が挙げられる。又、該ハロゲン原子及び該ハロフェニル基におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子が、該アルコキシ基及び該アルコキシカルボニル基におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜6の直鎖状あるいは分岐鎖状のアルコキシ基が、アリールオキシ基のアリール基としては、フェニル基あるいはメチル基、エチル基等の低級アルキル基で置換されたフェニル基が、夫々好ましい。
Xで示されるシクロアルキル基としては、炭素数5〜7のシクロアルキル基が挙げられ、中でも、シクロヘキシル基が好ましい。又、シクロアルキル基の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
Xで示される芳香族炭化水素環基としては、フェニル基が好ましく、芳香族炭化水素環基は置換基を有するのが好ましい。芳香族炭化水素環基の置換基としては、ニトロ基、アルキル基またはアルコキシカルボニル基が好ましい。該アルキル基としては、低級アルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基が特に好ましい。又、該アルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基が好ましい。
Xで示される基は、上記の中でも、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基又はモルフォリノ基で置換された炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基;又はハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキル基で置換された芳香族炭化水素環基であることが好ましい。
21およびR22は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表すが、ハロゲン原子としては塩素原子又は臭素原子が好ましく、アルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。中でも、R21は、水素原子またはハロゲン原子であることが更に好ましく、水素原子であることが特に好ましい。又、R22は、ハロゲン原子であることが好ましい。
尚、本発明においては、置換基を有していてもよいとは、置換基を1以上有していてもよいことを意味する。又、アルキル基及び置換基のアルキル基に相当する部分の炭素数が3以上の場合、直鎖状あるいは分岐鎖状のいずれでも良い。
前記式(11)で表される化合物の代表的具体例を以下に示す。
No. 化合物名
1. 2−クロロメチル−5−クロロ−3−イソチアゾロン
2. 2−シアノメチル−5−クロロ−3−イソチアゾロン
3. 2−ヒドロキシメチル−5−クロロ−3−イソチアゾロン
4. 2−(3−メチルシクロヘキシル)−3−イソチアゾロン
5. 2−(4−クロロフェニル)−4,5−ジクロロ−3−イソチアゾロン
6. 2−(4−エチルフェニル)−3−イソチアゾロン
7. 2−(4−ニトロフェニル)−5−クロロ−3−イソチアゾロン
8. 2−クロロメチル−3−イソチアゾロン
9. 2−メトキシフェニル−4−メチル−5−クロロ−3−イソチアゾロン
10. 2−モルフォリノメチル−5−クロロ−3−イソチアゾロン
これらの化合物は、例えば特開平2−278号公報等を参考に合成することが可能であるが、商品名:トリバクトラン(ヘキスト社製)等の市販品を利用することも可能である。
また、本発明において防黴、抗菌及び殺菌の少なくともいずれかの機能を有する薬剤は、これを単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
防黴、抗菌及び殺菌の少なくともいずれかの機能を有する薬剤の二色性色素組成物中の含有量は特に限定されないが、通常0.01質量%以上、好ましくは0.001質量%以上であり、一方、通常0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下である。防黴、抗菌及び殺菌の少なくともいずれかの機能を有する薬剤の含有量が少なすぎると、二色性色素組成物が充分な防黴、抗菌または殺菌効果を有さず、含有量が多すぎると二色性色素組成物中で薬剤が析出したり、異方性色素膜を成膜した際に相分離が生じる恐れがあるため、点欠陥や光散乱などの光学的欠陥を生じさせる恐れがある。
本発明で得られる光吸収異方性膜が高い二色比を有するために、本発明で用いる二色性色素組成物に電子不足である(Electron-Deficient)盤状化合物及び電子リッチである(Electron-Rich)化合物を含有させることが好ましい。本発明において、電子不足である(Electron-Deficient)盤状化合物及び電子リッチである(Electron-Rich)化合物としては、例えば、特開2006−323377に記載のものを用いることができる。
本発明で用いる組成物における電子不足である(Electron-Deficient)盤状化合物の割合は、組成物全体を100質量部とした場合に、通常0.1質量部以上、好ましくは0.2質量部以上、また、通常50質量部以下、好ましくは40質量部以下の範囲である。前記化合物の割合が少なすぎると、電子不足である(Electron-Deficient)盤状化合物の使用による効果が得られないおそれがあり、多すぎると、組成物の溶液としての粘度が高くなってしまい、扱いにくくなるおそれがあるので好ましくない。
本発明で用いる組成物における電子リッチである(Electron-Rich)化合物の割合は、組成物全体を100質量部とした場合に、通常50質量部以下、好ましくは40質量部以下の範囲である。多すぎると、得られる組成物の溶液の粘度が高くなってしまい、扱いにくくなるおそれがあるので好ましくない。
また、電子不足である(Electron-Deficient)盤状化合物と電子リッチである(Electron-Rich)化合物との質量分率は、通常10/90〜90/10の範囲内であることが好ましい。この範囲を外れると、電子不足である(Electron-Deficient)盤状化合物又は電子リッチである(Electron-Rich)化合物の使用による効果が得られないおそれがあるため好ましくない。
[塗布溶剤]
本発明の光吸収異方性膜の製造方法においては、上記二色性色素組成物の塗布液を用いて形成する。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒を用いる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
[支持体]
本発明に使用する支持体は透明であっても、着色等により不透明化した支持体であってもよいが、透明な支持体(透明支持体)であるのが好ましく、光透過率が80%以上であるのが好ましい。光学的等方性のポリマーフィルムを用いるのが好ましい。ポリマーの具体例および好ましい態様は、特開2002−22942号公報の段落番号[0013]の記載を適用できる。また、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであっても国際公開WO00/26705号公報に記載の分子を修飾することで該発現性を低下させたものを用いることもできる。
ポリマーフィルムとしては、酢化度が55.0〜62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。特に酢化度が57.0〜62.0%であることが好ましい。酢化度、およびその範囲、並びにセルロースアセテートの化学構造は、特開2002−196146号公報の段落番号[0021]の記載を適用できる。セルロースアシレートフィルムを、非塩素系溶媒を用いて製造することについて、発明協会公開技報2001−1745号に詳しく記載されており、そこに記載されたセルロースアシレートフィルムも本発明に好ましく用いることができる。
透明支持体として用いるセルロースエステルフィルムの厚み方向のレターデーション値、および複屈折率の範囲は、特開2002−139621号公報の段落番号[0018]〜[0019]の記載を適用できる。
透明支持体として用いるポリマーフィルム、特にセルロースアシレートフィルムのレターデーションを調整するために、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として使用することもできる。芳香族化合物の好ましい範囲、および使用量は、特開2002−139621号公報の段落番号[0021]〜[0023]の記載を適用できる。このようなレターデーション上昇剤については国際公開WO01/88574A1号公報、国際公開WO00/2619A1号公報、特開2000−111914号公報、同2000−275434号公報、同2002−363343号公報等に記載されている。
セルロースアシレートフィルムは、調製されたセルロースアシレート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりを製造することが好ましい。ドープには、前記のレターデーション上昇剤を添加することが好ましい。調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)を用いて、ドープの2層以上流延によるフィルム化もできる。フィルムの形成は、特開2002−139621号公報の段落番号[0038]〜[0040]の記載を適用できる。
セルロースアシレートフィルムは、さらに延伸処理によりレターデーションを調整することができる。延伸倍率は、3〜100%の範囲にあることが好ましい。前記セルロースアシレートフィルムを延伸する場合には、テンター延伸が好ましく使用され、遅相軸を高精度に制御するために、左右のテンタークリップ速度、離脱タイミング等の差をできる限り小さくすることが好ましい。
セルロースエステルフィルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するため、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、特開2002−139621号公報の段落番号[0043]の態様、および好ましい範囲が本発明に適用できる。
セルロースエステルフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)や紫外線防止剤を添加してもよい。劣化防止剤については、特開2002−139621号公報の段落番号[0044]の記載を適用できる。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を挙げることができる。紫外線防止剤については、特開平7−11056号公報に記載がある。
セルロースアシレートフィルムの表面処理、および固体の表面エネルギーについては、特開2002−196146号公報の段落番号[0051]〜[0052]の記載を適用できる。
セルロースアシレートフィルムの厚さは、使用目的によって異なるが、通常5〜500μmの範囲であり、さらに20〜250μmの範囲が好ましく、特に30〜180μmの範囲が最も好ましい。なお、光学用途としては30〜110μmの範囲が特に好ましい。
[塗布方式]
二色性色素組成物塗布液の支持体上への塗布は、通常の方法(例えば、ワイヤバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、インクジェット法)により実施できる。また、二色性色素組成物塗布液における二色性色素組成物の含有量は1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%がさらに好ましい。
本発明方法における光吸収異方性膜は、湿式成膜法により形成することが好ましい。本発明における光吸収異方性膜の作製には、上記二色性色素組成物を調製後、ガラス板などの各種支持体上に塗布し、色素を配向、積層して得る方法など公知の方法が採用される。
具体的に、湿式成膜法としては、原崎勇次著「コーティング工学」株式会社朝倉書店、1971年3月20日発行、253頁から277頁や市村國宏監修「分子協調材料の創製と応用」株式会社シーエムシー出版、1998年3月3日発行、118頁から149頁などに記載の公知の方法や、例えば、あらかじめ配向処理を施した基材上に、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ロールコート法、ブレードコート法、フリースパンコート法、ダイコート法、インクジェット法などで塗布することが挙げられる。
塗布時の温度は、好ましくは0℃以上、80℃以下、湿度は好ましくは10%RH以上、80%RH以下程度である。
このような方法で製造された光吸収異方性膜は機械的強度が低い場合もあるので、必要に応じ、保護層を設けて使用する。この保護層は、例えば、トリアセテート、アクリル、ポリエステル、ポリイミド、トリアセチルセルロース又はウレタン系のフィルム等の透明な高分子膜によりラミネーションして形成され、実用に供する。
また、本発明の光吸収異方性膜をLCDやOLEDなどの各種の表示素子に偏光フィルター等として用いる場合には、これらの表示素子を構成する電極基板などに直接色素膜を形成したり、色素膜を形成した基材をこれら表示素子の構成部材に用いることができる。
本発明において、二色性色素組成物を塗布したのち、該塗布方向に対して平行でない角度で直線偏光照射して、光吸収性異方性膜を形成することができる。さらに、基材の縦または横方向と略一致する方向に上記二色性色素組成物を塗布することがより好ましい。これにより、光学的な欠陥がなく高い二色比を持つ光吸収異方性膜を提供することもできる。また、二色性色素組成物の塗布後、必要な偏光角度を持たせるために基材を切り出す必要がなく、生産性が高い。
前記の、本発明の二色性色素組成物の好ましい塗布方法については、例えば、特開2007−127897等に記載されている。
[有機溶媒の乾燥]
上記二色性色素組成物を塗布するために用いた有機溶媒は、自然乾燥などによって蒸発させ、乾燥させる。
また、本発明において、直線偏光照射して光吸収異方性膜を形成した後、該異方性膜を減圧処理して残留有機溶媒を蒸発させ、除去することができる。これにより、高い二色比を持つ光吸収異方性膜を提供することができる。
ここでいう減圧処理とは、光吸収異方性膜を減圧条件下におくことを言う。このとき、光吸収異方性膜を有する基材は高部から底部に流れないよう、水平にしておくことが好ましい。
直線偏光照射後、光吸収異方性膜の減圧処理を始めるまでの時間は、短ければ短いほどよく、好ましくは1秒以上30秒以内である。
減圧処理の方法としては、例えば以下の様な方法が挙げられる。塗布液を基材上に塗布し得られた光吸収異方性膜を、減圧処理装置に入れて減圧処理する。例えば特開2006−201759の図9や図10のような減圧処理装置を使用することができる。減圧処理装置の詳細については、特開2004−169975号公報に記載されている。
減圧処理の条件としては、色素膜の存在する系内の圧力が、好ましくは2×10Pa以下、さらに好ましくは1×10Pa以下、特に好ましくは1×10Pa以下である。また、好ましくは1Pa以上、更に好ましくは1×10Pa以上である。通常、系内が最終的に到達する圧力が前記の通りであることが好ましい。高すぎると乾燥できず配向が乱れる恐れがあり、低すぎると乾燥が急速過ぎて欠陥が発生する恐れがある。
また、減圧処理時間は、好ましくは5秒以上180秒以内である。長すぎると配向緩和前に急速に色素膜を乾燥できず配向が乱れる恐れがあり、短すぎると乾燥できず配向が乱れる恐れがある。
また、減圧処理する際の系内の温度は、好ましくは10℃以上60℃以下である。高すぎると乾燥時に対流が起こり塗布膜に不均一性の発生の恐れがあり、低すぎると乾燥できず配向が乱れる恐れがある。
また、湿式製膜法で色素膜を塗布するときには、基材を加温してもよいし冷却してもよい。このときの基材の温度は、好ましくは10℃以上60℃以下である。高すぎると減圧乾燥を行う前に配向が乱れて乾燥する恐れがあり、低すぎると基材表面に水滴が付き塗布の障害になる恐れがある。湿式製膜法により塗布した色素膜を減圧乾燥するときに基材の加温を行ってもよい。このときの基材の温度は、好ましくは60℃以下である。高すぎると減圧乾燥を行う前に配向が乱れて乾燥する恐れがある。
[直線偏光照射]
本発明においては、支持体上に形成した二色性色素膜に直線偏光照射を施し、該二色性色素の二色性を発現させ、光吸収異方性膜を製造する。
本発明における直線偏光照射とは、前記二色性色素に光反応を生じせしめるための操作である。用いる光の波長は、用いる二色性色素組成物により異なり、その光反応に必要な波長であれば特に限定されるものではない。好ましくは、光照射に用いる光のピーク波長が200nm〜700nmであり、より好ましくは光のピーク波長が400nm以下の紫外光である。
光照射に用いる光源は、通常使われる光源、例えばタングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、水銀ランプ、水銀キセノンランプ、カーボンアークランプ等のランプ、各種のレーザー(例、半導体レーザー、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、YAGレーザー)、発光ダイオード、陰極線管などを挙げることができる。
直線偏光を得る手段としては、偏光板(例、ヨウ素偏光板、二色色素偏光板、ワイヤーグリッド偏光板)を用いる方法、プリズム系素子(例、グラントムソンプリズム)やブリュースター角を利用した反射型偏光子を用いる方法、又は偏光を有するレーザー光源から出射される光を用いる方法が採用できる。また、フィルターや波長変換素子等を用いて必要とする波長の光のみを選択的に照射してもよい。
照射する光は、前記二色性色素膜に対して上面、又は裏面から二色性色素膜に対して垂直、又は斜めから光を照射する方法が採用される。前記光の入射角度は、前記二色性色素組成物によって異なるが、例えば、二色性色素膜に対して0〜90°(垂直)、好ましくは40〜90°、より好ましくは50〜90°である。
照射時間は好ましくは1分〜60分、さらに好ましくは1分〜10分である。
パターン化が必要な場合には、フォトマスクを用いた光照射をパターン作成に必要な回数施す方法やレーザー光走査によるパターンの書き込みによる方法を採用できる。
本発明の光吸収異方性膜は、上記一般式(I)で表される二色性アゾ色素の少なくとも一種を含有する二色性色素組成物から形成された光吸収異方性膜であって、該膜が直線偏光照射によって二色性を発現又は変化させて得られることを特徴とする。以下、本発明の光吸収異方性膜について説明する。
[光吸収異方性膜の特性]
光吸収異方性膜の厚さは、0.01〜2μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることがさらに好ましく、0.05〜0.5μmであることが最も好ましい。
上記二色性色素組成物塗布液を支持体の表面に塗布後、直線偏光照射することにより二色性色素を均一配向(モノドメイン配向)させることで、水平配向を実現することができる。
二色性色素を水平配向させ、且つその配向状態に固定することによって形成された光吸収異方性膜は、偏光素子として利用することができる。
一般的に、空気界面側の二色性色素のチルト角は、所望により添加される他の化合物(例えば、特開2005−99248号公報、特開2005−134884号公報、特開2006−126768号公報、特開2006−267183号公報記載の水平配向化剤など)を選択することにより調整することができ、本発明の光吸収異方性膜を適用する液晶表示装置の偏光素子として、好ましい水平配向状態を実現することができる。
[チルト角]
本発明では、チルト角とは、二色性色素の分子の長軸方向と界面(空気界面)のなす角度を指す。配向膜側のチルト角を有る程度小さくし水平配向させることにより偏光素子として好ましい光学性能がより効果的に得られる。したがって、偏光性能の観点から、好ましい空気界面側のチルト角は0°〜10°、さらに好ましくは0〜5°、特に好ましいのは0〜2°である。
[光吸収異方性膜の用途]
本発明の光吸収異方性膜は、光吸収の異方性を利用し直線偏光、円偏光、楕円偏光等を得る偏光膜として機能する他、膜形成プロセスと基材や色素を含有する組成物の選択により、屈折異方性や伝導異方性などの各種異方性膜として機能化が可能となり、様々な種類の、多様な用途に使用可能な偏光素子とすることができる。
本発明の光吸収異方性膜を基材上に形成し偏光素子として使用する場合、形成された光吸収異方性膜そのものを使用してもよく、また上記の様な保護層のほか、粘着層或いは反射防止層、配向膜、位相差フィルムとしての機能、輝度向上フィルムとしての機能、反射フィルムとしての機能、半透過反射フィルムとしての機能、拡散フィルムとしての機能、光学補償フィルムとしての機能などの光学機能をもつ層など、様々な機能をもつ層を湿式成膜法などにより積層形成し、積層体として使用してもよい。
これら光学機能を有する層は、例えば以下の様な方法により形成することが出来る。
位相差フィルムとしての機能を有する層は、例えば、特許第2841377号公報、特許第3094113号公報などに記載の延伸処理を施したり、特許第3168850号公報などに記載された処理を施したりすることによって形成することができる。
また、輝度向上フィルムとしての機能を有する層は、例えば特開2002−169025号公報や特開2003−29030号公報に記載されているような方法で微細孔を形成すること、或いは、選択反射の中心波長が異なる2層以上のコレステリック液晶層を重畳することにより形成することができる。
反射フィルム又は半透過反射フィルムとしての機能を有する層は、蒸着やスパッタリングなどで得られた金属薄膜を用いて形成することができる。
拡散フィルムとしての機能を有する層は、上記の保護層に微粒子を含む樹脂溶液をコーティングすることにより、形成することができる。
また、位相差フィルムや光学補償フィルムとしての機能を有する層は、ディスコティック液晶性化合物などの液晶性化合物をコーティングして配向させることにより形成することができる。
本発明の光吸収異方性膜から、In-Cell型偏光子を製造することができる。この場合、二色性色素組成物の電気伝導度及び/またはナトリウムイオン濃度の値を一定値以下に抑えることにより、アクティブ駆動に適した高い電圧保持率(電荷保持特性)を有するIn-Cell型偏光子を得ることができ、ひいては駆動性能、表示性能に優れた前記In-Cell型偏光子を用いた液晶素子を得ることができる。
本発明において、二色性色素組成物の電気伝導度は25mS/cm以下が好ましく、10mS/cm以下がより好ましく、1mS/cm以下が更に好ましい。このような範囲とすることで、電圧保持率の高いIn-Cell型偏光子を得ることが可能となる。なお、通常0.2mS/cm以上である。上限を越えると極性不純物の溶解性が高くなり好ましくない。
In-Cell型偏光子用組成物の電気伝導度は、2電極法(セル)又は4電極法(セル)による電導度メーターなどにより求められる。具体的には、日本工業規格(JIS)のK0101:1998「工業用水試験方法」で規定されている電気伝導率の測定方法に準じた各種方法により測定することが可能であるが、ガード電極による測定精度の向上の観点から2電極法(セル)よりも4電極法(セル)が、印加電圧(電極間に発生する電位差)により偏在すると予想されるキャリアー(イオンなど)の電極近傍での諸現象を排除する観点から直流(DC)印加よりも交流(AC)印加による測定が好ましい。
本発明において二色性色素組成物は、上述のように、色素と、溶剤と、必要に応じて用いられる界面活性剤などの各種添加剤からなる混合物(溶液)である。この混合物を構成する各成分の化学種及び各成分に由来する不純物、特に極性成分やイオン性成分が、組成物の電気伝導度に寄与すると考えられ、これらの含有量を低減させることにより、電気伝導度を低減することが可能となると考えられる。
本発明において二色性色素組成物の電気伝導度を低減させる手法としては、例えば、特開2006−309185に記載されており、本発明に適用することができる。
本発明において、二色性色素組成物のナトリウムイオン濃度は2500ppm以下が好ましく、1000ppm以下がより好ましく、100ppm以下がさらに好ましい。なお、その下限は通常10ppm以上である。高すぎると、液晶素子(液晶層)への溶出、更には電気特性への悪影響があり好ましくない。ナトリウムイオン濃度を上記範囲内にするための手法としては、例えば、不純物を低減させる手法として上に例示した各種の手法を用いることができる。
二色性色素組成物のナトリウムイオン濃度は、組成物中に存在する特定イオンの濃度に応答して電極電位が変化するイオン選択性電極と比較電極とを併用することにより求めることができる。具体的には、日本工業規格(JIS)のK0101:1998「工業用水試験方法」で規定されているナトリウム(イオン)の測定方法に準じたフレーム光度法、フレーム原子吸光法、イオンクロマト法等各種方法により測定することが可能であるが、比較的高濃度のナトリウムイオン量を直接的に測定可能であることから、日本工業規格(JIS)のK0122:1998「イオン電極測定方法通則」で規定されている測定方法に準じたイオン電極測定法が好ましい。更に、バッファー液によるpHの調整が不要なイオン選択性電極を用いたイオンメーターを使用する方が、pHによる解離状態の変化を抑止することができるため好ましい。
前記光学異方性膜は、塗布法によって、例えば、偏光板用保護フィルム等の表面に、直接形成してもよい。また、以下に説明する転写材料を用い転写して形成してもよい。即ち、本発明の光吸収異方性膜を用いた液晶表示装置の製造方法の一例として、前記光学異方性膜からなる光学異方性層を、転写材料から転写して形成することを含む方法が挙げられる。転写材料を用いて光学異方性層を形成することにより、工程数を軽減して、簡易な方法で良好な表示特性の液晶表示装置を作製することができる。
以下、前記光学異方性層を、液晶表示装置内に形成するのに有用な転写材料について説明する。
[転写材料]
本発明に使用可能な転写材料は、例えば、特開2007−279705公報の図3(a)に示されるように、支持体と、光学異方性層とを少なくとも有する。前記公報の図3(b)に示されるように、さらに、少なくとも一層の感光性樹脂層を有しているのが好ましい。感光性樹脂層は、パターニング等の工程を経ない場合であっても、光学異方性層の転写を容易にし、有用である。また、例えば、前記公報の図3(c)に示す様に、支持体と光学異方性層との間には、転写時に相手基板側の凹凸を吸収するためのクッション性のような力学特性コントロールあるいは凹凸追従性付与のための層を有していてもよいし、また、前記公報の図3(d)に示す様に、光学異方性層中の二色性色素の配向を制御するための配向層として機能する層が配置されてもよいし、さらに前記公報の図3(e)に示す様に双方の層を有していてもよい。また、前記公報の図3(f)に示す様に、感光性樹脂層の表面保護などの目的から、最表面に剥離可能な保護層を設けてもよい。
[支持体]
上記の転写材料に用いられる支持体は、透明でも不透明でもよく特に限定はない。支持体を構成するポリマーの例には、セルロースエステル(例、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート)、ポリオレフィン(例、ノルボルネン系ポリマー)、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例、ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエステル及びポリスルホンが含まれる。製造工程において光学特性を検査する目的には、透明支持体は透明で低複屈折の材料が好ましく、低複屈折性の観点からはセルロースエステル及びノルボルネン系が好ましい。市販のノルボルネン系ポリマーとしては、アートン(JSR(株)製)、ゼオネックス、ゼオノア(以上、日本ゼオン(株)製)などを用いることができる。また安価なポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート等も好ましく用いられる。
[光学異方性層]
転写材料が有する光学異方性層は、偏光性能に充分な光学特性を満足している必要はなく、例えば、転写される過程において実施される露光工程を通じて、偏光性能が発現又は変化して、最終的に偏光フィルムに必要な偏光性能を示すものであってもよい。
[感光性樹脂層]
前記転写材料は、感光性樹脂層を有しているのが好ましい。前記感光性樹脂層は、感光性樹脂組成物よりなり、前記感光性樹脂層は、少なくとも(1)アルカリ可溶性樹脂と、(2)モノマー又はオリゴマーと、(3)光重合開始剤又は光重合開始剤系と、を含む樹脂組成物から形成するのが好ましい。
(1)アルカリ可溶性樹脂
前記アルカリ可溶性樹脂(以下、単に「バインダ」ということがある。)としては、側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーが好ましい。その例としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報及び特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げることができ、またこの他にも、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく使用することができる。また、特に好ましい例として、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体や、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。これらの極性基を有するバインダポリマーは、単独で用いてもよく、或いは通常の膜形成性のポリマーと併用する組成物の状態で使用してもよく、感光性樹脂組成物の全固形分に対する含有量は20〜50質量%が一般的であり、25〜45質量%が好ましい。
(2)モノマー又はオリゴマー
前記感光性樹脂層に使用されるモノマー又はオリゴマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有し、光の照射によって付加重合するモノマー又はオリゴマーであることが好ましい。そのようなモノマー及びオリゴマーとしては、分子中に少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上の化合物を挙げることができる。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンやグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加した後(メタ)アクリレート化したもの等の多官能アクリレートや多官能メタクリレートを挙げることができる。
更に特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報及び特開昭51−37193号公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報及び特公昭52−30490号公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレー卜やメタクリレートを挙げることができる。
これらの中で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合性化合物B」も好適なものとして挙げることができる。
これらのモノマー又はオリゴマーは、単独でも、2種類以上を混合して用いてもよく、感光性樹脂組成物の全固形分に対する含有量は5〜50質量%が一般的であり、10〜40質量%が好ましい。
(3)光重合開始剤又は光重合開始剤系
前記感光性樹脂層に使用される光重合開始剤又は光重合開始剤系としては、米国特許第2367660号明細書に開示されているビシナルポリケタルドニル化合物、米国特許第2448828号明細書に記載されているアシロインエーテル化合物、米国特許第2722512号明細書に記載のα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3046127号明細書及び同第2951758号明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3549367号明細書に記載のトリアリールイミダゾール2量体とp−アミノケトンの組み合わせ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール化合物とトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4239850号明細書に記載されているトリハロメチル−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されているトリハロメチルオキサジアゾール化合物等を挙げることができる。特に、トリハロメチル−s−トリアジン、トリハロメチルオキサジアゾール及びトリアリールイミダゾール2量体が好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合開始剤C」も好適なものとしてあげることができる。
これらの光重合開始剤又は光重合開始剤系は、単独でも、2種類以上を混合して用いてもよいが、特に2種類以上を用いることが好ましい。少なくとも2種の光重合開始剤を用いると、表示特性、特に表示のムラが少なくできる。
感光性樹脂組成物の全固形分に対する光重合開始剤又は光重合開始剤系の含有量は、0.5〜20質量%が一般的であり、1〜15質量%が好ましい。
[その他の層]
転写材料の、支持体と光学異方性層の間には、力学特性や凹凸追従性をコントロールするために熱可塑性樹脂層を形成することが好ましい。熱可塑性樹脂層に用いる成分としては、特開平5−72724号公報に記載されている有機高分子物質が好ましく、ヴイカーVicat法(具体的にはアメリカ材料試験法エーエステーエムデーASTMD1235によるポリマー軟化点測定法)による軟化点が約80℃以下の有機高分子物質より選ばれることが特に好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンと酢酸ビニル或いはそのケン化物の様なエチレン共重合体、エチレンとアクリル酸エステル或いはそのケン化物、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニル及びそのケン化物の様な塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物の様なスチレン共重合体、ポリビニルトルエン、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物の様なビニルトルエン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル共重合体ナイロン、共重合ナイロン、N−アルコキシメチル化ナイロン、N−ジメチルアミノ化ナイロンの様なポリアミド樹脂等の有機高分子が挙げられる。
転写材料においては、複数の塗布層の塗布時、及び塗布後の保存時における成分の混合を防止する目的から、中間層を設けることが好ましい。該中間層としては、特開平5−72724号公報に「分離層」として記載されている、酸素遮断機能のある酸素遮断膜を用いることが好ましく、この場合、露光時感度がアップし、露光機の時間負荷が減り、生産性が向上する。該酸素遮断膜としては、低い酸素透過性を示し、水又はアルカリ水溶液に分散又は溶解するものが好ましく、公知のものの中から適宜選択することができる。これらの内、特に好ましいのは、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの組み合わせである。
前記熱可塑性樹脂層や前記中間層を、前記配向層と兼用することもできる。特に前記中間層に好ましく用いられるポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンは配向層としても有効であり、中間層と配向層を1層にすることが好ましい。
樹脂層の上には、貯蔵の際の汚染や損傷から保護する為に薄い保護フィルムを設けることが好ましい。保護フィルムは仮支持体と同じか又は類似の材料からなってもよいが、樹脂層から容易に分離されねばならない。保護フィルム材料としては例えばシリコン紙、ポリオレフィンもしくはポリテトラフルオロエチレンシートが適当である。
光学異方性層及び感光性樹脂層、及び所望により形成される配向層、熱可塑性樹脂層及び中間層の各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許第2681294号明細書)により、塗布により形成することができる。二以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許第2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書及び原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
[転写材料を用いた光学異方性層の形成方法]
本発明でいう転写材料を基板上に転写する方法については特に制限されず、基板上に上記光学異方性層及び感光性樹脂層を同時に転写できれば特に方法は限定されない。例えば、フィルム状に形成した本発明でいう転写材料を、感光性樹脂層面を基板表面側にして、ラミネータを用いて加熱及び/又は加圧したローラー又は平板で圧着又は加熱圧着して、貼り付けることができる。具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネータ及びラミネート方法が挙げられるが、低異物の観点で、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。その後、支持体は剥離してもよく、剥離によって露出した光学異方性層表面に、他の層、例えば電極層等を形成してもよい。
転写材料を転写する被転写材料である基板については、特に制限されない。例えば、透明基板が用いられ、表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板、或いは、プラスチックフィルム等を挙げることができる。被転写材料はまた透明支持体上にベタの光学異方性層等の層が設けられたものであってもよい。また、被転写材料は、予めカップリング処理を施しておくことにより、感光性樹脂層との密着を良好にすることができる。該カップリング処理としては、特開2000−39033号公報記載の方法が好適に用いられる。尚、特に限定されるわけではないが、基板の膜厚としては、700〜1200μmが一般的に好ましい。
光学異方性層の上に粘着層を設けるのではなく、被転写材料の上に粘着層を設けておいてもよい。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
なお、以下の実施例中、光吸収異方性膜の光学特性に関する測定は下記の通り実施した。
<二色比>
二色比は、ヨウ素系偏光素子を入射光学系に配した分光光度計で光吸収異方性膜の吸光度を測定した後、次式により計算した。
二色比(D)=Az/Ay
Az:光吸収異方性膜の吸収軸方向の偏光に対する吸光度
Ay:光吸収異方性膜の偏光軸方向の偏光に対する吸光度
<相転移温度>
相転移温度の測定は、ガラス基板上に試料を置き、ガラス基板を加熱しながら偏光顕微鏡で相状態を確認しつつ測定した。
(実施例1)
クロロホルム98質量部にアゾ色素No.(A−46)を2質量部加え、撹拌溶解後濾過して二色性色素組成物塗布液を得た。次に、ガラス基板上に前記塗布液を塗布し、室温でクロロホルムを自然乾燥したのち、紫外線照射装置より出射される光を偏光板を介して直線偏光に変換し、前記塗布膜に対して垂直の方向から100mW/cm(365nm)の強度で30分間照射した。
得られた光吸収異方性膜における色素膜面内の吸収軸方向に振動面を有する偏光に対する吸光度(Az)、および色素膜面内の偏光軸方向に振動面を有する偏光に対する吸光度(Ay)とから求めた二色比(D)、および相転移温度を表1に示す。組成物は、ネマチック液晶性を有しており、且つ偏光膜として充分機能し得る高い二色比(光吸収異方性)を有していた。
(実施例2、3)
アゾ色素をNo.(A−58)、(A−59)に変更した以外、実施例1と同様に光吸収異方性膜を作製した。
得られた光吸収異方性膜の二色比(D)、および相転移温度を表1に示す。組成物は、ネマチック液晶性を有しており、且つ偏光膜として充分機能し得る高い二色比(光吸収異方性)を有していた。
(比較例1)
直線偏光を照射しない以外、実施例1と同様に光吸収異方性膜を作製した。
得られた光吸収異方性膜の二色比(D)、および相転移温度を表1に示す。組成物は、ネマチック液晶性を有していたが、配向はランダムであり異方性を示さなかった。
Figure 2010230924

Claims (2)

  1. (1)支持体上に有機溶媒に溶解した、下記一般式(I)で表される二色性アゾ色素の少なくとも一種を含有する、液晶性を有する二色性色素組成物を塗布する工程と、(2)前記有機溶媒を蒸発させる工程と、(3)直線偏光照射することにより前記二色性色素を配向させる工程を含む光吸収異方性膜の製造方法。
    Figure 2010230924
    (式中、R〜R、X、およびXは、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Aは、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、Bは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基を表し、nは1〜5の整数を表す。)
  2. 下記一般式(I)で表される二色性アゾ色素の少なくとも一種を含有する二色性色素組成物から形成された光吸収異方性膜であって、該膜が直線偏光照射によって二色性を発現又は変化させて得られることを特徴とする光吸収異方性膜。
    Figure 2010230924
    (式中、R〜R、X、およびXは、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Aは、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、Bは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基を表し、nは1〜5の整数を表す。)
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