JP2011248201A - 立体画像印刷用印画紙、立体画像印刷物、立体画像印刷方法、及び立体画像の提供方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】立体画像印刷物のクロストーク及びゴースト像の軽減。
【解決手段】透明支持体、並びに該透明支持体の表面及び裏面に、それぞれの配向軸が互いに直交している第1及び第2の配向膜を有する立体画像用印画紙である。また、前記印画紙、並びに該印画紙が有する第1及び第2の配向膜のそれぞれの上に、視差のある左眼用画像及び右眼用画像を構成する第1及び第2の二色性色素層を有する立体画像印刷物であって、第1及び第2の二色性色素層それぞれが、水平配向している液晶性二色性色素を含有する立体画像印刷物である。また、第1及び第2の配向膜のそれぞれの表面に、液晶性二色性色素組成物を、視差のある左眼用及び右眼用の画像様にそれぞれ塗布すること;並びに液晶性二色性色素を、第1及び第2の配向膜のそれぞれの配向軸に従って配向させて、第1及び第2の二色性色素層を形成すること;を含む立体画像印刷物の製造方法である。
【選択図】図1
【解決手段】透明支持体、並びに該透明支持体の表面及び裏面に、それぞれの配向軸が互いに直交している第1及び第2の配向膜を有する立体画像用印画紙である。また、前記印画紙、並びに該印画紙が有する第1及び第2の配向膜のそれぞれの上に、視差のある左眼用画像及び右眼用画像を構成する第1及び第2の二色性色素層を有する立体画像印刷物であって、第1及び第2の二色性色素層それぞれが、水平配向している液晶性二色性色素を含有する立体画像印刷物である。また、第1及び第2の配向膜のそれぞれの表面に、液晶性二色性色素組成物を、視差のある左眼用及び右眼用の画像様にそれぞれ塗布すること;並びに液晶性二色性色素を、第1及び第2の配向膜のそれぞれの配向軸に従って配向させて、第1及び第2の二色性色素層を形成すること;を含む立体画像印刷物の製造方法である。
【選択図】図1
Description
本発明は、画像を立体的に表示する立体画像印刷物、その印画紙、その印刷方法、及びその観察者への提供方法に関する。
従来、立体画像を印刷する方法として、二色性色素を利用した方法であって、平面画像の印刷物を立体的に観察者に表示する方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2、並びに非特許文献1)。この方法では、延伸処理等により分子配向されたシートに、二色性色素を含有するインクを用いて、左眼用及び右眼用の偏光画像をそれぞれ形成している。この方法では、二色性色素の偏光画像を形成するためには、二色性色素を、前記シート中に充分に浸透させて、シートを構成している配向分子に沿って配向させる必要がある。特許文献1には、二色性色素の浸透性を改善するために、インク浸透性の高分子物質を含有する被覆材で、前記シートを被覆することが提案されている。
JOURNAL OF IMAGING SCIENCE AND TECHNOLOGY, "Full-color 3-D Prints and Technology", vol. 42, Number 4, July/August 1998, J.J. Scarpetti, P.M. Dubois, R.M. Friedhoff and V.K. Walworth
上記従来の方法によれば、偏光メガネを装着した観察者が観察すると、奥行きのある立体画像として認識できるものの、クロストークやゴースト像が観察される場合があり、改善が求められていた。
本発明は、従来の問題点に鑑みなされたものであって、立体画像印刷物のクロストーク及びゴースト像を軽減することを課題とする。より具体的には、本発明は、クロストークやゴースト像が低減された立体画像印刷物、及び該立体画像を印刷可能な立体画像用印画紙、該立体画像印刷物の製造方法、並びに該立体画像印刷物を提供する方法を提供することを課題とする。
本発明は、従来の問題点に鑑みなされたものであって、立体画像印刷物のクロストーク及びゴースト像を軽減することを課題とする。より具体的には、本発明は、クロストークやゴースト像が低減された立体画像印刷物、及び該立体画像を印刷可能な立体画像用印画紙、該立体画像印刷物の製造方法、並びに該立体画像印刷物を提供する方法を提供することを課題とする。
本発明者が種々検討した結果、液晶性二色性色素を自己の配向性により配向させて、左眼用及び右眼用の二色性画像を形成することにより、クロストーク及びゴースト像を軽減できるとの知見を得、本発明を完成するに至った。
即ち、前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] 透明支持体、並びに該透明支持体の表面及び裏面にそれぞれ、第1及び第2の配向膜を有し、前記第1及び第2の配向膜のそれぞれの配向軸が互いに直交していることを特徴とする立体画像用印画紙。
[2] 前記透明支持体が、可視光に対して面内のレターデ−ション値(Re)が10nm以下であることを特徴とする[1]の印画紙。
[3] 前記第1及び第2の配向膜がそれぞれ、高分子化合物を主成分とする組成物から形成された膜の表面を互いに直交する方向にラビング処理してなるラビング配向膜であることを特徴とする[1]又は[2]の印画紙。
[4] 前記第1及び第2の配向膜がそれぞれ、互いに直交する方向に光照射されてなる光配向膜であることを特徴とする[1]又は[2]の印画紙。
[5] [1]〜[4]のいずれかの印画紙、並びに該印画紙が有する第1及び第2の配向膜のそれぞれの上に、視差のある左眼用画像及び右眼用画像を構成する第1及び第2の二色性色素層を有する立体画像印刷物であって、
前記第1及び第2の二色性色素層それぞれが、水平配向している少なくとも1種の液晶性二色性色素を含有し、それぞれの吸収軸が互いに直交していることを特徴とする立体画像印刷物。
[6] 前記少なくとも1種の液晶性二色性色素が親油性であり、且つ前記第1及び第2の配向膜が親水性ポリマーを主成分として含有することを特徴とする[5]の立体画像印刷物。
[7] 前記第1及び第2の二色性色素層の少なくとも一方の上に、透明樹脂硬化層を有することを特徴とする[5]又は[6]の立体画像印刷物。
[8] 前記透明樹脂硬化層が、可視光に対して面内のレターデ−ション値(Re)が10nm以下であることを特徴とする[7]の立体画像印刷物。
[9] 前記第1及び第2の二色性色素層の少なくとも一方の上に、ポリビニルアルコールを主成分とする組成物から形成された酸素遮断層を有することを特徴とする[5]〜[8]のいずれかの立体画像印刷物。
[10] 前記第1及び第2の二色性色素層のいずれかの上に、1/4波長板を有し、該1/4波長板の遅相軸と、第1及び第2の二色性色素層の吸収軸とがそれぞれ45°の角度をなしていることを特徴とする[5]〜[9]のいずれかの立体画像印刷物。
即ち、前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] 透明支持体、並びに該透明支持体の表面及び裏面にそれぞれ、第1及び第2の配向膜を有し、前記第1及び第2の配向膜のそれぞれの配向軸が互いに直交していることを特徴とする立体画像用印画紙。
[2] 前記透明支持体が、可視光に対して面内のレターデ−ション値(Re)が10nm以下であることを特徴とする[1]の印画紙。
[3] 前記第1及び第2の配向膜がそれぞれ、高分子化合物を主成分とする組成物から形成された膜の表面を互いに直交する方向にラビング処理してなるラビング配向膜であることを特徴とする[1]又は[2]の印画紙。
[4] 前記第1及び第2の配向膜がそれぞれ、互いに直交する方向に光照射されてなる光配向膜であることを特徴とする[1]又は[2]の印画紙。
[5] [1]〜[4]のいずれかの印画紙、並びに該印画紙が有する第1及び第2の配向膜のそれぞれの上に、視差のある左眼用画像及び右眼用画像を構成する第1及び第2の二色性色素層を有する立体画像印刷物であって、
前記第1及び第2の二色性色素層それぞれが、水平配向している少なくとも1種の液晶性二色性色素を含有し、それぞれの吸収軸が互いに直交していることを特徴とする立体画像印刷物。
[6] 前記少なくとも1種の液晶性二色性色素が親油性であり、且つ前記第1及び第2の配向膜が親水性ポリマーを主成分として含有することを特徴とする[5]の立体画像印刷物。
[7] 前記第1及び第2の二色性色素層の少なくとも一方の上に、透明樹脂硬化層を有することを特徴とする[5]又は[6]の立体画像印刷物。
[8] 前記透明樹脂硬化層が、可視光に対して面内のレターデ−ション値(Re)が10nm以下であることを特徴とする[7]の立体画像印刷物。
[9] 前記第1及び第2の二色性色素層の少なくとも一方の上に、ポリビニルアルコールを主成分とする組成物から形成された酸素遮断層を有することを特徴とする[5]〜[8]のいずれかの立体画像印刷物。
[10] 前記第1及び第2の二色性色素層のいずれかの上に、1/4波長板を有し、該1/4波長板の遅相軸と、第1及び第2の二色性色素層の吸収軸とがそれぞれ45°の角度をなしていることを特徴とする[5]〜[9]のいずれかの立体画像印刷物。
[11] 前記透明樹脂硬化層、前記酸素遮断層、並びに前記第1及び第2の1/4波長板のいずれか少なくとも1つの層が、UV吸収剤を含有することを特徴とする[5]〜[10]のいずれかの立体画像印刷物。
[12] 前記少なくとも1種の液晶性二色性色素が、下記一般式(I)、下記一般式(II)、下記一般式(III)、下記一般式(IV)、又は下記一般式(V)で表わされる化合物であることを特徴とする[5]〜[11]のいずれかの立体画像印刷物。
(式中、R11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し;R15及びR16はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し;L11は、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、又は−CH=CH−を表し;A11は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し;B11は、置換基を有していてもよい、2価の芳香族炭化水素基又は2価の芳香族複素環基を表し;nは1〜5の整数を表し、nが2以上のとき複数のB11は互いに同一でも異なっていてもよい。)
(式中、R21及びR22はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又は−L22−Yで表される置換基を表すが、但し、少なくとも一方は、水素原子以外の基を表し;L22は、アルキレン基を表すが、アルキレン基中に存在する1個のCH2基又は隣接していない2個以上のCH2基はそれぞれ−O−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−NRCOO−、−OCONR−、−CO−、−S−、−SO2−、−NR−、−NRSO2−、又は−SO2NR−(Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す)に置換されていてもよく;Yは、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、又は重合性基を表し;L21はそれぞれ、アゾ基(−N=N−)、カルボニルオキシ基(−C(=O)O−)、オキシカルボニル基(−O−C(=O)−)、イミノ基(−N=CH−)、及びビニレン基(−C=C−)からなる群から選ばれる連結基を表し;Dyeはそれぞれ、下記一般式(IIa)で表されるアゾ色素残基を表し;
式(IIa)中、*はL21との結合部を表し;X21は、ヒドロキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、無置換アミノ基、又はモノもしくはジアルキルアミノ基を表し;Ar21は、それぞれ置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表し;nは1〜3の整数を表し、nが2以上の時、2つのAr21は互いに同一でも異なっていてもよい。)
(式中、R31〜R35はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し;R36及びR37はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し;Q31は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、芳香族複素環基又はシクロヘキサン環基を表し;L31は2価の連結基を表し;A31は酸素原子又は硫黄原子を表す。)
(式中、R41及びR42はそれぞれ、水素原子又は置換基を表し、互いに結合して環を形成していてもよく;Ar4は、置換されていてもよい2価の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し;R43及びR44はそれぞれ、水素原子、又は置換されていてもよいアルキル基を表し、互いに結合して複素環を形成していてもよい。)
(式中、A1及びA2はそれぞれ独立に、置換もしくは無置換の、炭化水素環基又は複素環基を表わす。)
[12] 前記少なくとも1種の液晶性二色性色素が、下記一般式(I)、下記一般式(II)、下記一般式(III)、下記一般式(IV)、又は下記一般式(V)で表わされる化合物であることを特徴とする[5]〜[11]のいずれかの立体画像印刷物。
[13] いずれか一方の表面に、非偏光解消性の反射層を有することを特徴とする[5]〜[12]のいずれかの立体画像印刷物。
[14] [1]〜[4]のいずれかの印画紙の第1及び第2の配向膜のそれぞれの表面に、同時に又は別々に、少なくとも有機溶媒及び該有機溶媒に溶解した少なくとも1種の液晶性二色性色素を含有する液晶性二色性色素組成物を、視差のある左眼用及び右眼用の画像様にそれぞれ塗布すること;並びに
該組成物中の有機溶媒を蒸発させることにより、前記少なくとも1種の液晶性二色性色素を、第1及び第2の配向膜のそれぞれの配向軸に従って配向させて、第1及び第2の二色性色素層を形成すること;
を含む立体画像印刷物の製造方法。
[15] 前記液晶性二色性色素組成物を、インクジェット法により塗布することを特徴とする[14]の方法。
[16] 前記少なくとも1種の液晶性二色性色素が、前記一般式(I)、前記一般式(II)、前記一般式(III)、前記一般式(IV)、又は前記一般式(V)で表わされる化合物であることを特徴とする[14]又は[15]の方法。
[17] [1]〜[10]のいずれかの立体画像印刷物を準備すること、
該立体画像印刷物を、左眼用及び右眼用のレンズが、それぞれ互いに直交する吸収軸を有する直線偏光レンズである、又は互いに反対向きの円偏光レンズである、偏光メガネを着用した観察者に対して表示すること、
を含む立体画像の提供方法。
[14] [1]〜[4]のいずれかの印画紙の第1及び第2の配向膜のそれぞれの表面に、同時に又は別々に、少なくとも有機溶媒及び該有機溶媒に溶解した少なくとも1種の液晶性二色性色素を含有する液晶性二色性色素組成物を、視差のある左眼用及び右眼用の画像様にそれぞれ塗布すること;並びに
該組成物中の有機溶媒を蒸発させることにより、前記少なくとも1種の液晶性二色性色素を、第1及び第2の配向膜のそれぞれの配向軸に従って配向させて、第1及び第2の二色性色素層を形成すること;
を含む立体画像印刷物の製造方法。
[15] 前記液晶性二色性色素組成物を、インクジェット法により塗布することを特徴とする[14]の方法。
[16] 前記少なくとも1種の液晶性二色性色素が、前記一般式(I)、前記一般式(II)、前記一般式(III)、前記一般式(IV)、又は前記一般式(V)で表わされる化合物であることを特徴とする[14]又は[15]の方法。
[17] [1]〜[10]のいずれかの立体画像印刷物を準備すること、
該立体画像印刷物を、左眼用及び右眼用のレンズが、それぞれ互いに直交する吸収軸を有する直線偏光レンズである、又は互いに反対向きの円偏光レンズである、偏光メガネを着用した観察者に対して表示すること、
を含む立体画像の提供方法。
本発明によれば、立体画像印刷物のクロストーク及びゴースト像を軽減することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
なお、本明細書では、「可視光」とは、380nm〜780nmのことをいう。また、本明細書では、測定波長について特に付記がない場合は、測定波長は550nmである。
また、本明細書において、角度(例えば「90°」等の角度)、及びその関係(例えば「直交」、「平行」、及び「45°で交差」等)については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、厳密な角度±10°未満の範囲内であることなどを意味し、厳密な角度との誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
なお、本明細書では、「可視光」とは、380nm〜780nmのことをいう。また、本明細書では、測定波長について特に付記がない場合は、測定波長は550nmである。
また、本明細書において、角度(例えば「90°」等の角度)、及びその関係(例えば「直交」、「平行」、及び「45°で交差」等)については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、厳密な角度±10°未満の範囲内であることなどを意味し、厳密な角度との誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
本発明は、配向能のある液晶性二色性色素を配向させることにより、左眼用及び右眼用の二色性画像を形成することに一つの特徴がある。この特徴により、非液晶性の二色性色素を利用して、分子配向されたシートに浸透させ、当該分子配向に沿って二色性色素を追従的に配向させた従来例と比較して、高い二色比の二色性画像が形成でき、その結果、クロストーク及びゴースト像を軽減することができる。以下、本発明の立体画像印刷用印画紙、立体画像印刷物、立体画像印刷物の製造方法をそれぞれ説明する。
なお、本明細書では、「クロストーク」及び「ゴースト像」とは、左右画像の分離が不完全である場合に、二重像として認識されること、及び目的画像以外の像として認識されることをいう。
なお、本明細書では、「クロストーク」及び「ゴースト像」とは、左右画像の分離が不完全である場合に、二重像として認識されること、及び目的画像以外の像として認識されることをいう。
1.立体画像印刷用印画紙
本発明は、透明支持体、並びに該透明支持体の表面及び裏面にそれぞれ、第1及び第2の配向膜を有し、前記第1及び第2の配向膜のそれぞれの配向軸が互いに直交であることを特徴とする立体画像用印画紙に関する。本発明の印画紙の第1及び第2の配向膜のそれぞれに、液晶性二色性色素を画像様に塗布すると、該液晶性二色性色素の分子は、第1及び第2の配向膜の配向軸(例えば、ラビング配向膜の場合は、ラビング処理の方向であり、及び光配向膜の場合は、光照射方向等)に従って、液晶性二色性色素が配向し、二色性画像となる。第1及び第2の配向膜のそれぞれに、視差のある左眼用二色性画像及び右眼用二色性画像を形成すれば、偏光メガネを装着し、左眼用二色性画像のみを左眼で、右眼用二色性画像を右眼で観察可能な観察者が観察すると、立体画像として認識することができる。
本発明は、透明支持体、並びに該透明支持体の表面及び裏面にそれぞれ、第1及び第2の配向膜を有し、前記第1及び第2の配向膜のそれぞれの配向軸が互いに直交であることを特徴とする立体画像用印画紙に関する。本発明の印画紙の第1及び第2の配向膜のそれぞれに、液晶性二色性色素を画像様に塗布すると、該液晶性二色性色素の分子は、第1及び第2の配向膜の配向軸(例えば、ラビング配向膜の場合は、ラビング処理の方向であり、及び光配向膜の場合は、光照射方向等)に従って、液晶性二色性色素が配向し、二色性画像となる。第1及び第2の配向膜のそれぞれに、視差のある左眼用二色性画像及び右眼用二色性画像を形成すれば、偏光メガネを装着し、左眼用二色性画像のみを左眼で、右眼用二色性画像を右眼で観察可能な観察者が観察すると、立体画像として認識することができる。
本発明の印画紙の一例の断面模式図を図1に示す。図1に示す印画紙10は、透明支持体12、並びにその表面及び裏面のそれぞれに、第1の配向膜14L及び第2の配向膜14Rを有する。第1の配向膜14Lの配向軸16L、及び第2の配向膜14Rの配向軸は互いに直交である。一例を、それぞれの配向軸を同一面に投影した模式図として図2に示す。図2に示す例は、第1の配向膜の配向軸16Lが−45°の方向、第2の配向膜14Rの配向軸16Rが+45°の方向で、90°をなす例である。
透明支持体:
本発明の印画紙が有する支持体は、透明である。具体的には、光透過率が70%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましく、90%以上であるのが特に好ましい。第1及び第2の配向膜上に形成される二色性画像の偏光性に影響を与えないためには、支持体は低位相差であるのが好ましく、具体的には、可視光に対して面内のレターデ−ション値(Re)が10nm以下であるのが好ましく、5nm以下であるのがより好ましく、2nm以下であるのが特に好ましい。低位相差フィルム、又は光学的等方性フィルムの材料となり得るポリマーの具体例及び好ましい態様について、特開2002−22942号公報の段落番号[0013]の記載を適用できる。また、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであっても国際公開WO00/26705号公報に記載の分子を修飾することで該発現性を低下させたものを用いることもできる。
本発明の印画紙が有する支持体は、透明である。具体的には、光透過率が70%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましく、90%以上であるのが特に好ましい。第1及び第2の配向膜上に形成される二色性画像の偏光性に影響を与えないためには、支持体は低位相差であるのが好ましく、具体的には、可視光に対して面内のレターデ−ション値(Re)が10nm以下であるのが好ましく、5nm以下であるのがより好ましく、2nm以下であるのが特に好ましい。低位相差フィルム、又は光学的等方性フィルムの材料となり得るポリマーの具体例及び好ましい態様について、特開2002−22942号公報の段落番号[0013]の記載を適用できる。また、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであっても国際公開WO00/26705号公報に記載の分子を修飾することで該発現性を低下させたものを用いることもできる。
上記透明支持体として、セルロースアシレート系フィルムを用いることもできる。低位相差のセルロースアシレート系フィルムとしては、酢化度が55.0〜62.5%であるセルロースアセテートを主成分とするフィルムが好ましい。特に酢化度が57.0〜62.0%であることが好ましい。酢化度、及びその範囲、並びにセルロースアセテートの化学構造は、特開2002−196146号公報の段落番号[0021]の記載を適用できる。セルロースアシレートフィルムを、非塩素系溶媒を用いて製造することについて、発明協会公開技報2001−1745号に詳しく記載されており、そこに記載されたセルロースアシレート系フィルムも本発明に好ましく用いることができる。
セルロースアシレート系フィルムは、調製されたセルロースアシレート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりを製造することが好ましい。調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)を用いて、ドープの2層以上流延によるフィルム化もできる。フィルムの形成は、特開2002−139621号公報の段落番号[0038]〜[0040]の記載を適用できる。溶融製膜法により製造したフィルムを用いることもできる。
セルロースアシレート系フィルムには、機械的物性を改良するため、又は乾燥速度を向上するため、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、特開2002−139621号公報の段落番号[0043]の態様、及び好ましい範囲が本発明に適用できる。
また、セルロースアシレート系フィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)や紫外線防止剤を添加してもよい。劣化防止剤については、特開2002−139621号公報の段落番号[0044]の記載を適用できる。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を挙げることができる。紫外線防止剤については、特開平7−11056号公報に記載がある。
また、セルロースアシレート系フィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)や紫外線防止剤を添加してもよい。劣化防止剤については、特開2002−139621号公報の段落番号[0044]の記載を適用できる。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を挙げることができる。紫外線防止剤については、特開平7−11056号公報に記載がある。
第1及び第2の配向膜との接着性を改善するために、表面処理されたセルロースアシレート系フィルムを透明支持体として用いることもできる。セルロースアシレート系フィルムの表面処理、及び固体の表面エネルギーについては、特開2002−196146号公報の段落番号[0051]〜[0052]の記載を適用できる。
また、第1及び第2の配向膜との接着性を改善するために、透明支持体の表面裏面に、易接着層を形成してもよい。
また、第1及び第2の配向膜との接着性を改善するために、透明支持体の表面裏面に、易接着層を形成してもよい。
前記透明支持体としては、その他、シクロオレフィン系ポリマーフィルム、アクリル系ポリマーフィルム、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、アミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、又は前記ポリマーを混合したポリマーを例としてあげられる。また本発明の高分子フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の紫外線硬化型、熱硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
また、本発明の透明支持体を形成する材料としては、熱可塑性ノルボルネン系樹脂も好ましく用いることが出来る。熱可塑性ノルボルネン系樹脂としては、日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製のアートン等があげられる。このように、市販されているポリマーフィルムをそのまま利用することもできる。
前記支持体の厚さについては特に制限はないが、通常5〜500μmの範囲であり、さらに20〜250μmの範囲が好ましく、特に30〜180μmの範囲が最も好ましい。なお、光学用途としては30〜110μmの範囲が特に好ましい。
配向膜:
本発明の印画紙は、第1及び第2の配向膜を有する。ここで、「配向膜」とは、液晶分子の配向規制能を有する膜を意味する。配向膜にはそれぞれ、液晶分子を配向規制する配向軸があり、当該配向軸に従って、液晶分子は配向する。一例では、液晶分子は、その長軸を当該配向軸に対して平行にして配向し、また他の例では、液晶分子は、その長軸を当該配向軸に対して直交にして配向する。本発明の印画紙を用いた立体画像印刷物の製造方法では、液晶性二色性色素が第1及び第2の配向膜中に浸透することは必要ではない。液晶性二色性色素は自らの配向能により、第1及び第2の配向膜の規制力によって、その配向軸に従って配向する。よって、画像形成に利用する液晶性二色性色素との組合せで、配向膜の材料を決定する必要はなく、本発明では、例えば、第1及び第2の配向膜は親水性ポリマーを主成分とする態様であっても、疎水性の液晶性二色性色素により画像を形成することができる。
本発明の印画紙は、第1及び第2の配向膜を有する。ここで、「配向膜」とは、液晶分子の配向規制能を有する膜を意味する。配向膜にはそれぞれ、液晶分子を配向規制する配向軸があり、当該配向軸に従って、液晶分子は配向する。一例では、液晶分子は、その長軸を当該配向軸に対して平行にして配向し、また他の例では、液晶分子は、その長軸を当該配向軸に対して直交にして配向する。本発明の印画紙を用いた立体画像印刷物の製造方法では、液晶性二色性色素が第1及び第2の配向膜中に浸透することは必要ではない。液晶性二色性色素は自らの配向能により、第1及び第2の配向膜の規制力によって、その配向軸に従って配向する。よって、画像形成に利用する液晶性二色性色素との組合せで、配向膜の材料を決定する必要はなく、本発明では、例えば、第1及び第2の配向膜は親水性ポリマーを主成分とする態様であっても、疎水性の液晶性二色性色素により画像を形成することができる。
本発明には、いずれの配向規制能を有する配向膜を用いてもよい。また、第1及び第2の配向膜は、その上で、二色性色素の分子を所望の配向状態とすることができるのであれば、どのような材料からなっていてもよい。有機化合物(好ましくはポリマー)からなる膜の表面をラビング処理してなるラビング配向膜が代表例として挙げられるが、それ以外にも、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、及びラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、形成することができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向規制力が生じる配向膜も知られている。中でも、本発明では、配向膜のプレチルト角の制御し易さの点からは、ラビング処理により形成するラビング配向膜が好ましく、配向の均一性の点からは光照射により形成する光配向膜が好ましい。
・ラビング配向膜
ラビン配向膜は、一般的にはポリマーを主成分とする。配向膜用ポリマー材料としては、多数の文献に記載があり、多数の市販品を入手することができる。本発明において第1及び第2の配向膜の形成に利用されるポリマー材料は、ポリビニルアルコール又はポリイミド、及びその誘導体が好ましい。特にポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコールは、種々の鹸化度のものが存在する。本発明では、鹸化度85〜99程度のものを用いるのが好ましい。市販品を用いてもよく、例えば、「PVA103」、「PVA203」(クラレ社製)等は、上記鹸化度のPVAである。ラビング配向膜については、WO01/88574A1号公報の43頁24行〜49頁8行の記載を参照することができる。
ラビング配向膜の厚さは、0.01〜10μmであることが好ましく、0.01〜1μmであることがさらに好ましい。
ラビン配向膜は、一般的にはポリマーを主成分とする。配向膜用ポリマー材料としては、多数の文献に記載があり、多数の市販品を入手することができる。本発明において第1及び第2の配向膜の形成に利用されるポリマー材料は、ポリビニルアルコール又はポリイミド、及びその誘導体が好ましい。特にポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコールは、種々の鹸化度のものが存在する。本発明では、鹸化度85〜99程度のものを用いるのが好ましい。市販品を用いてもよく、例えば、「PVA103」、「PVA203」(クラレ社製)等は、上記鹸化度のPVAである。ラビング配向膜については、WO01/88574A1号公報の43頁24行〜49頁8行の記載を参照することができる。
ラビング配向膜の厚さは、0.01〜10μmであることが好ましく、0.01〜1μmであることがさらに好ましい。
ラビング処理は、一般にはポリマーを主成分とする膜の表面を、紙や布で一定方向に数回擦ることにより実施することができる。ラビング処理により形成される配向膜は、ラビング処理方向に平行な配向軸を有する。例えば、図2に示す配向軸を有する第1及び第2の配向膜はそれぞれ、−45°及び+45°の方向にラビング処理することで形成することができる。ラビング処理の一般的な方法については、例えば、「液晶便覧」(丸善社発行、平成12年10月30日)に記載されている。
ラビング密度を変える方法としては、「液晶便覧」(丸善社発行)に記載されている方法を用いることができる。ラビング密度(L)は、下記式(A)で定量化されている。
式(A) L=Nl(1+2πrn/60v)
式(A)中、Nはラビング回数、lはラビングローラーの接触長、rはローラーの半径、nはローラーの回転数(rpm)、vはステージ移動速度(秒速)である。
ラビング密度を変える方法としては、「液晶便覧」(丸善社発行)に記載されている方法を用いることができる。ラビング密度(L)は、下記式(A)で定量化されている。
式(A) L=Nl(1+2πrn/60v)
式(A)中、Nはラビング回数、lはラビングローラーの接触長、rはローラーの半径、nはローラーの回転数(rpm)、vはステージ移動速度(秒速)である。
ラビング密度を高くするためには、ラビング回数を増やす、ラビングローラーの接触長を長く、ローラーの半径を大きく、ローラーの回転数を大きく、ステージ移動速度を遅くすればよく、一方、ラビング密度を低くするためには、この逆にすればよい。
ラビング密度と配向膜のプレチルト角との間には、ラビング密度を高くするとプレチルト角は小さくなり、ラビング密度を低くするとプレチルト角は大きくなる関係がある。本発明では、液晶性二色性色素により二色性画像を形成する際に、プレチルト角の小さい、均一な水平配向となるように、ラビング密度が高い条件でラビング処理するのが好ましい。即ち、上記式から算出されるラビング密度Lが、10mm〜1000mmであるのが好ましく、50mm〜500mmであるのがより好ましい。
ラビング密度と配向膜のプレチルト角との間には、ラビング密度を高くするとプレチルト角は小さくなり、ラビング密度を低くするとプレチルト角は大きくなる関係がある。本発明では、液晶性二色性色素により二色性画像を形成する際に、プレチルト角の小さい、均一な水平配向となるように、ラビング密度が高い条件でラビング処理するのが好ましい。即ち、上記式から算出されるラビング密度Lが、10mm〜1000mmであるのが好ましく、50mm〜500mmであるのがより好ましい。
・光配向膜
光照射により形成される配向膜に用いられる光配向材料としては、多数の文献等に記載がある。本発明では、例えば、特開2006−285197号公報、特開2007−76839号公報、特開2007−138138号公報、特開2007−94071号公報、特開2007−121721号公報、特開2007−140465号公報、特開2007−156439号公報、特開2007−133184号公報、特開2009−109831号公報、特許第3883848号、特許第4151746号に記載のアゾ化合物、特開2002−229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002−265541号公報、特開2002−317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミド及び/又はアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号、特許第4205198号に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003−520878号公報、特表2004−529220号公報、特許第4162850号に記載の光架橋性ポリイミド、ポリアミド、又はエステルが好ましい例として挙げられる。特に好ましくは、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、ポリアミド、又はエステルである。
光照射により形成される配向膜に用いられる光配向材料としては、多数の文献等に記載がある。本発明では、例えば、特開2006−285197号公報、特開2007−76839号公報、特開2007−138138号公報、特開2007−94071号公報、特開2007−121721号公報、特開2007−140465号公報、特開2007−156439号公報、特開2007−133184号公報、特開2009−109831号公報、特許第3883848号、特許第4151746号に記載のアゾ化合物、特開2002−229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002−265541号公報、特開2002−317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミド及び/又はアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号、特許第4205198号に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003−520878号公報、特表2004−529220号公報、特許第4162850号に記載の光架橋性ポリイミド、ポリアミド、又はエステルが好ましい例として挙げられる。特に好ましくは、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、ポリアミド、又はエステルである。
上記材料から形成した光配向膜に、直線偏光又は非偏光照射を施し、配向規制力を発現させる。光配向膜は、光照射方向に沿った配向軸を有する。
本明細書において、「直線偏光照射」とは、前記光配向材料に光反応を生じせしめるための操作である。用いる光の波長は、用いる光配向材料により異なり、その光反応に必要な波長であれば特に限定されるものではない。好ましくは、光照射に用いる光のピーク波長が200nm〜700nmであり、より好ましくは光のピーク波長が400nm以下の紫外光である。
本明細書において、「直線偏光照射」とは、前記光配向材料に光反応を生じせしめるための操作である。用いる光の波長は、用いる光配向材料により異なり、その光反応に必要な波長であれば特に限定されるものではない。好ましくは、光照射に用いる光のピーク波長が200nm〜700nmであり、より好ましくは光のピーク波長が400nm以下の紫外光である。
光照射に用いる光源は、通常使われる光源、例えばタングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、水銀ランプ、水銀キセノンランプ、カーボンアークランプ等のランプ、各種のレーザー(例、半導体レーザー、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、YAGレーザー)、発光ダイオード、陰極線管などを挙げることができる。
直線偏光を得る手段としては、偏光板(例、ヨウ素偏光板、二色色素偏光板、ワイヤーグリッド偏光板)を用いる方法、プリズム系素子(例、グラントムソンプリズム)やブリュースター角を利用した反射型偏光子を用いる方法、又は偏光を有するレーザー光源から出射される光を用いる方法が採用できる。また、フィルタや波長変換素子等を用いて必要とする波長の光のみを選択的に照射してもよい。
照射する光は、直線偏光の場合、配向膜に対して上面、又は裏面から配向膜表面に対して垂直、又は斜めから光を照射する方法が採用される。前記光の入射角度は、前記光配向材料によって異なるが、例えば、0〜90°(垂直)、好ましくは40〜90である。例えば、図2に示す関係の配向軸を有する第1及び第2の配向膜を直線偏光を照射した光配向膜から形成する一例では、図3に示す通り、第1の配向膜を形成する際は、配向膜面に対して垂直で且つ配向膜面内−45°方位の第1の入射面と平行な方向から光を照射し、第2の配向膜を形成する際は、配向膜面に対して垂直で且つ配向膜面内+45°方位の第2の入射面と平行な方向から光を照射する。但し、この例に限定されるものではない。
また、非偏光を利用する場合には、斜めから非偏光を照射する。その入射角度は、10〜80°、好ましくは20〜60、特に好ましくは30〜50°である。
照射時間は好ましくは1分〜60分、さらに好ましくは1分〜10分である。
また、非偏光を利用する場合には、斜めから非偏光を照射する。その入射角度は、10〜80°、好ましくは20〜60、特に好ましくは30〜50°である。
照射時間は好ましくは1分〜60分、さらに好ましくは1分〜10分である。
印画紙の製造方法:
本発明の印画紙の製造方法の一例は、以下の通りである。
まず、透明支持体として利用する、ポリマーフィルムを準備する。次に、その表面及び裏面に、同時に又はそれぞれ、配向膜形成用組成物を塗布して、膜を形成する。形成された膜に対して、上記配向処理、例えば、ラビング処理又は光照射処理、を施して、配向規制力を発現させて、第1及び第2の配向膜をそれぞれ形成する。ラビング処理及び光照射処理等の配向処理の方向によって、それぞれの配向軸が決定するので、第1及び第2の配向膜の配向軸が所望の角度(90°)をなすように、処理の方向を決定する。
この様にして、本発明の印画紙を製造することができる。透明支持体となるポリマーフィルムとして長尺のポリマーフィルムを準備し、まずその表面に第1の配向膜を連続的に形成し、一旦、ロール形態に巻き取った後、次に、その裏面に第2の配向膜を連続的に形成してもよい。また、同時に連続的に第1及び第2の配向膜を形成してもよい。
本発明の印画紙の製造方法の一例は、以下の通りである。
まず、透明支持体として利用する、ポリマーフィルムを準備する。次に、その表面及び裏面に、同時に又はそれぞれ、配向膜形成用組成物を塗布して、膜を形成する。形成された膜に対して、上記配向処理、例えば、ラビング処理又は光照射処理、を施して、配向規制力を発現させて、第1及び第2の配向膜をそれぞれ形成する。ラビング処理及び光照射処理等の配向処理の方向によって、それぞれの配向軸が決定するので、第1及び第2の配向膜の配向軸が所望の角度(90°)をなすように、処理の方向を決定する。
この様にして、本発明の印画紙を製造することができる。透明支持体となるポリマーフィルムとして長尺のポリマーフィルムを準備し、まずその表面に第1の配向膜を連続的に形成し、一旦、ロール形態に巻き取った後、次に、その裏面に第2の配向膜を連続的に形成してもよい。また、同時に連続的に第1及び第2の配向膜を形成してもよい。
本発明の印画紙の厚みについては特に制限はなく、一般的な印画紙と同様、10〜1000μmであるのが好ましく、20〜200μmであるのがより好ましい。
また、本発明の印画紙は、全体として光透過性であることが好ましい。即ち、印画紙全体として、光透過率が70%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましく、90%以上であるのが特に好ましい。
また、本発明の印画紙は、全体として光透過性であることが好ましい。即ち、印画紙全体として、光透過率が70%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましく、90%以上であるのが特に好ましい。
2.立体画像印刷物及びその製造方法
本発明は、本発明の印画紙を利用した、立体画像印刷物及びその製造方法にも関する。まず、本発明の立体画像印刷物の製造方法について説明する。
本発明の立体画像印刷物の製造方法は、
本発明の印画紙の第1及び第2の配向膜のそれぞれの表面に、同時に又は別々に、少なくとも有機溶媒及び該有機溶媒に溶解した少なくとも1種の液晶性二色性色素を含有する液晶性二色性色素組成物を、視差のある左眼用画像様及び右眼用画像様にそれぞれ塗布すること(工程a);並びに
該組成物中の有機溶媒を蒸発させることにより、前記少なくとも1種の液晶性二色性色素を、第1及び第2の配向膜のそれぞれの配向軸に従って配向させて、第1及び第2の二色性色素層を形成すること(工程b);
を含む立体画像印刷物の製造方法である。以下、各工程について
本発明は、本発明の印画紙を利用した、立体画像印刷物及びその製造方法にも関する。まず、本発明の立体画像印刷物の製造方法について説明する。
本発明の立体画像印刷物の製造方法は、
本発明の印画紙の第1及び第2の配向膜のそれぞれの表面に、同時に又は別々に、少なくとも有機溶媒及び該有機溶媒に溶解した少なくとも1種の液晶性二色性色素を含有する液晶性二色性色素組成物を、視差のある左眼用画像様及び右眼用画像様にそれぞれ塗布すること(工程a);並びに
該組成物中の有機溶媒を蒸発させることにより、前記少なくとも1種の液晶性二色性色素を、第1及び第2の配向膜のそれぞれの配向軸に従って配向させて、第1及び第2の二色性色素層を形成すること(工程b);
を含む立体画像印刷物の製造方法である。以下、各工程について
まず、本発明の印画紙を準備する。印画紙の製造方法及び好ましい態様については、上記した通りである。
工程a:
本発明では、少なくとも有機溶媒及び該有機溶媒に溶解した少なくとも1種の液晶性二色性色素を含有する液晶性二色性色素組成物を用いて、視差のある左眼用画像様及び右眼用画像様にそれぞれ塗布する。塗布はいかなる方法で行ってもよいが、デジタル化された画像データに基づいて、印画紙に画像様に塗布する態様では、インクジェット法が適する。インクジェット法を利用した一例は、以下の通りである、
まず、画像データ処理装置によって、画像データが、視差のある左眼用画像データ及び右眼用画像データとしてデジタル化される。デジタル化された画像データの例には、デジタルカメラで撮影された画像のデータ、より具体的には、左右二系統の撮影レンズを備えたデジタルカメラで撮影した画像等のデジタルデータが含まれる。この画像データ処理装置に接続されたインクジェット装置には、前記液晶性二色性色素組成物がインクディスペンサーに格納されていて、画像データ処理装置から送信されるデジタル信号に応じて、インクジェットヘッドから前記組成物が吐出するように制御されている。インクジェットヘッドから吐出した前記組成物は、位置決めされて支持された前記印画紙の第1の配向膜又は第2の配向膜の所定の位置に着地して、二色性画像を形成する。
なお、第1及び第2の配向膜上への画像の形成は、同時に行っても、それぞれ別々に行ってもよく、それぞれの態様に適するように、インクジェット装置の機構が調整されるであろう。
本発明では、少なくとも有機溶媒及び該有機溶媒に溶解した少なくとも1種の液晶性二色性色素を含有する液晶性二色性色素組成物を用いて、視差のある左眼用画像様及び右眼用画像様にそれぞれ塗布する。塗布はいかなる方法で行ってもよいが、デジタル化された画像データに基づいて、印画紙に画像様に塗布する態様では、インクジェット法が適する。インクジェット法を利用した一例は、以下の通りである、
まず、画像データ処理装置によって、画像データが、視差のある左眼用画像データ及び右眼用画像データとしてデジタル化される。デジタル化された画像データの例には、デジタルカメラで撮影された画像のデータ、より具体的には、左右二系統の撮影レンズを備えたデジタルカメラで撮影した画像等のデジタルデータが含まれる。この画像データ処理装置に接続されたインクジェット装置には、前記液晶性二色性色素組成物がインクディスペンサーに格納されていて、画像データ処理装置から送信されるデジタル信号に応じて、インクジェットヘッドから前記組成物が吐出するように制御されている。インクジェットヘッドから吐出した前記組成物は、位置決めされて支持された前記印画紙の第1の配向膜又は第2の配向膜の所定の位置に着地して、二色性画像を形成する。
なお、第1及び第2の配向膜上への画像の形成は、同時に行っても、それぞれ別々に行ってもよく、それぞれの態様に適するように、インクジェット装置の機構が調整されるであろう。
前記液晶性二色性組成物の塗布時の温度は、好ましくは0℃以上、80℃以下、湿度は好ましくは10%RH以上、80%RH以下程度である。この範囲であると、塗布液が配向膜表面への着弾前に溶剤の乾燥が起こらず均一な塗布が可能になるので好ましい。
また、前記液晶性二色性色素を第1及び第2の配向膜にそれぞれ画像様に塗布するときには、印画紙を加温してもよいし冷却してもよい。このときの印画紙の第1及び第2の配向膜の温度は、好ましくは10℃以上60℃以下である。上限を上回ると、配向が乱れて乾燥する恐れがあり、下限を下回ると基材表面に水滴が付き塗布の障害になる恐れがある。
前記液晶性二色性組成物は、少なくとも有機溶媒及び該有機溶媒に溶解した少なくとも1種の液晶性二色性色素を含有する。インクジェット法による塗布が可能なように、液状組成物として調製するのが好ましい。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
前記液晶性二色性色素組成物の粘度は、0.5cP以上が好ましく、1cP以上がより好ましく、5cP以上がさらに好ましく、10cP以上が特に好ましい。前記組成物の表面張力は、20dyn/cm以上が好ましく、25dyn/cm以上がより好ましく、30dyn/cm以上がさらに好ましい。
前記液晶性二色性色素組成物の粘度は、0.5cP以上が好ましく、1cP以上がより好ましく、5cP以上がさらに好ましく、10cP以上が特に好ましい。前記組成物の表面張力は、20dyn/cm以上が好ましく、25dyn/cm以上がより好ましく、30dyn/cm以上がさらに好ましい。
また、前記液晶性二色性色素組成物における全固形分の含有量は、1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%がさらに好ましい。
本発明に利用可能な液晶性二色性色素については特に制限はない。本発明では、二色性色素として、それ自身が配向能を示す液晶化合物を少なくとも1種用いることが一つの特徴である。非液晶性の二色性色素を用いてもよいが、液晶性二色性色素の割合は二色性色素の全質量に対して、30%以上であることが好ましく、さらに好ましくは50%以上であり、特に好ましくは70%以上である。液晶性二色性色素の割合が高いほど、二色比が高まり、クロストークやゴースト像のより軽減が可能となるので好ましい。また、従前のGHモードで利用されているように、非着色性液晶化合物(高分子であっても低分子であってもよい)を添加することで、二色性色素の配向性がより改善される場合もあるが、非着色性液晶化合物の存在は、二色比を低下させる傾向があるので、添加しないほうが好ましい。よって、非着色性液晶化合物を含有する態様であっても、液晶性二色性色素の割合は組成物の固形分の全質量に対して、30%以上であることが好ましく、さらに好ましくは50%以上であり、特に好ましくは70%以上である。
本発明では、サーモトロピック液晶性、即ち、熱によって液晶相に転移して、液晶性を示す、二色性色素を用いる。好ましくは10〜300℃、より好ましくは100〜250℃でネマチック液晶相を示す二色性色素を用いる。特に、ネマチック液晶相より低温領域にスメクチックA液晶相を示すことが好ましく、その好ましい温度範囲は、10〜200℃、より好ましくは50〜200℃である。
該液晶性二色性色素は、ネマチック液晶性を有するアゾ系二色性色素であるのが好ましい。本発明において、「二色性色素」とは、方向によって吸光度が異なる色素を意味する。また、「二色性」および「二色比」は、二色性色素組成物を光吸収異方性膜としたときの、偏光軸方向の偏光の吸光度に対する、吸収軸方向の偏光の吸光度の比で計算される。
なお、本発明に利用可能な液晶性二色性色素の好ましい例については、後述する。
該液晶性二色性色素は、ネマチック液晶性を有するアゾ系二色性色素であるのが好ましい。本発明において、「二色性色素」とは、方向によって吸光度が異なる色素を意味する。また、「二色性」および「二色比」は、二色性色素組成物を光吸収異方性膜としたときの、偏光軸方向の偏光の吸光度に対する、吸収軸方向の偏光の吸光度の比で計算される。
なお、本発明に利用可能な液晶性二色性色素の好ましい例については、後述する。
工程b:
次に、第1及び第2の配向膜にインクジェット塗布等により塗布された前記組成物から、有機溶を蒸発させることにより、前記少なくとも1種の液晶性二色性色素を、第1及び第2の配向膜のそれぞれの配向軸に従って配向させて、第1及び第2の二色性色素層を形成する。乾燥時には、色素分子の配向状態を乱さない(熱緩和等を避ける)ようにすることが好ましく、その観点では、乾燥温度は、好ましくは室温であり、即ち自然乾燥することが好ましい。一方、乾燥の際は、液晶性二色性色素の分子の配向を促進させるために、印画紙を加温してもよい。このときの印画紙(第1及び第2の配向膜)の温度は、好ましくは50℃〜200℃であり、特に好ましくは70℃〜180℃である。この配向温度を低下させるために、組成物に可塑剤等の添加剤を添加してもよい。
次に、第1及び第2の配向膜にインクジェット塗布等により塗布された前記組成物から、有機溶を蒸発させることにより、前記少なくとも1種の液晶性二色性色素を、第1及び第2の配向膜のそれぞれの配向軸に従って配向させて、第1及び第2の二色性色素層を形成する。乾燥時には、色素分子の配向状態を乱さない(熱緩和等を避ける)ようにすることが好ましく、その観点では、乾燥温度は、好ましくは室温であり、即ち自然乾燥することが好ましい。一方、乾燥の際は、液晶性二色性色素の分子の配向を促進させるために、印画紙を加温してもよい。このときの印画紙(第1及び第2の配向膜)の温度は、好ましくは50℃〜200℃であり、特に好ましくは70℃〜180℃である。この配向温度を低下させるために、組成物に可塑剤等の添加剤を添加してもよい。
この工程では、液晶性二色性色素の分子が、第1及び第2の配向膜のそれぞれの配向軸に従って、配向する。第1及び第2の配向膜のそれぞれの配向軸が、例えば、それぞれ−45°及び+45°の方向にあり、90°の角度をなしている態様であって、前記液晶性二色性色素の分子が長軸方向に吸収軸を有し、長軸を配向軸に平行にして配向する態様では、第1の配向膜上には、−45°の方向に吸収軸のある第1の二色性色素層が形成され、第2の配向膜上には、+45°の方向に吸収軸のある第2の二色性色素層が形成される。それぞれは、視差のある左眼用画像及び右眼用画像を構成し、観察者が、左眼で左眼用画像のみを、右眼で右眼用画像のみを見ることにより、立体画像として認識することができる。
前記工程bでは、液晶性二色性色素の分子は、第1及び第2の配向膜の平面に対して水平配向しているのが好ましい。配向状態の液晶相は、ネマチック相、スメクチック相、及びそれらの中間のいずれであってもよい。
前記工程bの後に、第1及び第2の二色性色素層のそれぞれの上に、他の機能層を形成する工程を実施することもできる。他の機能層は、例えば、第1及び第2の二色性色素層の経時劣化を防止する目的で、又はより広視野角の範囲で、観察者に立体画像を表示可能とする目的等のために、形成される。これら機能層の詳細については、後述する。
上記方法により製造される、本発明の立体画像印刷物の一例の断面模式図を図4に示す。なお、図1中に示す部材と同一の部材については、それぞれ同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。図5〜図7においても同様である。
図4に示す立体画像印刷物は、印画紙10、並びに印画紙10が有する第1及び第2の配向膜14L、14Rのそれぞれの上に、視差のある左眼用画像及び右眼用画像を構成する第1及び第2の二色性色素層18L、18Rを有する立体画像印刷物である。第1の配向膜14L及び第2の配向膜14Rの配向軸は、それぞれ図2に示す通り、+45°及び−45°の方向であり、90°の角度をなしていて、第1及び第2の二色性色素層18L、18R中の二色性色素はそれぞれ、その下の配向膜のそれぞれの配向軸14L及び14Rの方向に従って配向している。二色性色素層18L、18R中の二色性色素は、長軸方向に吸収軸を有し、且つその長軸を配向軸に平行にして水平配向しているので、第1の二色性色素層18Lの吸収軸は、−45°の方向になり、及び第2の二色性色素層18Rの吸収軸は+45°の方向になり、即ち、互いの吸収軸は直交している。
図4に示す立体画像印刷物は、印画紙10、並びに印画紙10が有する第1及び第2の配向膜14L、14Rのそれぞれの上に、視差のある左眼用画像及び右眼用画像を構成する第1及び第2の二色性色素層18L、18Rを有する立体画像印刷物である。第1の配向膜14L及び第2の配向膜14Rの配向軸は、それぞれ図2に示す通り、+45°及び−45°の方向であり、90°の角度をなしていて、第1及び第2の二色性色素層18L、18R中の二色性色素はそれぞれ、その下の配向膜のそれぞれの配向軸14L及び14Rの方向に従って配向している。二色性色素層18L、18R中の二色性色素は、長軸方向に吸収軸を有し、且つその長軸を配向軸に平行にして水平配向しているので、第1の二色性色素層18Lの吸収軸は、−45°の方向になり、及び第2の二色性色素層18Rの吸収軸は+45°の方向になり、即ち、互いの吸収軸は直交している。
配向膜は直交配向膜であってもよく、即ち、配向軸と二色性色素の長軸とは直交していてもよい。また、二色性色素として、長軸方向ではなく、短軸方向に吸収の高い二色性色素を利用することもできる。配向膜や二色性色素については、第1及び第2の二色性色素の吸収軸が直交するように、それぞれ選択すればよい。
この立体画像印刷物を、第1及び第2の二色性色素層18L、18Rの吸収軸と、左眼用及び右眼用の直線偏光レンズの吸収軸とがそれぞれ一致した、偏光メガネを装着した観察者が観察すると、左眼の直線偏光レンズを介しては、吸収軸が一致した第1の二色性色素層18Lの画像のみが観察でき、且つ右眼の直線偏光レンズを介しては、吸収軸が一致した第2の二色性色素18Rの画像のみが観察できるので、これらの視差のある画像を立体画像として認識する。第1及び第2の二色性色素層18L、18R中の二色性色素は、液晶化合物であり、自らの配向能によって配向して、それぞれの高い二色比の画像を形成している。よって、従来の非液晶性の二色性色素を利用した立体画像印刷物と比較して、左右画像の分離がより完全であり、クロストーク及びゴースト像が軽減されている。
なお、図4に示す態様については、観察者は、第1及び第2の二色性色素層18L、18Rのいずれの側から観察してもよい。
なお、図4に示す態様については、観察者は、第1及び第2の二色性色素層18L、18Rのいずれの側から観察してもよい。
視差のある左眼用画像及び右眼用画像をそれぞれ構成する、第1及び第2の二色性色素層は、色素層の厚み方向及び任意の直交する面内2方向の立体座標系における合計3方向から選ばれる任意の2方向における電磁気学的性質に異方性を有する色素層である。電磁気学的性質としては、吸収、屈折などの光学的性質、抵抗、容量などの電気的性質などが挙げられる。吸収、屈折などの光学的異方性を有する膜としては、例えば、直線偏光膜、円偏光膜、位相差膜、抵抗率異方性膜などがある。本発明における二色性色素層は、吸収異方性のある層を意味する。
本発明の立体画像印刷物では、前記二色性色素層が、X線回折測定において、配向軸垂直方向の周期構造に由来する回折ピークを示し、該回折ピークの少なくとも一つが表す周期が3.0〜15.0Åであり、且、該回折ピークの強度が、配向軸に垂直な面内の膜法線方向±70°の範囲で極大値を示さないことも好ましい態様である。
ここで配向軸とは、二色性色素層が直線偏光に対して最も大きな吸光度を示す方向を意味し、通常、配向処理を行なった方向と一致する。例えば、二色性色素組成物の水平配向を固定した膜では、配向軸は、膜面内の軸であって、配向処理方向(本発明でラビング配向膜を利用した場合、そのラビング方向と一致し、光配向膜を利用した場合、光配向膜への光照射により発現する複屈折率の最も大きい方向と一致する)と一致する。
一般に、二色性色素層を形成するアゾ系二色性色素はアスペクト比(=分子長軸長/分子短軸長)の大きな棒状分子であり、分子長軸方向とほぼ一致する方向に、可視光を吸収する遷移モーメントが存在する(非特許文献 Dichroic Dyes for Liquid Crystal Displays)。そのため、二色性色素の分子長軸と配向軸のなす角度が平均して小さく、ばらつきが小さいほど、二色性色素層は高い二色比を示す。
前記二色性色素層は、配向軸垂直方向の周期に由来する回折ピークを示すことが好ましい。該周期は、例えば、分子長軸を配向軸方向にそろえて配向した二色性色素の、分子短軸方向の分子間距離に対応し、本発明では、その範囲は3.0〜15.0Åが好ましく、より好ましくは3.0〜10.0Åであり、さらに好ましくは3.0〜6.0Åであり、特に好ましくは3.3〜5.5Åである。
前記二色性色素層は、上記回折ピークについて、配向軸に垂直な面内の膜法線方向±70°の範囲で強度分布を測定したとき、極大値を示さないことも好ましい。該測定において回折ピークの強度が極大値を示した場合、それは配向軸垂直方向すなわち分子短軸方向のパッキングに異方性があることを示している。このような集合状態として具体的には、結晶、ヘキサチック相、クリスタル相などが挙げられる(非特許文献 液晶便覧)。パッキングに異方性があると、不連続なパッキングによってドメインと粒界を生じ、ヘイズの発生やドメインごとの配向乱れ、偏光解消を招く恐れがあり好ましくない。本発明の二色性色素層は配向軸垂直方向のパッキングに異方性がないため、ドメインと粒界を生じることなく、均一な膜を形成する。このような集合状態として具体的には、ネマチック相、スメクチックA相、これらの相の過冷却状態などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、複数の集合状態が混在して、全体として、上記回折ピークの特徴を示す態様であってもよい。
前記二色性色素層は、一般に膜に垂直又は垂直に近い角度で入射する光に対して用いられるため、面内方向に高い二色比を有することが好ましい。そのため、二色性色素層は面内方向に周期構造を有し、該周期構造に由来する回折ピークを示すことが好ましい。
前記二色性色素層は、配向軸平行方向の周期に由来する回折ピークを示すことが好ましい。特に、配向軸垂直方向に隣接した分子が層を形成し、該層が配向軸平行方向に積層していることが好ましい。このような集合状態は、ネマチック相より高秩序なスメクチック相に類似のものであり、高い二色比が得られる。該周期は例えば、分子長又はその2倍に対応する場合を含み、その範囲は3.0〜50.0Åであり、好ましくは10.0〜45.0Åであり、より好ましくは15.0〜40.0Åであり、さらに好ましくは25.0〜35.0Åである。
前記二色性色素層が示す回折ピークは、半値幅が1.0Å以下であることが好ましい。
ここで半値幅とは、X線回折測定の一つの回折ピーク内において、ベースラインを基準としたピーク頂点の強度を求め、ピーク頂点の左右に一つずつある、該強度の半分の強度を示す2点をとり、2点のそれぞれが示す周期の値の差をとった値のことである。
ここで半値幅とは、X線回折測定の一つの回折ピーク内において、ベースラインを基準としたピーク頂点の強度を求め、ピーク頂点の左右に一つずつある、該強度の半分の強度を示す2点をとり、2点のそれぞれが示す周期の値の差をとった値のことである。
X線回折測定において回折ピークを示し、その半値幅が1.0Å以下である二色性色素層は、以下の理由により高い二色比を示すと推測される。
二色性色素の分子長軸と配向軸のなす角度のばらつきが大きいと、分子間距離のばらつきも大きくなる。すると、周期構造がある場合、その周期の値もばらつき、X線回折測定で得られる回折ピークはブロードになって大きな半値幅を示すことになる。
これに対し、回折ピークの半値幅が一定値以下であるシャープなピークであるということは分子間距離のばらつきが小さく、二色性色素の分子長軸と配向軸のなす角度が平均して小さいこと、すなわち高秩序に配向していることを意味し、高い二色比を発現すると推測される。
二色性色素の分子長軸と配向軸のなす角度のばらつきが大きいと、分子間距離のばらつきも大きくなる。すると、周期構造がある場合、その周期の値もばらつき、X線回折測定で得られる回折ピークはブロードになって大きな半値幅を示すことになる。
これに対し、回折ピークの半値幅が一定値以下であるシャープなピークであるということは分子間距離のばらつきが小さく、二色性色素の分子長軸と配向軸のなす角度が平均して小さいこと、すなわち高秩序に配向していることを意味し、高い二色比を発現すると推測される。
本発明では、前記回折ピークの半値幅は、1.0Å以下であり、好ましくは0.90Å以下、より好ましくは0.70Å以下、さらに好ましくは0.50Å以下であり、好ましくは0.05Å以上である。半値幅が上限を上回ると、色素の分子間距離のばらつきが大きくなり、高秩序な配向が阻害され好ましくない。またこれが下限を下回ると、配向ひずみを生じやすくなってドメインと粒界を生じ、ヘイズの発生やドメインごとの配向乱れ、偏光解消を招く恐れがあり好ましくない。
二色性色素層の回折ピークの周期及び半値幅は、薄膜評価用X線回折装置(リガク社製、商品名:「ATX−G」インプレーン光学系)、又はこれと同等の装置で測定されるX線プロファイルから得られる
本発明に係る二色性色素層のX線回折測定は、例えば次の手順により行われる。
まず、二色性色素層について、15°刻みで全方向のインプレーン測定を実施する。ピークが観測された角度を固定したまま、サンプルを基板に平行な面内で回転して測定する所謂φスキャンにより、ピーク強度が大きい基板平面内における向きを決定する。得られた向きにおけるインプレーン測定のピークを用いて、周期、半値幅を求めることができる。
まず、二色性色素層について、15°刻みで全方向のインプレーン測定を実施する。ピークが観測された角度を固定したまま、サンプルを基板に平行な面内で回転して測定する所謂φスキャンにより、ピーク強度が大きい基板平面内における向きを決定する。得られた向きにおけるインプレーン測定のピークを用いて、周期、半値幅を求めることができる。
乾燥後の前記二色性色素層の厚さは、0.01〜2μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがさらに好ましく、0.1〜2μmであることがよりさらに好ましい。
本発明の立体画像印刷物の他の例の断面模式図を図5に示す。
図5に示す立体画像印刷物は、図4の立体画像印刷物の第1及び第2の二色性色素層の上に、酸素遮断層20をそれぞれ配置した態様である。酸素遮断層20は、酸素が二色性色素層18L、18Rに侵入して、二色性色素等を劣化、退色させるのを防止する、酸素遮断能を有する層である。よって、酸素遮断層20を有する本実施形態の立体画像印刷物は、図4に示す立体画像印刷物と同様、クロストーク及びゴースト像が軽減されているとともに、耐久性、特に光堅牢性の観点でも優れている。また、酸素遮断層20は、塗布時及び塗布後の保存時における、層間の成分の混合を防止するのに寄与する中間層としても利用してもよい。該中間層については、特開平5−72724号公報に「分離層」として記載されていて、参照することができる。
図5に示す立体画像印刷物は、図4の立体画像印刷物の第1及び第2の二色性色素層の上に、酸素遮断層20をそれぞれ配置した態様である。酸素遮断層20は、酸素が二色性色素層18L、18Rに侵入して、二色性色素等を劣化、退色させるのを防止する、酸素遮断能を有する層である。よって、酸素遮断層20を有する本実施形態の立体画像印刷物は、図4に示す立体画像印刷物と同様、クロストーク及びゴースト像が軽減されているとともに、耐久性、特に光堅牢性の観点でも優れている。また、酸素遮断層20は、塗布時及び塗布後の保存時における、層間の成分の混合を防止するのに寄与する中間層としても利用してもよい。該中間層については、特開平5−72724号公報に「分離層」として記載されていて、参照することができる。
前記酸素遮断層は、低い酸素透過性を示し、水又はアルカリ水溶液に分散又は溶解するものが好ましく、公知のものの中から適宜選択することができる。これらの内、特に好ましいのは、ポリビニルアルコールを主成分とする成分から形成される膜である。中でも、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとを含有する組成物から形成される膜が好ましい。
酸素遮断層の層厚は0.1〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.5〜5μmであることが特に好ましい。
酸素遮断層の層厚は0.1〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.5〜5μmであることが特に好ましい。
本発明の立体画像印刷物の他の例の断面模式図を図6に示す。
図6に示す立体画像印刷物は、図5の立体画像印刷物の酸素遮断層の上に、硬化性樹脂組成物からなる透明樹脂硬化層22をそれぞれ配置した態様である。透明樹脂硬化層22は、立体画像印刷物に物理的強度及び耐久性の改善のために、又は、光学特性を付与するために配置される。よって、透明樹脂硬化層22を有する本実施形態の立体画像印刷物は、図4及び図5に示す立体画像印刷物と同様、クロストーク及びゴースト像が軽減されているとともに、物理的強度及び耐久性の観点でも優れている。
図6に示す立体画像印刷物は、図5の立体画像印刷物の酸素遮断層の上に、硬化性樹脂組成物からなる透明樹脂硬化層22をそれぞれ配置した態様である。透明樹脂硬化層22は、立体画像印刷物に物理的強度及び耐久性の改善のために、又は、光学特性を付与するために配置される。よって、透明樹脂硬化層22を有する本実施形態の立体画像印刷物は、図4及び図5に示す立体画像印刷物と同様、クロストーク及びゴースト像が軽減されているとともに、物理的強度及び耐久性の観点でも優れている。
透明樹脂硬化層:
透明樹脂硬化層の層厚は1〜30μmの範囲にあることが好ましく、1〜10μmであることが特に好ましい。
透明樹脂硬化層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。本発明における透明樹脂硬化層は、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む組成物を二色性色素層又は酸素遮断層等の表面に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。また、無機微粒子を含有することもできる。
透明樹脂硬化層の層厚は1〜30μmの範囲にあることが好ましく、1〜10μmであることが特に好ましい。
透明樹脂硬化層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。本発明における透明樹脂硬化層は、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む組成物を二色性色素層又は酸素遮断層等の表面に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。また、無機微粒子を含有することもできる。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等を挙げることができる。
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等を挙げることができる。
さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
前記組成物の硬化反応には、重合開始剤を用いるのが好ましく、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド及びチオキサントン類等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド及びチオキサントン類等が挙げられる。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のカヤキュア(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど、いずれも商品名)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,127,500,907,369,1173,2959,4265,4263など、いずれも商品名)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT、いずれも商品名)等が挙げられる。
特に、光開裂型の光ラジカル重合開始剤が好ましい。光開裂型の光ラジカル重合開始剤については、最新UV硬化技術(P.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)に記載されている。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,127,907、いずれも商品名)等が挙げられる。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,127,907、いずれも商品名)等が挙げられる。
光重合開始剤は、硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトン及びチオキサントンを挙げることができる。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA、いずれも商品名)などが挙げられる。
光重合反応は、透明樹脂硬化層の塗布及び乾燥後、紫外線照射により硬化反応させることが好ましい。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトン及びチオキサントンを挙げることができる。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA、いずれも商品名)などが挙げられる。
光重合反応は、透明樹脂硬化層の塗布及び乾燥後、紫外線照射により硬化反応させることが好ましい。
透明樹脂硬化層は、脆性の付与のために質量平均分子量が500以上のオリゴマー又はポリマー、あるいは両者を添加してもよい。
オリゴマー、ポリマーとしては、(メタ)アクリレート系、セルロース系、スチレン系の重合体や、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられる。好ましくは、側鎖に官能基を有するポリ(グリシジル(メタ)アクリレート)やポリ(アリル(メタ)アクリレート)等が挙げられる。
オリゴマー、ポリマーとしては、(メタ)アクリレート系、セルロース系、スチレン系の重合体や、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられる。好ましくは、側鎖に官能基を有するポリ(グリシジル(メタ)アクリレート)やポリ(アリル(メタ)アクリレート)等が挙げられる。
透明樹脂硬化層中のオリゴマー及びポリマーの合計量は、樹脂層の全質量に対し5〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは25〜70質量%、特に好ましくは35〜65質量%である。
透明樹脂硬化層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、JIS K7204に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
透明樹脂硬化層の形成において、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成される場合、架橋反応、又は、重合反応は酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で形成することにより、物理強度や耐久性に優れた透明樹脂硬化層を形成することができ、好ましい。
好ましくは酸素濃度が6体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成することであり、更に好ましくは酸素濃度が4体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、最も好ましくは1体積%以下である。
また、JIS K7204に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
透明樹脂硬化層の形成において、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成される場合、架橋反応、又は、重合反応は酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で形成することにより、物理強度や耐久性に優れた透明樹脂硬化層を形成することができ、好ましい。
好ましくは酸素濃度が6体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成することであり、更に好ましくは酸素濃度が4体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、最も好ましくは1体積%以下である。
酸素濃度を10体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
透明樹脂硬化層は、二色性色素層の表面に、透明樹脂硬化層形成用の塗布組成物を塗布することで構築することが好ましい。
透明樹脂硬化層は、二色性色素層の表面に、透明樹脂硬化層形成用の塗布組成物を塗布することで構築することが好ましい。
なお、図5及び図6に示す通り、二色性色素層上に酸素遮断層、及び透明樹脂硬化層等の1以上の機能層が配置されていてもよいが、これらの機能層のうち、光学特性に影響を与えずに、耐久性の改善等を目的として配置される層は、可視光に対して面内レターデーション(Re)が0〜10nmであることが好ましく、0〜5nmであることがより好ましく、0〜3nmであることが特に好ましい。二色性色素層の画像の二色比が、機能層の光学特性によって失われたり、又は吸収軸が変化するのを防止するためである。
本発明の立体画像印刷物の他の例の断面模式図を図7に示す。
図7に示す立体画像印刷物は、図6に示す立体画像印刷物の裏面の最外層に非偏光解消性の反射層24を配置した態様である。この態様では、外光の反射光により立体像を観察することができる。図7の立体画像印刷物では、偏光メガネを装着した観察者は、第1の二色性色素層18Lの上側から画像を観察する必要がある。しかし、観察者側に、左眼用画像を構成する二色性色素層が配置されている必要はなく、観察者側に、右眼用画像を構成する二色性色素層が配置された態様であっても、勿論よい。
図7に示す立体画像印刷物は、図6に示す立体画像印刷物の裏面の最外層に非偏光解消性の反射層24を配置した態様である。この態様では、外光の反射光により立体像を観察することができる。図7の立体画像印刷物では、偏光メガネを装着した観察者は、第1の二色性色素層18Lの上側から画像を観察する必要がある。しかし、観察者側に、左眼用画像を構成する二色性色素層が配置されている必要はなく、観察者側に、右眼用画像を構成する二色性色素層が配置された態様であっても、勿論よい。
反射層:
本態様に利用可能な非偏光解消性の反射層としては、例えば金属薄膜が被覆された紙、金属薄膜製鏡、金属箔、又はプラスチックに浮遊させた金属薄片が好ましい。
本態様に利用可能な非偏光解消性の反射層としては、例えば金属薄膜が被覆された紙、金属薄膜製鏡、金属箔、又はプラスチックに浮遊させた金属薄片が好ましい。
なお、図4〜図7に示す態様の立体画像印刷物は、観察者は、左右のレンズが直線偏光レンズの偏光メガネを装着した観察者によって観察される。
本発明の立体画像印刷物の他の例の断面模式図を図8に示す。
図8に示す立体画像印刷物は、図6に示す立体画像印刷物の表面の最外層に1/4波長板26を配置した態様である。この態様では、1/4波長板26を、その遅相軸と、第1及び第2の二色性色素層18L、18Rの吸収軸とがそれぞれ45°の角度をなして配置する。例えば、第1の配向膜14L及び第2の配向膜14Rの配向軸は、それぞれ図2に示す通り、+45°及び−45°の方向であり、90°の角度をなしていて、第1及び第2の二色性色素層18L、18R中の二色性色素はそれぞれ、その下の配向膜のそれぞれの配向軸14L及び14Rの方向に従って配向している場合は、二色性色素層18L、18R中の二色性色素は、長軸方向に吸収軸を有し、且つその長軸を配向軸に平行にして水平配向しているので、第1の二色性色素層18Lの吸収軸は、第1の配向膜14Lの配向軸16Lと一致し、−45°の方向になり、及び第2の二色性色素層18Rの吸収軸は、第2の配向膜14Rの配向軸16Rと一致し、+45°の方向になる。よって、この態様では、図9に示す通り、1/4波長板26の遅相軸27を、0°の方向とすることで、第1及び第2の二色性色素層18L、18Rの吸収軸と、それぞれ45°の角度をなして配置することができる。
図8に示す立体画像印刷物は、図6に示す立体画像印刷物の表面の最外層に1/4波長板26を配置した態様である。この態様では、1/4波長板26を、その遅相軸と、第1及び第2の二色性色素層18L、18Rの吸収軸とがそれぞれ45°の角度をなして配置する。例えば、第1の配向膜14L及び第2の配向膜14Rの配向軸は、それぞれ図2に示す通り、+45°及び−45°の方向であり、90°の角度をなしていて、第1及び第2の二色性色素層18L、18R中の二色性色素はそれぞれ、その下の配向膜のそれぞれの配向軸14L及び14Rの方向に従って配向している場合は、二色性色素層18L、18R中の二色性色素は、長軸方向に吸収軸を有し、且つその長軸を配向軸に平行にして水平配向しているので、第1の二色性色素層18Lの吸収軸は、第1の配向膜14Lの配向軸16Lと一致し、−45°の方向になり、及び第2の二色性色素層18Rの吸収軸は、第2の配向膜14Rの配向軸16Rと一致し、+45°の方向になる。よって、この態様では、図9に示す通り、1/4波長板26の遅相軸27を、0°の方向とすることで、第1及び第2の二色性色素層18L、18Rの吸収軸と、それぞれ45°の角度をなして配置することができる。
図8に示す態様では、1/4波長板26を通過することにより、第1及び第2の二色性色素層18L、18Rの二色性画像は、円偏光画像に変換される。よって、図8に示す態様の立体画像印刷物は、左右のレンズが互いに反対向きの円偏光レンズである円偏光メガネを装着した観察者によって観察され、立体画像として認識される。円偏光レンズは、直線偏光膜と1/4波長板とを、直線偏光膜の吸収軸と、1/4波長板の遅相軸とを45°にして積層することで構成することができる。左眼用及び右眼用レンズのそれぞれに含まれる直線偏光膜の吸収軸を、互いに直交させることで、互いに方向が反対の偏光レンズとすることができ、左眼用画像及び右眼用画像のみを認識するように構成することができる。
なお、図8に示す立体画像印刷物は、1/4波長板側から観察者が観察することが必要であるが、しかし、観察者側に、左眼用画像を構成する二色性色素層が配置されている必要はなく、観察者側に、右眼用画像を構成する二色性色素層が配置された態様であっても、勿論よい。
なお、図8に示す立体画像印刷物は、1/4波長板側から観察者が観察することが必要であるが、しかし、観察者側に、左眼用画像を構成する二色性色素層が配置されている必要はなく、観察者側に、右眼用画像を構成する二色性色素層が配置された態様であっても、勿論よい。
1/4波長板:
本発明に利用可能な、1/4波長板は、常光線と異常光線との光路差が入射光の4分の1波長になるように構成された層であれば、特に制限はなく、目的に応じて、種々の構成から適宜選択すればよい。
本発明に利用可能な、1/4波長板は、常光線と異常光線との光路差が入射光の4分の1波長になるように構成された層であれば、特に制限はなく、目的に応じて、種々の構成から適宜選択すればよい。
1/4波長板としては、重合性の棒状液晶材料を水平配向させることによって作製したフィルム、重合性の円盤状液晶材料を垂直配向させることによって作製したフィルムが知られていて、いずれも用いることができる。前記フィルムの作製時には、重合架橋やイオン凝集等により、配向状態を固定したものが好ましい。1/4波長板としては、一軸延伸した高分子フィルムなども知られていて、それらを用いてもよい。高分子としては、特に制限はないが、ポリビニルアルコールやポリカーボネート、ポリスルホン、セルロース系樹脂、ノルボルネン系樹脂、オレフィン系樹脂などを用いることができる。
1/4波長板における進相軸と遅相軸との位相差としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよく、光波長548.3nmにおいて、λ/4である137nmから、45nm以内が好ましく、30nm以内がより好ましく、15nm以内が特に好ましい。
1/4波長板の波長分散は、各波長における位相差がλ/4となることが好ましい。波長628.2nmにおける面内レターデーションRe(628.2)と、波長548.3nmにおける面内レターデーションRe(548.3)と、波長480.4nmにおける面内レターデーションRe(480.4)が、次式を満たすことが理想である。なお、面内レターデーションの単位はnmである。
Re(628.2)/Re(548.3)=1.146
Re(480.4)/Re(548.3)=0.8762
Re(628.2)/Re(548.3)としては、0.6以上1.6未満が好ましく、0.8以上1.4未満がより好ましく、1.0以上1.2未満が特に好ましい。
Re(480.4)/Re(548.3)としては、0.4以上1.4未満が好ましく、0.6以上1.2未満がより好ましく、0.8以上1.0未満が特に好ましい。
Re(628.2)/Re(548.3)=1.146
Re(480.4)/Re(548.3)=0.8762
Re(628.2)/Re(548.3)としては、0.6以上1.6未満が好ましく、0.8以上1.4未満がより好ましく、1.0以上1.2未満が特に好ましい。
Re(480.4)/Re(548.3)としては、0.4以上1.4未満が好ましく、0.6以上1.2未満がより好ましく、0.8以上1.0未満が特に好ましい。
1/4波長板は、複数の位相差層を積層して作製することもできる。こうした位相差層の例としては、波長分散特性を好適にするために、λ/2層とλ/4層を積層した特開2003−270435に記載のものが挙げられる。
1/4波長板の遅層軸と二色性色素層の吸収軸のなす角度は、45°を中心として、15°以内が好ましく、10°以内がより好ましく、5°以内が特に好ましい。
1/4波長板を構成するのに好適なフィルムの例としては、特開2003−270435に記載されたλ/2層とλ/4層を積層したフィルム、特開2007−4143や特開2007−112980に記載されたポリエステルフィルム、特開2005−156685や特許第3325560に記載されたポリカーボネートフィルム、特開2000−137116や特開2002−98837に記載されたセルロースアセテートフィルム、特開2009−86651や特開2002−98648に記載されたポリエステルフィルム、などが挙げられる。
本発明の立体画像印刷物が、第1及び第2の二色性色素層のさらに外側にそれぞれ、上記いずれかの機能層(例えば、酸素遮断層、透明樹脂硬化層、及び1/4波長板)を有する態様では、それらの機能層のいずれか少なくとも1つの層が、UV吸収剤を含有しているのが好ましい。いずれかの層がUV吸収剤を含有することで、立体画像印刷物の耐久性を改善することができる。使用可能なUV吸収剤については、特に制限はない。具体的には、前記特開平7−11056号等の公報に記載のUV吸収剤を利用することができる。
液晶性二色性色素組成物:
次に、本発明において画像形成に利用される液晶性二色性色素組成物について、詳細に説明する。
本発明では、ネマチック液晶性を有するアゾ系二色性色素の少なくとも一種を含む二色性色素組成物を用いることが好ましい。本発明において、「二色性色素」とは、方向によって吸光度が異なる色素を意味する。また、「二色性」及び「二色比」は、二色性色素組成物を二色性色素層としたときの、偏光軸方向の偏光の吸光度に対する、吸収軸方向の偏光の吸光度の比で計算される。
本発明における二色性色素組成物は、下記一般式(I)、(II)、(III)、又は(IV)で表されるアゾ色素の少なくとも一種を含有することが特に好ましい。下記一般式(I)〜(IV)で表される二色性色素は、ネマチック液晶性を有するのが好ましい。
次に、本発明において画像形成に利用される液晶性二色性色素組成物について、詳細に説明する。
本発明では、ネマチック液晶性を有するアゾ系二色性色素の少なくとも一種を含む二色性色素組成物を用いることが好ましい。本発明において、「二色性色素」とは、方向によって吸光度が異なる色素を意味する。また、「二色性」及び「二色比」は、二色性色素組成物を二色性色素層としたときの、偏光軸方向の偏光の吸光度に対する、吸収軸方向の偏光の吸光度の比で計算される。
本発明における二色性色素組成物は、下記一般式(I)、(II)、(III)、又は(IV)で表されるアゾ色素の少なくとも一種を含有することが特に好ましい。下記一般式(I)〜(IV)で表される二色性色素は、ネマチック液晶性を有するのが好ましい。
式中、R11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し;R15及びR16はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し;L11は、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、又は−CH=CH−を表し;A11は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し;B11は、置換基を有していてもよい、2価の芳香族炭化水素基又は2価の芳香族複素環基を表し;nは1〜5の整数を表し、nが2以上のとき複数のB11は互いに同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(I)において、R11〜R14で表される置換基としては以下の基を挙げることができる。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリール基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、3,5−ジトリフルオロメチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリール基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、3,5−ジトリフルオロメチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、オキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜15、特に好ましくは2〜10であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは2〜6であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数2〜6であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数2〜6であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基(−CH=N−もしくは−N=CH−)、アゾ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。
これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基が二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基が二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
R11〜R14で表される基としては、好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、さらに好ましくは水素原子又はメチル基である。
R15及びR16で表される置換基を有していてもよいアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−オクチル基などが挙げられる。R15及びR16で表されるアルキル基の置換基としては、前記R11〜R14で表される置換基と同義である。R15又はR16がアルキル基を表す場合、R12又はR14と連結して環構造を形成してもよい。R15及びR16は、好ましくは水素原子、アルキル基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、又はエチル基である。
A11は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
該フェニル基又は該ナフチル基が有していてもよい置換基としては、アゾ化合物の溶解性やネマチック液晶性を高めるために導入される基、色素としての色調を調節するために導入される電子供与性や電子吸引性を有する基、又は配向を固定化するために導入される重合性基を有する基が好ましく、具体的には、前記R11〜R14で表される置換基と同義である。好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルホニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルファモイル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいスルホニル基、置換基を有していてもよいウレイド基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、イミノ基、アゾ基、ハロゲン原子であり、特に好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、ニトロ基、イミノ基、アゾ基である。これらの置換基のうち、炭素原子を有するものについては、炭素原子数の好ましい範囲は、R11〜R14で表される置換基についての炭素原子数の好ましい範囲と同様である。
該フェニル基又は該ナフチル基が有していてもよい置換基としては、アゾ化合物の溶解性やネマチック液晶性を高めるために導入される基、色素としての色調を調節するために導入される電子供与性や電子吸引性を有する基、又は配向を固定化するために導入される重合性基を有する基が好ましく、具体的には、前記R11〜R14で表される置換基と同義である。好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルホニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルファモイル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいスルホニル基、置換基を有していてもよいウレイド基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、イミノ基、アゾ基、ハロゲン原子であり、特に好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、ニトロ基、イミノ基、アゾ基である。これらの置換基のうち、炭素原子を有するものについては、炭素原子数の好ましい範囲は、R11〜R14で表される置換基についての炭素原子数の好ましい範囲と同様である。
該フェニル基又は該ナフチル基は、これら置換基を1〜5個有していてもよく、好ましくは1個有していることである。フェニル基についてより好ましくは、L1に対してパラ位に1個置換基を有していることである。
芳香族複素環基としては、単環又は二環性の複素環由来の基が好ましい。芳香族複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。芳香族複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。芳香族複素環基として具体的には、ピリジル基、キノリル基、チオフェニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、チアジアゾリル基、キノロニル基、ナフタルイミドイル基、チエノチアゾリル基などが挙げられる。
芳香族複素環基としては、ピリジル基、キノリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリ基、チアジアゾリル基、又はチエノチアゾリル基が好ましく、ピリジル基、ベンゾチアゾリル基、チアジアゾリル基、又はチエノチアゾリル基がより好ましく、ピリジル基、ベンゾチアゾリル基、又はチエノチアゾリル基がさらに好ましい。
A11は、特に好ましくは、置換基を有していてもよいフェニル基、ピリジル基、ベンゾチアゾリル基、又はチエノチアゾリル基である。
B11は、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、又は2価の芳香族複素環基を表す。nは1〜4を表し、nが2以上のとき、複数のB11は互いに同一でも異なっていてもよい。
該芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基が好ましい。該芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、及びシアノ基が挙げられる。該芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子が好ましく、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子がより好ましく、メチル基、又はハロゲン原子がさらに好ましい。
該芳香族複素環基としては、単環又は二環性の複素環由来の基が好ましい。芳香族複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。芳香族複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。芳香族複素環基として具体的には、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾチアジアゾール基、フタルイミド基、チエノチアゾール基等が挙げられる。中でも、チエノチアゾール基が特に好ましい。
該芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、メチル基、及びエチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;無置換あるいはメチルアミノ基等のアミノ基;アセチルアミノ基、アシルアミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの置換基のうち、炭素原子を有するものについては、炭素原子数の好ましい範囲は、R11〜R14で表される置換基についての炭素原子数の好ましい範囲と同様である。
該芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、メチル基、及びエチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;無置換あるいはメチルアミノ基等のアミノ基;アセチルアミノ基、アシルアミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの置換基のうち、炭素原子を有するものについては、炭素原子数の好ましい範囲は、R11〜R14で表される置換基についての炭素原子数の好ましい範囲と同様である。
前記一般式(I)で表されるアゾ色素の好ましい例には、下記一般式(Ia)及び(Ib)のいずれかで表されるアゾ色素が含まれる。
式中、R17a及びR18aはそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を表し;L11aは、−N=N−、−N=CH−、−O(C=O)−、又は−CH=CH−を表し;A11aは、下記一般式(Ia−I)又は(Ia−III)で表される基を表し;B11a及びB12aはそれぞれ独立に、下記式(Ia−IV)、(Ia−V)、又は(Ia−VI)で表される基を表す;
式中、R19aは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいオキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいアシルオキシ基を表す。
式中、mは0〜2の整数を表す。
式中、R17b及びR18bはそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基を表し;L11bは、−N=N−又は−(C=O)O−を表し;L12bは、−N=CH−、−(C=O)O−、又は−O(C=O)−を表し;A11bは、下記式(Ib−II)又は(Ib−III)で表される基を表し;mは0〜2の整数を表す;
式中、R19bは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基を表す。
前記一般式(Ia)及び(Ib)中、各基が有する置換基の例には、一般式(I)中のR11〜R14で表される置換基の例と同様である。また、アルキル基等の炭素原子を有する基については、炭素原子数の好ましい範囲は、R11〜R14で表される置換基についての炭素原子数の好ましい範囲と同様である。
なお、上記一般式(I)、(Ia)及び(Ib)で表される化合物は置換基として、重合性基を有していてもよい。重合性基を有していると、硬膜性が良化されるので好ましい。重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、及びアジリジニル基が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基が特に好ましい。エチレン性不飽和重合性基の例には、アクリロイル基、及びメタクリロイル基が含まれる。
重合性基は分子末端に位置するのが好ましく、即ち、式(I)中では、R15及び/又はR16の置換基として、並びにAr11の置換基として、存在するのが好ましい。
重合性基は分子末端に位置するのが好ましく、即ち、式(I)中では、R15及び/又はR16の置換基として、並びにAr11の置換基として、存在するのが好ましい。
以下に、式(I)で表されるアゾ色素の具体例を示すが、以下の具体例に限定されるものではない。
式中、R21及びR22はそれぞれ、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又は−L22−Yで表される置換基を表すが、但し、少なくとも一方は、水素原子以外の基を表す。L22は、アルキレン基を表すが、アルキレン基中に存在する1個のCH2基又は隣接していない2個以上のCH2基はそれぞれ−O−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−NRCOO−、−OCONR−、−CO−、−S−、−SO2−、−NR−、−NRSO2−、又は−SO2NR−(Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す)に置換されていてもよい。Yは、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、又は重合性基を表す。
中でも、R21及びR22の一方が、水素原子又はC1〜C4程度の短鎖の置換基であり、R21及びR22の他方が、C5〜C30程度の長鎖の置換基であると、溶解性がより改善されるので好ましい。一般的に、液晶性の発現に関しては、その分子形状及び分極率の異方性等が大きく影響することがよく知られており、液晶便覧(2000年、丸善(株))等に詳しく記載されている。棒状液晶分子の代表的な骨格は、剛直なメソゲンと分子長軸方向の柔軟な末端鎖から成っており、式(II)中のR21及びR22に相当する分子短軸方向の側方置換基は、分子の回転を阻害しない小さな置換基とするか、又は置換していないのが一般的である。側方置換基に特徴を持たせた例としては、親水性(例えばイオン性)の側方置換基を導入することで、スメクチック相の安定化した例が知られているが、安定なネマチック相を発現する例はほとんど知られていない。特に、ネマチック相を発現する棒状液晶性分子の特定の置換位置に、長鎖の置換基を導入することで、配向秩序度を低下させることなく、溶解性を向上させた例は、全く知られていない。
R21及びR22がそれぞれ表すアルキル基としては、C1〜C30のアルキル基が挙げられる。上記短鎖のアルキル基の例としては、C1〜C9が好ましく、C1〜C4がより好ましい。一方、上記長鎖のアルキル基としては、C5〜C30が好ましく、C10〜C30がより好ましく、C10〜C20がさらに好ましい。
R21及びR22がそれぞれ表すアルコキシ基としては、C1〜C30のアルコキシ基が挙げられる。上記短鎖のアルコキシ基の例としては、C1〜C8が好ましく、C1〜C3がより好ましい。一方、上記長鎖のアルコキシ基としては、C5〜C30が好ましく、C10〜C30がより好ましく、C10〜C20がさらに好ましい。
R21及びR22がそれぞれ表す−L22−Yで表される置換基のうち、L22が表すアルキレン基は、C5〜C30が好ましく、C10〜C30がより好ましく、C10〜C20がさらに好ましい。前記アルキレン基中に存在する1個のCH2基又は隣接していない2個以上のCH2基はそれぞれ−O−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−NRCOO−、−OCONR−、−CO−、−S−、−SO2−、−NR−、−NRSO2−、及び−SO2NR−(Rは水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す)からなる2価基の群から選択された1以上によって置換されていてもよい。勿論、前記2価基の群から選択される2以上の基によって置換されていてもよい。また、L22の末端であって、Yと結合するCH2が、上記2価の基のいずれかで置換されていてもよい。また、L22の先端であって、フェニル基と結合するCH2が、上記2価の基のいずれかで置換されていてもよい。
特に、溶解性向上の観点では、L22がアルキレンオキシ基である、又はアルキレンオキシ基を含んでいるのが好ましく、L22が、−(OCH2CH2)p−(但し、pは3以上の数を表し、3〜10であるのが好ましく、3〜6であるのがより好ましい)で表されるポリエチレンオキシ基であるか、又はポリエチレンオキシ基を含んでいるのがさらに好ましい。
以下に、−L22−の例を示すが、以下の例に限定されるものではない。下記式中、qは1以上の数であり、1〜10であるのが好ましく、2〜6であるのがより好ましい。また、rは5〜30であり、好ましくは10〜30であり、より好ましくは10〜20である。
−(OCH2CH2)p−
−(OCH2CH2)p−O−(CH2)q−
−(OCH2CH2)p−OC(=O)−(CH2)q−
−(OCH2CH2)p−OC(=O)NH−(CH2)q−
−O(CH2)r−
−(CH2)r−
以下に、−L22−の例を示すが、以下の例に限定されるものではない。下記式中、qは1以上の数であり、1〜10であるのが好ましく、2〜6であるのがより好ましい。また、rは5〜30であり、好ましくは10〜30であり、より好ましくは10〜20である。
−(OCH2CH2)p−
−(OCH2CH2)p−O−(CH2)q−
−(OCH2CH2)p−OC(=O)−(CH2)q−
−(OCH2CH2)p−OC(=O)NH−(CH2)q−
−O(CH2)r−
−(CH2)r−
R21及びR22がそれぞれ表す−L22−Yで表される置換基のうち、Yは、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基(好ましくはC1〜C10、より好ましくはC1〜C5のアルコキシ基である)、カルボキシル基、ハロゲン原子、又は重合性基を表す。
L22とYとの組合せにより、−L22−Yの末端は、例えばカルボキシル基やアミノ基、アンモニウム基などの分子間相互作用を強める置換基となり得るし、またスルホニルオキシ基、ハロゲン原子等の脱離基にもなり得る。
また、−L22−Yの末端は、架橋性基、重合性基など、他分子と共有結合を形成する置換基であってもよく、例えば、−O−C(=O)CH=CH2、及び−O−C(=O)C(CH3)=CH2等の重合性基であってもよい。
L22とYとの組合せにより、−L22−Yの末端は、例えばカルボキシル基やアミノ基、アンモニウム基などの分子間相互作用を強める置換基となり得るし、またスルホニルオキシ基、ハロゲン原子等の脱離基にもなり得る。
また、−L22−Yの末端は、架橋性基、重合性基など、他分子と共有結合を形成する置換基であってもよく、例えば、−O−C(=O)CH=CH2、及び−O−C(=O)C(CH3)=CH2等の重合性基であってもよい。
硬化膜用の材料として利用する場合は、Yは、重合性基であることが好ましい(但し、前記式(II)の化合物が重合性基を有していなくても、併用される化合物が重合性であれば、当該他の化合物の重合反応を進行させることで、式(II)の化合物の配向を固定することができる)。重合反応は、付加重合(開環重合を含む)又は縮合重合であることが好ましい。すなわち、重合性基は、付加重合反応又は縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。前記式で表される重合性基の例には、下記式(M−1)で表されるアクリレート基、及び下記式(M−2)で表されるメタクリレーと基が含まれる。
また、開環重合性基も好ましく、例えば、環状エーテル基が好ましく、エポキシ基又はオキセタニル基がより好ましく、エポキシ基が特に好ましい。
前記一般式(II)中、L21はそれぞれ、アゾ基(−N=N−)、カルボニルオキシ基(−C(=O)O−)、オキシカルボニル基(−O−C(=O)−)、イミノ基(−N=CH−)、及びビニレン基(−C=C−)からなる群から選ばれる連結基を表す。中でも、ビニレン基が好ましい。
前記前記一般式(II)中、Dyeはそれぞれ、下記一般式(IIa)で表されるアゾ色素残基を表す。
式(IIa)中、*はL21との結合部を表し;X21は、ヒドロキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、無置換アミノ基、又はモノもしくはジアルキルアミノ基を表し;Ar21は、それぞれ置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し;nは1〜3の整数を表し、nが2以上の時、複数あるAr21は互いに同一でも異なっていてもよい。
X21で表されるアルキル基は、好ましくはC1〜C12、より好ましくは、C1〜C6のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が含まれる。アルキル基は置換基を有していてもよく、該置換基の例には、ヒドロキシ基、カルボキシル基、及び重合性基が含まれる。重合性基の好ましい例は、上記Yが表す重合性基の好ましい例と同様である。
X21で表されるアルコキシは、好ましくはC1〜C20、より好ましくはC1〜C10、さらに好ましくはC1〜C6のアルコキシ基である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロピオキシ基、ブトキシ基、ペンタオキシ基、ヘキサオキシ基、ヘプタオキシ基、オクタオキシ基などが挙げられる。アルコキシ基は置換基を有していてもよく、該置換基の例には、ヒドロキシ基、カルボキシル基、及び重合性基が含まれる。重合性基の好ましい例は、上記Yが表す重合性基の好ましい例と同様である。
X21で表される置換もしくは無置換のアミノ基は、好ましくはC0〜C20、より好ましくはC0〜10、さらに好ましくはC0〜C6のアミノ基である。具体的には、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチル・ヘキシルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる。
中でも、X21はアルコキシ基であるのが好ましい。
前記一般式(II)中、Ar21は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基の例には、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、ピリジン環基、ピリミジン環基、ピラジン環基、キノリン環基、チオフェン環基、チアゾール環基、チアジアゾール環基、チエノチアゾール環基などが含まれる。中でも、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、チエノチアゾール環基が好ましく、1,4−フェニレン基が最も好ましい。
Ar21が有してもよい置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、シアノ基などが好ましく、炭素数1〜2のアルキル基、炭素数1〜2のアルコキシ基がより好ましい。
nは、1又は2であるのが好ましく、1がより好ましい。
前記一般式(II)で表される化合物の例には、以下の一般式(IIb)で表される化合物が含まれる。式中の各記号の意義は、式(II)中のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。
式中、X21は互いに同一又は異なり、C1-12のアルコキシ基を表すのが好ましく;R21及びR22は互いに異なっているのが好ましく、R21及びR22の一方が、水素原子又はC1〜C4の短鎖の置換基(アルキル基、アルコキシ基、又は−L22−Yで表される置換基)であり、R21及びR22の他方が、C5〜C30の長鎖の置換基(アルキル基、アルコキシ基、又は−L22−Yで表される置換基)であるのが好ましい。あるいは、R21及びR22はそれぞれ、−L22−Yで表される置換基であり、L22がアルキレンオキシ基である、又はアルキレンオキシ基を含んでいるのも好ましい。
以下に、前記一般式(II)で表される化合物の具体例を示すが、以下の化合物例に限定されるものではない。
式中、R31〜R35はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し;R36及びR37はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し;Q31は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、芳香族複素環基又はシクロヘキサン環基を表し;L31は2価の連結基を表し;A31は酸素原子又は硫黄原子を表す。
R31〜R35で表される置換基の例としては、前記式(I)中のR11〜R14がそれぞれ表す置換基の例と同様である。好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子であり、特に好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、最も好ましくは水素原子又はメチル基である。
前記一般式(III)において、R36及びR37で表される置換基を有していてもよいアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−オクチル基などが挙げられる。R36及びR37で表されるアルキル基の置換基としては、前記R31〜R35で表される置換基と同義である。R36及びR37がアルキル基を表す場合、互いに連結して環構造を形成してもよい。R36又はR37がアルキル基を表す場合、それぞれR32又はR34と連結して環構造を形成してもよい。
R36及びR37で表される基としては、特に好ましくは水素原子又はアルキル基であり、さらに好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基である。
R36及びR37で表される基としては、特に好ましくは水素原子又はアルキル基であり、さらに好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基である。
前記一般式(III)において、Q31は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10であり、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換基を有していてもよい芳香族複素環基又は置換基を有していてもよいシクロヘキサン環基を表す。
Q31で表される基が有していてもよい置換基としては、アゾ化合物の溶解性やネマチック液晶性を高めるために導入される基、色素としての色調を調節するために導入される電子供与性や電子吸引性を有する基、又は配向を固定化するために導入される重合性基を有する基が好ましく、具体的には、前記R31〜R35で表される置換基と同義である。好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルホニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルファモイル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいスルホニル基、置換基を有していてもよいウレイド基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、イミノ基、アゾ基、ハロゲン原子であり、特に好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、ニトロ基、イミノ基、アゾ基である。これらの置換基のうち、炭素原子を有するものについては、炭素原子数の好ましい範囲は、R31〜R35で表される置換基についての炭素原子数の好ましい範囲と同様である。
Q31で表される基が有していてもよい置換基としては、アゾ化合物の溶解性やネマチック液晶性を高めるために導入される基、色素としての色調を調節するために導入される電子供与性や電子吸引性を有する基、又は配向を固定化するために導入される重合性基を有する基が好ましく、具体的には、前記R31〜R35で表される置換基と同義である。好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルホニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルファモイル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいスルホニル基、置換基を有していてもよいウレイド基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、イミノ基、アゾ基、ハロゲン原子であり、特に好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、ニトロ基、イミノ基、アゾ基である。これらの置換基のうち、炭素原子を有するものについては、炭素原子数の好ましい範囲は、R31〜R35で表される置換基についての炭素原子数の好ましい範囲と同様である。
該芳香族炭化水素基、該芳香族複素環基又は該シクロヘキサン環基は、これら置換基を1〜5個有していてもよく、好ましくは1個有していることである。Q31がフェニル基である場合は、L31に対してパラ位に1個置換基を有しているのが好ましく、シクロヘキサン環基である場合は、L31に対して4位にトランス配置となるように1個置換基を有しているのが好ましい。
Q31で表される芳香族複素環基としては、単環又は二環性の複素環由来の基が好ましい。芳香族複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。芳香族複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。芳香族複素環基として具体的には、ピリジル基、キノリル基、チオフェニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、チアジアゾリル基、キノロニル基、ナフタルイミドイル基、チエノチアゾリル基などが挙げられる。
芳香族複素環基としては、ピリジル基、キノリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリ基、チアジアゾリル基、又はチエノチアゾリル基が好ましく、ピリジル基、ベンゾチアゾリル基、チアジアゾリル基、又はチエノチアゾリル基が特に好ましく、ピリジル基、ベンゾチアゾリル基、又はチエノチアゾリル基が最も好ましい。
芳香族複素環基としては、ピリジル基、キノリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリ基、チアジアゾリル基、又はチエノチアゾリル基が好ましく、ピリジル基、ベンゾチアゾリル基、チアジアゾリル基、又はチエノチアゾリル基が特に好ましく、ピリジル基、ベンゾチアゾリル基、又はチエノチアゾリル基が最も好ましい。
Q31で表される基としては、特に好ましくは置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、ピリジル基、ベンゾチアゾリル基、チエノチアゾリル基又はシクロヘキサン環基であり、より好ましくは、フェニル基、ピリジル基、ベンゾチアゾリル基又はシクロヘキサン環基である。
前記一般式(III)において、L31で表される連結基としては、単結合、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基などが挙げられる)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数2〜6であり、例えば、エテニレン基などが挙げられる)、アルキニレン基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数2〜6であり、例えば、エチニレン基などが挙げられる)、アルキレンオキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メチレンオキシ基などが挙げられる)、アミド基、エーテル基、アシルオキシ基(−C(=O)O−)、オキシカルボニル基(−OC(=O)−)、イミノ基(−CH=N−もしくは−N=CH−)、スルホアミド基、スルホン酸エステル基、ウレイド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオエーテル基、カルボニル基、−NR−基(ここで、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を表す)、アゾ基、アゾキシ基、又はこれらを2つ以上組合せて構成される炭素数0〜60の2価の連結基が挙げられる。
L31で表される基としては、特に好ましくは単結合、アミド基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、イミノ基、アゾ基又はアゾキシ基であり、よりさらに好ましくはアゾ基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、又はイミノ基である。
前記一般式(III)において、A31は酸素原子又は硫黄原子を表し、好ましくは硫黄原子である。
前記一般式(III)で表される化合物は、置換基として、重合性基を有していてもよい。重合性基を有していると、硬膜性が良化されるので好ましい。重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、及びアジリジニル基が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基が特に好ましい。エチレン性不飽和重合性基の例には、アクリロイル基、及びメタクリロイル基が含まれる。
重合性基は分子末端に位置するのが好ましく、即ち、式(III)中では、R36及び/又はR37の置換基として、並びにQ1の置換基として、存在するのが好ましい。
重合性基は分子末端に位置するのが好ましく、即ち、式(III)中では、R36及び/又はR37の置換基として、並びにQ1の置換基として、存在するのが好ましい。
前記一般式(III)で表される化合物のうち、特に好ましいものは、下記一般式(IIIa)で表される化合物である。
式中、R31〜R35については、上記式(III)中のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。B31は窒素原子又は置換基を有していてもよい炭素原子を表し;L32はアゾ基、アシルオキシ基(−C(=O)O−)、オキシカルボニル基(−OC(=O)−)、又はイミノ基を表す。
前記一般式(IIIa)において、R35は水素原子又はメチル基を表すのが好ましく、より好ましくは水素原子である。
前記一般式(IIIa)において、B31が炭素原子の場合に有していてもよい置換基は、前記一般式(III)においてQ31が有していてもよい置換基と同義であり、好ましい範囲も同一である。
前記一般式(IIIa)において、L32はアゾ基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、又はイミノ基を表し、好ましくはアゾ基又はアシルオキシ基、オキシカルボニル基であり、より好ましくはアゾ基である。
前記一般式(IIIa)において、L32はアゾ基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、又はイミノ基を表し、好ましくはアゾ基又はアシルオキシ基、オキシカルボニル基であり、より好ましくはアゾ基である。
以下に、式(III)で表される化合物の具体例を示すが、以下の具体例に限定されるものではない。
式中、R41及びR42はそれぞれ、水素原子又は置換基を表し、互いに結合して環を形成していてもよく;Ar4は、置換されていてもよい2価の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し;R43及びR44はそれぞれ、水素原子、又は置換されていてもよいアルキル基を表し、互いに結合して複素環を形成していてもよい。
一般式(IV)において、R41及びR42がそれぞれ表す置換基の例としては、前記一般式(I)中のR11〜R14がそれぞれ表す置換基の例と同様である。R41及びR42としては、好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、スルホ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、シアノ基であり、よりさらに好ましくは水素原子、メチル基、シアノ基である。
R41とR42は互いに連結して環を形成することも好ましい。特に芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を形成することが好ましい。芳香族複素環基としては、単環又は二環性の複素環由来の基が好ましい。芳香族複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。芳香族複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。芳香族複素環基として具体的には、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、チオフェン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジアゾール環、キノロン環、ナフタルイミド環、チエノチアゾール環などが挙げられる。
R41とR42が互いに連結して形成する環状基は、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環であり、より好ましくはベンゼン環又はピリジン環であり、もっとも好ましくはピリジン環である。
R41とR42は互いに連結して形成する環状基は置換基を有していてもよく、その範囲はR1、R2で表される基と同様であり、好ましい範囲も同様である。
R41とR42が互いに連結して形成する環状基は、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環であり、より好ましくはベンゼン環又はピリジン環であり、もっとも好ましくはピリジン環である。
R41とR42は互いに連結して形成する環状基は置換基を有していてもよく、その範囲はR1、R2で表される基と同様であり、好ましい範囲も同様である。
前記一般式(IV)で表される化合物の例には、以下の一般式(IV’)で表される化合物が含まれる。
式中、式(IV)中と同一の符号は、それぞれ同義であり、好ましい範囲も同様である。A42は、N又はCHを表し、R47及びR48はそれぞれ、水素原子又は置換基を表す。R47及びR48のいずれか一方は置換基であるのが好ましく、双方が置換基であるのも好ましい。置換基の好ましい例は、R41及びR42が表す置換基の例と同様であり、即ち、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、スルホ基であるのが好ましく、より好ましくは、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基であり、さらに好ましくはアルキル基、シアノ基であり、最も好ましくはメチル基、シアノ基である。例えば、R47及びR48のいずれか一方が炭素原子数1〜4のアルキル基であり、他方がシアノ基である化合物例も好ましい。
一般式(IV’)において、Ar4で表される芳香族複素環基としては、単環又は二環性の複素環由来の基が好ましい。芳香族複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。芳香族複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。芳香族複素環基として具体的には、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、チオフェン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジアゾール環、キノロン環、ナフタルイミド環、チエノチアゾール環などが挙げられる。
Ar4で表される基は、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、チオフェン環であり、より好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、チオフェン環であり、もっとも好ましくはベンゼン環である。
Ar4は置換基を有していてもよく、その範囲は前記R41、R42で表される基と同様である。
Ar4が有していてもよい置換基は、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、よりさらに好ましくは、メチル基である。Ar4は無置換であるのも好ましい。
Ar4で表される基は、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、チオフェン環であり、より好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、チオフェン環であり、もっとも好ましくはベンゼン環である。
Ar4は置換基を有していてもよく、その範囲は前記R41、R42で表される基と同様である。
Ar4が有していてもよい置換基は、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、よりさらに好ましくは、メチル基である。Ar4は無置換であるのも好ましい。
Ar4とアミノ基の結合は、Ar4とアゾ基の結合と平行であることが、分子の直線性を高め、より大きな分子長及びアスペクト比を得られるため好ましい。例えばAr4がアゾ基及びアミノ基と結合した6員環を含む場合、アミノ基はアゾ基に対して4位に結合していることが好ましく、アゾ基及びアミノ基と結合した5員環を含む場合、アミノ基はアゾ基に対して3位又は4位に結合していることが好ましい。
一般式(IV’)において、R43及びR44で表されるアルキル基の範囲は前記R41、R42で表されるアルキル基と同様である。該アルキル基は置換基を有していてもよく、当該置換基の例は、R41、R42で表される置換基の例と同様である。R43及びR44が置換されていてもよいアルキル基を表す場合、互いに結合して複素環を形成していてもよい。また、可能な場合にはAr4が有する置換基と結合して環を形成していてもよい。
R43とR44は互いに連結して環を形成することが好ましい。好ましくは6員環又は5員環であり、より好ましくは6員環である。該環状基は、炭素とともに、炭素以外の原子を構成原子として有していてもよい。炭素以外の構成原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。該環状基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。
R43とR44からなる環状基として具体的には、3−ピロリン環、ピロリジン環、3−イミダゾリン環、イミダゾリジン環、4−オキサゾリン環、オキサゾリジン環、4−チアゾリン環、チアゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、アゼパン環、アゾカン環などが挙げられる。
R43とR44からなる環状基は、好ましくはピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環であり、より好ましくはピペリジン環、ピペラジン環であり、もっとも好ましくはピペラジン環である。
R43とR44からなる環状基として具体的には、3−ピロリン環、ピロリジン環、3−イミダゾリン環、イミダゾリジン環、4−オキサゾリン環、オキサゾリジン環、4−チアゾリン環、チアゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、アゼパン環、アゾカン環などが挙げられる。
R43とR44からなる環状基は、好ましくはピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環であり、より好ましくはピペリジン環、ピペラジン環であり、もっとも好ましくはピペラジン環である。
R43とR44からなる環状基は置換基を有していてもよく、その範囲はR41及びR42で表される基と同様である。該環状基は剛直な直線状の置換基を一つ有し、該環状基と該置換基の結合は、該環状基とAr4の結合と平行であることが、分子の直線性を高め、より大きな分子長及びアスペクト比を得られるため好ましい。
一般式(IV)で表される二色性色素のうち、特に好ましいものは、下記一般式(IVa)で表される二色性色素である。
式中、R41及びR42はそれぞれ、水素原子又は置換基を表し、互いに結合して環を形成していてもよく;Ar4は、置換されていてもよい2価の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し;A41は炭素原子又は窒素原子を表し;L41、L42、R45、及びR46は単結合又は2価の連結基を表し;Q41は、置換されていてもよい、環状炭化水素基又は複素環基を表し;Q42は、置換されていてもよい、2価の環状炭化水素基又は複素環基を表し;nは0〜3の整数を表し、nが2以上の時、複数あるL42及びQ42は互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(IVa)において、R41及びR42で表される基の範囲は、一般式(IVa)におけるR41及びR42と同様であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(IVa)において、Ar4で表される2価の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基の範囲は、一般式(IV)におけるAr4と同様であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(IVa)において、A41は好ましくは窒素原子である。
一般式(IVa)において、Ar4で表される2価の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基の範囲は、一般式(IV)におけるAr4と同様であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(IVa)において、A41は好ましくは窒素原子である。
一般式(IVa)において、L41、L42、R45、及びR46で表される連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基などが挙げられる)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数2〜6であり、例えば、エテニレン基などが挙げられる)、アルキニレン基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10、特に好ましくは炭素数2〜6であり、例えば、エチニレン基などが挙げられる)、アルキレンオキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6であり、例えば、メチレンオキシ基などが挙げられる)、アミド基、エーテル基、アシルオキシ基(−C(=O)O−)、オキシカルボニル基(−OC(=O)−)、イミノ基(−CH=N−もしくは−N=CH−)、スルホアミド基、スルホン酸エステル基、ウレイド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオエーテル基、カルボニル基、−NR−基(ここで、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を表す)、アゾ基、アゾキシ基、又はこれらを2つ以上組合せて構成される炭素数0〜60の2価の連結基が挙げられる。
L41で表される連結基としては、好ましくは単結合、アルキレン基、アルケニレン基、アルキレンオキシ基、オキシカルボニル基、アシル基、カルバモイル基であり、より好ましくは単結合、アルキレン基であり、さらに好ましくは単結合、エチレン基である。
L42で表される連結基としては、好ましくは単結合、アルキレン基、アルケニレン基、オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、イミノ基、アゾ基、アゾキシ基であり、より好ましくは単結合、オキシカルボニル基、アシルオキシ基、イミノ基、アゾ基、アゾキシ基であり、さらに好ましくは単結合、オキシカルボニル基、アシルオキシ基である。
L42で表される連結基としては、好ましくは単結合、アルキレン基、アルケニレン基、オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、イミノ基、アゾ基、アゾキシ基であり、より好ましくは単結合、オキシカルボニル基、アシルオキシ基、イミノ基、アゾ基、アゾキシ基であり、さらに好ましくは単結合、オキシカルボニル基、アシルオキシ基である。
R45、R46で表される連結基としては、好ましくは単結合、アルキレン基、アルケニレン基、アルキレンオキシ基、アシル基であり、より好ましくは単結合、アルキレン基であり、さらに好ましくは単結合、メチレン基である。
一般式(IVa)中、窒素原子、メチレン基、R45、R46、A41で形成される環の構成原子数は、R45及びR46によって決定し、例えば、R45及びR46がいずれも単結合である場合は、4員環になり得;いずれか一方が単結合であり、他方がメチレン基である場合は、5員環になり得;さらに、R45及びR46いずれもメチレン基である場合は、6員環になり得る。
一般式(IVa)中、窒素原子、メチレン基、R45、R46、A41で形成される環は、好ましくは6員環又は5員環であり、より好ましくは6員環である。
一般式(IVa)中、窒素原子、メチレン基、R45、R46、A41で形成される環の構成原子数は、R45及びR46によって決定し、例えば、R45及びR46がいずれも単結合である場合は、4員環になり得;いずれか一方が単結合であり、他方がメチレン基である場合は、5員環になり得;さらに、R45及びR46いずれもメチレン基である場合は、6員環になり得る。
一般式(IVa)中、窒素原子、メチレン基、R45、R46、A41で形成される環は、好ましくは6員環又は5員環であり、より好ましくは6員環である。
一般式(IVa)において、Q41で表される基は、好ましくは芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10であり、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、芳香族複素環基、シクロヘキサン環基である。
Q41で表される芳香族複素環基としては、単環又は二環性の複素環由来の基が好ましい。芳香族複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。芳香族複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。芳香族複素環基として具体的には、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、チオフェン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジアゾール環、キノロン環、ナフタルイミド環、チエノチアゾール環などが挙げられる。
Q41で表される基は、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジアゾール環、キノリン環、チエノチアゾール環、シクロヘキサン環であり、より好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジアゾール環、シクロヘキサン環であり、もっとも好ましくはベンゼン環、ピリジン環、シクロヘキサン環である。
Q41で表される芳香族複素環基としては、単環又は二環性の複素環由来の基が好ましい。芳香族複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。芳香族複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。芳香族複素環基として具体的には、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、チオフェン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジアゾール環、キノロン環、ナフタルイミド環、チエノチアゾール環などが挙げられる。
Q41で表される基は、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジアゾール環、キノリン環、チエノチアゾール環、シクロヘキサン環であり、より好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジアゾール環、シクロヘキサン環であり、もっとも好ましくはベンゼン環、ピリジン環、シクロヘキサン環である。
Q41は置換基を有していてもよく、その範囲は前記R41、R42で表される基と同様である。
Q41が有していてもよい置換基は、好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルホニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルファモイル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいスルホニル基、置換基を有していてもよいウレイド基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、イミノ基、アゾ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、ニトロ基、イミノ基、アゾ基である。これらの置換基のうち、炭素原子を有するものについては、炭素原子数の好ましい範囲は、前記R41、R42で表される基についての炭素原子数の好ましい範囲と同様である。
Q41が有していてもよい置換基は、好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルホニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルファモイル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいスルホニル基、置換基を有していてもよいウレイド基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、イミノ基、アゾ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、ニトロ基、イミノ基、アゾ基である。これらの置換基のうち、炭素原子を有するものについては、炭素原子数の好ましい範囲は、前記R41、R42で表される基についての炭素原子数の好ましい範囲と同様である。
Q41は置換基を一つ有し、Q41と該置換基の結合は、Q41とL41又はL42の結合と平行であることが、分子の直線性を高め、より大きな分子長及びアスペクト比を得られるため好ましい。特にn=0の場合は、Q41が前記位置に置換基を有するのが好ましい。
一般式(IVa)において、Q42は、置換されていてもよい、2価の環状炭化水素基又は複素環基を表す。
Q42で表される2価の環状炭化水素基は、芳香族性であっても、非芳香族性であってもよい。2価の環状炭化水素基の好ましい例には、芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10であり、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、及びシクロヘキサン環基が含まれる。
Q42で表される2価の環状複素環基も、芳香族性であっても非芳香族性であってもよい。複素環基としては、単環又は二環性の複素環由来の基が好ましい。複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。複素環基として具体的には、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、チオフェン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジアゾール環、キノロン環、ナフタルイミド環、チエノチアゾール環、3−ピロリン環、ピロリジン環、3−イミダゾリン環、イミダゾリジン環、4−オキサゾリン環、オキサゾリジン環、4−チアゾリン環、チアゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、アゼパン環、アゾカン環などが挙げられる。
Q42で表される基は、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、キノリン環、チオフェン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジアゾール環、キノロン環、ナフタルイミド環、チエノチアゾール環、シクロヘキサン環であり、より好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、チアゾール環、チアジアゾール環、シクロヘキサン環であり、よりさらに好ましくは、ベンゼン環、シクロヘキサン環、ピペラジン環である。
Q42で表される2価の環状炭化水素基は、芳香族性であっても、非芳香族性であってもよい。2価の環状炭化水素基の好ましい例には、芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10であり、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、及びシクロヘキサン環基が含まれる。
Q42で表される2価の環状複素環基も、芳香族性であっても非芳香族性であってもよい。複素環基としては、単環又は二環性の複素環由来の基が好ましい。複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。複素環基として具体的には、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、チオフェン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジアゾール環、キノロン環、ナフタルイミド環、チエノチアゾール環、3−ピロリン環、ピロリジン環、3−イミダゾリン環、イミダゾリジン環、4−オキサゾリン環、オキサゾリジン環、4−チアゾリン環、チアゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、アゼパン環、アゾカン環などが挙げられる。
Q42で表される基は、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、キノリン環、チオフェン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジアゾール環、キノロン環、ナフタルイミド環、チエノチアゾール環、シクロヘキサン環であり、より好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、チアゾール環、チアジアゾール環、シクロヘキサン環であり、よりさらに好ましくは、ベンゼン環、シクロヘキサン環、ピペラジン環である。
Q42は置換基を有していてもよく、その範囲は前記R41、R42で表される基と同様である。
Q42が有していてもよい置換基の範囲は、前記Ar4が有していてもよい置換基と同様であり、好ましい範囲も同様である。
Q42とL41及びL42、又は二つのL42との結合は、平行であることが、分子の直線性を高め、より大きな分子長及びアスペクト比を得られるため好ましい。
Q42が有していてもよい置換基の範囲は、前記Ar4が有していてもよい置換基と同様であり、好ましい範囲も同様である。
Q42とL41及びL42、又は二つのL42との結合は、平行であることが、分子の直線性を高め、より大きな分子長及びアスペクト比を得られるため好ましい。
一般式(IVa)中、nは0〜3の整数を表し、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、最も好ましくは1である。
一般式(IVa)で表される二色性色素のうち、特に好ましいものは、下記一般式(IVb)で表される二色性色素である。
式中、R41及びR42はそれぞれ、水素原子又は置換基を表し;A41は炭素原子又は窒素原子を表し;L41及びL42はそれぞれ、単結合又は2価の連結基を表し;Q41は、置換されていてもよい、環状炭化水素基又は複素環基を表し;Q42は、置換されていてもよい、2価の環状炭化水素基又は複素環基を表し;nは0〜3の整数を表し、nが2以上の時、複数あるL42及びQ42は互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(IVb)において、R41、R42、L41、L42、Q41、Q42で表される基の範囲は、一般式(IV)におけるR41、R42、L41、L42、Q41、Q42と同様であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(IVb)において、A41は好ましくは窒素原子である。
一般式(IVb)において、A41は好ましくは窒素原子である。
以下に、式(IV)で表される化合物の具体例を示すが、以下の具体例に限定されるものではない。
前記一般式(I)、(II)、(III)、又は(IV)で表される化合物(アゾ色素)は、「Dichroic Dyes for Liquid Crystal Display」(A. V. Ivashchenko著、CRC社、1994年)、「総説合成染料」(堀口博著、三共出版、1968年)及びこれらに引用されている文献に記載の方法を参考にして合成することができる。
また、本発明における前記一般式(I)、(II)、(III)、又は(IV)で表されるアゾ色素は、Journal of Materials Chemistry (1999), 9(11), 2755-2763等に記載の方法に準じて容易に合成することができる。
また、本発明における前記一般式(I)、(II)、(III)、又は(IV)で表されるアゾ色素は、Journal of Materials Chemistry (1999), 9(11), 2755-2763等に記載の方法に準じて容易に合成することができる。
前記一般式(I)、(II)、(III)、又は(IV)で表されるアゾ色素は、その分子構造から明らかなように、分子形状が平板で直線性がよく、剛直なコア部分と柔軟な側鎖部分を有しており、且つアゾ色素の分子長軸末端に極性なアミノ基を有するため、それ自身液晶性、特にネマチック液晶性を発現しやすい性質を有しているという特徴を有する。
このようにして、本発明において、上記(I)、(II)、(III)、又は(IV)で表される二色性色素の少なくとも一種を含有する二色性色素組成物は、液晶性を有するものとなる。
さらに、前記一般式(I)、(II)、(III)、又は(IV)で表されるアゾ色素は、分子の平面性が高いため強い分子間相互作用が働き、分子同士が会合状態を形成しやすい性質も有している。
このようにして、本発明において、上記(I)、(II)、(III)、又は(IV)で表される二色性色素の少なくとも一種を含有する二色性色素組成物は、液晶性を有するものとなる。
さらに、前記一般式(I)、(II)、(III)、又は(IV)で表されるアゾ色素は、分子の平面性が高いため強い分子間相互作用が働き、分子同士が会合状態を形成しやすい性質も有している。
本発明に係る前記一般式(I)、(II)、(III)、又は(IV)で表されるアゾ色素を含有する二色性色素組成物は、会合形成により可視の広い波長領域において高い吸光度を表すということだけでなく、この色素を含有した組成物が、具体的にはネマチック液晶性を有するため、例えば、ラビングしたポリビニルアルコール配向膜表面への塗布などの積層プロセスを経ることによって、高次の分子配向状態を実現できる。したがって、本発明に係る前記一般式(I)、(II)、(III)、又は(IV)で表されるアゾ色素を含有する二色性色素組成物を二色性色素層とし立体画像印刷物を作製すれば、偏光特性が高いため、クロストークやゴースト像のない鮮明な立体画像を提供することができる。
本発明の二色性色素組成物は、後述する実施例に記載の方法で算出した二色比(D)を15以上に高めることができ、好ましい(D)は18以上である。
本発明の二色性色素組成物は、後述する実施例に記載の方法で算出した二色比(D)を15以上に高めることができ、好ましい(D)は18以上である。
前記一般式(I)、(II)、(III)、又は(IV)で表されるアゾ色素の液晶性については、好ましくは10〜300℃、より好ましくは100〜250℃でネマチック液晶相を示す。
本発明における二色性色素組成物は一般式(I)、(II)、(III)、又は(IV)で表されるアゾ色素を1種以上含有することが好ましい。アゾ色素の組み合わせについては特に制限はないが、製造される立体画像印刷物が高い偏光度と色相を達成するために、2種以上を混合してもよい。
本発明の一般式(Ia)で表わされるアゾ色素は、マゼンタのアゾ色素であり、一般式(Ib)及び(II)で表わされるアゾ色素は、イエロー又はマゼンタのアゾ色素であり、一般式(III)及び(IV)で表わされるアゾ色素は、シアンのアゾ色素である。
本発明の一般式(Ia)で表わされるアゾ色素は、マゼンタのアゾ色素であり、一般式(Ib)及び(II)で表わされるアゾ色素は、イエロー又はマゼンタのアゾ色素であり、一般式(III)及び(IV)で表わされるアゾ色素は、シアンのアゾ色素である。
なお、前記二色性色素は、一般式(I)、(II)、(III)、又は(IV)で表されるアゾ色素以外の色素であってもよい。一般式(I)、(II)、(III)、又は(IV)で表されるアゾ色素以外の色素も、液晶性を示す化合物から選択されるのが好ましい。このような色素としては、例えば、シアニン系色素、アゾ金属錯体、フタロシアニン系色素、ピリリウム系色素、チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、スクアリリウム系色素、キノン系色素、トリフェニルメタン系色素、及びトリアリルメタン系色素等を挙げることができる。好ましくは、スクアリリウム系色素である。特に、「Dichroic Dyes for Liquid Crystal Display」(A. V. Ivashchenko著、CRC社、1994年)に記載のものも用いることができる。
本発明に使用可能なスクアリリウム系色素は、下記一般式(VI)で表されることが特に好ましい。
式中、A1及びA2はそれぞれ独立に、置換もしくは無置換の、炭化水素環基又は複素環基を表わす。
炭化水素環基は、5〜20員の単環又は縮合環の基であるのが好ましい。炭化水素環基は、芳香族環であっても、非芳香族環であってもよい。炭化水素環を構成している炭素原子は、水素原子以外の原子で置換されていてもよい。例えば、炭化水素環を構成している1以上の炭素原子は、C=O、C=S又はC=NR(Rは水素原子又はC1-10のアルキル基)であってもよい。また、炭化水素環を構成している1以上の炭素原子は、置換基を有していてもよく、置換基の具体例については、後述する置換基群Gから選択することができる。前記炭化水素環基の例には、以下の基が含まれるが、これらに限定されるものではない。
上記式中、*は、スクアリウム骨格に結合する部位を示し、Ra〜Rgはそれぞれ水素原子又は置換基を表し、可能であれば互いに結合して環構造を形成していてもよい。該置換基は、後述する置換基群Gから選択することができる。
特に、以下の例が好ましい。
式A−1中、Rcは−N(Rc1)(Rc2)であり、Rc1及びRc2はそれぞれ、水素原子、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基を表わし、Rb及びRdが水素原子であり、即ち、下記式A−1aで表される基である。
式A−2中、Reがヒドロキシ基であり、即ち、下記式A−2aで表される基である。
式A−3中、Reがヒドロキシ基であり、Rc及びRdが水素原子であり、即ち、下記式A−3aで表される基である。
式A−4中、Rgがヒドロキシ基であり、Ra、Rb、Re及びRfが水素原子であり、即ち、下記式A−4aで表される基である。
式A−5中、Rgがヒドロキシ基であり、即ち、下記式A−5aで表される基である。
特に、以下の例が好ましい。
式A−1中、Rcは−N(Rc1)(Rc2)であり、Rc1及びRc2はそれぞれ、水素原子、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基を表わし、Rb及びRdが水素原子であり、即ち、下記式A−1aで表される基である。
式A−2中、Reがヒドロキシ基であり、即ち、下記式A−2aで表される基である。
式A−3中、Reがヒドロキシ基であり、Rc及びRdが水素原子であり、即ち、下記式A−3aで表される基である。
式A−4中、Rgがヒドロキシ基であり、Ra、Rb、Re及びRfが水素原子であり、即ち、下記式A−4aで表される基である。
式A−5中、Rgがヒドロキシ基であり、即ち、下記式A−5aで表される基である。
上記式A−1a中、Rc1及びRc2は各々独立に、水素原子又は炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基を表わし;上記式中のその他の記号は、上記式A−1〜A−5中のそれぞれと同義である。アルキル基の置換基の例としては、後述の置換基群Gが挙げられ、好ましい範囲も同様である。Rc1及びRc2が、置換もしくは無置換のアルキル基である場合、互いに連結して、含窒素複素環基を形成してもよい。また、Rc1及びRc2の少なくとも一方が、式A−1a中のベンゼン環の炭素原子と結合して、縮合環を形成していてもよい。例えば、以下の式A−1b及びA−1cであってもよい。
式中、*は、スクアリウム骨格に結合する部位を示し、Rhは、水素原子又は置換基を表す。該置換基の例には、後述の置換基群Gが含まれる。Rhは、ベンゼン環を1以上含む置換基であるのが好ましい。
複素環基は、5〜20員の単環又は縮合環の基であるのが好ましい。複素環基は、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子の少なくとも1つを環構成原子として有する。また、環構成原子として1以上の炭素原子を含んでいてもよく、複素環を構成している、ヘテロ原子又は炭素原子は、水素原子以外の原子で置換されていてもよい。例えば、複素環を構成している1以上の硫黄原子は、例えば、S=O又はS(O)2であってもよく、また複素環を構成している1以上の炭素原子は、C=O、C=S又はC=NR(Rは水素原子又はC1-10のアルキル基)であってもよい。また、複素環基は、芳香族環であっても、非芳香族環であってもよい。複素環基を構成している1以上のヘテロ原子及び/又は炭素原子は、置換基を有していてもよく、置換基の具体例については、後述する置換基群Gから選択することができる。前記複素環基の例には、以下の基が含まれるが、これらに限定されるものではない。
上記式中、*は、スクアリウム骨格に結合する部位を示し、Ra〜Rfはそれぞれ水素原子又は置換基を表し、可能であれば互いに結合して環構造を形成していてもよい。該置換基は、後述する置換基群Gから選択することができる。
A−6〜A−43中、Rcはヒドロキシ基(OH)又はヒドロチオキシ基(SH)であるのが好ましい。
A−6〜A−43中、Rcはヒドロキシ基(OH)又はヒドロチオキシ基(SH)であるのが好ましい。
好ましい炭化水素環基は、A−1、A−2、及びA−4で表される炭化水素環基である。より好ましくは、A−1a、A−2a及びA−4aである。特に好ましくは、A−1及びA−2で表される炭化水素環基であり、より好ましくはA−1a及びA−2aである。さらに好ましくは、A−1aであり、中でも、Ra及びReが水素原子又は水酸基を表わすA−1aで表される炭化水素環基である。
好ましい複素環基は、A−6、A−7、A−8、A−9、A−10、A−11、A−14、A−24、A−34、A−37及びA−39で示される複素環である。特に好ましくは、A−6、A−7、A−8、A−9、A−11、A−14、A−34及びA−39で示される複素環である。これらの式中、Rcはヒドロキシ基(OH)又はヒドロチオキシ基(SH)であるのがより好ましい。
前記式(VI)中、A1及びA2の少なくとも一方が、A−1(より好ましくはA−1a)であることが特に好ましい。
前記炭化水素環基及び複素環基は1以上の置換基を有していてもよく、該置換基の例としては、下記の置換基群Gが含まれる。
置換基群G:
炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル、メトキシエチル、エトキシカルボニルエチル、シアノエチル、ジエチルアミノエチル、ヒドロキシエチル、クロロエチル、アセトキシエチル、トリフルオロメチル等);炭素数7〜18(好ましくは炭素数7〜12)の置換もしくは無置換のアラルキル基(例、ベンジル、カルボキシベンジル等);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアルケニル基(例、ビニル等);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアルキニル基(例、エチニル等);炭素数6〜18(好ましくは炭素数6〜10)の置換もしくは無置換のアリール基(例、フェニル、4−メチルフェニル、4−メトキシフェニル、4−カルボキシフェニル、3、5−ジカルボキシフェニル等);
置換基群G:
炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル、メトキシエチル、エトキシカルボニルエチル、シアノエチル、ジエチルアミノエチル、ヒドロキシエチル、クロロエチル、アセトキシエチル、トリフルオロメチル等);炭素数7〜18(好ましくは炭素数7〜12)の置換もしくは無置換のアラルキル基(例、ベンジル、カルボキシベンジル等);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアルケニル基(例、ビニル等);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアルキニル基(例、エチニル等);炭素数6〜18(好ましくは炭素数6〜10)の置換もしくは無置換のアリール基(例、フェニル、4−メチルフェニル、4−メトキシフェニル、4−カルボキシフェニル、3、5−ジカルボキシフェニル等);
炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアシル基(例、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、クロロアセチル等);炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のアルキル又はアリールスルホニル基(例、メタンスルホニル、p−トルエンスルホニル等);炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)のアルキルスルフィニル基(例、メタンスルフィニル、エタンスルフィニル、オクタンスルフィニル等);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)のアルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等);炭素数7〜18(好ましくは炭素数7〜12)のアリールオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル、4−メチルフェノキシカルボニル、4−メトキシフェニルカルボニル等);炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、n−ブトキシ、メトキシエトキシ等);炭素数6〜18(好ましくは炭素数6〜10)の置換もしくは無置換のアリールオキシ基(例、フェノキシ、4−メトキシフェノキシ等);炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)のアルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ等);炭素数6〜10のアリールチオ基(例、フェニルチオ等);
炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアシルオキシ基(例、アセトキシ、エチルカルボニルオキシ、シクロヘキシルカルボニルキシ、ベンゾイルオキシ、クロロアセチルオキシ等);炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のスルホニルオキシ基(例、メタンスルホニルオキシ等);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基(例、メチルカルバモイルオキシ、ジエチルカルバモイルオキシ等);無置換のアミノ基又は炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換アミノ基(例、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アニリノ、メトキシフェニルアミノ、クロロフェニルアミノ、モルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノ、ピリジルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、n−ブトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、メチルカルバモイルアミノ、フェニルカルバモイルアミノ、エチルチオカルバモイルアミノ、メチルスルファモイルアミノ、フェニルスルファモイルアミノ、アセチルアミノ、エチルカルボニルアミノ、エチルチオカルボニルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ、クロロアセチルアミノ、メタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等);
炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のカルバモイル基(例、無置換のカルバモイル、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、n−ブチルカルバモイル、t−ブチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、モルホリノカルバモイル、ピロリジノカルバモイル等);無置換のスルファモイル基、炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換スルファモイル基(例、メチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等);ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素等);水酸基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基;ヘテロ環基(例、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、インドレニン、ピリジン、スルホラン、フラン、チオフェン、ピラゾール、ピロール、クロマン、クマリンなど)。
式(VI)で表される二色性スクアリウム色素の例には、以下の例示化合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
本発明における前記一般式(VI)で表され二色性スクアリリウム色素は、Journal of Chemical Society, Perkin Trans. 1 (2000), 599-603、 Synthesis (2002), No.3, 413-417等に記載の方法に準じて容易に合成することができる。
本発明に使用する二色性色素は、遷移モーメントと分子長軸のなす角度が0度以上20度以下であることが好ましく、より好ましくは0度以上15度以下であり、さらに好ましくは0度以上10度以下であり、特に好ましくは0度以上5度以下である。ここで分子長軸とは、化合物中で原子間距離が最大となる2つの原子を結ぶ軸を言う。遷移モーメントの方向は分子軌道計算により求めることができ、そこから分子長軸となす角度も計算することができる。
本発明に使用する二色性色素は、剛直な直線状の構造であることが好ましい。具体的には、分子長は好ましくは17Å以上であり、より好ましくは20Å以上であり、さらに好ましくは25Å以上である。また、アスペクト比は好ましくは1.7以上であり、より好ましくは2以上であり、さらに好ましくは2.5以上である。これによって良好な一軸配向が達成され、偏光性能の高い二色性色素層及び立体画像印刷物を得ることができる。
ここで分子長とは、化合物中で最大の原子間距離に両端の2原子のファンデルワールス半径を加えた値である。アスペクト比とは分子長/分子幅であり、分子幅とは、分子長軸に垂直な面に各原子を投影したときの最大の原子間距離に両端の2原子のファンデルワールス半径を加えた値である。
ここで分子長とは、化合物中で最大の原子間距離に両端の2原子のファンデルワールス半径を加えた値である。アスペクト比とは分子長/分子幅であり、分子幅とは、分子長軸に垂直な面に各原子を投影したときの最大の原子間距離に両端の2原子のファンデルワールス半径を加えた値である。
前記二色性色素組成物は、1種以上の前記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、又は(VI)で表される色素を主成分として含有する。具体的には、前記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、又は(VI)で表される色素の含有量は、含有される全色素の合計の含有量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。上限値は100質量%であり、即ち、含有される色素が全て、一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、又は(VI)で表される色素であっても勿論よい。
また、前記二色性色素組成物に含まれる、溶剤を除く全固形分において、1種以上の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、又は(VI)で表される二色性色素の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることが特に好ましい。上限値は特に制限されないが、下記の界面活性剤等、他の添加剤を含有する態様では、それらの効果を得るためには、前記二色性色素組成物に含まれる、溶剤を除く全固形分における、1種以上の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、又は(VI)で表される二色性色素の含有量は、95質量%以下であるのが好ましく、90質量%以下であるのがより好ましい。
前記二色性色素組成物の塗布液を配向膜上に適用すると、二色性色素は配向膜との界面では配向膜のチルト角で配向し、空気との界面では空気界面のチルト角で配向する。本発明の二色性色素組成物塗布液を配向膜の表面に塗布後、二色性色素を均一配向(モノドメイン配向)させることで、水平配向を実現することができる。
本発明において、チルト角とは、二色性色素の分子の長軸方向と界面(配向膜界面あるいは空気界面)のなす角度を指す。配向膜側のチルト角を有る程度小さくし水平配向させることにより立体画像印刷物として好ましい光学性能がより効果的に得られる。したがって、クロストーク及びゴースト像の抑制の観点から、好ましい配向膜側のチルト角は0°〜10°、さらに好ましくは0°〜5°、特に好ましいのは0°〜2°、最も好ましくは0°〜1°である。また、好ましい空気界面側のチルト角は0°〜10°、さらに好ましくは0〜5°、特に好ましいのは0〜2°である。
一般的に、空気界面側の二色性色素のチルト角は、所望により添加される他の化合物(例えば、特開2005−99248号公報、特開2005−134884号公報、特開2006−126768号公報、特開2006−267183号公報記載の水平配向化剤など)を選択することにより調整することができ、本発明の二色性色素層として、好ましい水平配向状態を実現することができる。
また、配向膜側の二色性色素のチルト角は、配向膜チルト角制御剤等により制御することができる。
また、配向膜側の二色性色素のチルト角は、配向膜チルト角制御剤等により制御することができる。
前記二色性色素組成物は、上記二色性色素以外に、1種以上の添加剤を含有していてもよい。前記二色性色素組成物は、ラジカル重合性基を有する非液晶性の多官能モノマー、重合開始剤、風ムラ防止剤、ハジキ防止剤、糖類、防黴、抗菌及び殺菌の少なくともいずれかの機能を有する薬剤等を含有していてもよい。
3.立体画像印刷物の表示方法
本発明はまた、本発明の立体画像印刷物を、観察者に表示する方法にも関する。本発明の前記方法は、
本発明の立体画像印刷物を準備すること、及び
該立体画像印刷物を、左眼用及び右眼用のレンズが、それぞれ互いに直交する吸収軸を有する直線偏光レンズである、又は互いに逆向きの円偏光レンズである、偏光メガネを着用した観察者に対して表示すること、
を含む立体画像の提供方法である。
本発明の方法は、例えば、屋外及び屋内における商品の宣伝広告などに利用可能であろう。
本発明はまた、本発明の立体画像印刷物を、観察者に表示する方法にも関する。本発明の前記方法は、
本発明の立体画像印刷物を準備すること、及び
該立体画像印刷物を、左眼用及び右眼用のレンズが、それぞれ互いに直交する吸収軸を有する直線偏光レンズである、又は互いに逆向きの円偏光レンズである、偏光メガネを着用した観察者に対して表示すること、
を含む立体画像の提供方法である。
本発明の方法は、例えば、屋外及び屋内における商品の宣伝広告などに利用可能であろう。
図4〜図7に示す態様の立体画像印刷物は、左眼用及び右眼用のレンズが、それぞれ互いに直交する吸収軸を有する直線偏光レンズである、偏光メガネを装着した観察者に対して表示される。
また、図8に示す態様の立体画像印刷物は、左眼用及び右眼用のレンズが、互いに反対向きの円偏光レンズである、偏光メガネを着用した観察者に対して表示される。
また、高い明度の立体画像印刷物を観察者に表示するため、観察者側から又は背面側から立体画像印刷物をライト等により光照射してもよい。
また、図8に示す態様の立体画像印刷物は、左眼用及び右眼用のレンズが、互いに反対向きの円偏光レンズである、偏光メガネを着用した観察者に対して表示される。
また、高い明度の立体画像印刷物を観察者に表示するため、観察者側から又は背面側から立体画像印刷物をライト等により光照射してもよい。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
1.実施例1
[立体画像用印画紙の作製]
(透明支持体の作製)
下記セルロースアセテート溶液組成の各成分をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製しドープとした。
(セルロースアセテート溶液組成)
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 318質量部
メタノール(第2溶媒) 47質量部
[立体画像用印画紙の作製]
(透明支持体の作製)
下記セルロースアセテート溶液組成の各成分をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製しドープとした。
(セルロースアセテート溶液組成)
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 318質量部
メタノール(第2溶媒) 47質量部
別のミキシングタンクに、下記組成物を投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液を調製した。
(添加剤溶液組成)
下記添加剤A(Re低下剤) 40質量部
下記添加剤B(波長分散制御剤) 4質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 80質量部
メタノール(第2溶媒) 20質量部
(添加剤溶液組成)
下記添加剤A(Re低下剤) 40質量部
下記添加剤B(波長分散制御剤) 4質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 80質量部
メタノール(第2溶媒) 20質量部
セルロースアシレート溶液を477質量部に、添加剤溶液の40質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の場外で剥ぎ取り、フィルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号の図3に記載のピンテンター)で固定し、溶媒含有率が3乃至5質量%の状態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み60μm
のセルロースアセテートフィルムを作製した。
作製したセルロースアセテートフィルムについて、550nmにおけるRe値を、KOBRA 21ADH(商品名、王子計測機器(株)製)において550nmの光をフィルム法線方向に入射させて測定した。Re値は2nmであった。
のセルロースアセテートフィルムを作製した。
作製したセルロースアセテートフィルムについて、550nmにおけるRe値を、KOBRA 21ADH(商品名、王子計測機器(株)製)において550nmの光をフィルム法線方向に入射させて測定した。Re値は2nmであった。
(ラビング配向膜の作製)
上記セルロースアセテートフィルムの表面裏面、各々に、クラレ社製ポリビニルアルコール「PVA103」の4%水溶液を、12番バーで塗布を行い、80℃で5分間乾燥させた。その後に、400rpmで3往復、表面裏面で直交するようにラビング処理を行い、立体画像用印画紙を作製した。ラビング処理の方向は、それぞれ−45°及び+45°の方向とした。
上記セルロースアセテートフィルムの表面裏面、各々に、クラレ社製ポリビニルアルコール「PVA103」の4%水溶液を、12番バーで塗布を行い、80℃で5分間乾燥させた。その後に、400rpmで3往復、表面裏面で直交するようにラビング処理を行い、立体画像用印画紙を作製した。ラビング処理の方向は、それぞれ−45°及び+45°の方向とした。
(立体画像用印画紙)
この様にして、図1と同様の構成の立体画像用印画紙を作製した。セルロースアセテートフィルムからなる透明支持体12の表面裏面に、各々、ラビング配向膜14L及び14Rが積層された印画紙を作製した。ラビング配向膜14L及び14Rの配向軸16L及び16Rは、図2と同様の関係であり、90°で直交していた。このラビング配向膜は、ラビング処理によって配向規制力が付与され、このラビング方向に沿って配向軸が形成され、液晶性二色性色素の分子を、その長軸を配向軸に平行にして水平配向させることが可能な配向膜である。
この様にして、図1と同様の構成の立体画像用印画紙を作製した。セルロースアセテートフィルムからなる透明支持体12の表面裏面に、各々、ラビング配向膜14L及び14Rが積層された印画紙を作製した。ラビング配向膜14L及び14Rの配向軸16L及び16Rは、図2と同様の関係であり、90°で直交していた。このラビング配向膜は、ラビング処理によって配向規制力が付与され、このラビング方向に沿って配向軸が形成され、液晶性二色性色素の分子を、その長軸を配向軸に平行にして水平配向させることが可能な配向膜である。
[立体画像用インクの作製]
(二色性色素組成物の調製)
下記組成を攪拌して溶解し、立体画像用インクとした。イエローインク、マゼンタインク、及びシアンインクの粘度は0.6cPであり、表面張力は30dyn/cmであった。
(立体画像用イエローインク)
下記構造のイエローアゾ色素A2−3(一般式(II)の化合物) 1質量部
クロロホルム(溶媒) 99質量部
(立体画像用マゼンタインク)
下記構造のマゼンタアゾ色素C−9(一般式(I)の化合物) 1質量部
クロロホルム(溶媒) 99質量部
(立体画像用シアンインク)
下記構造のシアンアゾ色素A3−1(一般式(III)の化合物) 0.87質量部
下記構造のシアンスクアリリウム色素VI−5 0.13質量部
クロロホルム(溶媒) 99質量部
(二色性色素組成物の調製)
下記組成を攪拌して溶解し、立体画像用インクとした。イエローインク、マゼンタインク、及びシアンインクの粘度は0.6cPであり、表面張力は30dyn/cmであった。
(立体画像用イエローインク)
下記構造のイエローアゾ色素A2−3(一般式(II)の化合物) 1質量部
クロロホルム(溶媒) 99質量部
(立体画像用マゼンタインク)
下記構造のマゼンタアゾ色素C−9(一般式(I)の化合物) 1質量部
クロロホルム(溶媒) 99質量部
(立体画像用シアンインク)
下記構造のシアンアゾ色素A3−1(一般式(III)の化合物) 0.87質量部
下記構造のシアンスクアリリウム色素VI−5 0.13質量部
クロロホルム(溶媒) 99質量部
[立体画像印刷物の作製]
(二色性色素層の作製)
左右二系統の撮影レンズを備えたデジタルカメラで撮影した、右眼用データ及び左眼用データを、各々、デジタルデータに変換した後、上記で得られた立体画像用インクをピエゾ方式のインクジェットヘッドを用いて、前記ラビング配向膜上に打滴した。右眼用画像は表面のラビング配向膜上へ打滴し、左眼用画像は裏面のラビング配向膜上へ打滴した。室温で溶媒乾燥することで配向状態を固定化し、二色性色素層をそれぞれ作製した。画像データに対応する階調はインクの打滴量及び密度を制御することによって制御した。表面及び裏面の二色性色素層の配向方向は直交しており、いずれも±1°の範囲で水平配向していた。なお、表面及び裏面の二色性色素層の厚さは1μmであった。
(二色性色素層の作製)
左右二系統の撮影レンズを備えたデジタルカメラで撮影した、右眼用データ及び左眼用データを、各々、デジタルデータに変換した後、上記で得られた立体画像用インクをピエゾ方式のインクジェットヘッドを用いて、前記ラビング配向膜上に打滴した。右眼用画像は表面のラビング配向膜上へ打滴し、左眼用画像は裏面のラビング配向膜上へ打滴した。室温で溶媒乾燥することで配向状態を固定化し、二色性色素層をそれぞれ作製した。画像データに対応する階調はインクの打滴量及び密度を制御することによって制御した。表面及び裏面の二色性色素層の配向方向は直交しており、いずれも±1°の範囲で水平配向していた。なお、表面及び裏面の二色性色素層の厚さは1μmであった。
(二色性色素層の二色比測定)
前記と同様なインクを用いて同様な条件で固定化した二色性色素層を別途形成して、二色比を測定した。
二色比は、ヨウ素系偏光素子を入射光学系に配した分光光度計で二色性色素層の吸光度を測定した後、次式により計算した。
二色比(D)=Az/Ay
Az:光吸収異方性膜の吸収軸方向の偏光に対する吸光度
Ay:光吸収異方性膜の偏光軸方向の偏光に対する吸光度
測定結果を表1に示した。
前記と同様なインクを用いて同様な条件で固定化した二色性色素層を別途形成して、二色比を測定した。
二色比は、ヨウ素系偏光素子を入射光学系に配した分光光度計で二色性色素層の吸光度を測定した後、次式により計算した。
二色比(D)=Az/Ay
Az:光吸収異方性膜の吸収軸方向の偏光に対する吸光度
Ay:光吸収異方性膜の偏光軸方向の偏光に対する吸光度
測定結果を表1に示した。
(酸素遮断層用塗布液の調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して酸素遮断層用塗布液とした。
ポリビニルアルコール(PVA205(商品名、クラレ(株)製)3.2質量部、ポリビニルピロリドン(PVP K−30(商品名、日本触媒(株)製)1.5質量部、メタノール44質量部、水56質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して酸素遮断層用塗布液を調製した。
(酸素遮断層の作製)
前記記載の、表面及び裏面、各々の二色性色素層の上層に、前記酸素遮断層用塗布液を塗布し、100℃で2分間乾燥し酸素遮断層を作製した。酸素遮断層の厚さは1μmであった。
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して酸素遮断層用塗布液とした。
ポリビニルアルコール(PVA205(商品名、クラレ(株)製)3.2質量部、ポリビニルピロリドン(PVP K−30(商品名、日本触媒(株)製)1.5質量部、メタノール44質量部、水56質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して酸素遮断層用塗布液を調製した。
(酸素遮断層の作製)
前記記載の、表面及び裏面、各々の二色性色素層の上層に、前記酸素遮断層用塗布液を塗布し、100℃で2分間乾燥し酸素遮断層を作製した。酸素遮断層の厚さは1μmであった。
(透明樹脂硬化層用塗布液の調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して透明樹脂硬化層塗布液とした。
トリメチロールプロパントリアクリレート(ビスコート#295(商品名、大阪有機化学(株)製)7.5質量部に、質量平均分子量15000のポリ(グリシジルメタクリレート)2.7質量部、メチルエチルケトン7.3質量部、シクロヘキサノン5.0質量部及び光重合開始剤(イルガキュア184(商品名)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.5質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して透明樹脂硬化層用の塗布液を調製した。
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して透明樹脂硬化層塗布液とした。
トリメチロールプロパントリアクリレート(ビスコート#295(商品名、大阪有機化学(株)製)7.5質量部に、質量平均分子量15000のポリ(グリシジルメタクリレート)2.7質量部、メチルエチルケトン7.3質量部、シクロヘキサノン5.0質量部及び光重合開始剤(イルガキュア184(商品名)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.5質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して透明樹脂硬化層用の塗布液を調製した。
(立体画像印刷物)
前記記載の、表面及び裏面、各々の酸素遮断層の上層に、前記記載の透明樹脂硬化層用塗布液を塗布し、100℃で2分間乾燥した。その後、窒素雰囲気下(酸素濃度100ppm以下)5Jの紫外線を照射して重合し、二色性色素層(層厚1.0μm)の表面に、層厚1μmの酸素遮断層、層厚2μmの透明樹脂硬化層が順次積層された立体画像印刷物を作製した。透明樹脂硬化層の波長550nmにおけるRe=0nmであった。また、JIS K5400に従い鉛筆硬度測定を実施したところHであった。
即ち、上記方法により、図6と同様の構成の立体画像印刷物を作製した。
前記記載の、表面及び裏面、各々の酸素遮断層の上層に、前記記載の透明樹脂硬化層用塗布液を塗布し、100℃で2分間乾燥した。その後、窒素雰囲気下(酸素濃度100ppm以下)5Jの紫外線を照射して重合し、二色性色素層(層厚1.0μm)の表面に、層厚1μmの酸素遮断層、層厚2μmの透明樹脂硬化層が順次積層された立体画像印刷物を作製した。透明樹脂硬化層の波長550nmにおけるRe=0nmであった。また、JIS K5400に従い鉛筆硬度測定を実施したところHであった。
即ち、上記方法により、図6と同様の構成の立体画像印刷物を作製した。
[立体画像の観察]
観察者が直線偏光メガネを介して前記立体画像印刷物を観察したところ、クロストークやゴースト像のない鮮明な立体画像を観察することができた。なお、偏光メガネは、左眼用直線偏光フィルター及び右眼用直線偏光フィルターから構成されており、各々の直線偏光フィルターは、その偏光軸が直交しているものを使用した。
観察者が直線偏光メガネを介して前記立体画像印刷物を観察したところ、クロストークやゴースト像のない鮮明な立体画像を観察することができた。なお、偏光メガネは、左眼用直線偏光フィルター及び右眼用直線偏光フィルターから構成されており、各々の直線偏光フィルターは、その偏光軸が直交しているものを使用した。
2.実施例2
[立体画像印刷物の作製]
実施例1で作製した立体画像印刷物の裏面に、アルミ反射層を積層した。即ち、図7と同様の構成の立体画像印刷物を作製した。
[立体画像印刷物の作製]
実施例1で作製した立体画像印刷物の裏面に、アルミ反射層を積層した。即ち、図7と同様の構成の立体画像印刷物を作製した。
[立体画像の観察]
観察者が実施例1で作製した偏光眼鏡を介して実施例2で作製した立体画像印刷物を観察したところ、クロストークやゴースト像のない鮮明な立体画像を観察することができた。この結果から、本発明の立体画像印刷物は、反射光で観察しても、クロストークやゴースト像のない立体画像を表示できることが確認された。
観察者が実施例1で作製した偏光眼鏡を介して実施例2で作製した立体画像印刷物を観察したところ、クロストークやゴースト像のない鮮明な立体画像を観察することができた。この結果から、本発明の立体画像印刷物は、反射光で観察しても、クロストークやゴースト像のない立体画像を表示できることが確認された。
3.実施例3
[立体画像用印画紙の作製]
ラビング配向膜を下記の通り作製した光配向膜に変更した以外は、実施例1と同様に立体画像用印画紙を作製した。
[立体画像用印画紙の作製]
ラビング配向膜を下記の通り作製した光配向膜に変更した以外は、実施例1と同様に立体画像用印画紙を作製した。
(光配向膜の作製)
実施例1と同様にして作製したセルロースアセテートフィルムの表面裏面、各々に、下記構造の光配向材料E−1 1%水溶液をスピンコート塗布し、100℃で1分間乾燥した。
実施例1と同様にして作製したセルロースアセテートフィルムの表面裏面、各々に、下記構造の光配向材料E−1 1%水溶液をスピンコート塗布し、100℃で1分間乾燥した。
得られた塗布膜に、偏光紫外線露光装置を用いて直線偏光紫外線(照度140mW、照射時間35秒、照射量5J/cm2)を照射し、立体画像用印画紙を作製した。照射は、表面裏面、各々に対して実施し、その照射方向は、面に対して垂直方向から、表面裏面で直交するように、図3に示す入射面1及び2に平行な方向からそれぞれ光照射した。この光配向膜は、直線偏光の照射によって配向規制力が付与され、その光照射方向に直交する方向に配向軸が形成され、液晶性二色性色素の分子を、その長軸を配向軸に平行にして水平配向させることが可能な配向膜である。
[立体画像印刷物の作製]
(二色性色素層の作製)
左右二系統の撮影レンズを備えたデジタルカメラで撮影した、右眼用データ及び左眼用データを、各々、デジタルデータに変換したのち、実施例1で得られた立体画像用インクをピエゾ方式のインクジェットヘッドを用いて、前記光配向膜上に打滴した。右眼用画像は表面の光配向膜上へ打滴し、左眼用画像は裏面の光配向膜上へ打滴した。室温で溶媒乾燥することで配向状態を固定化し二色性色素層を作製した。画像データに対応する階調はインクの打滴量及び密度を制御することによって制御した。表面及び裏面の二色性色素層の配向方向は直交しており、いずれも±1°の範囲で水平配向していた。なお、表面及び裏面の二色性色素層の厚さは1μmであった。
(二色性色素層の作製)
左右二系統の撮影レンズを備えたデジタルカメラで撮影した、右眼用データ及び左眼用データを、各々、デジタルデータに変換したのち、実施例1で得られた立体画像用インクをピエゾ方式のインクジェットヘッドを用いて、前記光配向膜上に打滴した。右眼用画像は表面の光配向膜上へ打滴し、左眼用画像は裏面の光配向膜上へ打滴した。室温で溶媒乾燥することで配向状態を固定化し二色性色素層を作製した。画像データに対応する階調はインクの打滴量及び密度を制御することによって制御した。表面及び裏面の二色性色素層の配向方向は直交しており、いずれも±1°の範囲で水平配向していた。なお、表面及び裏面の二色性色素層の厚さは1μmであった。
(二色性色素層の二色比測定)
前記と同様なインクを用いて同様な条件で固定化した二色性色素層を別途形成して、二色比を測定した。
測定結果を表1に示した。
前記と同様なインクを用いて同様な条件で固定化した二色性色素層を別途形成して、二色比を測定した。
測定結果を表1に示した。
(立体画像印刷物)
実施例1と同様の操作にて、表面及び裏面、各々に、酸素遮断層及び透明樹脂硬化層を積層し立体画像印刷物を作製した。即ち、図6と同様の構成の立体画像印刷物を作製した。
実施例1と同様の操作にて、表面及び裏面、各々に、酸素遮断層及び透明樹脂硬化層を積層し立体画像印刷物を作製した。即ち、図6と同様の構成の立体画像印刷物を作製した。
[立体画像の観察]
観察者が実施例1で作製した偏光眼鏡を介して実施例3で作製した立体画像印刷物を観察したところ、クロストークやゴースト像のない鮮明な立体画像を観察することができた。
観察者が実施例1で作製した偏光眼鏡を介して実施例3で作製した立体画像印刷物を観察したところ、クロストークやゴースト像のない鮮明な立体画像を観察することができた。
4.実施例4
[立体画像印刷物の作製]
(立体画像印刷物)
表面側の透明樹脂硬化層上に紫外線硬化型接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ製)で位相差フィルム(1/4波長板の位相差フィルム:27344K エドモントオプティックスジャパン製)を貼付した以外は、実施例1と同様の操作にて立体画像印刷物を作製した。なお、1/4波長板である位相差フィルムを貼付する方向は、表面裏面の二色性色素の吸収軸と、1/4波長板の遅相軸が、各々、45°の角度をなすように実施した。即ち、図9と同様の関係となるように、配置した。
[立体画像印刷物の作製]
(立体画像印刷物)
表面側の透明樹脂硬化層上に紫外線硬化型接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ製)で位相差フィルム(1/4波長板の位相差フィルム:27344K エドモントオプティックスジャパン製)を貼付した以外は、実施例1と同様の操作にて立体画像印刷物を作製した。なお、1/4波長板である位相差フィルムを貼付する方向は、表面裏面の二色性色素の吸収軸と、1/4波長板の遅相軸が、各々、45°の角度をなすように実施した。即ち、図9と同様の関係となるように、配置した。
[立体画像の観察]
観察者が円偏光メガネを介して前記立体画像印刷物を観察したところ、クロストークやゴースト像のない鮮明な立体画像を観察することができた。なお、偏光メガネは、左眼用円偏光フィルター及び右眼用円偏光フィルターから構成されており、各々の円偏光フィルターは、直線偏光フィルターと1/4波長板が、その偏光軸と遅相軸が45°の角度をなすように積層されており、且、左眼用と右眼用で、直線偏光フィルターの偏光軸が直交しているものを使用した。
観察者が円偏光メガネを介して前記立体画像印刷物を観察したところ、クロストークやゴースト像のない鮮明な立体画像を観察することができた。なお、偏光メガネは、左眼用円偏光フィルター及び右眼用円偏光フィルターから構成されており、各々の円偏光フィルターは、直線偏光フィルターと1/4波長板が、その偏光軸と遅相軸が45°の角度をなすように積層されており、且、左眼用と右眼用で、直線偏光フィルターの偏光軸が直交しているものを使用した。
(比較例1)
[立体画像印刷物の作製]
特表平11−511702号記載の方法に準じて立体画像印刷物を作製した。なお、インクのシアン、マゼンタ、イエロー染料、及びブラック染料も、特表平11−511702号記載の、ダイレクトグリーン27番、ダイレクトレッド117番、サンズバイオレット9番、プリムライエロー、及びダイレクトブラック170番を使用した。各々の二色性色素の二色比を表1に示した。
[立体画像印刷物の作製]
特表平11−511702号記載の方法に準じて立体画像印刷物を作製した。なお、インクのシアン、マゼンタ、イエロー染料、及びブラック染料も、特表平11−511702号記載の、ダイレクトグリーン27番、ダイレクトレッド117番、サンズバイオレット9番、プリムライエロー、及びダイレクトブラック170番を使用した。各々の二色性色素の二色比を表1に示した。
[立体画像の観察]
観察者が偏光眼鏡を介して前記立体画像印刷物を観察したところ、奥行きのある立体画像は観察できたが、ゴースト像が認められた。
観察者が偏光眼鏡を介して前記立体画像印刷物を観察したところ、奥行きのある立体画像は観察できたが、ゴースト像が認められた。
5.実施例5及び6
[立体画像用印画物の作製]
立体画像用マゼンタインクを、下記のA−16又はA−46に変更した以外は、実施例1と同様に立体画像用印画物を作製した。
[立体画像用印画物の作製]
立体画像用マゼンタインクを、下記のA−16又はA−46に変更した以外は、実施例1と同様に立体画像用印画物を作製した。
(二色性色素層の二色比測定)
前記と同様なマゼンタインクを用いて同様な条件で固定化した二色性色素層を別途形成して、二色比を測定した。
測定結果を下記表に示した。
前記と同様なマゼンタインクを用いて同様な条件で固定化した二色性色素層を別途形成して、二色比を測定した。
測定結果を下記表に示した。
(二色性色素層の周期構造測定)
前記マゼンタインクを用いて別途形成した二色性色素層の周期及び半値幅は、薄膜評価用X線回折装置(リガク社製、商品名:「ATX−G」インプレーン光学系)を用いたインプレーン測定プロファイルとφスキャンプロファイルにより求めた。両測定ともに、CuKαを用いて、入射角0.18°で実施した。
回折角と距離との関係は、
d=λ/(2*sinθ)
(d;距離、λ;入射X線波長(CuKα;1.54Å)
により換算した。
測定結果を表2に示した。
前記マゼンタインクを用いて別途形成した二色性色素層の周期及び半値幅は、薄膜評価用X線回折装置(リガク社製、商品名:「ATX−G」インプレーン光学系)を用いたインプレーン測定プロファイルとφスキャンプロファイルにより求めた。両測定ともに、CuKαを用いて、入射角0.18°で実施した。
回折角と距離との関係は、
d=λ/(2*sinθ)
(d;距離、λ;入射X線波長(CuKα;1.54Å)
により換算した。
測定結果を表2に示した。
[立体画像の観察]
観察者が偏光眼鏡を介して前記立体画像印刷物を観察したところ、実施例1及び実施例5でそれぞれ用いたマゼンタ色素C−9及びA−16による二色性色素層は、配向軸垂直方向及び配向軸平行方向の回折ピーク半値幅が0.5Å以下のシャープなピークであり、分子間距離のばらつきも小さいため、大きな二色比が得られており、クロストークやゴースト像のない鮮明な奥行きのある立体画像を観察できた。一方、実施例6で用いたマゼンタ色素A−46による二色性色素層は、配向軸垂直方向の回折ピーク半値幅が0.89Åとブロードなピークであるため、分子間距離も若干のばらつきがあり、二色比も21と若干低かった。そのため、立体画像の観察でも、若干のゴースト像が認められた。
観察者が偏光眼鏡を介して前記立体画像印刷物を観察したところ、実施例1及び実施例5でそれぞれ用いたマゼンタ色素C−9及びA−16による二色性色素層は、配向軸垂直方向及び配向軸平行方向の回折ピーク半値幅が0.5Å以下のシャープなピークであり、分子間距離のばらつきも小さいため、大きな二色比が得られており、クロストークやゴースト像のない鮮明な奥行きのある立体画像を観察できた。一方、実施例6で用いたマゼンタ色素A−46による二色性色素層は、配向軸垂直方向の回折ピーク半値幅が0.89Åとブロードなピークであるため、分子間距離も若干のばらつきがあり、二色比も21と若干低かった。そのため、立体画像の観察でも、若干のゴースト像が認められた。
6.実施例7
[立体画像用印画物の作製]
立体画像用マゼンタインクを下記に変更した以外は、実施例1と同様に立体画像用印画物を作製した。
(立体画像用マゼンタインクの調製)
下記組成を攪拌して溶解し、立体画像用マゼンタインクとした。
(立体画像用マゼンタインク)
下記構造の棒状液晶(B) 20質量部
下記構造のマゼンタアゾ色素A−16 1質量部
クロロホルム(溶媒) 79質量部
[立体画像用印画物の作製]
立体画像用マゼンタインクを下記に変更した以外は、実施例1と同様に立体画像用印画物を作製した。
(立体画像用マゼンタインクの調製)
下記組成を攪拌して溶解し、立体画像用マゼンタインクとした。
(立体画像用マゼンタインク)
下記構造の棒状液晶(B) 20質量部
下記構造のマゼンタアゾ色素A−16 1質量部
クロロホルム(溶媒) 79質量部
(二色性色素層の二色比測定)
前記と同様なマゼンタインクを用いて同様な条件で固定化した二色性色素層を別途形成して、二色比を測定した。
測定結果を表3に示した。
前記と同様なマゼンタインクを用いて同様な条件で固定化した二色性色素層を別途形成して、二色比を測定した。
測定結果を表3に示した。
(二色性色素層の周期構造測定)
実施例5及び6と同様な条件で前記マゼンタインクを用いて別途形成した二色性色素層の周期及び半値幅を測定した。測定結果を下記表に示した。
実施例5及び6と同様な条件で前記マゼンタインクを用いて別途形成した二色性色素層の周期及び半値幅を測定した。測定結果を下記表に示した。
[立体画像の観察]
観察者が偏光眼鏡を介して前記立体画像印刷物を観察したところ、実施例7の、ゲストホスト型のマゼンタインクを用いた場合は、配向軸垂直方向の回折ピーク半値幅が1.46Åとブロードなピークであるため分子間距離のばらつきが大きく二色比も12と低かった。そのため、立体画像は観察可能であったが、ゴースト像が認められた。
観察者が偏光眼鏡を介して前記立体画像印刷物を観察したところ、実施例7の、ゲストホスト型のマゼンタインクを用いた場合は、配向軸垂直方向の回折ピーク半値幅が1.46Åとブロードなピークであるため分子間距離のばらつきが大きく二色比も12と低かった。そのため、立体画像は観察可能であったが、ゴースト像が認められた。
7.実施例8
[立体画像用印画物の作製]
立体画像用インクを下記に変更し、且つ配向膜を下記構造の光配向材料E−2に変更した以外は、実施例3と同様に立体画像用印画物を作製した。
[立体画像用インクの作製]
(二色性色素組成物の調製)
下記組成を80℃で24時間攪拌して溶解し、立体画像用インクとした。これらの二色性色素は水に溶解して液晶性を示すリオトロピック液晶であることを偏光顕微鏡観察で確認した。
(立体画像赤色インク)
シー・アイ・ダイレクトレッド81 5質量部
界面活性剤エマール20C(花王製) 0.2質量部
水(溶媒) 94.8質量部
(立体画像用緑色インク)
シー・アイ・ダイレクトグリーン59 5質量部
界面活性剤エマール20C(花王製) 0.2質量部
水(溶媒) 94.8質量部
(立体画像用青色インク)
シー・アイ・ダイレクトブルー67 5質量部
界面活性剤エマール20C(花王製) 0.2質量部
水(溶媒) 94.8質量部
[立体画像用印画物の作製]
立体画像用インクを下記に変更し、且つ配向膜を下記構造の光配向材料E−2に変更した以外は、実施例3と同様に立体画像用印画物を作製した。
[立体画像用インクの作製]
(二色性色素組成物の調製)
下記組成を80℃で24時間攪拌して溶解し、立体画像用インクとした。これらの二色性色素は水に溶解して液晶性を示すリオトロピック液晶であることを偏光顕微鏡観察で確認した。
(立体画像赤色インク)
シー・アイ・ダイレクトレッド81 5質量部
界面活性剤エマール20C(花王製) 0.2質量部
水(溶媒) 94.8質量部
(立体画像用緑色インク)
シー・アイ・ダイレクトグリーン59 5質量部
界面活性剤エマール20C(花王製) 0.2質量部
水(溶媒) 94.8質量部
(立体画像用青色インク)
シー・アイ・ダイレクトブルー67 5質量部
界面活性剤エマール20C(花王製) 0.2質量部
水(溶媒) 94.8質量部
(二色性色素層の二色比測定)
前記と同様なインクを用いて同様な条件で固定化した二色性色素層を別途形成して、二色比を測定した。測定結果を下記表に示した。
前記と同様なインクを用いて同様な条件で固定化した二色性色素層を別途形成して、二色比を測定した。測定結果を下記表に示した。
[立体画像の観察]
観察者が偏光眼鏡を介して前記立体画像印刷物を観察したところ、実施例8の、親水性のリオトロピック液晶をインク用の二色性色素として用いた場合は、二色性色素同志が強い分子間相互作用により層状構造をとっており、分子の自由運動が強く妨げられているため、配向膜の弱い配向規制力では十分に配向制御できず二色比が低かった。そのため、立体画像は観察可能であったが、ゴースト像が認められた。
観察者が偏光眼鏡を介して前記立体画像印刷物を観察したところ、実施例8の、親水性のリオトロピック液晶をインク用の二色性色素として用いた場合は、二色性色素同志が強い分子間相互作用により層状構造をとっており、分子の自由運動が強く妨げられているため、配向膜の弱い配向規制力では十分に配向制御できず二色比が低かった。そのため、立体画像は観察可能であったが、ゴースト像が認められた。
8.実施例9
[立体画像用印画物の作製]
透明支持体作製時の添加剤溶液から添加剤A(Re低下剤)及び添加剤B(波長分散制御剤)を除いた以外は、実施例1と同様に立体画像用印画物を作製した。このときの透明支持体(セルロースアセテートフィルム)の厚みは200μmであり、550nmにおけるRe値は15nmであった。
[立体画像の観察]
観察者が偏光眼鏡を介して前記立体画像印刷物を観察したところ立体画像は観察可能であったが、該透明支持体において、観察側と反対側の画像が支持体のReによりゴースト像として認識されてしまった。
[立体画像用印画物の作製]
透明支持体作製時の添加剤溶液から添加剤A(Re低下剤)及び添加剤B(波長分散制御剤)を除いた以外は、実施例1と同様に立体画像用印画物を作製した。このときの透明支持体(セルロースアセテートフィルム)の厚みは200μmであり、550nmにおけるRe値は15nmであった。
[立体画像の観察]
観察者が偏光眼鏡を介して前記立体画像印刷物を観察したところ立体画像は観察可能であったが、該透明支持体において、観察側と反対側の画像が支持体のReによりゴースト像として認識されてしまった。
10 立体画像印刷用印画紙
12 透明支持体
14L 第1の配向膜
14R 第2の配向膜
16L 第1の配向膜の配向軸
16R 第2の配向膜の配向軸
18L 第1の二色性色素層
18R 第2の二色性色素層
20 酸素遮断層
22 透明樹脂硬化層
24 反射層
26 1/4波長板
27 1/4波長板の遅相軸
12 透明支持体
14L 第1の配向膜
14R 第2の配向膜
16L 第1の配向膜の配向軸
16R 第2の配向膜の配向軸
18L 第1の二色性色素層
18R 第2の二色性色素層
20 酸素遮断層
22 透明樹脂硬化層
24 反射層
26 1/4波長板
27 1/4波長板の遅相軸
Claims (17)
- 透明支持体、並びに該透明支持体の表面及び裏面にそれぞれ、第1及び第2の配向膜を有し、前記第1及び第2の配向膜のそれぞれの配向軸が互いに直交していることを特徴とする立体画像用印画紙。
- 前記透明支持体が、可視光に対して面内のレターデ−ション値(Re)が10nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の印画紙。
- 前記第1及び第2の配向膜がそれぞれ、高分子化合物を主成分とする組成物から形成された膜の表面を互いに直交する方向にラビング処理してなるラビング配向膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の印画紙。
- 前記第1及び第2の配向膜がそれぞれ、互いに直交する方向に光照射されてなる光配向膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の印画紙。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の印画紙、並びに該印画紙が有する第1及び第2の配向膜のそれぞれの上に、視差のある左眼用画像及び右眼用画像を構成する第1及び第2の二色性色素層を有する立体画像印刷物であって、
前記第1及び第2の二色性色素層それぞれが、水平配向している少なくとも1種の液晶性二色性色素を含有し、それぞれの吸収軸が互いに直交していることを特徴とする立体画像印刷物。 - 前記少なくとも1種の液晶性二色性色素が親油性であり、且つ前記第1及び第2の配向膜が親水性ポリマーを主成分として含有することを特徴とする請求項5に記載の立体画像印刷物。
- 前記第1及び第2の二色性色素層の少なくとも一方の上に、透明樹脂硬化層を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の立体画像印刷物。
- 前記透明樹脂硬化層が、可視光に対して面内のレターデ−ション値(Re)が10nm以下であることを特徴とする請求項7に記載の立体画像印刷物。
- 前記第1及び第2の二色性色素層の少なくとも一方の上に、ポリビニルアルコールを主成分とする組成物から形成された酸素遮断層を有することを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の立体画像印刷物。
- 前記第1及び第2の二色性色素層のいずれかの上に、1/4波長板を有し、該1/4波長板の遅相軸と、第1及び第2の二色性色素層の吸収軸とがそれぞれ45°の角度をなしていることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に記載の立体画像印刷物。
- 前記透明樹脂硬化層、前記酸素遮断層、並びに前記第1及び第2の1/4波長板のいずれか少なくとも1つの層が、UV吸収剤を含有することを特徴とする請求項5〜10のいずれか1項に記載の立体画像印刷物。
- 前記少なくとも1種の液晶性二色性色素が、下記一般式(I)、下記一般式(II)、下記一般式(III)、下記一般式(IV)、又は下記一般式(V)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項5〜11のいずれか1項に記載の立体画像印刷物。
- いずれか一方の表面に、非偏光解消性の反射層を有することを特徴とする請求項5〜12のいずれか1項に記載の立体画像印刷物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の印画紙の第1及び第2の配向膜のそれぞれの表面に、同時に又は別々に、少なくとも有機溶媒及び該有機溶媒に溶解した少なくとも1種の液晶性二色性色素を含有する液晶性二色性色素組成物を、視差のある左眼用及び右眼用の画像様にそれぞれ塗布すること;並びに
該組成物中の有機溶媒を蒸発させることにより、前記少なくとも1種の液晶性二色性色素を、第1及び第2の配向膜のそれぞれの配向軸に従って配向させて、第1及び第2の二色性色素層を形成すること;
を含む立体画像印刷物の製造方法。 - 前記液晶性二色性色素組成物を、インクジェット法により塗布することを特徴とする請求項14に記載の方法。
- 前記少なくとも1種の液晶性二色性色素が、請求項12中に記載の一般式(I)、一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)、又は一般式(V)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項14又は15に記載の方法。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の立体画像印刷物を準備すること、
該立体画像印刷物を、左眼用及び右眼用のレンズが、それぞれ互いに直交する吸収軸を有する直線偏光レンズである、又は互いに反対向きの円偏光レンズである、偏光メガネを着用した観察者に対して表示すること、
を含む立体画像の提供方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010122727A JP2011248201A (ja) | 2010-05-28 | 2010-05-28 | 立体画像印刷用印画紙、立体画像印刷物、立体画像印刷方法、及び立体画像の提供方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010122727A JP2011248201A (ja) | 2010-05-28 | 2010-05-28 | 立体画像印刷用印画紙、立体画像印刷物、立体画像印刷方法、及び立体画像の提供方法 |
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JP2011248201A true JP2011248201A (ja) | 2011-12-08 |
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ID=45413515
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JP2010122727A Pending JP2011248201A (ja) | 2010-05-28 | 2010-05-28 | 立体画像印刷用印画紙、立体画像印刷物、立体画像印刷方法、及び立体画像の提供方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103360787A (zh) * | 2012-03-26 | 2013-10-23 | 住友化学株式会社 | 用于制造偏振膜的组合物及偏振膜 |
ES2742598A1 (es) * | 2019-08-01 | 2020-02-14 | Univ Madrid Complutense | Dispositivo para la exploración del mecanismo de la atención en la demencia con cuerpos de lewy |
-
2010
- 2010-05-28 JP JP2010122727A patent/JP2011248201A/ja active Pending
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CN103360787A (zh) * | 2012-03-26 | 2013-10-23 | 住友化学株式会社 | 用于制造偏振膜的组合物及偏振膜 |
CN103360787B (zh) * | 2012-03-26 | 2017-04-26 | 住友化学株式会社 | 用于制造偏振膜的组合物及偏振膜 |
ES2742598A1 (es) * | 2019-08-01 | 2020-02-14 | Univ Madrid Complutense | Dispositivo para la exploración del mecanismo de la atención en la demencia con cuerpos de lewy |
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